JP2008113402A - 増幅器 - Google Patents

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Kazuhiro Iyomasa
和宏 弥政
Kazutomi Mori
一富 森
Koji Yamanaka
宏治 山中
Masatoshi Nakayama
正敏 中山
Satoshi Yoneda
諭 米田
Satoru Owada
哲 大和田
Hidemasa Ohashi
英征 大橋
Yasunori Tsuyama
祥紀 津山
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Abstract

【課題】現実的なトランジスタを対象とした、より高効率で広帯域、かつ実装面積が小さく小形な増幅器を得る。
【解決手段】増幅用トランジスタ10と、増幅用トランジスタ10の出力端子に接続され、基本波周波数fの整数倍となる複数の周波数において入力サセプタンスが発散する高調波反射用スタブ20と、一端が増幅用トランジスタ10の出力端子に高調波反射用スタブ20と並列に接続され、他端が負荷回路に接続され、増幅用トランジスタ10の出力アドミタンスと高調波反射用スタブの入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる基本波整合回路30とを備え、高調波反射用スタブ20は、一端が増幅用トランジスタの出力端子に接続される1つの幹スタブT21と、幹スタブT21の他端に分岐して並列接続される複数の枝スタブT22、T23とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、地上マイクロ波、ミリ波通信装置、移動体通信装置、衛星通信装置、レーダ装置等の高出力増幅器に関するものであり、特に、高調波反射回路を用いた高効率の増幅器に関する。
近年、増幅素子製作技術の向上により、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)等の高出力動作が可能なトランジスタの実用化が進んでいる。
このようなトランジスタの電力効率を向上させる手段として、トランジスタの出力端子に高調波を反射する回路を接続し、トランジスタの出力端子におけるインピーダンスを、偶数次高調波に対して短絡、奇数次高調波に対して開放とし、高調波をトランジスタへ反射することで回路をF級動作させる手法が一般的に知られている。
ここで、現実的には不可能ではあるが、全ての高調波を考慮した理想的なF級動作では、トランジスタ出力の瞬時電流と瞬時電圧との重なりがなく、消費電力を抑えられ、その電力効率を上げることができる。そして、このような動作が可能な増幅器が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
図27は、特許文献1における従来の増幅器の回路図である。また、図28は、図27の回路に対応した従来の増幅器のレイアウト図である。図27に示す回路は、特許文献1の増幅器に入力線路T101を接続したものである。信号源から繋がる入力端INと、負荷抵抗へ繋がる出力端OUTと、入力線路T101と、トランジスタ200と、第1の伝送線路T111と、第2の伝送線路T112と、オープンスタブT102〜T106と、補償スタブT102’〜T106’とにより構成される。各部分の詳細な構成については、ここでは省略する。
この回路では、点A100にオープンスタブT102〜T106を並列接続する構成により、増幅動作の基本波周波数fの2次〜6次高調波である周波数2f、3f、4f、5f、6fにおいて、点A100から図中矢印方向を見込んだサセプタンスB100を発散させ、点A100においてfの2次〜6次高調波の反射が可能となる。また、点A100に補償スタブT102'〜T106'を並列接続する構成により、オープンスタブT102〜T106の残留リアクタンスの補償が可能となる。
そして、第1の伝送線路T111の線路長を、基本波周波数の波長をλとしてλ/4とする構成により、トランジスタ200の出力端子のインピーダンスを、偶数次高調波に対して短絡、奇数次高調波に対して開放とし、回路のF級動作が可能となる。ただし、現実のトランジスタの場合、トランジスタ内部に存在する寄生容量等の影響により、前記の構成では効果が得られにくい。
また、信号を増幅する増幅用トランジスタの特性によっては、3倍波以上の高調波については、位相特性に対する効率の変化特性が小さいものがある。言い換えると、3倍波以上の高調波の位相特性を変化させても、効率が大きく変化しないようなトランジスタである。このようなトランジスタを用いて、現実的なF級増幅器を構成する場合には、その整合回路の中で、2倍波に対してのみ効率が高くなるような回路を形成し、高調波処理をなすことで高効率を実現していることはよく知られている。
また、増幅器の小型化や安価に製造することを目的として、3倍波以上の高調波処理回路を省略し、2倍波の高調波処理回路のみで増幅器を構成することも多々ある。(例えば、特許文献3、4参照)
増幅器においては、高効率な特性が望まれる一方で、用途によっては、必要とされる周波数帯域がある。つまり、広帯域にわたって高効率な効率特性を示すような、高調波処理を用いた増幅器の整合回路においては、広帯域にわたって基本波に対する整合を成すだけでなく、理想的には、要求される帯域の2倍の周波数に対して、増幅用トランジスタの出力端から整合回路を見たときの入力インピーダンスが短絡点を示すことが望ましい。
しかし、現実的な回路においては、周波数特性があり、例えば、2倍波において形成される短絡点は、ある特定の周波数のみ実現できることになる。増幅器に必要とされる帯域端で2倍波での短絡点を形成した場合、回路の周波数特性によってインピーダンスが変化するため、帯域内の全ての周波数に対して短絡点を形成することは、現実的には不可能である。
基本波の整合が十分になされている場合、増幅器の効率の周波数特性は、2倍波周波数の反射係数の位相に対する増幅用トランジスタの効率依存性、および整合回路の2倍波周波数における反射係数の位相条件に依存する。前述したように、整合回路には2倍波周波数に対しても周波数特性があり、基本波に対して整合が十分になされている場合、2倍波周波数における、反射係数の位相条件に対する増幅用トランジスタの効率の依存性に対して、整合回路の2倍波周波数における反射係数の位相特性がどのように変化するかによって、増幅器の効率の周波数特性が決まる。
具体例をあげて、さらに説明を加える。図29は、ある増幅用トランジスタにおける2倍波周波数の反射係数の位相に対する電力効率の特性である。より具体的には、基本波のインピーダンス整合が効率整合になされているときに、増幅用トランジスタの出力端から負荷側を見込んだときの、2倍波の反射係数の位相に対する効率の特性の一例を示している。図29の横軸は、2倍波の反射係数が1のときの2倍波に対する反射係数の位相の変化を示したものであり、縦軸は、増幅用トランジスタの電力効率を示したものである。
理想的なトランジスタにおいては、2倍波周波数における反射係数が1でかつ2倍波周波数の反射係数の位相が180°のときに(すなわち、2倍波周波数のインピーダンスが短絡点を示すときに)トランジスタの動作効率が最も高くなることがよく知られている。しかしながら、図29で示したように、実際のトランジスタでは、2倍波周波数におけるインピーダンスが短絡点(2倍波反射位相が180°)のときに最も効率が高くならない場合が多い。実際のトランジスタ自身が有している寄生のリアクタンス成分や、実装する際に用いる金属ワイヤ等の寄生のリアクタンス成分によって、効率が最大となる2倍波周波数における反射係数の位相条件が変化するためである。
図29から、2倍波の反射係数の位相が変化すると、増幅用トランジスタの電力効率が変化することが見て取れる。例えば、2倍波の反射係数の位相が155°のとき、電力効率が68%と最大になり、この増幅用トランジスタは、短絡点に近いインピーダンスを示すときに、電力効率が最大となるのが見て取れる。
この増幅用トランジスタを用いて、高効率な特性を示す増幅器の出力整合回路を構成するには、基本波での整合をなした上で、増幅用トランジスタの出力端から出力整合回路を見込んだ反射係数の2倍波周波数における位相特性が155°になるよう構成すればよい。このとき、2倍波周波数の位相特性が155°を示す周波数の基本波周波数において、電力効率が最も高くなる。
さらに、広帯域にわたって高効率な特性を実現するには、次のような一例が考えられる。ここでは,増幅器に要求される基本波周波数の2倍の周波数を2倍波周波数と称することとする。図29で示した特性を示す増幅用トランジスタを用いて増幅器を構成する場合において、その2倍波周波数の帯域の一端にて、出力整合回路の2倍波周波数の反射係数の位相が60°であり、もう一端が180°であった場合、この増幅用トランジスタは、その帯域内で60%以上の高い電力効率で動作をすることになる。ただし、その帯域内においては、基本波の整合は、十分になされていることが前提である。
さらに効率を向上させるには、2倍波周波数の帯域内における位相の変化を小さくすることで実現できる。すなわち、出力整合回路の工夫によって、周波数の変化に対する増幅用トランジスタの出力端から出力整合回路を見込んだ反射係数の2倍波の位相変化を小さくすることで、広帯域にわたって高効率な増幅器が実現できることになる。
特開2001−111362号公報 特開2003−234626号公報 特開平8−37433号公報 特開平4−326206号公報
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。従来の技術で示した図27の回路では、点A100に合計10個のスタブを接続している。従って、マイクロストリップ線路等の構成で回路を実現する場合、図28のレイアウト図よりわかるように、金属ブロック121上の誘電体基板122、123は、接続するスタブが増えるほど、その実装面積が大きくなり、かつ接続が困難となる。また、現実のトランジスタには寄生容量が存在することによって、効果が得られにくくなるという技術課題がある。
また、広帯域にわたって高効率な特性を実現する増幅器の整合回路には、例えば、2倍波の周波数の変化に対して、そのインピーダンスの変化が小さい特性が求められる。すなわち、広帯域にわたって高効率を実現する整合回路の構成方法が求められる。しかしながら、特許文献3、4等に示されるように、特定の周波数についての高効率化を実現する方法などの提案はあるが、広帯域にわたって高効率を実現する構成方法について、具体的な実現方法が開示されていないという問題がある。
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、現実的なトランジスタを対象とした、より高効率で広帯域、かつ実装面積が小さく小形な増幅器を得ることを目的とする。
本発明に係る増幅器は、増幅用トランジスタと、増幅用トランジスタの出力端子に接続され、基本波周波数fの整数倍となる複数の周波数において入力サセプタンスが発散する高調波反射用スタブと、一端が増幅用トランジスタの出力端子に高調波反射用スタブと並列に接続され、他端が負荷回路に接続され、増幅用トランジスタの出力アドミタンスと高調波反射用スタブの入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる基本波整合回路とを備えた増幅器によって解決する。特に、高調波反射用スタブにおいては、特に2倍波と3倍波に着目した高調波処理機能を備えたスタブを含むものである。
