以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は用紙搬送装置を有するものである。この用紙搬送装置は画像形成装置の装置本体1の内部に組み込まれている。すなわち、キャスター付きの装置本体1の内部には、多段構造をなす複数(図例では4つ)の用紙収容カセット2,…が組み込まれている。各々の用紙収容カセット2,…は、画像形成の対象となる用紙3を積層状態で収容するもので、それぞれ装置本体1に対して着脱可能に組み込まれている。これらの用紙収容カセット2,…は、収容対象となる用紙3のサイズや種類によってカセット全体のサイズが異なるものの、基本的には同様の構成となっている。
各々の用紙収容カセット2の内部には用紙積載板(トレイ)4が設けられている。用紙積載板4は、図示しない昇降機構によって上下動可能に支持されている。この用紙積載板4を備える用紙収容カセット2には複数枚(多数枚)の用紙3を積載状態に収容可能となっている。また、用紙収容カセット2を装置本体1内に装着した際には、用紙積載板4に積載された用紙3のうち、最上位の用紙3の高さが予め設定された所定(一定)の高さとなるように、用紙積載板4が水平状態を維持したまま昇降機構の駆動により上昇する構成となっている。また、最上段の用紙収容カセット2には、複数枚のタブ紙を積載状態で収容可能となっている。この最上段の用紙収容カセット2に対しては、用紙の一辺から突出するタブの部分をピックアップロール5による用紙の送り出し方向と反対側(図1の右側)に向けた状態でタブ紙が収容されるようになっている。
ピックアップロール5及び捌きロール6は、用紙収容カセット2に収容された用紙3を搬送路に向けて給紙するものである。このうち、ピックアップロール5は、上記所定の高さに配置された最上位の用紙3に対して接離可能に設けられている。ピックアップロール5を接離動作させるための駆動源にはソレノイドを用いることができる。ピックアップロール5は、用紙収容カセット2に収容された用紙3を第1搬送路R1に向けて送り出すものである。用紙の送り出しに際しては、用紙積載板4に積載された最上位の用紙3にピックアップロール5が所定の圧力で押し付けられ、この状態でピックアップロール5が図の時計回り方向に回転することにより、最上位の用紙3から順に矢印方向に送り出されるようになっている。
捌きロール6は、ピックアップロール5による用紙の送り出し方向に配置されている。この捌きロール6は、用紙収容カセット2に収容された用紙3が複数枚重なって搬送(重送)されることを防止するために、ピックアップロール5によって送り出された用紙3を1枚ずつ捌いて(分離して)送り出すものである。この捌きロール6により、各々の用紙収容カセット2からは1枚ずつ分離した形で用紙3が順に送り出される。また、こうして送り出された用紙3は、装置本体1の内部で用紙の搬送路R1〜R6上に適宜配置された各々のロール(後述)によって搬送される。因みに、ピックアップロール5と捌きロール6は、各々の用紙収容カセット2,…と1:1の対応関係で設けられている。
捌きロール6による用紙の送り出し方向には第1搬送ロール7が配置されている。第1搬送ロール7は、ほぼ垂直に形成された第1搬送路R1上に所定の間隔で複数設けられている。これら複数の第1搬送ロール7は、各々の用紙収容カセット2に対応する捌きロール6によって送り出された用紙3を第1搬送路R1に沿って上方に搬送するものである。
第1搬送ロール7による用紙の搬送方向には、第2搬送ロール8とレジストロール9とが順に配置されている。第2搬送ロール8とレジストロール9は、第1搬送路R1から連続して形成された第2搬送路R2上に設けられている。第2搬送ロール8は、各々の第1搬送ロール7によって搬送された用紙3をレジストロール9に向けて搬送するものである。レジストロール9は、第2搬送ロール8によって搬送された用紙3を画像転写部10に向けて搬送するものである。
画像転写部10は、レジストロール9によって搬送された用紙3に画像を転写する部分であり、この画像転写部10に用紙3を送り込むことで当該用紙3に画像が形成されるようになっている。画像転写部10では、像担持体となる中間転写ベルト11が支持ロール12によって支持されるとともに、支持ロール12のベルト巻き付け部に転写用の加圧ロール13が圧接した状態に保持されている。また、画像転写部10においては、中間転写ベルト11を挟む支持ロール12と加圧ロール13の圧接部分を通過するときに、中間転写ベルト11から用紙3に画像が形成(転写)されるようになっている。
