JP2015209041A - 車両内装部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】移動体の移動に際して適度な操作抵抗を付与する。
【解決手段】移動体24を支持体22に対して直線的に往復移動可能に支持する移動機構26は、移動体24に対して回転可能に配設され、該移動体24と共に移動するシャフト56と、このシャフト56の周面に螺旋状に延在するように形成された係合部58と、支持体22に設けられてシャフト56を回転可能に支持する支持部38に形成されて、係合部58と係合してシャフト56を回転するよう案内する案内部とを備えている。そして、係合部58と案内部60との係合により回転することで支持体22に対して移動するシャフト56に伴って、移動体24の往復移動が許容される。
【選択図】図4

Description

この発明は、支持体に対して移動体が往復移動可能に配設された車両内装部材に関するものである。
自動車には、乗員室における前部座席間(運転席と助手席との間)のフロアに、身の回りの物品を出入れ可能に収納し得るコンソールボックスを設置したものがある。コンソールボックスは、内部に物品の収納部を画成したボックス本体と、このボックス本体に対してヒンジを介して接続され、ボックス本体の上面に開口した収納部の開口部を開閉可能な蓋部材とを備えている。コンソールボックスは、フロントシートの側方に位置しているので、蓋部材をクッション性を有するように構成して、該蓋部材の上面部分を構成する蓋体をアームレストとして使用する形態がある。ここで車両では、フロントシートが車両の前後方向へ位置調整し得るように設置されているため、フロントシートの移動方向に蓋部材の蓋体を往復移動可能とするのが望ましい。そこで、蓋部材を、ボックス本体に支持されたベースと、このベースの上側にスライドレールを介してスライド可能に設けられて、該蓋部材の上面をなす蓋体とから構成し、蓋体を前後位置を調節可能にしたコンソールボックスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の蓋部材は、ロック装置による蓋体とベースとのロックを解除して、蓋体を使用者がつかんで操作することで、蓋体の前後位置を使用者の好みに合わせて調節し得るようになっている。
特許第3773806号公報
特許文献1の蓋部材は、ベースに配設されたボビンに巻き掛けられたバネの先端を蓋体に引っ掛けて構成される付勢装置によって、蓋体をベースに対して車両前方に向けて常時付勢している。すなわち、付勢装置の付勢によって、蓋体を車両前方に軽い力でスライドさせることができるように補助されている。しかしながら、蓋体を車両後方にスライドさせる際には、付勢装置の付勢力と反対に向けて力を加えることになるから、蓋体の操作に要する力が大きくなってしまう。このように、特許文献1の蓋部材は、蓋体を車両前方に移動させるときと車両後方に移動させるときとで操作性が異なる不都合が生じる。また、蓋部材は、蓋体をベースからずれた位置に移動した際に、スライドレールにおける蓋体に配設されるレール部が、該スライドレールにおけるベースに配設されたレール部によって蓋体を片持ち支持されることになり、スライドレールに大きな剛性が要求される。
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、移動体を適切に支持し得ると共に、移動体の移動に際して適度な操作抵抗を付与し得る車両内装部材を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の車両内装部材は、
支持体と、移動機構を介して該支持体に対して直線的に往復移動可能に配設された移動体を備えた車両内装部材において、
前記移動機構は、
前記移動体に、該移動体の移動方向に延在する軸線周りに回転可能に配設され、該移動体を支持して移動体と共に移動するシャフトと、
前記シャフトの周面に螺旋状に延在するように形成された係合部と、
前記支持体に設けられ、前記シャフトの前記軸線周りの回転を許容すると共に、該支持体に対するシャフトの前記移動方向の移動を許容するよう、該シャフトを支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記係合部と係合して前記シャフトを回転するよう案内する案内部とを備え、
