JP3956441B2 - 難燃性感光性樹脂組成物及び感光性エレメント - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント配線板等の製造に使用し得る保護膜(カバーレイ)形成用の難燃性感光性樹脂組成物及び感光性エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の製造には、従来より液状又はフィルム状の感光性組成物が用いられている。例えば、銅箔を絶縁基板上に積層した銅張積層板の銅箔をエッチングするときのレジストとして、又は配線の形成されたプリント配線板のはんだ付け位置の限定及び保護の目的で使用するソルダレジスト等として使用されている。
【0003】
プリント配線板には、カメラなどの小型機器に折り曲げて組み込むことのできるフィルム状のプリント配線板、一般にフレキシブルプリント配線板(FPC)と称されるものがある。このFPCも部品搭載のためにはんだ付けが行われ、ソルダレジストが必要である。この目的のためにポリイミドフィルムを所定の型に打ち抜いたものを積層したり、耐熱性の材料で構成された印刷インクを印刷して用い、前者をカバーレイ、後者をカバーコートと呼んでいる。
【0004】
このカバーレイ、カバーコートははんだ付け後の配線の保護も兼ねており、はんだ付け時の耐熱性、絶縁性、基板の組み込み時の折り曲げでクラックが入らない可とう性が必要である。また、電池駆動の機器以外に用いられるFPCに用いるには難燃性も必要である。
【0005】
現在、接着剤層を有するポリイミドフィルムやポリエステルフィルムを所定の型に打ち抜いて形成されるカバーレイは、これらの特性を満足しており最も多く使用されているが、型抜きに高価な金型が必要で、打ち抜いたフィルムを人手で位置合わせ、張り合わせをするために製造コスト高になり、また、近年の高密度化に要求に対して微細パターンの形成が困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、写真現像法(イメージ露光に続く現象により画像を形成する方法)で難燃性、寸法精度、解像度に優れた高精度、高信頼性のカバーレイを形成する感光性樹脂組成物、特に感光性フィルム(感光性エレメント)の出現が望まれていた。
【0007】
この目的のために、ソルダーマスク形成用感光性樹脂組成物を用いることが試みられた。例えばアクリル系ポリマー及び光重合性モノマーを主成分とする感光性樹脂組成物(特開昭53−56018号公報、同54−1018号公報等)、耐熱性の良好な感光性樹脂組成物として主鎖にカルコン基を有する感光性エポキシ樹脂及びエポキシ硬化剤を主成分とする組成物(特開昭54−82073号公報、同58−62636号公報)、エポキシ基を含有するノボラック型エポキシアクリレート及び光重合開始剤を主成分とする組成物(特開昭61−272号公報)が挙げられ、安全性及び経済性に優れたアルカリ水溶液で現像可能なソルダーマスク形成用感光性樹脂組成物としては、カルボキシル基含有ポリマー、単量体、光重合開始剤及び熱硬化性樹脂を主成分とする組成物(特開昭48−73148号公報、同57−178237号公報、同58−42040号公報、同59−151152号公報等)等が挙げられるが、いずれも難燃性と可撓性が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度及び光硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、感度及び光硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れ、また、取扱い性、作業性に優れた感光性エレメントを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、a)トリブロモフェニルアクリレートとアクリル酸若しくはメタクリル酸とその他のビニルモノマーとを共重合して得られるカルボキシル基を有するバインダーポリマー、
(b)ペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)とヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレート若しくはヒドロキシエチルメタクリレートの反応物、
(c)下記一般式(1)
【0011】
【化2】
(式中R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、p及びqはp+qが5〜30となるように選ばれる正の整数である)で示される光重合性化合物、
(d)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
(e)アミノ樹脂及び
(f)三酸化アンチモン
を含有してなる難燃性感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は支持体フィルム上に上記難燃性感光性樹脂組成物の層を積層してなる感光性エレメントを提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の難燃性感光性樹脂組成物において詳細に説明する。
【0014】
本発明の難燃性感光性樹脂組成物において、(a)成分はトリブロモフェニルアクリレートとアクリル酸若しくはメタクリル酸とその他のビニルモノマーとを共重合して得られるカルボキシル基を有するバインダーポリマーである。
【0015】
ここで(a)成分のトリブロモフェニルアクリレートは、好ましくは3重量%〜65重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の割合で共重合させる。トリブロモフェニルアクリレートの共重合量が5重量%未満の場合は、難燃性が低下する傾向にあり、トリブロモフェニルアクリレートの共重合量をが65重量%を超える場合には、難燃性が得られるが、硬化させたカバーレイの耐折性が低下する傾向にある。
【0016】
アクリル酸若しくはメタクリル酸は、好ましくは10重量%〜45重量%の割合で共重合させる。
【0017】
その他のビニルモノマとしては、特に制限はなく、例えば、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル等のアクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらの共重合量は25〜87重量%が好ましい。
【0018】
(a)成分のカルボキシル基を有するバインダーポリマーは、アルカリ水溶液(例えば1〜3重量%の炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム水溶液等)に可溶又は膨潤可能であることが現像性、環境保全性の点で好ましい。
【0019】
また、酸価は65〜300mgKOH/gであることが好ましく酸価が65mgKOH/g未満では現像時間が遅くなる傾向にあり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像性が低下する傾向がある。また、重量平均分子量(GPC測定で、ポリスチレン換算したもの)は、2,000〜300,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300,000を超えると現像時間が長くなる傾向にある。
【0020】
(a)成分の配合量は、(a)、(b)及び(c)成分の合計量100重量部に対しての30〜70重量部が好ましい。30重量部未満ではアルカリ現像性の低下や、感光性エレメントとした場合感光性樹脂組成物層が柔らかくなりフィルム端部からしみ出しなどの問題が生ずる傾向がある。また、70重量部を超えると感度の低下やはんだ耐熱性の低下が起こる傾向がある。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)を必須成分として含有する。(b)成分はペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)とヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレート若しくはヒドロキシエチルメタクリレートの反応物である。
【0022】
