JP4965910B2 - ポリエステル樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂シートに関する。
建材、家具、家庭電気製品のキャビネット等の表面装飾材として化粧シートが用いられている。このような化粧シートは、木材、合板、集成材、パーチクルボード、ハードボード等の木質系材料の板状の材料に、貼り合わせて使用されたり、真空プレス成形、圧空プレス成形、メンブレンプレス成形、ラッピング加工等によって貼り合わせて使用されている。
従来からこのような化粧シートとして、基材シートである印刷インキ層を設けた不透明塩化ビニル樹脂フィルムと、保護シートである透明塩化ビニル樹脂フィルムとを積層した塩化ビニル樹脂(PVC)製シートが使用されている。そして、このような塩化ビニル樹脂製化粧シートは、塩化ビニル系樹脂が持つ着色性、エンボス加工性、印刷適性等の自由度が高く、意匠性のある化粧シートとして最も使用されている。
しかしながら、上述した塩化ビニル樹脂製化粧シートは、ダイオキシンの問題、燃焼時に塩化水素ガスが発生するという問題等を有するものであるため、非塩化ビニル系樹脂材料による化粧シートの開発が望まれている。このため、非塩化ビニル系樹脂材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が注目されており、このようなポリエステル樹脂を用いたシートが特許文献1〜2等に開示されている。
特許文献3には、テレフタル酸/エチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合体、テレフタル酸/エチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合体、及び、ワックスからなる柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物が開示されている。また、特許文献4には、完全非晶性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系エラストマー及び滑剤を含む組成物を成形して得られる樹脂シートが開示されている。
しかしながら、これらのシートは、軟質PVCに比べると剛性が高く、加工時や施工時にシワやワレが入りやすく、折り曲げ加工性、伸ばし加工性にも劣る。さらに、施工時に化粧シートに浮きが発生しやすいなどの欠点がある。
更に、これらのフィルムは、カレンダー加工により製造するとプレートアウトが発生しやすく、凹凸のある面やツヤムラを持つフィルムが成形されることが多い。
従って、軟質PVC製の化粧シートと同様に製造が容易であり、加工性、施工性にも優れ、表面の状態が良好で風合いに優れるフィルムの開発が望まれていた。
特開平9−300564号公報 特開2000−290415号公報 特開2003−246916号公報 特開2004−91795号公報
本発明は、上記現状に鑑み、風合いがよく、施工時にシワやワレが入りにくく、浮きが発生しにくく、カレンダー加工においてプレートアウトが発生せず、良好な表面状態を有するポリエステル樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むジオール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂(a)、テレフタル酸50〜95モル%とイソフタル酸5〜50モル%とを含むジカルボン酸成分、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び、ポリオキシテトラメチレングリコールを構成成分とするポリエステル樹脂(b)、滑剤(c)、並びに、プレートアウト防止剤(d)としてシリカ及びアクリル系オリゴマーを含有し、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の混合比〔(a)/(b)〕は、質量基準で2/98〜45/55である樹脂組成物を成形することにより得られることを特徴とするポリエステル樹脂シートである。
上記シリカとアクリル系オリゴマーとの配合比は、固形分質量で1/1〜10/1であることが好ましい。
上記プレートアウト防止剤(d)の総含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部含有するものであることが好ましい。
上記ポリオキシテトラメチレングリコールの含有量は、ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分100質量%中、0.1〜40質量%であることが好ましい。
上記樹脂組成物は、着色剤を含有するものであることが好ましい。
上記カレンダー加工により得られるものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂シートは、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むジオール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂(a)、テレフタル酸50〜95モル%、及び、イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体5〜50モル%を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むジオール成分と、炭素数2以上の繰り返し単位を有するポリエーテルとを構成成分とするポリエステル樹脂(b)、滑剤(c)、並びに、2種以上のプレートアウト防止剤(d)を含有する樹脂組成物を成形することにより得られるものである。本発明においては、上記の特定成分を特定量配合した樹脂組成物を用いることによって相乗効果が生じ、その結果、以下に述べる効果が発揮される。