また、本発明に係る増幅器は、増幅用トランジスタと、増幅用トランジスタの出力端子に接続され、基本波周波数fの2倍の周波数に対して、短絡点を形成する高調波反射用スタブと、一端が増幅用トランジスタの出力端子に高調波反射用スタブと並列に接続され、他端が高周波的に短絡されたショートスタブと、一端が増幅用トランジスタの出力端子に高調波反射用スタブおよびショートスタブと並列に接続され、他端が負荷回路に接続され、基本波周波数fにおいて、増幅用トランジスタの出力アドミタンスと高調波反射用スタブの入力サセプタンスと、ショートスタブの入力サセプタンスとの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる基本波整合回路とを備えた増幅器において、ショートスタブは、増幅用トランジスタの出力サセプタンスと高調波反射用スタブの入力サセプタンスとの和に対して、大きさが等しく逆符号の入力サセプタンスを呈するように調整されているものである。
以下、本発明の増幅器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本発明は、増幅用トランジスタ、高調波反射用スタブ、および基本波整合回路を構成要素として含む増幅器において、より高効率で広帯域、かつ実装面積が小さく小形な増幅器を実現するための技術に関するものである。
なお、以下、実施の形態においては、説明を簡略化するため、増幅器の出力整合回路のみを記載し、入力側整合回路は省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における増幅器の回路図である。また、図2は、本発明の実施の形態1における図1の増幅器を実現するレイアウト図の一例である。まず始めに、図1と図2を参照して、本発明の実施の形態1の増幅器の構成について説明する。図1に示した増幅器は、トランジスタ10(増幅用トランジスタに相当し、以下の説明においては、単にトランジスタと称す)、分岐スタブ20、および基本波整合回路30で構成されている。
ここで、高調波反射用スタブに相当する分岐スタブ20は、3つの伝送線路T21、T22、T23を有している。伝送線路T21の一端は、トランジスタ10の出力端子に接続され、伝送線路T21の他端は、伝送線路T22とT23とが並列に接続されて構成される。
また、基本波整合回路30は、3つの伝送線路T31、T32、T33を縦続接続して構成される。そして、伝送線路T31の一端は、トランジスタ10の出力端子に、分岐スタブ20と並列に接続され、伝送線路T33の一端は、負荷回路(図示せず)が繋がれている出力端OUTに接続されている。
また、分岐スタブ20を構成する各伝送線路T21、T22、T23の特性インピーダンスZと線路長Lの組(Z、L)は、基本波周波数fにおける波長をλとして、例えば、伝送線路T21(25Ω、λ×7/360)、T22(25Ω、λ×24/360)、T23(76Ω、λ×42/360)に調整されている。
一方、基本波整合回路30を構成する各伝送線路T31、T32、T33の各線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスと分岐スタブ20の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
さらに、図2におけるレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された誘電体基板40、および接地された金属ブロック50をさらに示している。
なお、以下の説明においては、分岐スタブ20のように、伝送線路の中途に1つ以上の分岐点を有するスタブをブランチスタブと呼び、ブランチスタブ20と記載する。さらに、伝送線路T21のようにブランチスタブ20の線路途中を構成する部分を幹スタブと呼び、伝送線路T22、T23のようにブランチスタブ20の末端部分を構成する部分を枝スタブと呼ぶ。
図1における増幅器の動作説明をする前に、ブランチスタブ20の動作をまず説明する。図3は、本発明の実施の形態1におけるブランチスタブ20の例示図である。また、図4は、本発明の実施の形態1における従来のオープンスタブによる並列回路の例示図である。
図3のブランチスタブ20は、伝送線路T21の片端に伝送線路T22とT23とを並列に接続して構成されており、図1におけるブランチスタブ20と同一の構成を有している。また、図4は、2つのオープンスタブT24、T25が点Aに並列接続されている。ここで、オープンスタブT24、T25の特性インピーダンスは、どちらも50Ωであり、各線路長は、λ/8、λ/12に調整されている。
また、図3に図示されているBは、点Aから矢印方向を見込んだサセプタンスを表しており、同様に、図4に図示されているBは、点Aから矢印方向を見込んだサセプタンスを表している。さらに、図5は、本発明の実施の形態1における規格化サセプタンスの周波数特性を示した図であり、横軸を周波数、縦軸を50Ωで規格化したサセプタンスとしたときのB、Bに相当するサセプタンスのそれぞれの周波数特性を示したものである。
図5を見ると、BおよびBに対応するそれぞれの周波数特性は、ほぼ一致しており、どちらも基本波周波数fの整数倍に相当する周波数2f、3fにて発散していることがわかる。すなわち、図5の周波数範囲において、図3と図4は、回路的にほぼ等価であると言える。
また、他回路への接続を考慮すると、2つのオープンスタブT24、T25を点Aに接続する必要がある図4の回路よりも、1つの幹スタブT21を点Aに接続するだけでよい図3の回路の方が、接続が容易で実現性が高く、また、回路の実装面積を小さくできる利点がある。つまり、図3に示すようなブランチスタブ20の適用により、複数のオープンスタブを並列接続した回路と同等の動作が可能で、かつ、より実現性が高く実装面積が小さい回路が得られる。
次に、図1の回路構成を有する増幅器の動作について説明する。前述のように、ブランチスタブ20の入力サセプタンスは、周波数2f、3fにおいて発散する。従って、トランジスタ10の出力端子において、トランジスタ10の出力に含まれる基本波周波数fの2次、3次高調波をトランジスタ10へ反射できることとなる。
そして、基本波整合回路30により、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合できるので、回路の高効率化と広帯域化が可能となる。
以上のように、本実施の形態1によれば、トランジスタの出力端子にブランチスタブを適用することにより、複数のオープンスタブを適用する場合よりも、回路の高効率化と広帯域化が可能な増幅器の実現性を高めることができる。さらに、実装面積を小さくでき、回路の小型化を実現できる。
さらに、本実施の形態1による増幅器の実現には、スルーホール等の短絡手段を必要としないので、容易に作成でき、歩留まりを高めることができる。
なお、ブランチスタブ20の構成は、線路中途に1つ、または複数の分岐点を有し、2つ以上の高調波の反射が可能であれば、図1の構成に限定する必要はない。同様に、基本波整合回路30の構成は、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスの和を負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合できれば、図1の構成に限定する必要はない。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2における増幅器の回路図である。また、図7は、本発明の実施の形態2における図6の増幅器を実現するレイアウト図の一例である。本実施の形態2における図6の増幅器の回路は、先の実施の形態1における図1の増幅器の回路と比較すると、トランジスタ10の出力端子に、ショートスタブT61がさらに接続されている点が異なる。また、トランジスタ10にバイアス電圧が印加された際に、ショートスタブT61に電流が流れ込まないように、ショートスタブT61の先端には容量回路62が接続されている。
次に、図6と図7を参照して、本発明の実施の形態2の増幅器の構成について説明する。図6に示した増幅器は、トランジスタ10、ブランチスタブ20、および基本波整合回路30に加えて、さらに、先端に容量回路62が接続されたショートスタブT61を備えて構成されている。
また、基本波整合回路30を構成する伝送線路T31、T32、T33の各線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
さらに、図7におけるレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された誘電体基板40、接地された金属ブロック50、およびショートスタブT61の先端に接続された容量回路62をさらに示している。
次に、図6の回路構成を有する増幅器の動作について説明する。図6の回路は、トランジスタ10の出力端子にショートスタブT61がさらに接続されており、先の実施の形態1における図1の回路よりも容易に、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力端子のインピーダンスを、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合することができる。従って、先の実施の形態1における図1の回路よりも、基本波整合回路30の構成を簡略化できるとともに、増幅器の高効率化と広帯域化が可能となる。その他の動作は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
以上のように、実施の形態2によれば、トランジスタの出力端子に、ブランチスタブと並列に接続されたショートスタブを備えることにより、先の実施の形態1における図1の回路よりも容易に、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力端子のインピーダンスを、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合することができ、実施の形態1よりも高効率、広帯域な増幅器を実現できる。
なお、ショートスタブT61の特性インピーダンスと線路長および容量回路62の容量値を、トランジスタ10の出力端子からショートスタブT61の接続方向を見込んだ入力サセプタンスが、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力サセプタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスの和と、大きさが等しく逆符号の値を呈するように調整することで、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力端子のサセプタンスを零とすることができる。この場合には、先の図6の回路よりも、基本波整合回路30の構成を簡略化できるとともに、増幅器の更なる高効率化と広帯域化が可能となる。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3における増幅器の回路図である。本実施の形態3における図8の増幅器の回路は、先の実施の形態1における図1の増幅器の回路と比較すると、トランジスタ10の出力端子にバイアス回路70がさらに接続されている点が異なる。
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態3の増幅器の構成について説明する。図8に示した増幅器は、トランジスタ10、ブランチスタブ20、および基本波整合回路30に加えて、さらに、バイアス回路70を備えて構成されている。
