JP2008246948A - 導電性シートの製造方法、導電性シート及び成形品 - Google Patents

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Hirofumi Yamada
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Abstract

【課題】 環境・安全・エネルギーコストのすべての面において優位性を有し、且つ所望の物性を有するシートを容易に提供しうる導電性シートの製造方法、機械的強度と剛性と耐摩耗性に優れる導電性シート、及び該導電性シートを用いて得られる堅固な成形品を提供すること。
【解決手段】 融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなる表面層(A)、ポリエチレンと融点が140℃以上のプロピレン系樹脂とを混合した樹脂混合物からなる中間層(B)、エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる接着層(C)が、(A)/(B)/(C)の順に積層するように、共押出積層成形して多層フィルムを得た後、該多層フィルムの層(A)側に導電性塗料を塗布し、該多層フィルムの層(C)側にスチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)を熱ラミネーションにより張り合わせることを特徴とする導電性シートの製造方法、及びその導電性シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性シートに関するものであり、詳しくはスチレン系樹脂組成物からなる基材層に導電性塗料を塗布した導電性積層フィルムを積層する、新規な導電性シートの製造方法、及び特定の構成を有する導電性シートとこれを用いた成形品に関する。
電子部品用の包装容器は、その形状が特異的であることが多く、成形加工性と剛性とを兼備させることが必要であるため、スチレン系樹脂組成物からなるシートを加工した成形品が使用されている。更に、被包装物である電子部品を静電気破壊や埃付着から保護するためには、表面導電性を付与する必要があることから、様々な手法が提供されてきている。
例えば、カーボンブラックをスチレン系樹脂組成物中に練り込む方法、カーボン等の導電性フィラーやポリアニリン等の導電性高分子を含有する導電性塗料をシート表面に塗布する方法等が挙げられる(例えば、特許文献1及び2参照。)。前者のカーボンブラックを樹脂中に練り込む方法では、シート表面から脱落したカーボンによる電子部品の汚染が問題となりやすいため、特にカーボンによる汚染を嫌う精密な電子部品では導電性塗料を塗布する手法が好ましいとされてきた。
しかしながら、スチレン系樹脂は他の樹脂と比較して耐溶剤性に劣るため、導電性塗料を塗布しようとすると、該塗料に含まれる有機溶剤による劣化を生じやすく、シートの機械的強度が低下するという問題点を有している。また、スチレン系樹脂は耐摩耗性に劣るため、例えば、電子部品がトレー上で振動した場合、ベースとなるスチレン系樹脂自体が削られることで摩耗粉が発生し、電子部品の汚染源となる可能性があり、長距離輸送等が必要な電子部品搬送用トレー等では使用しにくいという問題もある。
一方、オレフィン系樹脂からなるシートは、耐溶剤性が極めて高く、引張伸び率や耐衝撃強度に優れるものの、剛性が著しく劣り、さらに成形加工性が悪く、成形収縮率が大きいため寸法精度を要求される電子部品用の包装容器等には適さないものである。
このような問題点の解決方法として、スチレン系樹脂とオレフィン系重合体と相溶化剤とを含有する樹脂組成物からなる表面層を、ゴム変性スチレン系樹脂を含有する基材層の少なくとも一方の表面に積層し、該表面層に導電性塗料を塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、耐溶剤性と耐摩耗性の改良効果が得られるものの、該効果は表面層を構成する樹脂組成物中のオレフィン系重合体の含有率に依存するものであることから、十分な性能を有する成形品を得るためには、該含有率を高くする必要がある。しかしながら、スチレン系樹脂とオレフィン系重合体とは接着性が悪いことに起因し、表面層と基材層との間で層間剥離が発生しやすく、従って、表面層を構成する樹脂組成物中のオレフィン系重合体の含有率が制限され、実用レベルの効果が得られるものではない。
スチレン系樹脂組成物からなる基材層とオレフィン系樹脂組成物からなる表面層との層間剥離を防止する方法としては、該表面層の基材側にスチレン系樹脂組成物に対して熱接着性の良いホットメルト、ヒートシール剤などをコーティングする手法が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。しかしながら、該手法では、オレフィン系樹脂組成物からなるフィルムを得た後、片面に導電性塗料を塗布して乾燥した後、更にもう一方の面に前記ヒートシール剤等を塗布し乾燥するという煩雑な工程を有するものであり、製造に時間がかかり、またエネルギー消費量も多くなる。更に、一般的にヒートシール剤等は皮膚刺激性の比較的高い樹脂からなることが多く、また含まれる有機溶剤は乾燥除去する必要性があり、環境・安全の面から好ましい手法ではない。
