JP2008081969A - 床材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水の影響を受け難く、キャスター等に荷重が掛かった場合においても、表面に傷や凹みが付き難く、また、合板表面の凹凸がそのまま化粧シート表面に現出して意匠性を損なうことがない床材を提供することである。
【解決手段】 合板の一方の面に樹脂含浸紙硬化層を積層した複合材の前記樹脂含浸紙硬化層面に接着剤層と表層に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられた化粧シートとが順に積層されると共に前記樹脂含浸紙硬化層がフェノール系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を前記合板の一方の面に熱圧着して一体成型された層である床材であって、前記樹脂含浸紙の含浸基材の坪量が80g/m2以上からなり、含浸基材に対するフェノール系樹脂の含浸比率が130%以上であることを特徴とする床材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木質系基材と、この木質系基材に化粧シートを貼着した床材に関し、さらに詳しくは、耐擦傷性や表面平滑性、あるいは、耐汚染性に優れた床材に関するものである。
従来から、木質系基材に化粧シートを貼着した床材が知られている。床材に用いられる前記化粧シートとしては、床材として求められる表面物性、すなわち、耐擦傷性や耐汚染性を確保する意味から、通常は表面に硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられている。また、床材に用いられる前記木質系基材としては、通常はラワン材を用いた合板が用いられているが、このような合板からなる床材はキャスター付き家具のキャスター部、あるいは、椅子や机等の脚部先端部に荷重が掛かった場合に、その表面に傷が付いたり、あるいは、凹んだりし易いという問題や合板表面の凹凸がそのまま化粧シート表面に現出して意匠性を損ない易いという問題があった(たとえば、特許文献1参照)。
そこで、木質系基材として前記化粧シートを貼着する側の前記合板の面に中密度繊維板、いわゆるMDFを積層した複合材を用いた床材が採用されるようになり、上記した合板からなる木質系基材を用いた床材の問題を解決することができたが、このような中密度繊維板を用いた複合材からなる床材は合板単体からなる床材に比べて、それだけコストが高い上に、中密度繊維板は水を吸収して膨らみ、床面に波打ちが生じ易いために、水が床に飛散し易い台所等の床には使い辛いという問題があった。
特開2001−193267号公報
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、水の影響を受け難く、キャスター等の荷重が掛かった場合においても、表面に傷や凹みが付き難く、また、合板表面の凹凸がそのまま化粧シート表面に現出して意匠性を損なうことがない床材を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、合板の一方の面に樹脂含浸紙硬化層を積層した複合材の前記樹脂含浸紙硬化層面に接着剤層と表層に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられた化粧シートとが順に積層されると共に前記樹脂含浸紙硬化層がフェノール系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を前記合板の一方の面に熱圧着して一体成型された層である床材であって、前記樹脂含浸紙の含浸基材の坪量が80g/m2以上からなり、含浸基材に対するフェノール系樹脂の含浸比率が130%以上であることを特徴とするものである。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の床材において、前記化粧シートが合成樹脂製シート基材からなることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の本発明は、請求項2記載の床材において、前記合成樹脂製シート基材がオレフィン系熱可塑性樹脂からなることを特徴とするものである。
また、請求項4記載の本発明は、請求項2、3のいずれかに記載の床材において、前記表面保護層が前記合成樹脂製シート基材にアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体とイソシアネートとから形成されたプライマー層を介して形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の床材において、前記合板の他方の面にフェノール系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を熱圧着して一体成形した樹脂含浸紙硬化層が積層されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、加工時や時間経過に伴う複合材しいては床材の反りや捩れを防止することができる。
本発明の床材は、水が浸透しても膨らむことがなく、床材の加工時や施工時に表面に傷や凹みが付き難く、さらには、キャスター等に荷重が掛かった場合においても表面に傷や凹みが付き難く、また、合板表面の凹凸を吸収して凹凸の少ない平滑性に優れた外観を有するという効果を奏する。
