JP2008088454A - 棒状の被熱処理材の起伏システム - Google Patents

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Abstract

【課題】竪型炉の炉蓋に一端部がピン結合された棒状の被熱処理材の起き伏し作業を容易にする棒状の被熱処理材の起伏装置を提供する。
【解決手段】棒状の被熱処理材の起伏システムは、一端部が竪型炉の炉蓋20にピン結合された棒状の被熱処理材10を炉蓋20の昇降に伴い起伏させる。起伏システムは、炉蓋20を昇降させる天井クレーン11と、伏せられた状態にある被熱処理材10の軸線と平行な水平方向に移動可能であり、被熱処理材10が起こされるときには被熱処理材10の一端部の真下に向けて前進し、被熱処理材10が伏せられるときには被熱処理材10の一端部の真下から離間する方向に後退するスライド台車62と、スライド台車62に配置され、被熱処理材10が起伏するとき、被熱処理材10の起伏角度に対応して回動しながら被熱処理材10の他端部を支持する支持ブロック76とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、棒状の被熱処理材の起伏システムに係わり、より詳しくは、竪型炉の炉蓋に一端部がピン結合された棒状の被熱処理材の起伏システムに関する。
航空機エンジンのシャフト等に用いられる長尺で大型の棒状の金属材料(被熱処理材)については、その焼き入れや焼き戻し等の熱処理が竪型炉を用いて実施される。
具体的には、特許文献1に記載されるように、被熱処理材は、炉蓋から吊設治具を介して吊り下げられた状態で竪型炉内に収容され、周囲の発熱体によって加熱される。炉蓋と被熱処理材との連結は、床に寝かされた被熱処理材の一端部を吊設治具に固定して行われる。吊設治具は、炉蓋を貫通する回転棒に対して吊設板及び通し棒により連結されており、炉蓋をクレーンで上昇させることにより、回転軸及び吊設治具が上下に一直線上に並び、そして、被熱処理材が垂直に起たされる。
特開平7−278647号公報
従来、天井クレーンで炉蓋を昇降して被熱処理材を起こしたり伏せたりするのは、クレーン作業に熟練した作業者が専ら行っていた。これは、床に寝かされた被熱処理材を立てる場合には、被熱処理材の他端部が床と摺動するのを防止すべく、炉蓋を上昇させながら、炉蓋を被熱処理材の他端部の上方に徐々に水平移動させる必要があるからである。また、被熱処理材を床に寝かせる場合にも、被熱処理材の他端部が床と摺動するのを防止すべく、被熱処理材の他端部が床に着いた時点から、炉蓋を水平移動させながら、炉蓋を徐々に下降させる必要があるからである。
このようにクレーン作業に熟練した一部の作業者しか被熱処理材を起こしたり伏せたりできないということは、熱処理工程の標準化の妨げになっており、延いては最終製品の生産効率の向上を阻害している。
また、被熱処理材を起こしたり伏せたりするときに、被熱処理材の他端部が床と摺動してしまうと、被熱処理材が損傷して歩留まりが低下するという問題もある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、竪型炉の炉蓋に一端部がピン結合された棒状の被熱処理材の起き伏し作業を容易にする棒状の被熱処理材の起伏装置を提供することにある。
本発明によれば、一端部が竪型炉の炉蓋にピン結合された棒状の被熱処理材を前記炉蓋の昇降に伴い起伏させる棒状の被熱処理材の起伏システムであって、前記炉蓋を昇降させる天井クレーンと、伏せられた状態にある前記被熱処理材の軸線と平行な水平方向に移動可能であり、前記被熱処理材が起こされるときには前記被熱処理材の一端部の真下に向けて前進し、前記被熱処理材が伏せられるときには前記被熱処理材の一端部の真下から離間する方向に後退するスライド台車と、前記スライド台車に配置され、前記被熱処理材が起伏するとき、前記被熱処理材の起伏角度に対応して回動しながら前記被熱処理材の他端部を支持する支持ブロックとを備えることを特徴とする棒状の被熱処理材の起伏システムが提供される(請求項1)。
