以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は、電子写真方式でシートに画像を形成する複写機、プリンタ等を構成するものであって、3つのシート供給トレイ1,2,3を備えている。これらのシート供給トレイ1,2,3は、シート供給トレイ1を上段、シート供給トレイ2を中段、シート供給トレイ3を下段として、上下方向に多段に配置されている。各々のシート供給トレイ1,2,3は、それぞれ画像形成で使用されるシートを積載状態に収容するものである。
シート供給トレイ1の近傍には、シート供給用のロールとして、呼び出しロール4と送り出しロール5が配置されている。呼び出しロール4は、シート供給トレイ1に収容されたシートを最上位のシートから順に呼び出すものである。送り出しロール5は、呼び出しロール4によって呼び出されたシートを1枚ずつ捌きながら送り出すものである。これと同様に、シート供給トレイ2の近傍には、呼び出しロール6と送り出しロール7が配置され、シート供給トレイ3の近傍には、呼び出しロール8と送り出しロール9が配置されている。
また、画像形成装置は、画像形成の対象となるシートを搬送するためのシート搬送路を備えている。シート搬送路は、図示しない搬送路形成部材によって形成されるものである。このシート搬送路を複数のシート搬送路R1〜R8に分けて考えると、第1のシート搬送路R1には、複数の搬送ロール10〜15が配置されている。これらの搬送ロール10〜15は、第1のシート搬送路R1に沿ってシートを搬送するものである。
第2のシート搬送路R2上には、シート搬送方向の上流側から下流側に向かってプレレジストロール16と、レジストロール17と、画像転写部18と、画像定着部19が順に配置されている。プレレジストロール16は、第1のシート搬送路R1を通して送り込まれたシートや、第5のシート搬送路R5を通して送り込まれたシートを、それぞれ第2のシート搬送路R2に沿って搬送するものである。レジストロール17は、プレレジストロール16によって送り込まれたシートを画像転写部18に向けて送り込むとともに、この送り込みに際してシートと画像(トナー画像)の位置を合わせるために、第2のシート搬送路R2に沿ってプレレジストロール16により送り込まれたシートの傾きや位置ずれなどを補正するとともに、当該補正したシートを所定のタイミングで画像転写部18に送り込むものである。
画像転写部18は、レジストロール17によって送り込まれたシートにトナー画像を転写する部分である。画像転写部18は、中間転写ベルト181を支持する支持ロール182と、この支持ロール182との間で中間転写ベルト181を挟む転写ロール183によって構成されている。中間転写ベルト181は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する4つの画像形成ユニット(不図示)を順に通過するように回転駆動されるものである。中間転写ベルト181には、上記4つの画像形成ユニットを順に通過する過程で、白黒用のブラックのトナー画像、又はフルカラー用の4色分のトナー画像が転写される。そして、画像転写部18においては、中間転写ベルト181の回転によって移送されたトナー画像が、支持ロール182と転写ロール183の間を通過するシートに転写される構成となっている。
画像定着部19は、画像転写部18でシートに転写されたトナー画像を定着させる部分である。画像定着部19は、互いに所定の圧力で接触する加熱ロール191と加圧ロール192を用いて構成されている。加熱ロール191は、画像転写部18でトナー画像が転写された側のシート面(図例ではシートの上面)に接触し、加圧ロール192は、その反対側のシート面(図例ではシートの下面)に接触するように配置されている。
第2のシート搬送路R2の終端部では、シート搬送路が第3のシート搬送路R3と第7のシート搬送路R7に分岐し、その分岐部分に搬送切り替え部材20が設けられている。搬送切り替え部材20は、第2のシート搬送路R2の終端部で、そこを通過するシートの進行方向を、第3のシート搬送路R3と第7のシート搬送路R7のいずれか一方に切り替えるものである。
第3のシート搬送路R3は、第2のシート搬送路R2の終端部から下方に向かって円弧状に延びている。第3のシート搬送路R3には搬送ロール21が配置され、第3のシート搬送路R3の終端部から真っ直ぐに下方に延びる第4のシート搬送路R4の入口部分には反転ロール22が配置されている。搬送ロール21は、画像定着部19から送り出されかつ搬送切り替え部材20によって第3のシート搬送路R3に送り込まれたシートを搬送するものである。反転ロール22は、搬送ロール21によって送り込まれたシートをスイッチバック方式で反転(表裏反転)させるために、双方向に回転(正回転/逆回転)可能に設けられている。
