JP2008098377A - 半導体装置の製造方法及び電子機器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板に対する熱負荷が軽減でき、大面積の基板の熱処理を行うことが可能な半導体装置の製造方法を提供する。また、汚染物質を低減し、半導体装置の特性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板(100)上に半導体膜(102)を形成し、半導体膜上に第1膜(103)を形成した後、半導体膜に対し、第1膜を介して水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナー(22)の火炎を走査することにより、半導体膜を再結晶化する。その結果、半導体膜の汚染、特に、ガスバーナーのノズル等に起因する金属汚染を低減することができる。
【選択図】図11
【解決手段】基板(100)上に半導体膜(102)を形成し、半導体膜上に第1膜(103)を形成した後、半導体膜に対し、第1膜を介して水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナー(22)の火炎を走査することにより、半導体膜を再結晶化する。その結果、半導体膜の汚染、特に、ガスバーナーのノズル等に起因する金属汚染を低減することができる。
【選択図】図11
Description
本発明は半導体装置の製造方法、特に、熱処理工程における汚染の低減に関するものである。
CVD(chemical vapor deposition、化学気相成長)法などによって基板上に成膜したシリコンの再結晶化を図る結晶化方法には、600〜1000℃の高温熱処理による固相成長法、エキシマレーザ照射を行うレーザアニール法、熱プラズマを熱源とする熱プラズマジェット法(特許文献1、非特許文献1)等がある。
特開平11−145148号公報
Crystallization of Si Thin Film Using Thermal Plasma Jet and Its Application to Thin-Film Transistor Fabrication, S.Higashi, AM-LCD '04 Technical Digest Papers, p.179
しかしながら、上述した熱処理による固相成長法では、基板が600〜1000℃の高温に加熱されるため、安価なガラス基板を用いることができない。また、基板に対する熱負荷が大きく、基板の歪みや割れが生じやすい。また、結晶化に長時間を必要とし、生産性に乏しい。また、レーザアニール法によれば、耐熱性の低いガラス基板を用いることができるものの、高価な設備が必要とされるとともに、素子特性のばらつきが大きくなる傾向がある。また熱プラズマジェット法もコストがかかる。
そこで、本発明者らは、基板に対する熱負荷が軽減でき、大面積の基板の熱処理を行うことが可能な半導体装置の製造方法として、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーの火炎を施すことによる熱処理を研究対象とし(例えば、特願2005−329205等参照)、当該処理特性を向上させるべく鋭意検討している。
しかしながら、追って詳細に説明するように、当該熱処理後の膜において、汚染物質が確認された。
そこで、本発明は、基板に対する熱負荷が軽減でき、大面積の基板の熱処理を行うことが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、汚染物質を低減し、半導体装置の特性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る半導体装置の製造方法は、(a)基板上に半導体膜を形成する工程と、(b)上記半導体膜上に第1膜を形成する工程と、(c)上記半導体膜に対し、上記第1膜を介して水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーの火炎を走査することにより、上記半導体膜を再結晶化する工程と、を有する。
かかる方法によれば、第1膜を介して水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーの火炎を走査したので、半導体膜に対する汚染を防止することができる。特に、ガスバーナーのノズルが金属含有材料(例えば、鉄合金など)で構成されていても、半導体膜に対する金属汚染を低減することができる。
好ましくは、上記半導体膜はシリコン膜であり、上記第1膜は酸化シリコン膜である。かかる方法によれば、シリコン膜の再結晶化の熱処理の際し、酸化シリコン膜によりシリコン膜の汚染を低減することができる。