前記係合部と前記案内部との係合により回転することで前記支持体に対して移動する前記シャフトに伴って、前記移動体の往復移動を許容するよう構成したことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、シャフトの周面に螺旋状に延在する係合部と、支持体における支持部に設けられた案内部との係合によりシャフトを回転するように案内し、回転されることで支持体に対して移動するシャフトと共に移動体を移動させることができる。そして、係合部と案内部との係合によりシャフトを回転させながら移動するのに伴って移動体の移動を許容する構成であるから、移動体の移動に際して適度な操作抵抗を付与することができる。また、移動体の移動方向に延在するシャフトによって剛性を確保し得ると共に、シャフトによって移動体が支持されるので、移動体の支持に要する構成を簡易にすることができる。
請求項2に係る発明では、前記案内部は、前記係合部に合わせた螺旋の一部をなすように延在することを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、係合部と案内部との係合によりシャフトを円滑に回転するよう案内することができ、移動体の移動に際する操作抵抗が過剰に大きくなるのを防止できる。
請求項3に係る発明では、前記シャフトの周面に形成され、前記軸線方向に延在するよう形成された回転規制部と、
前記シャフトの周面に前記回転規制部の一端に連なるように形成され、該シャフトの周方向に延在する回転許容部と、
前記シャフトに沿って移動可能に配設されたスライダと、
前記スライダに設けられて該スライダの移動に伴い前記回転規制部または前記回転許容部に係合し、回転規制部との係合により前記シャフトを回転規制すると共に、回転許容部との係合によりシャフトの回転を許容するロック部とを備えたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、移動体を支持するシャフトが回転しなければシャフトおよび移動体を支持体に対して移動させることができないので、ロック部をシャフトの軸線方向に延在する回転規制部に係合してシャフトの回転を規制するだけの簡単な構成で移動体の移動を規制し得る。スライダを移動してロック部を回転規制部からシャフトの周方向に延在する回転許容部に係合させることで、シャフトの回転が許容され、これによりシャフトおよび該シャフトに伴って移動体を支持体に対して移動させることができる。
本発明に係る車両内装部材によれば、移動体の移動方向に延在するシャフトによって剛性を確保し得ると共に、係合溝と案内部との係合によるシャフトの回転によって、移動体の移動に際して適切な操作抵抗を付与し得る。
本発明の実施例に係るコンソールボックスを示す斜視図である。 実施例のコンソールリッドを示す斜視図であり、(a)は移動体が第1位置にあり、(b)は移動体が第2位置にある。 実施例の移動機構を示す斜視図である。 実施例の移動機構を分解して示す斜視図である。 実施例の移動機構を前後方向に破断した断面図であり、(a)はロック手段によりロックした状態で第1位置にあり、(b)はロック手段によりロック解除した状態で第1位置にあり、(c)はロック手段によりロック解除した状態で第2位置にある。 実施例の移動機構を左右方向に破断した断面図であり、(a)は案内部の配設位置であり、(b)は回転規制部にロック部が位置した状態を示し、(c)は回転許容部にロック部が位置した状態を示す。 実施例の移動機構の要部を上方から見た説明図である。
次に、本発明に係る車両内装部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。実施例では、車両内装部材として、コンソールボックスのコンソールリッドを例示する。また、実施例において、車両に設置した際の車両の前後方向を基準として指称し、車幅方向を左右方向とする。なお、図1では、図中左下側が車両の前側で、図中右上側が車両の後側である。
