JP2008084377A - 光記録媒体駆動装置、球面収差調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】球面収差補正値を変化させたときに得られるTE振幅値と、球面収差補正値について設定された制限値(B)とに基づき粗調整の調整値を決定する。これにより、粗調整で用いるTE振幅値の特性と、その後の微調整時に用いるジッタ値の特性とで特性の軸方向にずれが生じる場合にも、粗調整によって決定された球面収差補正値のジッタ値特性上での位置が悪化してしまうことを効果的に抑制でき、粗調整結果に基づいて適正に微調整動作を行うことができる。
【選択図】図6
Description
更に近年、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
フォーカスサーボに関しては、フォーカスループに適正なフォーカスバイアスを加えることが適正なサーボ動作のために必要であることが知られている。
特に上記ブルーレイディスクのような高NAのレンズを備える記録再生装置においては、フォーカスバイアス/球面収差のマージンが狭いため、フォーカスバイアス及び球面収差補正値の自動調整が必須とされる。
しかしながら、特に球面収差補正値については、上記のようにして調整時にその値を変化させたときに、場合によってはトラッキングサーボがかからないほど悪化した位置となってしまう場合があり、適切な調整動作を行うことができない可能性があった。
具体的には、フォーカスサーボのみをオンとした状態で球面収差補正値を変化させたときのトラッキングエラー信号振幅値を取得し、その振幅値が所定以上良好となる、すなわちトラッキングサーボをかけられる程度に良好となるように球面収差補正値を調整しておくというものである。
このような球面収差補正値についての粗調整を行っておくことで、以降は上述したようなジッタ値に基づく球面収差補正値及びフォーカスバイアスの微調整を適切に行うことができるようになる。
このことを、次の図11、図12を用いて説明する。
先ず図11は、トラッキングエラー信号振幅値に基づき粗調整される球面収差補正値の位置を、球面収差補正値とフォーカスバイアスとの変化に対するトラッキングエラー信号振幅値の特性マップ(等高線)上(図11(a))と、球面収差補正値とフォーカスバイアスとの変化に対するジッタ値の特性マップ(等高線)上(図11(b))とでそれぞれ対比して示している。
この図11では、図11(a)に示すトラッキングエラー信号振幅の特性の軸方向(図中一点鎖線)と、図11(b)に示すジッタ値の特性の軸方向とがほぼ一致している場合を示している。このような場合には、トラッキングエラー信号振幅値で粗調整した球面収差補正値は、ジッタ値の特性上でも比較的良好な位置となるので、粗調整後、適正に球面収差補正値とフォーカスバイアスの微調整を行うことができる。
これら図12(a)(b)を比較してわかるように、トラッキングエラー信号振幅値の特性とジッタ値の特性とでその軸方向がずれた場合には、トラッキングエラー信号振幅値で粗調整された球面収差補正値の位置は、ジッタ値の特性上では良好な位置とはならない可能性がある。
このことより、場合によっては粗調整を行うことによってデータ再生を行うことができず、アドレス検出が不能となったり、或いは微調整スタート時のジッタ値が悪すぎて最適とされる値に引き込みを行うことができなくなるなど、微調整を行うこと自体できなくなってしまう可能性があった。
つまり、少なくとも信号読出のために光記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、少なくともレーザ光のフォーカスサーボ機構及び球面収差補正機構を有するヘッド手段を備える。
また、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づき読出信号の品質評価指標となる評価信号を生成する評価信号生成手段を備える。
また、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段を備える。
また、球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と、上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段とを備える。
また、少なくとも上記球面収差補正値についての調整値を決定するための処理を実行する制御手段として、上記フォーカスサーボ手段によるフォーカスサーボをオンとさせた状態で上記球面収差補正値を変化させたときに得られる上記評価信号の値と、上記球面収差補正値について設定された制限値とに基づき、上記球面収差補正値の第1の調整値を決定する制御手段を備えるものである。
この結果、上記のような各特性の軸方向にずれが生じる場合に、従来のように粗調整後の球面収差補正値の設定によってデータ再生・アドレス検出を行うことができなくなるといった可能性はより低くすることができ、軸方向のずれがより激しい場合にも微調整を行うことが可能となる。換言すれば、軸方向のずれに対し、微調整を行うことができる範囲の拡大を図ることができる。