例えば、上記火炎は、金属を含有する材料より成るノズルから放射される。このように、金属を含有する材料より成るノズルから火炎が放射されても、半導体膜に対する汚染を防止することができる。
好ましくは、(c)工程は、上記水素及び酸素の混合ガス比を水(H2O)の化学量論組成比である2mol:1molより水素の組成比が大きい状態で行う処理である。かかる方法によれば、半導体膜の改質を行うことができる。
例えば、上記(c)工程に先立って、上記半導体膜をエッチング法によりパターニングする工程を有する。このように、半導体膜をあらかじめパターニングしてもよい。
例えば、上記(c)工程は、上記ガスバーナーの火炎を直線状に形成し、該直線状火炎によって上記半導体膜を相対的に走査することによって行われる。これによって、大面積の半導体基板を効率よく熱処理することが可能となる。
例えば、上記ガスバーナーと上記基板との距離を調整して上記半導体膜が曝される火炎の温度あるいは圧力を調整する。
(2)本発明に係る電子機器の製造方法は、上記半導体装置の製造方法を有する。電子機器は、上述した半導体装置の製造方法を使用して製作した表示器等を含むものであり、電子機器には、ビデオカメラ、テレビ、大型スクリーン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、携帯型情報機器(いわゆるPDA)、その他各種のものが含まれる。
本実施の形態では、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーを用いて、半導体層に対し、熱処理を行なう。以下、この熱処理を「水素火炎処理」と言うことがある。また、上記ガスバーナーの火炎を「水素火炎」と言うことがある。この熱処理には、例えば、シリコン膜(半導体膜、半導体層)の再結晶化の際の熱処理がある。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
(半導体製造装置)
まず、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる半導体製造装置について図1〜図9を参照しながら説明する。
まず、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる半導体製造装置について図1〜図9を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置の製造に用いられる半導体製造装置の構成例を示す図である。図1において、水タンク11には純水が蓄えられおり、電気分解槽(電気分解装置)12に水を供給する。水は電気分解槽12によって電気分解されて水素ガス及び酸素ガスに分離される。分離された水素ガス及び酸素ガスはガスコントローラ15に供給される。ガスコントローラ15はコンピュータシステムと調圧弁、流量調整弁、各種センサ等によって構成されており、予め設定されたプログラムに従って下流のガスバーナー22に供給する水素ガス及び酸素ガス(混合ガス)の供給量、供給圧力、両ガスの混合比等を調整する。
また、ガスコントローラ15は図示しないガス貯蔵タンクから供給される、水素ガス(H2)、酸素ガス(O2)を更に前述の混合ガスに導入し、ガスバーナー22に供給する。これにより、混合ガスの水素および酸素の混合比(混合比率)を水(H2O)の化学量論組成比(H2:O2=2mol:1mol)からずらし、水素過剰(水素リッチ)あるいは酸素過剰(酸素リッチ)な混合ガスを得る。
また、ガスコントローラ15は、図示しないガス貯蔵タンクから供給される、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N2)等の不活性ガスを更に上記混合ガスに導入することができる。これにより、ガスバーナー22の火炎温度(燃焼温度)や火炎状態の制御を行っている。
上述した水タンク11、電気分解槽12およびガスコントローラ15は燃料(原料)供給部を構成する。
ガスコントローラ15の下流には閉空間を形成するチャンバ(処理室)21が配置されている。チャンバ21には、熱処理の火炎を発生するガスバーナー22、処理対象の基板(半導体基板やガラス基板等)100を載置してガスバーナー22に対して相対的に移動可能とするステージ部(載置台)51等が配置されている。
チャンバ21内の雰囲気は、これに限定されないが、例えば、内部圧力が大気圧〜0.5MPa程度、内部温度が室温〜100℃程度に設定可能なよう構成されている。チャンバ21内の気圧を所望状態に保つために、前述のアルゴンなどの不活性ガスをチャンバ21内に導入することができる。