この(b)成分の合成に用いられる上記コポリカーボネートは、例えば所定のポリオールを分子量を調整しながらホスゲン等と反応させることにより合成することができる。このコポリカーボネートは通常、数平均分子量が600〜1000であることが好ましく、より好ましくは700〜900である。このコポリカーボネートの上記モル比(A):(B)が上記範囲をはずれると、ゲル化することがあり、好ましくない。(A):(B)の好ましい範囲は8:2〜2:8であり、特に好ましくは5:5である。
【0023】
このコポリカーボネートをイソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと反応させることにより、(b)成分を得る。ここでヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートを意味し、各々単独で用いてもよいし、両方を併用してもよい。この反応におけるイソホロンジイソシアネートの使用量は、通常、コポリカーボネートの使用モル量より若干過剰量とする。この反応は、通常、以下のようにして行われる。コポリカーボネートと若干過剰量のイソホロンジイソシアネートとを混合し、ジブチルスズジラウレート等の触媒を加え、60〜120℃で反応させる。次いで、合成されたウレタンオリゴマーの末端イソシアネート基にヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させる。この反応は、パラメトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシ−トルエンなどの存在下で、ウレタンオリゴマー1モルに対して、2〜2.4モルのヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを60〜90℃で反応させて行われる。例えば赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の消失を確認させることにより、反応の終点を確認する。
【0024】
(b)成分として、共栄社化学製のウレタンアクリレートオリゴマーUF−8001、UF−8002、UF−8003が市販されており、特にUF−8003が好ましい。これからはいずれもメチルエチルケトン溶液である。
【0025】
(b)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して20〜100重量部とすることが好ましい。(b)成分が20重量部未満では可撓性が不十分となる傾向があり、100重量部を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物は、(c)を必須成分として含有する。一般式(1)で表わされる光重合性化合物としては、例えば、2,2′−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−メタクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上組み合わせて使用される。これらの市販品としては、例えばNK−エステルBPE−500(新中村化学工業(株)製商品名、2,2′−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)中のp及びqは、p+qが5〜30となるように選ばれる正の整数である。p+qが5未満の場合には、可撓性が低下し、30を超えると、系の親水性が増して現像時の密着性が低下する。p+qの好ましい範囲は5〜10である。
【0028】
(c)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して10〜100重量部とすることが好ましい。(b)成分は10重量部未満では、はんだ付け後の可撓性が不十分となる傾向があり、100重量部を超えると可撓性が低下する傾向がある。
【0029】
本発明の感光性樹脂組成物は、(d)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を必須成分として含有する。
【0030】
(d)成分に使用できる光重合開始剤としては、例えば、置換又は非置換の多核キノン類(2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等)、α−ケタルドニルアルコール類(ベンゾイン、ピバロン等)、エーテル類、α−炭化水素置換芳香族アシロイン類(α−フェニル−ベンゾイン、α,α−ジエトキシアセトフェノン類)、芳香族ケトン類(ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンなどの4,4′−ビスジアルキルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−エチルチオキサントン等)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−モルホリノプロパン−1−オンが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0031】
(d)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して0.5〜20重量部とすることが好ましい。(d)成分が0.5重量部未満では感度が不十分となる傾向があり、20重量部を超えるとパターン形状が悪くなる傾向がある。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)アミノ樹脂を必須成分として含有する。本発明においてアミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ基含有化合物にアルデヒドを反応させて得られる初期縮合物が用いられ、例えば、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン等のメラミン樹脂が挙げられ、これらは単独又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの市販品としては、例えばサイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル350(三井サイテック株式会社製、商品名)等が挙げられる。(e)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して3〜20重量部とすることが好ましい。(e)成分は3重量部未満では、はんだ耐熱性、難燃性が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると可撓性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物は、(f)三酸化アンチモンを必須成分として含有する。三酸化アンチモンの添加は難燃性に特に有効である。(f)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して1〜20重量部とすることが好ましい。(f)成分が1重量部未満では、難燃性が不十分となる傾向があり、20重量部を超えるとパターン形状や可撓性が低下する傾向がある。
【0034】
本発明の難燃性感光性樹脂組成物には、(a)成分以外の高分子結合剤、(b)成分や(c)成分以外の光重合性不飽和基含有化合物、熱重合禁止剤、染料、顔料、塗工改質剤、消泡剤、難燃剤、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,5−チアジアゾール等の密着性向上剤を含有させることができる。
【0035】
本発明の感光性エレメントは、支持体フィルム上に、前記本発明の感光性樹脂組成物の層を積層することにより製造することができる。
【0036】
支持体フィルムとしては、重合体フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるフィルムが挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0037】
これらの重合体フィルムは、後に感光層から除去しなくてはならないため、除去不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であってはならない。
【0038】
