JP2007141885A - 半導体装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、エッチングマスクの除去とゲート絶縁膜の形成工程を低コスト且つ迅速に行うことができ、高品質の半導体装置を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、半導体層(103)上にエッチングマスク(104)を形成する第1工程と、エッチングマスク(104)を介したエッチングにより、半導体層(103)をパターニングする第2工程と、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナー(22)の火炎を熱源とする熱処理によって、エッチングマスク(104)を除去し、半導体層(103)表面に酸化膜(105)を形成する第3工程と、を含む半導体装置の製造方法を提供するものである。
【選択図】図10

Description

本発明は半導体装置の製造方法および電子機器に関する。
従来、薄膜トランジスタ(TFT)の製造過程においては、半導体膜上に所望のパターンでエッチングマスクを形成し、エッチング法によって当該半導体膜をパターニングする方法が広く用いられている。半導体膜をパターニングした後はエッチングマスクを薬液等によって除去し、半導体膜上にCVD法や熱酸化法等によってゲート絶縁膜を形成する。絶縁膜形成後は、膜質向上のために水素プラズマや高圧水蒸気アニール法で処理する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3等を参照)。
特開平6−13407号公報 特開平11−135492号公報 特開平4−284630号公報
しかしながら、上述のような方法によれば、エッチングマスクを薬液により除去する際、廃液の処理が問題となる。
また、ゲート絶縁膜を熱酸化法で形成する場合、800℃以上の高温にする必要があるため、安価なガラス基板を用いて製造ことができない。CVD法によれば低温で行うことができるものの、ゲート絶縁膜と半導体層との界面に荷電粒子が巻き込まれる結果、膜中に欠陥が生じ、界面準位が高くなりやすい。高圧水蒸気アニール法を用いれば欠陥が軽減され、絶縁膜と半導体膜との界面も良質なものとされるが、この方法は高価な装置が必要とされ、処理に時間もかかるため生産性が低くなる傾向がある。
そこで、本発明は、エッチングマスクの除去とゲート絶縁膜の形成工程を低コスト且つ迅速に行うことができ、高品質の半導体装置を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体層上にエッチングマスクを形成する第1工程と、前記エッチングマスクを介したエッチングにより、前記半導体層をパターニングする第2工程と、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーの火炎を熱源とする熱処理によって、前記エッチングマスクを除去し、前記半導体層表面に酸化膜を形成する第3工程を含むことを特徴とする。
かかる構成とすることにより、エッチングマスクの除去とゲート絶縁膜としての酸化膜を、ガスバーナーによる熱処理によって行うことができるので半導体装置の製造工程が高速化される。また、ガスバーナーによって酸化膜を形成すれば、半導体層とゲート絶縁膜の界面に荷電粒子により欠陥が生じるのを防ぐことができるので、界面の質を良好なものとすることができる。さらに、ガスバーナーを用いることによって熱源の大型化が可能となり、大掛かりな装置を必要とせずに、大型基板の熱処理が可能となる。燃料となる水素と酸素は水から得られるので、燃料の入手が容易で安価であるという効果も得ることができる。
好ましくは、上記第3工程において、エッチングマスクの除去と、酸化膜の形成とを、同一条件の熱処理で行う。エッチングマスクの除去と、酸化膜の形成のいずれにも適した条件を選択して、これらを連続的に行えば、操作も簡略となり、半導体装置の製造をより迅速に行うことが可能である。
また、好ましくは、上記第3工程において、エッチングマスクの除去と、酸化膜の形成とを、異なる条件の熱処理で行う。エッチングマスク及び酸化膜それぞれの熱処理に最適な条件を選択することによって、より高品質にすることができるとともに、エネルギーの浪費も抑えることができる。
