JP3781262B2 - 収差補正装置及びその駆動方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクなどの情報記録媒体の記録再生装置に用いられる収差補正装置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的に情報記録又は情報再生が行われる情報記録媒体として、CD(Compact disk)、DVD(Digital Video Disk 又は Digital Versatile Disk)等の光ディスクが知られており、再生専用の光ディスク、情報を追記録することが可能な追記型光ディスク、情報の消去及び再記録が可能な書き換え型光ディスク等、種類の異なる光ディスクが開発されている。
【0003】
また、光ディスクの高密度化と、その高密度化に対応するピックアップ装置と情報記録再生装置の研究開発が進められると共に、種類の異なる光ディスクを利用することが可能ないわゆる互換性を有したピックアップ装置と情報記録再生装置の研究開発も進められている。
この光ディスクの高密度化に対応するため、ピックアップ装置に備えられている対物レンズの開口数(numerical aperture :NA)を大きくすることにより、照射径の小さな光ビームを光ディスクに照射することが考えられている。また、短波長の光ビームを用いることで、高密度化に対応することが考えられている。
【0004】
ところが、対物レンズの開口数NAを大きくしたり、短波長の光ビームを用いると、光ディスクによる光ビームへの収差の影響が大きくなり、情報記録及び情報再生の精度を向上させることが困難になるという問題が生じる。
例えば、対物レンズの開口数NAを大きくすると、光ディスクに対する光ビームの入射角度範囲が広くなるため、入射角度に依存した量である複屈折量の光ディスク瞳面での分布幅も大きくなる。このため、この複屈折に起因する球面収差の影響が大きくなるという問題を生じる。また、対物レンズの開口数NAを大きくして短波長の光ビームを用いると、情報記録又は情報再生の際に光ディスクが傾いて、光ディスクの法線方向に対する光ビームの入射角度(チルト角)が傾いた場合に、コマ収差の影響が無視できなくなる。
【0005】
上記したように、光ディスクは、CDとDVDのように種類によってディスク基板厚などの構造、記録密度等が異なるため、球面収差、コマ収差又は非点収差などの収差の影響が光ディスクの種類に応じて異なることになり、互換性を有するピックアップ装置と情報記録再生装置の開発が困難になる。また、同一種類の光ディスクであっても、製造上等の理由によって基板厚が異なるため発生する収差の大きさが異なる場合がある。
【0006】
こうした収差の影響を低減するため、従来、収差補正用の液晶ユニットを備えたピックアップ装置が提案されている。このような液晶ユニットとしては、例えば、特開平10−20263号公報に開示されているものがある。
図1は、上記した液晶ユニットの一例を模式的に示している。この液晶ユニットは、互いに対向する透明電極A、B間に液晶素子Cを挟んだ構造を有し、透明電極A、B間の印加電圧を調節することで液晶素子Cの配向状態を変化させ、一方の透明電極A(又はB)側に入射する光が液晶素子C中を通る際に、その光に対して配向状態に応じた複屈折変化を与えて他方の透明電極B(又はA)側に射出するようになっている。
【0007】
更に、透明電極A、Bの少なくとも一方は、例えば、複数の透明電極a1、a2、a3とb1、b2、b3に分割して形成され、また透明電極a1、a2、a3同士が電気的に分離されると共に、透明電極b1、b2、b3も互いに電気的に分離されている。
このため、互いに正対関係にある透明電極間、例えば透明電極a1、b1間と、透明電極a2、b2間と、透明電極a3、b3間に、それぞれ異なった電圧を印加すると、液晶素子Cに複数の異なった配向状態に調節することができ、入射する光に対してそれぞれの配向状態に応じた複屈折変化を同時に与えるようになっている。すなわち、液晶ユニットの上記複数の配向状態を適宜に調節することで、光路中に生じた球面収差やコマ収差などの収差を補正することができる。尚、上記したように、例えば、基板厚が異なることによって、光路の中央部に対し外周側の収差が大きい場合、又は小さい場合等が生じる。
【0008】