ステージ部51はパーティクル防止のために基板を載置した台を一定速度で移動する機構が設けられている。また、急激な温度差等による基板100のヒートショックを防止するため、基板100の載置台に加熱(予熱)や冷却を行う機構が設けられており、外部の温度調節部52によってこの温度制御がなされる。加熱には電気ヒーター機構、冷却には冷却ガスや冷却水を用いる冷却機構などが用いられる。
図2は、半導体製造装置のガスバーナー部の構成例を示す平面図である。図2に示すように、図1の半導体製造装置のガスバーナー22はステージ部51の幅(図示の上下方向)よりも大きい長手部材によって形成され、ステージ部51の幅より広い幅の火炎を放射できる。ガスバーナー22の長手方向と直交する方向(図中の矢印方向)にステージ部51を移動することにより、あるいはガスバーナー22を移動することによって、ガスバーナー22が基板100を走査するように構成されている。
図3は、半導体製造装置のガスバーナー部の構成例を示す断面図である。図3に示すように、ガスバーナー22は、混合ガスを燃焼室に導出するガスの出口穴が設けられた導気管22a、導気管22aを囲む遮蔽器22b、遮蔽器22bによって囲まれて混合ガスが燃焼する燃焼室22c、燃焼ガスが遮蔽器22bから外方に出る出口となるノズル22d、導気管22aに設けられた混合ガスの流出口22eなどによって構成されている。
ノズル22dと基板100とのギャップ(距離)を広く設定すると、燃焼ガスがノズルから放出される際に圧力が低下する。ノズル22dと基板100とのギャップをせまく設定する(しぼる)と、燃焼ガスの圧力低下が抑制され、圧力は高くなる。従って、ギャップを調整することによってガス圧力を調整することができる。加圧によって水蒸気アニール、水素リッチアニール、酸素リッチアニールなどを促進することができる。各種アニールは混合ガスの設定によって選択可能である。図中には、水蒸気(H2O蒸気)の噴出の様子を示す。
後述するように、混合ガスの流出口22eを複数あるいは線状に形成することによって、ガスバーナー22の燃焼室22cの火炎(トーチ)形状を線状(長尺の火炎)、複数のトーチ状等にすることができる。ガスバーナー22近傍の温度プロファイルは流出口22eや遮蔽器22bのノズル22d等の設計により、好ましくは、火炎の走査方向において矩形となるように設定される。
図4は、半導体製造装置のガスバーナー部の第1構成例を示す図である。図4(A)はガスバーナー22の短手方向における断面図、図4(B)はガスバーナー22の長手方向における部分断面図を示し、図4(C)はガスバーナー部を模式的に示した斜視図である。これらの図において、図3と対応する部分には同一符号を付している。
この例では、導気管22aを囲むように遮蔽器22bが形成されている。遮蔽器22bの下方がノズル22dとなっており、導気管22aの下方(ノズル22d側)にガス流出口22eが線状(長穴)に設けられている。なお、直線状のガス流出口22eの各部位の流出量を同じにするために穴の幅を場所に応じて変えるようにしてもよい。
図5は、半導体製造装置のガスバーナー部の第2構成例を示す図である。ガスバーナー22の他の構成例を示している。図5(A)はガスバーナー22の短手方向における断面図、図5(B)はガスバーナー22の長手方向における部分断面図を示している。両図において、図3と対応する部分には同一符号を付している。
この例では、導気管22aを囲むように遮蔽器22bが形成されている。遮蔽器22bの下方がノズル22dとなっており、導気管22aの下方(ノズル22d側)に複数のガス流出口22eが等間隔で設けられている。この構成では燃焼室のガス密度を一様とし、ノズル22dから外部に流れるガス流量を均一にするために、導気管22aを例えば図示の左右方向に適宜移動可能なように構成されている。なお、導気管22aを固定とし、ガス流出口22eの各部位の流出量を同じにするために、必要によりガス流出口22eの間隔を場所に応じて変えるようにしてもよい。
図6は、半導体製造装置のガスバーナー部の第3構成例を示す図である。図6(A)はガスバーナー22の短手方向における断面図、図6(B)はガスバーナー22の長手方向における部分断面図を示している。両図において、図3と対応する部分には同一符号を付している。
この例でも、導気管22aを囲むように遮蔽器22bが形成されている。遮蔽器22bの下方がノズル22dとなっており、導気管22aの側面に複数のガス流出口22eが螺旋状に等間隔で設けられている。この構成では燃焼室のガス密度を一様とし、ノズル22dから外部に流れるガス流量を均一にするために、導気管22aを図中の矢印のように回転可能に構成している。
