JP2004001406A - 帯電防止シート及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品等の被包装物を汚染する摩耗粉の発生が極めて少なく、剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性が良好な、耐摩耗性の帯電防止シートと、帯電防止シートを成形してなる成形品を提供すること。
【解決手段】プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として含有する表面層(A)が、プロピレン系樹脂(b1)とスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)とを必須成分として含有する基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層されている帯電防止シート、及び、この帯電防止シートを成形してなる成形品。
【選択図】 なし。
【解決手段】プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として含有する表面層(A)が、プロピレン系樹脂(b1)とスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)とを必須成分として含有する基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層されている帯電防止シート、及び、この帯電防止シートを成形してなる成形品。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系重合体と帯電防止剤を必須成分として含有する表面層が、プロピレン系樹脂と、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体と、ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体とを必須成分として含有する基材層の少なくとも一方の表面上に積層された、電子部品包装用トレー等に好適な帯電防止性シートと、このシートを成形してなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品包装用プラスチックシートは、被包装物である電子部品を静電気破壊や埃付着から保護するため、帯電防止性を付与している。例えば、スチレン系樹脂からなる基材シートの表面に、ポリエーテルエステル系帯電防止剤を含有するスチレン系樹脂を積層したシートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなスチレン系帯電防止性シートは、成形加工性、寸法安定性、剛性に優れ、真空成形等により電子部品包装用トレー等に二次成形して使用されるが、耐摩耗性に劣るため、例えば電子部品がトレー上で振動した場合、ベースとなるスチレン系樹脂自体が削られることで摩耗粉が発生し、電子部品の汚染源となる。
【0004】
一方、プロピレン系樹脂シートは、表面に弾性回復力があり、耐摩耗性高いことから、摩耗粉の発生による電子部品の汚染は極めて少ない。しかし、成形収縮が大きく寸法安定性に劣ると共に、剛性も低く、例えばロボットによる自動搬送用トレー等には適さない。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−088251公報(第2−10頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、電子部品等の被包装物を汚染する摩耗粉の発生が極めて少なく、剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性が良好な耐摩耗性の帯電防止シートと、この帯電防止シートを成形してなる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、剛性や寸法安定性に優れ、二次成形が容易で、耐摩耗性の帯電防止シートを開発すべく鋭意検討した結果、プロピレン系重合体と帯電防止剤を必須成分として含有する表面層が、プロピレン系樹脂と、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体と、ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体とを必須成分として含有する基材層の少なくとも一方の表面上に積層されている帯電防止シートは、表面層がプロピレン系重合体を含有することから耐摩耗性が高く、基材層がゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体を含有することから剛性や寸法安定性に優れ、二次成形も容易であること、また、この基材層は、プロピレン系樹脂を含有することから表面層との接着性が良好で、しかも、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体を含有することからゴム質変性スチレン系共重合体とプロピレン系樹脂が相溶して耐衝撃強度等の低下が防止されていること、この帯電防止シートを成形してなる成形品は、剛性や寸法安定性に優れるため、自動搬送用トレー等の用途に好適に使用できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として含有する表面層(A)が、プロピレン系樹脂(b1)とスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)とを必須成分として含有する基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層されていることを特徴とする帯電防止シートを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記帯電防止シートを成形してなるものであることを特徴とする成形品を提供するものでもある。
【0010】
以下、この発明を詳細に説明する。
表面層(A)は、プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として形成される。この表面層(A)に用いるプロピレン系重合体(a1)は、特に限定されるものではないが、具体的には、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体等が挙げられる。さらに具体的には、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン系化合物共重合体等が挙げられる。これらを単独又は2種類以上組み合わせてもちいても良い。これらの中でも、押出成膜性が良好で耐摩耗性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体やプロピレン−エチレンランダム共重合体を主成分とすることが好ましく、さらに二次成形性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体の混合物がより好ましい。また、耐寒性を要する場合、プロピレン系重合体(a1)に低密度ポリエチレンを混合することが好ましい。プロピレン系重合体(a1)に、他の樹脂やエラストマーを混合して用いても良い。
【0011】
プロピレン系重合体(a1)のメルトフローレイトは、特に限定されないが、押出成膜性に優れることから0.1〜15g/min(230℃、21.18N)であることが好ましく、さらに基材層(B)との積層性に優れ、外観が良好なシートが得られることから0.1〜10g/minであることがより好ましい。
【0012】
本発明の帯電防止シートの表面層(A)に、弾性回復力があり耐摩耗性高いプロピレン系重合体(a1)を使用することで、被包装物である電子部品等との摩擦による摩耗粉の発生が極めて少ないシートとすることができ、被包装物の汚染を防止できる。
【0013】
表面層(A)に含有される帯電防止剤(a2)は、特に限定されないが、なかでもシート表面への帯電防止剤の過剰なブリードアウトによる被包装物の汚染が防止できることから、重合体型帯電防止剤が好ましく、具体的には、ポリエーテルエステル系重合体型帯電防止剤、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン系重合体型帯電防止剤等のノニオン系重合体型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸系重合体型帯電防止剤等のアニオン系重合体型帯電防止剤、ポリアクリルエステル系重合体型帯電防止剤等のカチオン系重合体型帯電防止剤、ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤等のポリオレフィンと親水性ポリマーのブロックポリマーからなる帯電防止剤などが挙げられる。これら帯電防止剤(a2)の中では、帯電防止性能に優れ、耐衝撃強度の低下のないシートが得られる点で、ポリエーテルエステル系重合体型帯電防止剤が好ましく、ポリエーテルエステルアミド系重合体型帯電防止剤が特に好ましい。また、プロピレン系重合体との相溶性が良好で表面平滑性と耐摩耗性に優れるシートが得られる点で、ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤が特に好ましい。
【0014】
また、表面層(A)には、前記重合体型帯電防止剤と共に、その分散剤を添加しても良い。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、分子鎖内にプロピレン系重合体(a1)と相溶性のある非極性ユニットと、重合体型帯電防止剤と相溶性のある極性ユニットを有する共重合体等が挙げられ、具体的には、酸変性オレフィン系樹脂等がある。酸変性オレフィン系樹脂の酸成分は特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基を含有するビニル系単量体等が挙げられる。
【0015】
さらに、表面層(A)には、帯電防止効果をさらに向上させるため、必要に応じて各種の化合物を添加しても良い。具体的には、リチウム塩類、スルホン酸金属塩類等の塩類が挙げられる。
【0016】