図1に示す実施例に係るコンソールボックス10は、車両における乗員室の運転席と助手席との間のフロアに設置され、眼鏡等の身の回りの物品を収納し得る収納部(図示せず)が上方に開口するように内部画成されたボックス本体12と、このボックス本体12の上部に配設されたコンソールリッド20とを備えている。コンソールボックス10では、コンソールリッド20の後部がヒンジにより左右方向の軸周りに回転可能に支持され、略水平に倒伏して収納部の上部開口を塞いだ姿勢(図1参照)と収納部の後縁に起立して収納部の上部開口を開放した姿勢との間で、コンソールリッド20を姿勢変位し得るようになっている。
図2に示すように、コンソールリッド20は、ヒンジで後部が回転可能に支持された支持体22と、移動機構26(図3)を介して支持体22の上側に配設された移動体24とを備えている。コンソールリッド20は、移動機構26によって移動体24が支持体22に対して前後方向に往復移動可能に支持され、上部がアームレストとして構成された移動体24の前後位置を調節し得るよう構成される。ここで、移動体24は、支持体22の上方に重なる第1位置(図2(a))と、この第1位置から前方へ変位した第2位置(図2(b))との間で直線的なスライド移動が移動機構26により許容される。コンソールリッド20は、第2位置にある移動体24の前側部分が支持体22に対して前方に延出するようにずれている。
前記支持体22は、該支持体22においてボックス本体12に臨む下面を構成する支持体ベース28と、この支持体ベース28の上側に配設され、移動体24から加わる荷重を受ける支持体受部30と、支持体ベース28の後部上側に配設された支持体カバー32とから基本的に構成されている(図2および図3参照)。支持体22は、第1位置および第2位置に関わらず、支持体受部30が移動体24によって上方および側方が覆われており、支持体カバー32が第1位置にある移動体24によって上方および側方が覆われる一方で、移動体24を第2位置に移動した際に外方へ露出するようになっている。すなわち、支持体カバー32は、移動体24を第2位置にした際にコンソールリッド20の意匠面を構成する。
図4に示すように、前記支持体受部30は、左右方向の中央部に設けられた設置部34と、この設置部34の左右両側に上方に出っ張る台状に形成された左右の載置部36,36とを有する板状部材である。支持体受部30には、左右の載置部36,36によって上方に開放すると共に前後に延在する溝状に画成される空間の下面をなす設置部34に、前後(移動体24の移動方向)に離間して複数(実施例では2つ)の支持部38,40が設けられている。各支持部38,40は、前後方向(移動体24の移動方向)に貫通する挿通孔38a,40aを有する円筒状に形成され、設置部34の上側に配置されている。ここで、支持体受部30の前側に配設された前支持部38と、支持体受部30の後側に配設された後支持部40とは、互いの挿通孔38a,40aが前後に揃うように配置されている。そして、両支持部38,40は、両挿通孔38a,40aに挿通した移動機構26のシャフト56を、前後方向に延在する軸線周りの回転および前後方向の移動を許容した状態で支持するよう構成される。
前記移動体24は、移動機構26のシャフト56および支持体22の支持体受部30に支持される移動体ベース42と、この移動体ベース42の側面を覆うように配設され、該移動体24の側面を構成する側面カバー44と、この側面カバー44の上部を塞ぐように配設され、該移動体24の上面を構成する上面カバー46とを有している(図2および図3参照)。なお、上面カバー46には、高級感やクッション性等の所要の機能を発現する人工皮革や樹脂成形品等からなる表皮材により乗員室に臨む前後左右の面が被覆されている。図4に示すように、移動体ベース42は、支持体受部30の設置部34の上方に重なる配設部48と、この配設部48の左右側縁から下方へ向けて延出する左右の当接部50,50とを有する板状部材である。実施例の移動体ベース42は、配設部48および左右の当接部50,50によって下方に開放すると共に前後に延在する樋形状に形成されている。移動体ベース42は、移動機構26を介して支持体22に配設した際に、左右の当接部50が対応する側の載置部36に夫々載置されると共に、配設部48と設置部34との間に移動機構26を収容するスペースを画成している。
