JP2008088217A - 反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この種の重合物からなる樹脂成形体は、本質的効果として求められる難燃性の点で不十分であり、また、機械的特性(特に、高いガラス転移温度および密着性)においても不十分である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示されるアクリロイルオキシアルキレンオキシ基若しくはメタクリロイルオキシアルキレンオキシ基。
[工程]
下記の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つがA1および/またはA2基であり、かつ少なくとも一つがA3基により置換されるよう下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する工程。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(4)で示されるアクリロイルオキシアルキレンオキシ基若しくはメタクリロイルオキシアルキレンオキシ基。
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤は、下記の式(1)で表されるものである。
炭素数が1〜8のアルコキシ基。このアルコキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、1−プロピル−2−ブテニルオキシ基、5−オクテニルオキシ基、ベンジルオキシ基および2−フェニルエトキシ基等を挙げることができる。このうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、1−プロペニルオキシ基およびベンジルオキシ基が好ましく、エトキシ基およびn−プロポキシ基が特に好ましい。
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
下記の式(2)で示されるアクリロイルオキシアルキレンオキシ基若しくはメタクリロイルオキシアルキレンオキシ基。
A3基である4−(アクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(メタクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA1基であるエトキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(アクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(メタクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(アクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(メタクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(アクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(メタクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(アクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(メタクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるジメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(アクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、A3基である4−(メタクリロイルオキシ)ブチレンオキシ基とA2基であるナフチルオキシ基との組み合わせのもの、およびこれらの任意の混合物を挙げることができる。
Aが、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(アクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのもの、A3基である2−(メタクリロイルオキシ)エチレンオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組み合わせのものおよびこれらの任意の混合物が好ましい。
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤を製造する場合は、先ず、下記の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドを用意する。
炭素数が1〜8のアルコール類。
このアルコール類は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノ−ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、ビニルアルコール、1−プロペン−1−オール、2−プロペン−1−オール(アリルアルコール)、1−メチル1−エテン−1−オール、3−ブテン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプテン−4−オール、5−オクテン−1−オール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコール等を挙げることができる。このうち、メタノール、エタノール、n−プロパノール、アリルアルコールおよびベンジルアルコールが好ましく、エタノールおよびn−プロパノールが特に好ましい。
炭素数が6〜20のフェノール類。
このフェノール類は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
このようなフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、エチルフェノール、エチルメチルフェノール、ジエチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、イソプロピルエチルフェノール、ジイソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、n−ペンチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、ビニルフェノール、1−プロペニルフェノール、2−プロペニルフェノール、イソプロペニルフェノール、1−ブテニルフェノール、sec−ブテニルフェノール、1−ペンテニルフェノール、1−ヘキセニルフェノール、フェニルフェノール、ナフトール、アントラノールおよびフェナントラノール等を挙げることができる。このうち、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、ジエチルフェノール、2−プロペニルフェノール、フェニルフェノールおよびナフトールが好ましく、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノールおよびナフトールが特に好ましい。
下記の式(4)で表される、ヒドロキシルアルキレンアクリレート類およびヒドロキシルアルキレンメタクリレート類。
本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤の製造方法では、上述の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドと上述の化合物B1〜B3とを用いて次の式(1)で示される、環状ホスホニトリル置換体(環状ホスファゼン化合物)を製造する。
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3のうちの少なくとも一種と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの一部の活性ハロゲン原子を化合物B3に由来のA3基で置換し、残りの他の活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のA1基および化合物B2に由来のA2基のうちの少なくとも一つの基で置換する。このための方法としては、次のいずれかの方法を採用することができる。
