JPH05286988A - 硬化性ホスファゼン化合物とその製造法及びその硬化体 - Google Patents

硬化性ホスファゼン化合物とその製造法及びその硬化体

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JPH05286988A
JPH05286988A JP9399692A JP9399692A JPH05286988A JP H05286988 A JPH05286988 A JP H05286988A JP 9399692 A JP9399692 A JP 9399692A JP 9399692 A JP9399692 A JP 9399692A JP H05286988 A JPH05286988 A JP H05286988A
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JP9399692A
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English (en)
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Shigeo Mori
重雄 森
Mitsuharu Namiki
光治 並木
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 硬化性ホスファゼン化合物とその効率的な製
造法及び表面硬度,耐熱性,耐クラック性(低硬化収縮
性),難燃性等の品質に優れた硬化樹脂膜あるいは硬化
体の開発。 【構成】 次式の硬化性ホスファゼン化合物。 (Xは 、 YはO、R’は−(CH−を示す。) のホスファゼン化合物の誘導体と、H−Y−R−Y−
Hの化合物とを反応させる硬化性ホスファゼン化合物の
製造法及び該硬化性ホスファゼン化合物を単独で、ある
いはこれを共重合可能な単量体とともに架橋硬化させて
なる硬化体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬化性ホスファゼン化合
物とその製造法及びその硬化体に関し、詳しくは新規な
硬化性ホスファゼン化合物とその効率的な製造法及びそ
れらから得られる表面硬度,耐熱性,耐クラック性(低
硬化収縮性),難燃性,寸法安定性等の優れた特性を有
する硬化体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、機械器具や建築などの分野では、表面に保護膜を形
成するのに様々なコーティング材が用いられている。こ
のようなコーティング材を用いた保護膜には、表面硬度
や耐熱性,耐薬品性,難燃性,耐候性など各種の特性に
優れていることが要求される。従来、このような用途に
は、ポリエステル(メタ)アクリレートやウレタン(メ
タ)アクリレート,エポキシ(メタ)アクリレート等の
各種樹脂が、広く用いられてきた。しかし、従来のこれ
らのコーティング材を用いた保護膜は、表面硬度が低
く、また、比較的硬度が高いものでは、硬化収縮が大き
いために、塗膜にクラックが発生しやすいという問題が
あった。また、例えば、特開昭64−14239号公報
に開示されているように、無機系の樹脂として硬化性ホ
スファゼン化合物を用いる技術が知られている。この硬
化性ホスファゼン化合物を架橋して得られる硬化樹脂膜
は、表面硬度,耐熱性,難燃性,透明性,耐候性など、
きわめて品質の優れた保護膜を形成し、その有用性が認
られている。しかるに、このような特性を有する硬化性
ホスファゼン化合物は、架橋硬化させて得られる硬化樹
脂膜が厚い場合には亀裂が生じやすいという難点を有し
ている。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の状況に鑑み、従来法の問題点を解消して、硬度が
高く、かつ硬化時及び塗膜形成後クラックの発生しない
硬化重合体を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、
特定の硬化性基を有するホスファゼン環の2個が連結し
た新規な硬化性ホスファゼン化合物から、目的とする性
状を備えた硬化体もしくは硬化樹脂膜が得られることを
見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したもの
である。すなわち、本発明は、一般式(I)
【0004】
【化5】
【0005】〔式中、Xは一般式(II)〜(VIII)
【0006】
【化6】
【0007】(式中、R2 は水素原子またはメチル基を
示し、R3 は炭素数1〜12の直鎖アルキレン基または
炭素数1〜12の分岐アルキレン基を示し、R4 及びR
5 はそれぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
を示し、R6 は水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜4
のアルキル基または炭素数1〜4のハロゲン置換アルキ
ル基を示し、R7 は炭素数1〜18のアルキル基または
炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基を示し、Mは酸
素原子,硫黄原子,イミノ基のいずれかを示す。)から
選ばれた基(但し、一般式(VII) または(VIII)で表され
る基のみは除く。)を示し、Yは酸素原子,−NH−,
−NR8 −(R8 は炭素数1〜4のアルキル基を示
す。)のいずれかを示し、R1 は二価の脂肪族基,二価
の芳香族基またはシリレン基を示す。〕で表される硬化
性ホスファゼン化合物を提供するものである。また、本
発明は、一般式(IX)
【0008】
【化7】
【0009】(式中、Zはハロゲン原子を示し、Xは前
記と同じである。)で表されるホスファゼン化合物の誘
導体に、一般式(X) H−Y−R1 −Y−H ・・・(X) (式中、R1 及びYは前記と同じである。)または、一