本発明の帯電防止シートの表面層(A)に、上記のような帯電防止剤(a2)を使用することで表面帯電防止性を付与でき、被包装物である電子部品等を静電気破壊や埃付着から保護できる。耐摩耗性の高いプロピレン系重合体(a1)と共に帯電防止剤(a2)を表面層(A)に用いることで、帯電防止性を有する、非汚染性のシート表面を形成できる。
【0017】
表面層(A)において、プロピレン系樹脂(a1)と帯電防止剤(a2)の配合重量比(a1)/(a2)は、通常95/5〜50/50の範囲であり、なかでも、成膜性が良好で帯電防止効果の安定性に優れるシートが得られることから95/5〜55/45の範囲が好ましく、さらに二次成形後も良好な帯電防止効果を維持でき、剛性に優れることから90/10〜60/40の範囲が特に好ましい。
【0018】
次に、基材層(B)で用いるプロピレン系重合体(b1)としては、特に制限されるものではないが、具体的には、前記表面層(A)で用いるプロピレン系重合体(a1)と同様のプロピレン重合体がいずれも挙げられる。なかでも、表面層(A)との積層性に優れることから、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等を主成分とすることが好ましく、さらに剛性や成形性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体の混合物がより好ましい。また、耐寒性を要する場合、プロピレン系重合体(b1)に低密度ポリエチレンを混合することが好ましい。さらに、基材層(B)では、プロピレン系重合体(b1)に他の樹脂やエラストマーを混合して用いても良い。
【0019】
プロピレン系重合体(b1)のメルトフローレイトは、特に限定されないが、押出成膜性が良好なことら0.1〜15g/min(230℃、21.18N)であることが好ましく、さらに表面層(B)との積層性に優れることから0.1〜10g/minであることがより好ましい。
【0020】
本発明の帯電防止シートの基材層(B)に、プロピレン系重合体(b1)を含有させることで、プロピレン系重合体(a1)と主体とする表面層(A)と基材層(B)の接着性が向上し、表面層(A)との剥離のない帯電防止シートとすることができる。
【0021】
基材層(B)に用いるスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)は、ジブロック型(X−Y型)でも、トリブロック型(X−Y−X型、X−Y−Z型)でも良い。ジブロック型としては、例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体等が挙げられる。トリブロック型(X−Y−X型)としては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、その水素添加物(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、その水素添加物(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、SEPS)等が挙げられる。また、トリブロック型(X−Y−Z型)としては、例えばスチレン−エチレン−ブチレン−結晶化エチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0022】
前記ブロック共重合体(b2)は、上記の例に限定されるものではなく、例えば上記スチレンブロックの一部又は全部がメチルスチレンの様なスチレン誘導体であっても良い。
【0023】
これらブロック共重合体(b2)の中でも、熱安定性や機械的強度等に優れるシートが得られることから、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)が好ましい。スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)はハードセグメントである両末端のスチレン系重合体ブロックと、中間のソフトセグメントであるポリオレフィン(エチレン/ブチレン)からなり、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のポリブタジエンに水素添加して得られる。また、両末端のスチレンブロックは、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルキシレン及びそれらの混合物等からなるものであっても良い。本発明に使用されるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)は、商業的に入手可能である。
【0024】
更にブロック共重合体(b2)としては、トルエン溶液粘度によるポリスチレン換算の重量平均分子量が150,000〜400,000であると、プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)のブレンドにおける押出シートの強度面における異方性が改良されることから、好ましい。
【0025】
積層シートの基材層に用いる、オレフィン系重合体(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)は一般に相溶しないため、混合物の耐衝撃強度等が著しく低下するが、前記のようなスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)を相溶化剤として、これらと複合することで、該プロピレン系重合体(b1)と該グラフト共重合体(b3)の相溶性が向上し、基材層(B)の耐衝撃強度等の低下を防止できる。
【0026】
基材層(B)に用いるゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)は、特に限定されないが、例えば、ゴム質重合体に存在下に、一種以上のスチレン系単量体と、更に必要によりスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体とをグラフト共重合してなる共重合体などが挙げられる。
【0027】
ここで用いるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン等のα−置換スチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン等の核置換スチレンなどのスチレン誘導体が挙げられ、なかでもスチレンが好ましい。これらスチレン系単量体は、単独又は二種以上の組み合わせでも良い。
【0028】
更に、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル;メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;ビニルナフタレン、ブロモスチレン等の芳香族モノビニル化合物、無水マレイン酸、フェニルマレイミド等が挙げられる。これらスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体は、一種単独でも、二種以上との併用でも良い。
【0029】
一方、該グラフト共重合体(b3)に用いるゴム質重合体としては、天然ゴム、共役ジエンゴム類より誘導される合成ゴム等が何れも使用でき、例えば、天然クレープゴム、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合型ゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合型ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソプレン−イソブチレン共重合型ゴム、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン共重合型ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン単量体型ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合型ゴム、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合型ゴム等が挙げられる。
【0030】
該グラフト共重合体(b3)の具体例としては、ポリブタジエングラフトスチレン共重合体(HIPS樹脂)、ポリブタジエングラフトスチレン−メチルメタクリレート共重合体(MBS樹脂)、ポリブタジエングラフトスチレン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)、ポリブタジエングラフトスチレン−メタクリル酸共重合体(HISMAA樹脂)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、耐衝撃強度及び剛性などに優れるシートが得られることから、HIPS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂が好ましい。これらの樹脂の2種類以上を混合して用いても良い。また、これらグラフト共重合体(b3)に、他の樹脂やエラストマーを混合して用いても良い。
【0031】
本発明では、前記グラフト共重合体(b3)に加え、ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)を併用することができる。ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)としては、例えば、一種以上のスチレン系単量体と、更に必要によりスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体とを共重合してなる共重合体などが挙げられる。
【0032】
前記ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)で用いるスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、いずれも、前記グラフト共重合体(b3)で例示したスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体が、いずれも使用できる。
【0033】
