JP2008095510A - 内燃機関の吸気通路構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 吸気通路の下流側接続部の手前に配設した気流制御弁で、燃焼室内に旋回気流を安定的に生成することが可能な内燃機関の吸気通路構造を提供する。
【解決手段】 燃焼室54内にタンブル流Tを生成するための気流制御弁1を、インマニ通路の下流側開口部の手前に備えた内燃機関の吸気通路構造100Aであって、インマニ通路の壁面のうち、気流制御弁1が閉弁しているときにこの気流制御弁1とともに流路を形成する上側壁面における流路の下流側の部分に、平滑でない面Sが形成されている。平滑でない面Sは、流路を流通する吸気の流れと略直交する方向に、この吸気の流れに対応する範囲に亘って延伸する溝21Aによって形成されている。気流制御弁1で偏流された吸気は、溝21Aで形成した平滑でない面Sを通過する際に強制的に剥離され、剥離された吸気は急激に吸気ポート10の壁面に再付着することを抑制される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関の吸気通路構造に関し、特に吸気通路の下流側開口部の手前に気流制御弁を備えた内燃機関の吸気通路構造に関する。
従来、内燃機関の吸気通路構造において、吸気通路の壁面に種々の形状を施して種々の作用効果を得る技術が提案されている。例えば特許文献1では、吸気ポートの下側壁面のうち、バルブシート上流側直近の部分にエッジ部を備え、このエッジ部で吸気を剥離することによってタンブル流を効果的に生成する技術が提案されている。また特許文献2では、吸気ポート中を流れる吸気流に交差する方向に微小渦発生用の凹部を形成し、この凹部で吸気に微小な渦を含ませることによって燃料と空気の混合の均一性を高める技術が提案されている。
特開平11−148368号公報 特開平10−169451号公報
ところで気流制御弁が吸気通路の下流側開口部の手前に配設されている場合には、以下に示すような問題があった。図8は吸気通路の接続部における吸気の流動態様を模式的に示す図である。具体的には図8では、吸気通路の接続部として、上流側吸気通路部材B1に形成された吸気通路(以下、単に上流側吸気通路と称す)の下流側開口部と、下流側吸気通路部材B2に形成された吸気通路(以下、単に下流側吸気通路と称す)の上流側開口部とが接続された状態を示している。吸気通路の接続部においては、図8(a)に示すように下流側吸気通路の上流側開口部の壁面が、上流側吸気通路の下流側開口部の壁面よりも上流側から見て吸気通路中心側に突出すると、吸気の流通を阻害するような段差が生じる。さらに、気流制御弁1で偏流された吸気がこの段差を通過する場合には、たとえこの段差が比較的小さい場合であっても吸気の流速が高まっていることから、偏流された吸気の流れが跳ね上がるようにして吸気通路中心側に広がってしまい易い。このため、一般には気流制御弁1の有無に関わらず、下流側吸気通路の上流側開口部のほうが、上流側吸気通路の下流側開口部よりも大きくなるように上流側開口部を形成する。これにより、図8(b)に示すように段差は上流側から見て吸気通路を拡大するように形成されるため、接続部において吸気の流通が阻害され難くなる。
しかしながら、係る段差は製造及び組付誤差等に起因してその位置や大きさがばらつくとともに、大きく形成されることがある。これに対して係る段差は、許容公差の範囲内で形成される段差であることから、一般には好ましいとはいえないものの許容範囲内のものであるといえる。ところが、気流制御弁1で偏流された吸気が係る大きな段差を通過する場合には、特に吸気の流速が高まっているために、段差を通過した吸気の一部が境界層のせん断力によって急激に下流側吸気通路の壁面に再付着し、その後巻き戻されるようにして段差後方で比較的大きな渦に生成されてしまう。そしてこの渦はばらつきをもって生成されることから、段差を通過した吸気が下流側吸気通路の壁面に再付着する位置を変動させるように作用したり(図8(c)参照)、段差を通過した吸気を吸気通路中心側に向かって広げるように作用したりしてしまう(図8(d)参照)。すなわち、気流制御弁が吸気通路の下流側接続部の手前に配設されている場合には、上記の現象によって気流制御弁で偏流された吸気が燃焼室に安定して流入しないことから、燃焼室内で生成される旋回気流の強度がばらついてしまうという問題があった。