図7は、ノズルの高さと流出ガスの圧力との関係を示す図である。図7(A)に示すように、基板100の表面からノズル22dを離間させることによって流出燃焼ガスの圧力を下げることができる。また、図7(B)に示すように、基板100の表面にノズル22dを接近させることによって流出燃焼ガスの圧力を上げることができる。
図8は、ノズルの形状および角度と流出ガスの圧力との関係を示す図である。図8に示すように、ノズル22dの形状や姿勢の調整(例えば、流出口の形状や基板に対する角度の調整)により流出ガス圧力を調整することができる。この例では、図8(A)に示すように、ノズル22dの流出口形状を片側に開放した形状としている。このため、ガスバーナー22が直立した状態では流出燃焼ガスの圧力を下げることができる。また、図8(B)に示すように、ガスバーナー22を回動あるいは傾斜させると、基板100の表面にノズル22dの流出口が接近して流出燃焼ガスの圧力を上げることができる。
図9は、ノズルと導気管との距離と流出ガスの圧力との関係を示す図である。図9に示すように、導気管22aと遮蔽器22bとの相対的な位置関係を可変としてノズル22dから流出する燃焼ガスの温度を調整することができる。例えば、導気管22aが遮蔽器22b内でノズル22dに向かって進退可能である構造にして、燃焼室22cを移動し、熱源とノズル22d間の距離を変えることが可能となる。また、熱源と基板間との距離の調整が可能となる。
従って、図9(A)に示すように、導気管22aがノズル22dに相対的に接近する場合にはノズル22dから流出する燃焼ガスは相対的に高温になる。また、図9(B)に示すように、導気管22aがノズル22dから相対的に離間する場合にはノズル22dから流出する燃焼ガスは相対的に低温になる。
このような構造は、ガスバーナー22と基板100間のギャップを変えることなく、流出燃焼ガスの温度を調整することを可能とし、具合がよい。もちろん、ガスバーナー22と基板間のギャップを変えて基板温度を調整してもよい。もちろん、ガスバーナー22と基板間のギャップを変えて、更に、導気管22aと遮蔽器22bとの相対的な位置関係を調整してガス温度を調整する構成とすることができる。また、ガスバーナー22の基板に対する走査速度を変えることにより基板温度を調整することができる。
なお、図4〜図9に示したガスバーナーの構造は、これらを適宜に組み合わせることが可能である。
例えば、図7に示す構成と図9に示す構成とを組み合わせることができる。図7に示すガスバーナー22全体を基板100に対して接近あるいは離間する構成としてノズル22dと基板100間のギャップを調整可能とし、基板100の温度(例えば、表面温度)を調節する。更に、図9に示したようにガスバーナー22内の導気管22aをノズル22dに向かって進退可能とすることによって基板100の温度を微調節する。これによって、基板100の温度を目標とする熱処理温度とすることがより容易となる。
また、図7と図8に示す構成を組み合わせることができる。ガスバーナー22全体を基板100に対して接近あるいは離間する構成としてノズル22dと基板100間のギャップを調整可能とし(図7参照)、基板100の表面温度や火炎の圧力を調節する。更に、ガスバーナー22全体の基板100に対する姿勢を調整することによって基板100の表面温度や火炎の圧力を調節する(図8参照)。
また、図7と図8と図9に示す構成を組み合わせることができる。ガスバーナー22全体を基板100に対して接近あるいは離間する構成としてノズル22dと基板100間のギャップを調整可能とし、基板100の表面温度や火炎の圧力を粗調節する(図7参照)。更に、ガスバーナー22全体の基板100に対する姿勢を調整することによって基板100表面の火炎の圧力を調節する(図8参照)。更に、ガスバーナー22内の導気管22aをノズル22dに向かって進退可能とすることによって基板100の表面温度を微調節する(図9参照)。かかる構成により、より正確な熱処理が可能となる。
また、図示していないが、ガスバーナー22の遮蔽板22bを可動式として、ノズル22dの開口(流出口、絞り)をガスバーナー22の走査方向において広狭に変更可能とすることができる。それにより、ガスバーナー22の走査方向における基板100の被処理部分の暴露時間、基板100の熱処理の温度プロファイル、熱処理温度、火炎圧などを調整することが可能となる。
以上説明した半導体製造装置においては、基板を横切るような長尺のガスバーナーを備えるので、窓ガラスのような大面積の基板の熱処理を行うことができる。また、燃料となる水素と酸素を水の電気分解によって得ることができるので、ガス材料の入手が容易でランニングコストが安価である。