好ましくは、エッチングマスクを除去する工程は、前記酸化膜を形成する工程よりも低温で行う。酸化膜の形成はある程度高温で行う必要があるところ、一般にエッチングマスクは有機物等で形成されるので、一定上の温度に達すると焦げ付き等を生じる可能性がある。従って、エッチングマスクの除去工程を酸化膜形成工程より低温で行うことにより、エッチングマスクを焦げ付かせることなく好適に除去することができ、エネルギーの浪費を抑えることができる。
好ましくは、混合ガスの流量を変更することによって、火炎による基板の温度上昇を調整する。流量を少なくすることにより、基板の温度上昇を緩和することができる。
好ましくは、混合ガス中に不活性ガスを加えることによって、火炎による基板の温度上昇を調整する。不活性ガスを加えることによって、基板の温度上昇を緩和することができる。
好ましくは、ガスバーナーと前記基板との距離を調整することによって、火炎による該基板の温度上昇を調整する。ガスバーナーと基板との距離を大きくすることによって、基板の温度上昇を緩和することができる。
好ましくは、火炎を走査させる速度を変更することによって、火炎による基板の温度上昇を調整する。火炎を走査させる速度をより速くすることによって、基板の温度上昇を緩和することができる。
好ましくは、上記第3工程に続けて、水素及び酸素の混合ガスを水素過剰に設定して上記火炎を熱源とする熱処理を行い、半導体層及び酸化膜の膜質を改善する工程をさらに行う。これにより、再結晶化と同時に半導体層の原子間不対結合(ダングリングボンド)が水素原子によって終端され、電荷のトラップ密度を減少させることができる。
好ましくは、上記熱処理は、ガスバーナーの火炎を直線状に形成し、直線状火炎によって半導体層を相対的に走査することによって行われる。これによって、大面積の半導体基板を効率よく熱処理することが可能となる。
好ましくは、ガスバーナーが、混合ガスを導出する導気管と、前記導気管を覆って混合ガスを燃焼させる燃焼室と燃焼ガスを排出するノズル部とを含む遮蔽器と、を含む。これにより、ノズルによって燃焼ガス(火炎)排出状態をコントロールすることが可能となる。
好ましくは、上記導気管に一定のピッチで複数の開口部が形成され、該導気管を往復動あるいは回転動させる。これにより、均一な燃焼ガスを半導体基板に照射することが可能となる。
好ましくは、上記基板及びガスバーナーをチャンバで覆い、上記チャンバ内に不活性ガスを導入してチャンバ内の圧力を調整可能とする。また、加熱された半導体基板の酸化を抑制することが可能となる。
好ましくは、上記熱処理を行う前に基板を予熱する工程を含む。これによって、急激な温度差による基板のヒートショックを防止する。基板の予熱は、例えば、載置台に組み込まれた電気ヒーターによって行うことができる。
また、本発明の電子機器は上述した半導体の製造方法を使用して製造される半導体を備える。これにより、信頼性の高い電子機器を低コストにかつ迅速に得ることが可能となる。
また、本発明の電子機器は、上述した半導体の製造方法を使用して製作した表示器を含むものであり、ここで、電子機器には、ビデオカメラ、テレビ、大型スクリーン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、携帯型情報機器(いわゆるPDA)、その他各種のものが含まれる。
本発明の実施例では、水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーを用いてシリコン層(半導体層)上に形成されたエッチングマスクを除去し、続けてガスバーナーにより当該半導体膜表面に酸化シリコン膜を形成し、シリコン層及び酸化シリコン膜を改質する。水素と酸素との混合比や流量、圧力等を調節して、混合ガスを水素リッチ(水素過剰)状態や酸素リッチ(酸素過剰)状態に適宜に設定する。設定に応じて燃焼ガス中には、水蒸気ガス、水素、酸素が含まれる。
水素及び酸素を高濃度に含む混合ガスを燃焼させることにより、H・、OH・、O・、O2・等のラジカル種が発生し、これらと反応することによってレジスト膜が除去される。レジスト膜が除去され、シリコン層が露出した後、混合ガスを酸素リッチな状態に設定することによって当該シリコン膜表面における酸化シリコン膜の形成が促進される。
エッチングマスクの除去工程においては、基板が比較的低温(例えば300℃以下)に維持されるように温度を調整し、酸化シリコン膜を形成する工程においては、基板がより高温になるように調整する。