電極が同心円状に分割された図1の液晶ユニットの場合を例に、図2を参照しつつ具体的に説明する。図2は、液晶素子によって生じる位相差を印加電圧に対して示したものである。例えば、電極b1〜b3を同電位とし、電極a1を基準電圧V1(例えば、V1=2V)として他の電極a2,a3の電圧を変化させることで入射光に位相差を与える。光路の中心部に対して半径方向外向きに位相差を増加させる場合には、他の電極a2,a3への印加電圧V2,V3を増加させる(例えば、V1=2Vの場合、V2=2.2V,V3=2.4V)。また、一方、半径方向外向きに位相差を減少させる場合には、電極a2,a3への印加電圧V2,V3を減少させる(例えば、V1=2Vの場合、V4=1.8V,V5=1.6V)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の液晶ユニットでは、基準となる補正領域に対して他の領域の位相差を増加及び減少せしめるために、液晶ユニットに大きな位相差量(範囲)を生じさせる必要があった。
本発明は、こうした従来技術の課題を克服するためになされたものであり、その目的とするところは、必要とされる位相差量を低減することが可能で高性能な収差補正装置及びその方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による収差補正装置は、記録媒体に光ビームを照射し、記録媒体によって反射された反射光ビームを導く光学系の光路中において生じた収差を補正する収差補正装置であって、同一平面内において互いに電気的に分離された複数の分割電極を含む第1電極層、第2電極層、及び第1電極層及び第2電極層間に設けられ電界の印加により通過する光に対して位相変化を生じせしめる液晶素子を含む液晶ユニットと、液晶ユニットを経た反射光ビームを受光して検出信号を生成する検出器と、複数の分割電極の各々への印加電圧を生成する電圧生成器と、第1電極層の所定の分割電極に印加する電圧を基準電圧として他の分割電極への印加電圧を変更せしめ収差の補正制御をなすコントローラと、を有し、コントローラは、複数の分割電極の各々への印加電圧を変更した場合の検出信号の大きさの変化に基づいて基準電圧を定めることを特徴としている。
【0011】
また、本発明による収差補正方法は、記録媒体に光ビームを照射し、記録媒体によって反射された反射光ビームを導く光学系の光路中において生じた収差を補正する収差補正方法であって、同一平面内において互いに電気的に分離された複数の分割電極を含む第1電極層、及び第1電極層及び第2電極層に挟まれ電界の印加により通過する光に対して位相変化を生じせしめる液晶素子を設けるステップと、液晶ユニットを経た反射光ビームを受光して検出信号を生成するステップと、複数の分割電極の各々への印加電圧を生成するステップと、第1電極層の所定の分割電極に印加する電圧を基準電圧として他の分割電極への印加電圧を変更せしめ収差の補正制御をなすステップと、を有し、コントローラは、複数の分割電極の各々への印加電圧を変更した場合の検出信号の大きさの変化に基づいて基準電圧を定めることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図3は、情報記録再生装置に設けられた収差補正装置の構成を模式的に示す図である。
図3において、光ピックアップ装置PUは、レーザ光H1を射出する光源1、ビームスプリッタ3、収差補正光学ユニット4、対物レンズ5、集光レンズ6、光検出器7を備えて構成され、これらの光学要素1〜7は光軸OAに沿って配置されている。
【0013】
光ピックアップ内のレーザ光源1から照射された光ビームH1は光ディスク9により反射され、反射光は光検出器7で検出される。検出されたRF信号はRF振幅強度検出器11(以下、単にRF振幅検出器と称する)に送られる。RF振幅検出器11は、受け取ったRF信号の包絡線を検出してRF振幅信号として制御部12に送出する。制御部12は、受信したRF振幅信号に基づいて、収差補正光学ユニット4を駆動する駆動部14に制御信号を供給する。駆動部14は、当該制御信号に応じて収差補正光学ユニット4に印加すべき制御電圧(Vi)を生成し、収差補正光学ユニット4へ供給する。
【0014】