また、上記半導体製造装置においては、ガスバーナー22に、遮蔽器22bを設けたが、遮蔽器22bを用いず、ガスバーナー22を外気にさらした状態、即ち、導気管22aから直接火炎を放射することにより処理を行ってもよい。また、上記半導体製造装置においては、遮蔽器22bから燃焼ガスが噴出している場合について説明したが、遮蔽器22bから火炎が出るよう調整してもよい。
また、基板に対する処理は、燃焼ガスによる処理でも、火炎を直接接触させる処理でもよい。これらの処理の制御は、各処理の条件毎に適宜設定することができる。
特に、火炎は、還元性の強い内炎(還元炎)と酸化性の強い外炎(酸化炎)とを有し、いずれを基板に接触させるかによって、処理条件に応じた設定をすることができる。また、内炎は比較的低温(500℃程度)であり、外炎は、高温(1400〜1500℃程度)である。内炎と外炎との間は、さらに高温で1800℃程度となる。従って、処理条件に応じた設定をすることができる。
また、熱処理工程において、水素と酸素の混合比及び供給量を適宜に設定することによって還元雰囲気(水素リッチ)あるいは酸化雰囲気(酸素リッチ)を容易に設定できる。
また、燃料となる水素と酸素を水の電気分解によって得るので、水(H2O)の化学量論組成比である2mol:1molの水素及び酸素の混合ガスを容易に得ることができ、この混合ガスに別途酸素もしくは水素を添加することで、還元雰囲気(水素リッチ)あるいは酸化雰囲気(酸素リッチ)を容易に設定できる。
また、火炎温度の調整も容易である。更に、必要により不活性ガスを導入し、もしくは原料ガスの流量を調整して火炎状態(温度、ガス圧力など)を調整することができる。
また、ガスバーナーのノズル形状などを調整することによって所望の温度プロファイルを得ることが容易である。
このようなガスバーナーを用いた処理は、生産性が高く、また、安価に処理を行うことができる。また、火炎の原料ガスが水素や酸素など、クリーンなエネルギーであり、主生成物が水であるため、環境負荷(環境破壊)を低減できる。
(半導体装置の製造方法)
本発明の実施例では、上述した半導体製造装置を使用して、水素火炎処理を行なう。ここでは、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーを用いて、シリコン膜(半導体膜、半導体層)への加熱処理による再結晶化を行う。
本発明の実施例では、上述した半導体製造装置を使用して、水素火炎処理を行なう。ここでは、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーを用いて、シリコン膜(半導体膜、半導体層)への加熱処理による再結晶化を行う。
即ち、図10に示すように、ガラス基板100上に下地保護膜101を形成し、さらに、その上部に半導体膜として例えばシリコン膜102を形成した後、シリコン膜102に水素火炎処理を施し、シリコンを再結晶化し、多結晶シリコン膜102aとする。
即ち、基板100をステージ部51(図1等参照)に搭載し、ガスバーナー22を基板100(シリコン膜102)上に走査することによって熱処理を施しシリコン膜102を再結晶化する。この際、多結晶シリコン膜102aの表面が酸化され、酸化シリコン膜が形成される。図10は、本発明者らの検討した半導体製造工程を示す工程断面図である。
ここで、本発明者らが検討したところ、多結晶シリコン膜102aや酸化シリコン膜の表面および膜中に鉄(Fe)などの金属汚染が確認された。これは、ガスバーナーのノズルを構成する鉄合金(SUS)からの汚染が一要因であると考えられる。
そこで、本発明の半導体装置の製造方法においては、キャップ絶縁膜を介して水素火炎処理を施すことにより金属汚染の低減を図ることとした。本発明にかかる半導体装置の製造方法の一例として、TFT(薄膜トランジスタ、Thin Film Transistor)の製造工程を、図11を参照して説明する。図11は、本実施の形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図11(A)に示すように、ガラス基板(基板、石英基板、透明基板、絶縁性基板)100を準備する。ガラス基板は、液晶表示装置等に用いられ、装置によっては大面積の基板が用いられる。この基板100上に、下地保護膜(下地酸化膜、下地絶縁膜)101として例えば酸化シリコン膜を形成する。この酸化シリコン膜は、TEOS(tetra ethyl ortho silicate、テトラエトキシシラン)および酸素ガスなどを原料ガスとして、例えばプラズマCVD(chemical vapor deposition、化学気相成長)法を用いて形成する。