また、これらの重合体フィルムの厚さは、5〜100μmとすることが好ましく10〜30μmとすることが好ましい。この厚さが5μm未満では、回路被覆性が低下する傾向があり、100μmを超えるとパターン形成が困難となる傾向がある。
【0039】
これらの重合体フィルムは、一つは感光層の支持フィルムとして、他の一つは感光層の保護フィルムとして感光層の両面に積層することができる。
【0040】
本発明の感光性エレメントの製造法としては、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分及び(f)成分を含む感光性樹脂組成物(但し、(f)成分は均一に分散させる)を、溶剤に均一に溶解する。このときに使用する溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解する溶剤であればよい。例えば、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル系溶剤(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、塩素化炭化水素系溶剤(ジクロロメタン、クロロホルム等)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール等)が用いられる。これらの溶剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
次いで、溶液状の感光性樹脂組成物を前記支持体フィルムの重合体フィルム上に均一塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去し、乾燥皮膜とすることができる。
【0042】
乾燥皮膜の厚さは、特に制限がなく、10〜100μmとすることが好ましく、20〜60μmとすることがより好ましい。
【0043】
このようにして得られた感光層と支持体フィルムとの2層からなる本発明の感光性エレメントは、そのままで又は感光層の他の面に保護フィルムを更に積層してロール状に巻き取って貯蔵することができる。
【0044】
本発明の感光性エレメントを用いて、フォトレジスト画像を製造する方法としては、前記保護フィルムが介在している場合には、保護フィルムを除去後、感光層を加熱しながら基板に圧着させることにより積層することができる。このとき、減圧下で積層することが好ましい。
【0045】
感光層の加熱温度としては、特に制限はなく、90〜130℃とすることが好ましい。
【0046】
また、圧着圧力としては、特に制限はなく、2.94×105Pa(3kgf/cm2)とすることが好ましく、4,000ps(30mmHg)以下の減圧下で行われることが好ましい。
【0047】
本発明の感光性エレメントを使用する場合には、感光層を前記のように加熱するため、予め基板を予熱することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0048】
このようにして積層が完了した感光層は、ネガフィルム又はポジフィルムを用いて活性光に画像的に露光される。
【0049】
このとき、感光層上に存在する支持体フィルムが透明の場合には、そのまま露光することができるが、不透明の場合は、除去する必要がある。感光層の保護という点からは、支持体フィルムは透明で、この支持体フィルムを残存させたまま、それを通して露光することが好ましい。
【0050】
活性光としては、公知の活性光源が使用でき、例えば、カーボンアーク、水銀蒸気アーク、キセノンアーク、その他から発生する光等が挙げられる。
【0051】
感光層に含まれる光開始剤の感受性は通常、紫外線領域において最大であるため、その場合の活性光源は、紫外線を有効に放射するものが好ましい。
【0052】
次いで、露光後、感光層上に支持体フィルムが存在している場合には、これを除去した後、アルカリ水溶液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により未露光部を除去して現像することができる。
【0053】
アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが挙げられ、中でも、炭酸ナトリウムの水溶液が好ましい。
【0054】
現像に用いるアルカリ水溶液のpHとしては、9〜11とすることが好ましい。また、現像温度は、感光層の現像性に合わせて調整することができる。
【0055】
また、前記アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。
【0056】
さらに、現像後、FPCカバーレイとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことができる。
【0057】
紫外線の照射量としては、0.2〜10J/cm2とすることが好ましく、この照射の時に60〜150℃の熱を伴うことが好ましい。
【0058】
また、加熱時の加熱温度は、100〜170℃とすることが好ましく、加熱時間は、10〜90分とすることが好ましい。
【0059】
これら、紫外線照射と加熱の順は序はどちらを先に行ってもよい。
【0060】
このようにして、カバーレイの特性を付与された後、LSI等の部品実装(はんだ付け)、カメラ等機器へ装着される。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0062】
合成例
バインダーポリマーの合成
メチルセロソルブ70g、トルエン50gの混合物を窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ撹拌しながら80℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェニルアクリレート50g、メタクリル酸22g、メタクリル酸メチル25g、アクリル酸メチル1g、アクリル酸テトラヒドロフルフリル1g、トルエン24g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合した溶液を3時間でセパラブルフラスコ内に滴下、反応させた。次いで、メチルセロソルブ10g、トルエン10gの混合物を加えて、3時間保温後、アゾビスイソブチロニトリル0.4gをメチルセロソルブ10g及びトルエン10gに溶解した溶液を加え更に4時間保温した。その後、冷却し、バインダーポリマー溶液Α(固形分、35重量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
【0063】
表1に示したバインダーポリマー溶液B、C、D及びEについて共重合量及び共重合成分を変更した以外は、バインダーポリマー溶液Αと同一の合成方法で合成した。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
【0064】
【表1】
実施例1〜3及び比較例1〜4
表2に示す材料を配合し溶液を得た。
【0065】
【表2】
この溶液に表3に示す成分(a)、(b)、(c)、(e)、(f)を配合して感光性樹脂組成物の溶液を調整した。
【0066】
【表3】
*1 共栄社化学製ウレタンアクリレートオリゴマー: ペンタメチレンカーボネートとヘキサメチレンカーボネートを5:5のモル比で繰り返し単位とするコポリカーボネートとイソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートの反応物。
*2 新中村化学社製、NK−エステル: 2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン: 一般式(1)で示される光重合性化合物のp+qが10となる正の整数で示される光重合性化合物。
*3 新中村化学社製 NK−エステル: 2,2−ビス[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン: 一般式(1)で示される光重合性化合物のp+qが、4となる正の整数で示される光重合性化合物。
*4 三井サイテック(株)製 ヘキサメチロールメラミン
(注)表中の配合量の単位は重量部(固形分)を表わす。
【0067】