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、吸気通路の下流側接続部の手前に配設した気流制御弁で、燃焼室内に旋回気流を安定的に生成することが可能な内燃機関の吸気通路構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼室内に旋回気流を生成するための気流制御弁を、吸気通路の下流側接続部の手前に備えた内燃機関の吸気通路構造であって、前記吸気通路の壁面のうち、前記気流制御弁が閉弁しているときに該気流制御弁とともに流路を形成する壁面における前記流路の下流側の部分に、平滑でない面が形成されていることを特徴とする。本発明によれば、気流制御弁で偏流された吸気が上記の平滑でない面で強制的に剥離されることから、段差を通過した吸気の一部が吸気通路に急激に再付着することを抑制できる。これにより段差を通過した吸気が下流側吸気通路の壁面に再付着する位置をより後方に安定させることができることから、本発明によれば、燃焼室内に旋回気流を安定的に生成することができる。
また本発明は、前記平滑でない面が、前記流路を流通する吸気の流れと略直交する方向に、該吸気の流れに対応する範囲に亘って形成されていてもよい。上記の平滑でない面は、具体的には本発明のように気流制御弁で偏流されるとともに流速が高められた吸気の流れに対応する範囲に亘って形成されていることが好ましい。なお、上記の平滑でない面は、気流制御弁で偏流された吸気を強制的に剥離可能な程度の粗さを有していればよく、具体的には例えば上記の範囲に亘って延伸した溝や、上記の範囲に亘って延伸した突起や、上記の範囲に亘って分布した複数の窪みや、これらの組み合わせなどで形成されることが好ましい。
本発明によれば、吸気通路の下流側接続部の手前に配設した気流制御弁で、燃焼室内に旋回気流を安定的に生成することが可能な内燃機関の吸気通路構造を提供可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る内燃機関の吸気通路構造(以下、単に吸気通路構造と称す)100Aを内燃機関50の要部とともに模式的に示す図である。具体的には、図1(a)では、内燃機関50の要部として、シリンダブロック51と、シリンダヘッド52Aと、ピストン53とともに吸気通路構造100Aを示し、図1(b)では、形状の理解を容易にすべく気流制御弁1の外観を示すとともに各部の名称を示している。内燃機関50は所謂ポート噴射式のガソリンエンジンである。但し、これに限られず、本発明を適用可能な内燃機関であれば、ポート噴射式のガソリンエンジンの代わりにその他の内燃機関を適用してもよい。また、内燃機関50は直列4気筒の気筒配列構造を有しているが、これに限られず適宜の気筒配列及び気筒数であってよい。また、本実施例では内燃機関50に関し、各気筒の代表としてシリンダ51aについて要部を示しているが他の気筒についても同様の構造となっている。
内燃機関50は、シリンダブロック51、シリンダヘッド52、ピストン53等を有して構成されている。シリンダブロック51には、略円筒状のシリンダ51aが形成されている。シリンダ51a内には、ピストン53が収容されている。シリンダブロック51の上面にはシリンダヘッド52が固定されている。燃焼室54は、シリンダブロック51、シリンダヘッド52及びシリンダ53に囲まれた空間として形成されている。シリンダヘッド52には、燃焼室54に吸気を導くための吸気ポート10のほか、燃焼したガスを燃焼室54から排気するための排気ポート(図示省略)が形成されている。吸気ポート10には燃料を噴射するためのインジェクタ11が配設されている。またシリンダヘッド52には、吸気ポート10の流路を開閉するための吸気弁55と、排気ポートの流路を開閉するための排気弁(図示省略)とが夫々配設されている。