本発明のポリエステル樹脂シートは、上記樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、上記ポリエステル樹脂シートを、3次曲面を有する面に施工する場合、曲面でシートを良好に伸ばすことができる。このため、施工時にシワが生じること、外観を損なうことを防止することができる。
上記ポリエステル樹脂シートは、上記樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、シートの腰も良好である。このため、上記ポリエステル樹脂シートがプリント柄を有するシートである場合に、シートを3次曲面に施工しても、伸びが大きくなりすぎて、プリント柄が伸びたり、隠蔽性が低くなったりすることを防止することができる。また、上記ポリエステル樹脂シートは、柔軟性に優れたものであるため、上記ポリエステル樹脂シートを3次曲面に施工した場合、施工後にウキ、ハガレ等の不具合が発生することを防止することができる。
上記ポリエステル樹脂シートは、上記樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、上記ポリエステル樹脂シートがプリント柄を有するシートである場合、印刷に使用した着色インキの密着性に優れたものである。従って、プリント柄を有するポリエステル樹脂シートに、粘着テープを貼り付け、その後剥離した場合において、着色インキが粘着テープとともに剥離されることを防止することができる。
上記樹脂組成物は、上述した特定成分を含有するものであるため、優れたカレンダー加工性を有するものである。このため、上記ポリエステル樹脂シートは、カレンダー加工によって容易に得ることができる。例えば、カレンダー加工によりシートを成形した場合、カレンダーロールへの粘着を防止することができるため、ロールからシートを剥離することができない等の不具合の発生を防止することができる。また、カレンダー加工におけるプレートアウトの発生を防止することができるものであるため、表面状態が良好で風合いの優れたシートを得ることができる。
上記ポリエステル樹脂(a)は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むジオール成分とを構成成分とするものである。これにより、優れた3次曲面への成形性、インク密着性、粘着適性、カレンダー加工性を得ることができる。
上記ジカルボン酸成分において、上記ナフタレンジカルボン酸は、種々の異性体のうちの任意の異性体又は異性体の混合物を使用することができるが、なかでも、1,4−、1,5−、2,6−及び2,7−異性体が好ましい。また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のシス、トランス又はシス/トランス異性体混合物を使用することができる。スルホイソフタル酸を使用することもできる。
上記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むものである。80モル%未満であると、3次曲面への成形性、インク密着性、粘着適性、カレンダー加工性が低下するおそれがある。なお、上記量は、上記成分の合計量である。
上記ジカルボン酸成分は、炭素数4〜40のその他のジカルボン酸を含有するものであってもよい。上記その他のジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸等を挙げることができる。上記その他のジカルボン酸の含有量は、上記ジカルボン酸成分100モル%中に、20モル%以下である。上記ジカルボン酸成分中のジカルボン酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ジオール成分は、炭素数2〜10のジオールを含むものである。
上記炭素数2〜10のジオールとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、なかでも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びこれらの混合物が本発明の効果が得られる点で好ましい。
上記ジオール成分は、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むものである。
80モル%未満であると、3次曲面への成形性、インク密着性、粘着適性、カレンダー加工性が低下するおそれがある。なお、上記量は、上記ジオール成分中に含まれる炭素数2〜10のジオールの合計量である。
上記ジオール成分は、1,4−シクロヘキサンジメタノールを10〜100モル%及びエチレングリコール90〜0モル%含むものであることが本発明の効果が得られる点で特に好ましい。
上記炭素数2〜10のジオールとしては、上述したもの以外に、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、プロピレングリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等を挙げることができる。上記ジオール成分中のジオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリエステル樹脂(a)は、従来公知の方法によって製造することができる。
