JP4969154B2 - 感光性樹脂組成物及びガラスパターンの形成方法 - Google Patents
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Description
例えば、有機ELD(有機エレクトロルミネッセントディスプレイ)の背面キャップには、従来、中空構造のメタル缶が用いられているが、パネルを薄型化するため、メタル缶に代えて、ガラスを背面キャップに用いることが検討されている。一般にガラス製の背面キャップは、ガラス基板をフッ酸でウエットエッチングすることにより形成されている。
一方、特許文献2には、非感光性の樹脂を被覆材としてガラス基板表面に形成する工法の開示がある。しかしながら、被覆層とガラスの密着性が十分ではなかった。
他方、ガラスのエッチングにはドライエッチング法も開発されているが溝深さが2〜3μmと浅く実用的ではない。尚、装置が非常に高価であり、簡便に使用できない問題がある。サンドブラスト工法によるエッチングではガラス板が割れるという問題もある。
(1)(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が
5000〜500000であるバインダー用樹脂、
(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、
(C)光重合開始剤及び、
(D)オルガノシラン化合物を含有してなるフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物であり、
前記(B)成分が、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含み、
前記(D)成分が下記一般式(I)で示されるオルガノシラン化合物であることを特徴とするフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物。
(2)(A)バインダー用樹脂の含有量が20質量%〜90質量%、
(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーの含有量が5〜70質量%、
(C)光重合開始剤の含有量が0.1質量%〜10質量%、及び
(D)オルガノシラン化合物の含有量が0.01質量%〜20質量%、
である(1)記載のフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物。
(3)支持層上に、(1)又は(2)に記載のフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物よりなる層を積層して得られる感光性樹脂積層体。
(4)(3)に記載の感光性樹脂積層体を、ガラス基板にラミネートし、露光し、現像してレジストパターンを形成し、ポストベークし、該レジストパターンで覆われていない部分のガラス基板を、フッ酸を用いてエッチング加工し、該レジストパターンを剥離することを特徴とするガラスパターンの形成方法。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂、(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤及び、(D)オルガノシラン化合物を含有してなる感光性樹脂組成物であり、前記(D)成分が下記一般式(I)で示されるオルガノシラン化合物を含むことを特徴としている。
(D)オルガノシラン化合物を含有することで、ガラス等の基板に対する密着性、及びフッ酸に対する耐薬品性に優れているため、フッ酸エッチング時に基板からレジスト剥がれが生じにくく、高い精度でガラスパターン加工することができる。
ル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、ウレイド基、イソシアネート基、メルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機基、であって、官能基としては、中でも、ビニル基、アクリル基、メタアクリル基、メルカプト基が好ましい。官能基を有する有機基としては、上記官能基に、アルキル基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、又はアルキルーアリーレン基があっても良く、中でも、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルケニレン基、―ベンセン環―が好ましく、更には、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基が好ましい。アルキル基、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、又はアルキルーアリーレン基には選択により、酸素、硫黄、又は−NH−が途中に介在しても良い。Xで表される有機基の炭素数は、2から10が好ましい。
Rは、アルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基が好ましい。
Yは、アルコキシ基を示し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、クロル基、メトキシエトキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、(D)オルガノシラン化合物は、0.01〜20質量%となるように含有されていることが好ましく、さらに好ましくは1〜10質量%である。フッ酸エッチング時の硬化レジスト剥がれの観点から、0.01質量%以上が好ましく、画像パターンの解像度の観点から、20質量%以下が好ましい。
ここで酸当量とはその中に1当量のカルボキシル基を有する樹脂の重量をいう。重合体中のカルボキシル基はアルカリ可溶性即ちアルカリ水溶液に対する現像性や最終剥離工程での硬化膜の剥離性を与える為に必要である。酸当量が100未満では塗工溶媒または架橋性モノマーとの相溶性が低下し、600を超えると現像性が悪化する。また、重量平均分子量が50万を超えると現像性が低下し、基材との密着性が低下する。重量平均分子量が5000未満では光重合性積層体に用いたとき光重合層の厚みを均一に維持することが困難になる。
分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
(A)バインダー用樹脂は、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有することが好ましく下記の2種類の単量体の中より各々一種またはそれ以上の単量体を共重合さ
せることにより得られる。
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有し、光重合性層の現像性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選定する。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルやベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレンまたは重合可能なスチレン誘導体等が挙げられる。
(A)バインダー用樹脂の感光性樹脂組成物全体に対する含有量は、20〜90質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。現像後の硬化レジストのレジストとしての耐性の観点から20〜90質量%が好ましい。
(B)光重合性モノマーとしては、少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーであって、具体的な例としては、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(P−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールトリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレングリコール付加ジ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(B)光重合性モノマーの感光性樹脂組成物全体に対する含有量は、5質量%以上70質量%以下が好ましい。感度が向上する観点から5質量%以上であり、エッジフューズが抑制される観点から70質量%以下である。好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