般式(XI) Alk −O−R1 −O−Alk ・・・(XI) (式中、Alk はアルカリ金属を示し、R1 は前記と同
じである。)で表される化合物を反応させることを特徴
とする上記硬化性ホスファゼン化合物の製造法をも提供
するものである。また、本発明は、一般式(XII)
【0010】
【化8】
【0011】(式中、Zはハロゲン原子を示し、R1
びYは前記と同じである。)で表されるホスファゼン化
合物の誘導体に、一般式(XIII) X−H ・・・(XIII) (式中のXは前記と同じである。)で表される化合物を
反応させることを特徴とする上記硬化性ホスファゼン化
合物の製造法をも提供するものである。さらに、本発明
は、上記硬化性ホスファゼン化合物を単独で、あるいは
上記硬化性ホスファゼン化合物を共重合可能な単量体と
ともに架橋硬化させてなることを特徴とする硬化体をも
提供するものである。
【0012】本発明の硬化性ホスファゼン化合物は、前
記一般式(I)で表され、特定の硬化性基を有するホス
ファゼン環の2個が連結したものである。この硬化性ホ
スファゼン化合物は、様々な方法で製造することができ
るが、通常、一般式(XIV)
【0013】
【化9】
【0014】(式中、Zは前記と同じである。)で表さ
れるホスファゼン化合物〔以下、(NPZ2 ) 3 と省略
する。〕を出発物質として製造される。一般式(XIV) で
表されるホスファゼン化合物のなかでは、Zが塩素原子
である一般式(XV)
【0015】
【化10】
【0016】で表されるヘキサクロロシクロホスファゼ
ン〔以下、(NPCl2 ) 3 と省略することがある。〕
が好ましく用いられる。本発明においては、はじめに、
一般式(XIV) で表されるホスファゼン化合物から、該ホ
スファゼン化合物のリン元素に結合しているZのうち、
一つを残して、他のすべてのZを化合物A(活性水素を
1個含有し、かつ硬化性基を含有する化合物)又は化合
物B(活性水素を1個含有し、硬化性基を含有しない化
合物)で置換した前記一般式(IX)で表されるホスファゼ
ン化合物の誘導体を調製する。このホスファゼン化合物
の誘導体を調製するにあたっては、化合物A又は化合物
Bによって置換されるZ(5個)のうち、その2個以上
は化合物Aで置換されるものである。ここで、ホスファ
ゼン化合物のリン元素に結合しているZを置換するのに
用いられる化合物Aは、上記一般式(II)〜(VI) に対
応する一般式(II') 〜(VI')
【0017】
【化11】
【0018】で表される化合物である。また、化合物B
は、上記一般式(VII)あるいは(VIII)に対応する一般式
(VII')あるいは(VIII')
【0019】
【化12】
【0020】で表される化合物である。上記ホスファゼ
ン化合物の誘導体は、式(NPZ2 ) 3 のホスファゼン
化合物を化合物A又は化合物Bと反応させて、前述した
一般式(II)〜(VI)で表される硬化性基、更には必要に応
じて一般式(VII)あるいは(VIII)で表される非硬化性基
を導入して調製される。
【0021】一般式(II)〜(VI)で表される重合硬化性基
は、紫外線,可視光線や電子線の照射,化学的硬化剤の
使用あるいは加熱等により反応して硬化する官能基であ
る。この一般式(II)〜(VI)で表される基としては、各種
のものがある。例えば、アクリロイル基,メタクリロイ
ル基,アリル基あるいはビニル基を含む官能基があげら
れる。このうち一般式(II)で表される基の具体例として
は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート,2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート,3−ヒドロキシプロピル
メタクリレート,2−ヒドロキシブチルメタクリレー
ト,3−ヒドロキシブチルメタクリレート,4−ヒドロ
キシブチルメタクリレート,5−ヒドロキシペンチルメ
タクリレート,6−ヒドロキシ−3−メチルヘキシルメ
タクリレート,5−ヒドロキシヘキシルメタクリレー
ト,3−ヒドロキシ−2−t−ブチルプロピルメタクリ
レート,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルヘキシルメ
タクリレート,3−ヒドロキシ−2−メチル−2−エチ
ルプロピルメタクリレートおよび12−ヒドロキシドデ
シルメタクリレートなどのメタクリレート類中の水酸基
から水素原子を除いた残基、並びに2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト,3−ヒドロキシプロピルアクリレート,2−ヒドロ
キシブチルアクリレート,3−ヒドロキシブチルアクリ
レート,4−ヒドロキシブチルアクリレート,5−ヒド
ロキシペンチルアクリレート,6−ヒドロキシ−3−メ
チルヘキシルアクリレート,5−ヒドロキシヘキシルア
クリレート,3−ヒドロキシ−2−t−ブチルプロピル
アクリレート,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルヘキ
シルアクリレート,3−ヒドロキシ−2−メチル−2−
エチルプロピルアクリレートおよび12−ヒドロキシド
デシルアクリレートなどのアクリレート類中の水酸基か
ら水素原子を除いた残基を挙げることができる。特に好
ましい基は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート残基
および2−ヒドロキシエチルアクリレート残基である。
【0022】また、このアクリロイル基やメタクリロイ
ル基を含む官能基は、上述の一般式(II)のもののほか
に、一般式(III) で表される官能基、即ちアクリルアミ
ドやメタクリルアミドのアミノ基から水素原子を一個除
いた残基をあげることができる。さらに、アリル基を含
む官能基としては、アリル基そのもののほか、例えば、
アリルオキシ基( CH2 =CH−CH2 O− )がある
