JP2006231542A - 帯電防止性積層シート及びその成形品 - Google Patents

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陽一 上野
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毅 森田
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Abstract

【課題】 電子部品等の被包装物を汚染する摩耗粉の発生が極めて少なく、耐衝撃性及び剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性や導電追随性が良好であると共に、帯電防止性の持続力に優れた帯電防止性積層シートと、この帯電防止性積層シートを成形してなる成形品を提供する。
【解決手段】 ゴム状重合体にスチレン系単量体をグラフトさせたゴム変性スチレン系樹脂(a1)を主成分とし、ポリオレフィン(a2)とポリエーテル系帯電防止剤(a3)及びスチレン系エラストマー(a4)とを含有する表面層(A)が、ゴム変性スチレン系樹脂からなる基材層(B)の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする帯電防止性積層シート、及び前記帯電防止性積層シートを成形して得られるものであることを特徴とする成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、湿度による影響が少なく、持続性に優れる帯電防止性を有し、かつ耐摩耗性や耐衝撃性、機械的強度、剛性、寸法安定性等に優れ、電子部品包装材料に好適な帯電防止性積層シートとその成形品に関する。
スチレン系樹脂は、安価で二次加工性に優れる点から食品包装を始めとして広範な分野で使用されているが、表面抵抗が高く容易に帯電するため、埃等が付着して外観を損ねたり、特に電子部品包材用途においては静電気障害を招く等の欠点を有している。このため、従来よりこれらスチレン系樹脂に対して界面活性剤、カーボンブラック等を練り込む方法や、導電性塗料を塗工する方法が取られてきた。
しかしながら、界面活性剤は帯電防止性能の持続性に劣り、水洗や摩擦により性能低下を引き起こすという欠点を有する。一方、カーボンブラックの練り込みではカーボン脱離による電子部品の汚染が、また導電性塗料の塗工では成形時にシート表面の塗膜が延伸され導電性能が大幅に低下するといった欠点を有している。
そこで、電子部品汚染や成形時の性能低下を引き起こすことなく、持続的な帯電防止性能を付与する方法として、例えばスチレン系樹脂にポリエーテルエステル系帯電防止剤を配合した樹脂層を積層したシートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような手法は、持続的な帯電防止性能の付与には効果的であるが、スチレン系樹脂は耐摩耗性に劣るため、例えば電子部品がトレー上で振動した場合、ベースとなるスチレン系樹脂自体が削られることで摩耗粉が発生し、電子部品の汚染源となる。
一方、プロピレン系樹脂シートは、表面に弾性回復力があり、耐摩耗性も高いことから、摩耗粉の発生による電子部品の汚染は極めて少ない。しかし、加熱収縮が大きく寸法安定性に劣ると共に、剛性も低く、例えばロボットによる自動搬送用トレー等には適さない等の欠点を有している。
このようなプロピレン系樹脂の欠点を抑制するため、スチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂から選択された少なくとも1つの樹脂で構成された基材層に、オレフィン系樹脂に高分子型帯電防止剤を配合した表層を積層したシートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、剛性を上げるため基材層にスチレン系樹脂を用いると、オレフィン系樹脂からなる表層との層間接着性の低下を招く。また、基材層にオレフィン系樹脂が配合された場合は、積層シートの剛性及び寸法安定性が低下するという欠点を有する。
また、目的は異なるが類似の効果が期待できる組成物として、スチレン系樹脂にポリエーテルエステルアミド及びポリオレフィンを配合した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、組成物中のオレフィン系樹脂の使用比率が高いことから、やはりその剛性及び寸法安定性が充分でない。
特開2001−88251号公報 特開2004−90609号公報 特開平5−78535号公報