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる床材の基本的な層構成を図解的に示す図、図2は本発明の床材を構成する化粧シートの第1実施形態を図解的に示す層構成図、図3は本発明の床材を構成する化粧シートの第2実施形態を図解的に示す層構成図であり、図中の1は床材、2,2’,2”は化粧シート、3,3’,3”は接着剤層、4は複合材、5,5’はプライマー、8は絵柄印刷層、8’はベタ柄印刷層、9はバッカー材、21は表面保護層、22は合成樹脂製シート基材、22’は合成樹脂製透明層、41は樹脂含浸紙硬化層、42は合板をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかる床材の基本的な層構成を図解的に示す図であって、床材1は合板42上に樹脂含浸紙硬化層41が積層された複合材4の前記樹脂含浸紙硬化層41上に接着剤層3を介して電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を有する化粧シート2が貼着されたものである。また、前記樹脂含浸紙硬化層41は、床材1とした際に前記合板42の表面凹凸が表面に現出するのを防止すると共に耐キャスター性に代表されるような耐擦傷性を向上させるために設けるものである。合板42としては、たとえば、ラワン材や松材からなる合板を挙げることができ、繊維方向が異なる単板を一層毎に複数層、たとえば、3層、5層、7層を配置したものであって、表層の繊維方向が合板の長手方向と平行に構成されたもの、あるいは、表層の繊維方向が合板の長手方向と直交する方向に構成されたものの、いずれであってもよいものである。また、本発明においては、特に、表層に繋ぎのある単板を用いた合板や針葉樹を用いた合板や植林材(早成材)を用いた合板等の表面が荒れている合板も好適に用いることができる。また、図示はしないが、前記合板42の側端部には雌実、雄実からなる実部が設けられ、床材1同士の前記雌実、前記雄実を嵌合させて床材1が床下地上に敷設される。
前記樹脂含浸紙硬化層41としては、フェノール系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を前記合板42上に載置して熱圧成形することにより前記合板42と一体化した複合材4として得ることができる。この熱圧成形条件としては、たとえば、温度130〜160℃、圧力7〜13kg/cm2、加圧時間6〜10分程度である。前記樹脂含浸紙に用いる含浸基材としては、たとえば、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等の紙基材や綿布、あるいは、各種素材からなる織布や不織布等の布基材を挙げることができ、その坪量としては概ね80〜250g/m2、好ましくは80g/m2以上、さらに好ましくは120g/m2以上である。
前記含浸基材に含浸させるフェノール樹脂としては、フェノール単量体、すなわち、一価フェノールおよび/または多価フェノールの初期縮合物を用いることができる。一価フェノールとしては、フェノールやナフトール等の多環式のフェノール、あるいは、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体を挙げることができる。
多価フェノールとしては、たとえば、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等を挙げることができる。いずれのフェノール単量体も単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
フェノール単量体の縮合は常法により行えばよく、フェノール単量体とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体とを、アルカリ性縮合触媒の存在下、または、前記縮合触媒の非存在下で、加熱下または常温で縮合反応させればよい。このとき、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体は多価フェノールに対するモル比が0.1〜0.8、一価フェノールに対するモル比が0.2〜3になるように添加するのが好ましい。
前記アルカリ性縮合触媒としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉛、酸化ニッケル、酸化アルミニウム等の金属の水酸化物や酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類、アンモニア、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類を挙げることができる。
また、図示はしないが、フェノール系樹脂を含浸させた前記樹脂含浸紙を前記合板42の両面に配置して上記と同様に熱圧成形することにより、前記合板42の両面に樹脂含浸紙硬化層41を設けた複合材としてもよく、このように構成することにより、前記複合材4と比べて加工時の反りや捩れ、あるいは、時間経過に伴う複合材しいては床材の反りや捩れを防止することができる。
前記含浸基材に前記フェノール系樹脂を含浸させる方法としては、溶液化した前記フェノール樹脂を浸漬法、ロールコート法、グラビアコート法等の周知の両面ないし片面塗布により含浸させると共に乾燥させればよいものである。含浸基材に対するフェノール系樹脂の含浸比率、すなわち、含浸基材の坪量(g/m2)に対するフェノール系樹脂の含浸量(g/m2)としては130%以上であることが、合板との接着性の点から、また、傷や凹みが付き難い点等から望ましい。
次に、後述する電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を有する化粧シート2と前記複合材4の前記樹脂含浸紙硬化層41とを貼着する前記接着剤層3について説明する。前記接着剤層3としては、湿気硬化型ホットメルト接着剤やポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてロールコート法、グラビアコート法等の適宜の塗布方法で、化粧シート2の表面保護層21と反対側の面あるいは前記樹脂含浸紙硬化層41面に塗布して前記複合材4あるいは前記化粧シート2と貼合すればよいものである。前記2液硬化型ポリウレタン系接着剤の前記ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等を挙げることができ、イソシアネート成分としては、TDI、MDI、HDI、PIDI、XDI等のジイソシアネートおよびこれらを出発原料とする変性体を挙げることができるが、塗布量や作業性および作業環境を考慮すると、エマルジョンタイプの硬化型接着剤、より好ましくは、湿気硬化型ホットメルト接着剤が好ましいものである。