得られた感光性樹脂組成物の溶液を図1に示す装置を用いて20μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム12上に均一に塗布し、80〜110℃の熱風対流式乾燥機7で約10分間乾燥して溶剤を除去した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の厚さは、約50μmであった。感光性樹脂組成物層の上には、さらに図1に示したようにして厚さ約25μmのポリエチレンフィルム13を保護フィルムとして貼り合わせ、本発明の感光性エレメントを得た。
【0068】
なお、図1において、1はポリエチレンテレフタレートフィルム繰り出しロール、2はフィードロール、3はバッキングロール、4はドクターロール、9及び10はロール、5はナイフ、6は感光性樹脂組成物の溶液、8はポリエチレンフィルム繰り出しロール、11は感光性エレメント巻き取りロールである。
【0069】
得られた感光性エレメントの感光特性、レジストの形成後のはんだ耐熱性、耐折性及び難燃性について下記の方法で評価し、結果を表4に示す。
【0070】
(1)感光特性
35μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント板用基板(ニッカン工業(株)製、商品名F30VC125RC11)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント板用基板上に連続式真空ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名VLM−1型)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度1.0m/s、気圧4,000Pa以下、圧着圧力2.94×105Paで前記感光性エレメントをポリエチレンフィルムを剥がしながら積層した。
【0071】
次に、得られた試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から、コダックステップタブレットNo.2(イーストマンコダック(株)製、21段ステップタブレット)を密着させ、(株)オーク製作所製HMW−201GX型露光機を使用して所定量露光し、さらに30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去した。ステップタブレット段数8段を得るために必要な露光量を感度とした。
【0072】
また、フォトツール(コダックステップタブレットNo.2とライン/スペース(μm)=30/30〜250/250(解像度)、及びライン/スペース(μm)=30/400〜250/400(密着性)のネガパターンを有するフォトツール)を、得られた試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から密着させ、ステップタブレット段数8段を得られる露光量で露光し、現像したときに矩形のレジスト形状が得られる最も小さい解像度パターンのライン/スペースの値を解像度とした。
【0073】
(2)はんだ耐熱性
上記(1)と同様に、フレキシブルプリント板用基板に感光性エレメントを積層した試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から試験用ネガマスクを密着させ、ステップタブレット段数8段を得られる露光量で露光した。常温で1時間放置した後、試料のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去して現像した後、80℃で10分間乾燥した。次いで、東芝電材(株)製東芝紫外線照射装置を使用して、1J/cm2の紫外線照射を行い、さらに150℃で45分間加熱を行い、カバーレイを形成したフレキシブルプリント板を得た。
【0074】
次いで、ロジン系フラックスMH−820V(タムラ化研(株)製)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ付け処理を行った。このような操作の後、カバーレイのクラック発生状況、基板からのカバーレイの浮きや剥がれの状況を目視で次の基準で評価した。
良好:クラック、浮き及び剥がれがないもの
不良:クラック、浮き及び剥がれが発生したもの
(3)耐溶剤性
上記(2)と同様の操作でカバーレイを形成したフレキシブルプリント板を室温でメチルエチルケトン及びイソプロピルアルコール中に10分間浸漬した後、基板からのカバーレイの浮き及び剥がれの状況を目視で下記の基準で評価した。
良好:浮き及び剥がれのないもの
不良:浮き又は剥がれがのあるもの
(4)耐折性
(2)と同様の操作で得たフレキシブルプリント板用基板上にカバーレイを形成し、はんだ付け処理を行った試料をはぜ折りで180°折り曲げ、折り曲げた際のカバーレイのクラックの発生状況を目視で下記の基準で評価した。
良好:クラックの発生がないもの
不良:クラックが発生したもの
(5)難燃性
フレキシブルプリント板用基板(ニッカン工業(株)製、商品名F30VC125RC11)の銅箔をエッチングで除去した接着剤付きポリイミド基材に、真空ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名VLM−1型)を用いて、ヒートシュー温度120℃、ラミネート速度1.0m/s、気圧4,000Pa以下、圧着圧力2.94×105Pa(3kgf/cm2)で前記感光性エレメントをポリエチレンフィルムを剥がしながら積層し、ステップタブレット段数8段が得られるように露光した。常温で1時間放置した後、試料のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去して現像した後、80℃で10分間乾燥した。次いで、東芝電材(株)製東芝紫外線照射装置を利用して、1J/cm2の紫外線照射を行い、さらに150℃で45分間加熱処理を行い、難燃性評価の基板を作製した。
【0075】
この評価基板を米国のUnderwriters LaboratoriesInc.(ULと略す)の高分子材料の難燃性試験規格UL94に準拠した装置、方法(VTM法)に従って難燃性を評価した。結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
表4から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを用いることによって、はんだ耐熱性及び耐折性が良好でかつ、難燃性が94VTM−11(UL規格)又は94VTM−0(UL規格)であるフレキシブルプリント配線板用カバーレイが得られることが分かる。
【0077】
【発明の効果】
本発明の難燃性感光性樹脂組成物は、感度及び光硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れたものである。
【0078】
本発明の感光性エレメントは、感度及び硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れ、また、取扱い性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜4で用いた感光性エレメントの製造装置の略図。
【符号の説明】
1 ポリエチレンテレフタレートフィルム繰り出しロール
2 フィードロール
3 バッキングロール
4 ドクタロール
5 ナイフ
6 感光性永久マスク材料の溶液
7 乾燥機
8 ポリエチレンフィルム繰り出しロール
9、10 ロール
11 感光性エレメント巻き取りロール
12 ポリエチレンテレフタレートフィルム
13 ポリエチレンフィルム
14 感光性エレメント
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント配線板等の製造に使用し得る保護膜(カバーレイ)形成用の難燃性感光性樹脂組成物及び感光性エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の製造には、従来より液状又はフィルム状の感光性組成物が用いられている。例えば、銅箔を絶縁基板上に積層した銅張積層板の銅箔をエッチングするときのレジストとして、又は配線の形成されたプリント配線板のはんだ付け位置の限定及び保護の目的で使用するソルダレジスト等として使用されている。
【0003】
