JP2007031586A - ポリエステル樹脂シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂(a)、テレフタル酸50〜95モル%、及び、イソフタル酸5〜50モル%を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むジオール成分と、炭素数2以上の繰り返し単位を有するポリエーテルとを構成成分とするポリエステル樹脂(b)、滑剤(c)、並びに、抗菌防カビ剤(d)を含有し、上記(a)及び上記(b)の混合比〔(a)/(b)〕は、質量基準で2/98〜45/55である樹脂組成物を成形することにより得られるポリエステル樹脂シート。
【選択図】 なし
Description
上記抗菌防カビ剤(d)は、無機銀系又はイミダゾール系のものであることが好ましい。
上記抗菌防カビ剤(d)の含有量は、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。
上記プレートアウト防止剤(e)は、シリカであることが好ましい。
上記プレートアウト防止剤(e)の配合量は、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部含有するものであることが好ましい。
上記滑剤(c)の含有量は、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部であることが好ましい。
上記樹脂組成物は、着色剤を含有するものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
更に、良好な3次曲面への成形性、インキの密着性及びカレンダー加工性を維持したままで、抗菌性や防カビ性を好適に付与することもできるものである。
上記炭素数2〜10のジオールとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、なかでも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びこれらの混合物が本発明の効果が得られる点で好ましい。
80モル%未満であると、3次曲面への成形性、インク密着性、粘着適性、カレンダー加工性が低下するおそれがある。なお、上記量は、上記ジオール成分中に含まれる炭素数2〜10のジオールの合計量である。
上記ポリエステル樹脂(a)は、上記構成成分以外に、安定剤を含むものであってもよい。これにより、ロール上での加工の間の酸化分解を防止することができる。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジカルボン酸成分は、上記ジカルボン酸成分100モル%中に、テレフタル酸を50〜95モル%含有するものである。これにより、本発明の効果をより効果的に得ることができる。50モル%未満であると、所定の重合度まで重合を進めることが困難となり、成形可能な樹脂を得ることができないおそれがある。95モル%を超えると、ポリエステル樹脂(b)の透明性や柔軟性が低下するおそれがある。
上記エチレングリコールの含有量は、上記ジオール成分100モル%中に、50〜100モル%であることが好ましい。50%未満であると、重合時の反応性が低下して所定の重合度の樹脂を得ることが困難となるおそれがある。60〜100モル%であることがより好ましく、70〜100モル%であることが更に好ましい。
なかでも、下記式(3)で表される構造を有するビスフェノールAエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
上記ポリエステル樹脂(b)は、構成成分として、炭素数2以上の繰返し単位を有するポリエーテルを含有するものである。上記ポリエーテルの含有量は、上記ポリエステル樹脂(b)を構成する樹脂成分100質量%中に、0.1〜40質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、得られたポリエステル樹脂(b)の柔軟性が充分でないおそれがある。40質量%を超えると、カレンダー加工性が低下するおそれがある。より好ましくは0.5〜35質量%、更に好ましくは0.5〜25質量%の範囲である。
上記ポリエチレングリコールは、数平均分子量300〜20000であることが好ましい。上記ポリオキシテトラメチレングリコールは、数平均分子量300〜4000であることが好ましい。下限未満であると、柔軟性付与の効果が少なく、上限を超えると、樹脂との相溶性が低下し透明性が損なわれるおそれがある。なかでも、耐候性等の点でポリテトラオキシメチレングリコールが好ましい。
有機系としてはアルコール系、トリアゾール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物・エポキシ系、ハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール系、チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメート系、界面活性剤系、有機金属系が挙げられる。
無機系としてはオゾン系、塩素化合物系、ヨウ素化合物系、過酸化物系、ホウ酸系、イオウ系、カルシウム系、シリコフルオロトナトリウム系、及び、無機銀系や無機亜鉛系等の無機金属系が挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。なかでも、カレンダー加工性や持続性、安全性の点で、イミダゾール系、無機金属系であることが好ましく、上記無機金属系のなかでも、無機銀系であることがより好ましい。
上記無機銀系としては、例えば、銀ゼオライト、銀セラミックス、銀リン酸カルシウム、銀シリカゲル、銀チタニア、銀・ガラス・ケイ酸銀、銀リン酸チタン・酸化亜鉛等を挙げることができる。
上記着色剤としては、シートの着色用として使用されている従来公知の染料や顔料を用いることができる。上記ポリエステル樹脂シートの着色は、上記樹脂組成物に着色剤を添加したものを成形することにより、透明着色シートを得ることができる。
上記樹脂組成物は、樹脂シートに用いられる他の添加剤を含むものであってもよい。
上記5%モジュラスを有するポリエステル樹脂シートは、例えば、上述したポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(b)、滑剤(c)、抗菌防カビ剤(d)を適当に選択して用いることによって得ることができる。
上記表面保護層は、厚さが0.04〜0.2mmであることが好ましい。
上記積層シートが粘着剤層を有するものである場合、使用するポリエステル樹脂シートが上記樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、積層シートを貼り付けると、大きい粘着力を得ることができる。また、貼り付けた積層シートを剥離した際に、貼り付けた基材上に粘着剤が残存すること(糊残り)を防止することができる。
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体からなるものであり、上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、又は、これらの共重合体を挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキルが好ましい。
