JP6379122B2 - 昇降支柱および昇降装置 - Google Patents
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狭い坑内ではベルトコンベアが他の設備や作業と干渉する可能性があるため、工程に応じてベルトコンベアの設置高さを上下させる必要が生じる。
例えば、トラックミキサ等の工事車両をUターンさせるためのターンテーブルを設置する場合、ターンテーブル部ではベルトコンベアと工事車両との抵触を避けるため、ベルトコンベアを高所に吊り上げる必要がある。
また、これらの設備や作業はトンネルの延伸に応じて移動するため、工程に応じてベルトコンベアの設置高さを適宜変えてゆく必要がある。
また、特許文献1、2に開示されるように、牽引式の支持台車を用いてベルトコンベアを連続的に上下させる方法もある。
<1>ベルトコンベアの吊り上げに重機が必要である。このため、限られた空間を大幅に占有し、他の作業の邪魔になるので、工期の遅延の原因となる。また、重機を狭い坑内で操作するのは難しく、作業効率が悪い。
<2>事前に受け替え用のアンカーや金具を孔壁に取り付ける必要がある。よって、作業効率が悪く、施工コストが高い。
<3>受け替え作業を吊り上げたベルトコンベアの上で行う。ベルトコンベアの上は柔らかく不安定であるため、作業効率が悪く、安全の確保が難しい。
<4>支持台車は大型であるため、運搬時に広い通路を確保する必要がある。そのため、他の工程に影響を与え工期を遅延させる。
<5>支持台車からベルトコンベアをジャッキアップする機構は、構造上ベルトコンベアの昇降幅がジャッキの最大高に制限されるため、ベルトコンベアを高所へ上昇させることができない。
<1>ベルトコンベアの昇降を地上から人力で行うことができるため、作業効率が非常に高い。また、重機を使用しないため空間を有効に利用できる。
<2>昇降装置をそのまま架台として使用することで、受け替え用のアンカーや金具の取り付けが不要となる。よって、作業効率が高く、施工コストを大幅に低減できる。
<3>ベルトコンベアの昇降を地上から行うことができる。よって、受け替え時の高所作業を減らすことができるため、作業の安全性が高い。
<4>昇降装置は、2本の昇降支柱を現場で組み立ててなる分割構造であるため、狭い坑内でも運搬が容易であり、他の工程に干渉しない。
<5>2本の昇降支柱をそれぞれ独立して昇降させることができる。よって、それぞれの昇降支柱の高さを調節することで、ベルトコンベアのレベル調整を行うことができる。また、地盤に不陸があってもベルトコンベアを水平に保つことができる。
<6>基台の上部から柱材を吊り上げる機構であるため、ベルトコンベアの昇降幅が非常に大きい。
なお、説明にあたり「上」「下」の語は、昇降支柱または昇降装置を地盤に設置した状態における上下方向を指す。
<1>全体の構成(図2)。
本発明の昇降支柱10は、ベルトコンベアAを支持して昇降させるための支柱である。
昇降支柱10は、ベルトコンベアAを下部から支持する柱材11と、柱材11をスライド昇降可能に支持する基台12と、柱材11を吊り上げて昇降させる揚重装置13と、を備える。
柱材11は、長尺状のスライド部11aと、スライド部11aの上部に設けた支持部11bと、スライド部11aの下部に設けた第一掛止部11cと、を備える柱状体である。
スライド部11aは、支持部11bをスライド昇降させるための長尺状の部材である。
本例ではスライド部11aとして、角形鋼管を採用する。ただしこれに限られず、円形鋼管などであっても良い。
スライド部11aの上部は支持部11bと接続する。また、スライド部11aの下部には第一掛止部11cを設ける。
スライド部11aの中間部は、後述する基台12の胴筒12a内に内挿され、胴筒12a内を上下にスライド可能である。
スライド部11aの長さはベルトコンベアAの昇降幅に応じて設計する。