また、混合ガスを水素リッチな状態に設定することにより、シリコン薄膜中に水素が導入されることによってシリコン原子のダングリングボンドを終端し、電気的に不活性化することが可能となる(水素化処理)。これにより、シリコン薄膜中のキャリアトラップ密度を低減し、キャリア移動度が向上される。混合ガスを水素リッチな状態に設定して火炎を照射することにより、酸化シリコン膜も同時に改質され、酸化シリコン膜とシリコン層の界面も良好となる。
(半導体製造装置)
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法に用いられる半導体製造装置について図1を参照して説明する。
図1において、水タンク11には純水が蓄えられおり、電気分解槽(電気分解装置)12に水を供給する。水は電気分解槽12によって電気分解されて水素ガス及び酸素ガスに分離される。分離された水素ガス及び酸素ガスはガスコントローラ15に供給される。ガスコントローラ15はコンピュータシステムと調圧弁、流量調整弁、各種センサ等によって構成されており、予め設定されたプログラムに従って下流のガスバーナー22に供給する水素ガス及び酸素ガス(混合ガス)の供給量、供給圧力、両ガスの混合比等を調整する。
ここで、混合ガスの供給量が増大すれば、半導体基板100の温度上昇の速度はより速くなり、供給量を減少させれば、温度上昇が抑制される。このようにガスコントローラ15を制御することによって、半導体基板100の温度を調整することも可能である。
また、ガスコントローラ15は図示しないガス貯蔵タンクから供給される、水素ガス、酸素ガスを更に混合ガスに導入することができる。これにより、混合ガスの水素・酸素ガス比率を化学量論組成からずらし、水素過剰あるいは酸素過剰な混合ガスを得る。
また、ガスコントローラ15は、図示しないガス貯蔵タンクから供給される、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)等の不活性ガスを更に上記混合ガスに導入することができる。これにより、ガスバーナー22の火炎温度(燃焼温度)や火炎状態の制御を行っている。混合ガス中に、不活性ガスを混入させると、混入させない場合に比較して、半導体基板100の温度上昇が抑制される。
上述した水タンク11、電気分解槽12、ガスコントローラ15は燃料(原料)供給部を構成する。
ガスコントローラ15の下流には閉空間を形成するチャンバ21が配置されている。チャンバ21には、熱処理の火炎を発生するガスバーナー22、処理対象の半導体基板100を載置してガスバーナー22に対して相対的に移動可能とするステージ部51等が配置されている。
チャンバ21内の雰囲気は、これに限定されないが、例えば、内部圧力が大気圧〜0.5MPa程度、内部温度が室温〜100℃程度に設定可能になされている。例えば、水蒸気アニールに好適な条件に設定することができる。チャンバ21内の気圧を所望状態に保つために、既述アルゴンなどの不活性ガスをチャンバ21内に導入することができる。
ステージ部51はパーティクル防止のために基板を載置した台を一定速度で移動する機構が設けられている。また、急激な温度差等による半導体基板100のヒートショックを防止するため、半導体基板100の載置台に加熱(予熱)や冷却を行う機構が設けられており、外部の温度調節部52によってこの温度制御がなされる。加熱には電気ヒーター機構、冷却には冷却ガスや冷却水を用いる冷却機構などが用いられる。
図2の平面図に示すように、ガスバーナー22はステージ部51の幅(図示の上下方向)よりも大きい長手部材によって形成されている。ガスバーナー22の長手方向と直交する方向にステージ部51を移動することにより、あるいはガスバーナー22を移動することによって、ガスバーナー22が半導体基板100を走査するように構成されている。ここで、走査速度を速くすれば、半導体基板100の温度上昇は緩和され、遅くすれば温度上昇の速度は速くなる。このように、ガスバーナー22の走査速度を制御することによっても、半導体基板100の温度を調整することが可能である。
図3に示すように、ガスバーナー22は、混合ガスを燃焼室に導出するガスの出口穴が設けられた導気管22a、導気管22aを囲む遮蔽器22b、遮蔽器22bによって囲まれて混合ガスが燃焼する燃焼室22c、燃焼ガスが遮蔽器22bから外方に出る出口となるノズル22d、導気管22aに設けられた混合ガスの流出口22eなどによって構成されている。ノズル22dと半導体基板100とのギャップを広く設定すると、燃焼ガスがノズルから放出される際に圧力が低下する。ノズル22dと半導体基板100とのギャップをせまく設定する(しぼる)と、燃焼ガスの圧力低下が抑制され、圧力は高くなる。従って、キャップを調整することによってガス圧力を調整することができる。加圧によって水蒸気アニール、水素アニール、酸素アニールなどを促進することができる。各種アニールは混合ガスの設定によって選択可能である。