第5のシート搬送路R5は、第3のシート搬送路R3と第4のシート搬送路R4の接続部から、上記プレレジストロール16に向かって横方向に分岐するように延びている。第4のシート搬送路R4から第5のシート搬送路R5に分岐する部分には、搬送規制部材23が設けられている。搬送規制部材23は、反転ロール22の正回転によって第4のシート搬送路R4に取り込まれたシートを、反転ロール22の逆回転によって第4のシート搬送路R4から送り出すときに、このシートが第4のシート搬送路R4から第5のシート搬送路R5に送り込まれるように、シートの進行方向を一方向に規制するものである。
第5のシート搬送路R5には、複数の搬送ロール24〜27が配置されている。搬送ロール24〜27は、反転ロール22で反転されたシートを再び第2のシート搬送路R2に送り込むために、第5のシート搬送路R5に沿ってシートを搬送するものである。第5のシート搬送路R5の終端部は、プレレジストロール16の手前(上流側)で第2のシート搬送路R2に合流している。そして、この合流地点を境に第1のシート搬送路R1と第2のシート搬送路R2が区分されている。
一方、第6のシート搬送路R6は、第3のシート搬送路R3の途中から第7のシート搬送路R7に向かって分岐するように延びている。第6のシート搬送路R6は、画像定着部19から送り出されたシートを、反転ロール22で表裏反転させて第7のシート搬送路R7に送り込むために形成されたものである。第6のシート搬送路R6には搬送ロール28が配置されている。搬送ロール28は、反転ロール22によって第3のシート搬送路R3から第6のシート搬送路R6に送り込まれたシートを、第7のシート搬送路R7に向けて搬送するものである。
第7のシート搬送路R7は、第2のシート搬送路R2の終端部から水平方向に一直線状に延びている。第7のシート搬送路R7には複数の搬送ロール29〜32が配置されている。これらの搬送ロール29〜32は、第2のシート搬送路R2から搬送切り替え部材20によって第7のシート搬送路R7に送り込まれたシートや、第6のシート搬送路R6から第7のシート搬送路R7に送り込まれたシートを、それぞれ第7のシート搬送路R7に沿って搬送するものである。
第7のシート搬送路R7の下方には、中間収容部33と排出収容部34が配置されている。中間収容部33は、排出収容部34の上方(直上)に配置されている。また、中間収容部33と排出収容部34は、第8のシート搬送路R8で接続されている。第8のシート搬送路R8は、中間収容部33に収容されたシートを、当該中間収容部33から排出収容部34へと搬送するために形成されたものである。第8のシート搬送路R8の終端部には排出ロール35が配置されている。
中間収容部33は、複数枚のシートを積載状態で収容可能なものである。中間収容部33は、画像定着部19から排出収容部34に至るシート搬送路の途中に設けられている。より具体的には、第7のシート搬送路R7と第8のシート搬送路R8を中継する位置に設けられている。また、中間収容部33は、中間トレイ331と、取り込みロール332と、第1のシート位置規制部材333と、第2のシート位置規制部材334と、呼び出しロール335と、送り出しロール336とを備えた構成となっている。
中間トレイ331は、熱伝導性の高い材料、例えば、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料を用いて構成されている。取り込みロール332は、第7のシート搬送路R7の終端部に配置されている。取り込みロール332は、第7のシート搬送路R7を通して搬送されたシートを、中間収容部33に取り込むものである。取り込みロール332によって取り込まれたシートは、中間トレイ331の上に順に積み重ねて収容されるようになっている。
第1のシート位置規制部材333は、取り込みロール332によって取り込まれたシートの端部位置を、取り込みロール332と反対側の位置で規制するものである。第1のシート位置規制部材33は、中間トレイ331の主面から直角に起立する状態で配置されている。第2のシート位置規制部材334は、第1のシート位置規制部材333の反対側の位置(取り込みロール332の近傍の位置)でシートの端部位置を規制するものである。第2のシート位置規制部材334は、中間トレイ331の主面に対して第1のシート位置規制部材333側に倒れ込むかたちで斜めに配置されている。また、中間トレイ331上には図示しない一対のサイドガイドが設けられている。一対のサイドガイドは、取り込みロール332によって取り込まれたシートの側端位置を図の奥行き方向で規制するものである。