次いで、下地保護膜101上に半導体膜として例えばアモルファス状のシリコン膜102を形成する。このシリコン膜102は、例えば、SiH4(モノシラン)ガスを用いたCVD法で形成する。
次に、図11(B)に示すように、シリコン膜102の表面にキャップ絶縁膜(被覆膜、カバー膜、第1膜)103として、例えば酸化シリコン膜を形成する。この酸化シリコン膜は、例えば、TEOSおよび酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法を用いて形成する。
次いで、図11(C)に示すように、シリコン膜102に対し、キャップ絶縁膜103を介して水素火炎処理を施す。即ち、基板100をステージ部51(図1等参照)に搭載し、ガスバーナー22を基板100(キャップ絶縁膜103)上に走査することによって熱処理を施しシリコン膜102を再結晶化する。シリコン膜102を再結晶化して多結晶シリコン膜102aとする。この際、多結晶シリコン膜102aとキャップ絶縁膜103との界面が僅かに酸化されることがある。
本発明者らの実験によれば、例えば、基板とバーナーとのギャップ(Gap)が50mm、走査速度50mm/s、水素および酸素等の流量比H2/O2/Ar=170/40/0SLM〔単位:L/min〕で、シリコン膜の表面に熱処理を施したところ(a)膜厚約100nmのキャップ絶縁膜103を形成した後、上記ガスバーナー22による熱処理を施した場合は、Fe濃度を約0.2ppmに抑制することができた。また、(b)キャップ絶縁膜103を形成しない場合と比較し、Fe濃度を低減することができた。特に、本発明者らの実験によれば、上記(b)の場合において、膜表面の洗浄を行った後も汚染物質の低減が見られなかった。よって、キャップ絶縁膜103による汚染の低減効果は大きいと思われる。
次に、キャップ絶縁膜103をエッチングにより除去する。次いで、多結晶シリコン膜102a上に、図示しないフォトレジスト膜(以下、単に「レジスト膜」という)を形成し、露光および現像(フォトリソグラフィー)することにより、島状にレジスト膜(マスク膜、レジストマスク)を残存させる。次いで、かかるレジスト膜をマスクに、シリコン膜102をエッチングし、半導体素子領域(島状領域)を形成する。次いで、レジスト膜を除去する。以下、このフォトリソグラフィー、エッチングおよびレジスト膜の除去の処理をパターニングと言う。なお、多結晶シリコン膜102aのパターニングの後、キャップ絶縁膜103をエッチング(除去)してもよい。
次いで、ゲート絶縁膜104として例えば熱酸化もしくはCVD法により酸化シリコン膜を形成する(図11(D))。次いで、図11(E)に示すように、ゲート絶縁膜104上に、導電性膜として例えばAl(アルミニウム)等の金属材料を例えばスパッタ法により形成する。次に、導電性膜を所望の形状にパターニングし、ゲート電極(ゲート電極配線)Gを形成する。導電性膜としては、Alの他、Ta(タンタル)等の高融点金属を用いてもよい。また、ゾルゲル法やMOD(Metal-organic decomposition 、有機金属堆積法)法を用いて導電性膜を形成してもよい。即ち、金属化合物溶液を塗布および焼成することで、導電性膜を形成してもよい。この際、液滴吐出法により、ゲート電極のパターンに応じて上記溶液を塗布し、焼成することができる。この場合、パターニング工程を省略できる。
次いで、図11(F)に示すように、ゲート電極Gをマスクとしてシリコン膜102中に、不純物イオンを打ち込む(ドープする、注入する)ことにより、ソース、ドレイン領域105a、105bを形成する。なお、105a、105bのうち、いずれか一方がソース領域となり、他方がドレイン領域となる。また、不純物イオンは、n型半導体層を形成する場合には、例えば、PH3(リン化水素、Phosphine)を、p型半導体層を形成する場合には、例えば、B2H6(ジボラン)をイオン打ち込みする。その後、熱処理を行ない、不純物イオンを活性化する。
次いで、ゲート電極G上に、層間絶縁膜106を形成する。この層間絶縁膜106は、例えば、TEOSおよび酸素ガスなどを原料ガスとしたプラズマCVDにより形成することができる。また、ポリシラザン溶液などの絶縁性の液体材料を塗布し、熱処理を施す(焼成する)ことにより形成してもよい。ポリシラザン溶液を用いた場合、その焼成により酸化シリコン膜が形成される。ポリシラザン溶液とは、ポリシラザンを有機溶媒(例えばキシレン溶液)に溶かしたものである。
次いで、層間絶縁膜106をパターニングすることにより、ソース、ドレイン領域105a、105b上にコンタクトホールを形成する。