このことを踏まえると、上述のようにして微調整時に用いる評価値特性上での位置の悪化を抑制できる本発明によれば、このような初期位置の悪さに対しても微調整を行うことのできる範囲を拡大することができる。
1.光記録媒体駆動装置の構成
2.実施の形態としての球面収差補正値の粗調整動作
3.粗調整動作実現のための処理動作
図1は、本発明の光記録媒体駆動装置の一実施形態としての、記録再生装置1の内部構成を示したブロック図である。
図1において、先ず光ディスクDは、例えば相変化方式でデータの記録を行う光ディスク記録媒体(以下、ライタブルディスクとも呼ぶ)であるとする。光ディスクD上にはウォブリング(蛇行)されたグルーブが形成され、このグルーブが記録トラックとされる。グルーブのウォブリングによってはいわゆるADIP情報としてアドレス情報などが埋め込まれている。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)OPによって光ディスクD上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。
また記録時には光学ピックアップOPによってトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップOPによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
また光学ピックアップOP全体はスレッド機構3により光ディスクDの半径方向に移動可能とされている。
また光学ピックアップOPにおけるレーザダイオードはレーザドライバ13からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号又はRF信号ともいう)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリング(ウォブル振幅)を検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
また、特に本実施の形態の場合、上記トラッキングエラー信号TEは、後述する球面収差補正値の粗調整時の評価指標として用いられるべくシステムコントローラ10に対しても供給される。
また、本実施の形態の場合、このリーダ/ライタ回路5には、RF信号についてのジッタ(Jitter)値を測定する評価器5aが備えられている。この評価器5aにより測定されたジッタ値はシステムコントローラ10に供給される。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ7は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路6で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ7で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ10の指示に基づいて読み出され、AV(Audio-Visual)システム50に転送される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行ってアドレス値を得て、これをシステムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
この場合、ECCエンコーダ/デコーダ7は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路6において例えばRLL(1−7)PP方式などの所定のランレングスリミテッド符号化処理(変調処理)が施され、リーダ/ライタ回路5に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
レーザドライバ13では供給されたレーザドライブパルスを光学ピックアップOP内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これにより光ディスクDに記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
記録時及び再生時のレーザ出力の目標値(記録レーザパワー/再生レーザパワー)はシステムコントローラ10から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、光学ピックアップOP内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップOP、マトリクス回路4、サーボ回路11、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ12の回転速度情報として得て、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路5内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路2は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
