JP2013072186A - 床用化粧材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低比重木質基材を使用した場合においても優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材の製造方法を提供する。
【解決手段】比重が0.55g/cm以下である木質基材上に、樹脂含浸紙及び化粧シートが順に積層された床用化粧材の製造方法であって、
(1) 原紙に熱硬化性樹脂を含浸させた未硬化の樹脂含浸紙を、熱圧成形によって熱硬化させる工程1、及び
(2) 前記木質基材上に、前記工程1で得られた樹脂含浸紙、及び化粧シートを積層する工程2、
を含む、床用化粧材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、低比重木質基材を使用した場合においても優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材の製造方法に関する。
従来、家屋の床用化粧材(例えば、フロア用台板)に用いられる木質系化粧板としては、良質な原木から得られる木質基材(例えば、広葉樹のラワン合板)の上面に接着剤を介して、天然木の意匠を有する化粧シートを貼着したものが知られている。
木質基材としては、上記広葉樹のラワンが多用されているが、近年、天然資源の窮乏、木材伐採制限等により原木が入手し難く、材料不足が進んでいる。この問題は、特にラワン等の広葉樹にとって深刻である。そのため、ラワン合板に代えて使用できる木質基材の開発が進められている。ラワン代替材料としては、針葉樹合板、早成樹合板(植林木合板)等が用いられている。
これらの合板は、ラワン合板と比べると低比重であることから剛性度が低くなり、硬度が不足して耐傷付性に劣る。また、外観品質にも劣るため、表面に、木質系廃材から分離した木質繊維又は木質片を接着剤により成形・固化してなる木質板(例えば、中密度木質繊維板:MDF、高密度木質繊維板:HDF、パーティクルボード:PB等)を張り合わせた複層台板として使用されるのが一般的である。
しかしながら、上記複層台板は、表面に積層される木質板の1%含水率変化当たりの寸法変化量が、下層の合板より大きく、周囲環境の変化に応じて寸法変化し易い。このため、複層台板の上層と下層とで寸法変化の度合いが異なり、これに起因して、複層台板に反りや引き曲がり、目隙、突き上げ等を生じさせるという問題があった。特に、上述したラワン代替材料は、低比重であるので剛性度が低いため、形状を保持し難く、表面に積層される木質板の寸法変化に追従し易い。このため、上記複層台板は、特に反りや引き曲がりを発生し易い。
また、ラワン代替材料として用いられる針葉樹合板、早成樹合板等の合板には、早材の部分と晩材の部分とが存在し、これらの比重差が大きい。このため、複層台板として加工する際に、木質板と合板とを積層して圧力をかけた場合、合板の早材と晩材とで圧縮変形度合いが異なり、複層台板の表面に凹凸を生じ易い。
また、表面に含浸紙を貼り合わせることも検討されているが、木質基材が低比重であれば、耐傷性能(特に耐衝撃性)が不足するという問題がある。この耐傷性能を向上させるために樹脂含浸紙を厚くしすぎると、樹脂含浸紙における樹脂の熱硬化時に発生する硬化収縮により、剛性が小さい低比重基材に反りが発生する場合がある。
特開2008−81969号公報 特開2008−81972号公報
本発明は、低比重木質基材を使用した場合においても優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、床用化粧材の製造方法として、特定の工程を含む場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の床用化粧材に関する。
1. 比重が0.55g/cm以下である木質基材上に、樹脂含浸紙及び化粧シートが順に積層された床用化粧材の製造方法であって、
(1) 原紙に熱硬化性樹脂を含浸させた未硬化の樹脂含浸紙を、熱圧成形によって熱硬化させる工程1、及び
(2) 前記木質基材上に、前記工程1で得られた樹脂含浸紙、及び化粧シートを積層する工程2、
を含む、床用化粧材の製造方法。
2. 前記化粧シートの最下層に合成樹脂層を有する、上記項1に記載の製造方法。
3. 前記樹脂含浸紙の樹脂含浸率が30〜100%である、上記項1又は2に記載の製造方法。
4. 前記木質基材が、早成樹合板又は針葉樹合板である、上記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
上記特徴を有する本発明の床用化粧材の製造方法によれば、事前に熱圧成形された樹脂含浸紙を用いるため、低比重木質基材を使用した場合においても優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材を得ることができる。
以下、本発明の床用化粧材の製造方法について詳細に説明する。
工程1
工程1では、原紙に熱硬化性樹脂を含浸させた未硬化の樹脂含浸紙(樹脂含浸紙A)を熱圧成形によって熱硬化させる。これにより、熱硬化後の樹脂含浸紙を使用できるとともに、樹脂を熱硬化させた場合に発生する樹脂含浸紙の硬化収縮が木質基材に対して影響を及ぼすことを回避することができる。そのため、優れた耐傷性能を有し、且つ、反り等の寸法安定性に優れた床用化粧材を作製することができる。
樹脂含浸紙に用いる含浸用原紙としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等の紙基材や綿布、又は各種素材からなる織布や不織布等の布基材を挙げることができる。
含浸用原紙の紙坪量は特に限定されないが、比重が0.55g/cm以下という低比重の木質基材に耐傷性能を付与するとの観点から、300〜900g/mが好ましい。
樹脂含浸紙を構成する樹脂として、熱硬化性樹脂を使用する。具体的には、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。上記樹脂には必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、または、重合促進剤を添加して用いる。たとえば、硬化剤としては、イソシアネートまたは有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加され、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加され、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂には添加される。また、上記列挙した樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物(接着剤等)も使用できる。例えば、フェノール樹脂を主成分とする樹脂組成物(接着剤等)であれば、主成分のみを特定してフェノール系樹脂とも略記できる。
含浸用原紙に樹脂を含浸させて未硬化の樹脂含浸紙を得る方法としては、溶液化した樹脂を浸漬法、ロールコート法、グラビアコート法等の周知の両面ないし片面塗布により含浸させると共に乾燥させればよい。
未硬化の樹脂含浸紙は、樹脂含浸率に関して特に限定されないが、30〜100%であることが好ましい。樹脂含浸率が30〜100%であることにより、熱硬化後の樹脂含浸紙には化粧シートを貼り合わせるための接着剤と強固に接着できる程度に紙質部分が残っており、結果として化粧シートと強固に接着することができる。また、樹脂含浸率が30〜100%であることは、熱硬化後の樹脂含浸紙が優れた層間強度を有するという観点からも好ましい。なお、樹脂含浸率とは、単位紙坪量(g/m)に対する樹脂の重量(g)の割合を示す。具体的には、紙坪量が100g/mである原紙に対して樹脂50gを含浸した樹脂含浸紙は、樹脂含浸率50%(=[50g]÷[100g/m]×100)の樹脂含浸紙と表すことができる。