図5に示すように、前記移動体ベース42における配設部48の下側には、前後(移動体24の移動方向)に離間して複数(実施例では2つ)の軸受部52,54が設けられている。移動体ベース42の前側に設けられた前軸受部52は、後方に開口する前軸受孔52aを有する円筒状に形成され、該前軸受孔52aは、前側が閉塞された有底孔状となっている。また、移動体ベース42の後側に設けられた後軸受部54は、前方に開口する後軸受孔54aを有する円筒状に形成され、該後軸受孔54aは、後側が閉塞された有底孔状となっている。前軸受部52の前軸受孔52aと後軸受部54の後軸受孔54aとは、前後に揃うように配置されており、実施例では、前軸受部52が移動体ベース42と一体的に形成される一方で、別体に形成した後軸受部54を移動体ベース42に取り付けている(図4参照)。移動体ベース42における前軸受部52と後軸受部54との前後間隔は、支持体受部30における前支持部38と後支持部40との前後間隔よりも広く設定されている。移動機構26は、前支持部38の前挿通孔38aから前方に延出するシャフト56の前端を前軸受部52の前軸受孔52aで保持すると共に、後支持部40の後挿通孔40aから後方に延出するシャフト56の後端を後軸受部54の後軸受孔54aで保持するようになっている。そして、両軸受部52,54は、両軸受孔52a,54aに挿入したシャフト56における前後方向に延在する軸線周りの回転を許容する一方で、該シャフト56の前後方向の移動を規制した状態で保持するよう構成される。
前記移動機構26は、移動体24に、前後の軸受部52,54を介して前後方向(移動体24の移動方向)に延在する軸線周りに回転可能に配設され、該移動体24を支持して移動体24と共に移動するシャフト56と、このシャフト56の周面に螺旋状に形成された係合部58と、支持体22においてシャフト56を支持する支持部38に設けられ、係合部58に係合してシャフト56を回転するよう案内する案内部60とを備えている(図7参照)。そして、移動体24を前方または後方へ向けて移動操作を行った際(移動体24に前後方向に力を加えた際)に、係合部58と案内部60との係合により回転することで支持体22に対して移動するシャフト56に伴って、移動体24の往復移動が許容される。換言すると、シャフト56が回転しない(できない)ときは、移動体24の移動が規制される。
前記シャフト56は、金属や合成樹脂等からなる丸棒状の部材であり(図4参照)、金属製のものを用いるのが剛性を確保するうえで好ましい。シャフト56は、支持体22に前後に離間して設けられた前後の支持部38,40の挿通孔38a,40aに挿通して両支持部38,40に支持され(図5参照)、支持体22に対して前記軸線周りの回転および前後方向の移動が可能になっている。また、シャフト56は、移動体24に前後に離間して設けられた前後の軸受部52,54の軸受孔52a,54aに前端および後端が挿入されて両軸受部52,54に前記軸線周りに回転可能に保持されており、両軸受部52,54を介して移動体24を支持している。ここで、挿通孔38a,40aおよび軸受孔52a,54aは、シャフト56の直径と略同じ直径に設定されており、シャフト56をがたつきなく保持し得るようになっている。このように、シャフト56は、移動体24における移動体ベース42の当接部50,50を支持する支持体22における支持体受部30の載置部36,36と共に、移動体24から加わる荷重を支持する構造体としても機能し、移動体24と共に移動して第1位置および第2位置に亘って移動体24を支持し得るようになっている。
前記係合部58は、シャフト56の周面に螺旋状に延在する溝状に形成されている。係合部58は、シャフト56の周面から凹むと共に、該周面において該シャフト56の延在方向(移動体24の移動方向)に対して一定角度で渦巻き状に連なっており、実施例では、シャフト56の前端から間隔をあけた位置から該シャフト56の後端に亘って形成されている。また、係合部58は、前後方向に隣り合う部分が平行であると共に、前後間隔が一定になっている。係合部58は、シャフト56の前後方向に延在する軸線に対して傾くように延在しており、係合部58と軸線とがなす螺旋角α(図7)が、45°以上で90°未満の範囲、好ましくは50°〜70°の範囲になるように設定される。ここで、螺旋角αが45°より小さくなると、係合部58と案内部60との係合による移動体24の操作抵抗が小さくなってしまい、螺旋角αが90°とした前記軸線と直交する関係になると係合部58と案内部60との係合によってシャフト56を回転するよう案内できない。すなわち、螺旋角αを小さくするにつれて係合部58と案内部60との係合による移動体24の操作抵抗を小さくすることができ、螺旋角αを大きくするにつれて係合部58と案内部60との係合による移動体24の操作抵抗を大きくすることができる。このように、移動機構26は、螺旋角αの調節により移動体24の操作抵抗を調節し得るようになっている。