システムコントローラ10は、AVシステム50からのコマンドに応じて各種処理を実行する。例えばAVシステム50から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスにピックアップOPを移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ7、変復調回路6により、AVシステム50から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路5からのレーザドライブパルスがレーザドライバ13に供給されることで、光ディスクDに対する記録が実行される。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム50に転送するために必要な動作制御を行う。即ち光ディスクDからのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路5、変復調回路6、ECCエンコーダ/デコーダ7におけるデコード/バッファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図1とは異なるものとなる。つまり、ユーザ操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
図2において、半導体レーザ(レーザダイオード)81から出力されるレーザ光は、コリメータレンズ82で平行光とされ、ビームスプリッタ83を透過して、球面収差補正レンズ群としての可動レンズ87、固定レンズ88を介して進行し、対物レンズ84から光ディスクDに照射される。なお球面収差補正レンズ群87,88についてはエキスパンダと呼ばれる。可動レンズ87を駆動することで球面収差補正が行われることから、以下、特にエキスパンダ87と表記する場合がある。
また球面収差補正レンズ87,88は、レーザ光の波面をデフォーカスする機能を持つ。即ち可動レンズ87はアクチュエータ90によって光軸方向であるJ方向に移動可能とされており、この移動によって、対物レンズ84の物点を調整する。
つまり、アクチュエータ90に対して前後移動を実行させる制御を行うことで、球面収差補正を実行させることができる。
即ち、半導体レーザ81から対物レンズ84までの光路中において挿入した液晶パネルにおいて、レーザ光を透過させる領域と遮蔽する領域の境界を可変調整することで、レーザ光の径を可変して球面収差補正を行うものである。
この場合には、液晶パネルを駆動する液晶ドライバに対して、透過領域を可変させるように制御を行うことになる。
図3において、図1に示したマトリクス回路4からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEは、サーボ回路11内におけるA/D変換器31,32によりデジタルデータに変換されて、同じくサーボ回路11内のDSP20に対して入力される。
DSP20には、図示するようにしてフォーカスサーボ演算部22、トラッキングサーボ演算部25、加算器21、フォーカスバイアス設定部23、球面収差補正値設定部24が備えられている。
フォーカスサーボ演算部22では、デジタルデータとされて入力されるフォーカスエラー信号FEに対して位相補償等のためのフィルタリングやループゲイン処理などの所定の演算を行ってフォーカスサーボ信号を生成して出力する。
フォーカスサーボ信号は、図示するD/A変換器33でアナログ信号に変換された後(PWMやPDMなども含む)、フォーカスドライバ34へ入力され、フォーカスアクチュエータを駆動する。即ち光学ピックアップOPにおいて対物レンズ84を保持する二軸機構91のフォーカスコイルに電流を供給し、フォーカスサーボ動作を実行させる。
加算器21はフォーカスエラー信号FEにフォーカスバイアスを加算する。加算するフォーカスバイアス値はフォーカスバイアス設定部23に設定される。このフォーカスバイアス設定部23が、後述する調整処理で図1にも示したシステムコントローラ10により設定されたフォーカスバイアス値を出力することで、フォーカスサーボループに適正なフォーカスバイアスが加算されるものとなる。
球面収差補正ドライバ36は、例えば図2のような球面収差補正機構の場合は、エキスパンダ87を移動させるアクチュエータ90に駆動信号Sdを供給する回路とされる。或いは、液晶パネルを用いた球面収差補正機構の場合は、液晶ドライバに対して、液晶パネルの所要のセルに電圧印加を指示する駆動信号Sdを供給する回路とされる。
従って、球面収差補正ドライバ36が、球面収差補正値設定部24から供給された球面収差補正値に基づいて、ピックアップOP内の球面収差補正機構を駆動する構成となる。
ここで、記録再生装置1においては、上記のようなDSP20内のフォーカスバイアス・球面収差補正値の設定のための部位を制御して、システムコントローラ10がフォーカスバイアスと球面収差補正値とを最適とされる値に調整するための処理を実行するようにされている。
