JP2008090956A - 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】誤書き込みの少ない記録ドットを持つ磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】基板上に形成された複数の記録領域と、前記記録領域間に形成され、前記記録領域を規定する分離領域と、前記複数の記録領域内で配列したドット状の磁気記録層で形成された、前記分離領域に沿って前記記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドットと、前記記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドットとを有し、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パターンドメディアに分類される磁気記録媒体、その製造方法、および前記磁気記録媒体を搭載した磁気記録装置に関する。
近年の情報化社会において、我々が記録媒体へ記録する情報の量は増加の一途をたどっている。このため、飛躍的に記録密度の高い記録媒体および記録装置の出現が望まれている。現在、大容量かつ安価な磁気記録媒体として需要が増加し続けているハードディスクに関しても、数年後には現行のおよそ10倍である1平方インチあたり1テラビット以上の記録密度が必要と言われている。
現行のハードディスクでは、磁性体微粒子の多結晶体からなる磁気記録層の一定の領域に対して1ビットの記録がなされている。ハードディスクの記録容量を上げるためには、1ビットあたりの記録に使用できる記録マークサイズを小さくして記録密度を増加させる必要がある。しかし、単純に記録マークサイズを小さくすると、ノイズの影響が無視できなくなる。また、磁性体微粒子のサイズを小さくすると、熱揺らぎの問題が発生し、常温で記録を保つことができなくなってしまう。
これらの問題を回避するため、あらかじめ記録材料を非記録材料によって分断し、単一のドット状の記録材料粒子(記録ドット)を1ビットとして記録再生を行うパターンドメディアが提案されている。
パターンドメディアは1インチあたり数百ギガビット以上の記録密度を想定して設計されるため、1ビットの記録ドットのサイズは数十nm以下になる。従来、このような微細パターンを基板上に形成する方法として、電子線リソグラフィーや収束イオンビームなどのリソグラフィー技術の応用が考えられてきた。しかし、これらのリソグラフィー技術でパターンドメディアを作製するのは、加工時間とコストの面で現実的ではない。
安価かつ短時間にパターンドメディアを作製する方法として、(1)ドット状微粒子を基板上に配列させ、微粒子をマスクとして磁性材料をパターニングする方法、(2)陽極酸化アルミナナノホールへ磁性材料を充填する方法、(3)ブロックコポリマーの自己組織的な相分離構造を利用として磁性材料をパターニングする方法などが提案されている。これらの方法は、いずれも基板全面での一括パターニングが可能であるが、パターンの方向性を制御することができない。このため、ミクロ的には規則的に配列したパターンを有するミクロ構造が形成されるが、そのようなミクロ構造が多数ランダムに生じるため、ミクロ構造とミクロ構造の界面に欠陥や粒界が生じ、基板全体で見るとパターンの配列方向が不規則になる。
この問題を避けるため、基板表面に直線状または格子状の凸部構造など方向性をもったガイドパターンを形成して記録領域を規定する方法が有効であると考えられている(特許文献1および特許文献2)。ガイドパターンは複数の記録領域を囲んで分離する分離領域に対応して形成される。このようにガイドパターンを形成した状態で、記録領域内において自己組織化現象を起こすと、自己組織化材料のドットパターンがガイドパターンに沿って配列する。さらに、自己組織化材料のドットパターンを磁性材料に転写することによって、規則的に配列した記録ドットを形成することができる。このように、ガイドパターンを利用して記録ドットを形成すれば、基板全体で規則的に配列したパターンを形成することができる。したがって、得られたパターンドメディアの各記録ドットに対して、磁気記録装置の記録再生ヘッドによって正確に記録再生を行うことが期待できる。
ところで、記録ドットの中には、記録領域のアドレス情報を書き込むような読み取り専用の記録ドットが必要である。しかし、すべての記録ドットが規則的に配列しているパターンドメディアにおいては、読み取り専用のドットへの誤書き込みが起こりやすいという問題があることがわかってきた。
特開2002−279616号公報 特開2002−334414号公報
本発明の目的は、誤書き込みの少ない読み取り専用の記録ドットを持つ磁気記録媒体、このような磁気記録媒体の製造方法、およびこのような磁気記録媒体を搭載した磁気記録装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気記録媒体は、基板上に形成された複数の記録領域と、前記記録領域間に形成され、前記記録領域を規定する分離領域と、前記複数の記録領域内で配列したドット状の磁気記録層で形成された、前記分離領域に沿って前記記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドットと、前記記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドットとを有し、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きいことを特徴とする。