このバイアス回路70は、直流電圧の印加が可能な直流電圧端子VINに並列接続された容量回路71および伝送線路T72を備えている。伝送線路T72は、その一端がトランジスタ10の出力端子に接続され、他端が直流電圧端子VINに接続されている。また、容量回路71は、その一端が接地され、他端が直流電圧端子VINに接続されている。
また、基本波整合回路30を構成する伝送線路T31、T32、T33の各線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスとバイアス回路70の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。その他の部分は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
次に、図8の回路構成を有する増幅器の動作について説明する。図8の回路は、トランジスタ10の出力端子に、先の実施の形態2における図6のショートスタブT61と同様の動作が可能なバイアス回路70が接続されており、図6の回路と同様に、先の実施の形態1における図1の回路よりも容易に、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力端子のインピーダンスを、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合することができる。
また、先の実施の形態2における図6の回路では、図示していないが、トランジスタ10を動作させるため、図6で示した回路の他に、トランジスタ10のバイアス回路を別途に接続する必要がある。これに対して、本実施の形態3における図8の回路では、このようなバイアス機能を有するバイアス回路70が接続されており、バイアス回路を別途接続する必要がないため、図6の回路よりも小型化が可能となる。
以上のように、実施の形態3によれば、トランジスタの出力端子に、ブランチスタブと並列に接続され、直流電圧を印加可能なバイアス回路を備えることにより、ショートスタブを接続した場合と同様に、先の実施の形態1における図1の回路よりも容易に、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力端子のインピーダンスを、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合することができるとともに、トランジスタのバイアス回路を別途設ける必要をなくすことができ、より小形な増幅器を実現できる。
なお、伝送線路T72の線路長と特性インピーダンスおよび容量回路71の容量値を、トランジスタ10の出力端子から見込んだバイアス回路70の入力サセプタンスが、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスの和と、大きさが等しく逆符号の値を呈するように調整することで、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力端子のサセプタンスを零とすることができる。この場合には、先の図8の回路よりも、基本波整合回路30の構成を簡略化できるとともに、増幅器の更なる高効率化と広帯域化が可能となる。
実施の形態4.
図9は、本発明の実施の形態4における増幅器の回路図である。本実施の形態4における図9の増幅器の回路は、先の実施の形態1における図1の増幅器の回路と比較すると、基本波整合回路30の構成が異なっている。
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態4の増幅器の構成について説明する。図9に示した増幅器は、トランジスタ10、ブランチスタブ20、および基本波整合回路30で構成され、基本構成は、図1と同等である。そして、本実施の形態4における基本波整合回路30は、縦続接続された3つの伝送線路T31、T32、T33とともに、伝送線路T31とT32の接続点に接続されたオープンスタブT34と、伝送線路T32とT33の接続点に接続されたオープンスタブT35とをさらに備えている。
さらに、このオープンスタブT34の線路長は、基本波周波数fの波長をλとして、λ/4のm分の1倍に調整され(mは、2以上の整数)、同様に、オープンスタブT35の線路長は、基本波周波数fの波長をλとして、λ/4のm分の1倍に調整される(mは、2以上の整数)。
伝送線路T31、T32、T33の各線路長と特性インピーダンス、およびオープンスタブT34、T35の特性インピーダンスは、ともに、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。その他の部分は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
次に、図9の回路構成を有する増幅器の動作について説明する。図9の回路は、基本波整合回路30内にオープンスタブT34、T35を備えることにより、出力に含まれるm、m次高調波を反射できる。この結果、先の実施の形態1における図1の回路よりも高調波の反射効率を上げ、高効率化と広帯域化が可能となる。その他の動作は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
以上のように、実施の形態4によれば、基本波周波数fの高調波において1/4波長となる線路長を有するオープンスタブを1以上有する基本波整合回路を備えることにより、基本波整合回路にて高調波の反射を可能とし、実施の形態1よりも高効率、広帯域な増幅器を実現できる。
実施の形態5.
図10は、本発明の実施の形態5における増幅器の回路図である。本実施の形態5における図10の増幅器の回路は、先の実施の形態1における図1の増幅器の回路と比較すると、トランジスタ10の出力端子に3つのオープンスタブT81、T82、T83がさらに接続されている点が異なる。
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態5の増幅器の構成について説明する。図10に示した増幅器は、トランジスタ10、ブランチスタブ20、および基本波整合回路30に加えて、さらに、3つのオープンスタブT81、T82、T83を備えて構成されている。
ここで、オープンスタブT81、T82、T83の各線路長は、それぞれλ/4のm分の1倍、m分の1倍、m分の1倍(m、m、mは、全て2以上の整数)に調整されている。
また、基本波整合回路30内の伝送線路T31、T32、T33の各線路長および特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ10の出力アドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスとオープンスタブT81、T82、T83の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。その他の部分は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
次に、図10の回路構成を有する増幅器の動作について説明する。図10の回路は、オープンスタブT81、T82、T83により、トランジスタ10の出力端子において、出力に含まれるm、m、m次高調波を反射できる。この結果、先の実施の形態1における図1の回路よりも高調波の反射効率を上げ、高効率化と広帯域化が可能となる。その他の動作は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
以上のように、実施の形態5によれば、高調波にて1/4波長の線路長を有する1以上のオープンスタブをトランジスタの出力端子に備えることにより、トランジスタの出力端子における高調波の反射効率を上げることができ、実施の形態1よりも高効率、広帯域な増幅器を実現できる。
実施の形態6.
図11は、本発明の実施の形態6における増幅器の回路図である。本実施の形態6における図11の増幅器の回路は、先の実施の形態1における図1の増幅器の回路と比較すると、トランジスタ10の出力端子と、ブランチスタブ20および基本波整合回路30との間に、入力線路に相当する伝送線路T91がさらに挿入接続されている点が異なる。
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態6の増幅器の構成について説明する。図11に示した増幅器は、トランジスタ10、ブランチスタブ20、および基本波整合回路30に加えて、さらに、伝送線路T91を備えて構成されている。
先の実施の形態1では、トランジスタ10の出力端子は、ブランチスタブ20および基本波整合回路30と直接接続されていた。これに対して、本実施の形態6では、トランジスタ10の出力端子は、伝送線路T91を介して、ブランチスタブ20および基本波整合回路30と接続されている。
ここで、伝送線路T91の線路長は、基本波周波数fの波長をλとしてλ/4に調整されている。さらに、基本波整合回路30内の伝送線路T31、T32、T33の各線路長および特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、伝送線路T91を介してトランジスタ10側を見込んだアドミタンスとブランチスタブ20の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。その他の部分は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
次に、図11の回路構成を有する増幅器の動作について説明する。図11の回路は、トランジスタ10の出力端子と、ブランチスタブ20および基本波整合回路30との間に伝送線路T91を接続している。この結果、トランジスタ10の出力端子から負荷回路側を見込んだインピーダンスを、2次高調波で短絡、3次高調波で開放とし、内部に寄生容量回路等が存在しない理想的なトランジスのF級動作が可能となる。その他の動作は、実施の形態1と同様なので説明は省略する。
以上のように、実施の形態6によれば、トランジスタの出力端子と、ブランチスタブおよび基本波整合回路との間に、基本波周波数fで1/4波長の線路長を有する伝送線路を備えることにより、トランジスタの出力端子のインピーダンスを偶数次高調波に対して短絡、奇数次高調波に対して開放とし、理想的なトランジスタに対してF級動作が可能で小型な増幅器を実現できる。
実施の形態7.
本実施の形態7では、多層基板構造により増幅器を実現するレイアウトについて説明する。より具体的には、先の実施の形態5における図10の回路を備えた増幅器を、多層基板構造により実現する場合について説明する。
図12は、本発明の実施の形態7における多層基板構造により増幅器を実現する上部層のレイアウト図および断面図の一例である。さらに、図13は、本発明の実施の形態7における多層基板構造により増幅器を実現する内部層のレイアウト図の一例である。
図12に示す上部層には、ブランチスタブ20および基本波整合回路30のそれぞれが配置され、内部層には、オープンスタブT81、T82、T83が配置されている。さらに、上部層と内部層は、スルーホール84を介して接続されている。その他の部分は、図2と同様なので説明は省略する。
多層基板構造で回路を構成する場合、図13のように、多層基板内部の層にもオープンスタブ等を配置できる。この結果、マイクロストリップ線路構造を用いる場合よりも、基板厚は厚くなるものの、実装面積を小さくでき、また、1箇所に、より多くのスタブを接続できる。
以上のように、実施の形態7によれば、多層基板構造を用いて複数のスタブを異なる基板層に分けて配置する構造により増幅器を構成することにより、マイクロストリップ線路構造を用いる場合よりも実装面積が小さく、かつ、1箇所に、より多くのスタブを接続可能な増幅器を実現できる。
実施の形態8.