前記ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(SMAA樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)に代表される(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0034】
帯電防止シートの基材層(B)に、ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)を使用することで、プロピレン系樹脂(b1)を単独で使用した場合に比べて、シートの剛性、二次成形品の寸法安定性等を向上させることができる。
【0035】
本発明の基材層(B)において、プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の重量比(b1)/(b3)が、5/95〜95/5の範囲であることが好ましい。該グラフト共重合体(b3)が5重量%以上の範囲では成形加工性や剛性が向上し、95重量%以下の範囲では表面層(A)との接着性が向上する。この中でもさらに、二次成形品等の寸法安定性が向上することから、該重量比(b1)/(b3)が10/90〜60/40の範囲がより好ましく、(b1)/(b3)=15/85〜40/60の範囲であることが特に好ましい。また、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)については、プロピレン系樹脂(b1)と該グラフト共重合体(b3)の合計100重量部に対して、該ブロック共重合体(b2)が1〜40重量部であることが好ましい。該ブロック共重合体(b2)を1重量部以上添加することで該プロピレン系樹脂(b1)と該グラフト共重合体(b3)の相溶性が向上し、該ブロック共重合体(b2)が40重量部以下において、剛性が良好なものとなる。この中でもさらに、相溶性と剛性を満足し、かつ機械的強度と耐熱性に優れるシートが得られることから、該ブロック共重合体(b2)が3〜35重量部の範囲であることがより好ましく、5〜30重量部の範囲であることが特に好ましい。
【0036】
本発明において、表面層(A)及び基材層(B)には、必要に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、特に限定されないが、例えば、各種の樹脂やゴム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、有機繊維、酸化チタン等の顔料、染料、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒンダードフェノール系やリン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属ウィスカ、その他の添加剤あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、基材層(B)には、成膜時のトリミングで発生するシート両端部の余材や、二次成形し成形品を打ち抜いた残材のスクラップ粉砕品等を添加しても良い。
【0037】
基材層(B)があることにより、本発明の帯電防止シートは良好な剛性と寸法安定性を有し、被包装物を保護できるが、さらに基材層(B)を発泡させた場合、外部からの衝撃等に対する緩衝性が向上し、被包装物の保護効果が一段と向上する。
【0038】
基材層(B)を発泡させる場合の発泡倍率は、1.1〜6.0倍が好ましい。発泡倍率が1.1倍以上で有効な緩衝性が得られ、6.0倍以下で外観が良好となる。この中でさらに、二次成形加工性に優れるシートが得られることから1.2〜3.0倍がより好ましい。
【0039】
基材層(B)の発泡方法としては、常温で固体であり分解温度以上に加熱されると窒素、炭酸ガス、アンモニア等のガスを発生する発泡剤を、予め基材層(B)を構成する樹脂組成物に混入し、押出時に発泡させる方法が好ましい。
【0040】
発泡剤としては、化学系発泡剤が好適で、無機系反応型発泡剤では炭酸水素ナトリウムとクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸、フタル酸、ラウリン酸、安息香酸、ホウ酸、サリチル酸、リン酸等の有機酸との混合物、過酸化水素とイースト菌の混合物、アルミニウム粉末と前述有機酸の混合物等が、無機系熱分解型発泡剤では炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、ドロマイト等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸マグネシウム等の亜硝酸塩、水素化ホウ酸ナトリウム等の水素化物等が、有機系反応型発泡剤ではトリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物が、有機系熱分解型発泡剤ではアゾジカルボンアミド、アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジン等のアゾ、ジアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P′−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジド等のヒドラジン誘導体、N、N′−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N、N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソ・テレフタルアミド等のニトロソ化合物、P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルフォニールセミカルバジド等のセミカルバジド化合物の他アジ化合物やトリアゾール化合物等が、それぞれ挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
また、用途目的によっては、窒素、空気等の無機系物理発泡剤、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンの各種フロンガス、メチレンクロライド、各種アルコール等の有機系物理発泡剤を用いてもよい。これら発泡剤は単独或いは、適宜2種類以上を組み合わせてもよい。
【0042】
発泡剤の混入量は、発泡倍率、選定した発泡剤の種類、発生ガス量により適宜きめれば良い。例えば、化学系発泡剤を用いる場合には、基材層(B)中のプロピレン系重合体(b1)100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、この中でさらに0.1〜5重量部がより好ましい。0.1重量部以上で有効な発泡倍率が得られる。10重量部以下でミクロ分散した微細なセルとなり、外観の良好なシートが得られる。
【0043】
基材層(B)において、プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の重量比は、前記したように、(b1)/(b3)=5/95〜95/5の範囲であることが好ましいが、基材層(B)を発泡層とする場合、この中でもさらに、均一に発泡したシートが得られることから(b1)/(b3)=30/70〜95/5の範囲であることが好ましく、化学系発泡剤を用いる場合には、(b1)/(b3)=50/50〜95/5の範囲であることがより好ましい。
【0044】
本発明の帯電防止シートの製造方法は、特に制限されるものではなく、各種の方法が利用できる。各層の樹脂は全てドライブレンドで直接成膜を行っても良いし、一部又は全部を予めコンパウンド化した後、成膜しても良い。コンパウンド化の方法は、例えばバンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダー等の溶融混練方法が一般的であるが、これに限定されるものではない。シートの積層の方法は、複数台の押出機を用い、各層をフィードブロックやマルチダイ等の内部で積層した後、ダイからシート状に押し出す共押出法、表面層を予め単独で成膜し、基材層を押出成膜する際にその表面層を熱ラミネートする方法等が一般的である。シートの製造方法は、これらに限定されるものではないが、製造工程が少ないことから共押出法が好ましい。
【0045】
本発明の帯電防止シートの層構成は、帯電防止剤(a2)を含有する表面層(A)が、基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層したものであれば特に限定されないが、帯電防止シートの表裏での帯電防止性能の違いや、成形品の反りを生じさせないためには、基材層(B)の両面に表面層(A)を配置した(A)/(B)/(A)のような対称構成が好ましい。また、必要に応じて、(A)/(B)のように2層構成であっても良いし、(A)/(B)/(A)/(B)等のように4層以上を積層しても良い。さらに、(A)/(B)/(A′)のように、帯電防止剤(a2)の濃度や種類等の異なる表面層(A)と(A′)とを用いたもの、(A)/(B)/(B′)/(B)/(A)などのように、樹脂組成の異なる基材層(B)と(B′)とを用いたものであっても良い。例えば、シート表裏面の帯電防止効果に差をつけたい場合、(A)/(B)/(A′)型構成とすることで解決できる。
【0046】
表面層(A)の合計厚みと基材層(B)の合計厚みの比率(A)/(B)は、0.5/99.5〜60/40の範囲であることが好ましい。表面層(A)の合計厚みの比率が0.5%以上では帯電防止性が良好となり、50%以下では剛性が良好となる。この中でもさらに、二次成形後の帯電防止性に優れるシートが得られることから(A)/(B)が1/99〜50/50の範囲であることがより好ましく、さらに成膜性に優れることから(A)/(B)が5/95〜40/60の範囲であることが特に好ましい。
【0047】
基材層(B)の両面に表面層(A)を積層する場合、両表面層を各々(A1)層及び(A2)層とすると、帯電防止性能や、二次成形品の寸法安定性に優れるシートが得られることから、(A1)層と(A2)層を同程度の厚みとすることが好ましい。具体的には(A1)層の平均厚み(T1)及び(A2)層の平均厚み(T2)が、下式の範囲であることが好ましい。
(T1+T2)/2×0.8≦T1≦(T1+T2)/2×1.2
(T1+T2)/2×0.8≦T2≦(T1+T2)/2×1.2
【0048】