呼び出しロール335は、取り込みロール332によって中間収容部33内の中間トレイ331上に収容されたシートを、最下位のシートから順に図の右方向に呼び出すものである。呼び出しロール335は、中間トレイ331に設けられた図示しない切欠部又は開口部を通して最下位のシートの下面に接触するように配置されている。送り出しロール336は、呼び出しロール335によって呼び出されたシートを一枚ずつ分離し、第8のシート搬送路R8を通して中間収容部33から排出収容部34へとシートを送り出すものである。
排出収容部34は、画像形成済みのシートを最終的に排出して収容する部分である。このため、排出収容部34は、シート搬送路の終点となる位置に設けられている。排出収容部34には、当該排出収容部34に排出されるシートを積載状態で収容するための排出トレイ341が設けられている。排出トレイ341は、図示しない昇降機構によって昇降可能に設けられている。
排出ロール35は、第8のシート搬送路R8を通して送り込まれたシートを排出収容部34に排出するものである。排出ロール35によって排出されたシートは、排出トレイ341の上に順に積み重ねて収容されるようになっている。その際、排出トレイ341の高さは、シートの積載高さが増加するにしたがって徐々に低くなるように制御される。
ここで、第7のシート搬送路R7及び第8のシート搬送路R8は、画像定着部19から送り出された画像形成済みのシートを、中間収容部33を経由して排出収容部34へと排出するための排出搬送路に相当するものである。このうち、第7のシート搬送路R7は、中間収容部33の上方では搬送ロール29から搬送ロール32に向かって中間トレイ331の主面と平行状態で真っ直ぐに形成されているが、第7のシート搬送路R7の終端側は、搬送ロール32から取り込みロール332に向かって横U字形に曲げて形成されている。このことから、第7のシート搬送路R7は、画像転写部19から送り出されたシートを中間収容部33の上方を通して当該中間収容部33の一端側に導く第1排出搬送路に相当するものとなる。
一方、第8のシート搬送路R8は、中間収容部33の一端側で、送り出しロール336から排出ロール35に向かって横U字形に曲げて形成されている。このことから、第8のシート搬送路R8は、中間収容部33の一端側で当該中間収容部33から送り出されるシートを排出収容部34へと導く第2排出搬送路に相当するものとなる。
続いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作について説明する。まず、画像形成に用いられるシートが、例えばシート供給トレイ1に収容されている場合は、このシート供給トレイ1に対応する呼び出しロール4及び送り出しロール5の回転により、シート供給トレイ1に収容されたシートが最上位から順に一枚ずつ送り出される。
こうしてシート供給トレイ1から送り出されたシートは、搬送ロール10の回転にしたがって第1のシート搬送路R1を搬送されるとともに、搬送ロール15の回転にしたがって第1のシート搬送路R1から第2のシート搬送路R2へと進んでプレレジストロール16に受け渡される。そして、第2のシート搬送路R2ではプレレジストロール16の回転にしたがってシートがレジストロール17に送り込まれる。このとき、レジストロール17の回転は、プレレジストロール16によるシートの送り込みに先立って停止状態とされる。このため、プレレジストロール16によって送り込まれたシートの先端部は回転停止状態のレジストロール17に突き当てられる。また、この突き当て状態ではプレレジストロール16の回転によってシートを所定量だけ送り込むことにより、レジストロール17の手前でシートをループ状に撓ませる。これにより、シートのスキューが補正された状態となり、この状態でプレレジストロール16の回転停止によりシートが一時停止する。
その後、中間転写ベルト181に保持されたトナー画像が画像転写部18に到達するタイミングに合わせて、例えばレジストロール駆動用のクラッチをオン動作させることにより、レジストロール17の回転を開始する。これにより、スキュー補正されたシートは、レジストロール17の回転にしたがって画像転写部18に送り込まれる。そして、画像転写部18においては、レジストロール17によって送り込まれたシートが、中間転写ベルト181を挟む支持ロール182と転写ロール183の間を通過するように移動する。このとき、中間転写ベルト181に保持されたトナー画像が画像転写位置(支持ロール182と転写ロール183の対向部分)に到達するタイミングに合わせて、当該画像転写位置にシートが送り込まれ、そこで転写ロール183がトナーと逆極性の電荷をシートに付与することにより、中間転写ベルト181からシートの第1面にトナー画像が転写される。