先に述べたように、従来よりこのようなフォーカスバイアスと球面収差補正値の調整処理としては、先ずはフォーカスサーボのみをオンとした状態で、例えばトラッキングエラー信号TE振幅値を評価指標として球面収差補正値のみについて調整する「粗調整」を行うようにされる場合がある。そして、このように粗調整を行った後に、例えば評価器5aにより算出されるジッタ値を評価指標として、フォーカスバイアスと球面収差補正値との双方について改めて「微調整」を行うようにされる。
つまりは、この粗調整により、上記のようにしてトラッキングエラー信号TEの振幅値を評価指標として、例えばその値を最良(最大)とする球面収差補正値を割り出しておくことで、その後の微調整時においては、この割り出された球面収差補正値に基づいて調整動作を実行でき、これによってトラッキングサーボがかからずに調整動作が適正に行われなくなってしまうような事態の発生を防止するようにしていたものである。
以下、このような本実施の形態としての粗調整動作について説明していく。
先ずは、実施の形態としての粗調整動作の説明に先立ち、実施の形態で採用する粗調整動作の基本動作について次の図4、図5を参照して説明しておく。
なお、これら図4、図5では、横軸を球面収差補正値(SA)、縦軸をトラッキングエラー信号TEの振幅値とした2次元平面上で実施の形態が採用する粗調整動作の基本動作を模式的に示している。また、これらの図にて説明する動作の主体はシステムコントローラ10となる。
また、確認のために述べておくと、粗調整としては球面収差補正値のみを変化させ、その結果得られる評価信号の値(この場合はトラッキングエラー信号TE振幅値)に基づき行われるものであり、フォーカスバイアスについては例えば予め定められた所定の初期値(例えばFB=0)に固定した状態で行われることになる。このため図4,図5では、球面収差補正値とトラッキングエラー信号振幅の2軸のみを示し、フォーカスバイアスについては省略して示している。
すなわち、先ずは上述した球面収差補正値・フォーカスバイアスの初期位置の設定下で、光学ピックアップOPによる信号の読み出しを実行させ、これに応じマトリクス回路4から供給されるトラッキングエラー信号TEの振幅値を取得し、これを初期位置での振幅値として保持する。そして、さらに球面収差補正値SAを初期位置を基準とした正/負方向に予め定められた振り幅Aだけ振って、それぞれの球面収差補正値の設定下で同様にトラッキングエラー信号TEの振幅値を取得し、設定した球面収差補正値と対応づけてその値を保持する。
その上で、このようにして得られた3点の球面収差補正値と、それらの値の各設定状態下でのトラッキングエラー信号TEの振幅値を用いて2次近似を行い、得られた2次曲線に基づきトラッキングエラー信号TEの振幅が最大となる球面収差補正値SA_peakの値を算出する。
つまり、上記のようにして最初の3点に基づくSA_peakの値を算出すると、先ずはこのSA_peakの値が、3点のうちの最小値であるSA_Lから最大値であるSA_Hまでの範囲内にあるか否かについて判別する(SA_L≦SA_peak≦SA_H)。
その上で、この点を含む3点で2次近似を行いSA_peakの値を算出し、同様にSA_L≦SA_peak≦SA_Hかを判別する。
なお、確認のために述べておくと、先に述べたようにしてここでは振り幅Aにより球面収差補正値を新たに振ったときの各3点の球面収差補正値のことを、その値が小さい順にそれぞれ「SA_L」「SA_M」「SA_H」とするので、当該<2>において示す上記「SA_L」、「SA_H」は、図中で言えばそれぞれSA=0(初期位置)、SA=+2Aとなる。
そして、SA_L≦SA_peak≦SA_Hであるとされた場合は、図中<3>と示すようにして、球面収差補正値SAをSA_peakに決定する。すなわち、算出されたSA_peakの値を調整値として決定して粗調整動作を終了する。
但し、このように3点という比較的少ない点数で2次近似を行う場合には、算出される2次曲線が必ずしも適正なトラッキングエラー信号振幅特性に応じたものとなる保証はなく、その点を考慮した調整動作とする必要がある。具体的に言えば、球面収差補正値の変化に対するトラッキングエラー信号振幅特性としては上に凸となる2次曲線となるべきであるものが、上述のような3点の2次近似によっては、下に凸となる2次曲線が算出されてしまうケースもあり、これを考慮する必要がある。
例えば、図5(a)では、初期位置から±Aに振った計3点で2次近似を行った結果、算出された2次曲線が下に凸であった場合を例示している。このように下に凸となる2次曲線が得られてしまった場合は、図示するようにして先ずはトラッキングエラー信号TEの傾き方向を調べ、トラッキングエラー信号TEの振幅値が上昇する方向に球面収差補正値をもう1点振るということを行う。具体的には、3点のうち最小のSA_L(図中では−A)と、最大のSA_H(+A)でのトラッキングエラー信号TEの振幅値(TE_LとTE_H)との大小関係を比較することで、トラッキングエラー信号TEの傾き方向を調べ、この結果に基づきトラッキングエラー信号TE振幅値が上昇する方向にもう1点振る動作を行う。つまり、この場合は次の図5(b)に示されるように、SA=+Aからさらに+Aだけ振ったSA=+2Aの位置に球面収差補正値を振ることになる。