収差補正光学ユニット4は、電界によって電気光学効果を生じる電気光学素子を有している。より具体的には、駆動部14によって印加される制御電圧Viの大きさに応じて複屈折変化をもたらす液晶光学素子を有している。すなわち、この収差補正光学ユニット4は、図4に模式的に示すように、2枚の透明なガラス基板等の絶縁基板15、16の間に液晶素子19が挟まれ封入された構成を有し、互いに対向するガラス基板15、16の対向面には、電極部17、18、絶縁層23、24、及び液晶配向膜21、22が形成されている。
【0015】
電極部17、18の間に制御電圧Viが印加されると、その制御電圧Viによって生じる電界Eiに応じて液晶素子19内の液晶分子の配向が変化する。その結果、液晶素子19中を通る光は、液晶素子19の複屈折を受けて位相が変化する。すなわち、その偏光状態(位相)は、液晶素子19に印加される制御電圧Viによって制御することができる。
【0016】
また、この収差補正光学ユニット4は、双方向の光透過性を有しており、絶縁基板15、16のどちら側を対物レンズ5側に向けて配置してもよいようになっている。
図5は、光ディスクの基板厚に起因して発生する収差のうち、その主たる収差である球面収差の光軸に垂直な面内における分布を示している。基板が厚い場合には、収差は、光路の中心部で小さく最外周部分を除き外側に向うに従い増加する。基板が薄い場合には、その逆で、中心部から外側に向うに従い減少する。
【0017】
このような球面収差を補正するための収差補正光学ユニット4を光軸OA側から見た場合を図6の平面図に示す。収差補正光学ユニット4は、光ディスク9で生じる収差の分布に対応付けて決められた複数の収差補正領域AR1、AR2〜ARiに区画されており、これらの収差補正領域AR1,AR2〜ARiは、電極部17、18に形成されている透明電極(ITO:インジウム錫酸化物)層によって実現されている。尚、図6は、光ディスク9によって生じる球面収差を補正するための収差補正領域AR1、AR2〜ARiの典型例を示しており、実際には、光ディスク9により生じる収差の分布に対応付けて、様々な形状に区画されている。
【0018】
以下では、図6に示したような同心円状の収差補正領域AR1〜ARiを設けた収差補正光学ユニット4の場合を例に説明する。図7は、図6の線X−Xに沿った断面構造を示す断面図である。図に示されるように、電極部17は、互いに電気的に分離して形成された透明電極層A1〜Aiと、各透明電極層A1〜Ai間に複数存在する間隙W1〜Wiからなる構造を有している。
【0019】
尚、透明電極層A1は、収差補正領域AR1に合わせた形状(図6の場合では、円形状)に形成され、透明電極層A2は、収差補正領域AR2に合わせた形状(図6の場合では、円環状)に形成され、残りの透明電極層A3〜Aiも同様に、収差補正領域AR3〜ARiに合わせた形状に形成されている。また、透明電極層A1〜Aiを分離している間隙W1〜Wiは、円環状に形成されている。
【0020】
一方、電極部18も同様に、互いに電気的に分離して形成された透明電極層C1〜Ciと、各透明電極層C1〜Ci間に複数存在する間隙W1〜Wiからなる構造を有している。
尚、一方の電極、例えば電極部17が分離された複数の電極層として形成されていれば、電極部18は分離されている必要はない。例えば、全面電極としてもよく、あるいは補正すべき収差の特徴に応じて必要な形状に形成、又は必要な数に分離して形成してもよい。
【0021】
次に、本実施例における収差補正について、図8〜図10に示すフローチャート及び図11,12を参照しつつ詳細に説明する。
図8のフローチャートは、例えば、光ディスク9の記録又は再生開始時に制御部12によって実行されるセットアップの手順を示している。
まず、制御部12は、装填された光ディスク9を回転させ(ステップS11)、フォーカスサーボ制御を実行する(ステップS12)。次に、制御部12は、収差判別補正ルーチンを呼び出し、補正すべき収差の判別並びにこの判別結果に基づいた収差補正を実行する(ステップS13)。
【0022】
後述する手順に従い上記収差判別補正ルーチンを実行した後、制御は本ルーチンに戻り、トラッキングサーボ制御を実行する(ステップS14)。トラッキングサーボ制御を実行した後、TOC情報を光ディスク9から読み込んで(ステップS15)、セットアップを終了する。以下に、上記した収差判別補正の手順について説明する。
【0023】