後述するように、混合ガスの流出口22eを複数あるいは線状に形成することによって、ガスバーナー22の燃焼室22cの火炎(トーチ)形状を線状(長尺の火炎)、複数トーチ、等にすることができる。ガスバーナー22近傍の温度プロファイルは流出口22eや遮蔽器22bのノズル部22d等の設計により、好ましくは、火炎の走査方向において矩形となるように設定される。
図4は、ガスバーナー22の構成例を示している。同図(A)はガスバーナー22の短手方向における断面図、同図(B)はガスバーナー22の長手方向における部分断面図を示している。両図において、図3と対応する部分には同一符号を付している。
この例では、導気管22aを囲むように遮蔽器22bが形成されている。遮蔽器22bの下方がノズル22dとなっており、導気管22aの下方のノズル22d側にガス流出口22eが線状(長穴)に設けられている。なお、直線状のガス流出口22eの各部位の流出量を同じにするために穴の幅を場所に応じて変えるようにしてもよい。
図5は、ガスバーナー22の他の構成例を示している。同図(A)はガスバーナー22の短手方向における断面図、同図(B)はガスバーナー22の長手方向における部分断面図を示している。両図において、図3と対応する部分には同一符号を付している。
この例では、導気管22aを囲むように遮蔽器22bが形成されている。遮蔽器22bの下方がノズル22dとなっており、導気管22aの下方のノズル22d側に複数のガス流出口22eが等間隔で設けられている。この構成では燃焼室のガス密度を一様とし、ノズル22dから外部に流れるガス流量を均一にするために、導気管22aを図示の左右方向等移動するようにしている。なお、導気管22aを固定とし、ガス流出口22eの各部位の流出量を同じにするために、必要によりガス流出口22eの間隔を場所に応じて変えるようにしてもよい。
図6は、ガスバーナー22の他の構成例を示している。同図(A)はガスバーナー22の短手方向における断面図、同図(B)はガスバーナー22の長手方向における部分断面図を示している。両図において、図3と対応する部分には同一符号を付している。
この例でも、導気管22aを囲むように遮蔽器22bが形成されている。遮蔽器22bの下方がノズル22dとなっており、導気管22aの側面に複数のガス流出口22eが螺旋状に等間隔で設けられている。この構成では燃焼室のガス密度を一様とし、ノズル22dから外部に流れるガス流量を均一にするために、導気管22aを図示のように回転移動するようにしている。
図7はノズル22の高さ位置による流出ガス圧力を調整する例を示している。図7(A)に示すように、半導体基板100の表面からノズル22dを離間させることによって流出燃焼ガスの圧力を下げることができる。また、図7(B)に示すように、半導体基板100の表面にノズル22dを接近させることによって流出燃焼ガスの圧力を上げることができる。
図8はノズル22の姿勢の調整(例えば、回転角度及び位置の調整)による流出ガス圧力を調整する例を示している。この例では、図8(A)に示すように、ノズル部22dの流出口形状を片側に開放した形状としている。このため、ガスバーナー22が直立した状態では流出燃焼ガスの圧力を下げることができる。また、図7(B)に示すように、ガスバーナー22を回動あるいは傾斜させると、半導体基板100の表面にノズル22dの流出口が接近して流出燃焼ガスの圧力を上げることができる。
図9は、導気管22aと遮蔽器22bとの相対的な位置関係を可変としてノズル22dから流出する燃焼ガスの温度を調整可能とした例を示している。例えば、導気管22aが遮蔽器22b内でノズル22dに向かって進退可能である構造にして、燃焼室22cを移動し、熱源とノズル22d間の距離を変えることが可能となる。また、熱源と半導体基板間の距離調整が可能となる。
従って、同図(A)に示ように、導気管22aがノズル22dに相対的に接近する場合にはノズル22dから流出する燃焼ガスは相対的に高温になる。
また、同図(B)に示すように、導気管22aがノズル22dから相対的に離間する場合にはノズル22dから流出する燃焼ガスは相対的に低温になる。