好ましくは、前記支持ブロックは、前記被熱処理材が起伏するとき前記被熱処理材に作用する力の一部を前記スライド台車が前記水平方向に移動するための力に変換する(請求項2)。
好ましくは、前記支持ブロックは、前記被熱処理材の他端部の外周面に当接する第1領域と、前記被熱処理材の他端部の端面に当接する第2領域とを有する(請求項3)。
好ましくは、前記被熱処理材が伏せているとき、前記移動スライド台車よりも前記被熱処理材の一端部側に配置され、前記支持ブロックと協働し前記被熱処理材を支持する固定ブロックと、前記固定ブロックを上下方向に移動させる昇降装置とを更に備える(請求項4)。
本発明の請求項1の棒状の被熱処理材の起伏システムでは、横になっている被熱処理材を立たせるとき、天井クレーンによって炉蓋が引き上げられる。炉蓋の上昇に伴い、炉蓋にピン結合された棒状の被熱処理材の一端部も引き上げられ、この一方、被熱処理材の他端部を支持するスライド台車が、被熱処理材の一端部の真下に向けて前進する。この結果として、天井クレーンによる炉蓋の水平移動距離が短縮され、被熱処理材が容易に立てられる。
一方、立っている被熱処理材を横にするときには、クレーンによって炉蓋が降ろされる。炉蓋の下降に伴い、棒状の被熱処理材の一端部も下降し、この一方、被熱処理材の他端部を支持するスライド台車が、被熱処理材の一端部の真下から離間する方向に後退する。この結果として、天井クレーンによる炉蓋の水平移動距離が短縮され、被熱処理材が容易に横にされる。
請求項2の棒状の被熱処理材の起伏システムでは、被熱処理材が起伏するときに被熱処理材に作用する力の一部を利用してスライド台車が移動するので、スライド台車のための動力源が必要ない。この結果として、起伏システムの構成が簡単になる。
請求項3の棒状の被熱処理材の起伏システムでは、支持ブロックの第1領域及び第2領域が被熱処理材の他端部に当接する。このため、被熱処理材が起伏するとき、被熱処理材の他端部の損傷が防止される。
請求項4の棒状の被熱処理材の起伏システムでは、横になっている被熱処理材を、固定ブロックと支持ブロックとで支持し、且つ、昇降装置により固定ブロックを上下に昇降させることで、被熱処理材に対する炉蓋の脱着が容易になる。また、被熱処理材の一端部の外径が他端部の外径と異なっていても、被熱処理材を水平に保持することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係わる被熱処理材の起伏システムの側面図である。
この起伏システムは、長尺な棒状の被熱処理材10を立てるのに使用され、立てられた被熱処理材10は、竪型炉で熱処理される。また、このシステムは、立てられた状態の被熱処理材10を横にするのにも使用され、被熱処理材10としての航空機用エンジンのシャフトの材料等の起伏に適用される。被熱処理材10は、立てられた状態で熱処理されることで自重による湾曲や歪みが防止され、その製品価値が向上する。
起伏システムは天井クレーン11を備え、天井クレーン11のレール12上にはトロリ14が走行可能に配置されている。トロリ14からは下方に向けて巻上ワイヤロープが延び、巻上ワイヤロープの下端にはフック18が取り付けられている。トロリ14には、図示しないけれども昇降用モータが搭載され、昇降用モータを作動させることにより、巻上ワイヤロープが巻き取られるか若しくは繰り出され、これによりフック18は上下に移動する。
天井クレーン11は、フック18を介して竪型炉の炉蓋20に連結される。より詳しくは、炉蓋20は略円錐台形状の本体部22を有し、本体部22の上にはトップリング24が配置されている。また、本体部22の外周近傍には4つの係止リング26が固定され、各係止リング26とトップリング24との間には連結ワイヤロープが架け渡されている。フック18はトップリング24に引っ掛けられ、本体部22は、係止リング26、連結ワイヤロープ及びトップリング24を介して、天井クレーン11によって吊られる。