図9は、補正すべき収差の判別を行う収差判別ルーチンの手順を示している。すなわち、図2、図5を用いて説明したように、入射光の収差を補正するために、収差補正光学ユニット4の基準となる収差補正領域に対して他の収差補正領域の位相差を増加させるべきか、あるいは減少させるべきかを判別する。尚、以下においては、収差補正領域が円形状(円環状)に形成された収差補正光学ユニット4を例に説明する。また、説明の簡便化のため、収差補正光学ユニット4が3つの収差補正領域を有する場合を例に説明するが、分割数及びその形状は適宜変更してもよい。
【0024】
図9において、RF振幅検出器11からRF振幅値(Rs)を取り込み(ステップS21)、取り込んだ値を保持しておく。次に、収差補正光学ユニット4の中央部の収差補正領域(A1)を基準とし、収差補正領域A1に基準電圧V1=VL1(例えば、VL1=2.0V)を印加し、他の収差補正領域A2,A3にそれぞれ当該基準電圧V1よりも大きな電圧V2=VL2、V3=VL3(例えば、VL2=2.1V、VL3=2.2V)を印加する(ステップS22)。次に、これら補正電圧を印加したときのRF振幅値(Rf)を取り込む(ステップS23)。
【0025】
補正電圧の印加によってRF振幅が増加したか否か、すなわち、補正電圧の印加前後のRF振幅値の変化量ΔR(=Rf−Rs)がゼロ以上であるかを判別する(ステップS24)。変化量ΔR≧0の場合は、補正電圧の印加によってRF振幅が増加し、すなわち、入射光ビームの収差を打ち消すように補正電圧値が選ばれていることを示している。一方、変化量ΔR<0の場合は、逆に入射光ビームの収差を増強するように補正電圧が印加されていることを示す。
【0026】
ステップS24において、変化量ΔR≧0の場合は、収差を打ち消すように補正電圧値が選ばれているか否かを示すインジケータ(IND)にゼロをセット、すなわち、IND=0とし(ステップS25)、これを引数として収差補正ルーチンに渡す。ステップS24において、変化量ΔR<0の場合は、IND=1とし(ステップS26)、引数として収差補正ルーチンに渡す。収差補正ルーチンは、引数INDに基づいて収差補正の最適化をなす(ステップS27)。
【0027】
尚、上記した説明においては、RF振幅値(Rs)の初期値として補正電圧を印加する前(すなわち、全ての補正領域への電圧がゼロ、又は同一)のRF振幅値を用いたが、補正印加電圧の変更によってRF振幅値の変化を判別できる方法であればどのような方法でもよい。以下に、上記した収差補正ルーチンの収差補正動作について説明する。
【0028】
図10に収差補正ルーチンの収差補正の手順を示す。
まず、図9の収差判別ルーチンから補正電圧印加後のRF振幅値RfをR1としするとともに、パラメータk(整数)に1を与え、また、補正電圧幅を表すΔVに所定の値(例えば、0.1V)を与え、初期設定をなす(ステップS31)。次に、インジケータINDがゼロか否かを判別する(ステップS32)。収差補正はこのインジケータINDに基づいて実行される。
【0029】
インジケータINDがゼロの場合は、上記したように、基準とする補正領域A1に印加する基準電圧V1を第1基準電圧であるV1=VL1(例えば、VL1=2.0V)とする。一方、基準補正領域A1以外の補正領域(この例では、A2,A3)には、当該第1基準電圧よりも大きな値の補正電圧V2、V3を印加し(ステップS33)、V2、V3を変更することによって第1の補正モードを実行する。本実施例では、補正電圧V2、V3は、上記した補正電圧幅ΔV(>0)によって段階的に変更され収差補正の最適化がなされる。図11、12を参照して、より具体的に以下に説明する。
【0030】
図11(a)に示すように、補正領域A2にはV2=VL2+ΔV(=2.1+0.01×1=2.11V)の電圧が印加される。同様に、補正領域A3にはV3=VL3+ΔV(=2.2+0.01×1=2.21V)の電圧が印加される。この印加電圧の変更によって収差補正量が変更される(すなわち、図12の開始位置S点からP1点への変更に対応)。
【0031】