前記案内部60は、複数の支持部38,40のうちの少なくとも1つに設けられる。実施例の案内部60は、前支持部38において前挿通孔38aの内側に突出するように形成されており、係合部58の幅に合わせた幅に設定されている。また、案内部60は、係合部58に合わせた螺旋の一部をなすように延在形成されており、前支持部38における前挿通孔38aを画成する内周面に、係合部58の螺旋角αに合わせて前記軸線と交差するように斜めに延在している(図7参照)。案内部60は、前挿通孔38aに挿通したシャフト56の周面から凹む係合部58に挿入され、案内部60と係合部58とが噛み合うようになっている(図6(a)参照)。そして、シャフト56は、前支持部38に形成された案内部60に噛み合う係合部58が螺旋状に延在していることにより、前支持部38の前挿通孔38aを通過する際に係合部58の螺旋に合わせて回転される。
前記移動機構26は、シャフト56の回転を許容または規制するロック手段62を備えている(図5,図6(b)および(c)参照)。ロック手段62は、シャフト56に沿って移動可能に配設されたスライダ68と、このスライダ68に設けられ、スライダ68の移動に伴いシャフト56の周面に形成された回転規制部64または回転許容部66に係合するロック部74とを備えている。シャフト56の周面には、係合部58とは別に、前後方向(シャフト56の軸線方向)に延在する回転規制部64と、回転規制部64の一端に連なると共にシャフト56の周方向に延在する回転許容部66とが形成されている。回転規制部64は、係合部58と同様に、シャフト56の周面から凹む溝状に形成され、実施例では、シャフト56の前端から係合部58の前端より前側の範囲に前後方向に直線的に延在している。回転許容部66は、係合部58と同様に、シャフト56の周面から凹む溝状に形成され、実施例では、回転規制部64の後端に連なって係合部58の前端より前側にシャフト56の軸線と直交するように該シャフト56の周面全周に亘って延在している。
図4に示すように、前記スライダ68は、前後方向に貫通する貫通孔70aを有する筒状部70と、この筒状部70の上側に設けられた立設部72とを備えている。スライダ68は、筒状部70の貫通孔70aにシャフト56を挿通して該シャフト56に対して前後方向に移動可能に配設されている(図5参照)。スライダ68は、移動体24における移動体ベース42の配設部48の下側に筒状部70が配置されると共に、配設部48に開設された開口部48aを介して立設部72が移動体ベース42の上側に突出している。スライダ68は、立設部72における左右方向に延在する保持壁片72aと、移動体ベース42における配設部48の上面から上方へ突出形成された受け壁48bとの間に介挿されたコイルばねからなる付勢部材76によって前方に付勢されている(図3参照)。また、スライダ68は、立設部72において前記保持壁片72aの中央部から前方へ延出する掛止壁片72bが、移動体ベース42の配設部48の上面に載置されている(図5参照)。
図6(b)および(c)に示すように、前記ロック部74は、筒状部70において貫通孔70aを画成する内周面に、該貫通孔70aの内側に突出するように形成されている。ロック部74は、貫通孔70aに挿通したシャフト56の周面から凹む回転規制部64または回転許容部66に挿入されて、回転規制部64にあるときに、該回転規制部64の左右の縁に引っ掛かることでシャフト56の回転を規制している(図6(b)参照)。また、ロック部74は、回転許容部66にあるときに、シャフト56の回転を規制しない(図6(c)参照)。ここで、スライダ68は、付勢部材76の付勢によって常にはロック部74が回転規制部64に位置するように設定されており、移動体24に設けられた操作部21(図2参照)を操作してスライダ68を後方へ移動することでロック部74を回転許容部66に位置させるようになっている。そして、ロック部74と回転規制部64との係合によりシャフト56を回転規制することで、移動体24の往復移動が規制されると共に、ロック部74と回転許容部66との係合により、シャフト56の回転に伴う移動体24の往復移動が許容される。
