JP4406798B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、感光性積層体及びフレキシブルプリント配線板の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、感光性積層体及びフレキシブルプリント配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の製造には、従来より液状又はフィルム状の感光性樹脂組成物が用いられている。例えば、銅箔を絶縁基板上に積層した銅張積層板の銅箔をエッチングする目的で使用するエッチングレジスト、配線の形成されたプリント配線板のはんだ付け位置限定及び保護の目的で使用するソルダーレジストなどが挙げられる。
【0003】
プリント配線板には、カメラなどの小型機器に折り曲げて組み込むことができる。一般にフレキシブルプリント配線板と呼ばれるフィルム状のプリント配線板がある。このフレキシブルプリント配線板にはんだ付けによって部品を実装し、ソルダーレジストによって保護する。この目的のために接着剤付きのポリイミドフィルムを所定の型に打ち抜いたものを積層したり、耐熱性の材料で構成された印刷インクを印刷して用いられてきた。前者をカバーレイ、後者をカバーコートと呼んでいる。
【0004】
このカバーレイ及びカバーコートは、はんだ付け後の配線の保護膜も兼ねており、部品実装時のはんだ耐熱性、はんだ付け後の耐洗浄液性、絶縁性、基板組み込み時の折り曲げでクラックが入らない可とう性が必要である。
現在、接着剤付きポリイミドフィルムを打ち抜いて形成されるカバーレイはこれらの特性を満足しており最も多く使用されているが、型抜きに高価な金型が必要で、打ち抜いたフィルムを人手で位置合わせ、貼り合わせするために高コストになり、また、微細パターンの形成が困難であるという問題がある。
【0005】
これらの問題解決のために、特開平7−207211号公報、特開平8−134390号公報、特開平9−5997号公報等によって、液状の感光性レジストが提案されているが、液状感光性レジストは有機溶剤による環境汚染、膜厚のばらつき、印刷性付与ための充填剤により十分な可とう性がない等の問題がある。また、特開平5−254064号公報、特開平7−278492号公報等によって、フィルムタイプの感光性カバーレイも提案されているが、ポリアミド酸層上に感光性レジスト層を設けた2層構造の感光性カバーレイの場合は解像度が低い等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性及び耐洗浄性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性、感度及び解像度が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明の効果を奏し、さらに可とう性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果を奏し、さらに感度が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。請求項8記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
請求項9記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の発明の効果を奏し、さらに可とう性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
請求項10記載の発明は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐洗浄性、生産性及び作業性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性エレメントを提供するものである。請求項11記載の発明は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐洗浄性、生産性及び作業性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる感光性積層体を提供するものである。請求項12記載の発明は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐洗浄性、生産性及び作業性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンの形成に極めて有用なレジストパターンが形成されたフレキシブルプリント配線板の製造法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを共重合成分とするバインダーポリマー、(b)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、(c)光重合開始剤、(d)アミノ樹脂及び(e)一般式(3)で表される芳香族リン酸エステル化合物を含有してなる感光性樹脂組成物に関する。
【化4】
(式中、R 3 は、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基を示し、R 4 及びR 5 は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
また、本発明は、(a)バインダーポリマーが、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びその他のビニルモノマーを共重合成分とするバインダーポリマーである前記感光性樹脂組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、(a)バインダーポリマーが、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを全共重合成分の総量に対して、3〜65重量%含有するバインダーポリマーである前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(a)バインダーポリマーが、アルカリ水溶液に可溶又は膨潤可能であり、酸価が65〜300mgKOH/gのバインダーポリマーである前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(a)バインダーポリマーの重量平均分子量が20,000〜300,000である前記感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、(b)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が、一般式(1)
【化3】
(式中R1及びR2は各々独立して水素原子又はメチル基を示し、Y1及びY2は各々独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示し、p及びqはp+qが4〜40となるように選ばれる正の整数である)