中間転写ベルト11は、可視化されたトナー画像を担持しつつ、このトナー画像をベルトの回転によって画像転写部10へと移送するものである。具体例として、中間転写ベルト11には図示しない感光体の表面に形成されたトナー画像が一次転写され、この一次転写されたトナー画像が中間転写ベルト11の回転によって画像転写部10へと送られる。その際、感光体表面へのトナー画像の形成は、画像形成装置が複写機であれば図示しない画像読み取り装置(スキャナ等)によって読み取られた画像信号に基づいて行われ、ファクシミリ装置やプリンタ装置であれば図示しない通信手段やネットワーク手段等を介して受信した画像信号に基づいて行われる。
画像転写部10の下流側には、バキューム搬送部14、画像定着部15、第3搬送ロール16及び排出ロール17が順に配置されている。先述した第2搬送路R2は、第2搬送ロール8から画像転写部10を経由して排出ロール17へと至る搬送路をいう。第2搬送路R2上において、バキューム搬送部14は画像転写部10で画像(トナー画像)が転写された用紙3の裏面(画像が転写された面と反対側の面)をバキューム式で吸着しつつ、当該用紙3を画像定着部15へと搬送するものである。画像定着部15は、用紙3に転写された画像を加圧、加熱作用によって定着させるものである。第3搬送ロール16は、画像定着部15で画像の定着が行われた用紙3を搬送するもので、排出ロール17は、第3搬送ロール16によって搬送された用紙3を排出トレイ18へと排出するものである。
第3搬送ロール16の下流側では第2搬送路R2から斜め下方に第3搬送路R3が分岐している。第3搬送路R上には第4搬送ロール19が配設されている。第4搬送ロール19は第3搬送ロール16によって第3搬送路R3へと送り出された用紙3を用紙反転部20へと搬送するものである。
用紙反転部20は、画像転写部10に用紙3を再搬送したり、排出トレイ18に用紙3を排出したりするにあたって、当該用紙3を表裏反転させるための部分である。この用紙反転部20は、装置本体1内に複数の用紙収容カセット2,…を装着するために確保されたカセット収納空間に対し、このカセット収納空間に隣接する装置本体1内の片側(図1の左側)に形成されている。用紙反転部20にはほぼ垂直に第4搬送路R4が形成されている。また、第4搬送路R4上には搬送方向(垂直方向)に所定の間隔をあけて第1反転ロール21と第2反転ロール22が配設されている。第1反転ロール21は、用紙反転部20への用紙の取り込み位置となる第4搬送路4の入口近傍(用紙反転部20の上端部)に配置されている。第2反転ロール22は、垂直方向に沿う第4搬送路R4の略中間部に配置されている。
また、用紙反転部20においては、第1反転ロール21と第2反転ロール22との間で第4搬送路R4から斜め上方に第5搬送路R5が分岐している。第5搬送路R5上には所定の間隔で複数(図例では6つ)の搬送ロール25,…が配設され、これら複数の搬送ロール25,…を用いて再搬送部26が形成されている。
再搬送部26は、画像転写部10で片面(第一面)に画像が転写された用紙3を両面印刷のために再び画像転写部10に送り込むべく、第2搬送路R2上の第2搬送ロール8及びレジストロール9に向けて用紙3を搬送するものである。第5搬送路R5は、用紙反転部20と第2搬送ロール8との間で、第4搬送路R4と第2搬送路R2を繋ぐ状態に形成されている。
一方、用紙反転部20の第1反転ロール21からは、排出ロール17に向かって第6搬送路R6が分岐して形成されている。第6搬送路R6は、第3搬送路R3を経て用紙反転部20に取り込んだ用紙3を表裏反転させて排出トレイ18に排出するための搬送路である。因みに、上述した搬送路R1〜R6の分岐部分ではそれぞれ図示しないゲート部材によって用紙の進行方向が適宜切り換えられる構成となっている。
