JP2004225019A - 含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート類 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物、および該化合物を含む光硬化性組成物に関する。本発明の光硬化性組成物は、主に高度な耐候性を有する塗料用、クリヤーコート用等に有用な樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】
近年、フッ素系材料を含む光硬化型の組成物に関する開発が活発に実施されている。例えば特許文献1に溶剤可溶型のフルオロオレフィン共重合体をベースとした光硬化型塗膜が開示されており、耐候性と耐擦り傷性にすぐれた塗膜が得られる。また、特許文献2および特許文献3には、光硬化性の含フッ素ポリエーテル化合物が開示されており、光ファイバー用の硬化組成物や反射防止膜用途に用いられている。しかしながら、これらの発明は耐候性、耐汚染性、表面硬さ、耐クラック性、相溶性、透明性、耐溶剤性、耐薬品性などの多くの性能について満足のできるものを提供できていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−60992号公報
【0004】
【特許文献1】
特開平11−349651号公報
【0005】
【特許文献1】
特開平5−178980号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の新規化合物及び光硬化性組成物を提供するものである
項1. 一般式(I)、(II)または(III)
【0007】
【化3】
【0008】
〔式中、
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
Z1は、同一または異なって、水素原子、メチル基、FまたはCF3を示す。
【0009】
R1は、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す。
【0010】
a1は、2以上の整数を示す。
【0011】
a2は、0以上の整数を表す。
【0012】
X−OまたはO−Xは、ウレタン結合を含む基を表す。
【0013】
bは、2,3または4を示す。
【0014】
R2は、フッ素原子で置換されていてもよいb価の炭化水素基を示す。]
で表される含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物。
項2. X−OまたはO−XがR3NHCO−O(R3は、同一または異なり、直鎖状又は分岐鎖状の2価炭化水素基を表す。)である請求項1記載の化合物。
項3. (A)項1または2記載の化合物および(B)光重合開始剤を含有することを特徴とする光硬化性組成物。
項4. (A)項1または2記載の化合物、および/または
【0015】
【化4】
【0016】
〔式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、Z1、a1及びa2は前記に定義される通りである。〕で表される含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート。
(B)光重合開始剤
(C)上記(A)以外の光硬化性官能基含有化合物および/または
(D)ケイ素化合物を含む請求項3記載の組成物。
項5. (C)光硬化性官能基含有化合物が請求項1または2に記載のモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物以外の多官能(メタ)アクリレート化合物である項4記載の組成物。
項6. (D)ケイ素化合物が(メタ)アクリレート基を有する(a)コロイド状シリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーンまたは(d)ポリオルガノシルセスキオキサンである項4記載の組成物。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。本発明の含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレートは、前記一般式(I)、(II)または(III)で表される化合物であり、主鎖にエーテル結合を有し、側鎖に有機基と、フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有している。
【0018】
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
なお、「Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよい」とは、−CHRaCHRbO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRaは各々異なり、2種以上のRbは各々異なることを意味する。なお、−CHRaCHRbO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRaは同一になり、全てのRbは同一になる。
【0019】
同様に、a2が2以上の場合、Rcの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rdの各々は、同一であっても異なっていてもよい。この意味は、−CHRcCHRdO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRcは各々異なり、2種以上のRdは各々異なることを意味する。なお、−CHRcCHRdO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRcは同一になり、全てのRdは同一になる。
【0020】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基としては、直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基(CpF2p+1(pは1〜16の整数))、直鎖または分岐鎖のポリフルオロアルキル基(CpHqFr(pは1〜16の整数、q≧1,r≧1,q+r=2p+1))が例示される。ポリフルオロアルキル基は末端が水素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
【0021】
フルオロアルキル基の具体例として、CF3−、CHF2−、CClF2−、C2F5−、CHF2CF2−、CClF2CF2−、(CF3)2CF−、CF3CF2CF2−、(CHF2)2CF−、(CF3)(CHF2)CF−、(CF3)2CFCF2CF2−、(CF3)2CF(CF2CF2)2−、F(CF2)2−、F(CF2)4−、F(CF2)6−、F(CF2)8−、F(CF2)10−、F(CF2)12−、F(CF2)14−、F(CF2)16−等が挙げられる。
【0022】
フルオロアルキル基としては、「末端が水素原子又は塩素原子で置換されていてもよい炭素数1〜16のフルオロアルキル基」を示す。ここで、「末端」とは、エチレングリコール部分から最も離れた炭素原子に結合する原子を意味する。例えば、(CF3)2CF−は末端が置換されていないパーフルオロアルキル基であり、(CHF2)2CF−および(CF3)(CHF2)CF−は末端が水素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
【0023】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記フルオロアルキル基)が例示される。
【0024】
R1、Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシルなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基が例示される。
【0025】
R1、Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記アルキル基)が例示される。
【0026】
X−OまたはO−Xは、ウレタン結合を含む基を表す。具体例としては、X−OはR3−NHCO−Oを表し、O−Xは、O−CONH−R3を表し、R3としては、炭素原子数1〜10の直鎖状または分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子2〜10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素数3〜10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)などが例示される。
【0027】
Z1は、それぞれ独立にH、CH3、FまたはCH3である。
【0028】
a1は2以上の整数、好ましくは2〜20の整数、より好ましくは5〜10の整数を表す。
【0029】
a2は0以上の整数、好ましくは0〜20の整数、より好ましくは0を表す。
【0030】
a2が0でないとき、a1/a2≧1が好ましく、より好ましくはa1/a2≧2である。
【0031】
bは、2,3または4、好ましくは2または3,より好ましくは2を示す。
【0032】
−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、必須成分と任意成分の両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない。すなわち、ブロック共重合タイプ、ランダム共重合タイプのいずれの形式でフッ素系エポキシ化合物と非フッ素系エポキシ化合物を重合させてもよい。
【0033】
R2は、フッ素原子で置換されていてもよいb価(b=2〜4)の炭化水素基を示す。
2価の炭化水素基としては、C2〜C6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基(−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−など)、アリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基)が例示され、これらはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類或いはジヒドロキシベンゼンなどのジヒドロシキアリール基から2つのOH基を除いた部分に相当する;
3価の炭化水素基としては、C3〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばCH2CHCH2、C6H3)が例示され、これらはトリオール(グリセリンなど)、トリヒドロキシベンゼンなどの3個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該3個の水酸基を除いた部分に相当する;
4価の炭化水素基としては、C4〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばC(CH2)4)が例示され、これらはテトラオール(例えばC(CH2OH)4など)、テトラヒドロキシベンゼンなどの4個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該4個の水酸基を除いた部分に相当する。
【0034】
一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物は、例えば、特開平8−40964号公報に記載されている置換基としてフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するエチレングリコール、置換基としてフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するエチレンオキサイド、およびアルキレンオキサイドを反応させて、含フッ素ポリエーテルジオールを合成し、次いでこれに(ジ)イソシアネート化合物または/および(メタ)アクリル酸エステルを反応させることにより得ることができる。
【0035】
光重合開始剤(B)としては、公知周知のものを使用できる。特に入手容易な市販のものが好ましい。光重合開始剤(B)としては、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(たとえば、モノアシルホスフィンオキシド類、ジアシルホスフィンオキシド類など)、その他の光重合開始剤がある。光重合開始剤は2種以上併用できる。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせて使用することもできる。具体的な光重合開始剤としては、たとえば以下のような化合物がある。
【0036】
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
【0037】
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0038】
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。
【0039】
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド。
【0040】
本発明の(C)光硬化性官能基含有化合物は2種以上からなっていてもよい。またその光硬化性官能基は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのα,β−不飽和基やそれを有する基であり、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。光硬化性官能基含有化合物は光硬化性官能基を1分子あたり2個以上有する化合物(以下、多官能性化合物という)であることが好ましい。しかし光硬化性官能基含有化合物の一部として光硬化性官能基を1分子あたり1個有する化合物(以下、単官能性化合物という)を使用することもできる。
【0041】
以下、光硬化性官能基含有化合物として好ましい化合物である(メタ)アクリロイル基を有する多官能性化合物について説明する。
【0042】
多官能性化合物としては、特開平11−60992号(0032)から(0058)に記載のものがあげられ、具体的には以下に示される。
【0043】
多官能性化合物としては、(メタ)アクリロイル基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、アミド結合などを有していてもよい。特に、硬さと可撓性を両立させやすいウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2種の(メタ)アクリロイル基含有多官能性化合物について説明する。
【0044】
ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、たとえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(d1)と2以上のイソシアネート基を有する化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応生成物、(2)化合物(d1)と2以上の水酸基を有する化合物(d2)とポリイソシアネートとの反応生成物、(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有する化合物(d3)と化合物(d2)との反応生成物、などがある。これらの反応生成物においては、イソシアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いことが好ましい。
【0045】
(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(d1)としては、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個を有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2個以上を有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ2個以上有する化合物であってもよい。具体例として、上記順に、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどがある。これらは2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルである。
【0046】
さらに化合物(d1)としては、エポキシ基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに変換することもできる。
【0047】
エポキシ基を1個以上有する化合物としては、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビスフェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生成物を化合物(d1)として使用することもできる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0048】
化合物(d1)の上記以外の具体例としては、たとえば以下の化合物がある。2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペンタ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
【0049】
ポリイソシアネートとしては、通常の単量体状のポリイソシアネートはもちろん、ポリイソシアネートの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であってもよい。
【0050】
多量体としては3量体(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プレポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これらポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0051】
具体的な単量体状のポリイソシアネートとしては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート。
【0052】
ポリイソシアネートとしては特に無黄変性ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のようにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好ましい。
【0053】