が、このアリルオキシ基に限らず、広く、一般式(IV)〜
(VI) で表される官能基、即ち水酸基を一個有するアリ
ル化合物の水酸基から水素原子を除いた残基をあげるこ
とができる。この一般式(IV)〜(VI) で表される官能基
の具体例としては、
【0023】
【化13】
【0024】などのアリル化合物中の水酸基から水素原
子を除いた残基がある。このような一般式(II)〜(VI)で
表される官能基を導入するには、この一般式(II)〜(VI)
に対応する化合物(即ち、上記一般式(II') 〜(VI') で
表される化合物)を用いればよい。すなわち、一般式(I
I)で表される官能基を導入するには、これに対応する一
般式(II') で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレートを用い、また一般式(III)で表される官能基を
導入したいときには、これに対応する一般式(III') で
表される(メタ)アクリルアミドを用い、あるいは一般
式(IV)〜(VI) で表される基を導入したいときには、こ
れに対応する一般式(IV') 〜(VI')で表されるアリルア
ルコール,アリルフェノール,ヒドロキシ安息香酸のア
リルエステルあるいはその誘導体を用いる。
【0025】一般式(XIV) で表されるホスファゼン化合
物においては、前述した態様で該ホスファゼン化合物に
結合しているZのうち、一つを残して、他のすべてのZ
が化合物A、または化合物Bで置換されるが、この化合
物Bは非硬化性基を有するものであり、一般式(VII')あ
るいは(VIII') で表される化合物である。この一般式(V
II')の化合物は、前述の一般式(VII) で表される非硬化
性基に対応するものであり、これは具体的には、フェノ
キシ基,チオフェニル基,ハロゲン化フェノキシ基
(2, 4, 6−トリブロモフェノキシ基,4−ブロモフ
ェノキシ基,2−クロロフェノキシ基,2,4−ジクロ
ロフェノキシ基など)およびハロゲン化チオフェニル基
(4−クロロフェニルチオ基など)、あるいはアニリン
およびハロゲン化アニリン(2−クロロアニリン,2,
4−ジクロロアニリン,2,4,6−トリブロモアニリ
ンなど)のアミノ基より水素原子を取り除いた残基等を
挙げることができる。また、この一般式(VIII') の化合
物は、前述の一般式(VIII)で表される非硬化性基に対応
するものであり、これは具体的には、メトキシ基,エト
キシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,ペンチルオキシ
基,ヘキシルオキシ基,ヘプチルオキシ基,オクチルオ
キシ基,デシルオキシ基,ドデシルオキシ基,ヘキサデ
シルオキシ基,オクタデシルオキシ基などのアルコキシ
基、ハロゲン(例えばフッ素,塩素,臭素など)で置換
された同様のアルコキシ基、メチルチオ基,エチルチオ
基,プロピルチオ基,ブチルチオ基,ペンチルチオ基,
ヘキシルチオ基,デシルチオ基,ドデシルチオ基,ヘキ
サデシルチオ基,ヘプチルチオ基,オクチルチオ基など
のアルキルチオ基、ハロゲン(例えばフッ素,塩素,臭
素など)で置換された同様のアルキルチオ基、メチルイ
ミノ基,エチルイミノ基,プロピルイミノ基,ブチルイ
ミノ基,ペンチルイミノ基,ヘキシルイミノ基,ヘプチ
ルイミノ基,オクチルイミノ基,デシルイミノ基,ドデ
シルイミノ基,ヘキサデシルイミノ基,オクタデシルイ
ミノ基などのアルキルイミノ基、ハロゲン(例えばフッ
素,塩素,臭素など)で置換された同様のアルキルイミ
ノ基等を挙げることができる。
【0026】化合物A、又はこの化合物Aと化合物B
を、クロロホスファゼン〔式(NPCl2 ) 3 で表され
る環状化合物〕と反応させれば、一般式(IX)で表される
ホスファゼン化合物の誘導体が得られる。上述の反応に
あたっては、第三級アミン等の脱ハロゲン化水素剤を用
いることが好ましい。この第三級アミンとしては、例え
ばトリメチルアミン,トリエチルアミン,トリイソプロ
ピルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリ−n−ブ
チルアミンおよびピリジンなどを挙げることができる
が、このなかでもピリジンが好適である。さらに、この
反応は通常有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒とし
ては、ベンゼン,トルエン,キシレン,クロロホルム,
シクロヘキサン,塩化メチレン,テトラヒドロフラン,
1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。これら
を単独であるいは組合せて使用することができる。以上
の如き反応により、ホスファゼン系重合体の主原料であ
る硬化性ホスファゼン化合物を得る前段階のホスファゼ
ン化合物の誘導体が得られる。
【0027】このようなホスファゼン化合物の誘導体
は、次いで、化合物C〔活性水素を2個含有する化合
物、すなわち、一般式(X) H−Y−R1 −Y−H ・・・(X) で表される化合物(但し、Yが酸素の場合、一般式(XI) Alk −O−R1 −O−Alk ・・・(XI) で表されるアルコラートでもよい。)〕を反応させるこ
とによって前記一般式(I)で表わされる本発明の新規
な硬化性ホスファゼン化合物を得ることができる。この
活性水素を2個含有する化合物(化合物C)としては、
例えば、一般式(XVI)〜(XIII)
【0028】
【化14】
【0029】(式中、R8 は炭素数1〜4のアルキル基
を示し、R1 は前記と同じである。好ましくはR1 は炭
素数2〜20のアルキレン基,炭素数6〜30のアリー
レン基,炭素数20〜80のアルキレンオキシ基または
珪素数1〜6のシリレン基を示し、それらは直鎖状でも
分岐状であってもよい。)で表されるものである。具体
的には、例えば、エチレングリコール,ビスフェノール
A,ポリエチレングリコール,ポリテトラメチレングリ
コール等の多価アルコールが挙げられる。これらの多価