図2は本発明の第1実施形態で採用した用紙反転部の構成を示す図である。図において、第2反転ロール22は、駆動ロール22Aと従動ロール22Bから構成されている。駆動ロール22Aは、駆動モータ等を駆動源として、図の時計回り方向と反時計回り方向の双方向に回転可能となっている。従動ロール22Bは、駆動ロール22Aに圧接した状態で、当該駆動ロール22Aの回転にしたがって回転するものである。その際、駆動ロール22Aの回転方向に対して従動ロール22Bの回転方向は反対方向になる。また、従動ロール22Bは、ニップ状態切り換え用のソレノイド23の駆動により揺動し、これによって駆動ロール22Aに圧接した状態(ニップオン状態)と、駆動ロール22Aから離間した状態(ニップオフ状態)のいずれかに切り換え可能となっている。
第2反転ロール22による用紙の引き込み方向(下方)には、所定の距離を隔てて複数(図例では2つ)のストッパー部材27A,27Bが設けられている。各々のストッパー部材27A,27Bは、用紙の搬送方向と直交する方向に所定幅の用紙突き当て部を有するもの、或いは搬送方向と直交する方向において少なくとも2箇所を用紙突き当て部としたものである。以降の説明では、一方のストッパー部材27Aを第1ストッパー部材27Aと称し、他方のストッパー部材27Bを第2ストッパー部材27Bと称する。
第2反転ロール22から第1ストッパー部材27Aまでの距離は、第2反転ロール22から第2ストッパー部材27Bまでの距離よりも短く設定されている。また、第2反転ロール22から第1ストッパー部材27Aまでの距離は、相対的に小さい用紙サイズに対応して設定され、第2反転ロール22から第2ストッパー部材27Bまでの距離は、相対的に大きい用紙サイズに対応して設定されている。ここで記述する用紙サイズとは、搬送方向に沿う方向での用紙長さをいう。
第1ストッパー部材27Aは、ストッパー切り換え用の第1ソレノイド28Aの駆動により揺動し、これによって第4搬送路R4に進出した状態と、第4搬送路R4から退避した状態のいずれかに切り換え可能となっている。そして、第1ストッパー部材27Aが第4搬送路R4に進出した状態では、第2反転ロール22によって第4搬送路R4の下方(下流側)に引き込まれる用紙の進路が第1ストッパー部材27Aによって遮られた状態となり、第1ストッパー部材27Aが第4搬送路R4から退避した状態では当該用紙の進路が開放された状態となる。同様に、第2ストッパー部材27Bは、ストッパー切り換え用の第2ソレノイド28Bの駆動により揺動し、これによって第4搬送路R4に進出した状態と、第4搬送路R4から退避した状態のいずれかに切り換え可能となっている。そして、第2ストッパー部材27Bが第4搬送路R4に進出した状態では、第2反転ロール22によって第4搬送路R4の下方(下流側)に引き込まれる用紙の進路が第2ストッパー部材27Bによって遮られた状態となり、第2ストッパー部材27Bが第4搬送路R4から退避した状態では当該用紙の進路が開放された状態となる。
以上の構成により、第1ストッパー部材27Aと第2ストッパー部材27Bは、第4搬送路R4上に選択的に進出可能な構成となっている。すなわち、第1ストッパー部材27Aが第4搬送路R4上に進出した状態では第2ストッパー部材27Bが第4搬送路R4から退避した状態となり、逆に、第2ストッパー部材27Bが第4搬送路R4上に進出した状態では第1ストッパー部材27Aが第4搬送路R4から退避した状態となる。ただし、片面印刷の場合や、両面印刷であっても画像形成対象の用紙がタブ紙でない場合などは、第1ストッパー部材27Aと第2ストッパー部材27Bの両方を第4搬送路R4から退避させることも可能である。また、第2ストッパー部材27Bが画像形成装置で取り扱う最大の用紙サイズに対応した位置に設けられたものである場合は、第2ストッパー部材27Bよりも下方に用紙が送り込まれることがないため、第2ストッパー部材27Bを第4搬送路R4に常時進出させた状態に配置してもかまわない。その場合は、第2ソレノイド28Bが不要となる。
一方、第4搬送路R4及び第5搬送路R5の分岐部にはゲート部材29が設けられている。ゲート部材29は、第3搬送路R3から第4搬送路R4へと送り込まれた用紙が第2反転ロール22にニップされるように当該用紙の進行方向を案内するとともに、第2反転ロール22によって上方に送り込まれる用紙を第5搬送路R5へと導くものである。ゲート部材29よりも第4搬送路R4の上流側(入口側)には用紙検知センサ30が配置されている。用紙検知センサ30は、例えば反射型のフォトセンサからなるもので、第4搬送路R4に送り込まれた用紙の通過(先端通過、後端通過)を検知するものである。