また、スチレン系樹脂組成物からなる基材層に、オレフィン系樹脂組成物からなる多層フィルムを熱ラミネートによって積層する手法も提案されている(例えば、特許文献6、及び7参照。)が、これらの特許文献6及び7で提案された該多層フィルム中の内層の耐熱性が不足するため、実際にスチレン系樹脂組成物からなる基材層と熱ラミネートしようとすると、該フィルムにシワや縮みが生じ、外観を損ねるばかりか、部品トレー成形時にシワや縮みによる不均一部分から亀裂が入りやすくなるなど、電子部品用の包装容器として適するものではない。
特開平09−327892号公報 特開平06−305084号公報 特開2006−150729号公報 特開2002−347156号公報 特開2003−170518号公報 特開平1−113241号公報 特開2004−167823号公報
本発明が解決しようとする課題は、環境・安全・エネルギーコストのすべての面において優位性を有し、且つ所望の物性を有するシートを容易に提供しうる導電性シートの製造方法、導電性塗料を塗布する際の溶剤アタックによってもシートの機械的強度が低下することなく、電子部品がトレー上で振動した場合の摩耗粉の発生を防止し、かつ剛性にも優れる導電性シート、及び該導電性シートを用いて得られる堅固な成形品の提供を目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を有するオレフィン系多層フィルムの片面に導電性塗料を塗布し、該塗布面と反対側面にスチレン系樹脂からなるシートを熱ラミネートさせる方法が、環境・安全・エネルギーコスト面等で優位な手法であり、且つ前記の要求性能を満足する導電性シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなる表面層(A)、
ポリエチレン(b1)と、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂(b2)とを混合した樹脂混合物からなる中間層(B)、
エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる接着層(C)が、
(A)/(B)/(C)の順に積層するように、共押出積層成形して多層フィルム(I)を得た後、
該多層フィルム(I)の表面層(A)側に導電性塗料を塗布し、
該多層フィルム(I)の接着層(C)側に、スチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)を熱ラミネーションにより張り合わせることを特徴とする導電性シートの製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなる表面層(A)、
ポリエチレン(b1)と、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂(b2)とを混合した樹脂混合物からなる中間層(B)、
エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる接着層(C)、
スチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)が
(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層され、
且つ該表面層(A)側に導電性塗料からなる塗膜を有することを特徴とする導電性シート、およびこれを用いて得られる成形品を提供するものである。
本発明によれば、導電性シート及びそれを用いた成形品における導電性塗料被覆後の機械的強度が維持され、電子部品の振動による摩耗粉の発生が抑制され、シート及び成形品の剛性が両立でき、かつ成型加工性や寸法安定性にも優れる。そのため、本発明の導電性シートは、トレーに代表される電子部品搬送用容器の用途に極めて有用である。
本発明の導電性シートの製造方法は、導電性塗料が一方の面に塗布されたオレフィン系の多層フィルム(I)と、スチレン系樹脂組成物からなるシートとを、該多層フィルム(I)の塗布面とは反対側の面で熱ラミネートにより張り合わせることを特徴とする。
〔オレフィン系の多層フィルム(I)〕
オレフィン系の多層フィルム(I)は、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなる表面層(A)、ポリエチレン(b1)と、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂(b2)とを混合した樹脂混合物からなる中間層(B)、スチレン系樹脂との接着性を有する、エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる接着層(C)が、この順で積層されている。
〔表面層(A)〕