図14は、本発明の実施の形態8における増幅器の回路図である。図14中に示した増幅器は、増幅用トランジスタ10a、出力負荷端子ZL、2倍波反射用オープンスタブ20a、インピーダンス変成用のマイクロストリップ線路からなる基本波整合回路30、および先端がコンデンサ63によって高周波的に短絡されたショートスタブT61で構成されている。
ここで、図14中の節点Aは、説明用に便宜的に示した回路中の節点に与えた記号である。また、ここではショートスタブT61の短絡点を形成するのに、コンデンサ63を例としているが、高周波的に短絡できれば、コンデンサである必要はない。また、2倍波反射用オープンスタブ20aは、高調波反射用スタブの一種に相当する。
次に、動作について説明する。図14中の2倍波反射用オープンスタブ20aは、2倍波の波長に対して4分の1の長さとして先端開放型スタブ線路になるように調整されており、基本波周波数の2倍の周波数に対して短絡点を形成する。また、この2倍波反射用オープンスタブ20aは、基本波に対して、容量性のインピーダンスを有することになる。この2倍波反射用オープンスタブ20aの2倍波において示すインピーダンスの作用によって、増幅用トランジスタ10aは、高効率に動作する。
次に、効果について説明する。図14中のショートスタブT61は、基本波に対して誘導性のインピーダンスを示している。このショートスタブT61の線路長を調整することで誘導性を調整し、増幅用トランジスタ10aの有する出力容量成分と、2倍波反射用オープンスタブ20aの容量成分とをあわせた容量成分を、基本波周波数において打ち消す分だけの誘導性を持たせる。
これにより、基本波周波数において、図14中の節点Aから、増幅用トランジスタ10a側を見込んだときの、基本波周波数における入力インピーダンスは、実数となる。最後に、その実数値に対して、基本波整合回路30のマイクロストリップ線路によってインピーダンス変成を行い、出力負荷ZLに対して基本波整合を実現する。この結果、実施の形態2で説明したのと同様に、基本波に対して広帯域にインピーダンス変成を実現できる。
以下、2倍波周波数におけるインピーダンスの設定について、より詳細に説明する。
前述したように、実際のトランジスタでは、2倍波周波数におけるインピーダンスが短絡点のときに最も効率が高くならない場合が多い(例えば、実際のトランジスタの効率特性の例を示した図29を参照)。実際のトランジスタ自身が有している寄生のリアクタンス成分や、実装する際に用いる金属ワイヤ等の寄生のリアクタンス成分によって、効率が最大となる2倍波周波数における反射係数の位相条件が変化するためである。
図30は、従来の増幅器における2倍波の位相設定と、2倍波の反射係数の位相変化に対する電力効率の変化特性の一例である。従来の増幅器においては、出力整合回路の高調波反射スタブの電気長は、帯域の中心周波数において短絡点を形成するように設定されるのが一般的である。ここで、効率が最大となる位相条件が、短絡点から誘導性にずれた場合、増幅器を使用する周波数帯域の低い周波数で効率が低下する。一方、図示していないが、効率の最大点が短絡点から容量性にずれた場合には、周波数帯域の高い周波数での効率が低下する。このように、効率が最大となる位相条件が変化した場合に、従来の増幅器の構成では、帯域内の効率特性が悪くなる問題がある。
このため,高調波反射スタブと増幅用トランジスタの間に,2倍波の反射係数の位相を調整するための線路を装荷することは、一般によく行われている位相条件の調整方法である。しかし、こういった位相調整用の線路を装荷することで、2倍波周波数における整合回路の周波数特性が、より大きくなり、増幅器を利用する周波数帯域内での効率の特性が低下するという、次の新たな問題が生じる。この問題を解決するためには、2倍波周波数における整合回路の周波数特性を、より小さくする必要がある。
2倍波周波数における反射係数の位相に対する増幅用トランジスタの効率特性によっては、増幅器を利用する周波数帯域の2倍波周波数における整合回路のインピーダンスを、短絡点から誘導性側で周波数特性を小さくしたい場合、あるいは、容量性側で周波数特性を小さくしたい場合がある。以下、2倍波周波数における整合回路のインピーダンスを短絡点から誘導性側で小さくしたい場合と、容量性側で小さくしたい場合との両者に対して、それぞれ好適なショートスタブならびにオープンスタブの構成と、その効果について説明する。
まず、2倍波周波数における整合回路の周波数特性を、短絡点から誘導性側で小さくしたい場合に対する好適な構成について説明する。図14に記載の増幅器において、2倍波反射用オープンスタブ20aは、増幅器に必要な基本波周波数の帯域の最も低い周波数FLにおける波長をλとした場合に、電気長をλ/8に設定することで、FLの2倍波周波数において短絡点を形成する。
また、ショートスタブT61の電気長を、増幅器に必要とされる基本波周波数の帯域の最も高い周波数FHにおける波長をλとした場合に、λ/8以下に設定する。このとき、ショートスタブT61は、基本波およびFHの2倍波周波数において誘導性のインピーダンスを示す。また、このショートスタブT61の線路長を調整することで誘導性を調整し、増幅用トランジスタ10aの有する出力容量成分と、2倍波反射用オープンスタブ20aの容量成分とを合わせた容量成分を基本波周波数において打ち消す分だけの誘導性を持たせる。なお、基本波の整合については、前述と同様に整合回路30で実現する。
2倍波反射用オープンスタブ20aは、それ単体だけでは、FLより高い周波数の2倍波周波数において誘導性のインピーダンスを示すため、2×FL以上の周波数において、短絡点から誘導性へ乖離する。特に、2×FHの周波数において、乖離が大きくなり、効率が低下する。ショートスタブT61は、帯域の2倍波周波数において誘導性のインピーダンスを示しており、これが並列接続されることで、これらスタブの合計インピーダンスの2倍波周波数の帯域内における誘導性を減じる。従って、2倍波反射用オープンスタブ20aのみで構成されている場合に比べて、FLより高い周波数の2倍波周波数に対してのインピーダンスの短絡点からの乖離を抑える効果がある。このように、基本波だけでなく、2倍波周波数に対しても広帯域に渡ってインピーダンス変成を実現できる。
次に、2倍波周波数における整合回路の周波数特性を、短絡点から容量性側で小さくしたい場合に対する好適な構成について説明する。図14に記載の増幅器において、2倍波反射用オープンスタブ20aは、増幅器に必要な基本波周波数の帯域の高域側での周波数FHにおける波長をλとした場合に、電気長をλ/8としてFHの2倍波周波数において短絡点を形成する。
また、ショートスタブT61の電気長をλ/8以上、λ/4以下に設定する。このとき、ショートスタブT61は、基本波においては誘導性、2倍波周波数においては容量性のインピーダンスを示す。また、このショートスタブT61の線路長を調整することで誘導性を調整し、増幅用トランジスタ10aの有する出力容量成分と、2倍波反射用オープンスタブ20aの容量成分とを合わせた容量成分を基本波周波数において打ち消す分だけの誘導性を持たせる。なお、基本波の整合については、前述と同様に整合回路30で実現する。
2倍波反射用オープンスタブ20aは、それ単体だけでは、FHより低い周波数の2倍波周波数において容量性のインピーダンスを示すため、2×FH以下の周波数において、短絡点から容量性へ乖離する。特に、FLの2倍波周波数において、乖離が大きくなり、効率が低下する。ショートスタブT61は、帯域の2倍波周波数において容量性のインピーダンスを示しており、これが並列接続されることで、これらスタブの合計インピーダンスの帯域内における容量性を増加させる。従って、2倍波反射用オープンスタブ20aのみで構成されている場合に比べて、FHより低い周波数の2倍波周波数に対してのインピーダンスの短絡点からの乖離を抑える効果がある。このように、基本波だけでなく、2倍波周波数に対しても広帯域に渡ってインピーダンス変成を実現できる。
以上のように、実施の形態8によれば、基本波と2倍波の両方に対して効率を向上する最適なインピーダンスに広帯域に渡って整合を実現できる増幅器を得ることができる。また、3倍波のスタブを省略しているので、先の実施の形態2で述べた増幅器に比べて、回路がさらに小型になる効果がある。
実施の形態9.