このような構造は、ガスバーナー22と半導体基板100間のギャップを変えることなく、流出燃焼ガスの温度を調整することを可能とし、具合がよい。勿論、ガスバーナー22と半導体基板間のギャップを変えてガス温度を調整し、更に、導気管22aと遮蔽器22bとの相対的な位置関係を調整してガス温度を調整する構成とすることができる。
なお、図4乃至図9に示したガスバーナーの構造は、これらを適宜に組み合わせることが可能である。
例えば、図7に示す構成と図9に示す構成とを組み合わせることができる。図7に示すガスバーナー22全体を半導体基板100に対して接近あるいは離間する構成としてノズル部22dと半導体基板100間のギャップを調整可能とし、半導体基板100の表面温度を調節する。更に、図9に示すようにガスバーナー22内の導気管22aをノズル部22dに向かって進退可能とすることによって半導体基板100の表面温度を微調節する。これによって、半導体基板100の表面を目標とする熱処理温度とすることがより容易となる。
また、図7と図8に示す構成を組み合わせることができる。ガスバーナー22全体を半導体基板100に対して接近あるいは離間する構成としてノズル部22dと半導体基板100間のギャップを調整可能とし、半導体基板100の表面温度や火炎の圧力を調節する。更に、ガスバーナー22全体の半導体基板100に対する姿勢を調整することによって半導体基板100の表面温度や火炎の圧力を調節する。
また、図7と図8と図9に示す構成を組み合わせることができる。ガスバーナー22全体を半導体基板100に対して接近あるいは離間する構成としてノズル部22dと半導体基板100間のギャップを調整可能とし、半導体基板100の表面温度や火炎の圧力を粗調節する。更に、ガスバーナー22全体の半導体基板100に対する姿勢を調整することによって半導体基板100表面の火炎の圧力を調節する。更に、ガスバーナー22内の導気管22aをノズル部22dに向かって進退可能とすることによって半導体基板100の表面温度を微調節する。より正確な熱処理が可能となる。
また、図示していないが、ガスバーナー22のノズル部22dの遮蔽板を可動式として、ノズル開口(絞り)をガスバーナー22の走査方向において広狭に変更可能とすることができる。それにより、ガスバーナー22の走査方向における半導体基板100の被処理部部分の暴露時間、半導体基板100の熱処理の温度プロファイル、熱処理温度、火炎圧など調整することが可能となる。
以上説明した本発明の実施例の半導体製造装置は、半導体基板を横切るような長尺のガスバーナーを備えるので、窓ガラスのような大面積の基板の熱処理を行うことができる。また、燃料となる水素と酸素を水の電気分解によって得ることができるので、ガス材料の入手が容易でランニングコストが安価である。
また、熱処理工程において、水素と酸素の混合比及び供給量を適宜に設定することによって還元雰囲気あるいは酸化雰囲気を容易に設定出来る。火炎温度の調整も容易である。更に、必要により不活性ガスを導入して火炎状態(温度、ガス圧力など)を調整することができる。
また、ガスバーナーのノズル形状などを調整することによって所望の温度プロファイルを得ることが容易である。
(半導体装置の製造方法)
次に、上述した半導体製造装置を使用した、本発明にかかる半導体装置の製造方法の異例として、薄膜トランジスタ(以下TFTと称する)の製造工程を、図10を参照して説明する。
この実施例では、基板上に形成された半導体層(シリコン層)をレジストマスクを用いてパターニングした後、水素及び酸素の混合ガス雰囲気中で熱処理を行って当該レジストマスクを除去し、続けて酸素リッチな条件下で熱処理を行って半導体層表面にゲート絶縁膜となる酸化シリコン膜を形成し、さらに水素リッチな条件下で熱処理を行ってゲート絶縁膜と半導体層界面の改質を行っている。
まず、図10(A)に示すように、液晶表示器などに用いられる大面積のガラス基板101の上にCVD法などによって酸化シリコン膜等の下地膜102を形成し、続いて酸化下地膜102上に、半導体層103としてアモルファスシリコン膜を形成する。脱水素処理等の後処理を行った後、半導体層103を、レーザアニール法等の熱処理によって結晶化し、多結晶シリコン膜とする。尚、半導体層103の結晶化を、ガスバーナー22を用いた熱処理で行うこともできる。
次に、図10(B)に示すように半導体層103上に、エッチングマスク104としてのフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィー法によって、このフォトレジスト膜を所望のパターンにパターニングする。続いて、図10(C)に示すように、エッチング法により、エッチングマスク104のパターンに従って、半導体層103をパターニングする。