上記ポリエステル樹脂(a)は、上記構成成分以外に、安定剤を含むものであってもよい。これにより、ロール上での加工の間の酸化分解を防止することができる。
上記安定剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジステアリル又はチオジプロピオン酸ジラウリル等のエステル;ブチル化ヒドロキシトルエンのようなフェノール性安定剤;リン含有安定剤等を挙げることができる。市販品としては、イルガノックス1010、イルガフォス(以上、チバガイギー社製)、エタノックス330(エチル社製)、ウエストン(ジーイー・スペシャルティ・ケミカルス社製)等を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂(a)は、上記構成成分以外に、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸等の成分を含むものであってもよい。
上記ポリエステル樹脂(a)は、上記成分以外に、従来の公知の添加剤を含むものであってもよい。上記添加剤としては、例えば、可塑剤、染料、着色剤、顔料、充填剤、艶消し剤、粘着防止剤、帯電防止剤、ガラス、耐衝撃性改良剤、難燃剤等を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂(a)において、上記安定剤及び添加剤の含有量は、上記ポリエステル樹脂組成物100質量%(固形分)中に、0.01〜10質量%であることが好ましい。なお、上記含有量は、装置、材料、方法条件及びシートの厚さを考慮して適宜決定することができる。
上記ポリエステル樹脂(a)の市販品としては、例えば、TSUNAMI GS−2、PETG 6763(イーストマンケミカル社製)、スカイグリーン K2012(SKケミカル社製)を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂(b)は、テレフタル酸50〜95モル%、及び、イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体5〜50モル%を含むジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むジオール成分と、炭素数2以上の繰り返し単位を有するポリエーテルとを構成成分とするものである。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸と、イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体とを含むものである。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジカルボン酸成分は、上記ジカルボン酸成分100モル%中に、テレフタル酸を50〜95モル%含有するものである。これにより、本発明の効果をより効果的に得ることができる。50モル%未満であると、所定の重合度まで重合を進めることが困難となり、成形可能な樹脂を得ることができないおそれがある。95モル%を超えると、ポリエステル樹脂(b)の透明性や柔軟性が低下するおそれがある。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジカルボン酸成分は、上記ジカルボン酸成分100モル%中に、イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体を5〜50モル%含有するものである。5モル%未満であると、ポリエステル樹脂(b)の透明性や柔軟性が低下するおそれがある。50モル%を超えると、所定の重合度まで重合を進めることが困難となり、成形可能な樹脂を得ることができないおそれがある。
上記ポリエステル樹脂(b)におけるジルボン酸成分において、上記テレフタル酸、及び、上記イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体は、上記ジカルボン酸成分100モル%中に、80〜100モル%含まれることが好ましく、90〜100モル%含まれることがより好ましい。80モル%未満であると、ポリエステル樹脂(b)の機械的特性が低下するおそれがある。なお、上記テレフタル酸、及び、上記イソフタル酸又はそのエステル形成誘導体の含有量とは、これらの合計量である。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジカルボン酸成分は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸を含むものであってもよい。上記脂肪族ジカルボン酸の含有量は、上記カルボン酸成分100モル%中に、20モル%以下であることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジオール成分は、エチレングリコールを含むものである。