本実施の形態9では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成について説明する。図15は、本発明の実施の形態9における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。本実施の形態9における図15のレイアウト図は、先の実施の形態2における図7のレイアウト図と比較すると、次の3点が異なる。
まず、1点目としては、高調波反射用スタブとして、ブランチスタブ20の代わりに、2倍波反射用スタブ26を用いている。この2倍波反射用スタブ26は、先の図14の回路における2倍波反射用オープンスタブ20aに相当する。2点目としては、増幅用トランジスタ10の代わりに、複数のセルからなるトランジスタ11を用いている点が異なる。この複数のセルからなるトランジスタ11は、先の図14の回路における増幅用トランジスタ10aに相当する。
3点目としては、ショートスタブT61の先端には容量回路62の代わりに、端子の一端が接地されたチップコンデンサ63が接続されている。このチップコンデンサ63は、複数のセルからなるトランジスタ11に並べて配置され、その電極の一端は、金属キャリアによって接地されている。さらに、チップコンデンサ63と、ショートスタブT61の先端が金属ワイヤで接続されている。
また、図15におけるレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された誘電体基板40、接地された金属ブロック50をも示している。その他の構成は、先の実施の形態7と同じであり、説明を省略する。このように構成された図15の増幅器は、先の実施の形態8において説明したような動作を実現できる。
本実施の形態9においては、ブランチスタブ20の代わりに、2倍波反射用スタブ26を用いることで、先の実施の形態2で示した図7のレイアウト図と比較して、3倍波の反射回路を省略することができ、回路を小型化できる。
また、図15に示したように、短絡点を形成するチップコンデンサ63を複数のセルからなるトランジスタ11の脇に配置することで、先の実施の形態2で示した図7のレイアウト図と比較して、実装面積を小さくでき、増幅器のさらなる小型化を実現できる。また、チップコンデンサ63は、金属ブロック50に直接実装されるので、回路損失が小さくなる効果がある。
また、本実施の形態9の構成における2倍波反射用スタブ26において、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブT61が基本波周波数fの2倍の周波数2fにおいて誘導性に見える場合(基本波周波数fの波長をλとして、ショートスタブT61の電気長がλ/8以下の場合)、2倍波周波数における2倍波反射用スタブ26のリアクタンス成分と、ショートスタブT61のリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するインピーダンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できる。このような優れた特性について、具体例をあげて、以下に説明を加える。
図16は、本発明の実施の形態9における増幅器の2倍波の位相の周波数特性を示したものである。より具体的には、電気長をλ/8以下としたショートスタブT61と2倍波反射用オープンスタブ20aとを併用して出力整合回路を構成した場合と、2倍波反射用オープンスタブ20aのみで出力整合回路を構成した場合の周波数特性の計算結果の比較を示す。
横軸は、2倍波の周波数であり、縦軸は、増幅用トランジスタ端から負荷方向を見込んだときの、出力整合回路の2倍波の位相変化である。そして、横軸の周波数において、FLは、増幅器に必要とされる帯域の最も低い周波数を示し、FCは、帯域の中心の周波数を示し、さらに、FHは、帯域の最も高い周波数を示している。
図16の計算結果が示すように、2倍波反射用オープンスタブ20aのみで出力整合回路を構成した場合に比べて、電気長をλ/8以下としたショートスタブT61と2倍波反射用オープンスタブ20aとを併用して出力整合回路を構成した場合の方が、2倍波の位相変化が小さくなっているのが見て取れる。
以上のように、実施の形態9によれば、2倍波反射用オープンスタブとショートスタブとの組み合わせにより、広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用オープンスタブとショートスタブとの組み合わせの場合を計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブとの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。電気長がλ/8以下のショートスタブが、2倍波の位相変化に与える影響は、ブランチスタブを用いた場合でも同様であるためである。そして、ブランチスタブと、電気長がλ/8以下のショートスタブとの組み合わせを用いて回路を構成した場合、周波数の変化に対する2倍波の位相変化は、より小さくなり、同様に広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
実施の形態10.
本実施の形態10では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成として、先の実施の形態9とは異なる構成について説明する。図17は、本発明の実施の形態10における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。
本実施の形態10における図17のレイアウト図は、先の実施の形態9における図15のレイアウト図と比較すると、次の点が異なる。本実施の形態10においては、トランジスタ11の1セルあたりに対して、2倍波反射用スタブ26とショートスタブT61、チップコンデンサ63が先の実施の形態9と比較して2倍になっている。
なお、この図17においては、2倍波反射用スタブ26、ショートスタブT61、およびチップコンデンサ63を2つ備えた構成を示しているが、この構成に限定されず、3つ以上を備えた構成とすることも可能である。
また、図17におけるレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された誘電体基板40、接地された金属ブロック50をも示している。
また、基本波整合回路30を構成する伝送線路T31、T32、T33の各線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、複数のセルからなるトランジスタ11の出力アドミタンスと2倍波反射用スタブ26の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
その他については、先の実施の形態9と同様であり、説明を省略する。このように構成された図17の増幅器は、先の実施の形態8において説明したような動作を実現できる。
本発明の実施の形態10においては、2倍波反射用スタブ26とショートスタブT61を1つの増幅用トランジスタに対して2つ以上有することから、先の実施の形態9で示した効果に加えて、2倍波におけるそれらのリアクタンス成分の合計が1つの場合と比べて小さくなる。この結果、2倍波に対する位相の変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率を実現できる効果がある。このような優れた効果について、具体的な計算例を挙げて、以下に説明を加える。
図18は、本発明の実施の形態10における増幅器の2倍波の位相の周波数特性を示したものである。より具体的には、同じゲート幅の増幅用トランジスタ11に対して、2倍波反射用スタブ26とショートスタブT61の組を(a)1組にした場合、(b)2組の場合、(c)4組の場合のそれぞれについて、周波数特性の計算結果を比較したものである。
(a)のケースは、先の実施の形態9の構成に相当し、(b)(c)のそれぞれのケースは、本実施の形態10の構成に相当する。横軸は、2倍波の周波数であり、縦軸は、増幅用トランジスタ端から負荷方向を見込んだときの、出力整合回路の2倍波の位相変化である。そして、横軸の周波数において、FLは、増幅器に必要とされる帯域の最も低い周波数を示し、FCは、帯域の中心の周波数を示し、さらに、FHは、帯域の最も高い周波数を示している。
図18の計算結果が示すように、同じゲート幅の増幅用トランジスタ11に対して、2倍波反射用スタブ26とショートスタブT61の組み数を増やした方が、2倍波の周波数に対する位相の変化が小さくなることがわかる。例えば、組み数が1の場合には、2×FL〜2×FHの周波数の変化の間に、整合回路の位相は、168°から96°の範囲で変化をして、変化幅は72°になる。これに対して、組み数が2の場合には、168°から118°となり、その変化幅は50°となる。さらに、組み数が4の場合には、168°から138°となり、変化幅は30°となっている。
図19は、本発明の増幅器における2倍波の位相変化に対する電力効率の変化特性である。より具体的には、従来技術の説明で用いた図29の電力効率の変化特性に対して、図18で示した組み数による違いを合わせて示したものである。図19に示すように、1組よりも2組、2組より4組の2倍波反射用スタブ26とショートスタブT61の組を用いた方が、周波数に対する位相の変化が小さく、広帯域にわたって高効率な特性が得られることがわかる。
以上のように、実施の形態10によれば、2倍波反射用オープンスタブとショートスタブを同じゲート幅の増幅用トランジスタに対して2つ以上有することにより、先の実施の形態9で示した効果よりも、2倍波に対する位相の変化をさらに小さくすることができ、広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。さらに、2組以上で構成されるショートスタブとオープンスタブの組み数を増やすにしたがって、さらに広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
また、複数の組を用いることで、先の実施の形態9に係る増幅器の効果に加えて、ショートスタブ1つあたりで形成する誘導性の量を大きくすることができる。この結果、1組の場合に比べて、ショートスタブの線路長が長くなり、回路レイアウトを行う上で自由度が増す効果が得られる。
また、増幅用トランジスタの中心軸に対して、複数の組のショートスタブ、オープンスタブを左右対称に構成することで、増幅用トランジスタ内の各セルから、出力整合回路の電気的特性を見たときの差を小さくすることができる。この結果、トランジスタの各セルの均一動作を促し、増幅器の出力と効率を向上させる効果が得られる。
また、ショートスタブを高周波的に短絡する際に、チップコンデンサを用いた場合、チップコンデンサの寄生成分による損失により、出力や効率が低下する。しかしながら、本実施の形態10のように、例えば、2組のショートスタブ、オープンスタブの組み合わせで回路を構成した場合、その損失は半分になり、4組ならその4分の1となる。したがって、複数の組を用いることで、寄生の損失を減らすことができるため、1つの場合に比べて、高出力、高効率な増幅器を構成することができる。
また、先の実施の形態9と同様の以下の効果を得ることもできる。まず、短絡点を形成するチップコンデンサを複数のセルからなるトランジスタの脇に配置することで、実装面積を小さくでき、増幅器のさらなる小型化を実現できる。また、チップコンデンサは、金属ブロックに直接実装されるので、回路損失が小さくなる効果がある。
また、本実施の形態10の構成における2倍波反射用スタブにおいて、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブが基本波周波数fの2倍の2fの周波数において誘導性に見える場合、2倍波周波数における2倍波反射用スタブのリアクタンス成分と、ショートスタブのリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から見た出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するリアクタンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できるという効果が得られる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用スタブとショートスタブの組み合わせを計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。同じゲート幅のトランジスタに対して、複数の組のブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いることで、より広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
実施の形態11.