シート全体の厚みは特に限定されないが、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の方法で部品包装容器等を成形するには0.1〜5.0mmの厚さが好ましく、さらに0.15〜3.0mmの厚さがより好ましい。
【0049】
本発明の帯電防止シートは、シート状のまま使用できることはもちろん、公知の成形加工方法により二次加工を行うことができる。例えば、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の熱成形により、トレーやキャリアテープとして、電子部品包装容器として用いることができる。成形方法やシート及び成形品の用途はこれに限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例示によりなんら限定されるものではない。
【0051】
なお、実施例における各特性値は次の方法に従って評価した。
1.表面抵抗
JIS K−6911に準じ、帯電防止シートを23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、アドバンテスト製デジタル超高抵抗計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702を用いて、印加電圧500V、印可時間1分間、測定時間1分間で表面抵抗値を測定し、下記の基準に従って判定した。表面抵抗判定基準
◎: 表面抵抗値が1×1010未満
○: 表面抵抗値が1×1010以上、1×1012未満
×: 表面抵抗値が1×1012以上
【0052】
2.半減期
JIS L−1094に準じ、帯電防止シートを23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、シシド静電気(株)製スタティックオネストメーターTYPE H−0110及びオネストアナライザー−V1を用いて、印加電圧+10kVで半減期を測定し、下記の基準に従って判定した。
半減期判定基準
◎: 半減期が1秒未満
○: 半減期が1秒以上、10秒未満
×: 半減期が10秒以上
【0053】
3.耐摩耗性
TAKASHOW製振動機 MINI SHAKER MODEL M−6のテーブル上に、90×35mmの枠を取り付け、枠内に同サイズの帯電防止シート試験片を、重量(W1)を測定した後、取り付けた。76×26×1mm厚さの市販スライドグラスの下面の一端に、ガラスのエッジで試験片を摩擦するようにするため10×26×2mm厚さのポリプロピレン板を貼り付けた。補強のため、スライドグラスの上面にスライドグラスと同サイズで厚さ1mmの金属板を貼り付けた。33mm径×29mm高さで200gの鉄製おもりを、金属板上の両端に各々の1個、合計で2個固定した。枠内の帯電防止シート試験片上に、上記のスライドグラスをおもりを上にして乗せ、振動速度378往復/分で30分間振動させ、スライドグラスのエッジで帯電防止シート試験片を摩擦した。摩擦終了後の試験片の重量(W2)を測定し、下式により摩耗量(Wr)を求め、下記の基準に従って判定した。
摩耗量Wr(mg)=W1(mg)−W2(mg)
摩耗量判定基準
◎: 摩耗量Wrが0.3mg未満
○: 摩耗量Wrが0.3以上、0.6mg未満
×: 摩耗量Wrが0.6mg以上
【0054】
4.剛性
JIS K 7127に準じ、帯電防止シートより切り出した1号試験片により引張速度10mm/minで引張弾性率を測定し、下記の基準に従って剛性を判定した。
剛性判定基準
◎: 引張弾性率が1.5MPa以上
○: 引張弾性率が1.1MPa以上、1.5MPa未満
×: 引張弾性率が1.1MPa未満
【0055】
5.寸法安定性
112×112×30mm(深さ)の金型を用い、(株)ハーミス製単発真空成形機FE38PHにより帯電防止シートの成形を行った。成形時のシート温度は、基材層(B)中のプロピレン系重合体(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の合計(b1+b3)に対する該グラフト共重合体(b3)の含有率が70重量%以上であるシートの場合170℃で、(b1+b3)に対する該グラフト共重合体(b3)の含有率が50重量%であるシートの場合190℃で、(b1+b3)に対する該グラフト共重合体(b3)の含有率が30重量%以下であるシートの場合210℃で、それぞれ成形を行った。成形品を23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、金型のフランジ間長さ(L1:102.8mm)に対応する成形品の長さ(L2)をノギスで測定し、下式により成形収縮率(S)を求め、下記の基準に従って判定した。
成形収縮率S=(L1−L2)/(L1)×100%
寸法安定性判定基準
◎: 成形収縮率Sが0.8%未満
○: 成形収縮率Sが0.8%以上、1.0%未満
×: 成形収縮率Sが1.0%以上
【0056】
6.層間剥離
帯電防止シートの表面層(A)と基材層(B)を手で剥離させ、下記の規準に従って評価した。
層間剥離判定基準
○: 剥離しない、もしくは層間に密着性があり表面層(A)又は基材層(B)内で凝集剥離する。
×: 層間に密着性がなく、容易に層間剥離する。
【0057】
7.表面平滑性
JIS K−7105に準じて45度鏡面光沢度を測定し、下記基準に従って表面平滑性を判定した。
表面平滑性判定基準
◎: 光沢度が60以上
○: 光沢度が20以上、60未満
×: 光沢度が20未満
【0058】
実施例1〜16及び比較例1〜3
プロピレン系重合体(a1)及び(b1)としては、以下のものを使用した。・P1:サンアロマー(株)製プロピレン単独重合体「PS201A」(MFR:0.5g/10min)
・P2:サンアロマー(株)製エチレン−プロピレンブロック共重合体「PB170A」(MFR:0.35g/10min)
【0059】
帯電防止剤(a2)としては、以下のものを使用した。
・D1:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤「IRGASTAT P22」
・D2:三洋化成工業(株)製ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤「ペレスタット3170」
・D3:三洋化成工業(株)製ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤「ペレスタット300」
【0060】
スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)としては、以下のものを使用した。
・E1:旭化成工業(株)製スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)「タフテックH1041」(スチレン/ブタジエン重量比=30/70)
【0061】
ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)としては、以下のものを使用した。
・S1:大日本インキ化学工業(株)製HIPS(ハイインパクトポリスチレン)樹脂「ディックスチレンGH−8300−1」
【0062】
ただし、実施例6では、表面層(A)におけるプロピレン系重合体(b1)として(P1)と(P2)を併用した。また、実施例10では、基材層(B)におけるプロピレン系重合体(b1)として(P1)、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)として(E1)、ゴム質変性スチレン系共重合体(b3)として(S1)を使用し、これらを下記配合で二軸押出機によりシリンダー先端の設定温度240℃で混練し、ペレット化して得られた、コンパウンド(C1)を使用した。
コンパウンドC1の配合
(P2)/(S1)=30/70
(P2)+(S1)=100重量部に対して(E1)=10重量部
【0063】
発泡剤としては、下記の(H1)及び(H2)を、炭酸水素ナトリウムの重量比が1:1となるように、これらの重量比H1/H2が2.5/1となるように混合してなる混合物を使用した。この混合物は、基材層(B)用の樹脂成分合計100重量部に対して、1.07重量部となる割合で添加した。
・H1:永和化成(株)製無機系発泡剤「ポリスレンEE207」(ポリエチレンベースの炭酸水素ナトリウム含有率20重量%のマスターバッチ)
・H2:永和化成(株)製無機系発泡剤「EV505K」(エチレン−酢酸ビニル共重合体ベースの炭酸水素ナトリウム含有率50%のマスターバッチ)
【0064】
帯電防止シートは、30mm径ノンベント式単軸押出機(L/D=28)、65mm径ノンベント式単軸押出機(L/D=25)、フィードブロック、Tダイ及び引き取り機からなる積層シート製造装置を用い、共押出方式で成膜した。表面層(A)用として、第1表〜第5表に示す組成の樹脂と耐電防止剤とを30mm径押出機から、また、基材層(B)用として、第1表〜第4表に示す組成の樹脂を65mm径押出機から、それぞれ溶融混練しながら第1表〜第4表に示す層構成で押し出し、フィードブロック内で積層し、リップ開度1.2mmのTダイにより、厚さ1.0mmで(A)/(B)/(A)の二種三層構成の帯電防止シートを成膜した。押出機のシリンダー先端の設定温度は、30mm径押出機:240℃、65mm径押出機:240℃とし、フィードブロック及びTダイは240℃とした。得られた帯電防止シートの性能を、前記した方法に従って評価し、実施例の結果を第1表〜第4表に、また比較例の結果を第5表に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【発明の効果】