2以上の水酸基を有する化合物(d2)としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して高分子量のポリオールなどがある。
【0054】
多価アルコールとしては、2〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、特に2〜6個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコールはもちろん、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールであってもよい。
【0055】
芳香核を有する多価アルコールとしてはたとえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香核を有するポリエポキシドの開環物などがある。
【0056】
高分子量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどがある。
【0057】
また、ポリオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用できる。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用することもできる。
【0058】
多価アルコールの具体例としてはたとえば以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物。
【0059】
ポリオールの具体例としてはたとえば以下のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオール。
【0060】
水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの水酸基不含単量体との共重合体がある。
【0061】
(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有する化合物(d3)としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート、3−または4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがある。
【0062】
ウレタン結合を含まない多官能性化合物の具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。
【0063】
以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレート。
【0064】
以下の芳香環またはトリアジン環を有する多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレート。ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールA、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート。
【0065】
以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドを表し、[ ]内はポリオキシアルキレンポリオールの分子量を表す。トリメチロールプロパン−EO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート。
【0066】
下記(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイルオキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0067】
下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あたり1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およびグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールもしくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価アルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応生成物。
【0068】
上記のような(メタ)アクリレート類でかつ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル化物など(以下、変性物ともいう)で、下記のような化合物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のアリルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート。
【0069】
好ましい多官能性化合物は下記のアクリルウレタンとウレタン結合を有しない多官能性化合物である。アクリルウレタンの場合、ペンタエリスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリトールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)の反応生成物であるアクリルウレタン、またはペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応生成物であるアクリルウレタンであって3官能以上(好ましくは4〜20官能)の化合物が好ましい。ウレタン結合を有しない多官能性化合物としては、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとは、ペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ましくは4〜20官能のもの)をいう。イソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートまたはその1モルに1〜6モルのカプロラクトンやアルキレンオキシドを付加して得られる付加物と(メタ)アクリル酸とのポリエステル(2〜3官能のもの)をいう。これら好ましい多官能性化合物と他の2官能以上の多官能性化合物(特に多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート)とを併用することも好ましい。これら好ましい多官能性化合物は全多官能性化合物に対して50重量%以上が好ましい。
【0070】
単官能性化合物としては、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物があげられる。そのような単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートである。
【0071】
具体的な単官能性化合物としてはたとえば以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t―ブチル(メタ)アクリレート、2―エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4―sブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。3−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、3−トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−ビニル−2−ピロリドンなどがあげられる。
【0072】
本発明の光硬化性組成物における(D)ケイ素化合物としては(a)コロイド状シリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーン、(d)ポリオルガノシルセスキオキサンが好ましい。さらには(メタ)アクリレート基を有する(a)コロイダルシリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーン、(d)ポリオルガノシルセスキオキサンがあげられより好ましい。
【0073】
前記コロイド状シリカとしては、特開平11−60992号(0061)から(0088)記載の以下のものなどがあげられる。
【0074】
コロイド状シリカとしては、平均粒径200nm以下のコロイド状シリカが適当である。コロイド状シリカの平均粒径は1〜100nmであることが好ましく、特に1〜50nmが好ましい。コロイド状シリカはまた下記表面修飾されたコロイド状シリカであることが、コロイド状シリカの分散安定性およびコロイド状シリカと多官能性化合物との密着性向上の面で好ましい。
【0075】
紫外線硬化性の被覆組成物中のコロイド状シリカの量は、紫外線硬化性の硬化性成分(a)100重量部に対して5重量部以上が適当であり、10重量部以上が好ましい。この量が少ない場合には充分な表面硬度を有する硬化被膜が得られ難い。また多すぎると硬化被膜にヘーズが発生しやすくなり、また得られた透明被覆成形品を熱曲げ加工などの2次加工を行う場合にはクラックが生じやすくなるなどの問題を生じやすくなる。したがって、コロイド状シリカ量の上限は硬化性成分(a)100重量部に対して300重量部であることが好ましい。より好ましいコロイド状シリカの量は硬化性成分(a)100重量部に対して50〜250重量部である。
【0076】
コロイド状シリカとしては表面未修飾のコロイド状シリカを使用することができるが、好ましくは表面修飾されたコロイド状シリカを使用する。表面修飾されたコロイド状シリカの使用は組成物中のコロイド状シリカの分散安定性を向上させる。修飾によってコロイド状シリカ微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多少大きくなると考えられるが、得られる修飾コロイド状シリカの平均粒径は上記範囲のものであると考えられる。
【0077】
修飾コロイド状シリカの原料となる未修飾のコロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コロイド状シリカを使用する場合は透明被覆層用組成物がゲル化しないように、またシリカがコロイド分散系から沈殿しないように、有機酸の添加のような手段によって分散体を酸性にすることが好ましい。
【0078】
コロイド状シリカの分散媒としては種々の分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもできる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま被覆組成物の媒体(溶媒)とすることが好ましい。被覆組成物の媒体としては、乾燥性などの面から比較的低沸点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であることが好ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロイド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒および被覆組成物の媒体はすべて同一の媒体(溶媒)であることが好ましい。このような媒体としては、塗料用溶媒として広く使用されているような有機媒体が好ましい。
【0079】
分散媒としては、たとえば以下のような分散媒を使用できる。水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールのような低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンなど。前記のように特に分散媒としては有機分散媒が好ましく、上記中の有機分散媒のなかではさらにアルコール類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド状シリカとそれを分散させている分散媒との一体物をコロイド状シリカ分散液という。
【0080】
コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ましい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノール基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えられる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。また後述のように互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物を修飾剤として用いることもできる。
【0081】
修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基やシラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好ましくは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した有機基を有し、その有機基の少なくとも1個は反応性官能基もしくは被覆用樹脂との相溶性を有する有機基であることが好ましい。好ましい修飾剤は下記(式イ)で表される化合物である。
【0082】
W3−n −SiR1a nR1b (式イ)
ただし、Wは加水分解性基、R1aは反応性官能基を有しない1価の有機基、R1bは反応性官能基もしくは被覆用樹脂との相溶性を有する有機基、nは0、1、または2を表す。
【0083】
Wで表される加水分解性基としては、たとえば、ハロゲン基、アルコキシ基、アシロキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基などがあり、特にアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基とエトキシ基が好ましい。なお、nは0または1であることが好ましい。また、(式イ)と同様に表されかつそのWが水酸基である化合物は上記シラノール基を有する化合物の例である。
【0084】
R1a で表される反応性官能基を有しない1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この炭化水素基としては、炭素数8以下の炭化水素基、特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。R1a としては特にメチル基とエチル基が好ましい。なお、ここにおける1価の有機基とは炭素原子によってケイ素原子に結合する有機基をいう(R1bにおいても同じ)。
【0085】
R1bで表される反応性官能基もしくは被覆用樹脂との相溶性を有する有機基としては、含フッ素有機残基もしくは反応性官能基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この有機基には2以上の反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、重合性不飽和基などがある。重合性不飽和基としてはR1bそのものであってもよく(たとえばビニル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基やビニルオキシ基などの有機基と結合してR1bとなる重合性不飽和基であってもよい。またアミノ基としては1級、2級のいずれのアミノ基であってもよく、2級アミノ基の場合素の窒素原子に結合した有機基はアルキル基、アミノアルキル基、アリール基など(特に炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアミノアルキル基およびフェニル基)が好ましい。好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカプト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基である。反応性官能基が結合する有機基としては、反応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基(その内でもポリメチレン基)が好ましい。
【0086】
具体的な修飾剤としては反応性官能基の種類によって分けると、たとえば以下のような化合物がある。
【0087】
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなど。
【0088】
アミノ基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなど。
【0089】
メルカプト基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0090】
エポキシ基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど。
【0091】
イソシアネート基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0092】
互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物としては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類同士2分子の反応生成物などがある。
【0093】
コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解性基を有する修飾剤をコロイド状シリカに接触させて加水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリカ分散液に修飾剤を添加し、コロイド状シリカ分散液中で修飾剤を加水分解することによって修飾できる。この場合、修飾剤の加水分解物はコロイド状シリカの微粒子表面に化学的にまたは物理的に結合し、その表面を修飾すると考えられる。特にコロイド状シリカ表面には通常シラノール基が存在することより、このシラノール基が修飾剤の加水分解で生成するシラノール基と縮合して修飾剤の加水分解残基が結合した表面が生成すると考えられる。また、加水分解物自身の縮合反応が進んだものが同様に表面に結合する場合もあると考えられる。また、本発明においては修飾剤をある程度加水分解を行った後にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うこともできる。
【0094】
コロイド状シリカの表面を加水分解性基を有する修飾剤で修飾する場合、修飾剤をコロイド状シリカ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える水により加水分解することにより、この加水分解物で表面が修飾された修飾コロイド状シリカが得られる。修飾剤の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラノール基と修飾剤またはその部分加水分解縮合物との反応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好ましい。シラノール基を有する修飾剤で修飾する場合もシラノール基同士の反応を促進するために触媒を存在させることが好ましい。