で表される化合物である前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、一般式(1)中、p+qが4〜15である前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(d)アミノ樹脂が、メラミン樹脂である前記感光性樹脂組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、さらに(f)ペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)及びヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応物を含有する前記感光性樹脂組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を、支持体上に塗布、乾燥し、感光性樹脂組成物の層を形成してなる感光性エレメントに関する。
また、本発明は、フレキシブルプリント配線板用基板の表面に前記感光性樹脂組成物の層を有する感光性積層体に関する。
また、本発明は、前記感光性積層体に活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去してレジストパターンを形成することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造法に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。
【0018】
本発明の、感光性樹脂組成物は、(a)トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを共重合成分とするバインダーポリマー、(b)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、(c)光重合開始剤、(d)アミノ樹脂及び(e)芳香族リン酸エステル化合物を含有してなる必要がある。
【0019】
上記(a)トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを共重合成分とするバインダーポリマーとしては、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを共重合成分とすれば特に制限はなく、例えば、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びその他のビニルモノマーとを共重合して得られるバインダーポリマー等が挙げられる。
【0020】
上記トリブロモフェニル(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート等が挙げられるが、トリブロモフェニルアクリレートであることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、メタクリル酸であることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
上記その他のビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0022】
前記トリブロモフェニル(メタ)アクリレートの共重合量は、共重合成分の総量に対して、3〜65重量%であることが好ましく、30〜50重量%であることがより好ましい。この共重合量が3重量%未満では難燃性が低下する傾向があり、65重量%を超えると難燃性が得られるが、硬化させたカバーレイの耐折性が低下する傾向がある。
前記(メタ)アクリル酸の共重合量は、共重合成分の総量に対して、10〜45重量%であることが好ましく、15〜35重量%であることがより好ましい。この共重合量が10重量%未満では現像時間が長くなり作業性が低下する傾向があり、45重量%を超えると密着性が低下する傾向がある。
前記その他のビニルモノマーの共重合量は、共重合成分の総量に対して、25〜87重量%であることが好ましく、30〜55重量%であることがより好ましい。この共重合量が25重量%未満では可とう性が低下する傾向があり、87重量%を超えると難燃性及び現像性が低下する傾向がある。
【0023】
前記(a)トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを共重合成分とするバインダーポリマーは、1〜3重量%の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム水溶液等のアルカリ水溶液に可溶又は膨潤可能であることが現像性、環境保全性の点で好ましい。また、酸価は65〜300mgKOH/gであることが好ましく、98〜228mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が65mgKOH/g未満では現像時間が遅くなる傾向があり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像性が低下する傾向がある。また、重量平均分子量(GPC測定で、ポリスチレン換算したもの)は、20,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜150,000であることがより好ましい。この重量平均分子量が2,000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300,000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。
【0024】
前記(b)ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、ビスフェノール骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に制限はなく、例えば、前記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
前記一般式(1)中、R1及びR2は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、Y1及びY2は各々独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示す。
上記炭素数2〜6のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ネオペンチレン基、へキシレン基等が挙げられ、エチレン基であることが特に好ましい。
【0025】
上記イソプロピレン基は、−CH(CH3)CH2−で表される基であり、前記一般式(1)中の−(Y1−O)−及び−(Y2−O)−において結合方向は、メチレン基が酸素と結合している場合とメチレン基が酸素に結合していない場合の2種があり、1種の結合方向でもよいし、2種の結合方向が混在してもよい。
また、−(Y1−O)−及び−(Y2−O)−の繰り返し単位がそれぞれ2以上の時、2以上のY1及び2以上のY2は、各々同一でも相違していてもよく、Y1及びY2が2種以上のアルキレン基で構成される場合、2種以上の−(Y1−O)−及び−(Y2−O)−は、ランダムに存在してもよいし、ブロック的に存在してもよい 。
【0026】
一般式(1)中の2個のベンゼン環の置換可能な位置には1以上の置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合は、それらは同一でも相違していてもよい。そのような置換基としては、例えば、後述の一般式(2)中のZ1として、具体的に例示した基が挙げられる。
前記一般式(1)中p及びqは、p+qが4〜40となるように選ばれる正の整数であることが好ましく、p+qが4〜15であることがより好ましく、5〜13であることが特に好ましい。この数が4未満では可撓性が低下する傾向があり、40を超えると、系の親水性が増して現像時の密着性が低下する傾向がある。