また、炉蓋20は、本体部22から下方に突出する連結軸28を有し、連結軸28の下端部には、略円柱状の吊下治具30の上端部がピン結合されている。吊下治具30の下端部には、被熱処理材10の一端部が脱着可能にピン結合され、連結軸28及び吊下治具30を介して、炉蓋20と被熱処理材10とがピン結合される。
なお、連結軸28は、本体部22の上に設けられた回転モータ32と図示しない歯車とによって回転させることができ、竪型炉で熱処理されている間、被熱処理材10を回転させることができる。
また、起伏システムは蓋台34を有し、蓋台34は、炉蓋20の本体部22を下側から支持可能である。より詳しくは、蓋台34は、図2も併せて参照すると、平面図でみてコの字形状の下部フレーム36を有し、下部フレーム36の4隅には支柱38が立てられている。4本の支柱38は上部フレーム40を支持しており、上部フレーム40も平面図でみてコの字形状をなす。
蓋台34が炉蓋20を支持しているとき、蓋台34の上部フレーム40が炉蓋20の本体部22に当接し、吊下治具30は真っ直ぐに垂れ下がる。炉蓋20の下には、4本の支柱38によって囲まれた作業スペースが確保され、この作業スペースにて、炉蓋20に対して被熱処理材10を脱着する作業が行われる。なお、蓋台34の下部フレーム36の下には車輪が設けられ、蓋台34は床の上を走行可能である。
更に、起伏システムは搬送台車42を有し、搬送台車42は、動力の供給を受けることで床上を水平方向に往復動可能である。搬送台車42の移動範囲内に蓋台34は位置し、搬送台車42は蓋台34に対して接離可能である。
また、搬送台車42は被熱処理材10を搭載することができる。より詳しくは、搬送台車42の荷台部44は長尺且つ扁平な直方体形状をなし、荷台部44の下に車輪が設けられている。蓋台34の上部フレーム40及び下部フレーム36は、搬送台車42に向けて開いており、荷台部44の一端側は、蓋台34に支持されている炉蓋20の下まで移動可能である。
荷台部44の上面には昇降装置46が固定され、昇降装置46は、荷台部44の一端側に位置している。昇降装置46は、例えば図3に示したようなパンタグラフ形のジャッキであり、荷台部44の上面に設置されるベース部48を有する。ベース部48の上には、油圧モータ50の作動によって上下に伸縮するリンク部52が設けられ、リンク部52はトップ部54を支持している。
昇降装置46のトップ部54の上には、固定ブロック56が配置されている。図4に示したように、固定ブロック56は略直方体形状をなすが、その上面にV字形状の溝58を有し、溝は、荷台部44の長手方向に延びている。溝を形成する各斜面には凹みが形成され、各凹みには、ローラ60が回転可能に配置される。各ローラ60も荷台部44の長手方向に延び、ローラ60の一部は凹みから突出している。各ローラ60の突出した部分は、固定ブロック56が水平な状態にある被熱処理材10の一端部を支持するとき、被熱処理材10の外周面に線接触する。
また、再び図1を参照すると、荷台部44の上にはスライド台車62が配置され、スライド台車62は、荷台部44の長手方向に移動可能である。より詳しくは、図2及び図5も併せて参照すると、スライド台車62は荷台板64を有し、荷台板64の下面に車輪が取り付けられている。搬送台車42の荷台部44の上面には、荷台部44の長手方向にそれぞれ延びる2本のガイド溝66が形成され、スライド台車62の車輪はガイド溝66に略埋没させられる。従って、スライド台車62は、ガイド溝66によって案内されながら、荷台部44の上を走行可能である。なお、スライド台車62の移動方向は、天井クレーン11のレール12と平行であり、スライド台車62の移動は、前後のストッパ68,70によって規制される。