熱圧成形は、熱圧プレス機によって行うことができる。温度、圧力、時間等については、樹脂含浸紙に含まれる熱硬化性樹脂が完全に硬化するように行えば特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、未硬化の樹脂含浸紙に含まれる樹脂がフェノール系樹脂であって、温度140℃で圧力7kg/cmで熱圧成形する場合は、4分間程度で熱圧成形を完了することができる。
工程2
工程2では、木質基材上に、前記工程1で得られた樹脂含浸紙(樹脂含浸紙A)、及び化粧シートを積層する。これにより、優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材を得ることができる。以下、木質基材、化粧シート及び積層方法について詳細に説明する。
≪木質基材≫
木質基材としては、比重が0.55g/cm以下という低比重木質基材(以下、単に木質基材ともいう)を用いる。
木質基材の材質としては、ラワン代替材料(従来のラワン合板等に置き換わる材料)を用いることが好ましい。具体的には、針葉樹合板及び/又は早成樹合板を用いることが好ましい。上記早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。また、上記針葉樹としては、椴松、唐松等が挙げられる。中でも、ファルカタを用いることが好ましい。
また、木質基材は、床用化粧材中に一層だけ存在していてもよいし、二層以上を積層させたものであってもよい。中でも、複数の単板を貼り合わせた、3〜7層からなる木質基材が好ましい。
木質基材は、1種又は2種以上の材質を組み合わせて用いることができる。
木質基材の裏面には、樹脂含浸紙(樹脂含浸紙B)を設けてもよい。樹脂含浸紙Bを設けることによって、床用化粧材全体としての反りをより抑えることができる。なお、樹脂含浸紙Bとしては、上述の樹脂含浸紙Aと同様のものを使用することができる。
樹脂含浸紙Bを木質基材の裏面側に積層する方法は、後述する樹脂含浸紙Aを木質基材に積層する方法と同様である。また、樹脂含浸紙Bを木質基材に積層する際に接着剤を使用する場合、後述する木質基材と樹脂含浸紙Aとを接着させる接着剤と同様のものを使用することができる。
木質基材又は樹脂含浸紙Bの裏面には、防湿フィルムを設けてもよい。防湿フィルムは、温度40℃、湿度90%における透湿度が7g/m・24時間以下のものが好ましく、透湿度が5g/m・24時間以下のものがさらに好ましい。
防湿フィルムは特に限定されず、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のエステル系熱可塑性樹脂などの合成樹脂製フィルムが使用できる。この中でも、特に少なくとも合成樹脂製基材層と蒸着層とを有するものが好ましい。以下、この態様について例示して説明する。
合成樹脂製基材層としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等のエステル系熱可塑性樹脂;ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂;ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
合成樹脂製基材層は、一軸又は二軸方向に延伸したシートであっても、未延伸であってもよい。合成樹脂製基材層は、更に蒸着層が積層されることが好ましく、蒸着層が形成される基材としての位置付けから、機械的強度が強く、寸法安定性に優れるなどの理由から二軸方向に延伸したシートが好ましい。合成樹脂製基材層の厚さは、概ね9〜25μmが適当である。
蒸着層としては、アルミニウムに代表される金属薄膜からなる無機物の蒸着層、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムに代表される無機酸化物薄膜からなる無機酸化物蒸着層が挙げられる。蒸着層は、真空蒸着法、プラズマ活性化化学反応蒸着法等の周知の蒸着法で、合成樹脂製基材層に形成される。より好ましくは、蒸着層が透明である無機酸化物蒸着層である。
蒸着層のガスバリア性を一層向上させる目的で、蒸着層上に表面コート層を設けてもよい。表面コート層としては、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。また、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更にゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下でゾルゲル法によって重縮合して調製される組成物が挙げられる。また、ポリビニルアルコール及びエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせることによって、ガスバリア性、耐水性、耐候性などが著しく向上する。上記組成物にはシランカップリング剤等を添加してもよい。これらの樹脂又は組成物を蒸着層上にロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布することにより表面コート層が得られる。表面コート層は蒸着層の保護層としても機能し、その厚さは概ね1〜10μmが適当である。
上記合成樹脂製基材層及び/又は上記表面コート層は、必要に応じて、コロナ処理等の表面処理を施すことができる。このような表面処理によって、更に隣接層との接着強度を高めることができる。
本発明では、合成樹脂製基材層と蒸着層との間、並びに防湿フィルムの片面又は両面に更にプライマー層を設けてもよい。従って、防湿フィルムの好適な態様は、例えば、「合成樹脂製基材層/プライマー層/蒸着層/表面コート層」の態様であり、更に、当該防湿フィルムの片面又は両面にプライマー層を設けた態様でも良い。
これらのプライマー層は、合成樹脂製基材層と蒸着層との密着性を高めるためや、防湿フィルムを他の層に積層する際の密着性を高めるために設ける。
このようなプライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行える。
この中でも、プライマー層は、(i)アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体と(ii)イソシアネートとから形成するのが好ましい。即ち、(i)のアクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール成分(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーとなし、該プレポリマーに更にジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られるものである。この反応によりポリエステルウレタンが形成されると共にアクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有するアクリル−ポリエステルウレタン共重合体が形成される。このアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の末端の水酸基を(ii)のイソシアネートと反応させて硬化させて形成する。