【0027】
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4− (メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス (4−(メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシオクタプロポキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの市販品としては、例えば、NK−エステルBPE−500(新中村化学工業(株)製商品名、2,2′−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0028】
前記(c)光重合開始剤としては、例えば、置換又は非置換の多核キノン類 (2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等)、α−ケタルドニルアルコール類(ベンゾイン、ピバロン等)、エーテル類、α−炭化水素置換芳香族アシロイン類(α−フェニル−ベンゾイン、α,α−ジエトキシアセトフェノン類)、芳香族ケトン類(ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンなどの4,4′−ビスジアルキルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−エチルチオキサントン等)、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル]−モルホリノプロパン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0029】
前記(d)アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ基含有化合物にアルデヒドを反応させて得られる初期縮合物が用いられ、例えば、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン等のメラミン樹脂などが挙げら、メラミン樹脂であることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの市販品としては、例えば、サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル350(三井サイテック株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0030】
前記(e)芳香族リン酸エステル化合物としては、前記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0036】
製造容易性、入手容易性等の見地から、一般式(3)
【化5】
(式中、R3は、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基を示し、R4及びR5は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される芳香族リン酸エステル化合物である。
【0037】
上記一般式(3)中のR4及びR5は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられるが、入手容易性の見地からメチル基が好ましい。難燃性、耐折性、耐加水分解性、耐電食性等の見地からは、R4及びR5の少なくとも一方が炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
【0038】
(e)成分として用いられる一般式(3)で表される芳香族リン酸エステルとしては、R 3が2,2′−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシ基を除いた2価の残基であり、R4がメチル基及びR5が水素原子である化合物、R3が2,2′−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R4及びR5がメチル基である化合物等が挙げられる。これらの(e)成分として用いられる一般式(2)で表される芳香族リン酸エステルは、大八化学工業(株)から商品名CR−747等として入手可能である。
【0039】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(f)ペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)及びヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応物を含有する。
【0040】
上記コポリカーボネートは、例えば、所定のポリオールを分子量を調整しながらホスゲン等と反応させることにより合成することができる。このコポリカーボネートは通常、数平均分子量が600〜1000であることが好ましく、700〜900であることがより好ましい。
このコポリカーボネートの上記モル比(A):(B)が上記範囲をはずれると、ゲル化することがあり、好ましくない。上記コポリカーボネートの上記モル比(A):(B)は、9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましく、5:5であることが特に好ましい。
【0041】
上記コポリカーボネートに、例えば、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させることにより、(f)成分を得ることができる。この反応におけるイソホロンジイソシアネートの使用量は、通常、コポリカーボネートの使用モル量より若干過剰量とする。この反応は、通常、以下のようにして行われる。コポリカーボネート及び若干過剰量のイソホロンジイソシアネートを混合し、ジブチルスズジラウレート等の触媒を加え、60〜120℃で反応させる。次いで、合成されたウレタンオリゴマーの末端イソシアネート基にヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させる。この反応は、パラメトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシ−トルエンなどの存在下で、ウレタンオリゴマー1モルに対して、2〜2.4モルのヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを60〜90℃で反応させて行われる。例えば赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の消失を確認させることにより、反応の終点を確認する。
【0042】
前記(f)成分としては、例えば、共栄社化学製のウレタンアクリレートオリゴマーUF−8001、UF−8002、UF−8003等が市販されており、特にUF−8003が好ましい。これからはいずれもメチルエチルケトン溶液である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0043】
本発明における(a)成分の配合量は、(a)成分、(b)成分及び(f)成分の総量100重量部に対して、30〜70重量部であることが好ましく、35〜50重量部であることがより好ましい。この配合量が30重量部未満ではアルカリ現像性の低下や、感光性エレメントとした場合感光性樹脂組成物層が柔らかくなりフィルム端部からしみ出しなどの問題が生ずる傾向があり、70重量部を超えると感度の低下やはんだ耐熱性の低下が起こる傾向がある。