その後、シートは画像定着部19に送り込まれる。画像定着部19においては、加熱ロール191と加圧ロール192の間をシートが通過することにより、当該シートに熱と圧力が加えられてトナー画像が定着される。これにより、第1面に画像が形成されたシートが画像定着部19から送り出される。こうして画像定着部19から送り出されたシートは、搬送切り替え部材20によって第2のシート搬送路R2から第7のシート搬送路R7へと送り込まれる。以上の動作は、シートの片面に画像を形成する片面画像形成モードで適用されるものである。
シートの両面に画像を形成する両面画像形成モードの場合は、上述のように第1面に画像を形成した状態で画像定着部19から送り出されたシートが、搬送切り替え部材20によって第2のシート搬送路R2から第3のシート搬送路R3へと送り込まれる。第3のシート搬送路R3では搬送ロール21の回転にしたがってシートが搬送される。次いで、シートは搬送ロール21から反転ロール22に受け渡されるとともに、反転ロール22の正回転によって第4のシート搬送路R4にシートが取り込まれる。そして、シートの後端が第5のシート搬送路R5への分岐位置を通過すると、シートを挟み込んだままの状態で反転ロール22の正回転が停止する。次いで、シートは、反転ロール22の逆回転により、それまでとは逆方向に搬送される。このとき、搬送規制部材23がシートの進行方向を規制することにより、反転ロール22の逆回転によって搬送されるシートは第5のシート搬送路R5へと案内される。
その後、シートは、第5のシート搬送路R5に設けられた複数の搬送ロール24〜27の回転にしたがって第5のシート搬送路R5を上流側から下流側へと搬送される。次いで、シートは、第5のシート搬送路R5の終端部から第2のシート搬送路R2の始端部へと合流するように搬送される。これにより、シートが再びプレレジストロール16へと送り込まれる。以後、上記同様の手順でシートを搬送することにより、当該シートの第2面にトナー画像の転写及び定着が行なわれる。これにより、第1面と第2面の両方に画像が形成されたシートが画像定着部19から送り出される。このように両面に画像が形成されたシートは、第7のシート搬送路R7に送り込まれる。このとき、画像形成済みのシートを第7のシート搬送路R7に送り込む際の搬送パターンには2通りの搬送パターンがある。
第1の搬送パターンは、上記片面画像形成モードの場合と同様に、画像定着部19から送り出されたシートを搬送切り替え部材20によって第2のシート搬送路R2から第7のシート搬送路R7へと送り込むパターンである。第2の搬送パターンは、画像定着部19から送り出されたシートを搬送切り替え部材20により第2のシート搬送路R2から第3のシート搬送路R3に送り込んだ後、反転ロール22の正回転と逆回転を利用して、第3のシート搬送路R3の途中から第6のシート搬送路R6にシートを送り込んで、搬送ロール28の回転により第7のシート搬送路R7にシートを送り込むパターンである。第1の搬送パターンを採用した場合と第2の搬送パターンを採用した場合では、第7のシート搬送路R7に送り込まれるシートの向き(先端/後端の関係及び表面/裏面の関係)が逆になる。また、片面画像形成モードの場合は必ずしも第1の搬送パターンが採用されるわけではなく、片面画像形成モードで第2の搬送パターンを採用する場合もあり得る。
以上のことから、片面画像形成モード又は両面画像形成モードで画像形成されたシートを第7のシート搬送路R7に送り込むときの搬送パターンには、上述した第1の搬送パターン又は第2の搬送パターンが採用されることになる。したがって、画像形成モードと搬送パターンの組み合わせとしては、片面画像形成モードで第1の搬送パターンを採用する第1の組み合わせと、片面画像形成モードで第2の搬送パターンを採用する第2の組み合わせと、両面画像形成モードで第1の搬送パターンを採用する第3の組み合わせと、両面画像形成モードで第2の搬送パターンを採用する第4の組み合わせが存在し得ることになる。
上記第1のパターン又は第2のパターンで第7のシート搬送路R7に送り込まれたシートは、複数の搬送ロール29〜32によって搬送されるとともに、第7のシート搬送路R7の終端部に設けられた取り込みロール332によって中間収容部33に取り込まれる。このとき、第7のシート搬送路R7において、シートは、搬送ロール32から取り込みロール332に至る搬送路部分でUターンするように移動する。このため、搬送ロール29から搬送ロール32に至る搬送路部分を通過するシートの向きと、取り込みロール332によって中間収容部33に取り込まれるシートの向きは、表裏反転した状態となる。また、中間収容部33の内部では、取り込みロール332によって取り込まれたシートが、中間トレイ331の上に送り出される。このため、複数枚のシートを連続的に第7のシート搬送路R7に送り込んだ場合は、それらのシートが中間トレイ331の上に順に積み重なるように送り出される。