本発明が解決しようとする課題は、電子部品等の被包装物を汚染する摩耗粉の発生が極めて少なく、耐衝撃性及び剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性や導電追随性が良好であると共に、帯電防止性の持続力に優れた帯電防止性積層シートと、この帯電防止性積層シートを成形してなる成形品を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、ゴム変性スチレン系樹脂を主成分とし、ポリオレフィン、ポリエーテル系帯電防止剤とで構成された表面層を、ゴム変性スチレン系樹脂からなる基材層の少なくとも片側の表面に積層することにより、電子部品等の被包装物を汚染する摩耗粉の発生が極めて少なく、耐衝撃性及び剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性や導電追随性が良好であると共に、帯電防止性の持続力に優れた帯電防止性積層シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ゴム状重合体にスチレン系単量体をグラフトさせたゴム変性スチレン系樹脂(a1)を主成分とし、ポリオレフィン(a2)とポリエーテル系帯電防止剤(a3)とを含有する表面層(A)が、ゴム変性スチレン系樹脂からなる基材層(B)の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする帯電防止性積層シート、及び前記帯電防止性積層シートを成形して得られるものであることを特徴とする成形品を提供するものである。
本発明の帯電防止性積層シートは、耐衝撃性、剛性に優れ、二次成形が容易で、成形後の寸法安定性や導電追随性も良好で耐摩耗性を有するもので、特に電子部品等の包装用物品として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明における帯電防止性積層シートの表面層(A)は、ゴム変性スチレン系樹脂(a1)を主成分とし、ポリオレフィン(a2)、ポリエーテル系帯電防止剤(a3)から形成される。ここで用いられるゴム変性スチレン系樹脂(a1)は、ゴム状重合体にスチレン系単量体をグラフトさせたものである。具体的な例としてはHIPS(耐衝撃ポリスチレン)等が挙げられ、組成や配合比の異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)を構成するスチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブロムスチレン、クロロスチレン等が挙げられ、2種以上を組み合わせて用いても良いが、中でもスチレンがゴム状重合体との反応性に優れる点から好ましい。
また、必要によりゴム変性スチレン系樹脂(a1)を構成するスチレン系単量体に共重合可能な他の単量体を用いても良い。共重合可能な他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド等が挙げられる。共重合可能な他の単量体は、一種単独でも、二種以上を併用しても良い。
一方、スチレン系単量体とグラフトさせるゴム状重合体としては、天然ゴム、合成ゴム等が何れも使用でき、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の単独ジエン系重合体、あるいは、これら各成分とスチレン系単量体とのブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられるが、中でもブタジエンとスチレン系単量体との共重合体に代表されるジエン系ゴム状重合体が、スチレン系単量体との反応性、相溶性に優れる点で好ましい。
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)のメルトフローレイトは特に限定されないが、押出成膜性に優れることから、0.1〜15g/min(200℃、49.0N)であることが好ましい。
一方、本発明で用いるポリオレフィンは、特に限定されるものではないが、具体的には、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体等が挙げられる。さらに具体的には、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン系化合物共重合体等が挙げられる。これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いても良い。これらの中でも、押出成膜性が良好で耐摩耗性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体やプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とすることが好ましい。また、耐寒性を要する場合、プロピレン系重合体に低密度ポリエチレンを混合することが好ましい。
ポリオレフィン(a2)のメルトフローレイトは、特に限定されないが、押出成膜性に優れることから0.1〜15g/min(230℃、21.2N)であることが好ましく、さらに、外観が良好なシートが得られることから0.1〜10g/minであることがより好ましい。