アルコールは活性水素がアルカリ金属で置換されたアル
コラートであってもよい。また、エチレンジアミン;
1,4−フェニレンジアミン;N,N’−ジエチルエチ
レンジアミンなどの多価アミン、ジヒドロキシジメチル
シランなどの多価シランなどが挙げられる。
【0030】本発明の硬化性ホスファゼン化合物は、前
記のホスファゼン化合物〔(NPZ 2 ) 3 〕に、触媒の
存在下あるいは不存在下で、前記の化合物A,Bおよび
Cを反応させることによって得られる。このホスファゼ
ン化合物に対する化合物A,B,Cの反応順は特に制限
されずどのような順序でもよく、化合物A,Bは逐次反
応,同時反応のいずれであってもよい。但し、化合物C
の反応時には化合物A,Bは添加しないで反応させるよ
うにする。なお、ホスファゼン化合物〔(NPZ2 )
3 〕に、予め化合物A,Bを反応させれば、一般式(I
X)のホスファゼン化合物の誘導体が生成し、これに化合
物Cを反応させることによって、本発明の硬化性ホスフ
ァゼン化合物を効率よく得ることができる。そして、ホ
スファゼン化合物〔(NPZ2 ) 3 〕に前記化合物A,
B,Cを反応させるときの反応温度は、先ず、該ホスフ
ァゼン化合物と化合物AもしくはCとの反応は、0〜1
00℃、好ましくは40〜60℃である。また、該ホス
ファゼン化合物と化合物Bとの反応は、0℃〜溶剤の沸
点で反応させればよい。そして、該ホスファゼン化合物
に、化合物AおよびBとを同時に反応させる場合は0〜
100℃、好ましくは40〜60℃である。なお、これ
らを触媒の存在下で反応させる際に、使用される触媒と
しては、例えば、第三級アミンが用いられる。この第三
級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン,トリエ
チルアミン,トリイソプロピルアミン,トリ−n−プロ
ピルアミン,トリ−n−ブチルアミンおよびピリジンな
どを挙げることができるが、このなかでもピリジンが好
適である。さらに、この反応は通常有機溶媒中で行われ
る。用いる有機溶媒としては、ベンゼン,トルエン,キ
シレン,クロロホルム,シクロヘキサン,塩化メチレ
ン,テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサンなどをあ
げることができる。これらは単独であるいは組合せて使
用することができる。
【0031】このようにして得られる本発明の硬化性ホ
スファゼン化合物は、前記一般式(I)で表わされ、重
合硬化性基が導入されており、非常に重合性に富んだも
のである。この硬化性ホスファゼン化合物は、単独であ
るいは必要に応じて、得られる硬化樹脂膜に悪影響を及
ぼさない範囲で本発明の硬化性ホスファゼン化合物と共
重合可能な単官能性単量体および/または多官能性単量
体を配合し、これを主成分とした硬化性樹脂組成物とし
て調製され、適宜成形型に注入あるいは基材に塗布し、
架橋硬化させて、硬化体あるいは硬化樹脂膜を得ること
ができる。ここで、硬化性ホスファゼン化合物と共重合
可能な単官能性単量体および/または多官能性単量体と
しては、様々なものを用いることができる。すなわち、
硬化性ホスファゼン化合物と共重合可能な単量体(共重
合用単量体)としては、シリコーン変性硬化性化合物、
重合性プレポリマー、さらにはアクリロイル基,メタク
リロイル基,ビニル基あるいはアリル基をもつ重合性単
量体など、反応性二重結合を有する化合物及びハロゲン
化ポリエステル等のラジカル架橋反応が可能な化合物を
あげることができる。ここで、シリコーン変性硬化性化
合物として、1分子中にシリコーン(シラン)基と好ま
しくは(メタ)アクリレート基とを有する化合物であれ
ば特に制限がない。
【0032】シリコーン変性硬化性化合物の具体例とし
ては、シリコーン変性ウレタンアクリレート,(メタ)
アクリロキシシラン化合物および(メタ)アクリレート
変性ポリシロキサンなどを挙げることができる。また、
(メタ)アクリロキシシラン化合物として、例えばγ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,γ−メタ
クリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げ
られる。(メタ)アクリレート変性ポリシロキサンとし
ては、1分子中にシリコーン(シラン)基と(メタ)ア
クリレート基を含有する化合物がある。上記硬化性ホス
ファゼン化合物とシリコーン変性硬化性化合物との配合
割合は、特に制限がなく、シリコーン変性硬化性化合物
の種類により適宜選定すればよい。通常は、硬化性ホス
ファゼン化合物20〜99.5重量部、シリコーン変性硬
化性化合物0.5〜80重量部である。好ましくは、硬化
性ホスファゼン化合物40〜99重量部、シリコーン変
性硬化性化合物1〜60重量部である。
【0033】また、アクリロイル基,メタクリロイル基
などを有する重合性単量体の具体例としては、メチル
(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど
の単官能基、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシビバリン酸エス
テルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA(ジエチレンオキシド付加)ジアクリ
レートなどの2官能基、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレートなどの3官能基以上の多官能化合物を
挙げることができる。
【0034】一方、重合性プレポリマーとしては、例え
ば、ポリエステル(メタ)アクリレート,ポリウレタン
(メタ)アクリレート,エポキシ(メタ)アクリレー
ト,ポリエーテル(メタ)アクリレート,メラミン(メ
タ)アクリレート,オリゴ(メタ)アクリレート,アル
キド(メタ)アクリレート,ポリオール(メタ)アクリ
