JP2008107543A - 感光性樹脂組成物及びガラスパターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂、(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤及び、(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を含有してなる感光性樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし
Description
例えば、有機ELD(有機エレクトロルミネッセントディスプレイ)の背面キャップには、従来、中空構造のメタル缶が用いられているが、パネルを薄型化するため、メタル缶に代えて、ガラスを背面キャップに用いることが検討されている。一般にガラス製の背面キャップは、ガラス基板をフッ酸でウエットエッチングすることにより形成されている。
他方、ガラスのエッチングにはドライエッチング法も開発されているが溝深さが2〜3μmと浅く実用的ではない。尚、装置が非常に高価であり、簡便に使用できない問題がある。サンドブラスト工法によるエッチングではガラス板が割れるという問題もある。
特許文献3には、メルカプト基及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンの開示があるが、用途としては、塗料、コーティング材料、接着剤、封止材料等の架橋剤などの開示があるのみであって、光硬化性レジストに用いることについては、何らの開示もない。
(1)(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂、(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び、(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を含有してなる感光性樹脂組成物。
(2)上記(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物として、下記一般式(I)で表されるメルカプト基含有シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を含有することを特徴とする(1)記載の感光性樹脂組成物。
XaYbSi(OR)c(OH)dO(4−(a+b+c+d))/2 (I)
(式中、Xはメルカプト基含有の炭素数1〜9の有機置換基、Yは炭素数1〜6の有機置換基、Rは炭素数が1〜4の炭化水素基から選択される一種または二種以上の基、0<a≦1、0≦b≦2、0.1<c≦2.25、及び、0≦d≦2.25、であって、0.1<a+b+c+d≦3を満たす。)
(4)支持層上に、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物よりなる層を積層して得られる感光性樹脂積層体。
(5)(4)に記載の感光性樹脂積層体を、ガラス基板にラミネートし、露光し、現像してレジストパターンを形成し、ポストベークし、該レジストパターンで覆われていない部分のガラス基板を、フッ酸を用いてエッチング加工し、該レジストパターンを剥離することを特徴とするガラスパターンの形成方法。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂、(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤及び、(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を含むことを特徴としている。
(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物としては、下記一般式(I)で表されるメルカプト基含有シリコーンアルコキシオリゴマー化合物が好ましい。
XaYbSi(OR)c(OH)dO(4−(a+b+c+d))/2 (I)
(式中、Xはメルカプト基含有の炭素数1〜9の有機置換基、Yは炭素数1〜6の有機置換基、Rは炭素数が1〜4の炭化水素基から選択される一種または二種以上の基、0<a≦1、0≦b≦2、0.1<c≦2.25、及び、0≦d≦2.25、であって、0.1<a+b+c+d≦3を満たす。)
Rは炭素数が1〜4の炭化水素基から選択される一種または二種以上の基であり、炭素数が1〜4のORの具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
上記一般式(I)に示されるメルカプト基含有シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を製造する方法としては、メルカプト基含有アルコキシシランを単独あるいは組み合わせて加水分解・縮合反応に付すかあるいは前記アルコキシシランと1〜4官能の加水分解性基含有シラン、加水分解性基含有オルガノポリシロキサン及び/又は上記加水分解性シラン化合物と加水分解性基含有オルガノポリシロキサンとの部分あるいは完全加水分解物ポリマーとの混合物を共加水分解・縮合反応に付すに際して、前記反応を加水分解触媒としての含フッ素ケイ素化合物の存在下に行うものである。
(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物のメルカプト基を含有しない他の例としては、信越化学工業(株)製のX−40−9247、X−40−2655Aが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物は、0.01〜20質量%となるように含有されていることが好ましく、さらに好ましくは1〜10質量%である。フッ酸エッチング時の硬化レジスト剥がれの観点から、0.01質量%以上が好ましく、画像パターンの解像度の観点から、20質量%以下が好ましい。
ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有する樹脂の重量をいう。重合体中のカルボキシル基はアルカリ可溶性即ちアルカリ水溶液に対する現像性や最終剥離工程での硬化膜の剥離性を与える為に必要である。酸当量が100未満では塗工溶媒または架橋性モノマーとの相溶性が低下し、600を超えると現像性が悪化する。また、重量平均分子量が50万を超えると現像性が低下し、基材との密着性が低下する。重量平均分子量が5000未満では光重合性積層体に用いたとき光重合層の厚みを均一に維持することが困難になる。