ポリエーテル系帯電防止剤(a3)としては、特に限定されないが、ポリオレフィン(a2)との相溶性が良好で機械強度に優れ、表面平滑性や帯電防止性能にも優れたシートが得られる点で、ポリオレフィン系ブロックとポリエーテル系ブロックとのブロック共重合体が好ましい。
前記ポリオレフィン系ブロックを構成するオレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらのオレフィンのうちエチレン及びプロピレンから選択された少なくとも1種を含有したポリオレフィンブロックが好ましい。
ポリエーテル系帯電防止剤のポリエーテル系ブロックを構成する単量体としては、アルキレンオキシド等が挙げられ、特にエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のC2−4アルキレンオキシドが好ましい。
前記ポリオレフィン系ブロックとポリエーテル系ブロックとの間は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合等を介して結合されている。これらの結合は、例えば、ポリオレフィンを変性剤で変性して活性水素原子を導入した後、アルキレンオキシド等の親水性単量体を付加重合することによって導入できる。このような変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物、ラクタム、アミノカルボン酸、酸素、オゾン、ヒドロキシルアミン、ジアミン等が挙げられる。
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)、ポリオレフィン(a2)、ポリエーテル系帯電防止剤(a3)混合時の強度低下等を防止するために、表面層(A)にはスチレン系エラストマー(a4)を添加するのが好ましい。スチレン系エラストマー(a4)としては、スチレン系単量体とジエン系単量体とのブロック共重合体やその水素添加物、またはスチレンとオレフィンとのブロック共重合体が挙げられる。特に水添スチレンブタジエンブロック共重合体(SEBS)、水添スチレンイソプレンブロック共重合体(SEPS)等が機械物性の改良効果に優れる点で好ましく用いられる。また、これらのスチレン系エラストマーは、スチレンブロックの一部又は全部がメチルスチレンの様なスチレン誘導体であっても良いし、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基やそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する変性スチレン系エラストマーであっても良い。
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)、ポリオレフィン(a2)、ポリエーテル系帯電防止剤(a3)、スチレン系エラストマー(a4)に加えて、表面層(A)にはさらに変性スチレン系共重合体(a5)を添加するのが好ましい。変性スチレン系共重合体(a5)としては、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基またはその誘導体から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するスチレン系重合体が好ましく、特にカルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基変性スチレン系重合体が、帯電防止剤の分散を促進し、表面抵抗率等の電気特性や機械物性に優れる点で好ましく用いられる。ここで用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブロムスチレン、クロロスチレン等が挙げられるが、中でもスチレンが、メタクリル酸、無水マレイン酸等との反応性に優れる点で好ましい。
また、表面層を構成する樹脂としては、相溶性を妨げない範囲でエチレン系エラストマーや、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基やそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する変性エチレン系エラストマーを配合しても良い。
さらに、帯電防止効果をさらに向上させるため、必要に応じて各種の化合物を添加しても良い。具体的には、リチウム塩類、スルホン酸金属塩類等の塩類が挙げられる。
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)とポリオレフィン(a2)の配合重量比は、基材層(B)に対する層間接着性と耐摩耗性とのバランスに優れる点で(a1)/(a2)=50/50〜90/10が好ましい。
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)及びポリオレフィン(a2)の合計100重量部に対してポリエーテル系帯電防止剤(a3)の配合量は、表面抵抗率と機械物性とのバランスに優れる点で10〜40重量部が好ましい。