【0044】
本発明における(b)成分の配合量は、(a)成分の総量100重量部に対して、10〜100重量部であることが好ましく、30〜60重量部であることがより好ましい。この配合量が10重量部未満でははんだ付け後の可撓性が不十分となる傾向があり、100重量部を超えると可撓性が低下する傾向がある。
【0045】
本発明における(c)成分の配合量は、(a)成分の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましい。この配合量が0.1重量部未満では感度が不十分となる傾向があり、20重量部を超えるとパターン形状が悪くなる傾向がある。
【0046】
本発明における(d)成分の配合量は、(a)成分の総量100重量部に対して、3〜20重量部であることが好ましく、5〜15重量部であることがより好ましい。この配合量が3重量部未満でははんだ耐熱性、難燃性が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると可撓性が低下する傾向がある。
【0047】
本発明における(e)成分の配合量は、(a)成分の総量100重量部に対して、15〜150重量部とすることが好ましく、30〜130重量部とすることがより好ましい。この配合量が15重量部未満では、難燃性が低下する傾向があり、150重量部を超えるとタックが増加して作業性が増加する傾向がある。
【0048】
本発明において必要に応じて使用する(e)成分の配合量は、(a)成分の総量100重量部に対して、20〜120重量部であることが好ましく、30〜100重量部であることがより好ましい。この配合量が20重量部未満では可撓性が不十分となる傾向があり、120重量部を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0049】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、マラカイトグリーン、ビクトリアピュアブルー等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,5−チアジアゾール等の密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを(a)成分及び(b)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液として塗布することができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、金属面、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金の表面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
【0051】
また、感光性樹脂組成物の層の厚さは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超える場合では本発明の効果が小さく、また感度が不十分となる傾向がある。
液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の不活性なポリオレフィンフィルム等が用いられるが、感光性樹脂組成物の層からの剥離性の見地から、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0052】
上記感光性エレメントは、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等からなる重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得られる。
上記塗布は、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、80〜150℃、5〜30分程度で行うことができる。
これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂組成物の層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であったりしてはならない。
これらの重合体フィルムの厚さは、1〜100μmとすることが好ましく、1〜30μmとすることがより好ましい。この厚さが1μm未満の場合、機械的強度が低下し、塗工時に重合体フィルムが破れるなどの問題が発生する傾向があり、30μmを超えると解像度が低下し、価格が高くなる傾向がある。
また、これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物の層の支持フィルムとして、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物の層の両面に積層してもよい。
【0053】
このようにして得られる感光性樹脂組成物の層と重合体フィルムとの2層からなる本発明の感光性エレメントは、そのまま又は感光性樹脂組成物の層の他の面に保護フィルムをさらに積層してロール状に巻きとって貯蔵される。
【0054】
上記感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物の層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層し、感光性積層体を得る方法などが挙げられ、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。
感光性樹脂組成物の層の加熱温度は70〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、1×105〜1×106Paとすることが好ましく、4×103Pa以下の減圧とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
また、感光性樹脂組成物の層を前記のように70〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
【0055】
このようにして感光性樹脂組成物の層の積層が完了した感光性積層体は、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。この際、感光性積層体上に存在する重合体フィルムが透明の場合には、そのまま、活性光線を照射してもよく、また、不透明の場合には、当然除去する必要がある。感光性樹脂組成物の層の保護という点からは、重合体フィルムは透明で、この重合体フィルムを残存させたまま、それを通して、活性光線を照射することが好ましい。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。感光性樹脂組成物の層に含まれる光重合開始剤の感受性は、通常紫外線領域において最大であるので、その場合は、活性光線の光源に紫外線を有効に放射するべきものを使用することが好ましい。
【0056】
次いで、露光後、感光性積層体の感光性樹脂組成物の層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造する。
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
【0057】