分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)Shodex STANDARD SM−105 Polystyrene)による検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸、またはジカルボン
酸、または酸無水物である。例えば(メタ)アクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等である。
(A)バインダー用樹脂の感光性樹脂組成物全体に対する含有量は、20〜90質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。現像後の硬化レジストのレジストとしての耐性の観点から20〜90質量%が好ましい。
(B)光重合性モノマーとしては、少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーであって、具体的な例としては、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(P−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールトリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレングリコール付加ジ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ウレタン化合物も挙げられる。ウレタン化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートがある。
(B)光重合性モノマーの感光性樹脂組成物全体に対する含有量は、5質量%以上70質量%以下が好ましい。感度が向上する観点から5質量%以上であり、エッジフューズが抑制される観点から70質量%以下である。好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
(C)光重合開始剤としては、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合を開始する化合物であれば、通常用いられている化合物を使用することができる。
例えば、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等のキノン類、9−フェニルアクリジン等のアクリジン化合物、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等ノチオキサントン類、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、また、N−アリール−α―アミノ酸化合物も用いることも可能である。N−アリールーα−アミノ酸化合物としては、N−フェニルグリシン、N−メチル−N―フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン、N−(O−クロロフェニル)グリシン等があげられる。これらは、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
(C)光重合開始剤の感光性樹脂組成物全体に対する含有量は、0.1質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、0.5〜6質量%とすることがより好ましい。感度の観点より0.1質量%以上が好ましく、硬化レジストの線幅太りの観点から、10質量%以下が好ましい。
トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、さらに、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、熱架橋剤などを含有することができる。これらは、単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、トルエン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の溶剤又は混合溶剤に溶解して不揮発分30〜60質量%程度の溶液として、支持層上や基板上に塗布することができる。
支持層としては、通常、活性光線を透過させる透明な基材フィルムが用いられ、このような基材フィルムとしては厚み10μm以上100μm以下程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、通常適度な可とう性と強度を有するポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。ラミネート時にシワを発生させにくくするため、また支持層の破損を防ぐ観点から、膜厚は10μm以上であることが好ましい。また充分な解像性を得るために、膜厚は100μm以下であることが好ましい。またヘーズは5以下のものが好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体中の感光性樹脂層の膜厚は、10μm以上200μm以下が好ましい。より好ましくは、20μm以上150μm以下である。
保護層は、本発明の感光性樹脂層を保護する為のフィルムであり、このようなフィルムとしては10〜100μm厚程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。
支持層、感光性樹脂層、及び保護層を順次積層して感光性樹脂積層体を作成する方法は、従来知られている方法を採用することができる。
例えば感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にしておき、まず支持層上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥し、支持層上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層する。
次に、必要に応じて感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
(1)ラミネート工程
