JP2008087608A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチールコードから成る補強コードを互いに平行に引き揃えてゴムに埋設して集束した、コード角が略0°の2枚のストリップを巻き回したベルト補強層16を、径方向外側に位置するベルト層15aの外側、もしくは、径方向内側に位置するベルト層15bの内側、あるいは、上記ベルト層15a,15bの間で、かつ、上記タイヤトレッド11の中央陸部11aの径方向内側とショルダー部11b,11bの径方向内側とにそれぞれ設けて、タイヤ放射音になりやすい振動モードの振幅を低減させるとともに、上記ベルト補強層16を構成するストリップに分断部を設けて加硫時における上記ストリップの伸びを許容できるようにした。
【選択図】図1
Description
一方、車両の静粛化に伴って、タイヤ騒音の低減が求められている。上記タイヤ騒音のうち、帯域が400Hz〜700Hzの高周波のタイヤ放射音(高周波ロードノイズ)はタイヤの表面振動に起因するもので、この振動は両ビード部を固定端とし、その間に定常波を作ることにより発生し、タイヤ軸方向に振動モード(径方向モード)を形成する。
そこで、図6に示すように、ベルト層51,52の外側に、繊維コードを、最外層のベルト層52を構成するコードの配列角度よりも5°〜25°のより大きな傾斜角度で交差するように積層して形成したベルト補強層53を配置することによりタイヤ軸方向の剛性を高め、同図の破線で示す振動モード(ここでは、径方向2次モードを例示した)の振幅を抑制して、タイヤ放射音を低減するようにした空気入りラジアルタイヤ50が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、一般のベルト補強層では、補強層中に埋設される補強コードを、タイヤ周方向に沿って略0°に配列するようにしているが、コードの配列角度が小さいと加硫時にモールド内で拡張するときに十分に伸びることができず、そのため、タイヤ形状不良が発生する恐れがあった。
なお、上記ベルト補強層は、ベルト層の径方向外側に配置してもよいし、径方向内側に配置してもよい。また、ベルト層が2層以上の場合には、ベルト層の径方向外側、内側、及びベルト層の間のいずれかまたは複数箇所に配置してもよい。また、カーカス層の径方向内側に配置してもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤにおいて、隣接するストリップの分断位置をタイヤ1周にわたって分散させたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りラジアルタイヤにおいて、上記ベルト補強層の引張剛性を上記ベルト層の引張剛性よりも大きくしたものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤにおいて、上記ストリップを、タイヤ幅方向に互いに離隔して設けたものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤにおいて、上記補強コードをスチールコードとしたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤにおいて、上記補強コードをタイヤ幅方向に束状に配置したものである。
このとき、上記ストリップの分断位置をタイヤ1周にわたって分散させるようにすれば、タイヤ加硫拡張時におけるコードの伸長性を周方向に均一にできるので、タイヤのユニフォミティの悪化を防止することができる。
また、上記ストリップを、トレッド接地面全体をタイヤ幅方向に覆うように設けるようにすれば、タイヤ振動の振幅を更に抑制することができるので、高周波ロードノイズを更に低減することができる。
また、上記ストリップを、タイヤ振動モードの腹のみを抑えるように、タイヤ幅方向に互いに離隔して設けるようにすれば、タイヤ放射音の発生を更に低減することができる。
また、上記補強コードとして周方向剛性の高いスチールコードを用いたり、上記補強コードをタイヤ幅方向に束状に配置したりすれば、周方向剛性を更に高めることができ、タイヤ振動振幅の抑制効果を更に高めることができる。
また、上記ベルト補強層と、有機繊維コードから成るキャップなどの従来のベルト補強層とを併用しても、同様の効果を得ることができる。