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3のアルカリ金属塩と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩との混合物を反応させ、活性ハロゲン原子の全てを置換する。当該混合物において、化合物B3のアルカリ金属塩の割合は、製造する反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤の種類に応じて適宜設定することができる。
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物との混合物を、ハロゲン化水素を捕捉する塩基の存在下で反応させ、活性ハロゲン原子の全てを置換する。
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B3を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B3に由来のA3基により置換した部分置換体を得る(工程A)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のA1基および化合物B2に由来のA2基のうちの少なくとも一つにより置換する(工程B)。
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B1に由来のA1基および化合物B2に由来のA2基のうちの少なくとも一つにより置換した部分置換体を得る(工程A)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B3を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B3に由来のA3基により置換する(工程B)。
本発明の樹脂組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤と樹脂成分とを含むものである。本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤は、一種類のものが用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。また、樹脂成分としては、各種の熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を使用することができる。これらの樹脂成分は、天然のものであってもよいし、合成のものであってもよい。
本発明の重合性組成物は、本発明の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤を含んでいる。ここで用いられる反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤は、二種以上のものであってもよい。
なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、一般式(1)については(PNA2)を意味し、一般式(3)については(PNX2)を意味する。一般式(3)において、Xが塩素の場合、その1 unit molは115.87gである。
また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液83.3g(1.00mol)、トルエン650mlおよびフェノール98.8g(1.05mol)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌加熱し、共沸脱水(回収水 約61ml)を行い、フラスコ内の水分を除去しフェノールのNa塩を調製した。このスラリー溶液を30℃に冷却し、テトラヒドロフラン(THF)250mlを仕込み、均一溶液とした。
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.9(3H),−CH2− 4.0〜4.4(4H),=CH2 5.5,6.1(2H),フェニルC−H 7.0〜7.3(5H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 13.6〜14.6
◎CHNP元素分析:
理論値 C:53.9%,H:5.3%,N:5.2%,P:11.6%
実測値 C:53.8%,H:5.5%,N:5.3%,P:11.4%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
766,802,838
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液83.3g(1.00mol)、トルエン650mlおよびフェノール98.8g(1.05mol)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌加熱し、共沸脱水(回収水 約61ml)を行い、フラスコ内の水分を除去しフェノールのNa塩を調製した。このスラリー溶液を30℃に冷却し、THF250mlを仕込み、均一溶液とした。
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.9(3H),−CH2− 3.9〜4.4(4H),=CH2 5.5,6.1(2H),フェニルC−H 6.8〜7.3(5H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 13.7〜14.7,四量体(P=N)4 −9.6〜−10.1,五量体(P=N)5 −14.8,六量体(P=N)6 −16.0,
◎CHNP元素分析:
理論値 C:53.9%,H:5.3%,N:5.2%,P:11.6%
実測値 C:53.7%,H:5.5%,N:5.3%,P:11.3%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
766,802,838,997,1033,1069,1105,1141
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液83.3g(1.00mol)、トルエン700mlおよびp−クレゾール113.5g(1.05mol)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌加熱し、共沸脱水(回収水 約61ml)を行い、フラスコ内の水分を除去しp−クレゾールのNa塩を調製した。このスラリー溶液を30℃に冷却し、THF300mlを仕込み、均一溶液とした。
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH3 1.9(3H)2.3(3H),−CH2− 4.0〜4.4(4H),=CH2 5.5,6.1(2H),フェニルC−H 7.0〜7.3(4H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 14.0〜14.8
◎CHNP元素分析:
理論値 C:55.5%,H:5.7%,N:5.0%,P:11.0%
実測値 C:55.2%,H:5.9%,N:4.9%,P:10.7%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
822,844,866
撹拌機、温度計および還流冷却管を備えた1リットルのフラスコ中にHCTP115.89g(1.00unit mol)、ピリジン500ml、BHT0.04gを仕込み、撹拌下25℃以下でアクリル酸4−ヒドロキシブチル151.4g(1.05mol)を滴下し、25℃で5時間撹拌し、反応した。次に、上記フェノールのNa塩溶液を25℃以下で加え、55℃で10時間撹拌した。
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH2− 1.6〜1.9(4H),3.6〜4.2(4H),−CH= 6.1(1H),=CH2 5.8,6.4(2H),フェニルC−H 7.0〜7.3(5H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N)3 13.6〜14.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:55.5%,H:5.7%,N:5.0%,P:11.0%
実測値 C:55.4%,H:5.8%,N:4.9%,P:10.8%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
794,844,894