用紙検知センサ30の出力信号は、例えば、当該用紙検知センサ30の検知位置に用紙が存在するときはオン状態となり、用紙が存在しないときはオフ状態となる。したがって、用紙検知センサ30の検知位置を用紙が通過する際には、用紙の先端がセンサ検知位置を通過したタイミングでセンサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、用紙の後端がセンサ検知位置を通過したタイミングでセンサ出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わる。この用紙検知センサ30の出力信号は、搬送途中での用紙詰まり(ジャム)の検知などの他に、用紙反転部20で第1反転ロール21と第2反転ロール22の回転動作を制御したり、ニップ状態切り換え用のソレノイド23やストッパー切り換え用の2つのソレノイド28A,28Bの駆動動作を制御したりするために利用される。
続いて、上記構成からなる画像形成装置の動作について説明する。まず、ユーザは、画像形成装置の操作パネル(不図示)を使って所望の画像形成条件(例えば、画像形成の濃度や部数、両面印刷の指定など)を入力した後、操作パネル内のスタートボタンを押す。このとき、操作パネルを用いたユーザの入力操作により、最上段の用紙収容カセット2が選択されたものとすると、この最上段の用紙収容カセット2に対応するピックアップロール5と捌きロール6の回転により、最上位の用紙3が図中矢印方向(左方向)に送り出される。この場合、最上段の用紙収容カセット2にはタブ紙が収容されているため、この用紙収容カセット2から送り出される用紙3はタブ紙となる。そうした場合、画像形成装置における用紙3の搬送動作は、図示しない搬送制御部によって次のように制御される。
まず、搬送対象(画像形成対象)となる用紙3のサイズは、ユーザの入力操作によって用紙収容カセット2が選択された時点で検出される。こうして用紙サイズが検出されると、この用紙サイズに応じて、上記2つのソレノイド28A,28Bの一方が駆動する。このとき、第1ソレノイド28Aが駆動した場合は、第1ストッパー部材27Aが第4搬送路R4に進出した状態となり、第2ソレノイド28Bが駆動した場合は、第2ストッパー部材27Bが第4搬送路R4に進出した状態となる。ストッパー部材27A,27Bを第4搬送路R4に進出させるためのソレノイド28A,28Bの駆動は、用紙サイズを検出してから第2反転ロール22で用紙3のニップを解除するまでの間に行えばよい。
用紙サイズについては、ユーザの入力操作でいずれの用紙収容カセット2が選択されたかによって検出する以外にも、用紙収容トレイ2から画像転写部10に至るまでの搬送路に上記用紙検知センサ30と同様の用紙検知センサを設け、この用紙検知センサの出力信号に基づいて検出することも可能である。その場合、用紙サイズが大きいものでは、用紙検知センサの出力信号がオン状態に保持される期間が長くなり、用紙サイズが小さいものでは、用紙検知センサの出力信号がオン状態に保持される期間が短くなる。したがって、用紙検知センサがオン状態に保持される期間を例えばタイマー等で計測することにより用紙サイズを検出することが可能となる。
その後、用紙収容カセット2から送り出された用紙3は、搬送ロール7の回転により第1搬送路R1に沿って上方に搬送され、第2搬送ロール8へと受け渡される。さらに用紙3は、第2搬送ロール8の回転により第2搬送路R2に沿ってレジストロール9側に搬送される。その後、用紙3は、第2搬送ロール8の回転にしたがって用紙3の先端(タブと反対側の用紙3の辺部)を回転停止状態のレジストロール9の圧接部分(用紙をニップする部分)に突き当ててループ状に撓ませることにより当該用紙3の先端を基準にスキュー補正され、この状態で一旦停止した後、画像転写部10での画像の到達タイミングに合わせたレジストロール9の回転により画像転写部10へと送り込まれる。画像転写部10では、中間転写ベルト11に担持されたトナー画像が、ベルト支持ロール12と加圧ロール13との圧接部分で、中間転写ベルト11の表面から用紙3の第一面に転写される。