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分とする組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両末端にイソシアネート基をそれぞれ1個以上有するポリイソシアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こし、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じ、この尿素結合にさらに分子末端のイソシアネート基が反応し、ビューレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等である。これらの1種ないし2種以上の骨格構造を適宜採用することにより、接着剤物性を調整することができる。なお、分子鎖中にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を生じ、このアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
ポリイソシアネートプレポリマーの具体例としては、たとえば、ポリオールに過剰のイソシアネートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、かつ、分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−14287号公報に開示されているような、ポリイソシアネートにポリエステルポリオールとポリブタジエン骨格を有するポリオールとを任意の順序で加えて付加反応させて得られたポリエステル骨格とポリブタジエン骨格とがウレタン結合により結合された構造を有し、かつ、分子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレポリマー、あるいは、特開平2−305882号公報に開示されているような、ポリカーボネート系ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリカーボネート系ウレタンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレポリマー等が挙げられる。
また、湿気硬化型ホットメルト接着剤としては、上記した各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、各種物性を調節するために、上記した必須反応成分に、必要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填剤等の各種副材料を添加することもできる。これらの副材料としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エチルアクリレート(EAA)、エチレン−メタクリレート(EMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等の熱可塑性樹脂、テルペン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤等である。
前記接着剤層3の塗布量は、固形分として概ね10〜60g/m2、好ましくは25〜50g/m2である。
次に、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を有する化粧シート2について説明する。図2は本発明にかかる床材を構成する化粧シートの第1実施形態を図解的に示す層構成図であって、化粧シート2は合成樹脂製シート基材22の少なくとも一方の面にプライマー層5’を設け、該プライマー層5’上にベタ柄印刷層8’、絵柄印刷層8を順に印刷形成し、さらに前記絵柄印刷層8側の面全面に前記接着剤層3で説明した、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤で形成した接着剤層3’を設けると共に該接着剤層3’上に、Tダイ押出機で加熱溶融押出しして合成樹脂製透明層22’を設け、その後に前記合成樹脂製透明層22’面にプライマー層5を設けると共に該プライマー層5上に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層21を形成した化粧シート2’からなるものである。この化粧シート2’は前記合成樹脂製シート基材22と前記複合材4(図1参照)の前記樹脂含浸紙硬化層41とが前記接着剤層3を介して積層されて床材1となる。前記合成樹脂製シート基材22は、一般的には着色シートが用いられるが、無着色シートであってもよいものである。
図3は本発明にかかる床材を構成する化粧シートの第2実施形態を図解的に示す層構成図であって、化粧シート2は図2に示した第1実施形態の化粧シート2’の前記合成樹脂製シート基材22の他方の面に、前記接着剤層3で説明した、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤で形成した接着剤層3”を介してバッカー材9を積層した化粧シート2”からなるものであって、これ以外は図2に示した第1実施形態の化粧シート2’と同じ構成である。この化粧シート2”は前記バッカー材9と前記複合材4(図1参照)の前記樹脂含浸紙硬化層41とが前記接着剤層3を介して積層されて床材1となる。
また、図2、3に示した第1、第2実施形態の化粧シート2’、2”は、図示はしないが、表面保護層21側からエンボス加工を施して模様を形成したものであってもよいものである。前記模様としては、たとえば、導管溝、石板表面凹凹凸、鏡面等である。