本発明の帯電防止シートは、摩耗粉の発生が極めて少なく、剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性が良好であり、トレーやキャリアーテープ等の電子部品などの包装用に適した成形品を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系重合体と帯電防止剤を必須成分として含有する表面層が、プロピレン系樹脂と、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体と、ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体とを必須成分として含有する基材層の少なくとも一方の表面上に積層された、電子部品包装用トレー等に好適な帯電防止性シートと、このシートを成形してなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品包装用プラスチックシートは、被包装物である電子部品を静電気破壊や埃付着から保護するため、帯電防止性を付与している。例えば、スチレン系樹脂からなる基材シートの表面に、ポリエーテルエステル系帯電防止剤を含有するスチレン系樹脂を積層したシートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなスチレン系帯電防止性シートは、成形加工性、寸法安定性、剛性に優れ、真空成形等により電子部品包装用トレー等に二次成形して使用されるが、耐摩耗性に劣るため、例えば電子部品がトレー上で振動した場合、ベースとなるスチレン系樹脂自体が削られることで摩耗粉が発生し、電子部品の汚染源となる。
【0004】
一方、プロピレン系樹脂シートは、表面に弾性回復力があり、耐摩耗性高いことから、摩耗粉の発生による電子部品の汚染は極めて少ない。しかし、成形収縮が大きく寸法安定性に劣ると共に、剛性も低く、例えばロボットによる自動搬送用トレー等には適さない。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−088251公報(第2−10頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、電子部品等の被包装物を汚染する摩耗粉の発生が極めて少なく、剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性が良好な耐摩耗性の帯電防止シートと、この帯電防止シートを成形してなる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、剛性や寸法安定性に優れ、二次成形が容易で、耐摩耗性の帯電防止シートを開発すべく鋭意検討した結果、プロピレン系重合体と帯電防止剤を必須成分として含有する表面層が、プロピレン系樹脂と、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体と、ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体とを必須成分として含有する基材層の少なくとも一方の表面上に積層されている帯電防止シートは、表面層がプロピレン系重合体を含有することから耐摩耗性が高く、基材層がゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体を含有することから剛性や寸法安定性に優れ、二次成形も容易であること、また、この基材層は、プロピレン系樹脂を含有することから表面層との接着性が良好で、しかも、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体を含有することからゴム質変性スチレン系共重合体とプロピレン系樹脂が相溶して耐衝撃強度等の低下が防止されていること、この帯電防止シートを成形してなる成形品は、剛性や寸法安定性に優れるため、自動搬送用トレー等の用途に好適に使用できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として含有する表面層(A)が、プロピレン系樹脂(b1)とスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)とを必須成分として含有する基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層されていることを特徴とする帯電防止シートを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記帯電防止シートを成形してなるものであることを特徴とする成形品を提供するものでもある。
【0010】
以下、この発明を詳細に説明する。
表面層(A)は、プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として形成される。この表面層(A)に用いるプロピレン系重合体(a1)は、特に限定されるものではないが、具体的には、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体等が挙げられる。さらに具体的には、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン系化合物共重合体等が挙げられる。これらを単独又は2種類以上組み合わせてもちいても良い。これらの中でも、押出成膜性が良好で耐摩耗性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体やプロピレン−エチレンランダム共重合体を主成分とすることが好ましく、さらに二次成形性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体の混合物がより好ましい。また、耐寒性を要する場合、プロピレン系重合体(a1)に低密度ポリエチレンを混合することが好ましい。プロピレン系重合体(a1)に、他の樹脂やエラストマーを混合して用いても良い。
【0011】
プロピレン系重合体(a1)のメルトフローレイトは、特に限定されないが、押出成膜性に優れることから0.1〜15g/min(230℃、21.18N)であることが好ましく、さらに基材層(B)との積層性に優れ、外観が良好なシートが得られることから0.1〜10g/minであることがより好ましい。
【0012】
本発明の帯電防止シートの表面層(A)に、弾性回復力があり耐摩耗性高いプロピレン系重合体(a1)を使用することで、被包装物である電子部品等との摩擦による摩耗粉の発生が極めて少ないシートとすることができ、被包装物の汚染を防止できる。
【0013】
表面層(A)に含有される帯電防止剤(a2)は、特に限定されないが、なかでもシート表面への帯電防止剤の過剰なブリードアウトによる被包装物の汚染が防止できることから、重合体型帯電防止剤が好ましく、具体的には、ポリエーテルエステル系重合体型帯電防止剤、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン系重合体型帯電防止剤等のノニオン系重合体型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸系重合体型帯電防止剤等のアニオン系重合体型帯電防止剤、ポリアクリルエステル系重合体型帯電防止剤等のカチオン系重合体型帯電防止剤、ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤等のポリオレフィンと親水性ポリマーのブロックポリマーからなる帯電防止剤などが挙げられる。これら帯電防止剤(a2)の中では、帯電防止性能に優れ、耐衝撃強度の低下のないシートが得られる点で、ポリエーテルエステル系重合体型帯電防止剤が好ましく、ポリエーテルエステルアミド系重合体型帯電防止剤が特に好ましい。また、プロピレン系重合体との相溶性が良好で表面平滑性と耐摩耗性に優れるシートが得られる点で、ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤が特に好ましい。
【0014】
また、表面層(A)には、前記重合体型帯電防止剤と共に、その分散剤を添加しても良い。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、分子鎖内にプロピレン系重合体(a1)と相溶性のある非極性ユニットと、重合体型帯電防止剤と相溶性のある極性ユニットを有する共重合体等が挙げられ、具体的には、酸変性オレフィン系樹脂等がある。酸変性オレフィン系樹脂の酸成分は特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等のカルボキシル基を含有するビニル系単量体等が挙げられる。
【0015】
さらに、表面層(A)には、帯電防止効果をさらに向上させるため、必要に応じて各種の化合物を添加しても良い。具体的には、リチウム塩類、スルホン酸金属塩類等の塩類が挙げられる。
【0016】
本発明の帯電防止シートの表面層(A)に、上記のような帯電防止剤(a2)を使用することで表面帯電防止性を付与でき、被包装物である電子部品等を静電気破壊や埃付着から保護できる。耐摩耗性の高いプロピレン系重合体(a1)と共に帯電防止剤(a2)を表面層(A)に用いることで、帯電防止性を有する、非汚染性のシート表面を形成できる。
【0017】
表面層(A)において、プロピレン系樹脂(a1)と帯電防止剤(a2)の配合重量比(a1)/(a2)は、通常95/5〜50/50の範囲であり、なかでも、成膜性が良好で帯電防止効果の安定性に優れるシートが得られることから95/5〜55/45の範囲が好ましく、さらに二次成形後も良好な帯電防止効果を維持でき、剛性に優れることから90/10〜60/40の範囲が特に好ましい。
【0018】
次に、基材層(B)で用いるプロピレン系重合体(b1)としては、特に制限されるものではないが、具体的には、前記表面層(A)で用いるプロピレン系重合体(a1)と同様のプロピレン重合体がいずれも挙げられる。なかでも、表面層(A)との積層性に優れることから、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等を主成分とすることが好ましく、さらに剛性や成形性に優れるシートが得られることから、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体の混合物がより好ましい。また、耐寒性を要する場合、プロピレン系重合体(b1)に低密度ポリエチレンを混合することが好ましい。さらに、基材層(B)では、プロピレン系重合体(b1)に他の樹脂やエラストマーを混合して用いても良い。
【0019】
プロピレン系重合体(b1)のメルトフローレイトは、特に限定されないが、押出成膜性が良好なことら0.1〜15g/min(230℃、21.18N)であることが好ましく、さらに表面層(B)との積層性に優れることから0.1〜10g/minであることがより好ましい。
【0020】
本発明の帯電防止シートの基材層(B)に、プロピレン系重合体(b1)を含有させることで、プロピレン系重合体(a1)と主体とする表面層(A)と基材層(B)の接着性が向上し、表面層(A)との剥離のない帯電防止シートとすることができる。