レート,シリコン(メタ)アクリレートなど(メタ)ア
クリロイル基を少なくとも1個有するプレポリマーが挙
げられる。特に好ましいプレポリマーはポリエステル,
エポキシ,ポリウレタンの各(メタ)アクリレートであ
る。上記ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、
例えば、エチレングリコール;1,4−ブタジオール;
1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコールトリ
メチロールプロパン;ジプロピレングリコール;ポリエ
チレングリコール;ポリプロピレングリコール;ペンタ
エリスリトール;ジペンタエリスリトールなどの多価ア
ルコールと、フタル酸,アジピン酸,マレイン酸,トリ
メリット酸,イタコン酸,コハク酸,テレフタル酸,ア
ルケニルコハク酸などの多塩基酸とからポリエステルを
得、次いで、これを(メタ)アクリル化したものが挙げ
られる。上記(メタ)アクリル化したものとしては、ア
ジピン酸/1,6−ヘキサンジオール/(メタ)アクリ
ル酸系、無水フタル酸/プロピレンオキシド/(メタ)
アクリル酸系、トリメリット酸/ジエチレングリコール
/アクリル酸系などのポリエステル(メタ)アクリレー
トを挙げることができる。エポキシ(メタ)アクリレー
トは、エポキシ樹脂のエポキシ基を(メタ)アクリル酸
でエステル化し、官能基を(メタ)アクリロイル基とし
たものである。この具体例としては、ビスフェノールA
−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂/(メタ)アクリ
ル酸系、フェノールノボラック−エピクロルヒドリン型
エポキシ樹脂/(メタ)アクリル酸系、脂環型エポキシ
樹脂/(メタ)アクリル酸系などのエポキシ(メタ)ア
クリレートが挙げられる。上記ポリウレタン(メタ)ア
クリレートとしては、例えば、トリレンジイソシアネー
トのようなイソシアネート化合物と、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシル基を有
する(メタ)アクリレートとを反応させることにより得
られる。この場合、分子の中央部はポリエステル構造を
もち、両端にイソシアネート基を配置し(メタ)アクリ
ル化することが多い。また、ウレタン化合物としては、
例えば油変性ポリウレタン樹脂系,湿気硬化性ポリウレ
タン樹脂系,ブロック型ポリウレタン樹脂系および触媒
硬化ポリウレタン樹脂系などが挙げられる。エポキシ化
合物としては、例えば、エポキシ樹脂に適当な硬化剤を
添加したもの、エポキシ樹脂と脂肪酸との反応によって
エステル化したもの、エポキシ樹脂とアルキド樹脂とを
併用したものなどが挙げられる。シリコーン化合物とし
ては、例えば、モノメチルまたはモノエチルトリクロロ
シランに少量のジメチルジクロロシラン,ジエチルジク
ロロシランを混合し、反応させて得られた初期縮合物な
どが挙げられる。得られた初期縮合物は、通常、適当な
溶剤に溶解し、必要に応じて可溶性脂肪酸塩やジンクオ
クチネートなど硬化促進剤を添加して用いられる。
【0035】また、本発明の硬化性ホスファゼン化合物
は、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、
各種の添加剤その他の助剤などとともに用いることがで
きる。例えば、添加剤としては、次のものを用いること
ができる。すなわち、 (イ)安定剤;ハイドロキノンなどの重合禁止剤 (ロ)充填剤;無機物(シリカ粉末,タルク,アルミ
ナ,アパタイト,ガラスビーズ,ケイ酸バリウム,窒化
ケイ素,炭化ケイ素,炭酸カルシウム,セラミックス粉
等)、顔料,染料,その他の有機物(架橋メチルメタク
リレート,ベンゾグアナミン樹脂,メラミン樹脂ほか)
など (ハ)耐候性添加剤;UV吸収剤,光安定剤,老化防止
剤など (ニ)その他添加剤;帯電防止剤,防曇剤,潤滑材など また、硬化促進剤として、例えば、紫外線あるいは可視
光線を用いた硬化方法を利用する場合、光重合開始剤と
して、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン,ジベンゾイル,ベンゾイルメチルエーテル,ベ
ンゾインエチルエーテル,p−クロロベンゾフェノン,
p−メトキシベンゾフェノン,ベンゾイルパーオキサイ
ド,ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びカンファ
キノン等を添加することが好ましい。これらの光重合開
始剤は単独で、あるいは2種以上組合わせて用いてもよ
い。その使用量は、通常、硬化性樹脂組成物100重量
部に対して、通常、0.05〜10.0重量部の範囲で選ば
れる。また、加熱硬化方法や常温硬化方法を利用する場
合には、重合開始剤として過酸化物系の化合物,アミン
系の化合物を単独又は組合わせて使用することが好まし
い。過酸化物系の化合物としては、例えば、ベンゾイル
パーオキサイド;p−クロロベンゾイルパーオキサイ
ド;2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド;t−
ブチルヒドロパーオキサイド;ジ−tert−ブチルパ
ーオキサイド;ジクミルパーオキサイド;tert−ブ
チルパーオキシアセテート;ジアセテート;tert−
ブチルパーオキシベンゾエートなどを挙げることができ
る。そして、アミン系の化合物としては、例えば、N,
N−ジエタノール−p−トルイジン;ジメチル−p−ト
ルイジン;p−トルイジン;メチルアミン;tert−
ブチルアミン;メチルエチルアミン;ジフェニルアミ
ン;4,4’−ジニトロジフェニルアミン;o−ニトロ
アニリン;p−ブロモアニリン;2,4,6−トリブロ
モアニリンなどを挙げることができる。この場合、過酸
化物系の化合物及びアミン系の化合物の合計の使用量
は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、通常、0.