また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物の層の現像性に合わせて調節される。
また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
現像の方式には、ディップ方式、スプレー方式等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
【0058】
現像後、はんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。
紫外線の照射量は0.2〜10J/cm2程度が一般的に用いられ、この照射の際60〜150℃の熱を伴うことがより好ましい。加熱は100〜170℃程度の範囲で15〜90分程行われる。これら紫外線の照射と加熱の順はどちらが先でもよい。
このようにしてカバーレイが形成されたフレキシブルプリント配線板は、その後、はんだ付け等によってLSI、ダイオード、トランジスタ、モノリシックIC、VLSI等の部品を実装し、実装基板とされ、これがカメラ機器等の小型機器などへ装着される。
【0059】
【実施例】
〔バインダポリマの合成〕
メチルセロソルブ 70g及びトルエン 50gの混合物を窒素雰囲気下で300ミリリットルのセパラブルフラスコに入れ撹拌しながら80℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェニルアクリレート 50g、メタクリル酸 22g、メタクリル酸メチル 25g、アクリル酸メチル 1g、アクリル酸テトラヒドロフルフリル 1g、トルエン 24g、アゾビスイソブチロニトリル 0.2gを混合した溶液を3時間でセパラブルフラスコ内に滴下、反応させた。
次いで、メチルセロソルブ 10g、トルエン 10gの混合物を加えて、3時間保温後、アゾビスイソブチロニトリル 0.4gをメチルセロソルブ 10g及びトルエン 10gに溶解した溶液を加え、更に4時間保温した。その後、冷却し、バインダーポリマー溶液A(固形分、35重量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
【0060】
表1に示したバインダーポリマー溶液B、C、D及びEについて共重合量及び共重合成分を変更した以外は、バインダーポリマー溶液Aと同一の合成方法で合成した。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例1〜3及び比較例1〜4
表2に示す材料を配合し溶液を得た。
【0063】
【表2】
【0064】
この溶液に表3に示す成分(a)、(b)、(d)、(e)及び(f)を配合して感光性樹脂組成物の溶液を調整した。表3中の配合量の単位は重量部(固形分)を表す。
【0065】
【表3】
【0066】
得られた感光性樹脂組成物の溶液を20μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して溶剤を除去した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の厚さは、50μmであった。感光性樹脂組成物層の上には、さらに厚さ約25μmのポリエチレンフィルムを保護フィルムとして貼り合わせ、本発明の感光性エレメントを得た。
【0067】
得られた感光性エレメントの感光特性、レジストの形成後のはんだ耐熱性、耐折性及び難燃性について下記の方法で評価し、結果を表4に示す。
【0068】
(1)感光特性
35μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント板用基板(ニッカン工業(株)製、商品名F30VC125RC11)の銅表面に砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント板用基板上に連続式真空ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名VLM−1型)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度1.0m/s、気圧4,000Pa以下、圧着圧力2.94×105Paで前記感光性エレメントをポリエチレンフィルムを剥がしながら積層した。
【0069】
次に、室温で1時間以上放置したあと得られた試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から、コダックステップタブレットNo.2(イーストマンコダック(株)製、21段ステップタブレット)を密着させ、(株)オーク製作所製HMW−201GX型露光機を使用して所定量露光し、さらに30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去した。ステップタブレット段数8段を得るために必要な露光量を感度とした。
【0070】
また、フォトツール(コダックステップタブレットNo.2、ライン/スペース(μm)=30/30〜250/250(解像度)及びライン/スペース(μm)=30/400〜250/400(密着性)のネガパターンを有するフォトツール)を、得られた試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から密着させ、ステップタブレット段数8段を得られる露光量で露光し、現像したときに矩形のレジスト形状が得られる最も小さい解像度パターンのライン/スペースの値を解像度とした。
【0071】
(2)はんだ耐熱性
上記(1)と同様に、フレキシブルプリント板用基板に感光性エレメントを積層した試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から試験用ネガマスクを密着させ、ステップタブレット段数8段を得られる露光量で露光した。常温で1時間放置した後、試料のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去して現像した後、80℃で10分間乾燥した。次いで、東芝電材(株)製東芝紫外線照射装置を使用して、1J/cm2の紫外線照射を行い、さらに150℃で45分間加熱を行い、カバーレイを形成したフレキシブルプリント板を得た。
【0072】
次いで、ロジン系フラックスMH−820V(タムラ化研(株)製)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ付け処理を行った。このような操作の後、カバーレイのクラック発生状況、基板からのカバーレイの浮きや剥がれの状況を目視で次の基準で評価した。
良好:クラック、浮き及び剥がれが発生しないもの
不良:クラック、浮き及び剥がれが発生したもの
【0073】
(3)耐溶剤性
上記(2)と同様の操作でカバーレイを形成したフレキシブルプリント板を室温でメチルエチルケトン及びイソプロピルアルコール中に10分間浸漬した後、基板からのカバーレイの浮き及び剥がれの状況を目視で下記の基準で評価した。
良好:浮き及び剥がれが発生しないもの
不良:浮き又は剥がれが発生したもの
【0074】
(4)耐折性
(2)と同様の操作で得たフレキシブルプリント板用基板上にカバーレイを形成し、はんだ付け処理を行った試料をはぜ折りで180°折り曲げ、折り曲げた際のカバーレイのクラックの発生状況を目視で下記の基準で評価した。
良好:クラックが発生しないもの
不良:クラックが発生したもの
【0075】
(5)難燃性