【0095】
この触媒としては、酸やアルカリがある。好ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用する。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用できる。
【0096】
加水分解反応を均一に進行せしめるために通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロイド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒の混合溶媒であってもよい。この溶媒の条件としては、修飾剤を溶解し、水および触媒との相溶性があり、加えてコロイド状シリカの凝集を起こしにくいものであることが好ましい。
【0097】
具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールのような低級アルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド等を挙げうる。
【0098】
これらの溶媒は先に述べたコロイド状シリカの分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒に置換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外の溶媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。
【0099】
反応温度としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好ましく、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲が好ましい。
【0100】
コロイド状シリカの修飾において、修飾剤の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜100重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持されていない修飾剤の加水分解物〜縮合物が多量に生じ、被覆組成物の硬化の際それらが連鎖移動剤として働いたり、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化被膜の硬度を低下させるおそれが生じる。
【0101】
前記変性シリコーンとしては、特開平8−176504号(0085)から(0104)記載のものがあげられ、具体的には以下のものである。
【0102】
変性シリコーンとしては、ビニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基を有するポリシロキサン鎖含有単量体であり、好ましくはポリシロキサン鎖含有メタクリレート化合物又はアクリレート化合物であり、具体例としては一般式(II−1)
【0103】
【化5】
【0104】
[式中、R3及びR4は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、それらは同一でも異なっていてもよく、又シロキシ単位毎に同一でも異なっていても良く、pは3〜520の整数であり、qは0又は1であり、Y’は2価の連結基で、
【0105】
【化6】
【0106】
【化7】
【0107】
(n’、m”は2〜6の整数を示す)、または
【0108】
【化8】
【0109】
であり、R3は水素原子又はメチル基であり、Z3はメチル基、フェニル基、又は
【0110】
【化9】
【0111】
である。]にて表わされる化合物、または一般式(II−2)
【0112】
【化10】
【0113】
[式中、R3、R’3、R”3、R4、R’4、R”4は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、これらは同一でも異なっていてもよく、又シロキサン単位毎に同一でも異なっていてもよく、r,s,tは1〜200の整数で、これらは同一でも異なっていてもよく、Y’,q,R5は前記と同意義である。]にて表わされる化合物が挙げられる。
【0114】
変性シリコーンのより具体的な化合物の例として次の如きものが挙げられる。
【0115】
【化11】
【0116】
【化12】
【0117】
【化13】
【0118】
【化14】
【0119】
【化15】
【0120】
【化16】
【0121】
但し、Me,Phはそれぞれメチル基、フェニル基を表す。前記の如く、変性シリコーン(II)のα,β−不飽和基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれも可能ではあるが、重合反応性の点でアクリロイル基又はメタクリロイル基が優れているため、これらを含有して成る変性シリコーン単量体(II)が特に好ましい。
【0122】
前記シリコン樹脂としては、特開2000−109694号(0012)から(0045)記載のものがあげられ、具体的には以下のものである。
【0123】
すなわちシリコン樹脂は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解し、縮合した化合物等である。
【0124】
(R1X)PSi(X)4−P (1)
[一般式(1)中、R1Xは炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜3の整数である。]
(Y)(R1X)qSi(X)3−q (2)
[一般式(2)中、R1XおよびXは一般式(1)の内容と同様であり、Yはイソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基またはアクリロイル基であり、qは0〜2の整数である。]
一般式(1)および一般式(2)における有機基R1Xは、非加水分解性である1価の有機基の中から選ぶことができる。このような非加水分解性の有機基として、非重合性の有機基および重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。なお、有機基R1Xにおける非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。
【0125】
ここで、非重合性の有機基R1Xとしては、アルキル基、アリ−ル基、アラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであっても良い。また、より具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、および重水素化アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、より好ましくはメチル基である。
【0126】
また、非重合性の有機基R1Xにおける具体的なアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、および重水素化アリール基もしくはハロゲン化アリール基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはフェニル基である。さらに、非重合性の有機基R1Xにおける具体的なアラルキル基としては、ベンジル基およびフェニルエチル基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはベンジル基である。
【0127】
さらに、非重合性の有機基R1Xは、ヘテロ原子を含む構造単位とすることも好ましい。そのような構造単位としては、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合等を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
【0128】
また、重合性の有機基R1Xは、分子中にラジカル重合性の官能基およびカチオン重合性の官能基あるいはいずれか一方の官能基を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、ラジカル重合やカチオン重合を併用して、光硬化性樹脂組成物をより有効に硬化させることができる。
【0129】
また、重合性の有機基R1Xにおけるラジカル重合性の官能基、およびカチオン重合性の官能基のうち、より好ましいのはカチオン重合性の官能基である。光酸発生剤により、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応を同時に生じさせることができるためである。
【0130】
次に、ラジカル重合性の官能基を有する有機基R1Xの具体例について説明する。このような有機基R1Xとしては、不飽和炭化水素を有する有機基、(メタ)アクリロキシ基を有する有機基、スチリル基を有する有機基、ビニルエーテルを有する有機基等が挙げられる。そして、より具体的な不飽和炭化水素基を有する有機基としてはビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基等が挙げられる。これらのうち、より好ましくはビニル基である。また、(メタ)アクリロイル基を有する有機基の例を示すと、(メタ)アクリロキシメチル基や(メタ)アクリロキシプロピル基等が挙げられる。また、スチリル基を有する有機基の例を示すと、スチリル基、スチリルエチル基、スチリルプロピル基等が挙げられる。さらに、ビニルオキシ基を有する有機基の例を示すと、ビニロキシエチル基、ビニロキシプロピル基、ビニロキシブチル基、ビニロキシオクチル基、ビニロキシシクロヘキシル基、ビニロキシフェニル基等を挙げることができる。なお、ビニルオキシ基を有する有機基は、後述するカチオン重合性の官能基を有する有機基としての機能も有している。
【0131】
また、カチオン重合性の官能基を有する有機基R1Xとしては、環状エーテル構造を有する有機基、ビニルオキシ基を有する有機基等が挙げられる。そして、より好ましくは、環状エーテル構造を有する有機基である。かかる環状エーテル基としては、直鎖や環状構造を有する3〜6員環の環状エーテル構造、より具体的にはグリシジル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラン構造を含む基、及びピラン構造を含む基を挙げることができる。また、これらの環状エーテル基のうち、より好ましいものはグリシジル基、オキセタニル基等の4員環以下の環状エーテル構造である。
【0132】
また、環状エーテル構造を有する有機基の具体例を示すと、グリシジルプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、メチルオキセタニルメトキシプロピル基、エチルオキセタニルメトキシプロピル基等を挙げることができる。
【0133】
加水分解性基X
次に、一般式(1)および一般式(2)における加水分解性基Xについて説明する。Xで表される加水分解性基は、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(25℃)〜100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基を指す。また、加水分解性基Xに関する一般式(1)中の添え字pは、0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは1であり、同様に、一般式(2)中の添え字qは、0〜2の整数であるが、より好ましくは0〜1の整数であり、特に好ましくは1である。
ただし、一般式(1)および一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物の加水分解物における縮合物中に、一部未加水分解の加水分解性基が残っていても良く、その場合、加水分解性シラン化合物と縮合物等との混合物となる。
【0134】
さらに、加水分解性シラン化合物は、光硬化性樹脂組成物を配合する時点で加水分解されている必要は必ずしもなく、光照射する段階で、少なくとも一部の加水分解性基が加水分解されていれば良い。すなわち、本発明の光硬化性樹脂組成物において、加水分解性シラン化合物を予め加水分解せずに使用した場合には、事前に水を添加して、加水分解性基を加水分解させシラノール基を生成することにより、光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。
【0135】
そして、本発明において加水分解性基Xとして、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子およびアミノ基等が挙げられる。ここで、好ましい炭素数1〜12のアルコキシ基の具体例を挙げると、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基、あるいは、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等を挙げることができる。
【0136】
また、好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。ただし、このように加水分解性基としてハロゲン原子を含む加水分解性シラン化合物を用いる場合、光硬化性樹脂組成物の保存安定性を低下させないように注意を払う必要がある。すなわち、加水分解により生成するハロゲン化水素の量にもよるが、かかるハロゲン化水素を、中和、蒸留等の操作により除去して、光硬化性樹脂組成物の保存安定性に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
【0137】
また、好ましいアミノ基としては、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることができる。ただし、このように加水分解性基としてアミノ基を用いた場合、加水分解によりアミン類が生成する。したがって、光硬化性樹脂組成物の保存安定性に影響を及ぼさないように、光硬化性樹脂組成物を最終的に調製する前に、かかる副生アミン類を除去することが好ましい。
【0138】
官能基Y
一般式(2)中の、官能基Yは、前述したとおりイソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基またはアクリロイル基であるが、これらの種類を選択するにあたり、フッ素含有重合体における官能基の種類を考慮することが好ましい。すなわち、フッ素含有重合体における官能基との反応性を考慮して、官能基Yの種類を選択することが好ましい。したがって、フッ素含有重合体における官能基がヒドロキシ基の場合、加水分解性シラン化合物における官能基Yは、イソシアネート基であることが好ましい。
加水分解性シラン化合物の具体例1
次に、本発明に使用される一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物(単に、シラン化合物と称する場合がある。)における具体例を説明する。
【0139】
まず、一般式(1)におけるpが0であるシラン化合物としては、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等が挙げられる。
【0140】
また、同様に、一般式(1)におけるpが1であるシラン化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0141】
また、同様に、一般式(1)におけるpが2であるシラン化合物としては、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等が挙げられる。さらに、一般式(1)におけるpが3であるシラン化合物としては、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等を挙げることができる。
【0142】
また、重合性の有機基R1Xを有するシラン化合物としては、Xにおける非加水分解性の有機基に重合性の有機基R1Xを含むシラン化合物、Xにおける加水分解性の有機基に重合性の有機基R1Xを有するシラン化合物のいずれかを用いることができる。
【0143】
また、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、使用するシラン化合物の種類により、屈折率の値を幅広く変化させることができる。したがって、比較的高い屈折率の値(1.50以上)を得たい場合には、上述したシラン化合物のうち、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を使用することが好ましい。一方、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、比較的低い屈折率の値(1.50未満)を得たい場合には、上述したシラン化合物のうち、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等を使用することが好ましい。
【0144】
加水分解性シラン化合物の具体例2
一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物のうち、イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物の具体例としては、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−トリエトキシシリルイソシアネート等が挙げられる。
【0145】
また、フッ素含有重合体における官能基がエポキシ基あるいはオキセタン基の場合、加水分解性シラン化合物における官能基Yは、メルカプト基、エポキシ基またはアミノ基であることが好ましい。このようなメルカプト基を有する加水分解性シラン化合物の具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトフェニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルベンジルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0146】
また、一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物のうち、エポキシ基を有する具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0147】
また、一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物のうち、アミノ基を有する具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0148】