【0021】
基材層(B)に用いるスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)は、ジブロック型(X−Y型)でも、トリブロック型(X−Y−X型、X−Y−Z型)でも良い。ジブロック型としては、例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体等が挙げられる。トリブロック型(X−Y−X型)としては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、その水素添加物(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、その水素添加物(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、SEPS)等が挙げられる。また、トリブロック型(X−Y−Z型)としては、例えばスチレン−エチレン−ブチレン−結晶化エチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0022】
前記ブロック共重合体(b2)は、上記の例に限定されるものではなく、例えば上記スチレンブロックの一部又は全部がメチルスチレンの様なスチレン誘導体であっても良い。
【0023】
これらブロック共重合体(b2)の中でも、熱安定性や機械的強度等に優れるシートが得られることから、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)が好ましい。スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)はハードセグメントである両末端のスチレン系重合体ブロックと、中間のソフトセグメントであるポリオレフィン(エチレン/ブチレン)からなり、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のポリブタジエンに水素添加して得られる。また、両末端のスチレンブロックは、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルキシレン及びそれらの混合物等からなるものであっても良い。本発明に使用されるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)は、商業的に入手可能である。
【0024】
更にブロック共重合体(b2)としては、トルエン溶液粘度によるポリスチレン換算の重量平均分子量が150,000〜400,000であると、プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)のブレンドにおける押出シートの強度面における異方性が改良されることから、好ましい。
【0025】
積層シートの基材層に用いる、オレフィン系重合体(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)は一般に相溶しないため、混合物の耐衝撃強度等が著しく低下するが、前記のようなスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)を相溶化剤として、これらと複合することで、該プロピレン系重合体(b1)と該グラフト共重合体(b3)の相溶性が向上し、基材層(B)の耐衝撃強度等の低下を防止できる。
【0026】
基材層(B)に用いるゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)は、特に限定されないが、例えば、ゴム質重合体に存在下に、一種以上のスチレン系単量体と、更に必要によりスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体とをグラフト共重合してなる共重合体などが挙げられる。
【0027】
ここで用いるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン等のα−置換スチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン等の核置換スチレンなどのスチレン誘導体が挙げられ、なかでもスチレンが好ましい。これらスチレン系単量体は、単独又は二種以上の組み合わせでも良い。
【0028】
更に、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル;メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;ビニルナフタレン、ブロモスチレン等の芳香族モノビニル化合物、無水マレイン酸、フェニルマレイミド等が挙げられる。これらスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体は、一種単独でも、二種以上との併用でも良い。
【0029】
一方、該グラフト共重合体(b3)に用いるゴム質重合体としては、天然ゴム、共役ジエンゴム類より誘導される合成ゴム等が何れも使用でき、例えば、天然クレープゴム、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合型ゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合型ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソプレン−イソブチレン共重合型ゴム、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン共重合型ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン単量体型ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合型ゴム、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合型ゴム等が挙げられる。
【0030】
該グラフト共重合体(b3)の具体例としては、ポリブタジエングラフトスチレン共重合体(HIPS樹脂)、ポリブタジエングラフトスチレン−メチルメタクリレート共重合体(MBS樹脂)、ポリブタジエングラフトスチレン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)、ポリブタジエングラフトスチレン−メタクリル酸共重合体(HISMAA樹脂)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、耐衝撃強度及び剛性などに優れるシートが得られることから、HIPS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂が好ましい。これらの樹脂の2種類以上を混合して用いても良い。また、これらグラフト共重合体(b3)に、他の樹脂やエラストマーを混合して用いても良い。
【0031】
本発明では、前記グラフト共重合体(b3)に加え、ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)を併用することができる。ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)としては、例えば、一種以上のスチレン系単量体と、更に必要によりスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体とを共重合してなる共重合体などが挙げられる。
【0032】
前記ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)で用いるスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、いずれも、前記グラフト共重合体(b3)で例示したスチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体が、いずれも使用できる。
【0033】
前記ゴム質重合体非含有スチレン系樹脂(b4)の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(SMAA樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)に代表される(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0034】
帯電防止シートの基材層(B)に、ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)を使用することで、プロピレン系樹脂(b1)を単独で使用した場合に比べて、シートの剛性、二次成形品の寸法安定性等を向上させることができる。
【0035】
本発明の基材層(B)において、プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の重量比(b1)/(b3)が、5/95〜95/5の範囲であることが好ましい。該グラフト共重合体(b3)が5重量%以上の範囲では成形加工性や剛性が向上し、95重量%以下の範囲では表面層(A)との接着性が向上する。この中でもさらに、二次成形品等の寸法安定性が向上することから、該重量比(b1)/(b3)が10/90〜60/40の範囲がより好ましく、(b1)/(b3)=15/85〜40/60の範囲であることが特に好ましい。また、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)については、プロピレン系樹脂(b1)と該グラフト共重合体(b3)の合計100重量部に対して、該ブロック共重合体(b2)が1〜40重量部であることが好ましい。該ブロック共重合体(b2)を1重量部以上添加することで該プロピレン系樹脂(b1)と該グラフト共重合体(b3)の相溶性が向上し、該ブロック共重合体(b2)が40重量部以下において、剛性が良好なものとなる。この中でもさらに、相溶性と剛性を満足し、かつ機械的強度と耐熱性に優れるシートが得られることから、該ブロック共重合体(b2)が3〜35重量部の範囲であることがより好ましく、5〜30重量部の範囲であることが特に好ましい。