吸気ポート10にはインテークマニホールド20AAが接続されている。インテークマニホールド20AAは吸気を各気筒に分配するための構成である。吸気ポート10の上流側開口部は、インテークマニホールド20AAが形成する吸気通路(以下、単にインマニ通路とも称す)と吸気ポート10の接続部において、上流側から見て吸気通路中心側に突出する段差が形成されないように、インテークマニホールド20AAの下流側開口部よりも大きく形成されている。インマニ通路には気流制御弁1が配設されている。気流制御弁1は吸気の流量及び流速を変化させるための構成であり、基端部が弁軸2に軸支されている。弁軸2は気流制御弁1を軸支するための構成であり、インマニ通路の下側壁面近傍に介装されている。また、弁軸2は図示しないアクチュエータで駆動される。本実施例ではこのアクチュエータをステップモータで実現している。但し、これに限られず、ステップモータの代わりに適宜のアクチュエータを適用してもよく、またアクチュエータはリンク機構やラック&ピニオン機構や減速機構などの適宜の機構を介して弁軸2と連結されてよい。図示しないECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)の制御のもと、アクチュエータが弁軸2を介して気流制御弁1の開度を変更すると、この開度変化に伴って吸気の流量及び流速が変化する。
気流制御弁1は、全開時に吸気ポート10及びインマニ通路の下側壁面に形成された格納部Kに格納される。また、気流制御弁1の先端部には全閉時に吸気をより速い流速で流通させるための切り欠き部1aが形成されている。この切欠き部1aは気流制御弁1全閉時に、インマニ通路の上側壁面とともに流路を形成する。吸気は気流制御弁1全閉時から半開時にかけて吸気ポート10内で偏流されて、燃焼室54で強度の高いタンブル流Tに生成される。なお、ピストン53の頂面には、タンブル流Tを案内するためのキャビティが形成されていてもよい。また、燃焼室54で生成される旋回気流はタンブル流Tに限られず、例えば図1に示すタンブル流Tとは逆の方向に旋回する逆タンブル流や、スワール流や、タンブル流Tとスワール流とを合成したような斜めタンブル流などであってもよい。また、本実施例では吸気ポート10が図8に示した下流側吸気通路に相当し、インマニ通路が図8に示した上流側吸気通路に相当するとともに、請求項記載の吸気通路に相当する。
図2は、図1に示すA部の拡大図である。図2に示すように吸気ポート10とインマニ通路との接続部のうち、偏流された吸気が流通する側の部分には、上流側から見て吸気通路を拡大するような段差が形成されている。これに対して、本実施例ではインマニ通路の壁面のうち、気流制御弁1全閉時に気流制御弁1とともに流路を形成する上側壁面における流路の下流側の部分に、平滑でない面Sを3本の微小な溝21Aによって形成している。この溝21Aは流路を流通する吸気の流れと略直交する方向に、吸気の流れに対応する範囲に亘って延伸している。なお、溝21の本数は適宜の本数(例えば1本や5本)であってよい。また溝21の垂直断面形状は、溝21Aのような四角形状に限られず、適宜の断面形状であってよい。図3は平滑でない面Sを溝21で形成した場合の変形例の一例を模式的に示す図である。平滑でない面Sは、例えば図3(a)に示すように互いに離間した垂直断面形状が三角形状の溝21Bで形成することができる。また例えば平滑でない面Sは、図3(b)に示すように互いに接した垂直断面形状が三角形状の溝21Cで形成することができる。本実施例では気流制御弁1と、弁軸2と、インテークマニホールド20AAとで吸気通路構造100Aを実現している。
上述した構成で次に、気流制御弁1が閉弁しているときの吸気の流動態様について図4を用いて説明する。気流制御弁1で偏流された吸気は平滑でない面Sを通過する際に強制的に剥離される。剥離された吸気は急激に吸気ポート10の壁面に再付着することを抑制されることから、吸気ポート10の壁面に再付着する位置をより後方に安定させることができる。また、段差後方には吸気の流通に多大な影響を及ぼさない程度の小さな渦しか生成されないようになり、大きな渦がばらつきをもって生成されることを抑制できる。これにより吸気ポート10を流通する吸気の流れが安定することから、燃焼室54内にタンブル流Tを安定的に生成することができる。以上により、インマニ通路の下流側開口部の手前に配設した気流制御弁1で、燃焼室54内にタンブル流Tを安定的に生成することが可能な吸気通路構造100Aを実現可能である。