撹拌機、温度計および還流冷却管を備えた3リットルのフラスコ中に窒素雰囲気下でピリジン 500ml、60%NaH/油性88.0g(2.20mol)を仕込み、撹拌下でフェノールとアクリル酸2−ヒドロキシエチルの混合物のピリジン溶液〔フェノール 103.5g(1.10mol)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル127.7g(1.10mol)、ピリジン800ml〕を5℃以下で2時間かけて滴下し、次に50℃で2時間撹拌し、上記フェノールとアクリル酸2−ヒドロキシエチルのNa塩を調製した。
◎1H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH2− 3.9〜4.3(4H),−CH= 6.2(1H),=CH2 5.9,6.4(2H),フェニルC−H 6.9〜7.3(5H)
◎31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
四量体(P=N)4 −9.4〜−10.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:52.2%,H:4.8%,N:5.5%,P:12.2%
実測値 C:51.9%,H:5,1%,N:5.4%,P:12.0%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
969,991,1013,1035,1057
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、151頁、ACADEMIC PRESS社に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンを用いて[N=P(OC6H5)2]3(白色固体/融点:111℃)を得た。
PC樹脂(ポリカーボネート樹脂:三菱瓦斯化学株式会社製「ユーピロンS3000」)100部に対して実施例1、3若しくは4で製造した反応性基含有環状ホスファゼン化合物または比較例1で製造した環状ホスファゼン化合物を表1に示す割合で添加し、220℃で5分間溶融混練した。
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。(C)試験片5本のうち、少なくとも一本、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
ASTM D−648に準じ、荷重1.82MPaで試験した。
試験片を150℃で4時間加熱し、試験片表面での染み出し状態(試験片内部からの浸出状態:ブルーミング性)を目視観察した。評価の基準は次の通りである。
◎:染み出しが全く見られない。
〇:染み出しがほとんど見られない。
△:若干の染み出しが見られる。
×:著しい染み出しが見られる。
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコに実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物50.0gとトルエン400mlとを仕込んだ。この溶液に、窒素雰囲気下でベンゾイルパーオキシド0.5gを添加した後、90℃で10時間反応した。反応後、トルエンを濃縮して大過剰量のメタノールに投入し、析出した固体を濾過で分離して減圧下60℃で12時間乾燥した。これにより、メタクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物のオリゴマーからなる難燃剤である淡黄色粉末状固体の生成物49.1gを得た。この生成物のIRスペクトルは、メタクリロイルオキシ基の二重結合が消失したことを示していた。
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコに実施例2で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物20.0gとスチレン30.0gとを仕込んだ。この溶液に、窒素雰囲気下でベンゾイルパーオキシド0.5gを添加した後、90℃で10時間反応した。反応後、トルエンを濃縮して大過剰量のメタノールに投入し、析出した固体を濾過で分離して減圧下60℃で12時間乾燥した。これにより、メタクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とスチレンとのオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物49.0gを得た。この生成物のIRスペクトルは、二重結合の消失を示し、スチレンが共重合成分として反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物と反応して得られる上記オリゴマーからなる難燃剤が生成したことを示していた。
実施例1で製造した反応性基(メタクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物の代わりに実施例5で製造した反応性基(アクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物を用いた点を除いて実施例11と同様に操作し、アクリロイルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とスチレンとのオリゴマーである淡黄色粉末状固体の生成物48.9gを得た。この生成物のIRスペクトルは、二重結合の消失を示し、スチレンが共重合成分として反応性基(アクリロイルオキシ基)含有環状ホスファゼン化合物と反応して得られる上記オリゴマーからなる難燃剤が生成したことを示していた。
ABS樹脂(三井化学株式会社製「サンタック」)若しくはPC樹脂(ポリカーボネート樹脂:三菱瓦斯化学株式会社製「ユーピロンS3000」)100部に対し、実施例10〜12で製造したオリゴマー若しくは比較例1で得られた環状ホスファゼン化合物を表2に示す割合で添加し、180〜220℃で5分間溶融混練した。これにより得られた樹脂組成物を、プレス成形機を用いて150〜200℃で10分間加熱プレスし、厚さ1.2mmのシートを得た。このシートについて、UL−94難燃性試験を実施し、また、熱変形温度およびブルーミング性を調べた。各項目の試験方法は、実施例6〜9および比較例2の場合と同じである。結果を表2に示す。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1001(ジャパン・エポキシ・レジン社の商品名:エポキシ当量456g/eq.、樹脂固形分70%)651部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂であるYDCN−704P(東都化成株式会社の商品名:エポキシ当量210g/eq.、樹脂固形分70%)300部、ノボラック型フェノール樹脂であるBRG−558(昭和高分子株式会社の商品名:水酸基価106g/eq.、樹脂固形分70%)303部、水酸化アルミニウム361部および2−エチル−4−メチルイミダゾール0.9部の混合物に対し、実施例1、2、3、10
若しくは12で得られた反応性基含有環状ホスファゼン化合物若しくはオリゴマーまたは比較例1で得られた環状ホスファゼン化合物を表3に示す割合で添加し、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて樹脂固形分65%のエポキシ樹脂ワニスを調製した。
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのガラス製フラスコ中に、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン277.7g(0.95mol)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル10.7g(0.05mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)700mlを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌溶解した。次に、フラスコ内の溶液を、窒素雰囲気下で撹拌し、4、4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物(IPBP)のDMF溶液[IPBP520.5g(1.00mol)、DMF1,100ml]を5〜10℃で2時間かけて滴下し、さらに室温で3時間撹拌してポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液2,500gをフッ素樹脂(PTFE)でコートしたトレイに移し、真空オーブンで減圧加熱(条件:200℃、5.7hPa以下、6時間)することによって、可溶性ポリイミド樹脂750gを得た。