上記エチレングリコールの含有量は、上記ジオール成分100モル%中に、50〜100モル%であることが好ましい。50%未満であると、重合時の反応性が低下して所定の重合度の樹脂を得ることが困難となるおそれがある。60〜100モル%であることがより好ましく、70〜100モル%であることが更に好ましい。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジオール成分は、本発明の効果を阻害しない範囲で、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール化合物又はその誘導体のエチレンオキサイド付加物等の他のジオールを含有するものであってもよい。
上記ビスフェノール化合物又はその誘導体のエチレンオキサイド付加物としては、下記式(1)、(2)で表される構造を有するもの等を挙げることができる。
Figure 0004965910
(式中、XはCH、C(CH、O又はSOを表す。n及びmは2≦n+m≦6を満たす整数を表す。)
Figure 0004965910
(式中、XはCH、C(CH、O又はSOを表す。RはC〜Cのアルキル基又はハロゲン基を表す。n及びmは2≦n+m≦6を満たす整数、a及びbは1〜4の整数を表す。)
なかでも、下記式(3)で表される構造を有するビスフェノールAエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
Figure 0004965910
(式中、n及びmは2≦n+m≦6を満足する整数である。)
上記ポリエステル樹脂(b)は、構成成分として、炭素数2以上の繰返し単位を有するポリエーテルを含有するものである。上記ポリエーテルの含有量は、上記ポリエステル樹脂(b)を構成する樹脂成分100質量%中に、0.1〜40質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、得られたポリエステル樹脂(b)の柔軟性が充分でないおそれがある。40質量%を超えると、カレンダー加工性が低下するおそれがある。より好ましくは0.5〜35質量%、更に好ましくは0.5〜25質量%の範囲である。
上記ポリエーテルとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等を挙げることができる。
上記ポリエチレングリコールは、数平均分子量300〜20000であることが好ましい。上記ポリオキシテトラメチレングリコールは、数平均分子量300〜4000であることが好ましい。下限未満であると、柔軟性付与の効果が少なく、上限を超えると、樹脂との相溶性が低下し透明性が損なわれるおそれがある。なかでも、耐候性等の点でポリテトラオキシメチレングリコールが好ましい。
上記ポリエステル樹脂(b)は、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びポリオキシテトラメチレングリコールを構成成分とするポリエステル樹脂であることが特に好ましい。このようなポリエステル樹脂を用いる場合には、本発明の効果をより効果的に得ることができる。
上記ポリエステル樹脂(b)は、樹脂の熱安定性や耐候性を向上させるために、安定剤等の添加剤を配合してもよい。上記添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、フォスファイト系安定剤等を挙げることができる。上記ポリエステル樹脂(b)の製造方法としては、公知の直接重合法やエステル交換法が使用でき、その重合度は特に限定されるものではないが、固有粘度(フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合溶液中で25℃における測定値)が0.5以上のものが好ましい。
上記ポリエステル樹脂(b)の市販品としては、例えば、ダイヤナイト DN−149(三菱レイヨン社製)を挙げることができる。
上記樹脂組成物において、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の混合比〔(a)/(b)〕は、質量基準で2/98〜45/55である。上記ポリエステル樹脂(a)の混合比率が2質量%未満であると、フィルム・シートが柔らかすぎて腰が弱く、3次曲面等を有する面に施工する場合、シワが入りやすく、外観を損なうおそれがある。上記ポリエステル樹脂(a)の混合比率が45%を超えると、シートが硬くなり、3次曲面等を有する面に施工する場合、伸びが小さく、施工後にウキ、ハガレ等の不具合が発生するおそれがある。上記混合比は、30/70〜45/55であることが好ましい。
上記樹脂組成物は、滑剤(c)を含有するものである。上記混合比の組成物を用いてカレンダー加工を行うと、金属滑性が悪く、カレンダーロールからフィルム・シートを引き剥がすことが困難であるが、上記滑剤(c)を添加することにより、加工性を向上させることができる。
上記滑剤(c)としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸系ワックス;パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系ワックス;脂肪族金属せっけん系、脂肪族エステル系ワックス;脂肪族アミド系ワックス等のワックス系滑剤が好ましい。また、これらの複合型ワックスを使用してもよい。なかでも、本発明の効果が得られる点から、エステル系、ポリエチレン系ワックス複合体を用いることがより好ましい。ここで、上記エステル系ワックスは、モンタン酸系のものが好ましく、上記ポリエチレン系ワックスは、低分子量であることが好ましい。これらの滑剤(c)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤(c)の含有量は、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部であることが好ましい。上記範囲外であると、カレンダー加工性が低下するおそれがある。上記含有量は、0.5〜3.0質量部であることがより好ましい。