本発明の他の態様に係る磁気記録媒体の製造方法は、基板上に磁気記録層を成膜し、前記磁気記録層上に複数の記録領域を規定する分離領域に対応するガイドパターンを形成し、前記ガイドパターンによって規定された記録領域内で自己組織化材料を自己組織化させ、前記ガイドパターンに沿って前記記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1のドットおよび前記記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2のドット(ここで、最近接の第1のドットと第2のドットとの距離は、最近接の第2のドット間の距離よりも大きい)を形成し、前記第1のドットおよび第2のドットのパターンを前記磁気記録層に転写して、ドット状の磁気記録層で形成された第1の記録ドットおよび第2の記録ドットを形成することを特徴とする。
本発明の他の態様に係る磁気記録装置は、上記の磁気記録媒体と、記録再生ヘッドとを有することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体は、記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドットおよび記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドットを有し、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離が最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きいので、第1の記録ドットに読み取り専用のデータを記録すれば、誤書き込みを避けることができる。
本発明の実施形態をより詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る磁気記録媒体の全体的な形状は、たとえばディスクでもカードでもよく、特に限定されない。このうち、ディスクは、ディスク状の基板の表面に磁気記録層を形成したものである。ディスクは回転可能に支持され、記録再生ヘッドは軸に回動可能に支持されディスクの表面に沿って水平方向に一次元的に移動して書き込み・読み出しを行う。カードは、たとえば長方形のカード型の基板の表面に磁気記録層を形成したものである。記録再生ヘッドはカードの表面に沿ってX方向およびY方向に二次元的に移動して書き込み・読み出しを行う。この場合、1枚のカードの1つの記録面に対して、記録再生ヘッドを1個ではなく複数個設けてもよい。
基板上には、分離領域に囲まれることによって規定された複数の記録領域が形成され、複数の記録領域内でドット状の磁気記録層で形成された記録ドットが配列している。記録領域とは記録ドットが配列され、記録ドットに対して記録・読み出しが行われる領域である。一般的に、分離領域はトラック長方向およびトラック幅方向に沿って形成され、記録領域はほぼ四辺形の形状をなしている。
実施形態において、記録ドットは、分離領域に沿って記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドットおよび前記記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドットを含み、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きい。ここで、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離が全て、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きくなっている必要はなく、前者の距離の一部は後者の距離と等しくてもよい。ただし、平均すれば、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きくなっている。
実施形態においては、記録ドット1つずつが1ビットとして用いられ、第2の記録ドットにはユーザーデータが記録され、第1の記録ドットには読み取り専用のデータが記録される。
上記のように第2の記録ドットは規則的な格子を組んで配列している。規則的な格子とは、個々の記録ドットの位置を示す座標が二次元方向に一定の間隔を隔てて配列していることを示す。二次元に配列した規則的な格子の座標位置は、2つの異なる方向に延びる基本ベクトルの整数倍の足し合わせで示される。二つの基本ベクトルとは、例えば正方格子においては2本の互いに直交する同じ長さのベクトルであり、六方格子においては互いに120°の角度で交わる同じ長さのベクトルである。格子位置は2本のベクトルの整数倍の足し合わせで表され、この整数を指数と呼ぶ。最低指数面とは、単独の基本ベクトルのみで形成される複数の方向を示す。格子はこの方向に最も高密度で配列している。例えば正方格子における最低指数面は最近接の格子点を結んだ2本の互いに直交する直線方向であり、六方格子における最低指数面は最近接の格子点を結んだ、互いに60°または120°で交わる3本の直線方向である。
実施形態において、記録領域内で記録ドットを配列させるには、有機物または微粒子の自己組織化現象を利用する。自己組織化とは、例えばブロックコポリマーのような材料が相分離や凝集の際に自然にパターン形成を起こす現象である。パターンドメディアの製造に自己組織化パターンの形成を利用すれば、光や電子線によるリソグラフィーのような人為的なパターン形成によらずに、しかもリソグラフィーでは困難であった微小サイズのパターン形成を低コストかつ高速に行うことができる。そして、自己組織化パターンを磁気記録層に転写することによって、記録ドットを形成することができる。
