JP4965910B2 - ポリエステル樹脂シート - Google Patents
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Description
更に、これらのフィルムは、カレンダー加工により製造するとプレートアウトが発生しやすく、凹凸のある面やツヤムラを持つフィルムが成形されることが多い。
従って、軟質PVC製の化粧シートと同様に製造が容易であり、加工性、施工性にも優れ、表面の状態が良好で風合いに優れるフィルムの開発が望まれていた。
上記プレートアウト防止剤(d)の総含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部含有するものであることが好ましい。
上記ポリオキシテトラメチレングリコールの含有量は、ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分100質量%中、0.1〜40質量%であることが好ましい。
上記樹脂組成物は、着色剤を含有するものであることが好ましい。
上記カレンダー加工により得られるものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記炭素数2〜10のジオールとしては特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、なかでも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びこれらの混合物が本発明の効果が得られる点で好ましい。
80モル%未満であると、3次曲面への成形性、インク密着性、粘着適性、カレンダー加工性が低下するおそれがある。なお、上記量は、上記ジオール成分中に含まれる炭素数2〜10のジオールの合計量である。
上記ポリエステル樹脂(a)は、上記構成成分以外に、安定剤を含むものであってもよい。これにより、ロール上での加工の間の酸化分解を防止することができる。
上記ポリエステル樹脂(b)において、上記ジカルボン酸成分は、上記ジカルボン酸成分100モル%中に、テレフタル酸を50〜95モル%含有するものである。これにより、本発明の効果をより効果的に得ることができる。50モル%未満であると、所定の重合度まで重合を進めることが困難となり、成形可能な樹脂を得ることができないおそれがある。95モル%を超えると、ポリエステル樹脂(b)の透明性や柔軟性が低下するおそれがある。
上記エチレングリコールの含有量は、上記ジオール成分100モル%中に、50〜100モル%であることが好ましい。50%未満であると、重合時の反応性が低下して所定の重合度の樹脂を得ることが困難となるおそれがある。60〜100モル%であることがより好ましく、70〜100モル%であることが更に好ましい。
なかでも、下記式(3)で表される構造を有するビスフェノールAエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
上記ポリエステル樹脂(b)は、構成成分として、炭素数2以上の繰返し単位を有するポリエーテルを含有するものである。上記ポリエーテルの含有量は、上記ポリエステル樹脂(b)を構成する樹脂成分100質量%中に、0.1〜40質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、得られたポリエステル樹脂(b)の柔軟性が充分でないおそれがある。40質量%を超えると、カレンダー加工性が低下するおそれがある。より好ましくは0.5〜35質量%、更に好ましくは0.5〜25質量%の範囲である。
上記ポリエチレングリコールは、数平均分子量300〜20000であることが好ましい。上記ポリオキシテトラメチレングリコールは、数平均分子量300〜4000であることが好ましい。下限未満であると、柔軟性付与の効果が少なく、上限を超えると、樹脂との相溶性が低下し透明性が損なわれるおそれがある。なかでも、耐候性等の点でポリテトラオキシメチレングリコールが好ましい。
シートを成形するのに使用するポリエステル樹脂を含む樹脂組成物に、滑剤や用途により機能付与添加剤を添加してカレンダー加工を行った場合、これらの添加剤やポリエステル系樹脂が熱劣化を起こし、カレンダーロール又はその後の工程であるエンボスロール上でプレートアウトが発生し、成形されたフィルムの面状態が平滑ではなかったり、ツヤムラが発生したりしてしまう。そうすると、フィルムの後の加工において印刷性や意匠性を損なってしまったりする。
本発明では、2種以上のプレートアウト防止剤を添加することにより、カレンダー加工で成形する場合、加工時にプレートアウトを防止することができ、表面状態が良好なシートを得ることができる。
上記シリカを添加することにより、ポリエステル樹脂の熱劣化物や添加剤の噴き出し物が多孔質のシリカの孔部に吸収されたり、ロール表面へ付着した噴き出し物がシリカに掻き落とされたりすると推察される。また、上記アクリル系オリゴマーは、熱劣化物や添加剤を含有するフィルム上に薄い膜を形成すると推察される。従って、これら2つの相乗効果により、カレンダー加工におけるプレートアウトを好適に抑制し、表面状態が良好なポリエステル樹脂シートを得ることができると推察される。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーとは、高分子量のイソシアネートとヒドロキシル基を有するアクリレートとが化学結合したものが挙げられる。
上記アクリル樹脂アクリレートとは、ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル共重合樹脂中に、予め、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基などの官能基を持つ(メタ)アクリレートモノマーを共重合せしめ、それぞれの官能基に対応して付加反応する官能基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーと付加反応させて二重結合を導入したものが挙げられる。
上記アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、通常2000〜12000である。
これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記着色剤としては、シートの着色用として使用されている従来公知の染料や顔料を用いることができる。上記ポリエステル樹脂シートの着色は、上記樹脂組成物に着色剤を添加したものを成形することにより、透明着色シートを得ることができる。