感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながらガラス基板等の基板上にホットロールラミネーターを用いてラミネートする工程。
(2)露光工程
所望の配線パターンを有するマスクフィルムを支持体上に密着させ活性光線源を用いて露光を施す工程。用いられる活性光線源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどが挙げられる。また、より微細なレジストパターンを得るためには平行光光源を用いるのがより好ましい。ゴミや異物の影響を極力少なくしたい場合には、フォトマスクを支持体上から数十μm以上数百μm以下浮かせた
状態で露光(プロキシミティー露光)する場合もある。
支持体を剥離した後アルカリ現像液を用いて感光性樹脂層の未露光部分を溶解または分散除去、レジストパターンを基板上に形成する工程。用いられるアルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5質量%以上3質量%以下の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
(4)ポストベーク工程
次に、熱風循環式オーブンを用いて100℃〜200℃で10分〜60分ポストベークを行い、パターニングしたレジスト膜を形成した。
次に、ガラス基板を30℃〜40℃に加熱したフッ酸水溶液(0.5〜40質量%)中に10分〜90分間浸せきしてガラスをエッチングする。エッチングによりガラス表面に深さ10〜100μmの溝を形成する。
(6)剥離工程
レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する工程。用いられるアルカリ剥離液としては、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液、例えば1質量%以上5質量%以下の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
(実施例1〜6、比較例1)
実施例及び比較例において用いた感光性樹脂組成物の組成を後記する表1に示す。なお、表1における略号で表した感光性樹脂組成物中の成分の材料を表2に示す。表1のP−1の量(質量%)は、メチルエチルケトンを含有した量(質量%)を示している。
表1に示す組成の感光性樹脂組成物を均一に攪拌、混合した。次にこの混合溶液を厚さ19μmのポリエチレンテレフタレートフイルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の熱風対流式乾燥機で7分乾燥して感光層の厚さ70μmの感光性樹脂樹積層体を得た。その後、ポリエチレンテレフタレートフイルムを積層していない表面上に22μm厚ポリエチレンフィルム(保護フィルム)を張り合わせて感光性樹脂積層体(DFR)を得た。次にアセトンで洗浄した2mm厚ソーダガラスを基材とし、DFRの保護フイルムを剥がしながら感光層をホットロールラミネーターにより105℃でラミネートして積層体を得た。
上記の硬化レジストパターン付着ガラス基板を30℃に加熱したフッ酸水溶液(3質量%)中に15分間浸せきして、エッチング加工を行い、フッ酸エッチング後のガラス基
板を水洗洗浄した。
実施例5及び6においては、このフッ酸エッチング液に浸漬して12分後に硬化レジストパターンがガラス基板から完全に剥がれたが、ガラス基板の表面から30μmの深さの溝が形成された。次いで、45℃に加熱した6重量%の苛性ソーダ水溶液中にフッ酸エッチング後のガラス基板を浸せきして、硬化レジストパターンを剥離した。得られたガラス基板には30μmの深さを有するガラスパターンが形成されていた。
表1に示した組成の感光性樹脂組成物を用いて、露光量を400mJ/cm2とした以外は、実施例1と同様に行った。露光量が150mJ/cm2では、感光性樹脂層が十分に硬化せず、ラインが形成されなかった。硬化レジストパターン付着ガラス基板をフッ酸水溶液(30℃、フッ酸3質量%)に浸せきしたところ、浸漬して2分後に硬化レジストパターンがガラス基板から完全に剥がれた。
Claims (5)
- (A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂、(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び、(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を含有してなる感光性樹脂組成物。
- 上記(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物として、下記一般式(I)で表されるメルカプト基含有シリコーンアルコキシオリゴマー化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
XaYbSi(OR)c(OH)dO(4−(a+b+c+d))/2 (I)
(式中、Xはメルカプト基含有の炭素数1〜9の有機置換基、Yは炭素数1〜6の有機置換基、Rは炭素数が1〜4の炭化水素基から選択される一種または二種以上の基、0<a≦1、0≦b≦2、0.1<c≦2.25、及び、0≦d≦2.25、であって、0.1<a+b+c+d≦3を満たす。) - (A)バインダー用樹脂の含有量が20質量%〜90質量%、(B)少なくとも一つのの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーの含有量が5〜70質量%、(C)光重合開始剤の含有量が0.1質量%〜10質量%、及び(D)シリコーンアルコキシオリゴマー化合物の含有量が0.01質量%〜20質量%、である請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
- 支持層上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物よりなる層を積層して得られる感光性樹脂積層体。
- 請求項4に記載の感光性樹脂積層体を、ガラス基板にラミネートし、露光し、現像してレジストパターンを形成し、ポストベークし、該レジストパターンで覆われていない部分のガラス基板を、フッ酸を用いてエッチング加工し、該レジストパターンを剥離することを特徴とするガラスパターンの形成方法。
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