自己組織化によるパターニングは、大面積に一括して適用できるという利点があるものの、パターンの方向性については制御ができない。このため、規則的に配列したパターンを有するミクロ構造が多数ランダムに生じ、ミクロ構造間の界面に欠陥が生じる。これを防ぐには、基板上にガイドパターン(分離領域に対応する)を形成し、自己組織化パターンが生成する領域と方向をあらかじめ規定する方法が有効である。自己組織化現象では、ドット状の材料が記録領域内で最密になるように配列する。たとえば、1つのドットの周囲に6個のドットが配置されるような六方最密構造をとる。そのような六方最密構造に適当なガイドパターンは、60°や120°の角を持った正三角形、平行四辺形、六角形などの記録領域を規定することが好ましい。なお、自己組織化現象は多少の構造のずれを緩和することができるので、記録領域の60°や120°の角は±10°程度ずれていてもかまわない。
ガイドパターンは、基板表面または基板上に形成された薄膜表面に表面状態の違いとして形成されたパターンであり、ガイドパターンで規定された記録領域に自己組織化粒子のドットを配列させることを目的とするものである。表面状態の違いとは、物理的な凹凸構造、表面電位の違い、表面張力の違い、親水疎水性などが挙げられる。ガイドパターンを形成する方法としては、ナノインプリントリソグラフィーを用いる方法、原子間力顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、近接場光顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡を用いる方法、光リソグラフィーや電子線リソグラフィーを用いる方法などが挙げられる。
記録ドットが非常に狭い距離を隔てて配列しているパターンドメディアでは、記録再生を行う際に特定の記録ドットに記録されたアドレス情報や暗号化情報などの読み取り専用データが誤って消去されることがある。読み取り専用データの誤消去を防ぐには、読み取り専用の第1の記録ドットを、ユーザーデータ読み書き用の第2の記録ドットから離れた位置に配置することが好ましい。
ここで、記録領域内で自己組織化材料を配列させる際に、記録領域の大きさと自己組織化材料の配列ピッチや分量が適合している場合、自己組織化材料は記録領域内で等間隔に配列する。一方、たとえば記録領域の1辺の長さが自己組織化材料の配列ピッチの整数倍からずれている場合、または記録領域の大きさに対して自己組織化材料の分量が多すぎたり少なすぎたりする場合には、自己組織化材料は記録領域内で最密に配列しなくなる。また、ガイドパターンを凸部の形態で形成した場合、自己組織化材料とガイドパターンの側壁との間に相互作用が働いて、自己組織化粒子の一部がガイドパターンの側壁の近くに配置されるようになることもある。そこで、実施形態では、あえて最適条件を避ける、たとえば記録領域内へ入れる自己組織化材料の分量を最適値からずらすことにより、読み取り専用の第1の記録ドットがユーザーデータ読み書き用の第2の記録ドットから離れた位置にあるような記録媒体を作製することができる。
以下、図面を参照して実施形態に係る磁気記録媒体のいくつかの例を説明する。
図1(a)は、ガイドパターン3によって規定された平行四辺形の記録領域4と、記録領域4の内部で配列した第1の記録ドット11および第2の記録ドット12を有する磁気記録媒体を示す平面図である。なお、記録領域4において、第1および第2の記録ドット11、12が形成されていない部分には通常は非記録材料を充填するが、何も充填しなくてもよい。記録領域4の中央部で規則的な格子を組んで配列している第2の記録ドット12のうち最近接の第2の記録ドット12間の距離(ピッチ)をP22とする。また、記録領域4の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドット11と記録領域4の中央部に配列した第2の記録ドット12に関して、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離をP12とする。本発明の実施形態においては、距離P12は距離P22より大きくなっている。記録密度の観点から、距離P12は、前記距離P22の3倍より小さくことが好ましく、2倍より小さいことがより好ましい。最近接の2つの記録ドット間の距離は、2つの記録ドットの中心間の距離(厳密には2つの記録ドットの重心間の距離)を意味する。なお、上述したように、距離P12の全てが距離P22より大きくなっている必要はなく、距離P12の一部は距離P22と等しくてもよい。このように、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドット12との距離P12が、最近接の第2の記録ドット間の距離P22よりも大きくなっていると、第1の記録ドット11を第2の記録ドット12から明確に区別することができる。したがって、第1の記録ドット11への誤書き込みが起こりにくくなり、第1の記録ドット11は読み取り専用のデータを書き込むのに適している。
