JP2008104978A - 擬似移動床の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
擬似移動床の一組の供給−抜出口の作動開始から、次の組の供給−抜出口に切替る迄の間に次の3工程を行うが、循環工程毎に移動液量を個別値に調整し、均一な高品質流体を得る。
(1)原料流体供給口から原料流体を、脱着剤供給口から脱着剤を供給し、且つ非吸着質流体抜出口及び吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を全量抜出す第1の供給−抜出し工程、
(2)原料流体供給口から原料流体を供給し、且つ吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を吸着質流体として全量抜出すか、又は脱着剤供給口から脱着剤を供給し、且つ非吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を非吸着質流体として全量抜出す第2の供給−抜出し工程、
(3)全ての供給口及び抜出口を閉じ床内の液体を下流方向に移動させる循環工程
【選択図】 図1
Description
a)吸着剤内部の空隙率
b)吸着剤内部のミクロポアーのサイズ分布
c)吸着剤内部を含めた比表面積
d)吸着剤内部の分離に関する官能機能
e)吸着剤粒度分布の均一性
f)吸着剤の平均粒度
(2)充填床の吸着剤充填状態
a)複数の単位充填床間の充填量
b)複数の単位充填床間の非充填部容積
c)複数の単位充填床間の充填密度(充填空隙率)
しかしながら、現実には、上記項目(1)および項目(2)の各要因特性には少なからず偏差が存在し、また長期間にわたり連続運転が行われるため、従来のように擬似移動床において、少なくとも4回は行われる循環工程の移動液量を同一設定値で行うと、次に行われる供給−抜出工程で抜き出される流体中の成分濃度および成分組成が許容範囲から逸脱する偏差が発生し、より高度で厳密な分離への適用が不可能となる。
本発明は、このような従来の擬似移動床の操作方法において単位充填床の吸着剤の品質或いは充填状態の特性に関する偏差によって生じる問題を解決し、所望するより高度で厳密な分離を達成する擬似移動床の運転方法を提供するものである。
本発明者らは、擬似移動床における供給−抜出工程、循環工程における移動流体の組成、挙動等について鋭意検討した結果、少なくとも4回の循環工程における流体移動液量をそれぞれの単位充填床の特性(例えば、吸着剤の品質、充填状態等)に応じて、抜出口から抜出される吸着質流体或いは非吸着質流体のそれぞれの濃度および成分組成を観察し、それに応じて循環工程の移動液量を好適条件に個別に調整すれば、吸着剤の品質、充填状態等の偏差の個々の要因による影響を受けず、吸着質流体或いは非吸着質流体それぞれの抜出流体に生じていた濃度および成分組成の偏差をより少ない偏差に止められることを見出し、本発明を達成した。
一方向に液体が循環し得るように構成されており、その液体の移動方向に沿って一組の原料流体供給口、非吸着質流体抜出口、脱着剤供給口及び吸着質流体抜出口がこの順序で設けられていて、全体が原料流体供給口と非吸着流体抜出口との間を占める吸着帯域、非吸着質流体抜出口と脱着剤供給口との間を占める精製帯域、脱着剤供給口と吸着質流体抜出口との間を占める脱着帯域、及び吸着質流体抜出口と原料流体供給口との間を占める濃縮帯域の4帯域に分割されており、且つ上記一組の供給口及び抜出口が、所定の操作時間経過後、順次下流にある他の一組の供給口及び抜出口に切替えられるように構成されている少なくとも4個の単位充填床を備えた擬似移動床を用いて原料流体中の成分の分離を行う方法であって、所定の操作時間内に、下記(1)供給−抜出し工程、及び(2)循環工程を行う擬似移動床の運転方法において、供給−抜出し工程から抜出される吸着質流体或いは非吸着質流体が所定の濃度又は組成を有するように、少なくとも4回の循環工程における移動液量を、各循環工程毎に個別値に調整することを特徴とする擬似移動床の運転方法に存する。
脱着帯域から抜出される吸着質流体の一部を濃縮帯域に流入させ、濃縮帯域から抜出される流体を吸収帯域に流入させながら、原料流体供給口から原料流体を吸収帯域に、脱着剤供給口から脱着剤を脱着帯域に供給し、且つ吸着帯域から抜出される流体の少なくとも一部を非吸着質流体抜出口から、また脱着帯域から抜出される流体の一部を吸着質流体抜出口からそれぞれ抜出す、供給−抜出し工程