本実施の形態11では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成として、先の実施の形態9、10とは異なる構成について説明する。図20は、本発明の実施の形態11における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。
本実施の形態11における図20のレイアウト図は、先の実施の形態10における図17のレイアウト図と比較すると、2倍波反射用スタブ26および基本波整合回路30の配置が異なっている。
また、基本波整合回路30の線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ11の出力アドミタンスと2倍波反射用スタブ26の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
また、図20におけるレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された誘電体基板40、接地された金属ブロック50をも示している。その他については、先の実施の形態10と同様であり、説明を省略する。このように構成された図20の増幅器は、先の実施の形態8において説明したような動作を実現できる。
次に、図20の回路構成を有する本実施の形態11の増幅器の動作について説明する。本実施の形態11においては、先の実施の形態10の図17に示したレイアウト図と異なり、トランジスタ11の各セルから、2倍波反射用スタブ26までの電気的な経路長が等しくなるように配置され、複数セルからなるトランジスタ11の各セルから見たときの2倍波反射用スタブ26の入力インピーダンスの差が小さくなるように工夫して配置されている。
これによって、トランジスタ11の各セルから2倍波反射用スタブ26のインピーダンス特性を見たときの電気特性がそろうため、トランジスタ11の各セルは、均一に動作する。この結果、不均一に動作することによって生じる不安定性を抑えることができる効果がある。従って、本実施の形態11の図20で示した増幅器は、先の実施の形態10の図17で示した増幅器に比べて、より高出力、高効率かつ、安定に動作する。
以上のように、実施の形態11によれば、先の実施の形態10で示した増幅器の効果に加えて、トランジスタ11の各セルから見たときの2倍波反射用スタブ26の入力インピーダンスの差が小さくなり、トランジスタ11の各セルが均一に動作することで、高出力、高効率、安定に動作する増幅器を得ることができる。
また、先の実施の形態9と同様の以下の効果を得ることもできる。まず、短絡点を形成するチップコンデンサを複数のセルからなるトランジスタの脇に配置することで、実装面積を小さくでき、増幅器のさらなる小型化を実現できる。また、チップコンデンサは、金属ブロックに直接実装されるので、回路損失が小さくなる効果がある。
また、本実施の形態11の構成における2倍波反射用スタブにおいて、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブが基本波周波数fの2倍の2fの周波数において誘導性に見える場合、2倍波周波数における2倍波反射用スタブのリアクタンス成分と、ショートスタブのリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から見た出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するリアクタンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できるという効果が得られる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用スタブとショートスタブの組み合わせを計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。同じゲート幅のトランジスタに対して、複数の組のブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いることで、より広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
実施の形態12.
本実施の形態12では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成として、先の実施の形態9〜11とは異なる構成について説明する。図21は、本発明の実施の形態12における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。
この図21に示すように、本実施の形態12における増幅器は、先の実施の形態11における図20の増幅器の回路を2並列合成したものである。また、出力整合回路中のショートスタブT61の短絡点を形成するチップコンデンサ63a〜63cのうち、2つの増幅用トランジスタ11の間にあるチップコンデンサ63bは、2つの増幅用トランジスタ11に対して、装荷されるショートスタブT61の短絡点として共有されている。また、このチップコンデンサ63bは、共有されていないチップコンデンサ63a、63bに比べて2倍の容量を有している。
また、基本波整合回路30を構成する伝送線路T31、T32、T33の各線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ11の出力アドミタンスと2倍波反射用スタブ26の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
また、図21におけるレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された誘電体基板40、接地された金属ブロック50をも示している。
次に、図21の回路構成を有する本実施の形態12の増幅器の動作について説明する。本実施の形態12においては、先の実施の形態11の図20に示した増幅器の回路を2並列合成しているものである。そのため、それぞれのトランジスタ11は、先の実施の形態8で説明したようにそれぞれが動作をし、それぞれの出力は、T31〜T33の伝送線路で合成されて出力として取り出される。それぞれのトランジスタは、高効率で動作するため、2並列で動作している本実施の形態12においても、同様に高効率で動作する。
以上のように、実施の形態12によれば、2並列で構成された増幅器を動作させているため、先の実施の形態11の増幅器に比べて、2倍の出力が取り出せる効果がある。
また、2つあるトランジスタ11の間にあるチップコンデンサ63bを2つのショートスタブT61の短絡点として共有することで、単純に2並列構成とするよりも実装面積が小さくなり、小型の増幅器を提供することができる。また、チップコンデンサの数が減り、低コストな増幅器を提供することができる。
また、先の実施の形態9と同様の以下の効果を得ることもできる。まず、短絡点を形成するチップコンデンサを複数のセルからなるトランジスタの脇に配置することで、実装面積を小さくでき、増幅器のさらなる小型化を実現できる。また、チップコンデンサは、金属ブロックに直接実装されるので、回路損失が小さくなる効果がある。
また、本実施の形態12の構成における2倍波反射用スタブにおいて、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブが基本波周波数fの2倍の2fの周波数において誘導性に見える場合、2倍波周波数における2倍波反射用スタブのリアクタンス成分と、ショートスタブのリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から見た出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するリアクタンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できるという効果が得られる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用スタブとショートスタブの組み合わせを計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。同じゲート幅のトランジスタに対して、複数の組のブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いることで、より広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
実施の形態13.
本実施の形態13では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成として、先の実施の形態9〜12とは異なる構成について説明する。図22は、本発明の実施の形態13における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。
本実施の形態13における図22のレイアウト図は、先の実施の形態11における図20のレイアウト図と比較すると、次の4点が異なる。まず、1点目としては、チップコンデンサ63は1つになり、ショートスタブT61を一つにまとめている。
また、2点目としては、基板にはスルーホール84で接地されたパターンを設け、チップコンデンサ63は、この接地されたパターンによって、電極の一端が電気的に接地されている。また、3点目として、ショートスタブT61は、このチップコンデンサ63と金属ワイヤなどの配線によって電気的に接続され、高周波的な短絡点を形成している。さらに、4点目として、このチップコンデンサ63の容量は、2倍になっている。
この図22に示す増幅器において、基本波整合回路30の線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ11の出力アドミタンスと2倍波反射用スタブ26の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
また、図22に示すレイアウト図において、それぞれの伝送線路については、マイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路を構成する誘電体基板40、接地された金属ブロック50をも示している。その他については、実施の形態11と同様であり、説明を省略する。
次に、図22の回路構成を有する本実施の形態13の増幅器の動作について説明する。本実施の形態13においては、先の実施の形態11の図20に示したレイアウト図と異なり、トランジスタ11の各セルから、ショートスタブT61の電気的な経路長が等しくなるように配置され、複数セルからなるトランジスタ11の各セルから見たときのショートスタブT61の入力インピーダンスの差が小さくなるように工夫して配置されている。
これによって、トランジスタ11の各セルからショートスタブT61のインピーダンス特性を見たときの電気特性がそろうため、トランジスタ11の各セルは、先の実施の形態11と比較して、さらに均一に動作する。
以上のように、実施の形態13によれば、先の実施の形態11で示した増幅器の効果に加えて、トランジスタ11の各セルから見たときのショートスタブT61の入力インピーダンスの差が小さくなり、トランジスタ11の各セルがさらに均一に動作する。これにより、先の実施の形態11よりもさらに高出力、高効率で動作する増幅器を得ることができる。
さらに、トランジスタの各セルが均一に動作することで、トランジスタセルの不均一動作によって生じる発振などの増幅器の不安定性を抑えることができ、増幅器を安定に動作させる効果も得られる。
さらに、チップコンデンサが一つ減ることによって、部品点数が減るとともに、配線を実施するための工程が減り、その工程に必要な費用も削減でき、より低コストな増幅器を提供することができる。さらに、削減されるチップコンデンサの実装面積の分だけ、より小型になる効果も得られる。
また、先の実施の形態9と同様の以下の効果を得ることもできる。本実施の形態13の構成における2倍波反射用スタブにおいて、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブが基本波周波数fの2倍の2fの周波数において誘導性に見える場合、2倍波周波数における2倍波反射用スタブのリアクタンス成分と、ショートスタブのリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から見た出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するリアクタンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できるという効果が得られる。
なお、この回路構成において、チップコンデンサ63の代わりに、半導体プロセス技術を用いて整合回路基板上にMIMキャパシタを作ることが可能である。このようなMIMキャパシタを作ることにより、高周波的な短絡点を用意し、MIMキャパシタとショートスタブT61の電気的な接続を、同じく半導体プロセス技術を用いたエアブリッジ等の配線によって電気的に接続することができる。
これによって、ショートスタブT61と高周波的な短絡点を作るコンデンサとの接続部分の配線を、金属ワイヤなど製造ばらつきが大きくなる部位を、製造ばらつきが小さく、電気的に安定した配線に置き換えることが可能となり、回路の製造ばらつきを抑えることができる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用スタブとショートスタブの組み合わせを計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。同じゲート幅のトランジスタに対して、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いることで、より広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
実施の形態14.