これら補正電圧を変更後のRF振幅値(R2)を取り込む(ステップS34)。次に、補正電圧の変更によってRF振幅が増加したか否かを判別する(ステップS35)。変化量ΔR=R2−R1≧0の場合は、収差を打ち消すように補正がなされていることを示している。また、ステップS35において、変化量ΔR<0の場合は補正が過大であることを意味し、補正電圧を減少させるために補正電圧幅を負(−ΔV)にする(ステップS36)。次に、変化量の絶対値が閾値、すなわち、所定の小さな値(ε)未満であるか否かが判別される(ステップS37)。RF振幅の変化量が当該閾値以上であった場合は、パラメータkを1だけインクリメントし(ステップS38)、補正電圧幅を1段階(ΔV)増加させ、現在のRF振幅値(R2)を過去のRF振幅値(R1)に置き換える(ステップS39)。次に、ステップS33に戻り、基準補正領域A1以外の補正領域に変更後の補正電圧を印加して、上記のステップS33−S39を繰り返す(図12のP2,P3・・・)。ステップS37において、RF振幅の変化量が当該閾値未満となった場合は(図12のT点)、最適な補正量が得られたとしてこの収差補正ルーチンを終える。
【0032】
ステップS32においてインジケータINDがゼロでない場合には、基準とする補正領域A1に印加する基準電圧V1を上記第1基準電圧よりも大きな第2基準電圧であるV1=VH1(例えば、VH1=2.5V)とする。一方、基準補正領域A1以外の補正領域A2,A3には、当該基準電圧よりも小さな値の補正電圧V2、V3を印加し(ステップS40)、V2、V3を変更することによって第2の補正モードを実行する。例えば、図11(b)に示すように、補正領域A2にはV2=VH2−ΔV(=2.4−0.01×1=2.39V)の電圧が印加される。同様に、補正領域A3にはV3=VH3−ΔV(=2.3−0.01×1=2.29V)の電圧が印加される。この印加電圧の変更によって収差補正量が変更される。インジケータIND=0の場合と同様にして、ステップS42以降を実行する。RF振幅の変化量が閾値(ε)未満となるまでステップS40−S46を繰り返し、ステップS44において、RF振幅の変化量が当該閾値未満となった場合は、最適な補正量が得られたとしてこの収差補正ルーチンを終える。以上の手順により、収差補正の最適化がなされる。
【0033】
上記第1基準電圧及び第2基準電圧は、当該第1及び第2の補正モードにおけるそれぞれの補正印加電圧の範囲が重なるように設定される。第2基準電圧が、第1の補正モードにおける補正印加電圧の最大値程度に設定されるのが最も好ましい。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、補正印加電圧の範囲を小さくでき、必要とされる位相差量を低減することが可能となる。これにより、液晶素子の厚さを低減でき、また応答速度も速くなり高性能化が実現される。また、小型・軽量で低コスト化な収差補正装置を実現できる。
【0034】
【発明の効果】
上記したことから明らかなように、本発明によれば、必要とされる位相差量を低減することが可能で高性能な収差補正装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶ユニットの一例を模式的に示す図である。
【図2】電極が同心円状に分割された液晶ユニットの液晶素子によって生じる位相差を印加電圧に対して示す図である。
【図3】情報記録再生装置に設けられた収差補正装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】収差補正光学ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
【図5】球面収差の光軸に垂直な面内における分布を示す図である。
【図6】収差補正光学ユニットを光軸OA側から見た場合の平面図である。
【図7】図6に示す収差補正光学ユニットの線X−Xに沿った構造を示す断面図である。
【図8】光ディスクの記録又は再生開始時に制御部によって実行されるセットアップの手順を示すフローチャートである。
【図9】収差判別ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図10】収差補正ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図11】収差補正領域への補正印加電圧と液晶素子によって生じる位相差との関係を示す図である。
【図12】収差補正ルーチンにおける収差補正の手順を説明するための図である。
【主要部分の符号の説明】
1 光源
3 ビームスプリッタ
4 収差補正光学ユニット
5 対物レンズ
6 集光レンズ
7 光検出器
8 制御回路
11 RF振幅検出器
12 制御部
14 駆動部
15,16 絶縁基板
17,18 電極部