表面層(A)は、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなり、例えば、融点が140℃以上のポリプロピレン、又は融点が140℃以上のプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体等のプロピレン由来構造を有するものである。後の工程であるスチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)と熱ラミネートする際や得られる導電性シートを加熱下で成形する際に、該表面層(A)は熱源となる加熱ロールや熱板に接するため耐熱性を必要とする。このため、該表面層(A)を構成する樹脂の融点は140℃以上であることを必須とし、160℃以上であることが好ましい。尚、本発明において、融点は示差走査熱量計(セイコー電子製DSC6200)を用いて測定した値である。また、この表面層(A)は後の工程において導電性塗料を塗布する面であることから、耐溶剤性に優れることが必要であり、更に、例えば包装する電子部品との摩擦によっても摩擦粉が発生しないことも要求される。これらの性能を兼備させるためには、ポリプロピレンのホモポリマー、又はプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなるものであることが好ましい。
ポリプロピレンのホモポリマーとしては、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンを挙げることができる。
プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体としては、例えば、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとの共重合体等が挙げられる。この時、共重合としてはランダム、ブロックのいずれであっても良い。
また、この表面層(A)には重合型帯電防止剤を添加することが出来る。具体的には、ポリエーテルエステル系重合体型帯電防止剤、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン系重合体型帯電防止剤等のノニオン系重合体型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸系重合体型帯電防止剤等のアニオン系重合体型帯電防止剤、ポリアクリルエステル系重合体型帯電防止剤等のカチオン系重合体型帯電防止剤、ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤等のポリオレフィンと親水性ポリマーのブロックポリマーからなる帯電防止剤等が挙げられる。中でも、帯電防止性能に優れ、耐衝撃強度の低下のないシートが得られる点で、ポリエーテル−エステル系重合体型帯電防止剤が好ましく、ポリエーテルエステルアミド系重合体型帯電防止剤が特に好ましい。また、ポリプロピレンまたはプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体との相溶性が良好で表面平滑性と耐摩耗性に優れるシートが得られる点で、ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤が特に好ましい。
前記ポリエーテル−ポリプロピレン系ブロックコポリマー型帯電防止剤は、オレフィン系単量体で構成されたポリオレフィンブロックと、親水性単量体で構成された親水性ブロックとが、交互に結合した構造を有している。オレフィン系単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン等のオレフィンが例示できる。親水性単量体としては、例えば、ポリエーテル、ポリエーテル含有親水性ポリマー、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等が例示でき、特に、ポリアルキレンオキシドが好ましい。
前記オレフィンで構成されたブロックと、親水性単量体で構成されたブロックとの間は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等を介して結合されている。この高分子型帯電防止剤としては、例えば、三洋化成工業株式会社製ペレスタット等が挙げられる。
表面層(A)に含まれる高分子型帯電防止剤の配合割合としては、(A)層に用いる樹脂/高分子型帯電防止剤=50/50〜95/5(質量比)の範囲から選択でき、好ましくは、60/40〜90/10であり、予め樹脂と帯電防止剤とを混合して押出成形に供することが好ましい。
またこの表面層(A)には、防曇剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加されたものであっても良い。
表面層(A)の厚さとしては、通常0.5μm〜50μmである。
〔中間層(B)〕
中間層(B)は、ポリエチレン(b1)と、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂(b2)とを混合した樹脂混合物からなり、表面層(A)と後述する接着層(C)との接着強度を向上させる層である。
前記ポリエチレン(b1)としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましく、中でも、接着強度の観点から直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