本実施の形態14では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成として、先の実施の形態9〜13とは異なる構成について説明する。図23は、本発明の実施の形態14における増幅器を実現するレイアウト図の一例であり、3層からなる多層基板構造により増幅器を実現する上部層(第3面)のレイアウト図および断面図の一例を示している。
基本的な構成は、先の実施の形態11における図20の構成と同じである。しかしながら、図23に示すように、本実施の形態14における増幅器は、先の実施の形態11における図20中の回路基板を多層基板41で構成し、ショートスタブT61を多層基板41の内部層である第1面の誘電体基板中に構成し、第1面に配されたショートスタブT61と第3面に配置された基本波整合回路30および2倍波反射用スタブ26とをスルーホール84で電気的に接続した点が異なっている。
また、基本波整合回路30を構成する伝送線路の線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ11の出力アドミタンスと2倍波反射用スタブ26の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
また、図23における第3面のレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された多層基板41、接地された金属ブロック50をも示している。
図24は、本発明の実施の形態14における3層基板を用いた増幅器の内層部である第1面と第2面の配線パターンのレイアウトの一例、および図23中に点線丸印で示したA部の拡大図を示した図である。A部の拡大図において、上層部の誘電体の一部は切り取られ、内層に構成されたショートスタブT61の配線の一部が剥き出しとなっている。そして、剥き出した部位と、一端が接地されたチップコンデンサ63とを金属ワイヤによって電気的に接続することでショートスタブT61を構成している。
また、図24中に示した第0面は、金属ブロック50と接続され接地面を形成し、第0面と第2面は、スルーホール84aを介して電気的に接続され、第2面は、ほぼ全てが導体パターンで占められ接地面を形成している。なお、第1面および第3面は、第2面とは電気的に接続されず、第2面には、第1面と第3面を接続するスルーホール84の場所に導体パターンの逃げを設けてある。
次に、図23、図24の回路構成を有する本実施の形態14の増幅器の動作について説明する。本実施の形態14においては、先の実施の形態11の図20に示したレイアウト図と異なり、トランジスタ11の各セルから、ショートスタブT61の電気的な経路長が等しくなるように、スルーホール84が配置され、複数セルからなるトランジスタ11の各セルから見たときのショートスタブT61の入力インピーダンスの差が小さくなるように工夫して配置されている。
これによって、トランジスタ11の各セルからショートスタブT61のインピーダンス特性を見たときの電気特性がそろうため、トランジスタ11の各セルは、先の実施の形態11と比較して、さらに均一に動作する。
以上のように、実施の形態14によれば、先の実施の形態11で示した効果に加えて、トランジスタの各セルから、2倍波反射用スタブとショートスタブのインピーダンス特性を見たときの電気特性の差が小さくり、トランジスタの各セルは、均一に動作する。これにより、先の実施の形態11よりも、増幅器の出力と効率をさらに向上させた増幅器を得ることができる。
さらに、トランジスタの各セルが均一に動作することで、不均一に動作することによって生じる不安定性を抑えることができる。従って、図20で示した先の実施の形態11の増幅器に比べて、より高出力、高効率かつ、安定に動作する増幅器を実現できる。
また、先の実施の形態9と同様の以下の効果を得ることもできる。まず、短絡点を形成するチップコンデンサを複数のセルからなるトランジスタの脇に配置することで、実装面積を小さくでき、増幅器のさらなる小型化を実現できる。また、チップコンデンサは、金属ブロックに直接実装されるので、回路損失が小さくなる効果がある。
また、本実施の形態14の構成における2倍波反射用スタブにおいて、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブT61が基本波周波数fの2倍の2fの周波数において誘導性に見える場合、2倍波周波数における2倍波反射用スタブのリアクタンス成分と、ショートスタブのリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から見た出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するリアクタンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できるという効果が得られる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用スタブとショートスタブの組み合わせを計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。同じゲート幅のトランジスタに対して、複数の組のブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いることで、より広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
実施の形態15.
本実施の形態15では、先の実施の形態8における図14の増幅器を実現するための具体的な構成として、先の実施の形態9〜14とは異なる構成について説明する。図25は、本発明の実施の形態15における増幅器を実現するレイアウト図の一例であり、4層からなる多層基板構造により増幅器を実現する上部層(第4面)のレイアウト図および断面図の一例を示している。
基本的な構成は、先の実施の形態11における図20の構成と同じである。しかしながら、図25に示すように、本実施の形態15における増幅器増幅器は、先の実施の形態11における図20中の回路基板を多層基板41で構成し、ショートスタブT61を多層基板41の内部層である第2面の誘電体基板中に構成し、第2面に配されたショートスタブT61と、第4面に配置された基本波整合回路30および2倍波反射用スタブ26とをスルーホール84で電気的に接続した点が異なっている。
また、基本波整合回路30を構成する伝送線路の線路長と特性インピーダンスは、基本波周波数fにおいて、トランジスタ11の出力アドミタンスと2倍波反射用スタブ26の入力サセプタンスとショートスタブT61の入力サセプタンスの和を、負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合するように調整されている。
また、図25における第4面のレイアウト図は、それぞれの伝送線路をマイクロストリップ線路構造により実現したものであり、マイクロストリップ線路が構成された多層基板41、接地された金属ブロック50をも示している。
図26は、本発明の実施の形態15における4層基板を用いた増幅器の内層部である第1面〜第3面の配線パターンのレイアウトの一例を示した図である。図26の平面図としては、第0面は示されていないが、第0面は、金属ブロック50と接続され接地面を形成している。さらに、第0面は、スルーホール84aを介して第3面と電気的に接続されている。
また、図26に示すように、第1面と第3面は、ほぼ全てが導体パターンで占められている。そして、第3面は、スルーホール84aを介して接地面と電気的に接続されるため、接地面を形成する。
なお、第1面には、第0面と第3面を接続するスルーホール84aの場所に導体パターンの逃げを設けられており、電気的に接続されない構造となっている。そして、第1面は、第2面に形成されたショートスタブT61と接続するためのスルーホール84bが設けられていて、第1面の導体パターンと第0面の接地面との間で、平行平板コンデンサを形成する。このコンデンサが高周波的な接地面となり、ショートスタブT61の高周波的な短絡点を形成する。
さらに、図25に示したように、第4面に形成された基本波整合回路30および2倍波反射用スタブ26は、スルーホール84を介して、第2面に形成されたショートスタブT61と接続されている。なお、第3面には、第2面と第4面を接続するスルーホール84の場所に導体パターンの逃げを設けられており、電気的に接続されない構造となっている。
次に、図25、図26の回路構成を有する本実施の形態15の増幅器の動作について説明する。本実施の形態15においては、先の実施の形態11の図20に示したレイアウト図と異なり、トランジスタ11の各セルから、ショートスタブT61の電気的な経路長が等しくなるように、スルーホール84が配置され、複数セルからなるトランジスタ11の各セルから見たときのショートスタブT61の入力インピーダンスの差が小さくなるように工夫して配置されている。
これによって、トランジスタ11の各セルからショートスタブT61のインピーダンス特性を見たときの電気特性がそろうため、トランジスタ11の各セルは、先の実施の形態11と比較して、さらに均一に動作する。
以上のように、実施の形態15によれば、先の実施の形態11で示した効果に加えて、トランジスタの各セルから、2倍波反射用スタブとショートスタブのインピーダンス特性を見たときの電気特性の差が小さくり、トランジスタの各セルは、均一に動作する。これにより、先の実施の形態11よりも、増幅器の出力と効率をさらに向上させた増幅器を得ることができる。
さらに、トランジスタの各セルが均一に動作することで、不均一に動作することによって生じる不安定性を抑えることができる。従って、図20で示した先の実施の形態11の増幅器に比べて、より高出力、高効率かつ、安定に動作する増幅器を実現できる。
さらに、第1面には、第2面に形成されたショートスタブと接続するためのスルーホールが設けられており、第1面の導体パターンと第0面の接地面との間で、平行平板コンデンサを形成する。この結果、先の実施の形態14と異なり、チップコンデンサを使わないので部品点数が減り、低コストな増幅器を実現できる。
また、先の実施の形態9と同様の以下の効果を得ることもできる。本実施の形態15の構成における2倍波反射用スタブにおいて、基本波周波数fの2倍の周波数2fにて短絡を形成し、ショートスタブが基本波周波数fの2倍の2fの周波数において誘導性に見える場合、2倍波周波数における2倍波反射用スタブのリアクタンス成分と、ショートスタブのリアクタンス成分の合計の絶対値が小さくなる。
そのため、トランジスタ端から見た出力整合回路入力インピーダンスを見たとき、2fの周波数の変化に対するリアクタンスの変化が小さくなり、さらに広帯域にわたって高効率な特性を示す増幅器を提供できるという効果が得られる。
なお、上述の説明では、2倍波反射用スタブとショートスタブの組み合わせを計算例としてあげたが、ブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いた場合も同様の議論が成り立つ。同じゲート幅のトランジスタに対して、複数の組のブランチスタブとショートスタブの組み合わせを用いることで、より広帯域にわたって高効率を実現できる増幅器を得ることができる。