図示するようにして、この2次近似の結果、上に凸となる2次曲線が得られれば、SA_L≦SA_peak≦SA_Hかの判別に基づく動作を実行する。すなわち、先の図4にて説明したようにして、SA_L≦SA_peak≦SA_Hでなければ、SA_peakに近づく方向に球面収差補正値SAをAだけ振って新たな点を取得し、その点を含む3点で2次近似を行い、同様にSA_L≦SA_peak≦SA_Hかを判別する。また、SA_L≦SA_peak≦SA_Hであれば、算出したSA_peakの値を調整値として決定する。
そして、2次近似の結果、依然として下に凸であった場合は、上に凸となるまで上記の動作を繰り返すことになる。
ここで、図4、図5により説明した粗調整の手法は、従来においても採用されていた手法であるが、本実施の形態の粗調整動作としては、このような従来の粗調整動作について、球面収差補正値に制限値を設けたことに相当する。
次の図6を参照して、本実施の形態の粗調整動作について説明する。なお、図6においても、実施の形態としての粗調整動作を、横軸を球面収差補正値(SA)、縦軸をトラッキングエラー信号TEの振幅値とした2次元平面上で模式的に示している。
この場合も、SA_L≦SA_peak≦SA_Hであれば、算出したSA_peakの値を調整値として決定する。
すなわち、先の図5の説明によれば、2次近似により算出された2次曲線が上に凸とならない場合にも、さらに振り幅Aだけ球面収差補正値を振るという動作が行われるものとなるが、この場合にも、新たな球面収差補正値に振る場合には、その振るべき球面収差補正値が制限値(リミット)「B」以上とはならないか否かの判別を行う。そして、この判別の結果、リミット「B」以上とはならないとされた場合は、新たな球面収差補正値に振ってトラッキングエラー信号TEの振幅値取得を行い、その結果に基づき先に説明したように再度の2次近似を行い、算出された2次曲線が上に凸となるか否かの判別を行うようにする。
一方、次に振るべき球面収差補正値SAがリミット「B」以上となる場合には、同様にその直前に振った球面収差補正値SAを調整値として決定する。
ここで、実施の形態では、上記により説明した球面収差補正値についての粗調整動作後に、改めて球面収差補正値とフォーカスバイアスの双方についての微調整動作を行うようにされている。
具体的に、この微調整動作としては、フォーカスサーボと共にトラッキングサーボもかけた状態で、球面収差補正値とフォーカスバイアスとをそれぞれ変化させたときに、図1に示した評価器5aによって算出されるジッタ値をシステムコントローラ10が入力して行うものとされる。
先ず、粗調整によって決定された球面収差補正値を基準とした上で、調整時に振るべき球面収差補正値の各値を決定しておく。また、フォーカスバイアスの値については、例えば初期位置を基準として調整時に振るべき各値を決定しておく。
その上で、先ずはこのようにして予め決定された球面収差補正値とフォーカスバイアス値の1組について、それらの値を設定した状態で再生動作を実行させる。そして、これに応じ評価器5aにて算出されるジッタ値を取得し、設定した球面収差補正値とフォーカスバイアス値とに対応づけてその値を保持する。
このような動作を、上記のようにして決定した球面収差補正値とフォーカスバイアス値の各組ごとに行う。例えば、SA=5値,FB=5値が振るべき値として決定されていた場合は5×5=25通りの球面収差補正値・フォーカスバイアス値の組み合わせごとに上記動作を実行するといったものである。そして、これによって得られる、球面収差補正値とフォーカスバイアス値の各組の設定状態ごとのジッタ値に基づき、最適とされる球面収差補正値とフォーカスバイアス値とを割り出す。具体的には、例えばジッタ値を最小(最良)とする球面収差補正値とフォーカスバイアス値の組を割り出し、それらの値を微調整による調整値として決定する。
この結果、上記のような各特性の軸方向にずれが生じる場合に、従来のように粗調整後の球面収差補正値の設定によってデータ再生・アドレス検出を行うことができなくなるといった可能性はより低くすることができ、軸方向のずれがより激しい場合にも微調整を行うことが可能となる。換言すれば、軸方向のずれに対し、微調整を行うことができる範囲の拡大を図ることができる。
このことを踏まえると、上述のようにして微調整時に用いるジッタ値特性上での位置の悪化を抑制できる本実施の形態によれば、このような球面収差補正値・フォーカスバイスの初期位置の悪化に対しても、微調整を行うことのできる範囲の拡大を図ることができるものとなる。
この図7では、それぞれフォーカスバイアスを縦軸、球面収差(球面収差補正値)を横軸にとった場合のジッタ値の特性(等高線マップ)を示し、各図中の白丸印が、ジッタ値に基づく微調整によって調整されるべき最適値(目標値)を示している。