続いて、図1に示される半導体製造装置のチャンバ21内のステージ部51上に半導体基板100を載置し、図10(D)及び(E)に示されるように、ガスバーナー22による熱処理に供し、まず、エッチングマスク104を除去する。ノズル22dから流出する火炎(高温ガス)の走査方向における幅10mm、該火炎のガス圧0.1〜0.2MPaの低圧力の火炎のガスバーナーに、半導体層103を1m秒〜100m秒程度の短時間曝し、基板温度を約300度以下に維持する。このような条件であれば、焦げ付き等が生じることなくエッチングマスク104を除去することができる。また、薬液を使用してエッチングマスクを除去する場合と異なり、廃液の処理等が問題になることもない。
エッチングマスク104を除去する場合、混合ガスにおける水素と酸素の混合比率は、エッチングマスク104に対する反応性を有するラジカル種が十分に生成される限り、特に限定されないが、一般に、エッチングマスク104は、酸素ラジカルに対する反応性が高いことが知られているため、酸素リッチな条件に設定することが好ましい。従って、例えば、水素と酸素の混合比を、モル比で1:1〜1:2とすることができる。ガスバーナー22は半導体基板100よりも幅が広く(図2参照)、一走査で基板100全体を熱処理可能である。
ここで、基板温度を約300度以下に維持するために、基板温度をモニターし、温度が上昇したら、ガスバーナー22の基板100に対する走査速度を速くすることによって、基板100の温度上昇を抑制することができる。また、ガスコントローラ15を制御して混合ガスの流量を減少させたり、混合ガス中にArやHeといった不活性ガスを加えたりすることによっても、基板100の温度上昇を減速させることが可能である。また、ガスバーナー22と基板100との距離を大きくすることによっても、温度上昇を抑えることができる。
尚、エッチングマスク104が火炎中の酸素等のラジカル種と反応すると、副生成物としてCO2、CO、H2O等のラジカル種が産生され、これらのラジカル種が発光することが知られている。従って、この光を分光器で検出することによって、エッチングマスクが除去されたか否かを確認することができる。
ここで、エッチングマスク104の除去のために、ガスバーナー22による熱処理の後、水による洗浄工程を行ってもよい。水蒸気に暴露されたレジストは水溶性になることがあるので、水による洗浄工程によって、残留したエッチングマスク104をより良く除去することができる。
エッチングマスクが除去されたら、図10(E)及び(F)に示すように、ガスコントローラ15によって、混合ガス中の酸素濃度を上昇させ、水素と酸素との混合比率を、例えば1:1〜1:2として酸素リッチな雰囲気とし、半導体層100の表面に酸化シリコン膜105を形成する。酸化シリコン膜105を形成する際は、エッチングマスクを除去する場合よりも基板温度を上昇させ、例えば650℃以上とする。基板温度を上昇させる方法としては、例えばガスバーナー22の基板100に対する走査速度を遅くする、ガスコントローラ15により混合ガスの流量を増加させる、ガスバーナー22と基板100との距離を近づける、等の方法が挙げられる。また、エッチングマスク104を除去するときに、混合ガスに不活性ガスを添加することによって温度上昇を抑制していた場合は、不活性ガスの割合を減少させることによっても、基板100の温度を上昇させることができる。半導体層100は火炎の大きさに対して極めて薄いので、火炎を照射することによって、半導体層100の側面にも酸化シリコン膜105が形成される。
続いて、ガスコントローラ15によって、混合ガス中の水素濃度を上昇させ、水素と酸素の混合比率を、例えば2.5:1〜1.5:1程度に設定して水素リッチな雰囲気とし、さらに火炎により熱処理を行う。このとき、ガスバーナー22の火炎は水素が余剰な還元性ガス炎であり、半導体層103の加熱・再結晶化と共に、燃焼ガス中の余剰水素によってシリコン層中のダングリングボンドを減少させる。また、酸化シリコン膜105も改質され、半導体層103と酸化シリコン膜105の界面が良好な状態となる。これらによって結晶粒界等における電荷トラップ密度が減少し、後述するTFTの特性(キャリア移動度)が向上する。