前記プロピレン系樹脂(b2)は、スチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)と熱ラミネートする際に耐熱性を必要とする点から、融点が140℃以上であることが必要であり、160℃以上であることがより好ましく、プロピレン単独重合体であっても、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体であっても良いが、特に、ポリプロピレン単独重合体が好ましい。
前記ポリエチレン(b1)と前記プロピレン系樹脂(b2)との混合比率(質量比)としては、特に限定されるものではないが、耐熱性、表面層(A)と接着層(C)との接着強度と、得られる導電性シートの成形加工性とのバランスから、(b1)/(b2)が50/50〜90/10であることが好ましい。
中間層(B)の厚さとしては、通常0.5μm〜50μmである。
〔樹脂層(A’)〕
本発明で用いる多層シート(I)には、更に、得られる導電性シートの成形加工性を向上させるために、表面層(A)と中間層(B)との間に、表面層(A)とは異なる、融点が120℃以上のプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなる樹脂層(A’)を設けることが好ましい。
樹脂層(A’)として、融点が120℃以上のプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなる層を設けることにより、前記表面層(A)と前記中間層(B)との層間剥離をより防止できる。特に、α−オレフィンがエチレンである共重合体からなる樹脂層(A’)であることが好ましい。この時、共重合としてはランダム、ブロックのいずれであっても良い。
前記樹脂層(A’)を設ける際は、前述の表面層(A)との合計の厚みが0.5μm〜50μmであるようにすることが好ましい。また、樹脂層(A’)に表面層(A)について記載した帯電防止剤を含む各種添加剤を配合しても良い。
〔接着層(C)〕
プロピレン系樹脂とスチレン系樹脂とを積層しようとした場合、異種高分子であるためドライラミネーション等の接着剤塗布、乾燥、エージングが必要となるため、加工工程が頻雑化する上、エネルギーコストも増大の傾向にある。しかし、本発明では、(C)層があることにより、スチレン系樹脂組成物との熱ラミネーションにより容易に導電性シートを得ることが可能となる。
接着層(C)は、後述するスチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)との接着性を有するものであり、適度な熱ラミネーション強度を維持するためには、エチレン−酢酸ビニル系共重合体であることが必要である。エチレン−酢酸ビニル系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の単独、このEVAをベースレジンとして、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル誘導体、重合ロジン、テルペン、変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、スチレン系樹脂等の1種以上を混合変性してなる変性EVA等が挙げられ、中でも変性EVAが好ましい。この変性EVAの市販品としては、例えば東ソー株式会社製メルセンM等が挙げられる。
本発明で用いる多層フィルム(I)の厚さは、通常15〜150μmであり、中でも、30〜100μmであることが好ましい。
〔基材層(D)〕
本発明で用いる基材層(D)は、スチレン系樹脂組成物からなるものであり、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂等のスチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物である。これらスチレン系樹脂は単独で用いても良いし、混合して用いても良い。またゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体と共重合可能な他の単量体とをグラフト共重合してなるゴム質共重合体を用いても良い。または、スチレン系単量体の少なくとも1種と共重合可能なアクリル系単量体の少なくとも1種からなる共重合体とスチレン系単量体ブロックとゴム質重合体ブロックからなるブロック共重合体との混合物も用いることができる。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン等のα−置換スチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン、α―メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン等の核置換スチレンなどのスチレン誘導体が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。
また、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、ビニルナフタレン等の芳香族モノビニル化合物、無水マレイン酸、フェニルマレイミド等が挙げられる。これらスチレン系単量体と共重合可能な単量体は、1種単独でも、2種以上の併用でも良い。