そして図7において、図中の網掛け部分は、上記白丸印で示す微調整での目標値に引き込みを行うことができない範囲(引き込みNG範囲と呼ぶ)を示している。すなわち、この引き込みNG範囲内に球面収差補正値・フォーカスバイアスがある場合は上記微調整の目標値に調整を行うことができないというものである。
なお、確認のために述べておくと、この図7の実験結果は、トラッキングエラー信号TEの振幅特性とジッタ値特性とで先の図12に示したような軸方向のずれが生じている条件下での結果を示しているものである。
これに対し、図7(c)に示す本実施の形態のリミット付き粗調整を行う場合は、粗調整を行わない場合と粗調整(リミットなし)を行う場合との双方と比較して、引き込みNG範囲の縮小化(換言すれば引き込み可能範囲の拡大化)が図られており、その分より安定した微調整動作を実現できることが理解できる。
続いては、図8〜図10のフローチャートを参照して、実施の形態としての粗調整動作を実現するための処理動作について説明する。
なお、これらの図に示される処理動作は、システムコントローラ10が例えば内蔵するROM等のメモリ内に格納されるプログラムに基づいて実行するものである。
また、これらの図に示される処理動作が実行されるのに先立っては、既にフォーカスサーボがオンされた状態にあるとする。
また、振幅取得に成功した場合は、ステップS105に進んでSA=+Aとしてトラッキングエラー信号TEの振幅値を取得する。
続くステップS106では、同様に振幅値の取得に成功したか否かについて判別処理を行い、振幅取得が成功しなかった場合はステップS115にてエラー処理を実行する。
上に凸ではないとして否定結果が得られた場合は、後の図10に示すステップS301に処理を進める。
一方、SA_L≦SA_peak≦SA_Hではないとして否定結果が得られた場合は、次の図9に示すステップS201に処理を進める。
このステップS202→S204の処理により、制限値に基づく粗調整動作が実行される。換言すれば、実施の形態としての粗調整動作を実現するにあっては、これらステップS202・S204の処理を従来の処理に対して追加すべきものとなる。
このステップS203→S206の処理によっても制限値に基づく粗調整動作が実行されるものであり、従ってこれらステップS203・S206の処理も従来の処理に対して追加されるべき処理となる。
また、振幅取得に成功した場合は、ステップS209に進み、新たに取得した点を含めて球面収差補正値SAが小さい順にSA_L、SA_M、SA_Hと設定した後、先の図8に示したステップS108に戻るようにされる。
図10において、ステップS301では、TE_L<TE_Hであるか否かについて判別処理を行う。つまり、このステップS301の処理によってトラッキングエラー信号TE振幅値の上昇する方向(TEの傾き方向)を特定しようとするものである。
つまり、これらステップS302→S304によっても制限値に基づく粗調整動作が実行されるものであり、従って実施の形態としての粗調整動作を実現するにあってはこれらステップS302・S304の処理も追加されるべき処理となる。
すなわち、先にも述べたようにTE_LとTE_Hとが同値であるということは、SA_LとSA_Hとの間にトラッキングエラー信号TEの振幅最大値がある可能性が高いので、これらSA_LとSA_Hとの中間点であるSA_Mに調整して終了するものである。
このステップS306→S307によっても制限値に基づく粗調整動作が実行され、従ってこれらステップS306・S307の処理も従来の処理に対して追加されるべき処理となる。
例えば実施の形態においては、球面収差補正機構として、ビームエキスパンダ、液晶素子によるものを例示したが、それ以外の球面収差補正機構を採用する場合にも本発明は好適に適用することができる。
例えば、2次近似の結果からトラッキングエラー信号TE振幅値の最良点を探索するのではなく、3点のTE振幅値の大小関係に基づいて最良点を探索する動作とすることもできる。具体的には、例えば3点の球面収差補正値SA_L、SA_M、SA_Hのうち、SA_MでのTE振幅値が最大(最良)となっているか否かを判別することで、TE振幅値の最良点を探索するというものである。つまり、SA_Mでの振幅値が最良となっているのであれば、SA_L、SA_M、SA_Hの3点の範囲内にTE振幅値の傾き変化点(すなわちTE振幅値の最良点)があることがわかるというものである。
このような手法を採用する場合としても、最良点探索のために、TE振幅値が上昇する方向(良好となる方向)に対して順次球面収差補正値を振っていくものとされるので、球面収差補正値を新たに振るタイミングごとに、振るべき球面収差補正値が制限値「B」以上(或いは以下)となるか否かを判別し、制限値「B」以上とならない場合はもう1点振った新たな3点について上述の最良点探索のための動作を行い、制限値「B」以上(或いは以下)となる場合には直前に振った球面収差補正値を調整値として決定すればよい。
なお、SA_Mでの振幅値が最良となっている場合には、このSA_Mの値を調整値として決定すればよい。或いは、このようにSA_Mでの振幅値が最良となっている場合には、SA_L〜SA_Hの範囲内でより詳細な振り幅で複数点に振った結果に基づき、TE振幅値が最良となる球面収差補正値を調整値として決定することもできる。