〔実施例の作用〕
次に、実施例のコンソールリッド20の作用について説明する。移動体24を操作していない状態では、ロック手段62のロック部74が付勢部材76の付勢によりシャフト56の周面の回転規制部64に位置しており、ロック部74と回転規制部64との係合によりシャフト56が回転不能となり、これにより移動体24の前後移動が規制される。移動体24を第1位置と第2位置との間で移動するときは、操作部21の操作によりスライダ68を後方へ移動してロック部74をシャフト56の周面の回転規制部64から回転許容部66に移動し、この状態で移動体24を移動操作する。移動体24を移動させるべく力を加えると、前支持部38に設けられた案内部60に、シャフト56の周面に螺旋状に延在する係合部58が案内されてシャフト56が回転することで支持体22に対して該シャフト56が移動し、これによりシャフト56に支持された移動体24を移動し得る。この際に、ロック部74は、シャフト56の周面に周方向に延在する回転許容部66に位置しているので、シャフト56の回転の邪魔をしない。また、案内部60と係合部58との係合によりシャフト56を回転させるのに要する力によって、移動体24を移動する際に適度な操作抵抗を付与し得る。ここで、移動体24の第1位置と第2位置の移動に亘って、また移動体24を第1位置から第2位置に移動する際および第2位置から第1位置に移動する際の何れの移動向きであっても、案内部60と係合部58との係合関係が変化しない。すなわち、移動体24の第1位置と第2位置との移動全体に亘って操作抵抗を一定にし得ると共に、移動体24を前または後の何れの向きに動かしても操作抵抗を同じにし得る。そして、移動体24を支持するシャフト56の周面に螺旋状に形成した係合部58と、シャフト56を支持する前支持部38に設けた案内部60との係合による簡単な構成で、部品点数を増やしたり構成を複雑にすることなく移動体24に操作抵抗を与えることができる。
前記案内部60は、シャフト56の周面に螺旋状に形成された係合部58に合わせた螺旋の一部をなすように延在しているので、係合部58との係合によりシャフト56を回転させるように円滑に案内することができる。これにより、移動体24の移動に際する操作抵抗が過剰に大きくなるのを防止できる。しかも、係合部58の螺旋角αの設定により、移動体24の操作抵抗の大きさを簡単に調節することができる。
前記移動体24は、シャフト56と共に移動し、該シャフト56によっても支持されている。すなわち、シャフト56は、移動体24を移動させる機能だけでなく、移動体24にかかる荷重を支持する構造体としても機能しているから、略コ字状に折曲された金属レールを組み合わせたスライドレールなどを省略しても、所要の剛性を確保して移動体24を適切に支持し得る。しかも、シャフト56は、単なる棒材であって、スライドレールと比べて構成が簡単であり、スライドレールと比べて軽量化することができる。
前記移動体24を支持するシャフト56が回転しなければシャフト56および移動体24を支持体22に対して移動させることができないので、ロック部74をシャフト56の軸線方向に延在する回転規制部64に係合してシャフト56の回転を規制するだけの簡単なロック手段62の構成で移動体24の移動を規制し得る。そして、スライダ68を移動してロック部74を回転規制部64からシャフト56の周方向に延在する回転許容部66に係合させることで、シャフト56の回転が許容され、これによりシャフト56および該シャフト56に伴って移動体24を支持体22に対して移動させることができる。しかも、ロック手段62は、移動機構26と独立して設けられるものではなく、移動機構26のシャフト56に折り込むことで、ロック手段62の配設に要するスペースおよびロック手段62に要する部品点数を減らすことができる。