支持部11bは、ベルトコンベアAの支持レールaを下方から支持する部材である(図3)。
本例では、スライド部11aの上端部に、断面コの字状の鋼材を、開放部を上方に向けて接続してなる。ただしこれに限られず、他の公知の機構を採用しても良い。
第一掛止部11cは、後述する揚重装置30の線条体13bを掛けて接続する部分である。
本例では、スライド部11a下部の側面から側方に向けて棒状体を突設してなる。ただしこれに限られず、リング状の部材としたり、スライド部11aの側面に穴を設けてこれを第一掛止部11cとしてもよい。
基台12は、胴筒12aと、胴筒12aの下部に接続する足部12bと、胴筒12aの側面に設けた第二掛止部12cと、を備える部材である。
胴筒12aは、柱材11のスライド部11aを上下にスライド可能に保持する筒状の部材である。
本例では、胴筒12aとして角形鋼管を採用する。ただしこれに限られず、スライド部11aを円柱とする場合、胴筒12aを円筒形にしてもよい。胴筒12aの内部形状および内径はスライド部11aの外径に対応させる。
第二掛止部12cは、後述する揚重装置13の作動部13aを掛けて接続する部分である。
本例では、胴筒12aの側面から側方に向けて棒状体を突設してなる。ただしこれに限られず、リング状の部材としたり、胴筒12aの側面に穴を設けてこれを第二掛止部12cとしてもよい。
第二掛止部12cの設置高さは、作業員が揚重装置13の作動部13aを操作しやすい高さに設定するとよい。本例では、胴筒12aの上部に設けている。
揚重装置13は、柱材11と基台12との間に架け渡し、操作によって柱材11を昇降させる部材である。
揚重装置13は、作動部13aと、作動部13aによって巻取可能な線条体13bと、を備える。
作動部13aは第二掛止部12cに接続する。線条体13bは第一掛止部11cに接続する。
本例では、作動部13a、線条体13bともに掛止フックを有するため、これを第二掛止部12c、第一掛止部11cの突起部に掛けることで、容易に接続することができる。
なお、本例と逆に、作動部13aを第一掛止部11cに接続し、線条体13bを第二掛止部12cに接続する構成としてもよい。
作動部13aを操作して線条体13bを巻上げると、柱材11が線条体13bに吊上げられて、ベルトコンベアAが上昇する。
作動部13aを操作して線条体13bを繰り出すと、柱材11とベルトコンベアAの自重によって、ベルトコンベアAが下降する。
本例では、揚重装置13として、レバーホイストを採用する。
レバーホイストは、ギアボックス(作動部13a)とチェーン(線条体13b)からなる手動機械であって、レバー操作によって人力で重量数トンの対象物を吊上げ可能な機械である。
レバーホイストは、例えば、株式会社キトーの商品名「レバーブロック(登録商標)」として知られる。その機構は公知であるので、ここでは詳述しない。
<1>全体の構成(図1)。
引き続き、本発明の昇降装置1について説明する。
昇降装置1は、ベルトコンベアAを下部から支持し、昇降させるための装置である。
昇降装置1は、地盤に並立した2本の昇降支柱10の基台11同士を、連結材20で水平方向に連結してなる。
連結材20は、2本の昇降支柱10を連結するための部材である。
本例では、連結材20として、2本の昇降支柱10の基台12の間に水平方向に架設した単管パイプを採用する。
連結材20と昇降支柱10とは、後述する固定機構30を介して連結する。
固定機構30は、連結材20を基台12に固定する機構である。
本例では、固定機構30として、基台12の胴筒12aに固定した直交クランプを採用する。
ただしこれに限らず、その他公知の部材を採用してもよい。また、固定機構30は独立した部材に限らず、例えば、胴筒12a自体に連結材20を固定する機構を設け、これを固定機構30としてもよい。
本発明の昇降装置1は、2本の昇降支柱10と連結材20とによる分割構造であるため、昇降支柱10を分割した状態で設置場所へ運ぶことができる。よって、狭い坑内でも搬送が容易である。