05〜5.0重量部の範囲で選ばれる。
【0036】上記の硬化性樹脂組成物は、通常、成形型
に注入し、硬化させて硬化体を得るのに供される。ま
た、適当な基材に塗布し、硬化させてなる硬化樹脂膜を
設けるのに供される。ここで、前記基材の材料として
は、特に制限はなく、具体的には例えば、ポリエステ
ル,ポリスチレン,アクリル系樹脂,ポリカーボネー
ト,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポ
リアミド樹脂,塩化ビニル樹脂,塩化ビニリデン樹脂,
ポリアルキレンテレフタレート,ポリアリレート,ポリ
アリーレンスルフィドなど、あるいはこれら樹脂成分を
主成分とする樹脂組成物もしくはこれらに強化材などを
配合した複合材料などが挙げられる。これらの中では、
ポリエステル,ポリカーボネート,ポリアミドなどの耐
熱性の比較的高い熱可塑性樹脂が好ましい。また、前記
基材の形状についても特に制限はなく、例えば、単独も
しくは多層のフィルム状又はシート状であってもよい
し、各種成形品にした後の形状であってもよい。
【0037】上述した硬化性樹脂組成物を前記の基材上
に塗布するには、例えば、スピンナー法,スプレー法,
ロールコーター法,ディピング法などの公知の塗布方法
を採用することができる。この硬化性樹脂組成物を前記
の基材上に塗布する際の作業性を向上させるために、希
釈剤を用いることができる。前記希釈剤としては、具体
的には例えば、メチルエチルケトン,メチルイソブチル
ケトン,シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン,
トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロホル
ム,塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノー
ル,エタノール,プロパノール,ブタノールなどのアル
コール類、テトラヒドロフラン,ジオキサンなどのエー
テル類などの有機溶剤やエチルセロソルブ,ブチルセロ
ソルブ類などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、
あるいは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中
では、ケトン類,アルコール類またはこれらの混合溶剤
が好ましく、特に、メチルイソブチルケトンまたはイソ
プロピルアルコールあるいはブチルアルコールを含有す
る混合溶剤を好適に用いることができる。前記希釈剤を
用いる場合、前記希釈剤と硬化性樹脂組成物との混合割
合については、特に制限はないが、通常、希釈剤:硬化
性樹脂組成物の重量比で1:9〜9:1の範囲で選ばれ
る。特に、9:1〜5:5の割合で混合すると、作業性
の点で好適である。
【0038】この硬化性樹脂組成物を硬化させるには、
例えば、常温硬化方法,加熱硬化方法あるいは活性エネ
ルギー線(電子線,紫外線,X線,γ線あるいは可視光
線等)を照射して硬化させる方法などがあり、いずれの
方法も好適に利用することができる。これらの中では、
紫外線を照射する方法が特に好適である。紫外線を照射
する方法を利用するときには、波長200〜550nm
の範囲にある紫外線を0.1秒間以上、好ましくは0.5〜
10秒間照射することが望ましい。また、照射光線の積
算光量は、通常、30〜5,000mJ/cm2 である。
上記硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜は、
硬化速度,表面硬度,透明性などの特性に優れるととも
に、諸特性のバランスに優れて、基材の表面特性を著し
く改善することができる。また、この硬化膜は、基材面
に必ずしも表面処理を行ったり、プライマーを用いて下
塗りすることなしに、硬化性樹脂組成物を塗布すること
によって、しかも1回の塗布で、優れた特性を発揮す
る。そして、この硬化性樹脂組成物を塗布して得られる
硬化膜の厚さは、0.01〜1000μmの範囲にあるこ
とが好ましい。この厚さが0.01μm未満であると、表
面硬度などの機械的強度が充分ではないことがある。ま
た、1000μmを超えると、基材自体が有する可撓性
の低下を招くことがあり好ましくない。
【0039】
【実施例】次に、実施例に基づいて、本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。 実施例1 ホスファゼン化合物誘導体の製造 温度計,攪拌装置,滴下ロートおよびコンデンサーを取
り付けた500ミリリットル容のフラスコに、ピリジン
189.8gおよびヘキサクロロシクロトリホスファゼン
69.4gを投入し、攪拌し室温で溶解させた。次に、こ
れに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 130.1g
を滴下ロートから徐々に滴下し、攪拌下、55℃で24
時間反応を行った。この段階で得られた生成物は、
【0040】
【化15】
【0041】で表されるものであった。 硬化性ホスファゼン化合物の製造 続いて、上記生成物を含む反応液の温度を室温にまで冷
却し、これにエチレングリコール6.2gを滴下ロートよ
り徐々に滴下し、攪拌下、55℃で48時間反応を行っ