【0036】
本発明において、表面層(A)及び基材層(B)には、必要に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、特に限定されないが、例えば、各種の樹脂やゴム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、有機繊維、酸化チタン等の顔料、染料、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒンダードフェノール系やリン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属ウィスカ、その他の添加剤あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、基材層(B)には、成膜時のトリミングで発生するシート両端部の余材や、二次成形し成形品を打ち抜いた残材のスクラップ粉砕品等を添加しても良い。
【0037】
基材層(B)があることにより、本発明の帯電防止シートは良好な剛性と寸法安定性を有し、被包装物を保護できるが、さらに基材層(B)を発泡させた場合、外部からの衝撃等に対する緩衝性が向上し、被包装物の保護効果が一段と向上する。
【0038】
基材層(B)を発泡させる場合の発泡倍率は、1.1〜6.0倍が好ましい。発泡倍率が1.1倍以上で有効な緩衝性が得られ、6.0倍以下で外観が良好となる。この中でさらに、二次成形加工性に優れるシートが得られることから1.2〜3.0倍がより好ましい。
【0039】
基材層(B)の発泡方法としては、常温で固体であり分解温度以上に加熱されると窒素、炭酸ガス、アンモニア等のガスを発生する発泡剤を、予め基材層(B)を構成する樹脂組成物に混入し、押出時に発泡させる方法が好ましい。
【0040】
発泡剤としては、化学系発泡剤が好適で、無機系反応型発泡剤では炭酸水素ナトリウムとクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸、フタル酸、ラウリン酸、安息香酸、ホウ酸、サリチル酸、リン酸等の有機酸との混合物、過酸化水素とイースト菌の混合物、アルミニウム粉末と前述有機酸の混合物等が、無機系熱分解型発泡剤では炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、ドロマイト等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸マグネシウム等の亜硝酸塩、水素化ホウ酸ナトリウム等の水素化物等が、有機系反応型発泡剤ではトリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物が、有機系熱分解型発泡剤ではアゾジカルボンアミド、アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジン等のアゾ、ジアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P′−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジド等のヒドラジン誘導体、N、N′−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N、N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソ・テレフタルアミド等のニトロソ化合物、P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルフォニールセミカルバジド等のセミカルバジド化合物の他アジ化合物やトリアゾール化合物等が、それぞれ挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
また、用途目的によっては、窒素、空気等の無機系物理発泡剤、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンの各種フロンガス、メチレンクロライド、各種アルコール等の有機系物理発泡剤を用いてもよい。これら発泡剤は単独或いは、適宜2種類以上を組み合わせてもよい。
【0042】
発泡剤の混入量は、発泡倍率、選定した発泡剤の種類、発生ガス量により適宜きめれば良い。例えば、化学系発泡剤を用いる場合には、基材層(B)中のプロピレン系重合体(b1)100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、この中でさらに0.1〜5重量部がより好ましい。0.1重量部以上で有効な発泡倍率が得られる。10重量部以下でミクロ分散した微細なセルとなり、外観の良好なシートが得られる。
【0043】
基材層(B)において、プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の重量比は、前記したように、(b1)/(b3)=5/95〜95/5の範囲であることが好ましいが、基材層(B)を発泡層とする場合、この中でもさらに、均一に発泡したシートが得られることから(b1)/(b3)=30/70〜95/5の範囲であることが好ましく、化学系発泡剤を用いる場合には、(b1)/(b3)=50/50〜95/5の範囲であることがより好ましい。
【0044】
本発明の帯電防止シートの製造方法は、特に制限されるものではなく、各種の方法が利用できる。各層の樹脂は全てドライブレンドで直接成膜を行っても良いし、一部又は全部を予めコンパウンド化した後、成膜しても良い。コンパウンド化の方法は、例えばバンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダー等の溶融混練方法が一般的であるが、これに限定されるものではない。シートの積層の方法は、複数台の押出機を用い、各層をフィードブロックやマルチダイ等の内部で積層した後、ダイからシート状に押し出す共押出法、表面層を予め単独で成膜し、基材層を押出成膜する際にその表面層を熱ラミネートする方法等が一般的である。シートの製造方法は、これらに限定されるものではないが、製造工程が少ないことから共押出法が好ましい。
【0045】
本発明の帯電防止シートの層構成は、帯電防止剤(a2)を含有する表面層(A)が、基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層したものであれば特に限定されないが、帯電防止シートの表裏での帯電防止性能の違いや、成形品の反りを生じさせないためには、基材層(B)の両面に表面層(A)を配置した(A)/(B)/(A)のような対称構成が好ましい。また、必要に応じて、(A)/(B)のように2層構成であっても良いし、(A)/(B)/(A)/(B)等のように4層以上を積層しても良い。さらに、(A)/(B)/(A′)のように、帯電防止剤(a2)の濃度や種類等の異なる表面層(A)と(A′)とを用いたもの、(A)/(B)/(B′)/(B)/(A)などのように、樹脂組成の異なる基材層(B)と(B′)とを用いたものであっても良い。例えば、シート表裏面の帯電防止効果に差をつけたい場合、(A)/(B)/(A′)型構成とすることで解決できる。
【0046】
表面層(A)の合計厚みと基材層(B)の合計厚みの比率(A)/(B)は、0.5/99.5〜60/40の範囲であることが好ましい。表面層(A)の合計厚みの比率が0.5%以上では帯電防止性が良好となり、50%以下では剛性が良好となる。この中でもさらに、二次成形後の帯電防止性に優れるシートが得られることから(A)/(B)が1/99〜50/50の範囲であることがより好ましく、さらに成膜性に優れることから(A)/(B)が5/95〜40/60の範囲であることが特に好ましい。
【0047】
基材層(B)の両面に表面層(A)を積層する場合、両表面層を各々(A1)層及び(A2)層とすると、帯電防止性能や、二次成形品の寸法安定性に優れるシートが得られることから、(A1)層と(A2)層を同程度の厚みとすることが好ましい。具体的には(A1)層の平均厚み(T1)及び(A2)層の平均厚み(T2)が、下式の範囲であることが好ましい。
(T1+T2)/2×0.8≦T1≦(T1+T2)/2×1.2
(T1+T2)/2×0.8≦T2≦(T1+T2)/2×1.2
【0048】
シート全体の厚みは特に限定されないが、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の方法で部品包装容器等を成形するには0.1〜5.0mmの厚さが好ましく、さらに0.15〜3.0mmの厚さがより好ましい。
【0049】
本発明の帯電防止シートは、シート状のまま使用できることはもちろん、公知の成形加工方法により二次加工を行うことができる。例えば、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の熱成形により、トレーやキャリアテープとして、電子部品包装容器として用いることができる。成形方法やシート及び成形品の用途はこれに限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例示によりなんら限定されるものではない。
【0051】
なお、実施例における各特性値は次の方法に従って評価した。
1.表面抵抗
JIS K−6911に準じ、帯電防止シートを23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、アドバンテスト製デジタル超高抵抗計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702を用いて、印加電圧500V、印可時間1分間、測定時間1分間で表面抵抗値を測定し、下記の基準に従って判定した。表面抵抗判定基準
◎: 表面抵抗値が1×1010未満
○: 表面抵抗値が1×1010以上、1×1012未満
×: 表面抵抗値が1×1012以上
【0052】
2.半減期
JIS L−1094に準じ、帯電防止シートを23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、シシド静電気(株)製スタティックオネストメーターTYPE H−0110及びオネストアナライザー−V1を用いて、印加電圧+10kVで半減期を測定し、下記の基準に従って判定した。
半減期判定基準