図1は、本最良の形態に係る空気入りラジアルタイヤ10の構成を示す断面図で、同図において、11は踏面側にトレッドパターンを有するタイヤトレッド、12はサイド部、13はビード部、14はタイヤ赤道面に対してほぼ90°に配列するように設けられたカーカスコードを備えたカーカス層、15a,15bは上記タイヤトレッド11とカーカス層14との間にそれぞれ設けられたベルト層、16は上記ベルト層15a,15bの径方向外側に設けられたベルト補強層である。
上記ベルト補強層16は、図2(a),(b)に示すように、スチールコードから成る複数本(図では5本)の補強コード17aを互いに平行に引き揃えてゴム17bに埋設して集束した、幅が15mm〜40mmの2枚のストリップ17,17をタイヤ幅方向に並べ、かつ、タイヤ周方向に1層巻き回したもので、上記ベルト層15a,15bの図示しないコードがタイヤ周方向に対してそれぞれ20°前後のコード角で互いに交差するように配置されているのに対し、上記ストリップ17では、コード角が略0°となるように上記補強コード17aを配置している。
上記タイヤ放射音は、径方向2次の振動モードと、図1の破線で示した径方向3次の振動モードの振幅が大きいことから、上記のように、上記ベルト補強層16を、上記2つの振動モードの腹の部分に当たるタイヤトレッド11の中央陸部11aとショルダー部11b,11bの径方向内側にそれぞれ設けるようにすれば、タガ効果により上記各振動モードの振幅を効果的に低減することができるので、400Hz〜700Hzの高周波のタイヤ放射音を大幅に抑制することができる。
なお、上記タイヤトレッド11の中央陸部11aの径方向内側に配置されるベルト補強層16とショルダー部11bの径方向内側に配置されるベルト補強層16との適正な間隔については、タイヤの形状や構造等により適宜決定されるが、トレッド幅に対して、10%程度であることが好ましい。
しかしながら、引張剛性の大きなスチールコードを用いると、上記ベルト補強層16のコード角を略0°とした場合には、加硫時にタイヤが拡張するときにコードが伸びにくく、タイヤ形状が整わなくなる恐れがある。
そこで、本発明では、更に、上記ベルト補強層16を構成するストリップ17に1周中で少なくとも1つの分断部17kを設けて加硫時におけるストリップ17の伸びを許容できるようにすることにより、加硫拡張時における上記ベルト補強層16のコードの伸長性を確保するようにしている。これにより、加硫後のタイヤ形状を適切に保持することができるとともに、加硫後においても高剛性を維持することができるので、タイヤ放射音を効果的に低減することができる。
また、上記各ストリップ17の分断部17kの位置をタイヤ1周にわたって分散させるようにすれば、タイヤ加硫拡張時におけるコードの伸長性を周方向に均一にできるので、タイヤのユニフォミティの悪化を防止することができるだけでなく、周方向剛性も均一になるので、高周波ロードノイズを確実に低減することができる。
また、上記各ストリップ17の分断部17kの位置をタイヤ1周にわたって分散させて、コードの伸長性が周方向で均一になるようにしたので、タイヤのユニフォミティの悪化を防止することができる。
また、ベルト補強層16をベルト層15a,15bの径方向外側と内側の両方に設けるなど、ベルト補強層16を複数箇所に配置してもよい。
また、上記例では、ベルト補強層16を2枚のストリップ17,17から構成したが、これに限るものではなく、ベルト補強層16を、幅広のストリップ1枚から構成してもよいし、幅の狭い3枚以上のストリップ1枚から構成してもよい。
また、上記例では、ベルト補強層16をタイヤトレッド11の中央陸部11aとショルダー部11b,11bの径方向内側にそれぞれ設けたが、図3(a)に示すように、中央陸部11aの径方向内側のみに設けても、高周波ロードノイズを十分に低減することができる。
あるいは、図3(b)に示すように、上記ベルト補強層16をショルダー部11b,11bの径方向内側のみに設けるようにしてもよい。この場合には、径方向2次の振動モードについては、その振幅を抑制することはできないが、径方向3次の振動モードについては、その振幅を抑制することができるので、ベルト補強層16をショルダー部11b,11bの径方向内側のみに設けても、高周波ロードノイズを十分に低減することができる。
また、上記ベルト補強層16をトレッド接地面全体をタイヤ幅方向に覆うように設けてもよい。この場合には、ベルト補強層16をタイヤトレッド11の中央陸部11aとショルダー部11b,11bの径方向内側とに設けた場合に比較しても、振動モードの振幅低減効果は同等であり、高周波ロードノイズを十分に低減することができる。
