JP2008094171A - 車両用パワースライドシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アッパレール13にスライド不能に支持した送りねじ28と、ロアレール12にスライド不能に支持した送りねじが螺合する雌ねじ孔27を有するナット26と、を備え、送りねじとナットの相対回転により上記アッパレールをロアレールに対してスライドさせる車両用パワースライドシート10において、送りねじにその軸方向の荷重が掛かり該送りねじが撓んだときに、送りねじと当接する曲げ規制部材30をアッパレールまたはロアレールに設けた。
【選択図】図3
Description
この種のパワースライドシートは一般的に、ロアレールに雌ねじ孔を有するナットを自身の軸線回りに回転不能かつ軸線方向に移動不能に取り付け、かつ、アッパレールにナットの雌ねじ孔を貫通する(螺合する)送りねじ(スクリューシャフト)を自身の軸線回りに回転可能かつ軸線方向に移動不能に取り付けた構造である。アッパレールに取り付けた駆動手段(モータ)の駆動力によって送りねじを回転させると、送りねじがナットに対して軸線方向に相対移動するので、アッパレール及びシートがロアレールに対してスライドする。
このような構造の特許文献1の車両用パワースライドシートでは、車両が他の車両と衝突等をして車両に前後方向の衝突荷重が生じると、アッパレールに固定した前方の押圧体が前方のフランジを前方に押圧するか、または後方の押圧体が後方のフランジを後方に押圧する。このように特許文献1では、車両の衝突時に送りねじに意図的に引張力を及ぼして送りねじに圧縮荷重が掛からないようにすることにより、衝突による送りねじの曲げを規制している。
しかも構造は極めて簡単である。
まずはパワースライドシート10の全体構造について説明する。
車両の床面FL上には車両長手方向(前後方向)に延びるスライドレール11が左右一対として設けられている。左右のスライドレール11はそれぞれ、床面FLに固定された金属製のロアレール12と、ロアレール12にスライド可能に支持された金属製のアッパレール13と、を備えている。図4に示すように、ロアレール12の両側部には下向きの係合片12aが全長に渡って形成してあり、係合片12aとロアレール12の側壁の間には係合溝12bが形成してある。一方、アッパレール13の両側部には上向きの係合片13aが全長に渡って形成してあり、係合片13aとアッパレール13の側壁の間には係合溝13bが形成してある。左右の係合片12aは左右の係合溝13b内に位置しており、左右の係合片13aは左右の係合溝12b内に位置している。さらに、ロアレール12の左右の側壁とアッパレール13の左右の係合片13aのそれぞれの間には、複数の金属製のボールBがスライドレール11の長手方向に並べて挿入されている。従って、アッパレール13はロアレール12に対して前後方向にのみ相対移動可能である。
左右のアッパレール13の上面には座部14aが設けてあり、左右の座部14aの後端部には背凭れ14bの下端部が連結軸16によって、連結軸16回りに回転可能に接続してある。
アッパレール13の天井部の前端部には方形の貫通孔17が穿設してある。さらに、アッパレール13の天井部の上下両面の貫通孔17と対応する部分には、上側支持部材18と下側支持部材19がボルト20aとナット20bによって固定してある。上側支持部材18の中央部には上方に膨出する蓋部21が形成してあり、下側支持部材19の中央部には下方に向かって膨出する収納部(回転支持手段)22が形成してある。さらに、収納部22の前壁及び後壁には互いに同心をなす円形孔23と円形孔24が穿設してある。また、図4に示すように、アッパレール13の前端部の一方の側壁にはモータMのモータ本体M1が固着してある。モータ本体M1からはスライドレール11に対して直交する方向に回転軸M2が延びており、回転軸M2の先端部は該側壁を回転可能に貫通し、蓋部21と収納部22の間に形成された内部空間内に位置している。さらに、回転軸M2の先端部にはウォームWが固着してある。
ロアレール12の底面には、収納部22の後方に位置するナット部材(ナット)26の底面が固着してある。ナット部材26には円形孔23及び円形孔24と同心をなしナット部材26を前後方向に貫通する雌ねじ孔27が形成してある。この雌ねじ孔27には、スライドレール11と同じ方向に延びる送りねじ28が螺合している。送りねじ28の前端部近傍は円形孔24及び円形孔23に回転可能に支持されており、送りねじ28の前端部は収納部22の前方に突出している。送りねじ28は収納部22(円形孔23、円形孔24)に対して相対回転可能であるが、図示を省略した規制手段の働きにより収納部22に対する軸線方向移動が規制されている。
上記送りねじ28、ナット部材26、モータM(ウォームW)はスライド駆動機構DMの構成要素である。
アッパレール13の左右の側壁の長手方向の略中央部には、左右方向に延びる棒状部材である曲げ規制部材30の両端部が、送りねじ28の直下に位置する態様で固定してある。この曲げ規制部材30は金属等の強度の強い材料からなるのであり、曲げ規制部材30と送りねじ28の間には隙間が存在する。