スチレン系エラストマー(a4)と変性スチレン系樹脂(a5)とを合計した配合量は、表面層組成物の相溶化効果や機械物性を考慮すると1〜30重量部が好ましい。
基材層(B)を構成するゴム変性スチレン系樹脂(b1)は、表面層(A)の主成分として用いられるゴム変性スチレン系樹脂(a1)と同様、ゴム状重合体にスチレン系単量体をグラフトさせたものである。具体的な例としてはHIPS(耐衝撃ポリスチレン)等が挙げられ、組成や配合比の異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。ゴム変性スチレン系樹脂を構成するスチレン系単量体としては、スチレンがゴム状重合体との反応性に優れる点から好ましく、必要によりスチレン系単量体に共重合可能な他の単量体を1種以上併用しても良い。一方、スチレン系単量体とグラフトさせるゴム状重合体としては、ブタジエンとスチレン系単量体との共重合体に代表されるジエン系ゴム状重合体が、スチレン系単量体との反応性、相溶性に優れる点で好ましい。また、ゴム変性スチレン系樹脂のメルトフローレイトは特に限定されないが、押出成膜性に優れることから、0.1〜15g/min(200℃、49.0N)であることが好ましい。
また、ゴム変性スチレン系樹脂からなる基材層(B)には、成膜時のトリミングで発生するシート両端部の余材や、二次成形し成形品を打ち抜いた残材のスクラップ粉砕品等を添加しても良い。
さらに、積層シートに緩衝性を付与するために、ゴム変性スチレン系樹脂からなる基材層(B)を発泡させ発泡体を形成しても良い。発泡方法としては、例えば発泡剤を用いる方法、反応生成ガスを利用する方法等が挙げられるが、これらのうち発泡剤を用いて押出発泡する方法が好ましい。
本発明においては、必要に応じて任意の添加剤を適宜配合することができる。添加剤の種類は、特に限定されないが、例えば、他の熱可塑性樹脂やエラストマー、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、有機繊維、酸化チタン等の顔料、染料、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアリロアミド等の滑剤、離型剤、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒンダードフェノール系やリン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属ウィスカ、その他の添加剤あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の積層シートの製造方法は、特に制限されるものではなく、各種の方法が利用できる。樹脂は全てドライブレンドで直接成膜を行っても良いし、一部又は全部を予めコンパウンド化した後、成膜しても良い。コンパウンド化の方法は、例えばバンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダー等の溶融混練方法が一般的であるが、これに限定されるものではない。積層シートの成膜は、複数台の押出機を用い、各層をフィードブロックやマルチダイ等の内部で積層した後、Tダイからシート状に押し出す共押出法、表面層を予め単独で成膜し、基材スチレン系樹脂層を押出成膜する際にその表面層を熱ラミネートする方法等が一般的である。積層シートの製造方法は、これらに限定されるものではないが、製造工程が少ないことから共押出法が好ましい。
本発明において積層シートの層構成は、ポリエーテル系帯電防止剤(a3)を含有する表面層(A)が、基材層(B)の少なくとも片方の表面上に積層したものであれば特に限定されないが、帯電防止シートの表裏での帯電防止性能の違いや、成形品の反りを生じさせないためには、基材層(B)の両面に表面層(A)を配置した(A)/(B)/(A)のような対称構成が好ましい。また、必要に応じて、(A)/(B)のように2層構成であっても良いし、機械物性等を低下させない範囲で他の樹脂層を加えた(A)/(B)/(C)/(A)等のように4層以上を積層しても良い。さらに、(A)/(B)/(A′)のように、帯電防止剤(a2)の濃度や種類等の異なる表面層(A)と(A′)とを用いたもの、(A)/(B)/(B′)/(B)/(A)などのように、樹脂組成の異なる基材層(B)と(B′)とを用いたものであっても良い。例えば、シート表裏面の帯電防止効果に差をつけたい場合、(A)/(B)/(A′)型構成とすることで解決できる。
表面層(A)の合計厚みと基材層(B)の合計厚みの比率(A)/(B)は、発現する帯電防止性や積層シートの剛性に優れる点で1/99〜50/50の範囲であることが好ましい。中でも、二次成形後の帯電防止性と機械物性とのバランスに優れるシートが得られることから(A)/(B)が3/97〜40/60の範囲であることがより好ましく、さらに成膜性に優れることから(A)/(B)が5/95〜30/70の範囲であることが特に好ましい。