本発明に用いられる(C)光重合開始剤について以下説明する。
(C)光重合開始剤としては、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合を開始する化合物であれば、通常用いられている化合物を使用することができる。
(C)光重合開始剤の感光性樹脂組成物全体に対する含有量は、0.1質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、0.5〜6質量%とすることがより好ましい。感度の観点より0.1質量%以上が好ましく、硬化レジストの線幅太りの観点から、10質量%
以下が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、トルエン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の溶剤又は混合溶剤に溶解して不揮発分30〜60質量%程度の溶液として、支持層上や基板上に塗布することができる。
支持層としては、通常、活性光線を透過させる透明な基材フィルムが用いられ、このような基材フィルムとしては厚み10μm以上100μm以下程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、通常適度な可とう性と強度を有するポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。ラミネート時にシワを発生させにくくするため、また支持層の破損を防ぐ観点から、膜厚は10μm以上であることが好ましい。また充分な解像性を得るために、膜厚は100μm以下であることが好ましい。またヘーズは5以下のものが好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体には、必要に応じて感光性樹脂層の支持層とは反対側の面に、保護層を形成しても良い。感光性樹脂層との密着力において、感光性樹脂層と支持層との密着力よりも感光性樹脂層と保護層の密着力が小さいことがこの保護層に必要な特性であり、これにより保護層が容易に剥離できる。
保護層は、本発明の感光性樹脂層を保護する為のフィルムであり、このようなフィルムとしては10〜100μm厚程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。
支持層、感光性樹脂層、及び保護層を順次積層して感光性樹脂積層体を作成する方法は、従来知られている方法を採用することができる。
例えば感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にしておき、まず支持層上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥し、支持層上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層する。
次に、必要に応じて感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
(1)ラミネート工程
感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながらガラス基板等の基板上にホットロールラミネーターを用いてラミネートする工程。
(2)露光工程
所望の配線パターンを有するマスクフィルムを支持体上に密着させ活性光線源を用いて露光を施す工程。用いられる活性光線源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍
光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどが挙げられる。また、より微細なレジストパターンを得るためには平行光光源を用いるのがより好ましい。ゴミや異物の影響を極力少なくしたい場合には、フォトマスクを支持体上から数十μm以上数百μm以下浮かせた状態で露光(プロキシミティー露光)する場合もある。
(3)現像工程
(4)ポストベーク工程
次に、熱風循環式オーブンを用いて100℃〜200℃で10分〜60分ポストベークを行い、パターニングしたレジスト膜を形成した。
(5)フッ酸エッチング工程
(6)剥離工程
レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する工程。用いられるアルカリ剥離液としては、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液、例えば1質量%以上5質量%以下の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
(実施例1〜6、比較例1)
[実施例1]
実施例及び比較例において用いた感光性樹脂組成物の組成を後記する表1に示す。なお、表1における略号(P−1〜D−4)で表した感光性樹脂組成物中の成分の材料を表2に示す。
表1に示す組成の感光性樹脂組成物を均一に攪拌、混合した。次にこの混合溶液を厚さ19μmのポリエチレンテレフタレートフイルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の熱風対流式乾燥機で7分乾燥して感光層の厚さ75μmの感光性樹脂樹積層体を得た。その後、ポリエチレンテレフタレートフイルムを積層していない表面上に22μm厚ポリエチレンを張り合わせて感光性樹脂積層体(DFR)を得た。次にアセトンで洗浄した2mm厚ソーダガラスを基材とし、DFRの保護フイルムを剥がしながら光重合性層をホットロールラミネーターにより105℃でラミネートして積層体を得た。
板を水洗洗浄した。このフッ酸エッチングにより、ガラス基板の表面から40μmの深さの溝が形成された。また、硬化レジストパターンはガラス基板に密着しており、硬化レジストパターンの剥がれは全く認められなかった。
次いで、45℃に加熱した6重量%の苛性ソーダ水溶液中にフッ酸エッチング後のガラス基板を浸せきして、硬化レジストパターンを剥離した。得られたガラス基板には40μmの深さを有するガラスパターンが形成されていた。
感光性樹脂組成物の組成は、表1に示した組成である。露光は表に示した露光量で行った。それ以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1、2]
表1に示した組成の感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に行った。硬化レジストパターン付着ガラス基板をフッ酸水溶液(30℃、10質量%)に浸せきしたところ、浸漬して5分後に硬化レジストパターンがガラス基板から完全に剥がれた。
Claims (4)
- (A)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂、
(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー、
(C)光重合開始剤及び、
(D)オルガノシラン化合物を含有してなるフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物であり、
前記(B)成分が、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含み、
前記(D)成分が下記一般式(I)で示されるオルガノシラン化合物であることを特徴とするフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物。
- (A)バインダー用樹脂の含有量が20質量%〜90質量%、
(B)少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーの含有量が5〜70質量%、
(C)光重合開始剤の含有量が0.1質量%〜10質量%、及び
(D)オルガノシラン化合物の含有量が0.01質量%〜20質量%、
である請求項1記載のフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物。 - 支持層上に、請求項1又は2に記載のフッ酸エッチング用感光性樹脂組成物よりなる層を積層して得られる感光性樹脂積層体。
- 請求項3に記載の感光性樹脂積層体を、ガラス基板にラミネートし、露光し、現像して
レジストパターンを形成し、ポストベークし、該レジストパターンで覆われていない部分のガラス基板を、フッ酸を用いてエッチング加工し、該レジストパターンを剥離することを特徴とするガラスパターンの形成方法。
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