こうして第一面に画像が形成された用紙3は、バキューム搬送部14によって画像定着部15に送られる。画像定着部15では、一対のロール間に用紙3をニップしつつ、当該一対のロール間に加えられる加圧作用と加熱作用によって用紙3の表面に画像が定着される。画像定着部15から送り出された用紙3は、当該用紙3が片面印刷用であれば、第3搬送ロール16の回転により排出ロール17へと受け渡され、さらに排出ロール17の回転により排出トレイ18へと排出される。
また、画像定着部15から送り出された用紙3が両面印刷を指定されたものであれば、第3搬送ロール16の回転と図示しないゲート部材の切り換え動作により、用紙3が第2搬送路2から第3搬送路R3へと導かれる。第3搬送路R3に導かれた用紙3は第4搬送ロール19の回転により用紙反転部20へと送り込まれる。
用紙反転部20では、第4搬送ロール19によって送られた用紙3が第1反転ロール21と第2反転ロール22で順にニップされるとともに、これら第1反転ロール21と第2反転ロール22の回転により、第4搬送路R4に沿って用紙3が下方に搬送される。このとき、図3に示すように、用紙3の後端(上端)が第1反転ロール21を抜けて第4搬送路R4と第5搬送路R5との分岐部を通過するまで、用紙3が下方へと引き込まれる。そして、用紙3の後端が搬送路R4,R5の分岐部(ゲート部材29)を通過して第2反転ロール22の圧接部分を抜ける前に、第2反転ロール22の回転が一旦停止する。
第2反転ロール22の回転を停止させるタイミングは、用紙検知センサ30の出力信号に基づいて制御される。具体的には、第1反転ロール21と第2反転ロール22の回転にしたがって第4搬送路R4を走行する用紙3の後端が用紙検知センサ30の検知位置を通過し、これによってセンサ出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わったタイミングを基準に、そこから第2反転ロール22単独で搬送される用紙3の搬送量を、例えば第2反転ロール22を駆動する駆動モータの駆動量(駆動モータがパルスモータであれば駆動パルスの数)に基づいて把握することにより、用紙3の後端が反転ポイントP(図3参照)に達するタイミングで第2反転ロール22の回転を停止する。これにより、第4搬送路R4では、用紙3が第2反転ロール22にニップ(挟持)された状態で停止する。
続いて、図4に示すように、ソレノイド23を駆動して駆動ロール22Aから従動ロール22Bを離間させることにより、第2反転ロール22による用紙3のニップ状態を解除(オフ)する。そうすると、第4搬送路R4では、第2反転ロール22のニップ解除に伴い、用紙3が自重で落下する。このとき、用紙(タブ紙)3のタブの部分は上向きになっている。そのため、図示のように第1ストッパー部材27Aが第4搬送路R4に進出した状況では、用紙3の下端部、すなわちタブと反対側の用紙3の辺部が第1ストッパー部材27Aに突き当てられ、これによって用紙3のスキューが補正される。また、図示はしないが、第2ストッパー部材27Bが第4搬送路R4に進出した状況では、用紙3の下端部(タブと反対側の用紙3の辺部)が第2ストッパー部材27Bに突き当てられることで用紙3のスキューが補正される。この場合は、いずれも用紙3の下端部(タブと反対側の用紙3の辺部)を基準にスキュー補正が行われる。
その後、図5に示すように、ソレノイド23を駆動して駆動ロール22Aに従動ロール22Bを圧接させることにより、第2反転ロール22で再び用紙3をニップする。そして、画像転写部10への画像の到達タイミングに間に合うタイミングで、それまでとは逆方向に第2反転ロール22の回転を開始(再開)する。そうすると、用紙反転部20では、図6に示すように、第2反転ロール22にニップされた用紙3がスイッチバックする形で第4搬送路R4を上方に向かって進行した後、上記ゲート部材29に案内されて第4搬送路R4から第5搬送路R5へと導かれる。第5搬送路R5では、再搬送部26を形成する各々の搬送ロール25に順に用紙3が受け渡されるとともに、最終段の搬送ロール25によって第2搬送ロール8へと用紙3が受け渡される。