次に、前記化粧シート2(2’、2”)を構成する諸材料について説明する。前記合成樹脂製シート基材22および前記合成樹脂製透明層22’としては、加工性に優れ、焼却時に有害なガスを発生しないことなどから、飽和ポリエステル樹脂や低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂を挙げることができるが、比較的安価であるなどからオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。前記合成樹脂製シート基材22は未延伸の状態、あるいは、一軸ないし二軸方向に延伸した状態のいずれであってもよいものである。また、前記合成樹脂製透明層22’は、Tダイ押出機を用いた加熱溶融押出し層に限るものではなく、予めシート成形されたものを用いて形成してもよく、この場合は前記合成樹脂製シート基材22と同様に未延伸の状態、あるいは、一軸ないし二軸方向に延伸した状態のいずれであってもよいものである。前記合成樹脂製シート基材22および前記合成樹脂製透明層22’の厚さとしては概ね60〜300μm程度である。また、前記合成樹脂製シート基材22および前記合成樹脂製透明層22’は必要に応じて必要な面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の周知の易接着処理を施してもよいものである。
また、前記絵柄印刷層8および前記ベタ柄印刷層8’を形成するインキとしては、ビヒクルとして塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上を混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができるが、環境問題等を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上を混合した非塩素系のビヒクルが適当であり、より好ましくは、ポリエステル、イソシアネートとポリオールとからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上を混合したものである。
次に、前記表面保護層21を形成する電離放射線硬化型樹脂について説明する。電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、または、エポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマーまたはポリマーからなる。これら単量体、プレポリマーまたはポリマーは、単体で用いるか、あるいは、複数種混合して用いる。なお、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレートないしメタアクリレートの意味で用いる。また、電離放射線とは、電磁波ないし荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常は紫外線ないし電子線である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を越えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートとは共用し得るが、電離放射線での架橋速度という点ではアクリレートの方が早いため、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
上記した電離放射線硬化型樹脂を、紫外線を照射することにより硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独ないし混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独ないし混合物として用いることができる。なお、これら光重合開始剤の添加量は、一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。前記表面保護層21の形成方法としては、前記した電離放射線硬化型樹脂溶液をグラビアコート法やロールコート法等の周知の塗布方法で前記合成樹脂製透明層22’の所定の面に塗布することにより形成することができる。塗布量としては、固形分として概ね5〜200g/m2が適当であり、好ましくは15〜30g/m2である。
次に、前記プライマー層5、5’について説明する。前記プライマー層5は前記合成樹脂製透明層22’と前記表面保護層21との接着強度を向上させる目的で設けるものであり、前記プライマー層5’は前記合成樹脂製シート基材22と前記絵柄印刷層8ならびに前記ベタ柄印刷層8’との接着強度を向上させる目的で設けるものである。以下、前記プライマー層5、5’を総称してプライマー層と呼称する。このプライマー層としては、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と、(ii)イソシアネートとからなる樹脂で形成されたものである。すなわち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーにさらにジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させたものが前記プライマー層である。
前記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好ましい。前記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、前記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよいものである。共役二重結合が残っているアクリル重合体を混合することにより、前記プライマー層と接する層、たとえば、前記表面保護層21の電離放射線硬化型樹脂とアクリル重合体の共役二重結合が反応するために電離放射線硬化型樹脂との間の接着性を向上させることができる。
前記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成するものである。前記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族ないしスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物ないしその誘導体、またはエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、および、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