次いで、このコンタクトホールの内部を含む層間絶縁膜106上に、導電性膜107として例えばITO(インジウム・スズ酸化膜)をスパッタリング法を用いて形成する。導電性膜107としては、ITOの他、例えばAl、Mo(モリブデン)もしくはCu(銅)等の金属材料を用いてもよい。また、ゾルゲル法やMOD法を用いて導電性膜107を形成してもよい。
次いで、導電性膜107を所望の形状にパターニングし、ソース、ドレイン電極(ソース、ドレイン引き出し電極、引き出し配線)107a、107bを形成する。なお、107a、107bのうち、いずれか一方がソース電極となり、他方がドレイン電極となる。
以上の工程によって、TFTがほぼ完成する。当該TFTは、例えば、液晶表示装置、電気泳動装置や有機EL(electroluminescence)装置などの画素電極の駆動素子、また、画素領域周辺の論理回路として使用される。また、メモリを構成する素子として、また、メモリを駆動する論理回路等として使用される。
なお、本製造方法においては、シリコン膜102に水素火炎処理を施した後、パターニングを行なったが、シリコン膜102をパターニングした後、キャップ絶縁膜103を形成し、水素火炎処理を施してもよい。
このように、上記製造方法によれば、シリコン膜102に対し、キャップ絶縁膜(絶縁膜)103を介して水素火炎による熱処理を施したので、シリコン膜102の汚染、特に、金属汚染を低減することができる。
なお、上記製造方法においては、キャップ絶縁膜103として酸化シリコン膜を用いたが、酸窒化シリコン膜や窒化シリコン膜等の他の絶縁膜を用いてもよい。このように、窒素の含有率が高くなると膜がより緻密となるため、より汚染低減効果が向上すると思われる。
また、ガスバーナーのノズルを、例えば、金属含有量の少ない材料、例えば、石英ガラスやセラミック材料などで構成することも金属汚染の低減対策として有効であると思われる。
また、混合ガスに窒素を混入しつつ、シリコン膜102の表面に酸窒化膜を形成しながら水素火炎処理を行ってもよい。この場合、初期の金属汚染低減効果が減じるが、処理が進むにつれ酸化膜より緻密な酸窒化膜がシリコン膜102の表面に形成されるため、金属汚染の低減を図ることができる。
また、水素火炎処理によれば、火炎中もしくは火炎の周囲には、原料ガス(O2、H2)や燃焼による生成物であるH2O(水蒸気)の他、酸素ラジカル(O*)、水素ラジカル(H*)、水酸基ラジカル(OH*)が存在する。また、燃焼ガス中に生じた水蒸気の電離によって水素と酸素とが生じる。あるいは、完全に燃焼されない水素および酸素ガスも存在する。よって、これらの反応活性種、原子もしくは分子等によりシリコンのタングリングボンドの終端(膜の改質)を図ることができる。これは、水素火炎処理のメリットの一つである。
かかる反応活性種、原子および分子は、絶縁膜等を介して進入可能である。特に、水素原子、水素ラジカル、水素分子等は、分子(原子)サイズが小さいため、拡散係数が大きい。従って、シリコンのタングリングボンドの終端に寄与し易い。
このように、キャップ絶縁膜を介して水素火炎処理を行っても、シリコンのタングリングボンドの終端を図ることができる。また、水素リッチな処理を行えば、シリコンのタングリングボンドの終端効果の促進を図ることができる。水素リッチとは、供給ガスである水素ガス(H2)、酸素ガス(O2)の比率を、水(H2O)の化学量論組成である2mol:1molより水素の組成比を大きくすることである。
なお、上記製造方法においては、TFTを例に説明したが、半導体膜(シリコン膜)を有する半導体素子に広く適用可能である。また、上記製造方法においては、シリコン膜102の再結晶化の際の水素火炎処理を例に説明したが、当該処理は他の熱処理として利用することも可能である。例えば、不純物イオンの活性化熱処理、また、層間絶縁膜(ポリシラザン)の焼成、ゾルゲル法もしくはMOD法の際の熱処理など、を水素火炎処理により行なうことができる。よって、これらの熱処理の前にキャップ絶縁膜を形成し、かかる膜を介して水素火炎処理を行うことにより、汚染の低減を図ることができる。
また、上記発明の実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。
(電気光学装置および電子機器の説明)
次に、前述の実施の形態で説明した方法で形成される半導体装置(例えばTFT)が使用される電気光学装置(電子機器)について説明する。
次に、前述の実施の形態で説明した方法で形成される半導体装置(例えばTFT)が使用される電気光学装置(電子機器)について説明する。