上記樹脂組成物は、2種以上のプレートアウト防止剤(d)を含有するものである。
シートを成形するのに使用するポリエステル樹脂を含む樹脂組成物に、滑剤や用途により機能付与添加剤を添加してカレンダー加工を行った場合、これらの添加剤やポリエステル系樹脂が熱劣化を起こし、カレンダーロール又はその後の工程であるエンボスロール上でプレートアウトが発生し、成形されたフィルムの面状態が平滑ではなかったり、ツヤムラが発生したりしてしまう。そうすると、フィルムの後の加工において印刷性や意匠性を損なってしまったりする。
本発明では、2種以上のプレートアウト防止剤を添加することにより、カレンダー加工で成形する場合、加工時にプレートアウトを防止することができ、表面状態が良好なシートを得ることができる。
上記プレートアウト防止剤(d)としては、アルキルフェノールリン酸エステル、リシノレイン酸、アクリル系オリゴマー、ポリブテンの有機物や、有機金属、シリカ等の無機酸化物等を挙げることができるが、なかでも、アクリル系オリゴマーとシリカが好ましい。これらを併用することにより、カレンダー加工で成形した場合にプレートアウトを好適に防止し、表面状態が良好な樹脂シートを得ることができる。
上記シリカを添加することにより、ポリエステル樹脂の熱劣化物や添加剤の噴き出し物が多孔質のシリカの孔部に吸収されたり、ロール表面へ付着した噴き出し物がシリカに掻き落とされたりすると推察される。また、上記アクリル系オリゴマーは、熱劣化物や添加剤を含有するフィルム上に薄い膜を形成すると推察される。従って、これら2つの相乗効果により、カレンダー加工におけるプレートアウトを好適に抑制し、表面状態が良好なポリエステル樹脂シートを得ることができると推察される。
上記シリカは、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系等のカップリング剤、りん酸系、脂肪酸系等の界面活性剤、油脂、ワックス等の表面処理剤により処理が施されたものであってもよい。
上記シリカの1次平均粒子径は、10〜10000nmであることが好ましい。10nm未満であると、入手が困難となるおそれがある。10000nmを超えると、本発明の効果が得られないおそれがある。上記1次平均粒子径の値は、従来公知の測定方法によって得られた値である。
上記シリカの市販品としては、「ファインシールB」(商品名、トクヤマ社製)、「ファインシール」(商品名、トクヤマ社製)、「サイリシア」(商品名、富士シリシア化学社製)を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル系オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリル樹脂アクリレートなどが挙げられる。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーとは、高分子量のイソシアネートとヒドロキシル基を有するアクリレートとが化学結合したものが挙げられる。
上記アクリル樹脂アクリレートとは、ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル共重合樹脂中に、予め、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基などの官能基を持つ(メタ)アクリレートモノマーを共重合せしめ、それぞれの官能基に対応して付加反応する官能基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーと付加反応させて二重結合を導入したものが挙げられる。
上記アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、通常2000〜12000である。
上記アクリル系オリゴマーの市販品としては、「LS−5」(商品名、勝田化工社製)等を挙げることができる。
これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリカと上記アクリル系オリゴマーの配合比は、固形分質量で1/1〜10/1であることが好ましい。1/1未満であると、シリカのプレートアウトのおそれがある。10/1を超えると、カレンダーロール上での滑性が低下するおそれがある。上記配合比は、2/1〜10/1であることがより好ましい。
上記プレートアウト防止剤(d)の総含有量は、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると、滑剤(c)や他の添加剤によるプレートアウトを防止できないおそれがある。3.0質量部を超えると、プレートアウト防止剤がプレートアウトするおそれがある。上記含有量は、0.5〜2.0質量部であることがより好ましい。
上記樹脂組成物はまた、抗菌防カビ剤を含有していてもよい。上記抗菌防カビ剤としては、特に限定されず、例えば、イミダゾール系等の有機系や無機銀等の無機系のものが挙げられる。
上記樹脂組成物はまた、紫外線吸収剤を含有していてもよい。上記紫外線吸収剤としては、特に限定されず、例えば、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が挙げられる。