尚、火炎の照射によって、酸化シリコン膜105より厚い酸化シリコン膜105が必要とされる場合は、火炎の照射によって形成された酸化シリコン膜105上に、CVD法等によって、酸化シリコン膜を積層形成することもできる。このようにCVD法によって酸化シリコン膜を積層しても、酸化シリコン膜105と半導体層103との界面は、火炎によって形成された良好な状態が保たれるので、高品質な半導体装置を得ることができる。
次に、図11(A)に示すように、酸化シリコン膜105上に、スパッタ法によってアルミニウムなどの金属材料を堆積し、これをパターニングしてゲート電極配線層106を形成する。なお、液体金属材料を液滴吐出法によってゲート電極配線パターンに沿って塗布し、乾燥させてゲート電極配線層106を得てもよい。
このゲート電極配線106をマスクとして半導体層103に高濃度の不純物イオン注入を行い、半導体層103にソース領域及びドレイン領域を形成する。
次に、図11(B)に示すように、上述したガスバーナー22による熱処理を再び行って、上記不純物を活性化させる。この熱処理では、好ましくはガスバーナー22の火炎を酸化性とする。酸化性火炎は混合ガスを酸素リッチとすることによって得られる。雰囲気中の酸素が半導体層103とシリコン酸化膜(ゲート絶縁層)105との界面等におけるシリコン原子のダングリングボンドに結合し、該シリコン原子を電気的に不活性にして、界面準位密度を減少させる。このため、この第2の熱処理においては、上述した半導体製造装置におけるプロセスパラメータは、例えば、ガスバーナー22の火炎を300〜600℃の低温に、火炎の吹き出し圧力を、例えば、1.0〜2.0MPaの高圧力に設定される。
この後、図11(C)に示すように、通常のTFT製造プロセスによってTFTを完成させる。すなわち、CVD法などによってシリコン酸化膜を成膜して層間絶縁層107を形成する。半導体層103のソース・ドレイン領域上の層間絶縁膜にコンタクトホールを開口する。このコンタクトホールを金属などの導電材料で埋設してソース/ドレイン電極108を形成し、基板全体にアルミニウムなどの配線材料を堆積し、パターニングしてTFT(半導体装置)を形成する。
図示された、TFTは、液晶表示器や電気泳動装置の画素電極の駆動素子、有機EL素子の駆動素子、論理回路の素子、記憶回路の素子、演算回路の素子等として使用される。
以上説明したように、本発明の実施例の半導体製造方法によれば、水素と酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーを用いた熱処理によって、安価かつ迅速な工程で、高品質な半導体装置を製造することができる。当該熱処理は、混合ガスの成分を変更したり、基板の温度上昇を制御したりすることにより、エッチングマスクの除去、ゲート絶縁膜の形成、半導体層及びゲート絶縁膜の改質のみならず、半導体層の結晶化や不純物の活性化にも用いることができる。
尚、上述の実施形態では、エッチングマスクの除去とゲート絶縁膜の形成では、異なる条件で火炎による熱処理を行ったが、同一の条件のまま一工程として行うことも可能である。
(電子機器)
図12は、本発明を用いて製造される電子機器の例を示している。典型的にはガラス基板や樹脂基板等の上にTFTを用いて形成された表示回路、駆動回路、記憶回路、演算処理回路などを含む電子機器が該当する。より具体的には、本発明に係る製造プロセスや半導体製造装置を用いて製作された液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等の画像表示器を備えるものが該当する。
図12に示す例では、本発明を用いて製造された半導体装置が画像の表示部500に使用されている携帯電話の例である。携帯電話530は、アンテナ部531、音声出力部532、音声入力部533、操作部534、及び本発明の電気泳動表示装置100を備えている。このように本発明の電気泳動表示装置10を携帯電話230の表示部として利用可能である。
上記例に限らず本発明は、画像表示や文字表示を行う種々の電子機器の製造に適用可能である。例えば、電子ペーパー、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなどにも活用することができる。