た。反応終了後、析出した固体を濾別し、得られた液体
を水洗した後、減圧蒸留によって溶媒を除去して、無色
の粘稠液体 132.8gを得た。得られた無色の粘稠液体
は、赤外線吸収スペクトル分析の結果、1040c
-1,1070cm-1の位置にP−O−C結合による吸
収、1240cm-1にP=N結合による吸収、1640
cm-1にC=C結合による吸収、1720cm-1にC=
O結合による吸収、2950cm-1に−CH2 −結合に
よる吸収が見られた。また、この無色の粘稠液体は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC
と略す。)による分子量測定より、下記構造からなる化
合物であると認められた。
【0042】
【化16】
【0043】硬化体の製造 次いで、上記生成物100重量部に対して、ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン3重量部を均一に溶解さ
せて、ガラス製モールドに注入した。注入した液の上方
より、紫外線を10J/cm2 となるように照射し、架
橋化反応させて硬化させ、厚さ3mmの硬化体を得た。
得られた硬化体について測定した光線透過率(JIS
K−7105に準拠)は、91.0%であり、鉛筆硬度は
8Hであった。また、硬化前の密度CA (ハバード比重
瓶法による測定値)および硬化後の密度CB (比重計に
よる測定値)より、次式から求めた硬化収縮率は6.1%
であった。 硬化収縮率=〔1−(CB /CA )〕×100
【0044】実施例2 実施例1において得られた化合物を用い、下記配合組成
のコーティング剤を調製した。 配合組成 実施例1の化合物 6g p−メチルチオ−α−ジメチル−モルホリノ −アセトフェノン 0.6g p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 0.36g メチルエチルケトン 4.7g イソプロピルアルコール 9.3g 上記配合組成のコーティング剤を、厚さ3mmのポリカ
ーボネート板上にバーコーターを用いて塗布し、塗膜を
80℃にて5分間乾燥し、溶剤を蒸発させた。次いで、
紫外線硬化機によって、紫外線を照射し、架橋硬化させ
厚さ5μmの硬化樹脂膜を設けたポリカーボネート板を
得た。この架橋硬化に必要とする最小光量を光量計(オ
ーク製作所製,UV−150型)で測定したところ11
00mJ/cm2 であった。得られた硬化樹脂膜の光線
透過率は92.3%であり、鉛筆硬度は4Hであった。ま
た、テーバー摩耗試験機(CS−10摩耗輪,荷重50
0g,100rpm)を用いて表面硬度をΔヘーズで測
定したところ、Δヘーズは6.7であった。(Δヘーズ:
摩耗評価前後の試験片の“くもり度”の差)
【0045】実施例3 実施例1で用いたエチレングリコールに代えて、1,6
−ヘキサンジオール11.8gをピリジン20gに溶解さ
せた液を用いた以外は、実施例1と同様にして、淡黄色
の粘稠液体 143.2gを得た。得られた生成物の赤外線
吸収スペクトル分析の結果は、実施例1の生成物と同様
であり、またGPCによる分子量測定により下記構造の
化合物であると認められた。
【0046】
【化17】
【0047】次いで、この化合物100重量部に対し
て、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3重量部
を均一に溶解させて、ガラス製モールドに注入し、紫外
線を10ジュール/cm2 となるように照射し、架橋硬
化させて肉厚3mmの硬化体を得た。得られた硬化体の
光線透過率は90.1%であり、鉛筆硬度は8Hであっ
た。また、硬化収縮率は6.2%であった。
【0048】実施例4 実施例3において得られた化合物を用い、下記配合組成
のコーティング剤を調製した。 配合組成 実施例3の化合物 6g p−メチルチオ−α−ジメチル−モルホリノ −アセトフェノン 0.6g p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 0.36g メチルエチルケトン 4.7g イソプロピルアルコール 9.3g 上記配合組成のコーティング剤を、厚さ3mmのポリカ
ーボネート板上にバーコーターを用いて塗布し、塗膜を
80℃にて5分間乾燥し、溶剤を蒸発させた。次いで、
紫外線硬化機によって、紫外線を照射し、架橋硬化させ
厚さ5μmの硬化樹脂膜を設けたポリカーボネート板を
得た。この架橋硬化の最小光量は、1200mJ/cm
2 であった。また、得られた硬化樹脂膜の光線透過率は
92.2%であり、鉛筆硬度は4Hであった。そして、Δ
ヘーズ(テーバー摩耗試験機)は6.8であった。
【0049】実施例5 ジオール誘導体の製造 温度計,攪拌装置,滴下ロートおよびコンデンサーを取
り付けた500ミリリットル容のフラスコに、ピリジン
189.8g及びヘキサクロロシクロトリホスファゼン6
9.4gを投入し、攪拌し室温で溶解させた。次に、これ
に、1,4−ブタンジオール9.0gをピリジン20gに
溶解させた液を、滴下ロートから徐々に滴下し、攪拌
下、55℃で5時間反応を行った。この段階で得られた
生成物は、
【0050】
【化18】
【0051】で表されるものであった。 硬化性ホスファゼン化合物の製造 続いて、上記生成物を含む反応液の温度を室温にまで冷