続いて、用紙3は、画像が形成されていない第二面を上向きにした状態で、第2搬送ロール8の回転により第2搬送路R2に沿ってレジストロール9へと搬送される。そして、用紙3は、レジストロール9への突き当てによるスキュー補正を行わずに、レジストロール9によって画像転写部10に送られ、そこで用紙3の第二面に画像が転写されるとともに、この用紙3がバキューム搬送部14から画像定着部15を経由して第3搬送ロール16へと受け渡される。この場合、第3搬送ロール16の回転と図示しないゲート部材の切り換え動作により、用紙3が再び第3搬送路3へと導かれる。そして、上記同様に第4搬送ロール19の回転により用紙3が用紙反転部20へと送り込まれる。ただし、この場合は、用紙3の後端が第3搬送路R3を経由して第6搬送路R6との分岐部を抜けた時点で、第1反転ロール21と第2反転ロール22の回転方向が反転する。そうすると、用紙3は用紙反転部20でスイッチバックする形で第4搬送路R4を上方に向かって移動する。このとき、用紙3は図示しないゲート部材に案内されて第4搬送路R4から第6搬送路R6へと導かれ、そのまま排出ロール17を経由して排出トレイ18へと排出される。
なお、上記の動作説明では、両面(第一面と第二面)に画像が形成された用紙3を表裏反転して排出トレイ18に排出するものとしたが、これ以外にも、片面(第一面)に画像が形成された用紙3を用紙反転部20でのスイッチバックにより表裏反転して排出トレイ18に排出する場合もある。また、搬送対象(画像形成対象)となる用紙3がタブ紙ではなく通常の矩形の用紙である場合は、第4搬送路R4からストッパー部材27A,27Bを退避させた状態で、上述のように用紙反転部20で用紙3を第2反転ロール22でニップしたまま当該第2反転ロール22の回転を停止させた後、用紙3のニップ状態を解除することなく第2反転ロール22を逆回転させて用紙3を第5搬送路R5に送り込み、その後、第一面に画像を形成する場合と同様にレジストロール9への突き当てによって用紙3のスキュー補正を行ってから、レジストロール9の回転によって用紙3を画像転写部10に送り込む。
このように本発明の第1実施形態に係る画像形成装置においては、用紙収容カセット2から送り出された用紙3がタブ紙であって、このタブ紙の両面に画像を形成する場合に、用紙3の第一面に画像を形成するときは第2搬送路R2上で用紙3の一端をレジストロール9に突き当てることによりスキュー補正を行い、用紙3の第二面に画像を形成するときは用紙反転部20の第4搬送路R4上で用紙3の一端をストッパー部材27A又は27Bに突き当てることによりスキュー補正を行う両面処理モードを搬送制御部で実行する構成としたので、いずれの面に画像を形成するときでも、タブと反対側の用紙の端部(辺部)を基準にスキューを補正した状態で用紙3に画像を形成することができる。したがって、タブ紙の両面に画像を形成する場合であっても、スキューによる画像のずれを有効に防止することができる。
図7は本発明の第2実施形態で採用した再搬送部の構成を示す図である。図においては、上述のように再搬送部26の第5搬送路R5上に所定の間隔で設けられた複数の搬送ロール25,…(図1参照)のうち、第5搬送路R5の入口部分(第4搬送路R4との分岐部)に最も近い位置に設けられた搬送ロール251と、この搬送ロール251の下流側に設けられた搬送ロール252との間にストッパー部材31が設けられている。
搬送ロール251,252は、第5搬送路R5上において搬送方向に隣り合う位置関係で配置されたものであればよく、したがって再搬送部26内のいずれの搬送ロール25,…(例えば第5搬送路R5の出口部分に最も近い2つの搬送ロール25,25)によって構成されたものでもかまわない。搬送方向の下流側に位置する搬送ロール252は、双方向(用紙を下流側に送り出す方向と用紙を上流側に引き戻す方向)に回転可能となっている。また、搬送ロール252は、再搬送部6に設けられた他の搬送ロール25,…(例えば、搬送ロール251)よりもスリップしやすい構成となっている。具体的には、例えば、搬送ロール252による用紙3のニップ圧を、搬送ロール251による用紙3のニップ圧よりも小さく設定することにより、搬送ロール251に比較して搬送ロール252の方が用紙3の表面でスリップしやすい構成となっている。