本発明の実施の形態1における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態1における図1の増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態1におけるブランチスタブの例示図である。 本発明の実施の形態1における従来のオープンスタブによる並列回路の例示図である。 本発明の実施の形態1における規格化サセプタンスの周波数特性を示した図である。 本発明の実施の形態2における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態2における図6の増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態3における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態4における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態5における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態6における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態7における多層基板構造により増幅器を実現する上部層のレイアウト図および断面図の一例である。 本発明の実施の形態7における多層基板構造により増幅器を実現する内部層のレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態8における増幅器の回路図である。 本発明の実施の形態9における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態9における増幅器の2倍波の位相の周波数特性を示したものである。 本発明の実施の形態10における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態10における増幅器の2倍波の位相の周波数特性を示したものである。 本発明の増幅器における2倍波の位相変化に対する電力効率の変化特性である。 本発明の実施の形態11における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態12における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態13における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態14における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態14における3層基板を用いた増幅器の内層部である第1面と第2面の配線パターンのレイアウトの一例、および図23中に点線丸印で示したA部の拡大図を示した図である。 本発明の実施の形態15における増幅器を実現するレイアウト図の一例である。 本発明の実施の形態15における4層基板を用いた増幅器の内層部である第1面〜第3面の配線パターンのレイアウトの一例を示した図である。 特許文献1における従来の増幅器の回路図である。 図27の回路に対応した従来の増幅器のレイアウト図である。 実際のトランジスタにおける2倍波の反射係数の位相変化に対する電力効率の変化特性である。 従来の増幅器における2倍波の位相設定と、2倍波の反射係数の位相変化に対する電力効率の変化特性の一例である。
符号の説明
10、10a、11 トランジスタ(増幅用トランジスタ)、20 分岐スタブ(ブランチスタブ、高調波反射用スタブ)、20a 2倍波反射用オープンスタブ(高調波反射用スタブ)、T21 伝送線路(幹スタブ)、T22、T23 伝送線路(枝スタブ)、T24、T25 オープンスタブ、26 2倍波反射用スタブ、30 基本波整合回路、T31〜T33 伝送線路、T34、T35 オープンスタブ、40 誘電体基板(整合回路基板)、41 多層基板、50 金属ブロック、60 スルーホール、T61 ショートスタブ、62 容量回路、63、63a、63b チップコンデンサ、70 バイアス回路、71 容量回路、T72 伝送線路、T81〜T83 オープンスタブ、84、84a、84b スルーホール、T91 伝送線路(入力線路)。

Claims (17)

  1. 増幅用トランジスタと、
    前記増幅用トランジスタの出力端子に接続され、基本波周波数fの整数倍となる複数の周波数において入力サセプタンスが発散する高調波反射用スタブと、
    一端が前記増幅用トランジスタの出力端子に前記高調波反射用スタブと並列に接続され、他端が負荷回路に接続され、基本波周波数fにおいて、前記増幅用トランジスタの出力アドミタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスの和を、前記負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる基本波整合回路と
    を備えた増幅器において、
    前記高調波反射用スタブは、
    一端が前記増幅用トランジスタの出力端子に接続される1つの幹スタブと、
    前記幹スタブの他端に分岐して並列接続される複数の枝スタブと
    を含むことを特徴とする増幅器。
  2. 請求項1に記載の増幅器において、
    前記増幅用トランジスタの出力端子に前記高調波反射用スタブおよび前記基本波整合回路と並列に接続されたショートスタブをさらに備え、
    前記基本波整合回路は、前記増幅用トランジスタの出力アドミタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスと前記ショートスタブの入力サセプタンスの和を、基本波周波数fにおいて、前記負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる
    ことを特徴とする増幅器。
  3. 請求項2に記載の増幅器において、
    前記ショートスタブは、基本波周波数fにおいて、前記増幅用トランジスタの出力サセプタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスの和に対して、大きさが等しく逆符号の入力サセプタンスを呈するように調整されていることを特徴とする増幅器。
  4. 請求項1に記載の増幅器において、
    前記増幅用トランジスタの出力端子に前記高調波反射用スタブおよび前記基本波整合回路と並列に一端が接続され、他端が直流電圧端子に接続された伝送線路と、
    一端が接地され、他端が前記直流電圧端子に前記伝送線路と並列に接続された容量回路と
    を有するバイアス回路をさらに備え、
    前記基本波整合回路は、基本波周波数fにおいて、前記増幅用トランジスタの出力アドミタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスと前記バイアス回路の入力サセプタンスの和を、前記負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる
    ことを特徴とする増幅器。
  5. 請求項4に記載の増幅器において、
    前記バイアス回路は、基本波周波数fにおいて、前記増幅用トランジスタの出力サセプタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスの和に対し、大きさが等しく逆符号の入力サセプタンスを呈するように調整されていることを特徴とする増幅器。
  6. 請求項1に記載の増幅器において、
    前記基本波整合回路は、前記増幅用トランジスタの出力端子と前記負荷回路とを繋ぐ主線路の線路中途に、基本波周波数fの波長をλとしてλ/4のm分の1倍(mは2以上の整数)の線路長を有するオープンスタブを1つ以上接続して構成されることを特徴とする増幅器。
  7. 請求項1に記載の増幅器において、
    前記増幅用トランジスタの出力端子に前記高調波反射用スタブおよび前記基本波整合回路と並列に接続され、基本波周波数fの波長をλとしてλ/4のm分の1倍(mは2以上の整数)の線路長を有する1以上のオープンスタブをさらに備え、
    前記基本波整合回路は、基本波周波数fにおいて、前記増幅用トランジスタの出力アドミタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスと前記オープンスタブの入力サセプタンスの和を、前記負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる
    ことを特徴とする増幅器。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の増幅器において、
    一端が前記増幅用トランジスタの出力端子に接続され、他端が前記高調波反射用スタブおよび前記基本波整合回路に接続されるように前記出力端子の後段に挿入され、周波数fの波長をλとしてλ/4の線路長を有する入力線路をさらに備え、
    前記基本波整合回路は、基本波周波数fにおいて、前記入力線路を介した前記増幅用トランジスタの出力アドミタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスの和を、前記負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる
    ことを特徴とする増幅器。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の増幅器において、
    多層基板を用い、複数のスタブを異なる基板層に分けて配置したことを特徴とする増幅器。
  10. 増幅用トランジスタと、
    前記増幅用トランジスタの出力端子に接続され、基本波周波数fの2倍の周波数に対して、短絡点を形成する高調波反射用スタブと、
    一端が前記増幅用トランジスタの出力端子に前記高調波反射用スタブと並列に接続され、他端が高周波的に短絡されたショートスタブと、
    一端が前記増幅用トランジスタの出力端子に前記高調波反射用スタブおよび前記ショートスタブと並列に接続され、他端が負荷回路に接続され、基本波周波数fにおいて、前記増幅用トランジスタの出力アドミタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスと、前記ショートスタブの入力サセプタンスとの和を、前記負荷回路のインピーダンス値にインピーダンス整合させる基本波整合回路と
    を備えた増幅器において、
    前記ショートスタブは、前記増幅用トランジスタの出力サセプタンスと前記高調波反射用スタブの入力サセプタンスとの和に対して、大きさが等しく逆符号の入力サセプタンスを呈するように調整されていることを特徴とする増幅器。
  11. 請求項10に記載の増幅器において、
    前記高調波反射スタブは、増幅器に必要とされる基本波周波数の帯域の最も低い周波数FLにおける波長をλとした場合に、電気長をλ/8としてFLの2倍波周波数において短絡点を形成し、
    前記ショートスタブは、増幅器に必要とされる基本波周波数の帯域の最も高い周波数FHにおける波長をλとした場合に、電気長をλ/8以下にした
    ことを特徴とする増幅器。
  12. 請求項10に記載の増幅器において、
    前記高調波反射スタブは、増幅器に用いる基本波周波数の帯域の最も高い周波数FHにおける波長をλとした場合に、電気長をλ/8としてFHの2倍波周波数において短絡点を形成し、
    前記ショートスタブは、電気長をλ/8以上、λ/4以下にした
    ことを特徴とする増幅器。
  13. 請求項2、3または10、11、12のいずれか1項に記載の増幅器において、
    接地面をなす金属キャリアによって一端が接地されたチップコンデンサをさらに備え、 前記ショートスタブは、他端が前記チップコンデンサの他端と電気的に接続されることにより短絡点が形成され、
    前記チップコンデンサは、前記増幅用トランジスタと並べて配置される
    ことを特徴とする増幅器。
  14. 請求項2、3、10、11、12または13のいずれか1項に記載の増幅器において、
    多層基板を用い、多層基板の内層基板中に前記ショートスタブを形成することを特徴とする増幅器。
  15. 請求項14に記載の増幅器において、
    前記ショートスタブの接地用の容量を前記多層基板内に内蔵することを特徴とする増幅器。
  16. 請求項2、3、10、11、12、13、14または15のいずれか1項に記載の増幅器において、
    前記高調波反射用スタブおよび前記ショートスタブからなる組み合わせを、前記増幅用トランジスタの1チップあたりに2つ以上含むことを特徴とした増幅器。
  17. 請求項16に記載の増幅器において、
    前記増幅用トランジスタと2つ以上の前記ショートスタブとの接続端子を該増幅用トランジスタの中心軸に対して対象な位置に設けることを特徴とする増幅器。
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