また、ゴム質重合体としては、天然ゴム、共役ジエンゴム類より誘導される合成ゴム等が何れも使用でき、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合型ゴム、ブタジエン−アクリルニトリル共重合型ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合型ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合型ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合型ゴム、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合型ゴム等が挙げられる。
基材層(D)は、単層構成であっても多層構成であってもよい。また、製造方法は特に制限されるものではなく、各種の方法を挙げることができるが、多層構成の場合の積層方法は、複数台の押出機を用いて溶融押出する、共押出多層ダイス法、フィードブロック法等の共押出法により溶融状態で積層する方法が一般的である。
基材層(D)の厚さとしては、得られる導電性シートの用途や成形方法によって選択することができ、特に限定されるものではないが、通常0.1〜3mmであり、0.2〜2mmであることが好ましい。
〔導電性塗料〕
本発明では、表面層(A)の片面に導電性塗料を塗布することにより被覆することを必須とする。ここで、用いることができる導電性塗料は、得られる導電性シートの表面固有抵抗率を1010Ω以下とすることが出来るものであることが好ましく、該塗料の乾燥工程・所望の塗膜厚さ等により選択できる。
前記導電性塗料は、一般的に、導電性フィラー、バインダー樹脂、溶剤を必須成分としてなり、これにさらに分散剤等の各種添加剤を必要に応じて添加したものである。ここで言う導電性フィラーは、カーボンブラックが最も一般的であるが、これに限らず金属や導電性金属酸化物の微粒子やウィスカ、ポリピロールやポリアニリン等の導電性高分子及びその微粒子、カーボンファイバー、金属繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリアミド系等の各種樹脂を使用することができ、表面層(A)との密着性や、塗膜の耐摩耗性等の観点から、適宜選択することができる。
また、前記溶剤としては、一般的に酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、エタノール等やこれらの混合溶剤が挙げられ、バインダー樹脂の溶解性や乾燥性等に応じて適宜選択できる。
前記導電性塗料の塗布量としては、シートの表面固有低効率を1010Ω以下とするような量であることが好ましく、用いる導電性フィラーの種類、厚膜等により適宜設定することができる。
さらに、カーボン等の導電性フィラーの脱落を低減させる目的で該導電性塗料を被覆した後、保護インキで更に被覆しても良い。この保護インキに用いられる樹脂及び溶剤は、上記導電性塗料で説明したバインダー樹脂及び溶剤と同様のものを用いることができる。また、この時、保護インキに滑剤として、酸化チタンやタルク等の無機微粒子、架橋高分子微粒子等を混合しても良い。
本発明において導電性塗料、保護インキを被覆する方法については、種々の方法により行うことができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、スクリーン、グラビア印刷などの方法が挙げられ、中でも生産性の点からグラビア印刷が好ましい。
〔導電性シートの製造方法〕
本発明において、前述の表面層(A)、必要により設けられる樹脂層(A’)、中間層(B)、接着層(C)を含有する多層フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、3台以上の押出機を用いて溶融押出する、共押出多層ダイス法、フィードブロック法等の共押出積層法により溶融状態で積層した後、インフレーション、Tダイ・チルロール法等の方法で長尺巻フィルムに加工する方法が好ましい。
また、得られたフィルムの表面層(A)は、導電性塗料の密着性を向上させる為に表面処理を施すことが望ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドプラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
また、本発明の導電性シートは、前記表面層(A)、必要により設けられる樹脂層(A’)、中間層(B)、接着層(C)の接着層(C)側に、更に、基材層(D)を積層してなるシートであればよく、例えば、これら層(A)〜層(D)を、上記のような共押出積層成形法により製造しても良いが、別途製造しておいた層(A)〜層(C)からなる本発明の多層フィルム(I)と、基材層(D)とを積層接着する製造方法、例えばスチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)の成形時に溶融したスチレン系樹脂シートに多層フィルム(I)を重ね合わせて熱ラミネーションする方法や、予め製造しておいたスチレン系樹脂組成物からなるシートと多層フィルム(I)を重ね合わせて、加熱ロール等で加熱加圧して熱ラミネーションする製造方法等で製造することが好ましい。