フレキシブルプリント板用基板(ニッカン工業(株)製、商品名F30VC125RC11)の銅箔をエッチングで除去した接着剤付きポリイミド基材に、真空ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名VLM−1型)を用いて、ヒートシュー温度120℃、ラミネート速度1.0m/s、気圧4,000Pa以下、圧着圧力2.94×105Pa(3kgf/cm2)で前記感光性エレメントをポリエチレンフィルムを剥がしながら積層し、ステップタブレット段数8段が得られるように露光した。常温で1時間放置した後、試料のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去して現像した後、80℃で10分間乾燥した。次いで、東芝電材(株)製東芝紫外線照射装置を利用して、1J/cm2の紫外線照射を行い、さらに150℃で45分間加熱処理を行い、難燃性評価の基板を作製した。
この評価基板を米国のUnderwriters Laboratories Inc.(以下ULと略す)の高分子材料の難燃性試験規格UL94に準拠した装置、方法(VTM法)に従って難燃性を評価した。結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】
表4から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを用いることによって、はんだ耐熱性及び耐折性が良好でかつ、難燃性が94VTM−1(UL規格)又は94VTM−0(UL規格)であるフレキシブルプリント配線板用カバーレイが得られる。
【0078】
【発明の効果】
請求項1記載の感光性樹脂組成物は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性及び耐洗浄性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
請求項2記載の感光性樹脂組成物は、請求項1記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
請求項3記載の感光性樹脂組成物は、請求項1又は2記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
【0079】
請求項4記載の感光性樹脂組成物は、請求項1、2又は3記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性、感度及び解像度が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
請求項5記載の感光性樹脂組成物は、請求項1、2、3又は4記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
請求項6記載の感光性樹脂組成物は、請求項1、2、3、4又は5記載の発明の効果を奏し、さらに可とう性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
【0080】
請求項7記載の感光性樹脂組成物は、請求項6記載の発明の効果を奏し、さらに感度が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。請求項8記載の感光性樹脂組成物は、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の発明の効果を奏し、さらに難燃性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
【0081】
請求項9記載の感光性樹脂組成物は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の発明の効果を奏し、さらに可とう性が優れ、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。
【0082】
請求項10記載の感光性エレメントは、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐洗浄性、生産性及び作業性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。請求項11記載の感光性積層体は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐洗浄性、生産性及び作業性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンを容易に形成できる。請求項12記載のフレキシブルプリント配線板の製造法は、難燃性、可とう性、はんだ耐熱性、耐溶剤性、耐洗浄性、生産性及び作業性が優れ、かつ感度及び解像度が良好であり、可とう性耐熱保護被膜の微細パターンの形成に極めて有用なレジストパターンが形成できる。
Claims (12)
- (a)バインダーポリマーが、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びその他のビニルモノマーを共重合成分とするバインダーポリマーである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- (a)バインダーポリマーが、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートを全共重合成分の総量に対して、3〜65重量%含有するバインダーポリマーである請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
- (a)バインダーポリマーが、アルカリ水溶液に可溶又は膨潤可能であり、酸価が65〜300mgKOH/gのバインダーポリマーである請求項1、2又は3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- (a)バインダーポリマーの重量平均分子量が20,000〜300,000である請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 一般式(1)中、p+qが4〜15である請求項6記載の感光性樹脂組成物。
- (d)アミノ樹脂が、メラミン樹脂である請求項1、2、3、4、5、6又は7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- さらに(f)ペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)及びヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応物を含有する請求項1、2、3、4、5、6、7又は8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を、支持体上に塗布、乾燥し、感光性樹脂組成物の層を形成してなる感光性エレメント。
- フレキシブルプリント配線板用基板の表面に請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の層を有する感光性積層体。
- 請求項11記載の感光性積層体に活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去してレジストパターンを形成することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造法。
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