本実施例に係る吸気通路構造100Bは、平滑でない面Sが、溝21の代わりに流路を流通する吸気の流れと略直交する方向に、吸気の流れに対応する範囲に亘って延伸した突起22で形成されている以外、実施例1に係る吸気通路構造100Aと同一のものとなっている。図5は、突起22で形成した平滑でない面Sの一例を模式的に示す図である。平滑でない面Sは、例えば図5に示すように垂直断面形状が四角形状の突起22Aを適用することでも実現できる。なお、平滑でない面Sはこれに限られず、実施例1で前述した溝21と同様、適宜の垂直断面形状を有する突起22を適宜の本数適用することで形成されてよい。このように突起22で平滑でない面Sを形成した場合であっても、実施例1の場合と同様に気流制御弁1で偏流された吸気を強制的に剥離できることから、燃焼室54内にタンブル流Tを安定的に生成することができる。以上により、インマニ通路の下流側接続部の手前に配設した気流制御弁1で、燃焼室54内に安定的にタンブル流Tを生成することが可能な吸気通路構造100Bを実現可能である。
本実施例に係る吸気通路構造100Cは、平滑でない面Sが、溝21の代わりに流路を流通する吸気の流れと略直交する方向に、吸気の流れに対応する範囲に亘って分布した複数の窪み23で形成されている以外、実施例1に係る吸気通路構造100Aと同一のものとなっている。図6は、複数の窪み23で形成した平滑でない面Sの一例を模式的に示す図である。平滑でない面Sは、例えば図6(a)に示すように複数の部分球状のディンプル23Aを適用した面で実現することができる。また平滑でない面Sは、例えば図6(b)に示すように複数の楔状の窪み23Bを適用した面で実現することができる。なお、これらに限られず、平滑でない面Sは適宜の形状を有する複数の窪み23を適用した面で実現可能である。このようにして複数の窪み23で平滑でない面Sを形成した場合であっても、実施例1の場合と同様に気流制御弁1で偏流された吸気を強制的に剥離できることから、燃焼室54内にタンブル流Tを安定的に生成することができる。以上により、インマニ通路の下流側接続部の手前に配設した気流制御弁1で、燃焼室54内にタンブル流Tを安定的に生成することが可能な吸気通路構造100Cを実現可能である。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば平滑でない面Sは実施例1で示した溝21や、実施例2で示した突起22や、実施例3で示した窪み23を適宜組み合わせて実現することなども可能である。また例えば本発明は所謂バタフライバルブを気流制御弁として備えた吸気通路構造(図7参照)に対しても適用できる。
吸気通路構造100を内燃機関50の要部とともに模式的に示す図である。 図1に示すA部の拡大図である。 平滑でない面Sを溝21で形成した場合の変形例の一例を示す図である。 気流制御弁1閉弁時の吸気の流動態様を模式的に示す図である。 突起22で形成した平滑でない面Sの一例を模式的に示す図である。 複数の窪み23で形成した平滑でない面Sの一例を模式的に示す図である。 バタフライバルブを気流制御弁として備えた吸気通路構造に対して、本発明を適用した場合の一例を模式的に示す図である。 吸気通路接続部における吸気の流動態様を模式的に示す図である。
符号の説明
1 気流制御弁
2 弁軸
20 インテークマニホールド
50 内燃機関
100 吸気通路構造

Claims (2)

  1. 燃焼室内に旋回気流を生成するための気流制御弁を、吸気通路の下流側開口部の手前に備えた内燃機関の吸気通路構造であって、
    前記吸気通路の壁面のうち、前記気流制御弁が閉弁しているときに該気流制御弁とともに流路を形成する壁面における前記流路の下流側の部分に、平滑でない面が形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気通路構造。
  2. 前記平滑でない面が、前記流路を流通する吸気の流れと略直交する方向に、該吸気の流れに対応する範囲に亘って形成されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の吸気通路構造。
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