図1(b)は、図1(a)の磁気記録媒体をより広い範囲で示す平面図である。第1の記録ドット11と第2の記録ドット12を含む記録領域は、ガイドパターンに対応する分離領域10によって規定されている。分離領域10は残ったガイドパターンで形成されていてもよいし、ガイドパターンを除去した領域でもよい。分離領域10の幅は、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドット12の距離P12の1.5倍よりも大きく、距離P12の3倍よりも小さいことが好ましい。分離領域10の幅は、記録領域の幅よりも小さいことが好ましく、記録領域の幅の1/2よりも小さいことがより好ましい。
図2(a)は、ガイドパターン3によって規定された長方形の記録領域4と、記録領域4の内部で配列した第1の記録ドット11および第2の記録ドット12を有する磁気記録媒体を示す平面図である。このように記録領域4が長方形である場合、第1の記録ドット11は長軸方向および短軸方向の両方ともガイドパターン3に平行に配列し、第2の記録ドット11は長軸方向ではガイドパターン3に平行に配列するが、短軸方向では六方格子に従ってガイドパターン3に対して±60°傾いた第2軸が生じる。この場合にも、第1の記録ドット11と第2の記録ドット12との距離P12は、第2の記録ドット12間の距離P22より大きく、距離P22の3倍より小さくことが好ましく、2倍より小さいことがより好ましい。
図2(b)は、図2(a)の磁気記録媒体をより広い範囲で示す平面図である。第1の記録ドット11と第2の記録ドット12を含む記録領域は、ガイドパターンに対応する分離領域10によって規定されている。この場合にも、分離領域10の幅は、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドット12の距離P12の1.5倍よりも大きく、距離P12の3倍よりも小さいことが好ましい。分離領域10の幅は、記録領域の幅よりも小さいことが好ましく、記録領域の幅の1/2よりも小さいことがより好ましい。
図3(a)はディスク状の磁気記録媒体31上の円周方向に沿う記録トラック32を示す平面図である。図3(b)は、図3(a)の記録トラックの一部を示す平面図である。図3(b)に示すように、円周方向に沿って形成された分離領域10によって規定された記録トラック32内に、分離領域10に沿って記録トラック32の周縁部に配列した第1の記録ドット11および記録トラック32の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドット12が形成され、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドットとの距離P12は、最近接の第2の記録ドット間の距離P22よりも大きくなっている。なお、図3(b)では、説明の便宜上、分離領域10および記録トラック32を直線的に図示している。
図4は分離領域10によって規定された六角形の記録領域と、記録領域の内部で配列した第1の記録ドット11および第2の記録ドット12を有する磁気記録媒体を示す平面図である。この場合にも、第1の記録ドット11と第2の記録ドット12との距離P12は、第2の記録ドット12間の距離P22より大きく、距離P22の3倍より小さくことが好ましく、2倍より小さいことがより好ましい。
次に、図5(a)〜(d)を参照して、実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法の一例を説明する。この例では、自己組織化材料としてブロックコポリマーを用いている。
図5(a)に示すように、基板1上に磁気記録層2を形成し、その上にガイドパターンとして用いられる制御層を形成する。基板1の形状はディスクでもカードでもよい。この例では制御層としてレジストを塗布する。このレジストに対して記録領域に相当する凸部を有するインプリントスタンパ50を押し付けてパターンを転写し、ガイドパターン3を形成する。図5(b)に、インプリントスタンパ50を取り外した状態を示す。レジストの凸部がガイドパターン3として用いられ、凹部が記録領域4として用いられる。なお、フォトリソグラフィーまたは電子線リソグラフィーを用いて、ガイドパターンを形成してもよい。
図5(c)に示すように、自己組織化材料としてブロックコポリマーを塗布し、記録領域4に充填する。ブロックコポリマーとしては、たとえばポリスチレン(PS)−ポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。次に、アニールを行い、ブロックコポリマーを相分離させる。この場合、ABブロックコポリマーのAポリマーであるPMMAのマトリックス53中に、BポリマーであるPSのドットを配列させ、PSの方がPMMAよりも酸素に対するエッチング耐性が高いことを利用する。PSは平面形状がドットになっていればよく、3次元的には球状でもシリンダ状でもよい。
自己組織化材料の配列ピッチは、記録密度向上の効果が現れる200nm以下が好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。ただし、1nm以下の場合には、磁気記録層の熱揺らぎの問題が発生するため好ましくない。自己組織化材料として、たとえばABブロックコポリマーを用いた場合、たとえばAポリマーおよびBポリマーの分子量に応じてドットの配列ピッチを調整することができる。
本実施形態では、相分離により、ガイドパターン3に沿って記録領域4の周縁部に1列ずつ配列した第1のドット51および記録領域4の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2のドット53を形成し、最近接の第1のドット51と第2のドット52との距離が最近接の第2のドット52間の距離より大きくなるようにする。このような第1のドット51および第2のドット52の配列は、ガイドパターン3の凸部の高さを適切に設定することにより実現できる。