なお、中央陸部がないトレッドパターンを有するタイヤの場合には、上記ベルト補強層16をタイヤトレッドの幅方向中心の内側に設ければよい。
また、上記例では、ストリップ17をタイヤ周方向に1層巻き回したが、ストリップ17の層数としては1層に限るものではなく、図4に示すように、ストリップ17を2層巻き回したりするなど、1層以上巻き回したものであればよい。なお、この場合にも、ストリップ17は1周中で少なくとも1箇所の分断部17kが設けられた構成とすればよい。また、ストリップ17を1層以上巻き回したばあいでも各ストリップ17の分断部17kがタイヤ1周にわたって分散するようにすれば、加硫時の伸長性を確保したまま、更に、高い剛性を得ることができる。
また、上記例では、ベルト補強層16を、補強コード17aを面上に並べて配置した2枚のストリップ17,17から構成したが、上記ストリップ17に代えて、補強コード17aをタイヤ幅方向に束状に配置したストリップを用いてもよい。この場合には、補強コード17aが束状になっているので、ベルト補強層16の周方向剛性を更に高めることができ、タイヤ放射音を更に低減することができる。
表に示すように、接地面全体にベルト補強層を備えた本発明1のタイヤでは、タイヤ形状も正常で、かつ、ロードノイズの大きさは、ベルト補強層のない従来例に比較して7.0dBも小さく、タイヤ放射音が大幅に低減されていることが分かった。なお、参考として、接地面全体にベルト補強層を有するが、ストリップに分断部を有していないタイヤについても製造したが、加硫後のタイヤ形状が不良となったため、測定は行わなかった。
また、センター部のみにベルト補強層を備えた本発明2のタイヤでは、ロードノイズの改善効果が5.9dBで、ショルダー部のみにベルト補強層を備えた本発明3のタイヤでは5.1dBであり、いずれも、タイヤ放射音が大幅に低減されている。
また、センター部とショルダー部とにベルト補強層を備えている本発明4のタイヤでは、接地面全体にベルト補強層を備えた本発明1のタイヤと同じだけのノイズ改善効果が認められることから、ベルト補強層を径方向2次の振動モードの腹と径方向3次の振動モードの腹に当たる部分にのみ配置すれば、高周波ロードノイズを効果的に低減することができることが確認された。
このように、本発明のベルト補強層を備えたタイヤは加硫時の伸長性を確保することができるとともに、タイヤ放射音を大幅に低減することができることが確認された。
11b ショルダー部、12 サイド部、13 ビード部、14 カーカス層、
15a,15b ベルト層、16 ベルト補強層、17 ストリップ、
17a 補強コード、17b ゴム、17k 分断部。
Claims (7)
- タイヤトレッドゴムとカーカス層との間に少なくとも1層のベルト層を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤ周方向に対するコード角度が実質的に0°である、1本もしくは複数本の補強コードを互いに平行に引き揃えてゴムに埋設して集束して成る1枚もしくは複数枚のストリップをそれぞれ1層以上巻き回して成るベルト補強層を設けるとともに、上記各ストリップを1周中で1箇所以上分断して成ることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 隣接するストリップの分断位置をタイヤ1周にわたって分散させたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 上記ベルト補強層の引張剛性を上記ベルト層の引張剛性よりも大きくしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 上記ストリップを、トレッド接地面全体をタイヤ幅方向に覆うように設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 上記ストリップを、タイヤ幅方向に互いに離隔して設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 上記補強コードをスチールコードとしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 上記補強コードをタイヤ幅方向に束状に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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