却し、これに2−ヒドロキシエチルメタクリレート 13
0.1gを滴下ロートから徐々に滴下し、攪拌下、55℃
で48時間反応を行った。反応終了後、析出した固体を
濾別し、得られた液体を水洗した後、減圧蒸留によって
溶媒を除去して、無色の粘稠液体 138.5gを得た。得
られた生成物の赤外線吸収スペクトル分析の結果は、実
施例1の生成物と同様であり、またGPCによる分子量
測定により下記構造の化合物であると認められた。
【0052】
【化19】
【0053】次いで、この化合物100重量部に対し
て、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3重量部
を均一に溶解させて、ガラス製モールドに注入し、紫外
線を10ジュール/cm2 となるように照射し、架橋硬
化させて肉厚3mmの硬化体を得た。得られた硬化体の
光線透過率は90.6%であり、鉛筆硬度は8Hであっ
た。また、硬化収縮率は6.2%であった。
【0054】実施例6 実施例5において得られた化合物を用い、下記配合組成
のコーティング剤を調製した。 配合組成 実施例5の化合物 6g p−メチルチオ−α−ジメチル−モルホリノ− アセトフェノン 0.6g p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 0.36g メチルエチルケトン 4.7g イソプロピルアルコール 9.3g 上記配合組成のコーティング剤を、厚さ3mmのポリカ
ーボネート板上にバーコーターを用いて塗布し、塗膜を
80℃にて5分間乾燥し、溶剤を蒸発させた。次いで、
紫外線硬化機によって、紫外線を照射し、架橋硬化させ
厚さ5μmの硬化樹脂膜を設けたポリカーボネート板を
得た。この架橋硬化の最小光量は、1200mJ/cm
2 であった。また、得られた硬化樹脂膜の光線透過率は
92.2%であり、鉛筆硬度は4Hであった。そして、Δ
ヘーズ(テーバー摩耗試験機)は6.8であった。
【0055】
【発明の効果】以上の如く、本発明の硬化性ホスファゼ
ン化合物は、表面硬度,耐熱性に優れ、しかも硬化収縮
率の低い、クラック発生の恐れのない耐傷つき性の良好
な硬化樹脂膜あるいは硬化成形体を得ることができる。
したがって、本発明の硬化性ホスファゼン化合物は、自
動車,建材,木工製品,床材等の塗装用被覆材として、
また硬化成形体を得るのに有効に利用することができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、Xは一般式(II)〜(VIII) 【化2】 (式中、R2 は水素原子またはメチル基を示し、R3
    炭素数1〜12の直鎖アルキレン基または炭素数1〜1
    2の分岐アルキレン基を示し、R4 及びR5 はそれぞれ
    水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R6
    は水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜4のアルキル基
    または炭素数1〜4のハロゲン置換アルキル基を示し、
    7 は炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜1
    8のハロゲン化アルキル基を示し、Mは酸素原子,硫黄
    原子,イミノ基のいずれかを示す。)から選ばれた基
    (但し、一般式(VII) または(VIII)で表される基のみは
    除く。)を示し、Yは酸素原子,−NH−,−NR8
    (R8 は炭素数1〜4のアルキル基を示す。) のいずれ
    かを示し、R1 は二価の脂肪族基,二価の芳香族基また
    はシリレン基を示す。〕で表される硬化性ホスファゼン
    化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(IX) 【化3】 (式中、Zはハロゲン原子を示し、Xは前記と同じであ
    る。)で表されるホスファゼン化合物の誘導体に、一般
    式(X) H−Y−R1 −Y−H ・・・(X) (式中、R1 及びYは前記と同じである。)または、一
    般式(XI) Alk −O−R1 −O−Alk ・・・(XI) (式中、Alk はアルカリ金属を示し、R1 は前記と同
    じである。)で表される化合物を反応させることを特徴
    とする請求項1記載の硬化性ホスファゼン化合物の製造
    法。
  3. 【請求項3】 一般式(XII) 【化4】 (式中、Zはハロゲン原子を示し、R1 及びYは前記と
    同じである。)で表されるホスファゼン化合物の誘導体
    に、一般式(XIII) X−H ・・・(XIII) (式中のXは前記と同じである。)で表される化合物を
    反応させることを特徴とする請求項1記載の硬化性ホス
    ファゼン化合物の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の硬化性ホスファゼン化合
    物を単独で、あるいは請求項1記載の硬化性ホスファゼ
    ン化合物を共重合可能な単量体とともに架橋硬化させて
    なることを特徴とする硬化体。
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