基材層(B)の両面に表面層(A)を積層する場合、両表面層を各々(A1)層及び(A2)層とすると、帯電防止性能や、二次成形品の寸法安定性に優れるシートが得られることから、(A1)層と(A2)層を同程度の厚みとすることが好ましい。具体的には(A1)層の平均厚み(T1)及び(A2)層の平均厚み(T2)が、下式の範囲であることが好ましい。
(T1+T2)/2×0.8≦T1≦(T1+T2)/2×1.2
(T1+T2)/2×0.8≦T2≦(T1+T2)/2×1.2
シート全体の厚みは特に限定されないが、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の方法で部品包装容器等を成形するには0.1〜5.0mmの厚さが好ましく、さらには0.15〜3.0mmの厚さがより好ましい。
本発明の帯電防止性積層シートは、例えば電子部品包装容器に使用した際の電子部品帯電による静電気障害を防止するために、表面抵抗率が10Ω〜1012Ωであることが好ましい。
本発明の帯電防止性積層シートは、シート状のまま使用できることはもちろん、公知の成形加工方法により二次加工を行うことができる。例えば、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の熱成形により、トレーやキャリアテープ等の電子部品包装容器として好適に用いることができる。成形方法やシート及び成形品の用途はこれに限定されるものではない。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例示によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例における各特性値は次の方法に従って評価した。
1.表面抵抗率
JIS K 6911に準じ、積層シートを23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、アドバンテスト製デジタル超高抵抗計R8340A及びレジスティビティ・チェンバR12704Aを用いて、印加電圧500V、印加時間1分間、測定時間1分間で表面抵抗率を測定した。
2.耐摩耗性
TAKASHOW製振とう器 MINI SHAKER MODEL M−6のテーブル上に、90×35mmの枠を取り付け、枠内に同サイズの積層シート試験片を、重量(W1)を測定した後に取り付けた。76mm長さ×26mm幅×1mm厚さの市販スライドグラスの下面の一端に、ガラスのエッジ角が5°となるようにポリプロピレン板を貼り付けた。補強のため、スライドグラスの上面にスライドグラスと同サイズで厚さ1mmの金属板を貼り付けた。33mm径×29mm高さで200gの鉄製おもりを、金属板上の両端に各々の1個、合計で2個固定した。枠内の積層シート試験片上に、おもりを上にして上記のスライドグラスを乗せ、振とう速度約300往復/分で15分間振動させ、スライドグラスのエッジで積層シート試験片を摩擦した。摩擦終了後の試験片の重量(W2)を測定し、下式により摩耗量(Wr)を求めた。
摩耗量Wr(mg)=W1(mg)−W2(mg)
3.面衝撃強度
撃芯、受け台共に12.7mm径とし、厚み0.5mmの積層シート上に重錘を落下させ、次式の通り50%破壊高さ(H50)を算出する。次いで、以下の式により50%破壊エネルギー(E50)を算出した。
50=H+d[Σ(i・n)/N±1/2]
:高さ水準(i)が0の時の試験高さ(cm)
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hの時を0とし、1つずつ増減する高さ水準
:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片数
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片総数
±1/2:破壊データ使用時は負号、非破壊データ使用時は正号使用
50=m・g・H50
m:重錘の質量(kg)
g:重力の加速度(9.80665m/s
50:50%破壊高さ(m)
4.引張弾性率
(株)東洋精機製作所製ストログラフAPIIを用い、JIS K 7127に準じ、帯電防止性積層シートより切り出した厚さ0.5mmのタイプ5試験片により引張速度1mm/minで引張弾性率を測定した。
5.層間剥離
得られた積層シートの表層(A)と基材層(B)を手で剥離させ、下記の基準に従って評価した。
層間剥離判定基準
○: 剥離しない。もしくは層間に密着性があり表層(A)又は基材層(B)内で凝集剥離する。
×: 層間に密着性が無く容易に層間剥離する。
実施例1〜4及び比較例1〜4
ゴム変性スチレン系樹脂(a1)(b1)としては、以下のものを使用した。
・S(HIPS):大日本インキ化学工業(株)製ハイインパクトポリスチレン「ディックスチレンGH−8300−1」(MFR:3.0g/min)
ポリオレフィン(a2)としては、以下のものを使用した。
・P1:ポリプロピレン(MFR:0.5g/10min)
・P2:プロピレン−エチレンブロック共重合体(MFR:0.5g/10min)