上記ポリエステル樹脂シート、積層シートは、化粧シートとして好適に用いることができる。
図1は、表面保護層1、印刷層2、基材層3、粘着剤層4及び離型層5をこの順に積層されてなる積層シートの概略図である。上記積層シートは、例えば、上記表面保護層1及び上記基材層3が上述した樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、粘着適性、抗菌性及び防カビ性を有するものである。また、表面保護層1、基材層3は、カレンダー加工により良好に製造することができる。
下記材料を表1に示したように配合し、10インチ逆L型カレンダーを用いて0.08mmのフィルムを製造した。
(1)ポリエステル樹脂1(イーストマンケミカル社製「TSUNAMI GS−2」)
(2)ポリエステル樹脂2(三菱レイヨン社製「ダイヤナイト DN−149」、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/ポリオキシテトラメチレングリコール、MFR24g/10min(23℃/2.16kg))
(3)滑剤(大協化成工業社製「RX−PO−11〔エステル系(モンタン酸系)、ポリエチレン系(低分子量)ワックス複合体〕」
(4)抗菌剤;シントーファイン社製「C6−731X」、無機銀系
(5)防カビ剤;シントーファイン社製「シントールM100」、チアベンダゾール、
(6)プレートアウト防止剤;トクヤマ社製「ファインシールB」、超微粉湿式シリカ
上記で得られたフィルム(シート)について、3次曲面への成形性、5%モジュラス、インク密着性、抗菌性、カビ抵抗性、カレンダー加工性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
フィルム裏面に粘着剤を塗工することによって粘着加工を行った後、下記の方法で評価した。
(1)使用基材;MDF(高さ50mm、縦・横各200mm、角部10R)
(2)施工方法;フィルムをドライヤーで加熱しながら、スキージーを押し当て、MDFに貼り合わせる。(MDFの裏面に巻き込んだ部物のフィルム端部はシールテープで止める)
(3)判定方法
○;適性に基材形状にフィルムが沿って成形され、外観(意匠)が損なうことなく、貼り付けることができた。
×;R部で伸びが不足し、シワが入った、又は、フィルムの腰が弱いため伸びが大きくなり、プリント柄が伸びたり、隠蔽性が低くなった。
得られたフィルムの5%モジュラス(単位MPa)をJIS K 6732準拠の試験機にて、測定雰囲気温度23±2℃、引張速度200mm/minの条件下で測定した。なお、5%モジュラスの測定条件は、サンプルサイズ:19mm巾短冊、チャック間:50mm、標線間:25mm、引張速度:50mm/分であった。
得られたフィルムに対して、2液硬化型のウレタン樹脂を主成分とする着色インキで木目柄のプリントを行ったフィルムを60℃のギアオーブンに7日間放置した後、市販の粘着テープを貼付した後、剥離することにより評価した。
○;インキがフィルム側に完全に残った。
×;インキが粘着テープに取られた。
得られたフィルムの抗菌性をJIS Z2801に準拠した方法で行った。数値は抗菌活性値を示す。
(カビ抵抗性)
得られたフィルムのカビ抵抗性をJIS Z2911「プラスチック製品」に準拠した方法で行い、下記の基準で評価した。
0;肉眼及び顕微鏡下でカビの発育は認められない。
1;肉眼ではカビの発育は認められないが、顕微鏡下で確認する。
2;菌糸の発育が認められるが、発育部分の面積は試料の全面積の25%を超えない。
3;菌糸の発育が認められる。発育部分の面積は試料の全面積の25%を超える。
カレンダー加工性を以下の基準で評価した。
○;フィルム成形ができた。
×;フィルム成形ができなかった。
プレートアウトについては、下記の基準で評価した。
〇;カレンダーロールヘのプレートアウトは発生しなかった。
×;カレンダーロールヘのプレートアウトが発生した。
2 印刷層
3 基材層
4 粘着剤層
5 離型層
Claims (12)
- テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むジオール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂(a)、
テレフタル酸50〜95モル%、及び、イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体5〜50モル%を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むジオール成分と、炭素数2以上の繰り返し単位を有するポリエーテルとを構成成分とするポリエステル樹脂(b)、
滑剤(c)、並びに、抗菌防カビ剤(d)を含有し、
前記ポリエステル樹脂(a)及び前記ポリエステル樹脂(b)の混合比〔(a)/(b)〕は、質量基準で2/98〜45/55である樹脂組成物を成形することにより得られることを特徴とするポリエステル樹脂シート。 - 抗菌防カビ剤(d)は、無機金属系又は有機系のものである請求項1記載のポリエステル樹脂シート。
- 抗菌防カビ剤(d)は、無機銀系又はイミダゾール系のものである請求項2記載のポリエステル樹脂シート。
- 抗菌防カビ剤(d)の含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、10質量部以下である請求項1、2又は3記載のポリエステル樹脂シート。
- 樹脂組成物は、プレートアウト防止剤(e)を含有するものである請求項1、2、3又は4記載のポリエステル樹脂シート。
- プレートアウト防止剤(e)は、シリカである請求項5記載のポリエステル樹脂シート。
- プレートアウト防止剤(e)の含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部含有するものである請求項5又は6記載のポリエステル樹脂シート。
- JIS K6732に基づく引張試験による5%モジュラスは、測定雰囲気温度23±2℃、引張速度200mm/minの条件下で、流れ方向及び幅方向ともに5〜35MPaの範囲である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のポリエステル樹脂シート。
- ポリエーテルの含有量は、ポリエステル樹脂(b)を構成する樹脂成分100質量%中に0.1〜40質量%である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のポリエステル樹脂シート。
- 滑剤(c)の含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部である請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のポリエステル樹脂シート。
- 樹脂組成物は、着色剤を含有するものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載のポリエステル樹脂シート。
- カレンダー加工により得られるものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のポリエステル樹脂シート。
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