前記プライマー層において、前記成分Bと前記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、前記プライマー層に柔軟性を与え、前記合成樹脂製シート基材22あるいは前記合成樹脂製透明層22’との接着性に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、前記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、前記成分Bの分子量は前記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸ないしアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
前記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族ないし脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性およびコストが優れる点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基および水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、たとえば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を前記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより前記プライマー層を形成することができる。プライマー層の乾燥後の塗布量としては、1〜20g/m2であり、好ましくは1〜5g/m2である。また、このプライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、または、これらの2量体、3量体などの多量体、あるいは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。なお、図2、図3の化粧シート2(2’、2”)においては、プライマー層(図2、3上、符号5、5’で示した層)を設けた構成のものを示したが、これは、床材としての高レベルの要求に応える仕様であり、床材としての要求レベルが低い場合にはこれらプライマー層(図2、3上、符号5、5’で示した層)は必ず設けなければならないものでもない。
また、前記バッカー材9としては、昨今の環境問題を考慮してハロゲン元素を分子構造中に含まない樹脂が適当であり、たとえば、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等の樹脂からなるシート、あるいは、結晶性ポリエチレンテレフタレートシート(いわゆるC−PET)や非晶性ポリエチレンテレフタレートシート(いわゆるA−PET)、あるいは、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレートシート〔いわゆる、イーストマンケミカルカンパニー製PET−G(商品名)〕などを例示することができ、厚さとしては概ね200〜500μmが適当である。これらのシートは単層であってもよいし、複層であってもよいし、また、用いる樹脂は単独であってもよいし、混合物であってもよい。また、前記バッカー材9は必要な面に、必要に応じてコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施すことができる。
なお、今までは、表層に表面保護層21を設けた化粧シート2(2’、2”)ということで説明してきたが、本発明の床材はこれに限ることはなく、たとえば、図2、3における前記プライマー層5および/ないし前記表面保護層21を形成する前の化粧シート2(2’、2”)を前記接着剤層3を介して前記複合材4の前記樹脂含浸紙硬化層41上に積層した後に前記プライマー層5および/ないし前記表面保護層21を設けるように構成してもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
[複合材の作製]
クラフト紙(含浸基材)の紙坪量とフェノール系樹脂の含浸量を変えた樹脂含浸紙を9種類作製し、これを12mm厚さのラワン合板(5ply)の一方の面に載置すると共に両面にジュラルミン製鏡面板を配置して温度140℃、圧力7kg/cm2、加圧時間4分間の加工条件で熱圧成形して合板の一方に面に樹脂含浸紙からなる樹脂含浸紙硬化層を形成した複合材を9種類作製した。
[評価試験に供する化粧シートの作製]
両面にコロナ放電処理を施した120μm厚さのポリプロピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製:150AG3(商品名)〕の一方の面(裏面)にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア印刷法で固形分が2g/m2となるように塗布して印刷用プライマー層を形成し、該印刷用プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法でベタ柄印刷層と木目模様の絵柄印刷層を形成した。その後、前記絵柄印刷面にウレタン系接着剤を塗布した後、その上からプロピレン系樹脂を厚さ80μmとなるようにTダイ押出機で加熱溶融押出しして合成樹脂製透明層を形成した後、該合成樹脂製透明層面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア印刷法で固形分が2g/m2となるように塗布して表面保護層用プライマー層を形成し、その後に、該表面保護層用プライマー層上に電離放射線硬化型樹脂をロールコート法で塗布・乾燥して後に電子線(175KeV、5Mrad)を照射して固形分が20g/m2の表面保護層を形成した評価試験に供する化粧シートを作製した。