上記樹脂組成物は、樹脂シートに用いられる他の添加剤を含むものであってもよい。
上記5%モジュラスを有するポリエステル樹脂シートは、例えば、上述したポリエステル樹脂(a)、ポリエステル樹脂(b)、滑剤(c)、2種以上のプレートアウト防止剤(d)を適当に選択して用いることによって得ることができる。
上記表面保護層は、厚さが0.04〜0.2mmであることが好ましい。
上記積層シートが粘着剤層を有するものである場合、使用するポリエステル樹脂シートが上記樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、積層シートを貼り付けると、大きい粘着力を得ることができる。また、貼り付けた積層シートを剥離した際に、貼り付けた基材上に粘着剤が残存すること(糊残り)を防止することができる。
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体からなるものであり、上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、又は、これらの共重合体を挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖状アルキルが好ましい。
上記ポリエステル樹脂シート、積層シートは、化粧シートとして好適に用いることができる。
図1は、表面保護層1、印刷層2、基材層3、粘着剤層4及び離型層5をこの順に積層されてなる積層シートの概略図である。上記積層シートは、例えば、上記表面保護層1及び上記基材層3が上述した樹脂組成物を成形することにより得られるものであるため、優れた3次曲面への成形性、印刷した際のインク密着性、粘着適性、カレンダー加工性を有するものである。また、表面保護層1、基材層3は、カレンダー加工により良好に製造することができる。
下記材料を表1に示したように配合し、10インチ逆L型カレンダーを用いて0.08mmのフィルムを製造した。なお、カレンダーロールの温度は、175℃で、エンボスロールの温度は、40℃である。
(1)ポリエステル樹脂1(イーストマンケミカル社製「TSUNAMI GS−2」)
(2)ポリエステル樹脂2(三菱レイヨン社製「ダイヤナイト DN−149」、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/ポリオキシテトラメチレングリコール、MFR24g/10min(23℃/2.16kg))
(3)滑剤(大協化成工業社製「RX−PO−11〔エステル系(モンタン酸系)、ポリエチレン系(低分子量)ワックス複合体〕」
(4)プレートアウト防止剤a:トクヤマ社製「ファインシールB」、超微粉湿式シリカ
(5)プレートアウト防止剤b:トクヤマ社製「ファインシールX−80」、超微粉湿式シリカ
(6)プレートアウト防止剤c:勝田化工社製「LS−5」、アクリル系オリゴマー
(カレンダー加工性)
上記で得られたフィルム(シート)について、カレンダー加工性を下記の基準により評価した。結果を表1に示す。
プレートアウト(1):カレンダーロールへのプレートアウトが発生しなかった場合が○、発生した場合が×。
プレートアウト(2):エンボスロールのプレートアウトが発生しなかった場合が○、発生した場合が×。
フィルム裏面に粘着剤を塗工することによって粘着加工を行った後、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)使用基材;MDF(高さ50mm、縦・横各200mm、角部10R)
(2)施工方法;フィルムをドライヤーで加熱しながら、スキージーを押し当て、MDFに貼り合わせる。(MDFの裏面に巻き込んだ部物のフィルム端部はシールテープで止める)
(3)判定方法
○;適正に基材形状にフィルムが沿って成形され、外観(意匠)が損なうことなく、貼り付けることができた。
×;R部で伸びが不足し、シワが入った、又は、フィルムの腰が弱いため伸びが大きくなり、プリント柄が伸びたり、隠蔽性が低くなった。
得られたフィルムに対して、2液硬化型のウレタン樹脂を主成分とする着色インキで木目柄のプリントを行ったフィルムを60℃のギアオーブンに7日間放置した後、市販の粘着テープを貼付した後、剥離することにより評価した。
○;インキがフィルム側に完全に残った。
×;インキが粘着テープに取られた。
2 印刷層
3 基材層
4 粘着剤層
5 離型層
Claims (6)
- テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種を80〜100モル%含むジカルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオールを80〜100モル%含むジオール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂(a)、
テレフタル酸50〜95モル%とイソフタル酸5〜50モル%とを含むジカルボン酸成分、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び、ポリオキシテトラメチレングリコールを構成成分とするポリエステル樹脂(b)、
滑剤(c)、並びに、プレートアウト防止剤(d)としてシリカ及びアクリル系オリゴマーを含有し、
前記ポリエステル樹脂(a)及び前記ポリエステル樹脂(b)の混合比〔(a)/(b)〕は、質量基準で2/98〜45/55である樹脂組成物を成形することにより得られることを特徴とするポリエステル樹脂シート。 - シリカとアクリル系オリゴマーとの配合比は、固形分質量で1/1〜10/1である請求項1記載のポリエステル樹脂シート。
- プレートアウト防止剤(d)の総含有量は、ポリエステル樹脂(a)及びポリエステル樹脂(b)の合計樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜3.0質量部である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂シート。
- ポリオキシテトラメチレングリコールの含有量は、ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分100質量%中、0.1〜40質量%である請求項1、2又は3記載のポリエステル樹脂シート。
- 樹脂組成物は、着色剤を含有するものである請求項1、2、3又は4記載のポリエステル樹脂シート。
- カレンダー加工により得られるものである請求項1、2、3、4又は5記載のポリエステル樹脂シート。
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