ここで、図6(a)のようにガイドパターン3の凸部の高さが低い場合には、記録領域の大きさとドットのピッチとが適合すると、どのドットも等距離(同一ピッチ)で配列する。一方、ガイドパターン3の凸部の高さが高すぎると、ドットが多層になり、エッチング形状に問題が生じる。
これに対して、図6(b)のように、ガイドパターン3の凸部の高さが従来よりも少し高く、記録領域に充填される自己組織化材料(ブロックコポリマー)の分量が少なく、相分離時にガイドパターン3の側壁に近いBポリマー(この例ではPS)がガイドパターン3の側壁と相互作用する場合、最近接の第1のドット51と第2のドット52との距離が最近接の第2のドット52間の距離より大きくなるように相分離させることができる。以上の理由から、ガイドパターン3の凸部の高さは、最近接の第2のドット52間の距離の2/3倍〜2倍に設定することが好ましい。
図5(d)に示すように、酸素ガスを用いた反応性エッチングにより、PSの第1および第2のドット51、52のみを残し、PMMAおよびガイドパターン3をエッチングする。
図5(e)に示すように、PSの第1および第2のドット51、52をマスクとして、Arイオンミリングによって磁気記録層2をエッチングして、PSの第1および第2のドット51、52のパターンを転写する。この結果、ガイドパターン3の下部の基板1が露出した領域が分離領域10となり、分離領域10に沿って記録領域4の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドット11および記録領域4の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドット12が形成される。また、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドット12との距離は、最近接の第2の記録ドット12間の距離よりも大きくなっている。
本発明の他の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法では、様々な変形例を用いることができる。
図5ではレジストを用いてガイドパターンを形成したが、他の方法を用いてガイドパターンを形成することもできる。たとえば、図7に示すように、基板1上に磁気記録層2を形成し、その上にガイドパターンとなる制御層を形成する。原子間力顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡を用いて記録領域6のみの表面状態を変化させ、自己組織化材料に対する記録領域6の親和性を高め、未処理の制御層からなるガイドパターン5を形成する。この場合、記録領域6のみに自己組織化材料のドットを吸着または化学結合させて配列させることができる。この方法では、図5に示した方法にように、凹凸を有するガイドパターンを形成する必要はない。
図5では自己組織化材料としてブロックコポリマーを用いたが、自己組織化材料として微粒子を用いてもよい。微粒子は液体中に均一に分散した状態で基板上に塗布することが好ましい。分散液を基板に塗布するには、分散液を基板上へスピンコートするか、または分散液中に基板を浸漬して引き上げる方法を用いることができる。微粒子は自己組織化が容易になるように、有機物などによる表面処理を施したものでもよい。
磁性体からなる微粒子を用いる場合には、配列した磁性体微粒子をそのまま記録ドットとして用いることができる。図8および図9にこのような磁気記録媒体を示す。
図8では基板1上に凸部をなすガイドパターン3を形成する。凹部をなす記録領域内で磁性体微粒子を配列させることにより、記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドット11および記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドット12が形成され、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドット12との距離は、最近接の第2の記録ドット12間の距離よりも大きくなる。
図9では基板1上にガイドパターン5となる制御層を形成し、制御層の一部に処理を施すことにより記録領域を形成する。記録領域上で磁性体微粒子を配列させることにより、記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドット11および記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドット12が形成され、最近接の第1の記録ドット11と第2の記録ドット12との距離は、最近接の第2の記録ドット12間の距離よりも大きくなる。
非磁性体の微粒子として、SiO2、Si、Al23、ポリスチレンなどの有機物、Auなどの金属微粒子、金属合金、またはセラミックスの微粒子を用いてもよい。非磁性体の微粒子を用いる場合、その微粒子は基板とガイドパターンとの間に形成された磁気記録層をエッチングするためのマスクとなる。図10(a)に示すように、基板1の上に磁気記録層3を形成し、その上にガイドパターン5となる制御層を形成し、制御層の一部に処理を施すことにより記録領域を形成する。記録領域上で非磁性微粒子を配列させることにより、記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1のドット61および記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2のドット62が形成され、最近接の第1のドット61と第2のドット62との距離は、最近接の第2の記録ドット62間の距離よりも大きくなる。図10(b)に示すように、第1のドット61および第2のドット62をマスクとして、磁気記録層2にパターンを転写することにより、第1の記録ドット11および第2の記録ドット12を形成することができる。