ストッパー部材31は、2つの搬送ロール251,252の間で、上流側の搬送ロール251の近傍に配置されている。このストッパー部材31は、枢軸32を回転中心として揺動自在に支持されている。また、ストッパー部材31は側面視L字形に形成され、その短片部に錘体33が設けられている。錘体33はその重みで当接部34に当接している。錘体33が当接部34に当接した状態ではストッパー部材31の長片部がほぼ垂直に起立して第5搬送路R5に進出した状態となる。このようにストッパー部材31が第5搬送路R5に進出した状態(錘体33が当接部34に当接した状態)のもとでは、図の反時計回り方向へのストッパー部材31の揺動動作は当接部34から錘体33が浮き上がることで許容されるものの、図の時計回り方向へのストッパー部材31の揺動動作は当接部34に対する錘体33の突き当てによって阻止される。
また、搬送ロール251の上流側(第5搬送路R5の入口側)には用紙検知センサ35が配設されている。この用紙検知センサ35は、第5搬送路R5に送り込まれた用紙の通過(先端通過、後端通過)を検知するものである。具体的な検知方法については、上記用紙検知センサ30の場合と同様である。
続いて、上記構成の再搬送部26を備えた用紙搬送装置を用いてタブ紙の両面に画像を形成する場合の手順について説明する。まず、用紙収容カセット2から送り出された用紙(タブ紙)3の第一面に画像を形成(転写)した後、用紙反転部20に用紙3を送り込み、そこで用紙3を第2反転ロール22でニップしたまま当該第2反転ロール22の回転を停止させる。ここまでの手順は、上記第1実施形態の場合と同様である。その後、用紙3を第2反転ロール22でニップしたまま、当該第2反転ロール22を逆回転させて用紙3を第5搬送路R5(再搬送部26)へと送り込む。
こうして第5搬送路R5に送り込まれた用紙3は、搬送ロール251と搬送ロール252に順にニップされるとともに、これらの搬送ロール251,252の回転により、第5搬送路R5の下流側へと搬送される。このとき、用紙3の先端が搬送ロール251を抜けてストッパー部材31に突き当たると、図8(A)に示すように、用紙3の突き当てによって受ける押圧力(換言すると、搬送ロール252によって用紙3に付与される搬送力)によってストッパー部材31が枢軸32を中心に反時計回り方向に揺動し、これによって錘体33が当接部34から浮き上がる。そのため、搬送方向の下流側への用紙3の通過(進行)が許容される。また、用紙3の後端が搬送ロール251を抜けて所定量だけ進むと、図8(B)に示すように、ストッパー部材31が錘体33の重みで枢軸32を中心に時計回り方向に揺動し、元の状態(第5搬送路R5に進出した状態)に戻る。
そうすると、用紙3が搬送ロール252でニップされた状態で当該搬送ロール252の回転方向が反転する。搬送ロール252の回転方向を反転させるタイミングは、用紙検知センサ35の出力信号に基づいて制御される。具体的には、搬送ロール251,252の回転にしたがって第5搬送路R5を走行する用紙3の後端が用紙検知センサ35の検知位置を通過し、これによってセンサ出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わったタイミングを基準に、そこから搬送ロール251,252で搬送される用紙3の搬送量を、例えば搬送ロール252を駆動する駆動モータの駆動量(駆動モータがパルスモータであれば駆動パルスの数)に基づいて把握することにより、用紙3の後端が搬送ロール251を抜けてから所定量(用紙3の後端がストッパー部材31から外れるまで)搬送されたタイミングで搬送ロール252の回転方向を反転させる。
これにより、第5搬送路R5では、用紙3が搬送ロール252にニップされたまま、当該搬送ロール252の回転(逆回転)により搬送方向の上流側(搬送ロール251側)に引き戻される。このとき、用紙3の後端(タブと反対側の用紙3の辺部)は、図9(A)に示すように、第5搬送路R5を塞いでいるストッパー部材31に突き当てられ、これによって用紙3のスキューが補正される。この場合は用紙3の後端(タブと反対側の用紙3の辺部)を基準にスキュー補正が行われる。また、用紙3の後端がストッパー部材31に突き当てられると、それまでよりも大きな負荷が搬送ロール252に加わるため、この負荷の増大によって搬送ロール252が用紙3の表面でスリップする。したがって、用紙3の後端をストッパー部材31に確実に突き当ててスキューを補正することができる。