スライド台車62の荷台板64の上には、1対の軸受72が固定されている。軸受72は、回転軸74の両端部を回転自在に支持し、回転軸74の中間部は支持ブロック76を貫通している。従って、支持ブロック76は回転軸74の周りを回転可能である。
支持ブロック76は、略直方体形状の側面支持部78と、側面支持部78と一体の板状の端壁部80とを有する。支持ブロック76は側面からみてL字形状をなし、側面支持部78がL字の一辺を構成し、端壁部80がL字の他辺を構成する。回転軸74は、側面支持部78と端壁部80とが直交しているL字の角近傍を貫通しており、支持ブロック76は、回転軸74の周りを90度の範囲にて回転可能である。支持ブロック76の回転に伴い、側面支持部78は、荷台板64に対し平行な状態から垂直な状態まで回転する。一方、支持ブロック76の回転に伴い、端壁部80は、荷台板64に対し垂直な状態から平行な状態まで回転する。
支持ブロック76の側面支持部78は、一つの面にV字形状の溝82を有し、この面は、側面支持部78が荷台板64に対し平行な状態にあるとき上方を向く。溝82は、側面支持部78が荷台板64に対し平行な状態にあるとき荷台部44の長手方向に延び、溝82を形成する各斜面には凹みが形成されている。各凹みには、ローラ84が回転可能に配置される。各ローラ84も荷台部44の長手方向に延び、ローラ84の一部は凹みから突出している。各ローラ84の突出した部分は、支持ブロック76が被熱処理材10の他端部を支持するとき、被熱処理材10の外周面に線接触する。
一方、支持ブロック76の端壁部80は、支持ブロック76が被熱処理材10の他端部を支持するとき、被熱処理材10の他端部の端面に面接触する。
以下、上述した起伏システムの使用方法について、横になっている被熱処理材10を立てる場合を説明する。
まず、図1に示したように、これから立てられる被熱処理材10は搬送台車42に載せられており、搬送台車42は蓋台34から離間している。蓋台34は炉蓋20を支持しており、炉蓋20のトップリング24には天井クレーン11のフック18が引っ掛けられている。
図1の状態から、搬送台車42を蓋台34に向けて移動させ、図6に示したように、被熱処理材10の一端部を吊下治具30の下方に位置付ける。換言すれば、被熱処理材10の貫通孔を吊下治具30のピン孔の下方に位置付ける。それから、図7に示したように、吊下治具30と被熱処理材10とのピン結合のために、昇降装置46を駆動して被熱処理材10の一端部を持ち上げる。このとき、支持ブロック76は僅かに回動し、被熱処理材10の傾動を許容する。
吊下治具30のピン孔と被熱処理材10の貫通孔とが揃ったところで、これらピン孔及び貫通孔にピンを挿入し、ピンに抜け止めを施す。それから、図8に示したように、天井クレーン11によって炉蓋20を真上に徐々に吊り上げる。ここで、炉蓋20を徐々に引き上げることにより、被熱処理材10の一端部は真上に移動し、被熱処理材10の傾きが大きくなる。被熱処理材10の傾き(起伏角度)が大きくなるのに伴い、被熱処理材10の他端部は、一端部の真下に向けて移動する。すなわち、炉蓋20を徐々に引き上げることにより、スライド台車62は被熱処理材10の一端部の下方に向けて前進し、被熱処理材10の傾きに対応して支持ブロック76は回動する。このときのスライド台車62の前進方向は、伏している被熱処理材10の軸線に平行な水平方向である。
炉蓋20の真上への上昇は、スライド台車62がストッパ68に当接するまで行われる。スライド台車62がストッパ68に当接した後は、被熱処理材10の一端部が他端部の真上に来るよう、天井クレーン11を操作する。すなわち、巻上ワイヤロープを巻き取ってフック18を徐々に上昇させ、この一方で、トロリ14を移動させてフック18を水平方向にも移動させる。