(2)循環工程:
全ての供給口及び抜出口から、流体の供給及び抜出しを行うことなく、充填床内の流体を下流方向に移動させる循環工程
(2)原料流体供給口から原料流体を供給し、且つ吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を吸着質流体として全量抜出すか、又は脱着剤供給口から脱着剤を供給し、且つ非吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を非吸着質流体として全量抜出す第2の供給−抜出し工程、
(3)全ての供給口及び抜出口を閉鎖して、床内の液体を下流方向に移動させる循環工程
本発明方法は、公知の擬似移動床の運転方法、例えば特公平7−46097号公報、或いは特開2000−347456号公報に記載されている運転方法において、より分離性能を向上させる改良方法である。
(1)脱着帯域から流出する流体の一部を濃縮帯域に流入させ、濃縮帯域から流出する流体を吸着帯域に流入させながら、充填床に原料流体供給口から原料流体を、脱着剤流体供給口から脱着剤流体をそれぞれ供給し、且つ充填床からは非吸着質流体抜出口から吸着帯域から流出する流体の少なくとも一部を、吸着質流体抜出口から脱着帯域から流出する流体の一部をそれぞれ抜出す、供給−抜出し工程
(2)充填床への流体の供給及び充填床からの流体の抜出しを行うことなく、床内の流体を下流方向に移動させる循環工程、
(1)原料流体供給口から原料流体を、脱着剤供給口から脱着剤をそれぞれ供給し、且つ非吸着質流体抜出口及び吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体をそれぞれの流体として全量抜出す第1の供給−抜出し工程、
(2)原料流体供給口から原料流体を供給し、且つ吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を吸着質流体として全量抜出すか、又は脱着剤供給口から脱着剤を供給し、且つ非吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を非吸着質流体として全量抜出す第2の供給−抜出し工程、
(3)全ての供給口及び抜出口を閉鎖して、床内の液体を下流方向に移動させる循環工程
から成る工程を行ったのち、供給−抜出口を順次単位充填床1つ下流のそれに切替えることを行う擬似移動床の運転方法であって、少なくとも4回の循環工程の個々の移動液量を個別の適正値(個別値ともいう)に調整し、供給−抜出し工程において抜出される流体が常に均一性の高い品質を有するように調整するものである。
以下簡便のために、本発明方法において所定の操作の際、上記2工程を行う方法を第1の方法、上記3工程を行う方法を第2の方法として説明する。
即ち、この第1の方法では、図−1において、弁32より原料流体、即ち吸着質成分と非吸着質成分を含有する原料流体を、弁44より脱着剤を供給し、同時に弁54より吸着質流体を、弁62より非吸着質流体を抜き出す供給−抜出し工程を行う(上記(1)工程)。
次いで、充填床への原料流体及び脱着剤の供給、並びに充填床からの吸着質流体及び非吸着質流体の抜出を中止し、循環ポンプ11により充填床内の流体の循環のみを行い、これによって床内の濃度分布曲線を所定の位置まで移動させる循環工程を行う(上記(2)工程)。
本発明方法では、このような運転方法において循環工程における移動液量を、各循環工程毎、つまり各ステップ毎に調整する。
第2の方法では、図−1において、弁33より原料流体を、弁41より脱着剤を供給し、同時に弁63より非吸着質流体を、弁51より吸着質流体を抜出す供給−抜出し工程を行う(上記(1)工程)。
弁41より脱着剤を供給し、弁63より非吸着質流体を抜出すか、或いは弁33より原料流体を供給し、弁51より吸着質流体を抜出す供給−抜出し工程を行う(上記(2)工程)。
次いで、充填床への原料流体及び脱着剤の供給、並びに充填床からの吸着質流体及び非吸着質流体の抜出を中止し、循環ポンプ11により充填床内の流体の循環のみを行う(上記(3)工程)。
この(1)工程〜(3)工程により、(第1ステップ)が終了したので、それぞれの弁を対応する下流の弁に切り替える。図−1の装置は、4個の単位充填床からなるので、弁の切替を順次4回(第1〜第4ステップ)行うと最初の状態に復帰する。