なお、以上の図面では、記録ドット間に何も充填していない状態を図示しているが、記録ドット間に非記録材料を充填してもよい。
次に、本発明の実施形態に係る磁気記録装置について説明する。
図11に磁気記録装置(ハードディスクドライブ)の斜視図を示す。この磁気記録装置は、筐体70の内部に、上記の磁気記録媒体(パターンドメディア)71と、磁気記録媒体71を回転させるスピンドルモータ72と、磁気ヘッドを組み込んだヘッドスライダ76と、ヘッドスライダ76を支持する、サスペンション75およびアクチュエータアーム74を含むヘッドサスペンションアッセンブリと、ヘッドサスペンションアッセンブリのアクチュエータとしてのボイスコイルモータ(VCM)77とを備えている。
磁気記録媒体71はスピンドルモータ72によって回転される。ヘッドスライダ76にはライトヘッドとリードヘッドを含む磁気ヘッドが組み込まれている。アクチュエータアーム74はピボット73に回動自在に取り付けられている。アクチュエータアーム74の一端にサスペンション75が取り付けられる。ヘッドスライダ76はサスペンション75に設けられたジンバルを介して弾性支持されている。アクチュエータアーム74の他端にはボイスコイルモータ(VCM)77が設けられている。ボイスコイルモータ(VCM)77はアクチュエータアーム74にピボット73周りの回転トルクを発生させ、磁気ヘッドを磁気記録媒体71の任意の半径位置上に浮上した状態で位置決めする。
図12にカード型の磁気記録媒体に対する磁気記録装置の断面図を示す。カード型の磁気記録媒体は、基板1上に第1の記録ドット11および第2の記録ドット12が形成されている。磁気記録媒体の上方に、XYの2方向へ移動可能な記録再生ヘッド81が配置される。
以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例]
本実施例では、図5に示した方法に従って磁気記録媒体を作製した。2.5インチのガラス基板上に垂直磁気記録材料として膜厚20nmのCoCrPtを堆積した。その上に膜厚100nmのレジストをスピンコートした。レジスト上にスタンパを押し付け、ナノインプリント法によりレジストにパターンを転写した。この結果、1μm幅のガイドパターンで囲まれた、1辺が1μmの平行四辺形をなす記録領域が多数形成された。
分子量75000のPS−PMMAブロックコポリマーを溶媒PGMEAに溶解した溶液を調製した。この溶液をスピンコートして、記録領域に相当する凹部に充填した。180℃でアニールして、記録領域内でブロックコポリマーを相分離させた。PSドットが最外周を除いて80nmピッチの六方最密でPMMAのマトリックス中で配列した相分離パターンが得られた。
酸素を用いた反応性エッチングにより、PMMAマトリックスをエッチングしてPSドットを残し、PSドットをマスクとしてArイオンミリングにより、磁気記録層にPSドットのパターンを転写した。この結果、基板上に高さ20nmの記録ドットが形成された。
この磁気記録媒体を磁気力顕微鏡で観察したところ、1つの記録領域内に10列×10列の記録ドットが配列しており、記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドットと中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドットを含み、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きいことが観察された。
得られた磁気記録媒体に対し、記録再生ヘッドを準備し、磁気記録装置を作製した。記録再生ヘッドは、磁気記録媒体の記録領域の1辺の方向およびその辺に対して直交する方向の2方向に動作するアームによって2次元的に位置制御がなされる。
なお、本実施例では1つの記録領域に対して1つの記録再生ヘッドを設けているが、複数の記録領域に対して1つの記録再生ヘッドを設けてもよい。
磁気記録媒体の記録領域周縁部の第1の記録ドットに位置情報を書き込み、記録領域中央部の第2の記録ドットにユーザーデータを書き込み、読み取りを行った。
[実施例2]
ディスク基板を用い、高さが50nmであるガイドパターンを形成し、記録領域内にPS−PMMAブロックコポリマーを充填し、アニールにより相分離させて45nmピッチでPSドットを配列させた以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を作製した。この磁気記録媒体では、最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きい。
比較のために、ディスク基板を用い、高さが30nmであるガイドパターンを形成し、記録領域内にPS−PMMAブロックコポリマーを充填し、アニールにより相分離させて45nmピッチでPSドットを配列させた以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を作製した。この磁気記録媒体では、記録領域の記録ドットが全て等距離(同一ピッチ)で配列していた。