かくして、被熱処理材10の一端部が他端部の真上に来ると、図9に示したように、被熱処理材10は完全に立った状態になる。このとき、支持ブロック76は、被熱処理材10が横になっていたときから90度の回転角だけ回動しており、支持ブロック76の端壁部80が水平になる。この後、天井クレーン11を操作して、炉蓋20を竪型炉まで移動させ、被熱処理材10が熱処理される。
立っている被熱処理材10は、被熱処理を立てた手順とは逆の手順にて横にされる。
まず、図9に示したように、立っている被熱処理材10の他端部を支持ブロック76の端壁部80上に配置し、次いで、図8に示したように、炉蓋20を蓋台34の上に移動させる。すなわち、巻上ワイヤロープを繰り出してフック18を徐々に下降させ、この一方で、トロリ14を移動させてフック18を水平方向にも移動させる。
この後、図7に示したように被熱処理材10が支持ブロック76に当接するまで炉蓋20を真下に下降させてから、吊下治具30と被熱処理材10とのピン結合を解除する。そして、昇降装置46により支持ブロック76を下降させて、被熱処理材10を水平にする。
かくして横にされた被熱処理材10は、搬送台車42により下流工程に搬出される。
上述の起伏システムでは、横になっている被熱処理材10を立たせるとき、天井クレーン11によって炉蓋20が引き上げられる。炉蓋20の上昇に伴い、炉蓋20にピン結合された棒状の被熱処理材10の一端部も引き上げられ、この一方、被熱処理材10の他端部を支持するスライド台車62が、被熱処理材10の一端部の真下に向けて前進する。この結果として、天井クレーン11による炉蓋20の水平移動距離が短縮され、被熱処理材10が容易に立てられる。
一方、立っている被熱処理材10を横にするときには、天井クレーン11によって炉蓋20が降ろされる。炉蓋20の下降に伴い、棒状の被熱処理材10の一端部も下降し、この一方、被熱処理材10の他端部を支持するスライド台車62が、被熱処理材10の一端部の真下から離間する方向に後退する。この結果として、天井クレーン11による炉蓋20の水平移動距離が短縮され、被熱処理材10が容易に横にされる。
更に、上述の起伏システムでは、支持ブロック76のローラ84及び端壁部80が被熱処理材10の他端部に当接し、支持ブロック76の角が被熱処理材10の他端部に当接することはない。このため、被熱処理材10が起伏するとき、被熱処理材10の他端部の損傷が防止される。
本発明は上記した一実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能であり、例えば、スライド台車62に前進又は後退のための動力を供給し、天井クレーン11の昇降に連動してスライド台車62を前進又は後退させてもよい。ただし、一実施形態の場合のように、被熱処理材10が起伏するときに被熱処理材10に作用する力の一部を利用してスライド台車62を移動させるのが好ましい。この場合、スライド台車62のための動力源を設ける必要がなく、システムの構成を簡単にすることができるからである。
上述の起伏システムでは固定ブロック56及び昇降装置46を省略してもよい。ただし、横になっている被熱処理材10の一端部側を固定ブロック56及び昇降装置46で支持すれば、炉蓋20に対する被熱処理材10の脱着が容易になる。
すなわち、昇降装置46を使用して固定ブロック56を上下に昇降させることで、被熱処理材10の貫通孔と吊下治具30のピン孔との高さ方向での位置合わせを容易に行うことができる。
また、被熱処理材10の一端部の外径が他端部の外径と異なっていても、固定ブロック56を上下に昇降させれば、固定ブロック56と支持ブロック76によって、被熱処理材10を水平に保持することができる。
上述の起伏システムでは固定ブロック56及び支持ブロック76のローラ60,84を省略してもよいが、ローラ60,84を設ければ、固定ブロック56及び支持ブロック76によって支持された被熱処理材10を回転させることができる。この結果として、吊下治具30のピン孔に対する被熱処理材10の貫通孔の周方向での位置合わせが容易になる。