プリント配線板には、カメラなどの小型機器に折り曲げて組み込むことのできるフィルム状のプリント配線板、一般にフレキシブルプリント配線板(FPC)と称されるものがある。このFPCも部品搭載のためにはんだ付けが行われ、ソルダレジストが必要である。この目的のためにポリイミドフィルムを所定の型に打ち抜いたものを積層したり、耐熱性の材料で構成された印刷インクを印刷して用い、前者をカバーレイ、後者をカバーコートと呼んでいる。
【0004】
このカバーレイ、カバーコートははんだ付け後の配線の保護も兼ねており、はんだ付け時の耐熱性、絶縁性、基板の組み込み時の折り曲げでクラックが入らない可とう性が必要である。また、電池駆動の機器以外に用いられるFPCに用いるには難燃性も必要である。
【0005】
現在、接着剤層を有するポリイミドフィルムやポリエステルフィルムを所定の型に打ち抜いて形成されるカバーレイは、これらの特性を満足しており最も多く使用されているが、型抜きに高価な金型が必要で、打ち抜いたフィルムを人手で位置合わせ、張り合わせをするために製造コスト高になり、また、近年の高密度化に要求に対して微細パターンの形成が困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、写真現像法(イメージ露光に続く現象により画像を形成する方法)で難燃性、寸法精度、解像度に優れた高精度、高信頼性のカバーレイを形成する感光性樹脂組成物、特に感光性フィルム(感光性エレメント)の出現が望まれていた。
【0007】
この目的のために、ソルダーマスク形成用感光性樹脂組成物を用いることが試みられた。例えばアクリル系ポリマー及び光重合性モノマーを主成分とする感光性樹脂組成物(特開昭53−56018号公報、同54−1018号公報等)、耐熱性の良好な感光性樹脂組成物として主鎖にカルコン基を有する感光性エポキシ樹脂及びエポキシ硬化剤を主成分とする組成物(特開昭54−82073号公報、同58−62636号公報)、エポキシ基を含有するノボラック型エポキシアクリレート及び光重合開始剤を主成分とする組成物(特開昭61−272号公報)が挙げられ、安全性及び経済性に優れたアルカリ水溶液で現像可能なソルダーマスク形成用感光性樹脂組成物としては、カルボキシル基含有ポリマー、単量体、光重合開始剤及び熱硬化性樹脂を主成分とする組成物(特開昭48−73148号公報、同57−178237号公報、同58−42040号公報、同59−151152号公報等)等が挙げられるが、いずれも難燃性と可撓性が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度及び光硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、感度及び光硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れ、また、取扱い性、作業性に優れた感光性エレメントを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、a)トリブロモフェニルアクリレートとアクリル酸若しくはメタクリル酸とその他のビニルモノマーとを共重合して得られるカルボキシル基を有するバインダーポリマー、
(b)ペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)とヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレート若しくはヒドロキシエチルメタクリレートの反応物、
(c)下記一般式(1)
【0011】
【化2】
(式中R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、p及びqはp+qが5〜30となるように選ばれる正の整数である)で示される光重合性化合物、
(d)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
(e)アミノ樹脂及び
(f)三酸化アンチモン
を含有してなる難燃性感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は支持体フィルム上に上記難燃性感光性樹脂組成物の層を積層してなる感光性エレメントを提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の難燃性感光性樹脂組成物において詳細に説明する。
【0014】
本発明の難燃性感光性樹脂組成物において、(a)成分はトリブロモフェニルアクリレートとアクリル酸若しくはメタクリル酸とその他のビニルモノマーとを共重合して得られるカルボキシル基を有するバインダーポリマーである。
【0015】
ここで(a)成分のトリブロモフェニルアクリレートは、好ましくは3重量%〜65重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の割合で共重合させる。トリブロモフェニルアクリレートの共重合量が5重量%未満の場合は、難燃性が低下する傾向にあり、トリブロモフェニルアクリレートの共重合量をが65重量%を超える場合には、難燃性が得られるが、硬化させたカバーレイの耐折性が低下する傾向にある。
【0016】
アクリル酸若しくはメタクリル酸は、好ましくは10重量%〜45重量%の割合で共重合させる。
【0017】
その他のビニルモノマとしては、特に制限はなく、例えば、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル等のアクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらの共重合量は25〜87重量%が好ましい。
【0018】
(a)成分のカルボキシル基を有するバインダーポリマーは、アルカリ水溶液(例えば1〜3重量%の炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム水溶液等)に可溶又は膨潤可能であることが現像性、環境保全性の点で好ましい。
【0019】
また、酸価は65〜300mgKOH/gであることが好ましく酸価が65mgKOH/g未満では現像時間が遅くなる傾向にあり、300mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像性が低下する傾向がある。また、重量平均分子量(GPC測定で、ポリスチレン換算したもの)は、2,000〜300,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300,000を超えると現像時間が長くなる傾向にある。
【0020】
(a)成分の配合量は、(a)、(b)及び(c)成分の合計量100重量部に対しての30〜70重量部が好ましい。30重量部未満ではアルカリ現像性の低下や、感光性エレメントとした場合感光性樹脂組成物層が柔らかくなりフィルム端部からしみ出しなどの問題が生ずる傾向がある。また、70重量部を超えると感度の低下やはんだ耐熱性の低下が起こる傾向がある。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)を必須成分として含有する。(b)成分はペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)とヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレート若しくはヒドロキシエチルメタクリレートの反応物である。
【0022】
この(b)成分の合成に用いられる上記コポリカーボネートは、例えば所定のポリオールを分子量を調整しながらホスゲン等と反応させることにより合成することができる。このコポリカーボネートは通常、数平均分子量が600〜1000であることが好ましく、より好ましくは700〜900である。このコポリカーボネートの上記モル比(A):(B)が上記範囲をはずれると、ゲル化することがあり、好ましくない。(A):(B)の好ましい範囲は8:2〜2:8であり、特に好ましくは5:5である。
【0023】
このコポリカーボネートをイソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと反応させることにより、(b)成分を得る。ここでヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートを意味し、各々単独で用いてもよいし、両方を併用してもよい。この反応におけるイソホロンジイソシアネートの使用量は、通常、コポリカーボネートの使用モル量より若干過剰量とする。この反応は、通常、以下のようにして行われる。コポリカーボネートと若干過剰量のイソホロンジイソシアネートとを混合し、ジブチルスズジラウレート等の触媒を加え、60〜120℃で反応させる。次いで、合成されたウレタンオリゴマーの末端イソシアネート基にヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させる。この反応は、パラメトキシフェノール及びジ−t−ブチル−ヒドロキシ−トルエンなどの存在下で、ウレタンオリゴマー1モルに対して、2〜2.4モルのヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを60〜90℃で反応させて行われる。例えば赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の消失を確認させることにより、反応の終点を確認する。
【0024】
(b)成分として、共栄社化学製のウレタンアクリレートオリゴマーUF−8001、UF−8002、UF−8003が市販されており、特にUF−8003が好ましい。これからはいずれもメチルエチルケトン溶液である。
【0025】
(b)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して20〜100重量部とすることが好ましい。(b)成分が20重量部未満では可撓性が不十分となる傾向があり、100重量部を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0026】
本発明の感光性樹脂組成物は、(c)を必須成分として含有する。一般式(1)で表わされる光重合性化合物としては、例えば、2,2′−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−メタクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上組み合わせて使用される。これらの市販品としては、例えばNK−エステルBPE−500(新中村化学工業(株)製商品名、2,2′−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)中のp及びqは、p+qが5〜30となるように選ばれる正の整数である。p+qが5未満の場合には、可撓性が低下し、30を超えると、系の親水性が増して現像時の密着性が低下する。p+qの好ましい範囲は5〜10である。
【0028】
(c)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して10〜100重量部とすることが好ましい。(b)成分は10重量部未満では、はんだ付け後の可撓性が不十分となる傾向があり、100重量部を超えると可撓性が低下する傾向がある。
【0029】
本発明の感光性樹脂組成物は、(d)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を必須成分として含有する。
【0030】
(d)成分に使用できる光重合開始剤としては、例えば、置換又は非置換の多核キノン類(2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等)、α−ケタルドニルアルコール類(ベンゾイン、ピバロン等)、エーテル類、α−炭化水素置換芳香族アシロイン類(α−フェニル−ベンゾイン、α,α−ジエトキシアセトフェノン類)、芳香族ケトン類(ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノンなどの4,4′−ビスジアルキルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−エチルチオキサントン等)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−モルホリノプロパン−1−オンが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0031】
(d)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して0.5〜20重量部とすることが好ましい。(d)成分が0.5重量部未満では感度が不十分となる傾向があり、20重量部を超えるとパターン形状が悪くなる傾向がある。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物は、(e)アミノ樹脂を必須成分として含有する。本発明においてアミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ基含有化合物にアルデヒドを反応させて得られる初期縮合物が用いられ、例えば、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン等のメラミン樹脂が挙げられ、これらは単独又は2種類以上を組み合わせて使用される。これらの市販品としては、例えばサイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル350(三井サイテック株式会社製、商品名)等が挙げられる。(e)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して3〜20重量部とすることが好ましい。(e)成分は3重量部未満では、はんだ耐熱性、難燃性が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると可撓性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物は、(f)三酸化アンチモンを必須成分として含有する。三酸化アンチモンの添加は難燃性に特に有効である。(f)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して1〜20重量部とすることが好ましい。(f)成分が1重量部未満では、難燃性が不十分となる傾向があり、20重量部を超えるとパターン形状や可撓性が低下する傾向がある。
【0034】
本発明の難燃性感光性樹脂組成物には、(a)成分以外の高分子結合剤、(b)成分や(c)成分以外の光重合性不飽和基含有化合物、熱重合禁止剤、染料、顔料、塗工改質剤、消泡剤、難燃剤、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,5−チアジアゾール等の密着性向上剤を含有させることができる。
【0035】
本発明の感光性エレメントは、支持体フィルム上に、前記本発明の感光性樹脂組成物の層を積層することにより製造することができる。
【0036】
支持体フィルムとしては、重合体フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるフィルムが挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0037】
これらの重合体フィルムは、後に感光層から除去しなくてはならないため、除去不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であってはならない。
【0038】
また、これらの重合体フィルムの厚さは、5〜100μmとすることが好ましく10〜30μmとすることが好ましい。この厚さが5μm未満では、回路被覆性が低下する傾向があり、100μmを超えるとパターン形成が困難となる傾向がある。
【0039】
これらの重合体フィルムは、一つは感光層の支持フィルムとして、他の一つは感光層の保護フィルムとして感光層の両面に積層することができる。
【0040】
本発明の感光性エレメントの製造法としては、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分及び(f)成分を含む感光性樹脂組成物(但し、(f)成分は均一に分散させる)を、溶剤に均一に溶解する。このときに使用する溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解する溶剤であればよい。例えば、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル系溶剤(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、塩素化炭化水素系溶剤(ジクロロメタン、クロロホルム等)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール等)が用いられる。これらの溶剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