また、中間収容部33に収容されたシートのうち、最下位のシートは、これに接触する呼び出しロール335の回転によって図の右方向に呼び出されるとともに、呼び出しロール335に連動した送り出しロール336の回転によって第8のシート搬送路R8を搬送される。そして、第8のシート搬送路R8の終端部に設けられた排出ロール35の回転にしたがってシートが排出収容部34の排出トレイ341上に排出される。このとき、シートは、第8のシート搬送路R8の横U字形状に沿ってUターンするように移動する。このため、送り出しロール336によって中間収容部33から送り出すときのシートの向きと、排出ロール35によって排出収容部34に排出されるシートの向きは、表裏反転した状態となる。
したがって、第7のシート搬送路R7に送り込んだシートを、最終的に排出収容部34に排出するまでの間、シートの向きは次にように変化する。まず、第7のシート搬送路R7において、搬送ロール29から搬送ロール32に至る搬送路部分を通過するシートの向きが図2(A)に示す向きであるとすると、取り込みロール332によって中間収容部33に取り込まれるシートの向きは図2(B)に示す向きとなる。また、第8のシート搬送路R8において、中間収容部33から送り出すときのシートの向きは図2(C)に示す向きとなり、排出収容部34に排出されるシートの向きは図2(D)に示す向きとなる。このことから、搬送ロール29から搬送ロール32に至る搬送路部分を通過するシートの向きと、排出収容部34に排出されるシートの向きは、互いに同じ向きになる。このため、画像定着部19から排出収容部34に至る排出搬送路(R7,R8)の途中に中間収容部33を設けた場合でも、第7のシート搬送路R7に送り込まれたシートの向きと同じ向きで排出収容部34にシートが排出されることになる。
また、上述した4つの組み合わせのうち、特に、片面画像形成モードで第1の搬送パターンを採用する第1の組み合わせでは、片面(第1面)に画像が形成されたシートが第2のシート搬送路R2から第7のシート搬送路R7に直接送り込まれ、両面画像形成モードで第1の搬送パターンを採用する第3の組み合わせでは、両面(第1面及び第2面)に画像が形成されたシートが第2のシート搬送路R2から第7のシート搬送路R7に直接送り込まれることになる。そうした場合、画像定着部19を通過するときに加熱ロール191から熱を加えられたシートが、画像定着部29から排出された直後に第7のシート搬送路R7へと送り込まれるため、第7のシート搬送路R7では画像定着時の熱をもったままシートが搬送される。このように熱をもったシートが多数枚重なり合って収容されると、熱の蓄積によってトナーが軟化するとともに、シート全体の重みによる圧力で、軟化したトナーが、その上のシート面に押し付けられることにより、シート同士が貼り付きやすくなる。
図3は画像定着部19から第7のシート搬送路R7に送り込まれたシートを、最終的に排出収容部34に排出するときに適用されるシート排出処理の手順を示すフローチャートである。このシート排出処理は、図4に示す搬送制御部40によって行なわれるものである。搬送制御部40は、複数のシート供給トレイ1,2,3のいずれか一つから供給されたシートに画像を形成するにあたって、各々のシート供給トレイ1,2,3をシート搬送の起点とし、排出収容部34をシート搬送の終点として、シートの搬送を制御するものである。搬送制御部40には枚数カウンタ41と搬送駆動部42が接続されている。枚数カウンタ41は、第7のシート搬送路R7を通して中間収容部33に収容されたシートの枚数をカウントするものである。搬送駆動部42は、搬送制御部40からの指示にしたがってシート搬送路(R1〜R8)上の各ロールを回転駆動したり、搬送切り替え部材20を切り替え動作させたりするものである。
シート排出処理においては、まず、第7のシート搬送路R7に送り込まれたシートを、複数の搬送ロール29〜32と取り込みロール332の回転によって中間収容部33に収容する(ステップS1)。中間収容部33では、画像形成ジョブを開始して1枚目のシートを取り込みロール332で取り込むときに、呼び出しロール331と送り出しロール335の回転は共に停止している。このため、1回の画像形成ジョブで複数枚のシートを第7のシート搬送路R7に順に送り込む場合、中間収容部33の内部では、取り込みロール332によって取り込まれたシートが中間トレイ331の上に順に積み重ねて収容される。