上記樹脂組成物は、着色剤を含有するものであってもよい。
上記着色剤としては、シートの着色用として使用されている従来公知の染料や顔料を用いることができる。上記ポリエステル樹脂シートの着色は、上記樹脂組成物に着色剤を添加したものを成形することにより、透明着色シートを得ることができる。
上記樹脂組成物は、樹脂シートに用いられる他の添加剤を含むものであってもよい。
上記ポリエステル樹脂シートは、厚さが0.05〜0.3mmであることが好ましい。0.05mm未満、0.3mmを超える場合には、製膜化、表面平滑性に欠けカレンダー加工性が困難となるおそれがある。上記厚さは、0.05〜0.2mmであることがより好ましい。
上記ポリエステル樹脂シートは、JIS K6732に基づく引張試験による5%モジュラスが、測定雰囲気温度23±2℃、引張速度200mm/minの条件下で、流れ方向及び幅方向ともに5〜35MPaの範囲であることが好ましい。上記範囲内である場合には、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、基材に貼り付けた際の粘着力や剥がした際の糊残り等の粘着適性及びカレンダー加工性を効果的に得ることができる。5MPa未満であると、印刷加工時にフィルムが伸びて柄ズレが起きたり、3次曲面基材への施工時にシワ入り、柄伸びが生じたりすることがある。35MPaを超えると、フィルムが硬くなるために3次曲面基材への沿いが悪くなるおそれがある。また、貼り付けた後に経時でフィルムが浮いてきたりするおそれがある。
なお、上記5%モジュラスの測定条件は、サンプルサイズ:19mm巾短冊、チャック間:50mm、標線間:25mm、引張速度:50mm/分である。
上記5%モジュラスを有するポリエステル樹脂シートは、例えば、上述したポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(b)、滑剤(c)、2種以上のプレートアウト防止剤(d)を適当に選択して用いることによって得ることができる。
上記ポリエステル樹脂シートは、従来公知の方法により製造することができ、例えば、押し出し、カレンダー加工等により製造することができる。なかでも、本発明のポリエステル樹脂シートは、上記樹脂組成物を用いて得られるものであるため、カレンダー加工により得られるものであることが好ましい。カレンダー加工を用いた場合、カレンダーロールから剥がれない等の不具合が生じることを防止することができる。
上記ポリエステル樹脂シートがカレンダー加工により得られるものである場合、上記樹脂組成物は、メルトフローレイト(230℃、37.3N)が15以下であることが好ましい。これにより、150〜200℃の範囲内における溶融状態の樹脂組成物の粘度を、混練効率が良くかつバンクの回転を良好なものにすることができる。このため、上記樹脂組成物をカレンダー加工することにより、均質な薄いフィルムを得ることができる。
上記樹脂組成物は、メルトフローレイト(230℃、37.3N)が1〜15の範囲内であることがより好ましい。メルトフローレイトを1以上とすることにより、ポリ塩化ビニル樹脂用のカレンダー加工設備を用いてカレンダー加工をする際に、樹脂組成物の粘度が高すぎることによるカレンダー加工性の低下を防止することができる。上記カレンダー加工に用いられるカレンダー形式は、特に限定されないが、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂シートは、積層シートであってもよい。即ち、この場合、上記積層シートは、基材層及び表面保護層を積層したものであり、上記基材層及び上記表面保護層は、ともに上述したポリエステル樹脂シートからなるものである。両層に上述したポリエステル樹脂シートを使用することにより、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、粘着適性及びカレンダー加工性を効果的に得ることができる。
上記積層シートは、上記基材層又は上記表面保護層のいずれか、又は、両方が着色シートであってもよい。この場合、上記着色シートは、上述した着色剤を含む樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
上記基材層は、厚さが0.05〜0.3mmであることが好ましい。0.05mm未満、0.3mmを超える場合には、製膜化、表面平滑性に欠けカレンダー加工性が困難である。0.07〜0.2mmであることがより好ましい。
上記表面保護層は、厚さが0.04〜0.2mmであることが好ましい。
上記積層シートは、印刷層を有するものであってもよい。この場合、上記積層シートとして、例えば、基材層、印刷層及び表面保護層をこの順に積層したものを挙げることができる。上記印刷層を有する積層シートは、印刷に使用した着色インキの密着性に優れたものである。このような効果は、上述した樹脂組成物を成形して得られるポリエステル樹脂シートを用いることによって得られる効果である。
上記印刷層は、基材層上又は表面保護層上に、グラビア印刷法、フレキソグラフ印刷法、シルクスクリーン印刷法等の公知の印刷法で形成することができ、例えば、基材層上又は表面保護層上に、木目等の任意の絵柄を印刷したり、アルミニウムペーストを混入して調製したインキを用いることにより金属調の印刷絵柄を形成することができる。
上記積層シートは、粘着剤層を有するものであってもよい。