[評価試験に供する床材の作製]
上記で作製した9種類の複合材の前記樹脂含浸紙硬化層面にエマルジョン型接着剤〔中央理化(株)製:リカボンドBA−10L(100重量部)に対してBA−11B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で6g/尺2塗布〕を介して上記で作製した化粧シートを表面保護層が表出するようにロールラミネーター機にて貼合して評価試験に供する床材(評価床材1〜9)を作製した。
[評価試験に供する参考とする床材の作製]
12mm厚さのラワン合板(5ply)の一方の面にエマルジョン型接着剤〔中央理化(株)製:リカボンドBA−10L(100重量部)に対してBA−11B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で6g/尺2塗布〕を介して上記で作製した化粧シートを表面保護層が表出するようにロールラミネーター機にて貼合して評価試験に供する参考とする床材(参考床材)を作製した。
上記で作製した10種類の床材について、接着性評価試験1および2、静圧荷重評価試験1および2、キャスター性評価試験を行い、その結果を表1に纏めて示した。
Figure 2008081969
[評価試験方法]
1.接着性評価試験1:
9種類の複合材の樹脂含浸紙硬化層側からカッターナイフにて合板に届くまでクロス
カットを行い、樹脂含浸紙硬化層の剥離状態を評価した。
判定基準:合板および樹脂含浸紙硬化層が破壊すれば合格、合板と樹脂含浸紙硬化層
との間で剥離すれば不合格とした。
2.接着性評価試験2:
9種類の評価床材について、化粧シートを剥離し、テンシロンにて200mm/分の
速度で180度剥離にて引っ張った際の積分平均荷重値を測定した。
判定基準:積分平均荷重値が30N/25mm巾以上を合格とし、30N/25mm
巾未満を不合格とした。
3.静圧荷重評価試験1(爪押し傷の代替試験):
直径20mmφの鉄製円柱治具を45°傾けた状態で床材の表面にセットし、テンシ
ロン試験機にて50Nの荷重が加わるまで押し込み、その際の凹み深さ(単位:μm)
を測定した。凹み深さが小さい程、耐擦傷性に優れる。
判定基準:凹み深さ量が20μm以下であれば良好として○印で示し、20μm超で
あれば不良として×印で示した。
4.静圧荷重評価試験2(爪押し傷の代替試験):
直径20mmφの鉄製円柱治具を45°傾けた状態で床材の表面にセットし、テンシ
ロン試験機にて80Nの荷重が加わるまで押し込み、その際の凹み深さ(単位:μm)
を測定した。凹み深さが小さい程、耐擦傷性に優れる。
判定基準:凹み深さ量が30μm以下であれば良好として○印で示し、30μm超で
あれば不良として×印で示した。
5.キャスター性評価試験:
直径が260mmで120度間隔にポリアミド製車輪(直径が75mm、幅が25mm)を3個設けた治具に70kgの荷重を掛けて20rpmのスピードで前記治具を5分間ごとに回転方向を逆転させて1000回転させた試験を行ない、その時の床材の凹み深さ(単位:μm)を測定した。凹み深さが小さい程、耐キャスター性に優れる。
判定基準:凹み深さ量が100μm以下であれば良好として○印で示し、100μm
超であれば不良として×印で示した。
表1からも明らかなように、含浸基材の紙坪量が80g/m2以上であれば、静圧荷重評価試験1、2において優れ、床材の加工時や施工時に表面に傷や凹みが付き難い床材とすることができ、さらには、含浸基材の紙坪量を120g/m2以上とすることにより、キャスター等に荷重が掛かった場合においても表面に傷や凹みが付き難い床材とすることができ、また、樹脂の含浸比率を130%以上とすることにより、床材として求められる諸物性に優れた床材とすることができる。
本発明にかかる床材の基本的な層構成を図解的に示す図である。 本発明の床材を構成する化粧シートの第1実施形態を図解的に示す層構成図である。 本発明の床材を構成する化粧シートの第2実施形態を図解的に示す層構成図である。
符号の説明
1 床材
2,2’,2” 化粧シート
3,3’,3” 接着剤層
4 複合材
5,5’ プライマー
8 絵柄印刷層
8’ ベタ柄印刷層
9 バッカー材
21 表面保護層
22 合成樹脂製シート基材
22’ 合成樹脂製透明層
41 樹脂含浸紙硬化層
42 合板

Claims (5)

  1. 合板の一方の面に樹脂含浸紙硬化層を積層した複合材の前記樹脂含浸紙硬化層面に接着剤層と表層に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられた化粧シートとが順に積層されると共に前記樹脂含浸紙硬化層がフェノール系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を前記合板の一方の面に熱圧着して一体成型された層である床材であって、前記樹脂含浸紙の含浸基材の坪量が80g/m2以上からなり、含浸基材に対するフェノール系樹脂の含浸比率が130%以上であることを特徴とする床材。
  2. 前記化粧シートが合成樹脂製シート基材からなることを特徴とする請求項1記載の床材。
  3. 前記合成樹脂製シート基材がオレフィン系熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項2記載の床材。
  4. 前記表面保護層が前記合成樹脂製シート基材にアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体とイソシアネートとから形成されたプライマー層を介して形成されていることを特徴とする請求項2、3のいずれかに記載の床材。
  5. 前記合板の他方の面にフェノール系樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を熱圧着して一体成形した樹脂含浸紙硬化層が積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床材。
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