次いで、溶液状の感光性樹脂組成物を前記支持体フィルムの重合体フィルム上に均一塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去し、乾燥皮膜とすることができる。
【0042】
乾燥皮膜の厚さは、特に制限がなく、10〜100μmとすることが好ましく、20〜60μmとすることがより好ましい。
【0043】
このようにして得られた感光層と支持体フィルムとの2層からなる本発明の感光性エレメントは、そのままで又は感光層の他の面に保護フィルムを更に積層してロール状に巻き取って貯蔵することができる。
【0044】
本発明の感光性エレメントを用いて、フォトレジスト画像を製造する方法としては、前記保護フィルムが介在している場合には、保護フィルムを除去後、感光層を加熱しながら基板に圧着させることにより積層することができる。このとき、減圧下で積層することが好ましい。
【0045】
感光層の加熱温度としては、特に制限はなく、90〜130℃とすることが好ましい。
【0046】
また、圧着圧力としては、特に制限はなく、2.94×105Pa(3kgf/cm2)とすることが好ましく、4,000ps(30mmHg)以下の減圧下で行われることが好ましい。
【0047】
本発明の感光性エレメントを使用する場合には、感光層を前記のように加熱するため、予め基板を予熱することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0048】
このようにして積層が完了した感光層は、ネガフィルム又はポジフィルムを用いて活性光に画像的に露光される。
【0049】
このとき、感光層上に存在する支持体フィルムが透明の場合には、そのまま露光することができるが、不透明の場合は、除去する必要がある。感光層の保護という点からは、支持体フィルムは透明で、この支持体フィルムを残存させたまま、それを通して露光することが好ましい。
【0050】
活性光としては、公知の活性光源が使用でき、例えば、カーボンアーク、水銀蒸気アーク、キセノンアーク、その他から発生する光等が挙げられる。
【0051】
感光層に含まれる光開始剤の感受性は通常、紫外線領域において最大であるため、その場合の活性光源は、紫外線を有効に放射するものが好ましい。
【0052】
次いで、露光後、感光層上に支持体フィルムが存在している場合には、これを除去した後、アルカリ水溶液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により未露光部を除去して現像することができる。
【0053】
アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが挙げられ、中でも、炭酸ナトリウムの水溶液が好ましい。
【0054】
現像に用いるアルカリ水溶液のpHとしては、9〜11とすることが好ましい。また、現像温度は、感光層の現像性に合わせて調整することができる。
【0055】
また、前記アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させることができる。
【0056】
さらに、現像後、FPCカバーレイとしてのはんだ耐熱性、耐薬品性を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことができる。
【0057】
紫外線の照射量としては、0.2〜10J/cm2とすることが好ましく、この照射の時に60〜150℃の熱を伴うことが好ましい。
【0058】
また、加熱時の加熱温度は、100〜170℃とすることが好ましく、加熱時間は、10〜90分とすることが好ましい。
【0059】
これら、紫外線照射と加熱の順は序はどちらを先に行ってもよい。
【0060】
このようにして、カバーレイの特性を付与された後、LSI等の部品実装(はんだ付け)、カメラ等機器へ装着される。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0062】
合成例
バインダーポリマーの合成
メチルセロソルブ70g、トルエン50gの混合物を窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ撹拌しながら80℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェニルアクリレート50g、メタクリル酸22g、メタクリル酸メチル25g、アクリル酸メチル1g、アクリル酸テトラヒドロフルフリル1g、トルエン24g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合した溶液を3時間でセパラブルフラスコ内に滴下、反応させた。次いで、メチルセロソルブ10g、トルエン10gの混合物を加えて、3時間保温後、アゾビスイソブチロニトリル0.4gをメチルセロソルブ10g及びトルエン10gに溶解した溶液を加え更に4時間保温した。その後、冷却し、バインダーポリマー溶液Α(固形分、35重量%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
【0063】
表1に示したバインダーポリマー溶液B、C、D及びEについて共重合量及び共重合成分を変更した以外は、バインダーポリマー溶液Αと同一の合成方法で合成した。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
【0064】
【表1】
実施例1〜3及び比較例1〜4
表2に示す材料を配合し溶液を得た。
【0065】
【表2】
この溶液に表3に示す成分(a)、(b)、(c)、(e)、(f)を配合して感光性樹脂組成物の溶液を調整した。
【0066】
【表3】
*1 共栄社化学製ウレタンアクリレートオリゴマー: ペンタメチレンカーボネートとヘキサメチレンカーボネートを5:5のモル比で繰り返し単位とするコポリカーボネートとイソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートの反応物。
*2 新中村化学社製、NK−エステル: 2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン: 一般式(1)で示される光重合性化合物のp+qが10となる正の整数で示される光重合性化合物。
*3 新中村化学社製 NK−エステル: 2,2−ビス[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン: 一般式(1)で示される光重合性化合物のp+qが、4となる正の整数で示される光重合性化合物。
*4 三井サイテック(株)製 ヘキサメチロールメラミン
(注)表中の配合量の単位は重量部(固形分)を表わす。
【0067】
得られた感光性樹脂組成物の溶液を図1に示す装置を用いて20μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム12上に均一に塗布し、80〜110℃の熱風対流式乾燥機7で約10分間乾燥して溶剤を除去した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の厚さは、約50μmであった。感光性樹脂組成物層の上には、さらに図1に示したようにして厚さ約25μmのポリエチレンフィルム13を保護フィルムとして貼り合わせ、本発明の感光性エレメントを得た。
【0068】
なお、図1において、1はポリエチレンテレフタレートフィルム繰り出しロール、2はフィードロール、3はバッキングロール、4はドクターロール、9及び10はロール、5はナイフ、6は感光性樹脂組成物の溶液、8はポリエチレンフィルム繰り出しロール、11は感光性エレメント巻き取りロールである。
【0069】
得られた感光性エレメントの感光特性、レジストの形成後のはんだ耐熱性、耐折性及び難燃性について下記の方法で評価し、結果を表4に示す。
【0070】