この第2の方法は、前述の第1方法では、供給−抜出し工程において、脱着帯域を流下してきた流体の一部を抜出し、残部は次の濃縮帯域に流入させているのに対し、第1及び第2の供給−抜出し工程のいずれかにおいても、作動中の抜出口に到達した流体は全量抜出される。これにより、場合により第1の方法で流体の一部を抜出す際に生ずる、下流の単位充填床の分散装置での流量不足による分散不良を回避することができる。
ここで、個別値とは、「循環工程の個々の移動液量の個別の適正値」であり、吸着質流体および非吸着質流体の均一な品質を確保するために、循環工程毎に、各単位充填床から抜出される吸着質流体或いは非吸着質流体の成分濃度および成分組成の測定値に応じて決められる、移動液量の最適値であり、その測定値により変動する。
更に、本発明方法は、特公平7−46097号公報および特開2000−79301号公報等に示される擬似移動床の他に従来から知られている擬似移動床による成分分離法にも適用することができる。本発明方法を適用することによって吸着質及び非吸着質の混合物を、それぞれ吸着質流体と非吸着質流体とに、より高度で精密に分離することができる。
実施例1
本実施例は、吸着剤の内部空隙率の異なる吸着剤を充填した4つの単位充填床で構成した擬似移動床装置における本発明方法の実施態様を説明するものである。
擬似移動床装置として図−1に示した擬似移動床装置を用い、内径28mm、充填高さ550mmからなる単位充填床4個(第1槽,第2槽,第3槽,第4槽)を直列に連結させ、この充填床に吸着剤としてカルシウム形の強酸性カチオン交換樹脂[DIAION(登録商標)UBK555 三菱化学(株)製)]を合計1384ml充填した。
なお、図−3から図−6までのグラフはシミュレーターにより描いたものである。この濃度分布の横軸は各単位充填床の流れ方向の距離を示し、縦軸は各成分の濃度(wt%)を示す。
偏差(%:対サイクル値)=(測定値−サイクル値)÷サイクル値×100
偏差(%:対目標値)=(測定値−目標値)÷目標値×100
実施例1と同じ同一装置の擬似移動床装置を使用し、実施例と同一の濃度および成分組成の原料(果糖・ブドウ糖混合水溶液)から脱着剤として水を使用して果糖とブドウ糖の分離を行った。運転条件は、表−2における実施例1と同一の運転流量、各ステップの供給抜出し(A,B,C)工程では実施例1と同一の流通液量とし、各循環工程の移動液量は変えず、全て176.6mlとして擬似移動床装置を運転した。
11 :循環ポンプ
21 :流量制御弁
31〜34 :原料流体供給弁
41〜44 :脱着剤供給弁
51〜54 :吸着質流体抜出弁
61〜64 :非吸着質流体抜出弁
22 :充填床
23 :液分液装置
24 :流体流入管
25 :原料流体供給管
26 :脱着剤供給管
27 :集液装置
28 :流体流出管
29 :吸着質流体抜出管
30 :非吸着質流体抜出管
Claims (7)
- 一方向に液体が循環し得るように構成されており、その液体の移動方向に沿って一組の原料流体供給口、非吸着質流体抜出口、脱着剤供給口及び吸着質流体抜出口がこの順序で設けられていて、全体が原料流体供給口と非吸着流体抜出口との間を占める吸着帯域、非吸着質流体抜出口と脱着剤供給口との間を占める精製帯域、脱着剤供給口と吸着質流体抜出口との間を占める脱着帯域、及び吸着質流体抜出口と原料流体供給口との間を占める濃縮帯域の4帯域に分割されており、且つ上記一組の供給口及び抜出口が、所定の操作時間経過後、順次下流にある他の一組の供給口及び抜出口に切替えられるように構成されている少なくとも4個の単位充填床を備えた擬似移動床を用いて原料流体中の成分の分離を行う方法であって、所定の操作時間内に、下記(1)供給−抜出し工程、及び(2)循環工程を行う擬似移動床の運転方法において、供給−抜出し工程から抜出される吸着質流体或いは非吸着質流体が所定の濃度又は組成を有するように、少なくとも4回の循環工程における移動液量を、各循環工程毎に個別値に調整することを特徴とする擬似移動床の運転方法。
(1)供給−抜出し工程:
脱着帯域から抜出される吸着質流体の一部を濃縮帯域に流入させ、濃縮帯域から抜出される流体を吸収帯域に流入させながら、原料流体供給口から原料流体を吸収帯域に、脱着剤供給口から脱着剤を脱着帯域に供給し、且つ吸着帯域から抜出される流体の少なくとも一部を非吸着質流体抜出口から、また脱着帯域から抜出される流体の一部を吸着質流体抜出口からそれぞれ抜出す、供給−抜出し工程
(2)循環工程:
全ての供給口及び抜出口から、流体の供給及び抜出しを行うことなく、充填床内の流体を下流方向に移動させる循環工程 - 一方向に液体が循環し得るように構成されており、その液体の移動方向に沿って一組の原料流体供給口、非吸着質流体抜出口、脱着剤供給口及び吸着質流体抜出口がこの順序で設けられていて、全体が原料流体供給口と非吸着質流体抜出口との間を占める吸着帯域、非吸着質流体抜出口と脱着剤供給口との間を占める精製帯域、脱着剤供給口と吸着質流体抜出口との間を占める脱着帯域、及び吸着質流体抜出口と原料流体供給口との間を占める濃縮帯域に分割されており、且つ上記一組の供給口及び抜出口が、所定の操作時間経過後、順次下流にある他の一組の供給口及び抜出口に切替えられるように構成されている少なくとも4個の単位充填床から成る擬似移動床を用いて原料流体中の成分の分離を行う方法であって、所定操作時間内に下記(1)〜(3)工程を行うことよりなる擬似移動床の運転方法において、(1)及び(2)工程から抜き出されるそれぞれの吸着質流体同士或いは非吸着質流体同士が所定の濃度又は組成を有するように、少なくとも4回の循環工程における移動液量を、各循環工程毎に個別値に調整することを特徴とする擬似移動床の運転方法。
(1)原料流体供給口から原料流体を、脱着剤供給口から脱着剤をそれぞれ供給し、且つ非吸着質流体抜出口及び吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体をそれぞれの流体として全量抜出す第1の供給−抜出し工程、
(2)原料流体供給口から原料流体を供給し、且つ吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を吸着質流体として全量抜出すか、又は脱着剤供給口から脱着剤を供給し、且つ非吸着質流体抜出口から床内を流下してきた液体を非吸着質流体として全量抜出す第2の供給−抜出し工程、
(3)全ての供給口及び抜出口を閉鎖して、床内の液体を下流方向に移動させる循環工程 - 請求項1に記載の方法において、供給−抜出し工程において吸着帯域から流出する流体を非吸着質流体出口から全量抜出すことを行う擬似移動床において、少なくとも4回の循環工程の移動液量を、各循環工程毎に個別値に調整することを特徴とする請求項1記載の擬似移動床の運転方法。
- 請求項1に記載の方法において、供給−抜出し工程において吸着帯域から流出する流体を、一部は精製帯域に流入させ、残部は非吸着質流体出口から抜出すことを行う擬似移動床において、少なくとも4回の循環工程の移動液量を各循環工程毎に個別値に調整することを特徴とする請求項1記載の擬似移動床の運転方法。
- 循環工程の移動液量の調整は、少なくとも4回の各循環工程直前の各供給−抜出し工程における各単位充填床から抜出されるそれぞれの吸着質流体或いは非吸着質流体の濃度及び組成を測定し、該測定値とそれぞれの吸着質流体同士或いは非吸着質流体同士が有すべき所定の濃度及び組成との対比に基づき、それぞれの流体が該所定濃度及び組成を有するように各循環工程毎の移動液量を個別値に調整することで行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の擬似移動床の運転方法。
- 循環工程の移動液量の調整は、所定操作時間内において各工程における各単位充填床から抜出されるそれぞれの吸着質流体或いは非吸着質流体の成分濃度および組成を測定し、該測定値が、それぞれの吸着質流体同士或いは非吸着質流体同士が有すべき所定の濃度及び組成値の±3%以内の偏差となるように各循環工程毎の移動液量を個別値に調整することで行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の擬似移動床の運転方法。
- 循環工程の移動液量の調整は、吸着剤が充填された各単位充填床に、吸着剤に対する親和性が既知の特定物質を含む流体を、原料流体供給口から充填吸着剤体積の1%〜30%相当の液量で供給し、次いで各単位充填床の脱着剤供給口より脱着剤を供給し、各単位充填床の流体抜出し口より流出する流出液に含まれる特定物質の流出開始位置、当該物質の濃度が最も高い流出位置、および当該物質の流出終了位置を測定することから想定される擬似移動床の循環工程操作における各単位充填床での移動液量に対する移動位置の偏差に基づき、各単位充填床に対する各循環工程の移動液量を決めることにより行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の擬似移動床の運転方法。
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