ここで、移動体24を第1位置と第2位置と間の移動途中で操作部21の操作を解除しても、回転許容部66の前縁にロック部74が引っ掛かって位置規制されるから、シャフト56の回転が許容されたままとなり、移動体24を移動し得る。そして、シャフト56が回転してロック部74が回転許容部66における回転規制部64に連なる位置に整合した際に、付勢部材76の付勢によりロック部74が回転許容部66から回転規制部64に戻り、これによりシャフト56が回転規制されて移動体24が位置規制される。実施例では、シャフト56が2回転した際に移動体24が第1位置から第2位置(第2位置から第1位置)に至るように設定されているから、第1位置および第2位置に加えて、第1位置と第2位置との移動中間位置でロック手段62により移動体24を位置規制し得る。このように、ロック手段62は、シャフト56の周面における回転規制部64の位置と、係合部58と案内部60との係合案内によるシャフト56の回転との関係で、移動体24を段階的に位置規制することが簡単にできる。
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)実施例では、支持部を2つ設けたが、3つ以上であってもよい。また、シャフトを支持可能であれば、支持体が1つであってもよい。
(2)案内部は、支持体に設けられた複数の支持部の全てに設けてもよい。
(3)案内部は、係合部に合わせた螺旋の一部をなすように延在する形状に限られず、円形状や楕円形状などその他の形状であってもよい。
(4)回転規制部と回転許容部との位置関係は、実施例に限定されず、回転規制部をシャフトの周面において係合部に近い側に設け、回転許容部をシャフトの周面において回転規制部よりも係合部から遠い側に設ける配置であってもよい。
(5)実施例では、シャフトの周面に回転規制部を1箇所だけ設ける構成であるが、シャフトの周面に周回りに互いに離間して該シャフトの軸線方向に延在する回転規制部を複数箇所設けてもよい。複数箇所の回転規制部を設けることで、移動体を第1位置と第2位置との間で複数の箇所で位置規制することができ、移動体の位置調節を細かく行うことができる。
(6)ロック手段の付勢部材としては、コイルばねに限られず、トーションばねやその他の弾性体を採用し得る。
(7)実施例では、車両内装部材としてコンソールリッドを例に挙げたが、アームレストその他であってもよい。
22 支持体,24 移動体,26 移動機構,38 前支持部(支持部),
40 後支持部(支持部),56 シャフト,58 係合部,60 案内部,
64 回転規制部,66 回転許容部,68 スライダ,74 ロック部

Claims (3)

  1. 支持体と、移動機構を介して該支持体に対して直線的に往復移動可能に配設された移動体を備えた車両内装部材において、
    前記移動機構は、
    前記移動体に、該移動体の移動方向に延在する軸線周りに回転可能に配設され、該移動体を支持して移動体と共に移動するシャフトと、
    前記シャフトの周面に螺旋状に延在するように形成された係合部と、
    前記支持体に設けられ、前記シャフトの前記軸線周りの回転を許容すると共に、該支持体に対するシャフトの前記移動方向の移動を許容するよう、該シャフトを支持する支持部と、
    前記支持部に設けられ、前記係合部と係合して前記シャフトを回転するよう案内する案内部とを備え、
    前記係合部と前記案内部との係合により回転することで前記支持体に対して移動する前記シャフトに伴って、前記移動体の往復移動を許容するよう構成した
    ことを特徴とする車両内装部材。
  2. 前記案内部は、前記係合部に合わせた螺旋の一部をなすように延在する請求項1記載の車両内装部材。
  3. 前記シャフトの周面に形成され、前記軸線方向に延在するよう形成された回転規制部と、
    前記シャフトの周面に前記回転規制部の一端に連なるように形成され、該シャフトの周方向に延在する回転許容部と、
    前記シャフトに沿って移動可能に配設されたスライダと、
    前記スライダに設けられて該スライダの移動に伴い前記回転規制部または前記回転許容部に係合し、回転規制部との係合により前記シャフトを回転規制すると共に、回転許容部との係合によりシャフトの回転を許容するロック部とを備えた請求項1または2記載の車両内装部材。
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