撹拌機、温度計、還流冷却管および空気導入管を備えた2リットルのガラス製フラスコ中に、CuCl1.3g(0.012mol)、ジ−n−ブチルアミン70.7g(0.55mol)およびメチルエチルケトン500mlを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、予めメチルエチルケトン1,000mlに溶解させた4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)45.4g(0.16mol)と2,6−ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2リットル/分の空気のバブリングを行いながら2時間かけて滴下し、さらに滴下終了後1時間、2リットル/分の空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、3%塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水でさらに洗浄を行った。得られた溶液を濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、両末端にヒドロキシル基を有するPPEオリゴマーを101.3g得た。このオリゴマーは、数平均分子量が860、重量平均分子量が1150、水酸基当量が455g/eq.であった。
合成例1で得られた可溶性ポリイミド樹脂50.0g、実施例1で合成した環状ホスファゼン化合物20.0g、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社の商品名“NKエステル A−BPE−30”)15.0g並びに光反応開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社の商品名“IRGACURE 184”)1.0gおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバスペシャリティケミカルズ社の商品名“IRGACURE 819”)1.0gを混合して感光性樹脂組成物のワニスを調製した。
◎:染み出しが全く見られない。
○:染み出しがほとんど見られない。
△:若干の染み出しが見られる。
×:著しい染み出しが見られる。
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、表4に示した環状ホスファゼン化合物を同表に表示の配合量で使用した点を除いて実施例25と同様に操作し、樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを用いて、実施例25と同様の方法・条件にて三層構造のシート状感光性ドライフィルムレジストを作製した。そして、この感光性ドライフィルムレジストについて実施例25と同様の方法により現像性試験を実施したところ、実施例25と同様の結果が得られた。また、この感光性ドライフィルムレジストについて、実施例25と同様の方法・条件にて燃焼性(難燃性)、ガラス転移温度およびブルーミング性を測定した。結果を表4に示す。
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、比較例1で製造した環状ホスファゼン化合物20.0gを使用した点を除いて実施例25と同様に操作し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて硬化シートを作製し、このシートについて、実施例25と同様の方法・条件にて燃焼性(難燃性)、ガラス転移温度およびブルーミング性を測定した。結果を表4に示す。
合成例2で得られた両末端にアクリレート基を有するPPEオリゴマー45.0g、実施例1で得られた環状ホスファゼン化合物10.0g、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社の商品名“NKエステル A−BPE−10”)5.0g、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gおよびトルエン30mlを混合・溶解した後、150℃で溶融、脱気して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をシート状に成形し、これを6時間200℃で加熱した。これにより、硬化された樹脂シートを得た。この樹脂シートについて、実施例25と同様にしてブルーミング性、ガラス転移温度および燃焼性(難燃性)を測定した。結果を表6に示す。
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、表5に示した環状ホスファゼン化合物を同表に表示の配合量で使用した点を除いて実施例29と同様に操作し、樹脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物を実施例29と同様の方法・条件にて成形、硬化し、硬化された樹脂シートを得た。この樹脂シートについて、実施例25と同様にしてブルーミング性、ガラス転移温度および燃焼性(難燃性)を測定した。結果を表5に示す。
実施例1で製造した環状ホスファゼン化合物に代えて、比較例1で製造した環状ホスファゼン化合物10.0gを使用した点を除いて実施例29と同様に操作し、樹脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物を実施例29と同様の方法・条件にて成形、硬化し、硬化された樹脂シートを得た。この樹脂シートについて、実施例25と同様にしてブルーミング性、ガラス転移温度および燃焼性(難燃性)を測定した。結果を表5に示す。
Claims (11)
- 下記の式(1)で表される、反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示されるアクリロイルオキシアルキレンオキシ基若しくはメタクリロイルオキシアルキレンオキシ基。
- 式(1)において、2n個のAのうちの2〜(2n−2)個がA3基である、請求項1に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤。
- 式(1)のnが3若しくは4である、請求項1または2に記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤。
- 式(1)のnが異なる二種以上の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤を含む、請求項1から3のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤。
- 下記の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つがA1および/またはA2基であり、かつ少なくとも一つがA3基により置換されるよう下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する工程
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(4)で示されるアクリロイルオキシアルキレンオキシ基若しくはメタクリロイルオキシアルキレンオキシ基。
を含む反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤の製造方法。 - 樹脂成分と、請求項1から4のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤と、
を含む樹脂組成物。 - 熱重合性モノマー、熱重合性オリゴマー、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、放射線重合性モノマーおよび放射線重合性オリゴマーからなる重合性材料群から選ばれた少なくとも一つの重合性材料をさらに含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
- 請求項6または7に記載の樹脂組成物からなる樹脂成形体。
- 請求項1から4のいずれかに記載の反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤を含む、重合性組成物。
- 前記反応性基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤と重合可能なモノマーおよびオリゴマーのうちの少なくとも一つの重合性材料をさらに含む、請求項9に記載の重合性組成物。
- 請求項9または10に記載の重合性組成物の重合体からなる樹脂成形体。
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