〔導電性シート〕
本発明の導電性シートの厚みは特に限定されないが、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の方法で部品包装容器等を成形するには0.2mm〜2.0mmの厚さが好ましい。
本発明の導電性シートは、シート状のまま使用できることはもちろん、様々な成形加工方法により二次加工を行うことができる。例えば、真空成形、圧空真空成形、圧空成形、プレス成形、マッチモールド成形等の熱成形により、トレーやキャリアテープとして、電子部品包装容器として好適に用いることができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例示に何等限定されるものではない。
実施例1、及び比較例1〜2
下記表及び実施要領に従って導電性シートを作製し、それらの物性を測定した。尚、実施例等における各特性値は以下の方法に従って評価した。
(ラミ適性)
多層フィルムと基材層(D)とを熱ラミネートして作製した導電性シートの外観と、得られた導電性シートを用いて、三和興業株式会社製真空成形機PLAVAC TV−33を用い、上下ヒーター温度375℃、加熱時間10秒で、間口195mm×105mm、底面150mm×70mm、深さ25mmの成形品を作製し、外観を観察した。
○:シワ、剥離なし
×:シワが発生、剥離あり
(シート剛性)
株式会社東洋精機製作所製ストログラフAP2を用い、JIS K7127に準じ、タイプ5試験片により引張速度1mm/minで導電性シートの引張弾性率を測定した。
○:引張弾性率 1600MPa以上
△:引張弾性率 1200MPa以上、1600MPa未満
×:引張弾性率 1200MPa未満
(表面抵抗率)
JIS K6911に準じ、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗計R8430A及びレジスティビティチェンバR12704Aを用い、印加電圧10V、測定時間1分で測定した。
◎:1×10Ω以下
○:1×10Ωを超え、1×1010Ω以下
×:1×1010Ωを超える
(耐摩耗性)
TAKASHOW製振動機MINI SHAKER MODEL M−6のテーブル上に、90×35mmの枠を取り付け、枠内に同サイズの導電性シート試験片を取り付けた。76×26×1mm厚さの市販スライドグラスの下面の一端に、ガラスのエッジで試験片を摩擦するようにするため10×26×2mm厚さのポリプロピレン板を取り付けた。33mm径×29mm高さで200gの鉄製錘を、スライドグラス上の両端に各々の1個、合計で2個固定した。枠内の導電性シート試験片上に、上記のスライドグラスを錘を上にして載せ、振動速度378往復/分で30分間振動させ、スライドグラスのエッジで導電性シート試験片を摩擦した。摩擦終了後の試験片上の摩耗粉の発生状況を観察し、下記の基準に従って判定した。
○:摩耗粉発生なし
×:摩耗粉発生あり
実施例1
最外の表面層(A)として、ポリプロピレンホモポリマー(融点162℃)、樹脂層(A’)として、密度0.90g/cm、融点140℃のエチレン由来成分含有量5%のプロピレン−エチレン共重合体、中間層(B)として、ポリプロピレンホモポリマー(融点162℃)30質量%と、密度0.92g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン70質量%からなる樹脂組成物、接着層(C)として、密度0.95g/cmの変性ポリエチレン(東ソー株式会社製、変性EVA)を、(A)層用押出機(口径40mm)、(A’)層用押出機(口径40mm)、(B)層用(口径50mm)、(C)層用(口径50mm)のそれぞれに供給し、層比率が(A)/(A’)/(B)/(C)=30/30/20/20(%)で、全体膜厚30μになるように、フィードブロックを有する温度230℃のTダイにより共押出積層成形して、多層フィルム(I−1)を得た。得られた多層フィルム(I−1)の表面層(A)側に、導電性塗料(カーボンブラック含有ポリウレタン樹脂溶液、サカタインクス株式会社製)をグラビア印刷機で印刷し、更に、導電性塗料印刷後に保護インキ(ウレタン樹脂溶液、サカタインクス株式会社製)をグラビア印刷した。更に、ゴム変性スチレン系樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製HIPS樹脂「ディックスチレンGH8300−1」)を用いた押出成形時に溶融したスチレン系樹脂シート(厚み0.5mm)に上記で得られた多層フィルム(I)の接着層(C)を重ね合わせ、熱ラミネーションして、本発明の導電性シート(1)を作製した。得られた導電性シートの性能を、前記した方法に従って評価した結果を下表に示す。
比較例1(特許文献6及び7に対応する比較例)