引き続き、本発明の昇降装置1の使用方法について詳細に説明する(図3、4)。
本例では、孔壁に設置した複数のブラケットの間に架け渡されたベルトコンベアAを、下方から持ち上げて、昇降装置1に受け替える作業について説明する。
ベルトコンベアAは、トンネルの延長方向に沿って平行に延在する2本の支持レールaを備え、支持レールaの上部にローラーとベルトが設置されている。
第一昇降支柱10Aを、ベルトコンベアAの片側の支持レールaの直下の地盤に立設する。
第一昇降支柱10Aと第二昇降支柱10Bの基台12には、あらかじめ固定機構30の直交クランプを締結しておく。
続いて、揚重装置13の作動部13aを操作して柱材11を上昇させ、支持部11bを支持レールaの下部に当接させる。
支持レールaへの当接後も柱材11を小幅に上昇させ、ベルトコンベアAの荷重で第一昇降支柱10Aを地盤に押付けることで、第一昇降支柱10Aを自立させる。
第二昇降支柱10Bを、他側の支持レールaの直下の地盤に立設する。
続いて、第一昇降支柱10Aと同様に、支持部11bを支持レールaの下部に当接させ、揚重装置13を操作することで、第二昇降支柱10Bを支持レールaの直下に自立させる。
第一昇降支柱10Aの締結機構30の直交クランプに、連結材20の鋼管パイプを水平方向に挿通し、第二昇降支柱10Bの締結機構30に連通させる。
つづいて、それぞれの締結機構30を締結することで、連結材20を介して第一昇降支柱10Aと第二昇降支柱10Bとを連結させ、昇降装置1を完成させる。
この際、第一昇降支柱10Aと第二昇降支柱10Bの設置地盤に不陸があり、両者の設置高さに差がある場合には、締結機構30を基台12上で上下させることにより調整する。
第一昇降支柱10Aと第二昇降支柱10B両者の揚重装置13を操作して、左右の支持レールaそれぞれの高さを調整する。
本発明の昇降装置1は、それぞれの昇降支柱10を独立して昇降させることができるため、設置場所の地盤に不陸があっても、それぞれの昇降支柱10の高さを調整することで、ベルトコンベアAを水平に保つことができる。
実施例1では揚重装置13にレバーホイストを採用したが、これに限るものではない。レバーホイストにかわって、例えば、チェーンブロック、電動ウインチ、油圧ウインチ、ギア機構、モーター機構などを採用することもできる。
これらの場合、線条体13bはチェーンの他、ワイヤなどであってもよい。
要は作業員の操作によって、柱材11を地上から容易に昇降できる機構であればよい。
10 昇降支柱
11 柱材
11a スライド部
11b 支持部
11c 第一掛止部
12 基台
12a 胴筒
12b 足部
12c 第二掛止部
13 揚重装置
13a 作動部
13b 線条体
20 連結材
30 固定機構
A ベルトコンベア
a 支持レール
Claims (3)
- トンネル工事において、連続ベルトコンベアを下方から支持して昇降させるための、昇降支柱であって、
柱材と、基台と、揚重装置と、を備え、
前記柱材は、上部にベルトコンベアの支持部を備え、下部に第一掛止部を備え、
前記基台は、胴筒と、前記胴筒の下部と接続している足部と、前記胴筒に設けられた第二掛止部と、を備え、
前記揚重装置は、一端が前記第二掛止部と、他端が前記第一掛止部と、それぞれ接続しており、
前記柱材は前記胴筒内に位置し、前記揚重装置の操作によって昇降可能なことを特徴とする、
昇降支柱。 - 前記揚重装置は、レバーホイストまたはチェーンブロックであることを特徴とする、請求項1に記載の昇降支柱。
- 請求項1または2に記載の昇降支柱を有する昇降装置であって、
並立する2本の前記昇降支柱と、
前記2本の昇降支柱の間に位置し、両端が前記2本の昇降支柱の基台とそれぞれ連結している、連結材と、を備えることを特徴とする、
昇降装置。
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