なお、上述した組み合わせのうち、フッ素含有重合体における官能基がエポキシ基であり、シラン化合物における官能基Yがメルカプト基である組合わせと、フッ素含有重合体における官能基がヒドロキシ基であり、シラン化合物における官能基Yがイソシアネート基である組合わせが、本発明において最も好ましい。加水分解条件および縮合条件
次に、上述したシラン化合物を加水分解条件や縮合する条件について説明する。これらの加水分解条件等は、特に制限されるものではないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程で実施するのが好ましい。
1)一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれか一方の加水分解性シラン化合物と、所定量の水とを、撹拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中、0℃から有機溶媒もしくは加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で、1〜24時間の間加熱撹拌することにより縮合する。なお、加熱撹拌中、必要に応じて蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは溶剤を置換することも好ましい。
【0149】
ここで、加水分解性シラン化合物の加水分解に用いられる水(精製水)は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。具体的には電気伝導率が1×10−2S・cm−1以下の値である水を使用することが好ましい。加水分解に用いられる水の電気伝導率が1×10−2S・cm−1を超えると、光硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向がある。したがって、光硬化性樹脂組成物の保存安定性がより良好な観点から、加水分解に用いられる水の電気伝導率を1.0×10−4S・cm−1以下の値とするのがより好ましい。
【0150】
分子量
次に、加水分解性シラン化合物の加水分解物における縮合物の分子量について説明する。かかる分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記する。)を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定することができる。そして、縮合物の重量平均分子量を、通常500〜10,000の範囲内の値とするのが好ましい。加水分解物における重量平均分子量の値が500未満の場合、塗膜の製膜性が低下する傾向があり、一方、10,000を越えると光硬化性が低下する傾向がある。したがって、より好ましくは縮合物の重量平均分子量を、1,000〜5,000の範囲内の値とすることである。
【0151】
前記ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、特開平5−209031号(0009)から(0013)記載のものなどがあげられ、具体的には以下のものである。
【0152】
本発明において、ポリオルガノシルセスキオキサンは、上述したように下記一般式(X)で示されるシルセスキオキサン単位から構成されるものである。
【0153】
【化17】
【0154】
ここで一般式(I)中、R1 Y, R2Y は同じ基であっても別種の基であってもよい。R1 Y, R2Yの50〜95モル%はメチル基であり、好ましくは60〜85モル%である。メチル基が50モル%未満では硬化後の樹脂の硬度が不充分となる。メチル基が95モル%より多い場合は、(メタ)アクリロキシ結合を含む基が少なすぎて、耐溶剤性や耐汚染性が不充分となる。またR1Y, 及びR2Yの一部は下記一般式(III)に示される(メタ)アクリロキシ結合を含む基である。
【0155】
【化18】
【0156】
一般式(III)中、R5 は水素原子またはメチル基であり、R6 は炭素原子数1〜12の非置換または置換二価炭化水素基である。R6 の非置換炭化水素基の例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、等のアルキレン基があげられ、またR6 の置換基の例としてはアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部をハロゲン原子、シアノ基、等で置換した基等があげられる。一般式(I)中のR1 ,R2 における一般式(III)で示される(メタ)アクリロキシ結合を含む基の比率は5〜50モル%がよく、好ましくは10〜30モル%である。5モル%未満では耐溶剤性や耐汚染性が不充分となり本発明の目的には適しない。また、50モル%より多い場合は、硬化後の樹脂の硬度、耐擦傷性が本発明の目的とするレベルを実現しえなくなる。一般式(I)におけるR1 , R2 において、メチル基、(メタ)アクリロキシ結合を含む基以外の残りは炭素原子数2ないし3個のアルキル基か置換または非置換フェニル基からなるものである。R1 , R2 として炭素原子数4以上のアルキル基が含まれていると、硬度、耐候性共に低下し本発明の目的には不適となる。本発明において、(A)成分のポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量は1000〜100, 000程度が好ましく、これはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置と標準分子量物質とを用いる事で測定しうる。また本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの末端基は、合成時の原料に由来してアルコキシ基または水酸基からなるが、末端基を例えばトリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどを用いてキャッピングして保存安定性を高めて使用することも可能である。次に本発明の(B)成分の理解を助けるために、〔B〕成分を得るために用いられる活性基水素を有するグラフトポリマー〔B′〕を合成するまでの工程を以下に模式的に例示する。なおこの模式図中の重合はラジカル発生剤の存在下、不活性ガス気流中で既存の諸方法によって行うことができる。
【0157】
本発明における(A), (C), (D)成分の配合量(合計で100重量部)は、(A)成分20〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、より好ましくは30〜60重量部、(C)成分0〜80重量部、好ましくは5〜50重量部、(D)成分0〜80重量部、好ましくは5〜50重量部である。この(D)成分が80重量部を越えると、硬化体の基材に対する追随性が乏しくなり、クラックを生じやすくなる。(A)成分が、20重量部未満では汚染性や耐候性の面で問題を生ずる。(C)成分が60重量部を越える場合は耐候性が不満足となる。
【0158】
本発明の被覆用組成物は上記基本的成分以外に溶剤や種々の配合剤を含むことができる。溶剤は通常必須の成分であり、光硬化性成分が特に低粘度の液体でない限り溶剤が使用される。溶剤としては、通常多官能性化合物を硬化成分とする被覆用組成物に使用される溶剤を使用できる。さらに基材の種類により適切な溶剤を選択して用いることが好ましい。溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変更できる。通常は光硬化性成分の100倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。
【0159】
溶剤としてはたとえばメタノール、エタノール、2―プロパノ−ルなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、それらのジアルキルエーテルなどのエーテル類、セロソルブ類酢酸n―ブチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、水などの溶剤がある。
【0160】
本発明の被覆用組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、熱重合防止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒等、そして、鋭感剤などを適宜配合して用いてもよい。
【0161】
特に紫外線吸収剤や光安定剤などの安定剤の配合が好ましい。紫外線吸収剤としては合成樹脂用紫外線吸収剤として市販されているもの、たとえばベンゾトリアゾール系、紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、を使用しうる。光安定剤としては合成樹脂用光安定剤として市販されているもの、たとえば2,2,6,6―テトラアルキルピペリジン誘導体からなるヒンダードアミン系光安定剤を使用しうる。
【0162】
本発明の光硬化性の組成物は、種々の基材に適用しその表面に硬化被膜を形成できる。基材としては各種合成樹脂、木材、金属、ガラス、石、コンクリート、セラミック、紙などがあげられる。合成樹脂としては芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチレン樹脂などがある。特に芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。この基材は成形されたものであり、たとえば平板や波板などのシート状基材、フィルム状基材、各種形状に成形された基材、少なくとも表面層が各種合成樹脂からなる積層体等がある。基材としては、特に芳香族ポリカーボネート樹脂製シートが好ましい。
【0163】
本発明の組成物は、基材にディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法で塗布し、溶剤を含む組成物の場合は乾燥した後、光を照射して硬化させる。光としては紫外線、電子線などがあげられる。紫外線源としてはキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。照射時間は、光硬化性成分の種類、光重合開始剤の種類、被膜厚、紫外線源等の条件により適宜変えうる。通常は1〜60秒照射することにより目的が達成される。さらに硬化反応を完結させる目的で、照射後または照射前に加熱処理することもできる。
【0164】
硬化被膜の厚さは、所望により種々の厚さを採用できる。通常は1〜100μmの厚さの硬化被膜、好ましくは3〜30μmの厚さの硬化被膜を形成することが好ましい。
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、主に高度な耐候性を有する塗料用、クリヤーコート用等に有用な本発明の光硬化性組成物を得ることができる。
【0166】
【実施例】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[合成例1]下記の成分を反応容器に仕込んだ。
【0167】
【化19】
【0168】
100℃で6時間反応を行なった後、シリカゲルカラムによる分離精製を行って、含フッ素ポリエーテルジオールを得た。
【0169】
次いで、得られた含フッ素ポリエーテルジオール20.6重量部、2−イソシアネートエチルメタクリレート11.0重量部、p−メトキシフェノール0.02重量部およびジブチル錫ジラウレート0.001重量部を仕込み、50℃で1時間反応を行った後、シリカゲルカラムによる分離精製により、含フッ素ポリエーテルジアクリレート(A−1)を得た。
[合成例2]
特開平5−178980号の実施例1記載の方法と同様の方法により得られた含フッ素ポリエーテルジアクリレート(A−2)を得た。
「合成例3」
温度計、撹拌装置、還流冷却器を取りつけた1リットルのフラスコに、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン149g(0.6モル)、メチルトリエトキシシラン392g(2.2モル)、フェニルトリメトキシシラン40g(0.2モル)、塩酸0.0015モル、水108g(6モル)、p−メトキシフェノール0.01gを仕込み、フラスコ内の温度を60℃まで昇温し、撹拌しながら30分間保持した。続いて70℃に昇温し、1時間反応させた後、n―ブチルアミン0.6g(0.0082モル)を滴下し、更に45分間反応せしめた後、蟻酸0.4g(0.0087モル)を滴下し、70℃で30分間保持した。水洗した後、無水硫酸ナトリウムで脱水後、ロータリーエバポレータを用いて脱溶媒したところ、25℃の粘度が500cpsの粘稠な(D)成分315gが得られた。この(D)成分の分子量をGPCにより求めたところ数平均分子量6, 300、重量平均分子量14, 800であった。本合成例の(D)成分においては側鎖のメチル基とメタクリル基とフェニル基とのモル比が73:20:7であった。この(D)成分をD−1とする。
「実施例1」
A―1成分 35部、 D−1成分 25部、 C成分ペンタエリスリトールテトラアクリレート 30部、 D成分N―ビニル−2−ピロリドン 7部、B成分 ベンゾフェノン1.5部、 B成分P―ジメチルアミノ安息香酸エチル、 1.5部、 酢酸ブチル 20部、 アセトン 10部 を混合し、光硬化性組成物を調製した。スレート板に水ガラス系複層模様吹付け剤を塗布し、焼付けた基板を下地材料とし、この上に上記組成物をスプレーガンを用いて厚さ20μmにコーティングし、次に高圧水銀灯を用いて紫外線照射量が1J/cm2 になるよう均一に照射を行ない、塗膜を硬化させた。この結果、もとの基板が無機系塗膜特有の白っぽく不鮮明な外観であったものが、このトップコートを施すことにより色鮮やかで釉薬調の光沢ある外観に一変した。この硬化塗膜の諸物性を表1に示す。
「実施例2」 実施例1のA―1成分をA―2とする以外は全て実施例1と同じ処方、操作により、硬化塗膜を作製した。このものの諸物性を表1に示す。
「比較例1」
特開平11−349651号合成例1記載と同様の方法で含フッ素ポリエーテルジアクリレートを合成し、これを実施例1のA−1成分の変わりに用いた以外はすべて実施例1と同様に硬化塗膜を作製した。
[合成例4]エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部にγ―アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液(D−2)を得た。
「実施例3」
次に、撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール44. 3g、酢酸ブチル84. 3g、アセトン40.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル5. 7g、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン450mg、2―(3,5―ジ−t―アミル−2―ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール1. 5g、ビス(1―オクチルオキシ−2,2,6,6―テトラメチル−4―ピペリジニル)セバケート600mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)600mgを加え溶解させた。
【0170】
続いて、合成例1のA−1を30gを加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に合成例3で得たコロイド状シリカ分散液D−2の54. 5gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、組成物を得た。
【0171】
そして、厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂板に、スプレー塗工装置を用いてこの光硬化性用組成物を塗工して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。そして、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚5μmの透明被覆層を形成させた。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
「実施例4」
実施例3のA―1成分をA―2とする以外は全て実施例3と同じ処方、操作により、硬化塗膜を作製した。このものの諸物性を表1に示す。
「比較例2」
実施例3のA―1成分を特開平11−60992号例17記載と同様のフッ素樹脂とする以外は全て実施例3と同じ処方、操作により、硬化塗膜を作製した。このものの諸物性を表1に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
なお、実施例及び比較例中の各物性値は下記の方法に従って測定した。
〔相溶性試験方法と評価〕塗料組成物をガラス板の上に塗装し、1日放置した。紫外線照射はしなかった。このガラス板上の硬化組成物の濁りを目視で観察した。A:透明 B:わずかに濁り C:かなり白濁している
〔外観と光沢〕A:色彩鮮やかで光沢がある B:多少不鮮明で光沢が低い C:著しく不鮮明で光沢がない
〔耐摩耗性〕太さ#0000のスチールウールの束を荷重500gをかけながら硬化被膜を15往復こすり、その後被膜についた傷の程度を調べ、下記のように4ランクに分けて評価した。 A:全く傷がつかない B:10本以内の傷がつくC:10本以上の傷がつくが、なお光沢を保持している D:無数の傷で光沢を失う
〔表面硬度〕塗料用鉛筆引かき試験機を用いて、JIS K5401に準じて測定した。
〔耐候性〕JIS B7753の規定に従い、カーボンアークサンシャインウェザーメーター試験を行った。判定は5000時間後の試験体の表面を試験前のものと比較観察することで下した。
〔耐汚染性〕赤色の油性マジック(サクラペンタッチ(商品名))により50mm×50mmの面積を塗りつぶし、24時間後にこれをエタノールでふき取り、インクの残存状態を目視で観察する。A:完全に除去された B:わずかに残った
C:明瞭に残存が確認できた D:著しく残った
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物、および該化合物を含む光硬化性組成物に関する。本発明の光硬化性組成物は、主に高度な耐候性を有する塗料用、クリヤーコート用等に有用な樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】