何れにせよ、微調整で用いる評価値としては、再生信号品質の評価指標となる値であればよく、実施の形態で例示したものに限定されるべきものではない。
Claims (6)
- 少なくとも信号読出のために光記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、少なくともレーザ光のフォーカスサーボ機構及び球面収差補正機構を有するヘッド手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づき読出信号の品質評価指標となる評価信号を生成する評価信号生成手段と、
上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段と、
球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と、
上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段と、
少なくとも上記球面収差補正値についての調整値を決定するための処理を実行する制御手段とを備えると共に、
上記制御手段は、上記フォーカスサーボ手段によるフォーカスサーボをオンとさせた状態で上記球面収差補正値を変化させたときに得られる上記評価信号の値と、上記球面収差補正値について設定された制限値とに基づき、上記球面収差補正値の第1の調整値を決定する、
ことを特徴とする光記録媒体駆動装置。 - 上記制御手段は、
上記球面収差補正値を所定の振り幅ごとに順次変化させたときの上記評価信号の値を取得すると共に、その結果に基づき、新たに振った上記球面収差補正値を含む複数点の範囲内に上記評価信号の値を最良とする点があるか否かについて判別を行うと共に、上記複数点の範囲内に上記評価信号の値を最良とする点がないとされた場合は、次に振るべき球面収差補正値が上記制限値以上となるか否かについて判別を行い、この判別の結果次に振るべき球面収差補正値が上記制限値以上となるとされた場合には、上記制限値に基づく球面収差補正値を上記第1の調整値として決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。 - 上記制御手段は、
次に振るべき球面収差補正値が上記制限値以上となるとされた場合には、直前に振った球面収差補正値を上記第1の調整値として決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体駆動装置。 - 上記制御手段は、
次に振るべき球面収差補正値が上記制限値以上となるとされた場合には、上記制限値を上記第1の調整値として決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体駆動装置。 - 上記ヘッド手段によって上記光記録媒体から読み出される信号に基づき再生信号品質の指標となる所定の評価値を計算する評価値計算手段をさらに備えると共に、
上記制御手段は、
上記第1の調整値の決定後、上記球面収差補正値については上記第1の調整値を基準とし、上記フォーカスバイアスについては所定の初期値を基準として双方を変化させたときに得られる上記評価値に基づき、上記球面収差補正値についての第2の調整値と上記フォーカスバイアスについての調整値とを決定するための処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体駆動装置。 - 少なくとも信号読出のために光記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うとともに、少なくともレーザ光のフォーカスサーボ機構及び球面収差補正機構を有するヘッド手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づき読出信号の品質評価指標となる評価信号を生成する評価信号生成手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光に基づく信号として生成されるフォーカスエラー信号に基づいて上記フォーカスサーボ機構を駆動してフォーカスサーボを実行するフォーカスサーボ手段と、球面収差補正値に基づいて上記球面収差補正機構を駆動して球面収差補正を実行する球面収差補正手段と、上記フォーカスサーボ手段を含むフォーカスループにフォーカスバイアスを加算するフォーカスバイアス手段とを備えた光記録媒体駆動装置について、上記球面収差補正値を調整するための球面収差調整方法であって、
上記フォーカスサーボ手段によるフォーカスサーボをオンとさせた状態で上記球面収差補正値を変化させたときに得られる上記評価信号の値と、上記球面収差補正値について設定された制限値とに基づき、上記球面収差補正値の第1の調整値を決定する、
ことを特徴とする球面収差調整方法。
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