多層フィルム(I−1)中の中間層(B)の変わりに、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(融点128℃)55質量%と密度0.92g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン45質量%を配合した樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして導電性シートを得た。得られた導電性シートの性能を、前記した方法に従って評価した結果を下表に示す。
比較例2(特許文献3に対応する比較例)
表面層として、プロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP EC9D」)25質量%とゴム変性スチレン系樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製HIPS樹脂「ディックスチレンGH8300−1」)71質量%に、相溶化剤としてスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物(旭化成ケミカルズ株式会社製SEBS樹脂「タフテックH1041」)4質量%を混合した樹脂組成物を用い、中心層として、ゴム変性スチレン系樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製HIPS樹脂「ディックスチレンGH8300−1」)をもちいて、表面層用押出機(口径30mm)、中心層用(口径65mm)のそれぞれに供給し、厚さ0.53mmで表面層/中心層/表面層の2種3層構成のシート〔層比率(%)は10/80/10〕を作製した。得られた積層シートの表面に実施例1で用いた導電性塗料をグラビア印刷機で印刷し、更に、実施例1で用いた保護インキをグラビア印刷し、導電性シートを得た。得られた導電性シートの性能を、前記した方法に従って評価した結果を下表に示す。
Figure 2008246948

Claims (10)

  1. 融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなる表面層(A)、
    ポリエチレン(b1)と、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂(b2)とを混合した樹脂混合物からなる中間層(B)、
    エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる接着層(C)が、
    (A)/(B)/(C)の順に積層するように、共押出積層成形して多層フィルム(I)を得た後、
    該多層フィルム(I)の表面層(A)側に導電性塗料を塗布し、
    該多層フィルム(I)の接着層(C)側に、スチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)を熱ラミネーションにより張り合わせることを特徴とする導電性シートの製造方法。
  2. 前記多層フィルム(I)が、前記表面層(A)と前記中間層(B)との間に、更に表面層(A)とは異なる、融点が120℃以上のプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなる樹脂層(A’)を有するものである請求項1記載の導電性シートの製造方法。
  3. 導電性塗料を塗布した後、更に保護インキを塗布する工程を有する請求項1又は2記載の導電性シートの製造方法。
  4. 前記表面層(A)を構成する、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂に、重合体型帯電防止剤を予め配合する工程を有する請求項1〜3の何れか1項記載の導電性シートの製造方法。
  5. 融点が140℃以上のプロピレン系樹脂からなる表面層(A)、
    ポリエチレン(b1)と、融点が140℃以上のプロピレン系樹脂(b2)とを混合した樹脂混合物からなる中間層(B)、
    エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなる接着層(C)、
    スチレン系樹脂組成物からなる基材層(D)が
    (A)/(B)/(C)/(D)の順に積層され、
    且つ該表面層(A)側に導電性塗料からなる塗膜を有することを特徴とする導電性シート。
  6. 前記表面層(A)と前記中間層(B)との間に、更に表面層(A)とは異なる、融点が120℃以上のプロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなる樹脂層(A’)を有するものである請求項5記載の導電性シート。
  7. 導電性塗料からなる塗膜の上に更に保護インキからなる塗膜を有する請求項5又は6記載の導電性シート。
  8. 前記表面層(A)に重合体型帯電防止剤を含有するものである請求項5〜7の何れか1項記載の導電性シート。
  9. 請求項5〜8の何れか1項記載の導電性シートを用いて成形加工して得られることを特徴とする成形品。
  10. 電子部品トレーである請求項9記載の成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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