近年、フッ素系材料を含む光硬化型の組成物に関する開発が活発に実施されている。例えば特許文献1に溶剤可溶型のフルオロオレフィン共重合体をベースとした光硬化型塗膜が開示されており、耐候性と耐擦り傷性にすぐれた塗膜が得られる。また、特許文献2および特許文献3には、光硬化性の含フッ素ポリエーテル化合物が開示されており、光ファイバー用の硬化組成物や反射防止膜用途に用いられている。しかしながら、これらの発明は耐候性、耐汚染性、表面硬さ、耐クラック性、相溶性、透明性、耐溶剤性、耐薬品性などの多くの性能について満足のできるものを提供できていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−60992号公報
【0004】
【特許文献1】
特開平11−349651号公報
【0005】
【特許文献1】
特開平5−178980号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の新規化合物及び光硬化性組成物を提供するものである
項1. 一般式(I)、(II)または(III)
【0007】
【化3】
【0008】
〔式中、
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
Z1は、同一または異なって、水素原子、メチル基、FまたはCF3を示す。
【0009】
R1は、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す。
【0010】
a1は、2以上の整数を示す。
【0011】
a2は、0以上の整数を表す。
【0012】
X−OまたはO−Xは、ウレタン結合を含む基を表す。
【0013】
bは、2,3または4を示す。
【0014】
R2は、フッ素原子で置換されていてもよいb価の炭化水素基を示す。]
で表される含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物。
項2. X−OまたはO−XがR3NHCO−O(R3は、同一または異なり、直鎖状又は分岐鎖状の2価炭化水素基を表す。)である請求項1記載の化合物。
項3. (A)項1または2記載の化合物および(B)光重合開始剤を含有することを特徴とする光硬化性組成物。
項4. (A)項1または2記載の化合物、および/または
【0015】
【化4】
【0016】
〔式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、Z1、a1及びa2は前記に定義される通りである。〕で表される含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート。
(B)光重合開始剤
(C)上記(A)以外の光硬化性官能基含有化合物および/または
(D)ケイ素化合物を含む請求項3記載の組成物。
項5. (C)光硬化性官能基含有化合物が請求項1または2に記載のモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物以外の多官能(メタ)アクリレート化合物である項4記載の組成物。
項6. (D)ケイ素化合物が(メタ)アクリレート基を有する(a)コロイド状シリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーンまたは(d)ポリオルガノシルセスキオキサンである項4記載の組成物。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。本発明の含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレートは、前記一般式(I)、(II)または(III)で表される化合物であり、主鎖にエーテル結合を有し、側鎖に有機基と、フルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有している。
【0018】
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
なお、「Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよい」とは、−CHRaCHRbO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRaは各々異なり、2種以上のRbは各々異なることを意味する。なお、−CHRaCHRbO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRaは同一になり、全てのRbは同一になる。
【0019】
同様に、a2が2以上の場合、Rcの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rdの各々は、同一であっても異なっていてもよい。この意味は、−CHRcCHRdO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRcは各々異なり、2種以上のRdは各々異なることを意味する。なお、−CHRcCHRdO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRcは同一になり、全てのRdは同一になる。
【0020】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基としては、直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基(CpF2p+1(pは1〜16の整数))、直鎖または分岐鎖のポリフルオロアルキル基(CpHqFr(pは1〜16の整数、q≧1,r≧1,q+r=2p+1))が例示される。ポリフルオロアルキル基は末端が水素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
【0021】
フルオロアルキル基の具体例として、CF3−、CHF2−、CClF2−、C2F5−、CHF2CF2−、CClF2CF2−、(CF3)2CF−、CF3CF2CF2−、(CHF2)2CF−、(CF3)(CHF2)CF−、(CF3)2CFCF2CF2−、(CF3)2CF(CF2CF2)2−、F(CF2)2−、F(CF2)4−、F(CF2)6−、F(CF2)8−、F(CF2)10−、F(CF2)12−、F(CF2)14−、F(CF2)16−等が挙げられる。
【0022】
フルオロアルキル基としては、「末端が水素原子又は塩素原子で置換されていてもよい炭素数1〜16のフルオロアルキル基」を示す。ここで、「末端」とは、エチレングリコール部分から最も離れた炭素原子に結合する原子を意味する。例えば、(CF3)2CF−は末端が置換されていないパーフルオロアルキル基であり、(CHF2)2CF−および(CF3)(CHF2)CF−は末端が水素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
【0023】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記フルオロアルキル基)が例示される。
【0024】
R1、Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシルなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基が例示される。
【0025】
R1、Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記アルキル基)が例示される。
【0026】
X−OまたはO−Xは、ウレタン結合を含む基を表す。具体例としては、X−OはR3−NHCO−Oを表し、O−Xは、O−CONH−R3を表し、R3としては、炭素原子数1〜10の直鎖状または分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子2〜10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素数3〜10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)などが例示される。
【0027】
Z1は、それぞれ独立にH、CH3、FまたはCH3である。
【0028】
a1は2以上の整数、好ましくは2〜20の整数、より好ましくは5〜10の整数を表す。
【0029】
a2は0以上の整数、好ましくは0〜20の整数、より好ましくは0を表す。
【0030】
a2が0でないとき、a1/a2≧1が好ましく、より好ましくはa1/a2≧2である。
【0031】
bは、2,3または4、好ましくは2または3,より好ましくは2を示す。
【0032】
−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、必須成分と任意成分の両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない。すなわち、ブロック共重合タイプ、ランダム共重合タイプのいずれの形式でフッ素系エポキシ化合物と非フッ素系エポキシ化合物を重合させてもよい。
【0033】
R2は、フッ素原子で置換されていてもよいb価(b=2〜4)の炭化水素基を示す。
2価の炭化水素基としては、C2〜C6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基(−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−など)、アリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基)が例示され、これらはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類或いはジヒドロキシベンゼンなどのジヒドロシキアリール基から2つのOH基を除いた部分に相当する;
3価の炭化水素基としては、C3〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばCH2CHCH2、C6H3)が例示され、これらはトリオール(グリセリンなど)、トリヒドロキシベンゼンなどの3個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該3個の水酸基を除いた部分に相当する;
4価の炭化水素基としては、C4〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばC(CH2)4)が例示され、これらはテトラオール(例えばC(CH2OH)4など)、テトラヒドロキシベンゼンなどの4個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該4個の水酸基を除いた部分に相当する。
【0034】
一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物は、例えば、特開平8−40964号公報に記載されている置換基としてフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するエチレングリコール、置換基としてフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基を有するエチレンオキサイド、およびアルキレンオキサイドを反応させて、含フッ素ポリエーテルジオールを合成し、次いでこれに(ジ)イソシアネート化合物または/および(メタ)アクリル酸エステルを反応させることにより得ることができる。
【0035】
光重合開始剤(B)としては、公知周知のものを使用できる。特に入手容易な市販のものが好ましい。光重合開始剤(B)としては、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(たとえば、モノアシルホスフィンオキシド類、ジアシルホスフィンオキシド類など)、その他の光重合開始剤がある。光重合開始剤は2種以上併用できる。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせて使用することもできる。具体的な光重合開始剤としては、たとえば以下のような化合物がある。
【0036】
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
【0037】
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0038】
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。
【0039】
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド。
【0040】
本発明の(C)光硬化性官能基含有化合物は2種以上からなっていてもよい。またその光硬化性官能基は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのα,β−不飽和基やそれを有する基であり、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。光硬化性官能基含有化合物は光硬化性官能基を1分子あたり2個以上有する化合物(以下、多官能性化合物という)であることが好ましい。しかし光硬化性官能基含有化合物の一部として光硬化性官能基を1分子あたり1個有する化合物(以下、単官能性化合物という)を使用することもできる。
【0041】
以下、光硬化性官能基含有化合物として好ましい化合物である(メタ)アクリロイル基を有する多官能性化合物について説明する。
【0042】
多官能性化合物としては、特開平11−60992号(0032)から(0058)に記載のものがあげられ、具体的には以下に示される。
【0043】
多官能性化合物としては、(メタ)アクリロイル基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、アミド結合などを有していてもよい。特に、硬さと可撓性を両立させやすいウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2種の(メタ)アクリロイル基含有多官能性化合物について説明する。
【0044】
ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、たとえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(d1)と2以上のイソシアネート基を有する化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応生成物、(2)化合物(d1)と2以上の水酸基を有する化合物(d2)とポリイソシアネートとの反応生成物、(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有する化合物(d3)と化合物(d2)との反応生成物、などがある。これらの反応生成物においては、イソシアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いことが好ましい。
【0045】
(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(d1)としては、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個を有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2個以上を有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ2個以上有する化合物であってもよい。具体例として、上記順に、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどがある。これらは2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルである。
【0046】
さらに化合物(d1)としては、エポキシ基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに変換することもできる。
【0047】
エポキシ基を1個以上有する化合物としては、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビスフェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生成物を化合物(d1)として使用することもできる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0048】
化合物(d1)の上記以外の具体例としては、たとえば以下の化合物がある。2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペンタ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
【0049】
ポリイソシアネートとしては、通常の単量体状のポリイソシアネートはもちろん、ポリイソシアネートの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であってもよい。
【0050】
多量体としては3量体(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プレポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これらポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0051】
具体的な単量体状のポリイソシアネートとしては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート。
【0052】
ポリイソシアネートとしては特に無黄変性ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のようにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好ましい。
【0053】
2以上の水酸基を有する化合物(d2)としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して高分子量のポリオールなどがある。
【0054】
多価アルコールとしては、2〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、特に2〜6個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコールはもちろん、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールであってもよい。
【0055】
芳香核を有する多価アルコールとしてはたとえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香核を有するポリエポキシドの開環物などがある。