前述の半導体装置(例えばTFT)は、例えば、電気光学装置(表示装置)の駆動素子として用いられる。図12に、電気光学装置を用いた電子機器の例を示す。図12(A)は携帯電話への適用例であり、図12(B)は、ビデオカメラへの適用例である。また、図12(C)は、テレビジョンへ(TV)の適用例であり、図12(D)は、ロールアップ式テレビジョンへの適用例である。
図12(A)に示すように、携帯電話530には、アンテナ部531、音声出力部532、音声入力部533、操作部534および電気光学装置(表示部)500を備えている。この電気光学装置に、本発明により形成された半導体装置を使用する(組み込む)ことができる。
図12(B)に示すように、ビデオカメラ540には、受像部541、操作部542、音声入力部543および電気光学装置(表示部)500を備えている。この電気光学装置に、本発明により形成された半導体装置を使用する(組み込む)ことができる。
図12(C)に示すように、テレビジョン550は、電気光学装置(表示部)500を備えている。この電気光学装置に、本発明により形成された半導体装置を使用する(組み込む)ことができる。なお、パーソナルコンピュータ等に用いられるモニタ装置(電気光学装置)にも、本発明により形成された半導体装置を使用する(組み込む)ことができる。
図12(D)に示すように、ロールアップ式テレビジョン560は、電気光学装置(表示部)500を備えている。この電気光学装置に、本発明により形成された半導体装置を使用する(組み込む)ことができる。
なお、電気光学装置(電子機器)には、上記の他、大型スクリーン、パーソナルコンピュータ、携帯型情報機器(いわゆるPDA、電子手帳)等、さらには、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイなど、各種のものが含まれる。
11…水タンク、12…電気分解槽、15…ガスコントローラ、21…チャンバ(処理室)、22…ガスバーナー、22a…導気管、22b…遮蔽器、22c…燃焼室、22d…ノズル、22e…流出口、51…ステージ部、100…ガラス基板(基板)、101…下地保護膜、102…シリコン膜、102a…多結晶シリコン膜、103…キャップ絶縁膜、104…ゲート絶縁膜、105a、105b…ソース、ドレイン領域、106…層間絶縁膜、107a、107b…ソース、ドレイン電極、500…電気光学装置、530…携帯電話、531…アンテナ部、532…音声出力部、533…音声入力部、534…操作部、540…ビデオカメラ、541…受像部、542…操作部、543…音声入力部、550…テレビジョン、560…ロールアップ式テレビジョン、G…ゲート電極
Claims (8)
- (a)基板上に半導体膜を形成する工程と、
(b)前記半導体膜上に第1膜を形成する工程と、
(c)前記半導体膜に対し、前記第1膜を介して水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーの火炎を走査することにより、前記半導体膜を再結晶化する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記半導体膜はシリコン膜であり、前記第1膜は酸化シリコン膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
- 前記火炎は、金属を含有する材料より成るノズルから放射されることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
- 前記(c)工程は、前記水素及び酸素の混合ガス比を水(H2O)の化学量論組成比である2mol:1molより水素の組成比が大きい状態で行う処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記(c)工程に先立って、前記半導体膜をエッチング法によりパターニングする工程を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記(c)工程は、前記ガスバーナーの火炎を直線状に形成し、該直線状火炎によって前記半導体膜を相対的に走査することによって行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記ガスバーナーと前記基板との距離を調整して前記半導体膜が曝される火炎の温度あるいは圧力を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
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