例えば、パワースライドシート10を搭載した自動車(車両)が他の自動車等と正面から衝突した場合や、後方から追突された場合には、収納部22やナット部材26から送りねじ28に圧縮荷重が掛かる。
仮にこの圧縮荷重が座屈荷重以上の荷重の場合には、送りねじ28が弾性的に撓み、やがて座屈を起こそうとする。しかし、このように送りねじ28が下方に座屈しようとしても、図3の仮想線で示すように下方に弾性変形した送りねじ28の中央部が曲げ規制部材30に当接し、送りねじ28のそれ以上の変形が阻止されるので、送りねじ28が下方へ座屈(塑性変形)することはない。
さらに、このように曲げ規制部材30によって下方への座屈が防止された送りねじ28は、このときの反動によって曲げ規制部材30から前方または後方に離れた部分が逆に上側に撓む。しかし、送りねじ28からアッパレール13の天井面までの距離が、送りねじ28からロアレール12の底面までの距離より短く設定されているので、送りねじ28が上方に座屈しようとした場合には、送りねじ28が弾性変形中に(塑性変形を起こす前に)直上に位置するアッパレール13の天井面に当接しそれ以上の変形が阻止される。従って、送りねじ28が上方に座屈(塑性変形)することはない。
しかも、部品点数の増加を最小限に抑えることができるので、構造は極めて簡単である。
例えば、曲げ規制部材30と送りねじ28の間隔を多少広げることにより、送りねじ28に衝突荷重が掛かった際に送りねじ28が座屈(塑性変形)を起こすのは許容し、座屈を起こした後に送りねじ28が曲げ規制部材30に当接するようにしてもよい。このような構造にした場合には曲げ規制部材30が座屈方向をコントロールすることにより、送りねじ28が下方に大きく座屈するのを抑制できるようになる。また、この場合も送りねじ28の曲げ規制部材30から前方または後方に離れた部分は反動により上方に曲がるが、この部分はアッパレール13の天井面に接触するので、この部分が上方に大きく座屈するのを抑制できる。
また、図5に示すように、アッパレール13の底部(下端開口部)に板状の曲げ規制部材40を固着してもよい。また、曲げ規制部材30をアッパレール13の底部(下端開口部)に設けても良い。さらにこの実施形態では、アッパレール13の左右の側壁の間隔が極めて狭く、送りねじ28との隙間が小さいので、アッパレール13の左右の側壁により送りねじ28の左右方向の座屈を抑制または防止できる。
さらに、曲げ規制部材30、曲げ規制部材40はロアレール12またはアッパレール13の長手方向の一箇所だけでなく、複数箇所に並べて設けてもよく、このようにすれば送りねじ28の座屈をより確実に抑制または防止できる。
さらに、上側支持部材18、下側支持部材19、モータM等をナット部材26の後方に位置させて設けても良い。
さらに、ナット部材26の軸線回りの回転を可能にしこのナット部材26をモータMにより回転させ、かつ送りねじ28の軸線回りの回転を規制しても、アッパレール13をロアレール12に対してスライドさせることが可能である。
11 スライドレール
12 ロアレール
12a 係合片
12b 係合溝
13 アッパレール
13a 係合片
13b 係合溝
14a 座部
14b 背凭れ
16 連結軸
17 貫通孔
18 上側支持部材
19 下側支持部材
20a ボルト
20b ナット
21 蓋部
22 収納部(回転支持手段)
23 24 円形孔
26 ナット部材(ナット)
27 雌ねじ孔
28 送りねじ
29 歯車
B ボール
DM スライド駆動機構
M モータ
M1 モータ本体
M2 回転軸
S スライドスイッチ
W ウォーム
Claims (3)
- 車両床面に設けたロアレール及び該ロアレールに対してスライド自在なアッパレールと、
上記ロアレールとアッパレールの一方にアッパレールのスライド方向への移動を不能として支持した、該スライド方向に延びる送りねじと、
上記ロアレールとアッパレールの他方に上記スライド方向への移動を不能として支持した、上記送りねじが螺合する雌ねじ孔を有するナットと、を備え、
上記送りねじとナットの相対回転により上記アッパレールをロアレールに対してスライドさせる車両用パワースライドシートにおいて、
上記送りねじにその軸方向の荷重が掛かり該送りねじが曲がったときに、該送りねじと当接する曲げ規制部材を上記アッパレールまたはロアレールに設けたことを特徴とする車両用パワースライドシート。 - 請求項1記載の車両用パワースライドシートにおいて、
上記ロアレールに上記ナットを設け、
上記アッパレールに、上記曲げ規制部材と、上記ナットの前方または後方において上記送りねじをその軸方向に移動不能かつ該軸回りに回転可能に支持する回転支持手段と、を備え、
上記曲げ規制部材を、該回転支持手段と上記ナットの間において上記送りねじの直下に設けた車両用パワースライドシート。 - 請求項1または2記載の車両用パワースライドシートにおいて、
上記曲げ規制部材は、上記送りねじの軸方向に荷重が掛かったときに、該送りねじと上記軸方向には干渉しない車両用パワースライドシート。
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