上記積層シートが粘着剤層を有するものである場合、使用するポリエステル樹脂シートが上記樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、積層シートを貼り付けると、大きい粘着力を得ることができる。また、貼り付けた積層シートを剥離した際に、貼り付けた基材上に粘着剤が残存すること(糊残り)を防止することができる。
上記粘着剤層は、従来公知の粘着剤によって形成することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を使用することにより形成することができる。
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体からなるものであり、上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、又は、これらの共重合体を挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキルが好ましい。
上記ゴム系粘着剤としては、例えば、ポリイソブチレン・ポリブテン系、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン系、ニトリル系、クロロプレン系、ビニルピリジン系、ポリイソブチレン系、ブチル系、イソプレン・イソブチレン系等からなるゴム系粘着剤を挙げることができる。なかでも、ポリイソブチレン、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体〔例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等〕等が好ましい。
上記積層シートは、離型層を有するものであってもよい。上記離型層は、粘着シートを貼り付けるまで粘着層を保護するものであり、貼り付け時に剥離されるものである。この場合、上記積層シートとしては、例えば、基材層、印刷層、表面保護層、粘着剤層及び離型層をこの順に積層したものを挙げることができる。
上記離型層としては、例えば、グラシン紙等の高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙又は上質紙等に、カゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然又は合成樹脂と顔料とを主成分とした目止め層を設けたシート;クラフト紙又は上質紙等に、ポリエチレン等をラミネートしたラミネート紙;ポリプロピレン等のフィルム等のシートに、水、溶剤型又は無用剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥質量で通常0.05〜3g/m塗工後、熱硬化、電子放射線硬化等によって離型層を形成したもの等を使用することができる。なかでも、環境面から、シリコーン樹脂で処理したポリプロピレン等を好適に用いることができる。
上記積層シートは、従来公知の方法より得ることができる。即ち、上述したカレンダー加工等により得られた基材層と表面保護層とを従来公知の積層法を用いて作成することができる。なかでも、作成方法が簡便であること、コストが低廉であることから、上記基材層と、上記表面保護層とを熱ラミネートにより貼り付ける方法により作成することが好ましい。
上記積層シートは、エンボス加工を施したものであってもよい。
上記ポリエステル樹脂シート、積層シートは、化粧シートとして好適に用いることができる。
上記積層シートが粘着剤層を有するものである場合、上記積層シートは、JIS Z0237に準じて測定した粘着力が10N/25mm以上であることが好ましい。上記粘着力は、幅25mm×長さ150mmのシートをアルミニウム板(JIS規格 A5052)に貼付して、温度23℃で24時間放置し、引張速度300mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の粘着力(N/25mm)である。また、同様に温度60℃で7日間放置した後の粘着力は、10N/25mm以上であることが好ましい。この場合、上記積層シートは、優れた粘着適性を有するものとなる。
以下、上記積層シートの例を図を用いて説明する。
図1は、表面保護層1、印刷層2、基材層3、粘着剤層4及び離型層5をこの順に積層されてなる積層シートの概略図である。上記積層シートは、例えば、上記表面保護層1及び上記基材層3が上述した樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、粘着適性、カレンダー加工性を有するものである。また、表面保護層1、基材層3は、カレンダー加工により良好に製造することができる。
上記積層シートは、上記基材層と上記表面保護層とを熱ラミネートにより貼り付けることにより製造することができる。これにより、基材層と表面保護層とを充分に貼り付けることができ、極めて簡便に製造することができる。
本発明のポリエステル樹脂シートは、上記ポリエステル樹脂(a)及び上記ポリエステル樹脂(b)を特定配合比で混合し、更に上記滑剤(c)及び上記プレートアウト防止剤(d)を含有する樹脂組成物を成形することにより得られるものである。このため、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、カレンダー加工性を有するものである。また、風合いにも優れるものである。従って、上記ポリエステル樹脂シート及び積層シートは、化粧シートとして好適に用いることができるものである。