◎: 半減期が1秒未満
○: 半減期が1秒以上、10秒未満
×: 半減期が10秒以上
【0053】
3.耐摩耗性
TAKASHOW製振動機 MINI SHAKER MODEL M−6のテーブル上に、90×35mmの枠を取り付け、枠内に同サイズの帯電防止シート試験片を、重量(W1)を測定した後、取り付けた。76×26×1mm厚さの市販スライドグラスの下面の一端に、ガラスのエッジで試験片を摩擦するようにするため10×26×2mm厚さのポリプロピレン板を貼り付けた。補強のため、スライドグラスの上面にスライドグラスと同サイズで厚さ1mmの金属板を貼り付けた。33mm径×29mm高さで200gの鉄製おもりを、金属板上の両端に各々の1個、合計で2個固定した。枠内の帯電防止シート試験片上に、上記のスライドグラスをおもりを上にして乗せ、振動速度378往復/分で30分間振動させ、スライドグラスのエッジで帯電防止シート試験片を摩擦した。摩擦終了後の試験片の重量(W2)を測定し、下式により摩耗量(Wr)を求め、下記の基準に従って判定した。
摩耗量Wr(mg)=W1(mg)−W2(mg)
摩耗量判定基準
◎: 摩耗量Wrが0.3mg未満
○: 摩耗量Wrが0.3以上、0.6mg未満
×: 摩耗量Wrが0.6mg以上
【0054】
4.剛性
JIS K 7127に準じ、帯電防止シートより切り出した1号試験片により引張速度10mm/minで引張弾性率を測定し、下記の基準に従って剛性を判定した。
剛性判定基準
◎: 引張弾性率が1.5MPa以上
○: 引張弾性率が1.1MPa以上、1.5MPa未満
×: 引張弾性率が1.1MPa未満
【0055】
5.寸法安定性
112×112×30mm(深さ)の金型を用い、(株)ハーミス製単発真空成形機FE38PHにより帯電防止シートの成形を行った。成形時のシート温度は、基材層(B)中のプロピレン系重合体(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の合計(b1+b3)に対する該グラフト共重合体(b3)の含有率が70重量%以上であるシートの場合170℃で、(b1+b3)に対する該グラフト共重合体(b3)の含有率が50重量%であるシートの場合190℃で、(b1+b3)に対する該グラフト共重合体(b3)の含有率が30重量%以下であるシートの場合210℃で、それぞれ成形を行った。成形品を23℃、50%RHの恒温恒湿室に1日静置した後、金型のフランジ間長さ(L1:102.8mm)に対応する成形品の長さ(L2)をノギスで測定し、下式により成形収縮率(S)を求め、下記の基準に従って判定した。
成形収縮率S=(L1−L2)/(L1)×100%
寸法安定性判定基準
◎: 成形収縮率Sが0.8%未満
○: 成形収縮率Sが0.8%以上、1.0%未満
×: 成形収縮率Sが1.0%以上
【0056】
6.層間剥離
帯電防止シートの表面層(A)と基材層(B)を手で剥離させ、下記の規準に従って評価した。
層間剥離判定基準
○: 剥離しない、もしくは層間に密着性があり表面層(A)又は基材層(B)内で凝集剥離する。
×: 層間に密着性がなく、容易に層間剥離する。
【0057】
7.表面平滑性
JIS K−7105に準じて45度鏡面光沢度を測定し、下記基準に従って表面平滑性を判定した。
表面平滑性判定基準
◎: 光沢度が60以上
○: 光沢度が20以上、60未満
×: 光沢度が20未満
【0058】
実施例1〜16及び比較例1〜3
プロピレン系重合体(a1)及び(b1)としては、以下のものを使用した。・P1:サンアロマー(株)製プロピレン単独重合体「PS201A」(MFR:0.5g/10min)
・P2:サンアロマー(株)製エチレン−プロピレンブロック共重合体「PB170A」(MFR:0.35g/10min)
【0059】
帯電防止剤(a2)としては、以下のものを使用した。
・D1:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤「IRGASTAT P22」
・D2:三洋化成工業(株)製ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤「ペレスタット3170」
・D3:三洋化成工業(株)製ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤「ペレスタット300」
【0060】
スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)としては、以下のものを使用した。
・E1:旭化成工業(株)製スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)「タフテックH1041」(スチレン/ブタジエン重量比=30/70)
【0061】
ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)としては、以下のものを使用した。
・S1:大日本インキ化学工業(株)製HIPS(ハイインパクトポリスチレン)樹脂「ディックスチレンGH−8300−1」
【0062】
ただし、実施例6では、表面層(A)におけるプロピレン系重合体(b1)として(P1)と(P2)を併用した。また、実施例10では、基材層(B)におけるプロピレン系重合体(b1)として(P1)、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)として(E1)、ゴム質変性スチレン系共重合体(b3)として(S1)を使用し、これらを下記配合で二軸押出機によりシリンダー先端の設定温度240℃で混練し、ペレット化して得られた、コンパウンド(C1)を使用した。
コンパウンドC1の配合
(P2)/(S1)=30/70
(P2)+(S1)=100重量部に対して(E1)=10重量部
【0063】
発泡剤としては、下記の(H1)及び(H2)を、炭酸水素ナトリウムの重量比が1:1となるように、これらの重量比H1/H2が2.5/1となるように混合してなる混合物を使用した。この混合物は、基材層(B)用の樹脂成分合計100重量部に対して、1.07重量部となる割合で添加した。
・H1:永和化成(株)製無機系発泡剤「ポリスレンEE207」(ポリエチレンベースの炭酸水素ナトリウム含有率20重量%のマスターバッチ)
・H2:永和化成(株)製無機系発泡剤「EV505K」(エチレン−酢酸ビニル共重合体ベースの炭酸水素ナトリウム含有率50%のマスターバッチ)
【0064】
帯電防止シートは、30mm径ノンベント式単軸押出機(L/D=28)、65mm径ノンベント式単軸押出機(L/D=25)、フィードブロック、Tダイ及び引き取り機からなる積層シート製造装置を用い、共押出方式で成膜した。表面層(A)用として、第1表〜第5表に示す組成の樹脂と耐電防止剤とを30mm径押出機から、また、基材層(B)用として、第1表〜第4表に示す組成の樹脂を65mm径押出機から、それぞれ溶融混練しながら第1表〜第4表に示す層構成で押し出し、フィードブロック内で積層し、リップ開度1.2mmのTダイにより、厚さ1.0mmで(A)/(B)/(A)の二種三層構成の帯電防止シートを成膜した。押出機のシリンダー先端の設定温度は、30mm径押出機:240℃、65mm径押出機:240℃とし、フィードブロック及びTダイは240℃とした。得られた帯電防止シートの性能を、前記した方法に従って評価し、実施例の結果を第1表〜第4表に、また比較例の結果を第5表に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【発明の効果】
本発明の帯電防止シートは、摩耗粉の発生が極めて少なく、剛性に優れ、かつ真空成形等による二次成形が容易で、二次成形後の寸法安定性が良好であり、トレーやキャリアーテープ等の電子部品などの包装用に適した成形品を提供できる。
Claims (11)
- プロピレン系重合体(a1)と帯電防止剤(a2)を必須成分として含有する表面層(A)が、プロピレン系樹脂(b1)とスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)とを必須成分として含有する基材層(B)の少なくとも一方の表面上に積層されていることを特徴とする帯電防止シート。
- プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の重量比(b1)/(b3)が10/90〜60/40で、かつ、これらの合計100重量部に対するブロック共重合体(b2)の使用量が3〜35重量部である請求項1に記載の帯電防止シート。
- プロピレン系樹脂(b1)とゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)の重量比(b1)/(b3)が、15/85〜40/60で、かつ、これらの合計100重量部に対しするブロック共重合体(b2)の使用量が5〜30重量部である請求項1に記載の帯電防止シート。
- ゴム質重合体とスチレン系単量体とのグラフト共重合体(b3)がポリブタジエングラフトスチレン共重合体であり、かつ、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とのブロック共重合体(b2)がスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止シート。
- 帯電防止剤(a2)がポリエーテルエステル系重合体型帯電防止剤である請求項4に記載の帯電防止シート。
- 帯電防止剤(a2)がポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤である請求項4に記載の帯電防止シート。
- プロピレン系樹脂(a1)と帯電防止剤(a2)の重量比(a1)/(a2)が95/5〜60/40である請求項4に記載の帯電防止シート。
- 表面層(A)が基材層(B)の両表面上に積層されているシートである請求項4に記載の帯電防止積層シート。
- 表面層(A)の合計厚みと基材層(B)の厚みの比率(A)/(B)が0.5/99.5〜50/50である請求項4に記載の帯電防止シート。
- 基材層(B)が発泡層である請求項4に記載の帯電防止シート。
- 請求項1〜10のいずれか1項記載の帯電防止シートを成形してなるものであることを特徴とする成形品。
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