本発明の実施例の半導体の製造装置の例を示す説明図である。 実施例のガスバーナー22を説明する説明図である。 ガスバーナーを説明する説明図である。 ガスバーナーの構成例を説明する説明図である。 ガスバーナーの構成例を説明する説明図である。 ガスバーナーの構成例を説明する説明図である。 ガスバーナーの火炎を調整する例を説明する説明図である。 ガスバーナーの火炎を調整する例を説明する説明図である。 ガスバーナーの火炎の温度を調整する例を説明する説明図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法を説明する製造工程図である。 本発明に係る半導体装置の製造方法を説明する製造工程図である。 本発明の半導体装置を使用した電子機器の例を説明する説明図である。
符号の説明
11…水タンク、12…電気分解槽、15…ガスコントローラ、21…チャンバ、22…ガスバーナー、51…ステージ部、52…温度調節部、100…半導体基板、101…ガラス基板、102…下地膜、103…半導体層、104…エッチングマスク、105…酸化シリコン膜

Claims (15)

  1. 半導体装置の製造方法であって、
    半導体層上にエッチングマスクを形成する第1工程と、
    前記エッチングマスクを介したエッチングにより、前記半導体層をパターニングする第2工程と、
    水素及び酸素の混合ガスを燃料とするガスバーナーの火炎を熱源とする熱処理によって、前記エッチングマスクを除去し、前記半導体層表面に酸化膜を形成する第3工程と、を含む半導体装置の製造方法。
  2. 前記第3工程において、前記エッチングマスクの除去と、前記酸化膜の形成とを、同一条件の熱処理で行うことを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第3工程において、前記エッチングマスクの除去と、前記酸化膜の形成とを、異なる条件の熱処理で行うことを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記エッチングマスクを除去する工程は、前記酸化膜を形成する工程よりも低温で行うことを特徴とする、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記混合ガスの流量を変更することによって、前記火炎による前記基板の温度上昇を調整することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記混合ガス中に不活性ガスを加えることによって、前記火炎による前記基板の温度上昇を調整することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記ガスバーナーと前記基板との距離を調整することによって、前記火炎による該基板の温度上昇を調整することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記火炎を走査させる速度を変更することによって、前記火炎による前記基板の温度上昇を調整することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記第3工程に続けて、前記水素及び酸素の混合ガスを水素過剰に設定して前記火炎を熱源とする熱処理を行って、該半導体層及び該酸化膜の膜質を改善する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記熱処理は、前記ガスバーナーの火炎を直線状に形成し、該直線状火炎によって前記半導体層を相対的に走査することによって行うことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記ガスバーナーが、混合ガスを導出する導気管と、前記導気管を覆って混合ガスを燃焼させる燃焼室と燃焼ガスを排出するノズル部とを含む遮蔽器と、を含むように構成することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記導気管に一定のピッチで複数の開口部を形成して、該導気管を往復動あるいは回転動させることを特徴とする、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記基板及びガスバーナーをチャンバで覆い、
    前記チャンバ内に不活性ガスを導入してチャンバ内の圧力を調整することを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記熱処理を行う前に前記基板を予熱する工程を含む、請求項1から13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置を備える電子機器。

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