ポリエーテル系帯電防止剤(a3)としては、以下のものを使用した。
・C:三洋化成工業(株)製ポリエーテル−ポリオレフィン系帯電防止剤「ペレスタット230」
スチレン系エラストマー(a4)としては、以下のものを使用した。
・D(SEBS):水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン含量67wt%、MFR2.0g/10min)
変性スチレン系共重合体としては、以下のものを使用した。
・E1(SMAA):スチレン−メタクリル酸共重合体(MFR:2.0g/min)
・E2(SMAH):スチレン−無水マレイン酸共重合体(MFR:0.6g/min)
また、積層シートは、30mm径ノンベント式単軸押出機(L/D=28)、65mm径ノンベント式単軸押出機(L/D=25)、フィードブロック、Tダイ及び引き取り機からなる積層シート製造装置を用い、共押出方式で成膜した。表面層(A)は、第1、2表に示す組成の樹脂と帯電防止剤とをあらかじめ二軸スクリュー押出機にて220℃で溶融混練しコンパウンド化したものを30mm径押出機から、また、基材層(B)は中心層として、第1、2表に示す組成の樹脂を65mm径押出機から、それぞれ溶融混練しながら第1、2表に示す層構成で押し出し、フィードブロック内で積層し、リップ開度1.2mmのTダイにより、厚さ0.5mmで(A)/(B)/(A)の2種3層構成の帯電防止性積層シートを成膜した。押出機のシリンダー先端の設定温度は、30mm径押出機:230℃、65mm径押出機:220℃とし、フィードブロック及びTダイは230℃とした。得られた帯電防止性積層シートの性能を、前記した方法に従って評価し、実施例及び比較例の結果を表1、2に示す。
Figure 2006231542
Figure 2006231542

Claims (12)

  1. ゴム状重合体にスチレン系単量体をグラフトさせたゴム変性スチレン系樹脂(a1)を主成分とし、ポリオレフィン(a2)とポリエーテル系帯電防止剤(a3)及びスチレン系エラストマー(a4)とを含有する表面層(A)が、ゴム変性スチレン系樹脂(b1)からなる基材層(B)の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする帯電防止性積層シート。
  2. 表面層(A)を形成する組成物中に、さらに変性スチレン系樹脂(a5)を含有する請求項1に記載した帯電防止性積層シート。
  3. ゴム状重合体にスチレン系単量体をグラフトさせたゴム変性スチレン系樹脂(a1)とポリオレフィン(a2)の重量比が(a1)/(a2)=50/50〜90/10であり、かつ(a1)及び(a2)の合計100重量部に対してポリエーテル系帯電防止剤(a3)の配合量が10〜40重量部、スチレン系エラストマー(a4)及び変性スチレン系樹脂(a5)の合計配合量が1〜30重量部である請求項1又は2に記載した帯電防止性積層シート。
  4. 前記ポリオレフィン(a2)がプロピレン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
  5. 前記ポリエーテル系帯電防止剤(a3)がポリオレフィン系ブロックとポリエーテル系ブロックとのコポリマー型帯電防止剤である請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
  6. 前記スチレン系エラストマー(a4)が、スチレン系単量体とジエン系単量体とのブロック共重合体やその水素添加物、あるいはスチレン−オレフィンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
  7. 前記変性スチレン系樹脂(a5)が、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはその誘導体から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するスチレン系重合体であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
  8. 表面抵抗率が10Ω〜1012Ωである請求項1〜7のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
  9. 表面層(A)が基材層(B)の両表面上に積層されている請求項1〜8記載のいずれかに記載の帯電防止性積層シート。
  10. 表面層(A)の合計厚みと基材層(B)の厚みとの比率(A)/(B)が1/99〜50/50である請求項1〜9の何れか1つに記載の帯電防止性積層シート。
  11. 基材層(B)が発泡層である請求項1〜10の何れかに記載の帯電防止性積層シート。
  12. 請求項1〜10の何れか1つに記載の帯電防止性積層シートを成形して得られるものであることを特徴とする成形品。














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