これらの磁気記録媒体をそれぞれハードディスクドライブへ組み込んだ。あらかじめ記録領域周縁部の第1の記録ドットにアドレス情報を記録し、記録領域中央部の第2の記録ドットに対してユーザーデータのリード/ライト試験を行い、第1の記録ドットへの書き込みエラー率を比較した。
実施例2の媒体では書き込みエラー率は10の−5.5乗、比較例の媒体では10の−3.8乗であった。この結果から、実施例2の媒体および磁気記録装置は、比較例と比べてエラー率の点で優れていることがわかる。
一実施形態に係る磁気記録媒体の平面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の平面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の平面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の平面図。 一実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。 ガイドパターンの最適な高さを説明する断面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。 他の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。 一実施形態に係る磁気記録装置を示す斜視図。 他の実施形態に係る磁気記録装置を示す断面図。
符号の説明
1…基板、2…磁気記録層、3…ガイドパターン、4…記録領域、5…ガイドパターン、6…記録領域、10…分離領域、11…第1の記録ドット、12…第2の記録ドット、31…磁気記録媒体、32…記録トラック、50…インプリントスタンパ、51…第1のドット、52…第2のドット、53…マトリックス、61…第1のドット、62…第2のドット、70…筐体、71…磁気記録媒体、72…スピンドルモータ、73…ピボット、74…アクチュエータアーム、75…サスペンション、76…ヘッドスライダ、77…ボイスコイルモータ、81…記録再生ヘッド。

Claims (10)

  1. 基板上に形成された複数の記録領域と、
    前記記録領域間に形成され、前記記録領域を規定する分離領域と、
    前記複数の記録領域内で配列したドット状の磁気記録層で形成された、前記分離領域に沿って前記記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1の記録ドットと、
    前記記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2の記録ドットと
    を有し、
    最近接の第1の記録ドットと第2の記録ドットとの距離は、最近接の第2の記録ドット間の距離よりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記第1の記録ドットに読み取り専用の情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記読み取り専用の情報が前記記録領域のアドレス情報であることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録装置。
  4. 前記読み取り専用の情報が暗号鍵情報であることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録装置。
  5. 基板上に磁気記録層を成膜し、
    前記磁気記録層上に複数の記録領域を規定する分離領域に対応するガイドパターンを形成し、
    前記ガイドパターンによって規定された記録領域内で自己組織化材料を自己組織化させ、前記ガイドパターンに沿って前記記録領域の周縁部に1列ずつ配列した第1のドットおよび前記記録領域の中央部に規則的な格子を組んで配列した第2のドット(ここで、最近接の第1のドットと第2のドットとの距離は、最近接の第2のドット間の距離よりも大きい)を形成し、
    前記第1のドットおよび第2のドットのパターンを前記磁気記録層に転写して、ドット状の磁気記録層で形成された第1の記録ドットおよび第2の記録ドットを形成する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記ガイドパターンを凸部の形態で形成し、それによって囲まれた凹部を前記記録領域として規定し、前記自己組織化材料にブロックコポリマーを用いて前記記録領域の凹部に塗布し、前記ブロックコポリマーを相分離させて前記第1のドットおよび第2のドットを形成することを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記ガイドパターンの凸部の高さを、前記最近接の第2のドット間の距離の2/3倍〜2倍に設定することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 請求項1に記載の磁気記録媒体と、記録再生ヘッドとを有することを特徴とする磁気記録装置。
  9. 前記記録再生ヘッドは2方向へ移動可能であることを特徴とする請求項8に記載の磁気記録装置。
  10. 前記磁気記録媒体はディスク形状であり回転可能に支持され、前記記録再生ヘッドは回動可能に支持されていることを特徴とする請求項8に記載の磁気記録装置。
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