14 液晶素子
21,22 液晶配向膜
23,24 絶縁層
PU ピックアップ装置

Claims (8)

  1. 記録媒体に光ビームを照射し、前記記録媒体によって反射された反射光ビームを導く光学系の光路中において生じた収差を補正する収差補正装置であって、
    同一平面内において互いに電気的に分離された複数の分割電極を含む第1電極層、第2電極層、及び前記第1電極層及び前記第2電極層間に設けられ電界の印加により通過する光に対して位相変化を生じせしめる液晶素子を含む液晶ユニットと、
    前記液晶ユニットを経た反射光ビームを受光して検出信号を生成する検出器と、
    前記複数の分割電極の各々への印加電圧を生成する電圧生成器と、
    前記第1電極層の所定の分割電極に印加する電圧を基準電圧として他の分割電極への印加電圧を変更せしめ前記収差の補正制御をなすコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記所定の分割電極に第1基準電圧を印加するとともに前記第1基準電圧より大なる電圧を他の分割電極へ印加したときの前記検出信号の大きさの変化がゼロ以上である場合には前記第1基準電圧を基準電圧として定め、
    前記検出信号の大きさの変化が負である場合には前記第1基準電圧より大なる第2基準電圧を基準電圧として定めることを特徴とする収差補正装置。
  2. 前記コントローラは、前記所定の分割電極への印加電圧を第1基準電圧として前記第1基準電圧以上の電圧を他の分割電極へ印加する第1補正モード、及び前記所定の分割電極への印加電圧を第2基準電圧として前記第2基準電圧以下の電圧を他の分割電極へ印加する第2補正モードのいずれかの制御モードを選択的に実行することを特徴とする請求項1記載の収差補正装置。
  3. 前記第2基準電圧は前記第1補正モードにおける最大印加電圧を超えないことを特徴とする請求項2記載の収差補正装置。
  4. 前記コントローラは、前記所定の分割電極への印加電圧以上の電圧を他の少なくとも1つの分割電極へ印加したときに前記検出信号の大きさが増大した場合には、前記第1補正モードを実行することを特徴とする請求項2又は3記載の収差補正装置。
  5. 記録媒体に光ビームを照射し、前記記録媒体によって反射された反射光ビームを導く光学系の光路中において生じた収差を補正する収差補正方法であって、
    同一平面内において互いに電気的に分離された複数の分割電極を含む第1電極層、及び前記第1電極層及び第2電極層に挟まれ電界の印加により通過する光に対して位相変化を生じせしめる液晶素子を設けるステップと、
    前記液晶ユニットを経た反射光ビームを受光して検出信号を生成するステップと、
    前記複数の分割電極の各々への印加電圧を生成するステップと、
    前記第1電極層の所定の分割電極に印加する電圧を基準電圧として他の分割電極への印加電圧を変更せしめ前記収差の補正制御をなす収差補正制御ステップと、を有し、
    前記収差補正制御ステップは、
    前記所定の分割電極に第1基準電圧を印加するとともに前記第1基準電圧より大なる電圧を他の分割電極へ印加したときの前記検出信号の大きさの変化がゼロ以上である場合には前記第1基準電圧を基準電圧として定め、
    前記検出信号の大きさの変化が負である場合には前記第1基準電圧より大なる第2基準電圧を基準電圧として定めることを特徴とする収差補正方法。
  6. 前記収差補正制御ステップは、前記所定の分割電極への印加電圧を第1基準電圧として前記第1基準電圧以上の電圧を他の分割電極へ印加する第1補正ステップ、及び前記所定の分割電極への印加電圧を第2基準電圧として前記第2基準電圧以下の電圧を他の分割電極へ印加する第2補正ステップのいずれかのステップを選択的に実行することを特徴とする請求項5記載の収差補正方法。
  7. 前記第2基準電圧は前記第1補正モードにおける最大印加電圧を超えないことを特徴とする請求項6記載の収差補正方法。
  8. 前記収差補正制御ステップは、前記所定の分割電極への印加電圧以上の電圧を他の少なくとも1つの分割電極へ印加したときに前記検出信号の大きさが増大した場合には、前記第1補正モードを実行することを特徴とする請求項6又は7記載の収差補正方法。
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