その際、第7のシート搬送路R7を通して中間収容部33に収容されるシートの枚数を枚数カウンタ41でカウントする。具体的には、取り込みロール332によって中間収容部33にシートが1枚取り込まれるごとに、枚数カウンタ41のカウント値Mを1だけインクリメントする(ステップS2)。枚数カウンタ41のカウント値Mは、画像形成ジョブを開始する時点でゼロにリセットされている。このため、画像形成ジョブを開始して中間収容部33に1枚目のシートを収容した段階では、枚数カウンタ41のカウント値Mが「1」となり、その後、中間収容部33に2枚目以降のシートを収容するたびに、枚数カウンタ41のカウント値Mが1つずつ増加(カウントアップ)する。
次いで、枚数カウンタ41のカウント値Mが予め設定された所定値Nに到達したかどうかを判断する(ステップS3)。そして、枚数カウンタ41のカウント値Mが所定値Nに到達していないと判断した場合(M<Nの場合)は、上記ステップS1に戻る。また、枚数カウンタ41のカウント値Mが所定値Nに到達したと判断した場合(M=Nの場合)は、中間収容部33から排出収容部34へのシートの排出を開始すべく、呼び出しロール335と送り出しロール336の回転を開始する(ステップS4)。その後、中間収容部33に収容されたすべてのシートを排出収容部34に排出したかどうかを確認する(ステップS5)。そして、すべてのシートを排出していない場合は、上記ステップS4に戻り、すべてのシートを排出した場合は、シート排出処理を終える。
以上のシート排出処理においては、中間収容部33に収容されたシートが、中間トレイ331の最下位に位置するシート(換言すると、中間収容部33に収容されているシートの中で、先に中間収容部33に収容されたシート)から順に、呼び出しロール335と送り出しロール336の回転にしたがって第8のシート搬送路R8に送り出されるとともに、第8のシート搬送路R8の終端部に設けられた排出ロール35の回転にしたがって排出収容部34にシートが排出される。また、取り込みロール332の回転によって中間収容部33に1枚のシートが収容されるたびに、呼び出しロール335と送り出しロール336の回転によって中間収容部33から排出収容部34に1枚のシートが排出される。そして、取り込みロール332の回転は、画像形成ジョブで指定された枚数分のシートがすべて取り込みロール332を通過するまで継続され、呼び出しロール335と送り出しロール336の回転は、中間収容部33に収容されたシートがすべて排出収容部34に排出されるまで(中間トレイ331上にシートが無くなるまで)継続される。
これにより、例えば、所定値Nを「N=20」で設定した場合は、画像形成ジョブを開始して1枚目のシートを中間収容部33に収容してから、当該1枚目のシートを中間収容部33から排出収容部34に排出するまでの間、中間収容部33には所定値Nに相当する20枚のシートが収容されることになる。この点は、2枚目以降のシートについても同様である。このことから、中間収容部33に収容されたシートは、これに続く後続のシートが中間収容部33にN枚収容されるまでの間、中間収容部33に収容されたままとなる。このため、画像定着部19から送り出されたシートを排出収容部34に排出する前に、中間収容部33で十分な時間をかけてシートを冷却することができる。したがって、排出収容部34に排出されたシート上のトナーが熱で軟化することがなくなる。
また、中間収容部33に収容されるシートの枚数は所定枚数(上記の例では20枚)に制限されるため、中間収容部33で中間トレイ331の上に積み重なるシート全体の重みも所定枚数分の重みに制限される。このため、例えば、中間収容部33を設けずに、第7のシート搬送路R7を通して直接、大量のシートを排出収容部34に排出した場合は、シートの熱が蓄積されるとともに、シート間にシート全体の自重によって強い密着力が作用するが、中間収容部33を設けた場合は、そこに収容されるシートの枚数が制限されるため、熱の蓄積が抑えられるとともに、シート間に強い密着力が作用することがない。したがって、中間収容部33ではトナーの軟化によるシートの貼り付きが発生しない。また、中間収容部33から排出収容部34に排出されるシートは十分な時間をかけて冷却されているため、排出収容部34でもトナーの軟化によるシートの貼り付きが発生しない。
さらに、第7のシート搬送路R7は、中間収容部33の上方を通して中間収容部33の一端側まで延び、そこで横U字形に曲がって中間収容部33内にシートを導くように形成されている。このため、例えば、第7のシート搬送路R7を中間収容部33の上方を通さず、搬送ロール29から中間収容部33に直接シートを送り込む場合に比較して、第7のシート搬送路R7の長さが長くなる。したがって、第7のシート搬送路R7を通して中間収容部33にシートを搬送する際の搬送時間が長くなり、その分だけシートの冷却時間も長く確保されることになる。