(1)感光特性
35μm厚の銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント板用基板(ニッカン工業(株)製、商品名F30VC125RC11)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このフレキシブルプリント板用基板上に連続式真空ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名VLM−1型)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度1.0m/s、気圧4,000Pa以下、圧着圧力2.94×105Paで前記感光性エレメントをポリエチレンフィルムを剥がしながら積層した。
【0071】
次に、得られた試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から、コダックステップタブレットNo.2(イーストマンコダック(株)製、21段ステップタブレット)を密着させ、(株)オーク製作所製HMW−201GX型露光機を使用して所定量露光し、さらに30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去した。ステップタブレット段数8段を得るために必要な露光量を感度とした。
【0072】
また、フォトツール(コダックステップタブレットNo.2とライン/スペース(μm)=30/30〜250/250(解像度)、及びライン/スペース(μm)=30/400〜250/400(密着性)のネガパターンを有するフォトツール)を、得られた試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から密着させ、ステップタブレット段数8段を得られる露光量で露光し、現像したときに矩形のレジスト形状が得られる最も小さい解像度パターンのライン/スペースの値を解像度とした。
【0073】
(2)はんだ耐熱性
上記(1)と同様に、フレキシブルプリント板用基板に感光性エレメントを積層した試料のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から試験用ネガマスクを密着させ、ステップタブレット段数8段を得られる露光量で露光した。常温で1時間放置した後、試料のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去して現像した後、80℃で10分間乾燥した。次いで、東芝電材(株)製東芝紫外線照射装置を使用して、1J/cm2の紫外線照射を行い、さらに150℃で45分間加熱を行い、カバーレイを形成したフレキシブルプリント板を得た。
【0074】
次いで、ロジン系フラックスMH−820V(タムラ化研(株)製)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ付け処理を行った。このような操作の後、カバーレイのクラック発生状況、基板からのカバーレイの浮きや剥がれの状況を目視で次の基準で評価した。
良好:クラック、浮き及び剥がれがないもの
不良:クラック、浮き及び剥がれが発生したもの
(3)耐溶剤性
上記(2)と同様の操作でカバーレイを形成したフレキシブルプリント板を室温でメチルエチルケトン及びイソプロピルアルコール中に10分間浸漬した後、基板からのカバーレイの浮き及び剥がれの状況を目視で下記の基準で評価した。
良好:浮き及び剥がれのないもの
不良:浮き又は剥がれがのあるもの
(4)耐折性
(2)と同様の操作で得たフレキシブルプリント板用基板上にカバーレイを形成し、はんだ付け処理を行った試料をはぜ折りで180°折り曲げ、折り曲げた際のカバーレイのクラックの発生状況を目視で下記の基準で評価した。
良好:クラックの発生がないもの
不良:クラックが発生したもの
(5)難燃性
フレキシブルプリント板用基板(ニッカン工業(株)製、商品名F30VC125RC11)の銅箔をエッチングで除去した接着剤付きポリイミド基材に、真空ラミネータ(日立化成工業(株)製、商品名VLM−1型)を用いて、ヒートシュー温度120℃、ラミネート速度1.0m/s、気圧4,000Pa以下、圧着圧力2.94×105Pa(3kgf/cm2)で前記感光性エレメントをポリエチレンフィルムを剥がしながら積層し、ステップタブレット段数8段が得られるように露光した。常温で1時間放置した後、試料のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることにより未露光部分を除去して現像した後、80℃で10分間乾燥した。次いで、東芝電材(株)製東芝紫外線照射装置を利用して、1J/cm2の紫外線照射を行い、さらに150℃で45分間加熱処理を行い、難燃性評価の基板を作製した。
【0075】
この評価基板を米国のUnderwriters LaboratoriesInc.(ULと略す)の高分子材料の難燃性試験規格UL94に準拠した装置、方法(VTM法)に従って難燃性を評価した。結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
表4から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを用いることによって、はんだ耐熱性及び耐折性が良好でかつ、難燃性が94VTM−11(UL規格)又は94VTM−0(UL規格)であるフレキシブルプリント配線板用カバーレイが得られることが分かる。
【0077】
【発明の効果】
本発明の難燃性感光性樹脂組成物は、感度及び光硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れたものである。
【0078】
本発明の感光性エレメントは、感度及び硬化性に優れ、フォトリソグラフィーにより効率良く形成でき、耐折性、はんだ耐熱性及び難燃性等に優れ、また、取扱い性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜4で用いた感光性エレメントの製造装置の略図。
【符号の説明】
1 ポリエチレンテレフタレートフィルム繰り出しロール
2 フィードロール
3 バッキングロール
4 ドクタロール
5 ナイフ
6 感光性永久マスク材料の溶液
7 乾燥機
8 ポリエチレンフィルム繰り出しロール
9、10 ロール
11 感光性エレメント巻き取りロール
12 ポリエチレンテレフタレートフィルム
13 ポリエチレンフィルム
14 感光性エレメント
Claims (5)
- (a)トリブロモフェニルアクリレートとアクリル酸若しくはメタクリル酸とその他のビニルモノマーとを共重合して得られるカルボキシル基を有するバインダーポリマー、
(b)ペンタメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(A)とヘキサメチレンカーボネート単位からなる繰り返し単位(B)を有し、これら繰り返し単位のモル比A:Bが9:1〜1:9であるコポリカーボネート、イソホロンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレート若しくはヒドロキシエチルメタクリレートの反応物、
(c)下記一般式(1)
(d)活性光線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤、
(e)アミノ樹脂及び
(f)三酸化アンチモン
を含有してなる難燃性感光性樹脂組成物。 - (a)成分のカルボキシル基を有するバンインダポリマーがトリブロモフェニルアクリレートを3重量%〜65重量%含み、アルカリ水溶液に可溶又は膨潤可能であり、酸価が65〜300mgKOH/gであり、重量平均分子量が20,000〜300,000である請求項1記載の難燃性感光性樹脂組成物。
- (c)一般式(1)で示される光重合性化合物のp+qが、5〜10となるように選ばれる正の整数で示される光重合性化合物である請求項1又は2記載の難燃性感光性樹脂組成物。
- (e)成分のアミノ樹脂が、メラミン樹脂である請求項1、2又は3記載の難燃性感光性樹脂組成物。
- 支持体フィルム上に請求項1、2、3又は4記載の難燃性感光性樹脂組成物の層を積層してなる感光性エレメント。
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