【0056】
高分子量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどがある。
【0057】
また、ポリオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用できる。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用することもできる。
【0058】
多価アルコールの具体例としてはたとえば以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物。
【0059】
ポリオールの具体例としてはたとえば以下のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオール。
【0060】
水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの水酸基不含単量体との共重合体がある。
【0061】
(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有する化合物(d3)としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート、3−または4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがある。
【0062】
ウレタン結合を含まない多官能性化合物の具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。
【0063】
以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレート。
【0064】
以下の芳香環またはトリアジン環を有する多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレート。ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールA、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート。
【0065】
以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドを表し、[ ]内はポリオキシアルキレンポリオールの分子量を表す。トリメチロールプロパン−EO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート。
【0066】
下記(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイルオキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0067】
下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あたり1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およびグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールもしくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価アルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応生成物。
【0068】
上記のような(メタ)アクリレート類でかつ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル化物など(以下、変性物ともいう)で、下記のような化合物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のアリルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート。
【0069】
好ましい多官能性化合物は下記のアクリルウレタンとウレタン結合を有しない多官能性化合物である。アクリルウレタンの場合、ペンタエリスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリトールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)の反応生成物であるアクリルウレタン、またはペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応生成物であるアクリルウレタンであって3官能以上(好ましくは4〜20官能)の化合物が好ましい。ウレタン結合を有しない多官能性化合物としては、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとは、ペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ましくは4〜20官能のもの)をいう。イソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートまたはその1モルに1〜6モルのカプロラクトンやアルキレンオキシドを付加して得られる付加物と(メタ)アクリル酸とのポリエステル(2〜3官能のもの)をいう。これら好ましい多官能性化合物と他の2官能以上の多官能性化合物(特に多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート)とを併用することも好ましい。これら好ましい多官能性化合物は全多官能性化合物に対して50重量%以上が好ましい。
【0070】
単官能性化合物としては、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物があげられる。そのような単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートである。
【0071】
具体的な単官能性化合物としてはたとえば以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t―ブチル(メタ)アクリレート、2―エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4―sブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。3−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、3−トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−ビニル−2−ピロリドンなどがあげられる。
【0072】
本発明の光硬化性組成物における(D)ケイ素化合物としては(a)コロイド状シリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーン、(d)ポリオルガノシルセスキオキサンが好ましい。さらには(メタ)アクリレート基を有する(a)コロイダルシリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーン、(d)ポリオルガノシルセスキオキサンがあげられより好ましい。
【0073】
前記コロイド状シリカとしては、特開平11−60992号(0061)から(0088)記載の以下のものなどがあげられる。
【0074】
コロイド状シリカとしては、平均粒径200nm以下のコロイド状シリカが適当である。コロイド状シリカの平均粒径は1〜100nmであることが好ましく、特に1〜50nmが好ましい。コロイド状シリカはまた下記表面修飾されたコロイド状シリカであることが、コロイド状シリカの分散安定性およびコロイド状シリカと多官能性化合物との密着性向上の面で好ましい。
【0075】
紫外線硬化性の被覆組成物中のコロイド状シリカの量は、紫外線硬化性の硬化性成分(a)100重量部に対して5重量部以上が適当であり、10重量部以上が好ましい。この量が少ない場合には充分な表面硬度を有する硬化被膜が得られ難い。また多すぎると硬化被膜にヘーズが発生しやすくなり、また得られた透明被覆成形品を熱曲げ加工などの2次加工を行う場合にはクラックが生じやすくなるなどの問題を生じやすくなる。したがって、コロイド状シリカ量の上限は硬化性成分(a)100重量部に対して300重量部であることが好ましい。より好ましいコロイド状シリカの量は硬化性成分(a)100重量部に対して50〜250重量部である。
【0076】
コロイド状シリカとしては表面未修飾のコロイド状シリカを使用することができるが、好ましくは表面修飾されたコロイド状シリカを使用する。表面修飾されたコロイド状シリカの使用は組成物中のコロイド状シリカの分散安定性を向上させる。修飾によってコロイド状シリカ微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多少大きくなると考えられるが、得られる修飾コロイド状シリカの平均粒径は上記範囲のものであると考えられる。
【0077】
修飾コロイド状シリカの原料となる未修飾のコロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コロイド状シリカを使用する場合は透明被覆層用組成物がゲル化しないように、またシリカがコロイド分散系から沈殿しないように、有機酸の添加のような手段によって分散体を酸性にすることが好ましい。
【0078】
コロイド状シリカの分散媒としては種々の分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもできる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま被覆組成物の媒体(溶媒)とすることが好ましい。被覆組成物の媒体としては、乾燥性などの面から比較的低沸点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であることが好ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロイド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒および被覆組成物の媒体はすべて同一の媒体(溶媒)であることが好ましい。このような媒体としては、塗料用溶媒として広く使用されているような有機媒体が好ましい。
【0079】
分散媒としては、たとえば以下のような分散媒を使用できる。水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールのような低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンなど。前記のように特に分散媒としては有機分散媒が好ましく、上記中の有機分散媒のなかではさらにアルコール類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド状シリカとそれを分散させている分散媒との一体物をコロイド状シリカ分散液という。
【0080】
コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ましい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノール基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えられる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。また後述のように互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物を修飾剤として用いることもできる。
【0081】
修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基やシラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好ましくは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した有機基を有し、その有機基の少なくとも1個は反応性官能基もしくは被覆用樹脂との相溶性を有する有機基であることが好ましい。好ましい修飾剤は下記(式イ)で表される化合物である。
【0082】
W3−n −SiR1a nR1b (式イ)
ただし、Wは加水分解性基、R1aは反応性官能基を有しない1価の有機基、R1bは反応性官能基もしくは被覆用樹脂との相溶性を有する有機基、nは0、1、または2を表す。
【0083】
Wで表される加水分解性基としては、たとえば、ハロゲン基、アルコキシ基、アシロキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基などがあり、特にアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基とエトキシ基が好ましい。なお、nは0または1であることが好ましい。また、(式イ)と同様に表されかつそのWが水酸基である化合物は上記シラノール基を有する化合物の例である。
【0084】
R1a で表される反応性官能基を有しない1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この炭化水素基としては、炭素数8以下の炭化水素基、特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。R1a としては特にメチル基とエチル基が好ましい。なお、ここにおける1価の有機基とは炭素原子によってケイ素原子に結合する有機基をいう(R1bにおいても同じ)。
【0085】
R1bで表される反応性官能基もしくは被覆用樹脂との相溶性を有する有機基としては、含フッ素有機残基もしくは反応性官能基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この有機基には2以上の反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、重合性不飽和基などがある。重合性不飽和基としてはR1bそのものであってもよく(たとえばビニル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基やビニルオキシ基などの有機基と結合してR1bとなる重合性不飽和基であってもよい。またアミノ基としては1級、2級のいずれのアミノ基であってもよく、2級アミノ基の場合素の窒素原子に結合した有機基はアルキル基、アミノアルキル基、アリール基など(特に炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアミノアルキル基およびフェニル基)が好ましい。好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカプト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基である。反応性官能基が結合する有機基としては、反応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基(その内でもポリメチレン基)が好ましい。
【0086】
具体的な修飾剤としては反応性官能基の種類によって分けると、たとえば以下のような化合物がある。
【0087】
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなど。
【0088】
アミノ基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなど。
【0089】
メルカプト基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0090】
エポキシ基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど。
【0091】
イソシアネート基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0092】
互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物としては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類同士2分子の反応生成物などがある。
【0093】
コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解性基を有する修飾剤をコロイド状シリカに接触させて加水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリカ分散液に修飾剤を添加し、コロイド状シリカ分散液中で修飾剤を加水分解することによって修飾できる。この場合、修飾剤の加水分解物はコロイド状シリカの微粒子表面に化学的にまたは物理的に結合し、その表面を修飾すると考えられる。特にコロイド状シリカ表面には通常シラノール基が存在することより、このシラノール基が修飾剤の加水分解で生成するシラノール基と縮合して修飾剤の加水分解残基が結合した表面が生成すると考えられる。また、加水分解物自身の縮合反応が進んだものが同様に表面に結合する場合もあると考えられる。また、本発明においては修飾剤をある程度加水分解を行った後にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うこともできる。
【0094】
コロイド状シリカの表面を加水分解性基を有する修飾剤で修飾する場合、修飾剤をコロイド状シリカ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える水により加水分解することにより、この加水分解物で表面が修飾された修飾コロイド状シリカが得られる。修飾剤の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラノール基と修飾剤またはその部分加水分解縮合物との反応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好ましい。シラノール基を有する修飾剤で修飾する場合もシラノール基同士の反応を促進するために触媒を存在させることが好ましい。
【0095】
この触媒としては、酸やアルカリがある。好ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用する。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用できる。
【0096】