本発明のポリエステル樹脂シートは、上述した構成よりなるので、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、及び、カレンダー加工性を有するものである。
以下に本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例1〜4及び比較例1〜4
下記材料を表1に示したように配合し、10インチ逆L型カレンダーを用いて0.08mmのフィルムを製造した。なお、カレンダーロールの温度は、175℃で、エンボスロールの温度は、40℃である。
(1)ポリエステル樹脂1(イーストマンケミカル社製「TSUNAMI GS−2」)
(2)ポリエステル樹脂2(三菱レイヨン社製「ダイヤナイト DN−149」、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/ポリオキシテトラメチレングリコール、MFR24g/10min(23℃/2.16kg))
(3)滑剤(大協化成工業社製「RX−PO−11〔エステル系(モンタン酸系)、ポリエチレン系(低分子量)ワックス複合体〕」
(4)プレートアウト防止剤a:トクヤマ社製「ファインシールB」、超微粉湿式シリカ
(5)プレートアウト防止剤b:トクヤマ社製「ファインシールX−80」、超微粉湿式シリカ
(6)プレートアウト防止剤c:勝田化工社製「LS−5」、アクリル系オリゴマー
〔評価〕
(カレンダー加工性)
上記で得られたフィルム(シート)について、カレンダー加工性を下記の基準により評価した。結果を表1に示す。
プレートアウト(1):カレンダーロールへのプレートアウトが発生しなかった場合が○、発生した場合が×。
プレートアウト(2):エンボスロールのプレートアウトが発生しなかった場合が○、発生した場合が×。
(3次曲面への成形性)
フィルム裏面に粘着剤を塗工することによって粘着加工を行った後、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)使用基材;MDF(高さ50mm、縦・横各200mm、角部10R)
(2)施工方法;フィルムをドライヤーで加熱しながら、スキージーを押し当て、MDFに貼り合わせる。(MDFの裏面に巻き込んだ部物のフィルム端部はシールテープで止める)
(3)判定方法
○;適正に基材形状にフィルムが沿って成形され、外観(意匠)が損なうことなく、貼り付けることができた。
×;R部で伸びが不足し、シワが入った、又は、フィルムの腰が弱いため伸びが大きくなり、プリント柄が伸びたり、隠蔽性が低くなった。
(インク密着性)
得られたフィルムに対して、2液硬化型のウレタン樹脂を主成分とする着色インキで木目柄のプリントを行ったフィルムを60℃のギアオーブンに7日間放置した後、市販の粘着テープを貼付した後、剥離することにより評価した。
○;インキがフィルム側に完全に残った。
×;インキが粘着テープに取られた。
Figure 0004965910
表1から、実施例で得られたフィルムは、プレートアウトが発生せず良好なフィルムを形成することができた。一方、比較例で得られたものは、プレートアウトが発生し良好なフィルムを形成することができなかった。
本発明のポリエステル樹脂シートは、化粧シートとして好適に使用することができる。
本発明のポリエステル樹脂シートを表面保護層及び基材層として用いた積層シートの概略図の一例である。
符号の説明
1 表面保護層
2 印刷層
3 基材層
4 粘着剤層
5 離型層

Claims (6)

  1. テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むジオール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂(a)、
    テレフタル酸50〜95モル%とイソフタル酸5〜50モル%とを含むジカルボン酸成分、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び、ポリオキシテトラメチレングリコールを構成成分とするポリエステル樹脂(b)、
    滑剤(c)、並びに、プレートアウト防止剤(d)としてシリカ及びアクリル系オリゴマーを含有し、
    前記ポリエステル樹脂(a)及び前記ポリエステル樹脂(b)の混合比〔(a)/(b)〕は、質量基準で2/98〜45/55である樹脂組成物を成形することにより得られることを特徴とするポリエステル樹脂シート。
  2. シリカとアクリル系オリゴマーとの配合比は、固形分質量で1/1〜10/1である請求項記載のポリエステル樹脂シート。
  3. プレートアウト防止剤(d)の総含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂シート。
  4. ポリオキシテトラメチレングリコールの含有量は、ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分100質量%中、0.1〜40質量%である請求項1、2又は3記載のポリエステル樹脂シート。
  5. 樹脂組成物は、着色剤を含有するものである請求項1、2、3又は4記載のポリエステル樹脂シート。
  6. カレンダー加工により得られるものである請求項1、2、3、4又は5記載のポリエステル樹脂シート。
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