ちなみに、1回の画像形成ジョブで画像形成されるシートの枚数が所定枚数(N枚)に満たない場合は、中間収容部33に所定枚数のシートを収容する前の段階で、中間収容部33から排出収容部34へのシート排出を開始することになる。具体的には、中間収容部33に1枚目のシートを収容した段階で、中間収容部33から排出収容部34へのシート排出を開始してもよいし、中間収容部33に所定枚数よりも少ない枚数(例えば、2〜3枚)のシートを収容した段階で、中間収容部33から排出収容部34へのシート排出を開始してもよい。
また、所定枚数を規定する所定値Nは、シートの種類、画像濃度、環境温度のうちの少なくとも1つに基づいて設定することが望ましい。シートの種類は、シートの坪量や材質(紙質)などで区別されるものである。シートの種類は、各々のシート供給トレイ1,2,3ごとに設定されたシート情報や、シートの種類を検出するセンサの検出結果に基づいて認識することが可能である。画像濃度は、シートに形成される画像の濃度を示すもので、例えば0〜100%の範囲内の値で表されるものである。画像濃度は、シートに形成される画像データを処理する画像処理結果に基づいて認識することが可能である。環境温度は、画像形成装置の設置場所の温度や、画像形成装置内部の温度を示すものである。環境温度は、温度センサの検出結果に基づいて認識することが可能である。
このうち、いずれか1つのパタメータ、例えばシートの種類に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数がシートの種類に応じて制御される。また、画像濃度に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数が画像濃度に応じて制御され、環境温度に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数が環境温度に応じて制御される。また、いずれか2つのパタメータ、例えば、シートの種類と画像濃度に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数がシートの種類と画像濃度に応じて制御される。また、シートの種類と環境温度に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数がシートの種類と環境濃度に応じて制御され、画像濃度と環境温度に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数が画像濃度と環境温度に応じて制御される。また、シートの種類、画像濃度及び環境温度に基づいて所定枚数を設定した場合は、中間収容部33に収容されるシートの枚数がシートの種類、画像濃度及び環境温度に応じて制御される。
また、上記所定値Nは、例えば、画像形成装置の操作パネルを用いて任意の値に設定可能な構成としてもよい。この場合は、操作パネルを操作するユーザーが、当該操作パネルを用いて指定した枚数に合わせて所定値Nを設定することができる。
図5は中間収容部の他の構成例を示す概略図である。図示のように中間収容部33には、上面ファン36と側面ファン37が設けられている。上面ファン36は、中間トレイ331に対向する状態で、中間トレイ331の上方に配置されている。側面ファン37は、中間トレイ331の側方に配置されている。また、中間トレイ331の下面には放熱フィン38が設けられている。
上面ファン36は、中間収容部33に収容されたシートの上面に向けて中間トレイ331の上方から冷却風を供給するものである。側面ファン37は、中間収容部33に収容されたシートの側端と、上述した放熱フィン38に向けて、中間トレイ331の側方から冷却風を供給するものである。放熱フィン38は、アルミニウム等の金属材料からなるもので、例えば、熱導電性接着剤を用いて中間トレイ331の下面に密着状態で取り付けられている。放熱フィン38が設けられる中間トレイ331の下面は、中間トレイ331がシートを受けるトレイ上面と反対側(裏側)の面になっている。
このように中間収容部33に上面ファン36、側面ファン37及び放熱フィン38を設けた場合は、中間収容部33にシートを収容するにあたって、上面ファン36及び側面ファン37の少なくとも一方を回転させることにより、ファンから供給した冷却風を、中間収容部33に収容されたシートに当てる。これにより、中間収容部33に収容されている間にシートが強制的に冷却される。また、中間収容部33に収容されたシートの熱の一部が、中間トレイ33を介して放熱フィン38に伝わり、放熱フィン38から空気中に放出される。このため、中間収容部33に収容されたシートが素早く冷やされる。さらに、側面ファン37から供給される冷却風を放熱フィン38に当てることにより、放熱フィン38からの放熱が促進される。このため、シートの冷却効果が高まる。