加水分解反応を均一に進行せしめるために通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロイド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒の混合溶媒であってもよい。この溶媒の条件としては、修飾剤を溶解し、水および触媒との相溶性があり、加えてコロイド状シリカの凝集を起こしにくいものであることが好ましい。
【0097】
具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールのような低級アルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド等を挙げうる。
【0098】
これらの溶媒は先に述べたコロイド状シリカの分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒に置換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外の溶媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。
【0099】
反応温度としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好ましく、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲が好ましい。
【0100】
コロイド状シリカの修飾において、修飾剤の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜100重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持されていない修飾剤の加水分解物〜縮合物が多量に生じ、被覆組成物の硬化の際それらが連鎖移動剤として働いたり、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化被膜の硬度を低下させるおそれが生じる。
【0101】
前記変性シリコーンとしては、特開平8−176504号(0085)から(0104)記載のものがあげられ、具体的には以下のものである。
【0102】
変性シリコーンとしては、ビニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基を有するポリシロキサン鎖含有単量体であり、好ましくはポリシロキサン鎖含有メタクリレート化合物又はアクリレート化合物であり、具体例としては一般式(II−1)
【0103】
【化5】
【0104】
[式中、R3及びR4は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、それらは同一でも異なっていてもよく、又シロキシ単位毎に同一でも異なっていても良く、pは3〜520の整数であり、qは0又は1であり、Y’は2価の連結基で、
【0105】
【化6】
【0106】
【化7】
【0107】
(n’、m”は2〜6の整数を示す)、または
【0108】
【化8】
【0109】
であり、R3は水素原子又はメチル基であり、Z3はメチル基、フェニル基、又は
【0110】
【化9】
【0111】
である。]にて表わされる化合物、または一般式(II−2)
【0112】
【化10】
【0113】
[式中、R3、R’3、R”3、R4、R’4、R”4は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、これらは同一でも異なっていてもよく、又シロキサン単位毎に同一でも異なっていてもよく、r,s,tは1〜200の整数で、これらは同一でも異なっていてもよく、Y’,q,R5は前記と同意義である。]にて表わされる化合物が挙げられる。
【0114】
変性シリコーンのより具体的な化合物の例として次の如きものが挙げられる。
【0115】
【化11】
【0116】
【化12】
【0117】
【化13】
【0118】
【化14】
【0119】
【化15】
【0120】
【化16】
【0121】
但し、Me,Phはそれぞれメチル基、フェニル基を表す。前記の如く、変性シリコーン(II)のα,β−不飽和基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基のいずれも可能ではあるが、重合反応性の点でアクリロイル基又はメタクリロイル基が優れているため、これらを含有して成る変性シリコーン単量体(II)が特に好ましい。
【0122】
前記シリコン樹脂としては、特開2000−109694号(0012)から(0045)記載のものがあげられ、具体的には以下のものである。
【0123】
すなわちシリコン樹脂は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解し、縮合した化合物等である。
【0124】
(R1X)PSi(X)4−P (1)
[一般式(1)中、R1Xは炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、Xは加水分解性基、およびpは0〜3の整数である。]
(Y)(R1X)qSi(X)3−q (2)
[一般式(2)中、R1XおよびXは一般式(1)の内容と同様であり、Yはイソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基またはアクリロイル基であり、qは0〜2の整数である。]
一般式(1)および一般式(2)における有機基R1Xは、非加水分解性である1価の有機基の中から選ぶことができる。このような非加水分解性の有機基として、非重合性の有機基および重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。なお、有機基R1Xにおける非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。
【0125】
ここで、非重合性の有機基R1Xとしては、アルキル基、アリ−ル基、アラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであっても良い。また、より具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、および重水素化アルキル基もしくはハロゲン化アルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、より好ましくはメチル基である。
【0126】
また、非重合性の有機基R1Xにおける具体的なアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、および重水素化アリール基もしくはハロゲン化アリール基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはフェニル基である。さらに、非重合性の有機基R1Xにおける具体的なアラルキル基としては、ベンジル基およびフェニルエチル基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはベンジル基である。
【0127】
さらに、非重合性の有機基R1Xは、ヘテロ原子を含む構造単位とすることも好ましい。そのような構造単位としては、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合等を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
【0128】
また、重合性の有機基R1Xは、分子中にラジカル重合性の官能基およびカチオン重合性の官能基あるいはいずれか一方の官能基を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、ラジカル重合やカチオン重合を併用して、光硬化性樹脂組成物をより有効に硬化させることができる。
【0129】
また、重合性の有機基R1Xにおけるラジカル重合性の官能基、およびカチオン重合性の官能基のうち、より好ましいのはカチオン重合性の官能基である。光酸発生剤により、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応を同時に生じさせることができるためである。
【0130】
次に、ラジカル重合性の官能基を有する有機基R1Xの具体例について説明する。このような有機基R1Xとしては、不飽和炭化水素を有する有機基、(メタ)アクリロキシ基を有する有機基、スチリル基を有する有機基、ビニルエーテルを有する有機基等が挙げられる。そして、より具体的な不飽和炭化水素基を有する有機基としてはビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基等が挙げられる。これらのうち、より好ましくはビニル基である。また、(メタ)アクリロイル基を有する有機基の例を示すと、(メタ)アクリロキシメチル基や(メタ)アクリロキシプロピル基等が挙げられる。また、スチリル基を有する有機基の例を示すと、スチリル基、スチリルエチル基、スチリルプロピル基等が挙げられる。さらに、ビニルオキシ基を有する有機基の例を示すと、ビニロキシエチル基、ビニロキシプロピル基、ビニロキシブチル基、ビニロキシオクチル基、ビニロキシシクロヘキシル基、ビニロキシフェニル基等を挙げることができる。なお、ビニルオキシ基を有する有機基は、後述するカチオン重合性の官能基を有する有機基としての機能も有している。
【0131】
また、カチオン重合性の官能基を有する有機基R1Xとしては、環状エーテル構造を有する有機基、ビニルオキシ基を有する有機基等が挙げられる。そして、より好ましくは、環状エーテル構造を有する有機基である。かかる環状エーテル基としては、直鎖や環状構造を有する3〜6員環の環状エーテル構造、より具体的にはグリシジル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラン構造を含む基、及びピラン構造を含む基を挙げることができる。また、これらの環状エーテル基のうち、より好ましいものはグリシジル基、オキセタニル基等の4員環以下の環状エーテル構造である。
【0132】
また、環状エーテル構造を有する有機基の具体例を示すと、グリシジルプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、メチルオキセタニルメトキシプロピル基、エチルオキセタニルメトキシプロピル基等を挙げることができる。
【0133】
加水分解性基X
次に、一般式(1)および一般式(2)における加水分解性基Xについて説明する。Xで表される加水分解性基は、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(25℃)〜100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基を指す。また、加水分解性基Xに関する一般式(1)中の添え字pは、0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは1であり、同様に、一般式(2)中の添え字qは、0〜2の整数であるが、より好ましくは0〜1の整数であり、特に好ましくは1である。
ただし、一般式(1)および一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物の加水分解物における縮合物中に、一部未加水分解の加水分解性基が残っていても良く、その場合、加水分解性シラン化合物と縮合物等との混合物となる。
【0134】
さらに、加水分解性シラン化合物は、光硬化性樹脂組成物を配合する時点で加水分解されている必要は必ずしもなく、光照射する段階で、少なくとも一部の加水分解性基が加水分解されていれば良い。すなわち、本発明の光硬化性樹脂組成物において、加水分解性シラン化合物を予め加水分解せずに使用した場合には、事前に水を添加して、加水分解性基を加水分解させシラノール基を生成することにより、光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。
【0135】
そして、本発明において加水分解性基Xとして、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子およびアミノ基等が挙げられる。ここで、好ましい炭素数1〜12のアルコキシ基の具体例を挙げると、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基、あるいは、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等を挙げることができる。
【0136】
また、好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。ただし、このように加水分解性基としてハロゲン原子を含む加水分解性シラン化合物を用いる場合、光硬化性樹脂組成物の保存安定性を低下させないように注意を払う必要がある。すなわち、加水分解により生成するハロゲン化水素の量にもよるが、かかるハロゲン化水素を、中和、蒸留等の操作により除去して、光硬化性樹脂組成物の保存安定性に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
【0137】
また、好ましいアミノ基としては、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることができる。ただし、このように加水分解性基としてアミノ基を用いた場合、加水分解によりアミン類が生成する。したがって、光硬化性樹脂組成物の保存安定性に影響を及ぼさないように、光硬化性樹脂組成物を最終的に調製する前に、かかる副生アミン類を除去することが好ましい。
【0138】
官能基Y
一般式(2)中の、官能基Yは、前述したとおりイソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基またはアクリロイル基であるが、これらの種類を選択するにあたり、フッ素含有重合体における官能基の種類を考慮することが好ましい。すなわち、フッ素含有重合体における官能基との反応性を考慮して、官能基Yの種類を選択することが好ましい。したがって、フッ素含有重合体における官能基がヒドロキシ基の場合、加水分解性シラン化合物における官能基Yは、イソシアネート基であることが好ましい。
加水分解性シラン化合物の具体例1
次に、本発明に使用される一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物(単に、シラン化合物と称する場合がある。)における具体例を説明する。
【0139】
まず、一般式(1)におけるpが0であるシラン化合物としては、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等が挙げられる。
【0140】
また、同様に、一般式(1)におけるpが1であるシラン化合物としては、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0141】
また、同様に、一般式(1)におけるpが2であるシラン化合物としては、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等が挙げられる。さらに、一般式(1)におけるpが3であるシラン化合物としては、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等を挙げることができる。
【0142】
また、重合性の有機基R1Xを有するシラン化合物としては、Xにおける非加水分解性の有機基に重合性の有機基R1Xを含むシラン化合物、Xにおける加水分解性の有機基に重合性の有機基R1Xを有するシラン化合物のいずれかを用いることができる。
【0143】
また、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、使用するシラン化合物の種類により、屈折率の値を幅広く変化させることができる。したがって、比較的高い屈折率の値(1.50以上)を得たい場合には、上述したシラン化合物のうち、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を使用することが好ましい。一方、光重合性組成物を光硬化させて得られた硬化膜において、比較的低い屈折率の値(1.50未満)を得たい場合には、上述したシラン化合物のうち、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等を使用することが好ましい。
【0144】
加水分解性シラン化合物の具体例2
一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物のうち、イソシアネート基を有する加水分解性シラン化合物の具体例としては、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−トリエトキシシリルイソシアネート等が挙げられる。
【0145】
また、フッ素含有重合体における官能基がエポキシ基あるいはオキセタン基の場合、加水分解性シラン化合物における官能基Yは、メルカプト基、エポキシ基またはアミノ基であることが好ましい。このようなメルカプト基を有する加水分解性シラン化合物の具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトフェニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルベンジルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0146】
また、一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物のうち、エポキシ基を有する具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0147】
また、一般式(2)で表わされる加水分解性シラン化合物のうち、アミノ基を有する具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0148】
なお、上述した組み合わせのうち、フッ素含有重合体における官能基がエポキシ基であり、シラン化合物における官能基Yがメルカプト基である組合わせと、フッ素含有重合体における官能基がヒドロキシ基であり、シラン化合物における官能基Yがイソシアネート基である組合わせが、本発明において最も好ましい。加水分解条件および縮合条件
次に、上述したシラン化合物を加水分解条件や縮合する条件について説明する。これらの加水分解条件等は、特に制限されるものではないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程で実施するのが好ましい。