上述の起伏システムでは、蓋台34は走行可能であったけれども、床に固定されていてもよい。また、固定ブロック56及びスライド台車62は、搬送台車42の上に配置されていたけれども、床の上に配置してもよい。ただし、被熱処理材10を熱処理工程の上流工程から受け取り、下流工程に受け渡すために、固定ブロック56及びスライド台車62を搬送台車42の上に配置するのが好ましい。
上述の起伏システムでは、蓋台34を省略してもよいが、炉蓋20に対する被熱処理材10の脱着作業の安全を確保するため、脱着作業時には、炉蓋20を蓋台34で支持するのが好ましい。
上述の起伏システムでは、被熱処理材10は吊下治具30にピン結合されていたけれども、炉蓋20の連結軸28に被熱処理材10を直接ピン結合してもよい。
上述の起伏システムは、1本の被熱処理材10を起伏するものであったが、図10に示した起伏システムでは、2本の被熱処理材10を起伏することができる。この場合、炉蓋20は直径方向に互いに離間した2本の連結軸28を有し、各連結軸28に連結された吊下治具30に対し、被熱処理材10がピン結合される。また、搬送台車42には、2本の被熱処理材10を支持するべく、2組のスライド台車62及び固定ブロック56が並列に配置される。
一実施形態の起伏システムの構成を概略的に示す側面図である。 天井クレーンを除いた図1のシステムを示す上面図である。 図1の起伏システムの昇降装置を概略的に示す側面図である。 図1の起伏システムの固定ブロックを概略的に示す斜視図である。 図1の起伏システムのスライド台車を概略的に示す斜視図である。 図1の起伏システムの使用方法を説明するための図である。 図1の起伏システムの使用方法を説明するための図である。 図1の起伏システムの使用方法を説明するための図である。 図1の起伏システムの使用方法を説明するための図である。 変形例の起伏システムを概略的に示す上面図である。
符号の説明
10 被熱処理材
11 天井クレーン
20 炉蓋
62 スライド台車
76 支持ブロック

Claims (4)

  1. 一端部が竪型炉の炉蓋にピン結合された棒状の被熱処理材を前記炉蓋の昇降に伴い起伏させる棒状の被熱処理材の起伏システムであって、
    前記炉蓋を昇降させる天井クレーンと、
    伏せられた状態にある前記被熱処理材の軸線と平行な水平方向に移動可能であり、前記被熱処理材が起こされるときには前記被熱処理材の一端部の真下に向けて前進し、前記被熱処理材が伏せられるときには前記被熱処理材の一端部の真下から離間する方向に後退するスライド台車と、
    前記スライド台車に配置され、前記被熱処理材が起伏するとき、前記被熱処理材の起伏角度に対応して回動しながら前記被熱処理材の他端部を支持する支持ブロックと
    を備えることを特徴とする棒状の被熱処理材の起伏システム。
  2. 前記支持ブロックは、前記被熱処理材が起伏するとき前記被熱処理材に作用する力の一部を前記スライド台車が前記水平方向に移動するための力に変換することを特徴とする請求項1に記載の棒状の被熱処理材の起伏システム。
  3. 前記支持ブロックは、
    前記被熱処理材の他端部の外周面に当接する第1領域と、
    前記被熱処理材の他端部の端面に当接する第2領域と
    を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の棒状の被熱処理材の起伏システム。
  4. 前記被熱処理材が伏せているとき、前記移動スライド台車よりも前記被熱処理材の一端部側に配置され、前記支持ブロックと協働し前記被熱処理材を支持する固定ブロックと、
    前記固定ブロックを上下方向に移動させる昇降装置と
    を更に備える
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の棒状の被熱処理材の起伏システム。
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