こうして用紙3のスキューを補正した後は、搬送ロール252の回転方向を再び反転させる。そうすると、スキュー補正を終えた用紙3は、図9(B)に示すように、搬送ロール252の回転(正回転)にしたがって第5搬送路R5の下流側へと送り込まれる。以降は、上記第1実施形態の場合と同様の手順で用紙3の第二面に画像が形成された後、用紙3が排出トレイ18へと排出される。また、搬送対象(画像形成対象)となる用紙3がタブ紙ではなく通常の矩形の用紙である場合は、上述のように搬送ロール251,252の間で用紙3を往復させることなく、再搬送部26の第5搬送路R5に沿って用紙3を連続的(停止させず)に搬送した後、第2搬送路R2でレジストロール9への突き当てにより用紙3のスキュー補正を行ってから、レジストロール9の回転によって用紙3を画像転写部10に送り込む。
このように本発明の第2実施形態に係る画像形成装置においては、用紙収容カセット2から送り出された用紙3がタブ紙であって、このタブ紙の両面に画像を形成する場合に、用紙3の第一面に画像を形成するときは第2搬送路R2上で用紙3の一端をレジストロール9に突き当てることによりスキュー補正を行い、用紙3の第二面に画像を形成するときは再搬送部26の第5搬送路R5上で用紙3の一端をストッパー部材31に突き当てることによりスキュー補正を行う両面処理モードを搬送制御部で実行する構成としたので、いずれの面に画像を形成するときでも、タブと反対側の用紙の端部(辺部)を基準にスキューを補正した状態で用紙3に画像を形成することができる。したがって、タブ紙の両面に画像を形成する場合であっても、スキューによる画像のずれを有効に防止することができる。
また、スキュー補正に用いられるストッパー部材31は、用紙3の先端が搬送ロール251を抜けてストッパー部材31に突き当たると、この用紙3に押されて斜めに倒れ、その後、用紙3の後端が抜けると錘体32の重みで自動的に元の状態(第5搬送路R5に進出した状態)に戻る構成になっているため、ソレノイド等の駆動源を設けなくても、ストッパー部材31を適切に動作させることができる。
なお、上記第2実施形態においては、搬送ロール251の下流側にストッパー部材31を設け、このストッパー部材31への突き当てによって用紙3のスキューを補正するものとしたが、これ以外にも、例えばストッパー部材31を設ける代わりに搬送ロール251の回転を単独で停止し得る構成とし、下流側の搬送ロール252の回転(逆回転)によって用紙3を上流側に引き戻すときに、それに先立って回転停止させた搬送ロール251への突き当てによって用紙3のスキューを補正するものとしてもよい。また、ストッパー部材31(又は搬送ロール251)に用紙3を突き当ててスキューを補正したときに、搬送ロール252による用紙3のニップ状態を一旦解除してから、再びニップ状態に戻して搬送ロール252の回転(正回転)により用紙3を下流側に送り込むようにしてもよい。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、通常の矩形の用紙に両面印刷を行う場合は、用紙のいずれの面に画像を形成するときでもレジストロール9への突き当てによってスキュー補正を行うものとしたが、本発明はこれに限らず、通常の矩形の用紙に両面印刷を行う場合でも、タブ紙を取り扱う場合と同様の両面処理モードを適用してスキュー補正を行うようにしてもよい。その場合は、第一面に画像を形成する際のスキュー補正でレジストロール9に突き当てられる用紙3の端部と、第二面に画像を形成する際のスキュー補正でストッパー部材(又は搬送ロール251)に突き当てられる用紙3の端部が共通のものとなる。したがって、用紙の先端側の辺部と後端側の辺部の平行度に狂いが生じている場合でも、スキュー補正の基準となる用紙の辺部が共通化されることで、用紙の両面に傾きなく画像を形成することができる。
2…用紙収容カセット、3…用紙、9…レジストロール、10…画像転写部、20…用紙反転部、21,22…反転ロール、25,251,252…搬送ロール、26…再搬送部、23,28A,28B…ソレノイド、27a,27b,31…ストッパー部材、29…ゲート部材、30,35…用紙検知センサ、33…錘体、34…ベース部、R1〜R6…搬送路