1)一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれか一方の加水分解性シラン化合物と、所定量の水とを、撹拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中、0℃から有機溶媒もしくは加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で、1〜24時間の間加熱撹拌することにより縮合する。なお、加熱撹拌中、必要に応じて蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは溶剤を置換することも好ましい。
【0149】
ここで、加水分解性シラン化合物の加水分解に用いられる水(精製水)は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。具体的には電気伝導率が1×10−2S・cm−1以下の値である水を使用することが好ましい。加水分解に用いられる水の電気伝導率が1×10−2S・cm−1を超えると、光硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向がある。したがって、光硬化性樹脂組成物の保存安定性がより良好な観点から、加水分解に用いられる水の電気伝導率を1.0×10−4S・cm−1以下の値とするのがより好ましい。
【0150】
分子量
次に、加水分解性シラン化合物の加水分解物における縮合物の分子量について説明する。かかる分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記する。)を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定することができる。そして、縮合物の重量平均分子量を、通常500〜10,000の範囲内の値とするのが好ましい。加水分解物における重量平均分子量の値が500未満の場合、塗膜の製膜性が低下する傾向があり、一方、10,000を越えると光硬化性が低下する傾向がある。したがって、より好ましくは縮合物の重量平均分子量を、1,000〜5,000の範囲内の値とすることである。
【0151】
前記ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、特開平5−209031号(0009)から(0013)記載のものなどがあげられ、具体的には以下のものである。
【0152】
本発明において、ポリオルガノシルセスキオキサンは、上述したように下記一般式(X)で示されるシルセスキオキサン単位から構成されるものである。
【0153】
【化17】
【0154】
ここで一般式(I)中、R1 Y, R2Y は同じ基であっても別種の基であってもよい。R1 Y, R2Yの50〜95モル%はメチル基であり、好ましくは60〜85モル%である。メチル基が50モル%未満では硬化後の樹脂の硬度が不充分となる。メチル基が95モル%より多い場合は、(メタ)アクリロキシ結合を含む基が少なすぎて、耐溶剤性や耐汚染性が不充分となる。またR1Y, 及びR2Yの一部は下記一般式(III)に示される(メタ)アクリロキシ結合を含む基である。
【0155】
【化18】
【0156】
一般式(III)中、R5 は水素原子またはメチル基であり、R6 は炭素原子数1〜12の非置換または置換二価炭化水素基である。R6 の非置換炭化水素基の例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、等のアルキレン基があげられ、またR6 の置換基の例としてはアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部をハロゲン原子、シアノ基、等で置換した基等があげられる。一般式(I)中のR1 ,R2 における一般式(III)で示される(メタ)アクリロキシ結合を含む基の比率は5〜50モル%がよく、好ましくは10〜30モル%である。5モル%未満では耐溶剤性や耐汚染性が不充分となり本発明の目的には適しない。また、50モル%より多い場合は、硬化後の樹脂の硬度、耐擦傷性が本発明の目的とするレベルを実現しえなくなる。一般式(I)におけるR1 , R2 において、メチル基、(メタ)アクリロキシ結合を含む基以外の残りは炭素原子数2ないし3個のアルキル基か置換または非置換フェニル基からなるものである。R1 , R2 として炭素原子数4以上のアルキル基が含まれていると、硬度、耐候性共に低下し本発明の目的には不適となる。本発明において、(A)成分のポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量は1000〜100, 000程度が好ましく、これはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置と標準分子量物質とを用いる事で測定しうる。また本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの末端基は、合成時の原料に由来してアルコキシ基または水酸基からなるが、末端基を例えばトリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどを用いてキャッピングして保存安定性を高めて使用することも可能である。次に本発明の(B)成分の理解を助けるために、〔B〕成分を得るために用いられる活性基水素を有するグラフトポリマー〔B′〕を合成するまでの工程を以下に模式的に例示する。なおこの模式図中の重合はラジカル発生剤の存在下、不活性ガス気流中で既存の諸方法によって行うことができる。
【0157】
本発明における(A), (C), (D)成分の配合量(合計で100重量部)は、(A)成分20〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、より好ましくは30〜60重量部、(C)成分0〜80重量部、好ましくは5〜50重量部、(D)成分0〜80重量部、好ましくは5〜50重量部である。この(D)成分が80重量部を越えると、硬化体の基材に対する追随性が乏しくなり、クラックを生じやすくなる。(A)成分が、20重量部未満では汚染性や耐候性の面で問題を生ずる。(C)成分が60重量部を越える場合は耐候性が不満足となる。
【0158】
本発明の被覆用組成物は上記基本的成分以外に溶剤や種々の配合剤を含むことができる。溶剤は通常必須の成分であり、光硬化性成分が特に低粘度の液体でない限り溶剤が使用される。溶剤としては、通常多官能性化合物を硬化成分とする被覆用組成物に使用される溶剤を使用できる。さらに基材の種類により適切な溶剤を選択して用いることが好ましい。溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変更できる。通常は光硬化性成分の100倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。
【0159】
溶剤としてはたとえばメタノール、エタノール、2―プロパノ−ルなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、それらのジアルキルエーテルなどのエーテル類、セロソルブ類酢酸n―ブチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、水などの溶剤がある。
【0160】
本発明の被覆用組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、熱重合防止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒等、そして、鋭感剤などを適宜配合して用いてもよい。
【0161】
特に紫外線吸収剤や光安定剤などの安定剤の配合が好ましい。紫外線吸収剤としては合成樹脂用紫外線吸収剤として市販されているもの、たとえばベンゾトリアゾール系、紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、を使用しうる。光安定剤としては合成樹脂用光安定剤として市販されているもの、たとえば2,2,6,6―テトラアルキルピペリジン誘導体からなるヒンダードアミン系光安定剤を使用しうる。
【0162】
本発明の光硬化性の組成物は、種々の基材に適用しその表面に硬化被膜を形成できる。基材としては各種合成樹脂、木材、金属、ガラス、石、コンクリート、セラミック、紙などがあげられる。合成樹脂としては芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチレン樹脂などがある。特に芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。この基材は成形されたものであり、たとえば平板や波板などのシート状基材、フィルム状基材、各種形状に成形された基材、少なくとも表面層が各種合成樹脂からなる積層体等がある。基材としては、特に芳香族ポリカーボネート樹脂製シートが好ましい。
【0163】
本発明の組成物は、基材にディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法で塗布し、溶剤を含む組成物の場合は乾燥した後、光を照射して硬化させる。光としては紫外線、電子線などがあげられる。紫外線源としてはキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。照射時間は、光硬化性成分の種類、光重合開始剤の種類、被膜厚、紫外線源等の条件により適宜変えうる。通常は1〜60秒照射することにより目的が達成される。さらに硬化反応を完結させる目的で、照射後または照射前に加熱処理することもできる。
【0164】
硬化被膜の厚さは、所望により種々の厚さを採用できる。通常は1〜100μmの厚さの硬化被膜、好ましくは3〜30μmの厚さの硬化被膜を形成することが好ましい。
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、主に高度な耐候性を有する塗料用、クリヤーコート用等に有用な本発明の光硬化性組成物を得ることができる。
【0166】
【実施例】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[合成例1]下記の成分を反応容器に仕込んだ。
【0167】
【化19】
【0168】
100℃で6時間反応を行なった後、シリカゲルカラムによる分離精製を行って、含フッ素ポリエーテルジオールを得た。
【0169】
次いで、得られた含フッ素ポリエーテルジオール20.6重量部、2−イソシアネートエチルメタクリレート11.0重量部、p−メトキシフェノール0.02重量部およびジブチル錫ジラウレート0.001重量部を仕込み、50℃で1時間反応を行った後、シリカゲルカラムによる分離精製により、含フッ素ポリエーテルジアクリレート(A−1)を得た。
[合成例2]
特開平5−178980号の実施例1記載の方法と同様の方法により得られた含フッ素ポリエーテルジアクリレート(A−2)を得た。
「合成例3」
温度計、撹拌装置、還流冷却器を取りつけた1リットルのフラスコに、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン149g(0.6モル)、メチルトリエトキシシラン392g(2.2モル)、フェニルトリメトキシシラン40g(0.2モル)、塩酸0.0015モル、水108g(6モル)、p−メトキシフェノール0.01gを仕込み、フラスコ内の温度を60℃まで昇温し、撹拌しながら30分間保持した。続いて70℃に昇温し、1時間反応させた後、n―ブチルアミン0.6g(0.0082モル)を滴下し、更に45分間反応せしめた後、蟻酸0.4g(0.0087モル)を滴下し、70℃で30分間保持した。水洗した後、無水硫酸ナトリウムで脱水後、ロータリーエバポレータを用いて脱溶媒したところ、25℃の粘度が500cpsの粘稠な(D)成分315gが得られた。この(D)成分の分子量をGPCにより求めたところ数平均分子量6, 300、重量平均分子量14, 800であった。本合成例の(D)成分においては側鎖のメチル基とメタクリル基とフェニル基とのモル比が73:20:7であった。この(D)成分をD−1とする。
「実施例1」
A―1成分 35部、 D−1成分 25部、 C成分ペンタエリスリトールテトラアクリレート 30部、 D成分N―ビニル−2−ピロリドン 7部、B成分 ベンゾフェノン1.5部、 B成分P―ジメチルアミノ安息香酸エチル、 1.5部、 酢酸ブチル 20部、 アセトン 10部 を混合し、光硬化性組成物を調製した。スレート板に水ガラス系複層模様吹付け剤を塗布し、焼付けた基板を下地材料とし、この上に上記組成物をスプレーガンを用いて厚さ20μmにコーティングし、次に高圧水銀灯を用いて紫外線照射量が1J/cm2 になるよう均一に照射を行ない、塗膜を硬化させた。この結果、もとの基板が無機系塗膜特有の白っぽく不鮮明な外観であったものが、このトップコートを施すことにより色鮮やかで釉薬調の光沢ある外観に一変した。この硬化塗膜の諸物性を表1に示す。
「実施例2」 実施例1のA―1成分をA―2とする以外は全て実施例1と同じ処方、操作により、硬化塗膜を作製した。このものの諸物性を表1に示す。
「比較例1」
特開平11−349651号合成例1記載と同様の方法で含フッ素ポリエーテルジアクリレートを合成し、これを実施例1のA−1成分の変わりに用いた以外はすべて実施例1と同様に硬化塗膜を作製した。
[合成例4]エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部にγ―アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液(D−2)を得た。
「実施例3」
次に、撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール44. 3g、酢酸ブチル84. 3g、アセトン40.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル5. 7g、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン450mg、2―(3,5―ジ−t―アミル−2―ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール1. 5g、ビス(1―オクチルオキシ−2,2,6,6―テトラメチル−4―ピペリジニル)セバケート600mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)600mgを加え溶解させた。
【0170】
続いて、合成例1のA−1を30gを加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に合成例3で得たコロイド状シリカ分散液D−2の54. 5gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、組成物を得た。
【0171】
そして、厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂板に、スプレー塗工装置を用いてこの光硬化性用組成物を塗工して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。そして、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚5μmの透明被覆層を形成させた。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
「実施例4」
実施例3のA―1成分をA―2とする以外は全て実施例3と同じ処方、操作により、硬化塗膜を作製した。このものの諸物性を表1に示す。
「比較例2」
実施例3のA―1成分を特開平11−60992号例17記載と同様のフッ素樹脂とする以外は全て実施例3と同じ処方、操作により、硬化塗膜を作製した。このものの諸物性を表1に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
なお、実施例及び比較例中の各物性値は下記の方法に従って測定した。
〔相溶性試験方法と評価〕塗料組成物をガラス板の上に塗装し、1日放置した。紫外線照射はしなかった。このガラス板上の硬化組成物の濁りを目視で観察した。A:透明 B:わずかに濁り C:かなり白濁している
〔外観と光沢〕A:色彩鮮やかで光沢がある B:多少不鮮明で光沢が低い C:著しく不鮮明で光沢がない
〔耐摩耗性〕太さ#0000のスチールウールの束を荷重500gをかけながら硬化被膜を15往復こすり、その後被膜についた傷の程度を調べ、下記のように4ランクに分けて評価した。 A:全く傷がつかない B:10本以内の傷がつくC:10本以上の傷がつくが、なお光沢を保持している D:無数の傷で光沢を失う
〔表面硬度〕塗料用鉛筆引かき試験機を用いて、JIS K5401に準じて測定した。
〔耐候性〕JIS B7753の規定に従い、カーボンアークサンシャインウェザーメーター試験を行った。判定は5000時間後の試験体の表面を試験前のものと比較観察することで下した。
〔耐汚染性〕赤色の油性マジック(サクラペンタッチ(商品名))により50mm×50mmの面積を塗りつぶし、24時間後にこれをエタノールでふき取り、インクの残存状態を目視で観察する。A:完全に除去された B:わずかに残った
C:明瞭に残存が確認できた D:著しく残った
Claims (6)
- 一般式(I)、(II)または(III)
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
Z1は、同一または異なって、水素原子、メチル基、FまたはCF3を示す。
R1は、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す。
a1は、2以上の整数を示す。
a2は、0以上の整数を表す。
X−OまたはO−Xは、ウレタン結合を含む基を表す。
bは、2,3または4を示す。
R2は、フッ素原子で置換されていてもよいb価の炭化水素基を示す。]
で表される含フッ素ポリエーテルモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物。 - X−OまたはO−XがR3NHCO−O(R3は、同一または異なり、直鎖状又は分岐鎖状の2価炭化水素基を表す。)である請求項1記載の化合物。
- (A)請求項1または2記載の化合物および(B)光重合開始剤を含有することを特徴とする光硬化性組成物。
- (C)光硬化性官能基含有化合物が請求項1または2に記載のモノまたはジ(メタ)アクリレート化合物以外の多官能(メタ)アクリレート化合物である請求項4記載の組成物。
- (D)ケイ素化合物が(メタ)アクリレート基を有する(a)コロイド状シリカ、(b)シリコン樹脂、(c)変性シリコーンまたは(d)ポリオルガノシルセスキオキサンである請求項4記載の組成物。
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