上記成分Aは、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。具体的には、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させるのが容易である点から好ましい。上記成分Aは、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000(重量平均分子量)のものが耐候性、接着性が特に良好であるために好ましく用いられる。また、上記成分Aは、両末端に水酸基を有するもののみを用いてもよいが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いてもよい。
上記成分Bは、ジイソシアネートと反応してポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。上記成分Bは、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び、環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等を挙げることができる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンテンジオール等の短鎖ジオール;1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族短鎖ジオール等を挙げることができる。また、二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としてアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンテンジオール及び1,4−シクロへキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
上記プライマー層において、上記成分Bと上記成分Cとが反応して形成されるウレタン樹脂成分は、上記プライマー層に柔軟性を与え、接着性向上に寄与する。また、アクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、上記プライマー層において耐候性および耐ブロッキング性に寄与する。ウレタン樹脂において、上記成分Bの分子量は上記プライマー層に柔軟性を十分に発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオール及び1,4−シクロへキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000(重量平均分子量)が好ましい。
上記成分Cは、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4’−シクロヘキシルジイソシアネート等を挙げることができる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性及びコストの点で好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合のアクリル重合体、ポリエステルポリオールおよび後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合もある)と、イソシアネート基の当量比はイソシアネート基が過剰となるようにする。
上記の三成分A、B、Cを60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基がポリエステルポリオール末端の水酸基と反応してポリエステルウレタン樹脂成分が形成されると共にアクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤として、例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを加えてイソシアネート基を上記鎖延長剤と反応させ、鎖延長することでアクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体を得ることができる。
(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体に、(ii)のイソシアネートを加えると共に、塗布法、乾燥後の塗布量を考慮して必要な粘度に調節した塗布液となし、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより上記プライマー層を形成すればよいものである。また、(ii)のイソシアネートとしては、(i)のアクリル−ポリエステルウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであればよく、たとえば、2価以上の脂肪族ないし芳香族イソシアネートが使用でき、特に熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、これらの2量体、3量体などの多量体、或いは、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)のようなポリイソシアネートなどを挙げることができる。
なお、上記プライマー層の乾燥後の塗布量としては、1〜20g/mであり、好ましくは1〜5g/mである。また、上記プライマー層は、必要に応じてシリカ粉末などの充填剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加した層としてもよいものである。
防湿フィルムを木質基材又は樹脂含浸紙Bの上に積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
≪化粧シート≫
化粧シートの構造は限定的ではないが、例えば、基材シート上に絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、透明性樹脂層及び表面保護層を順に有するものが好ましい。以下、この化粧シートを例示的に説明する。
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。
基材シートの厚さは、20〜300μm程度が好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
絵柄層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
絵柄層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点から、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
透明性樹脂層は、透明性の樹脂層であれば特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
透明性樹脂層は、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄層で用いる顔料又は染料が使用できる。
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
表面保護層(透明性表面保護層)は、化粧シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。溶液の塗布量としては、固形分として概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜80重量部程度である。
各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄層(ベタインキ層、柄インキ層)を順に印刷により形成後、絵柄層上に2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法、Tダイ押出し法等で積層し、さらに表面保護層を形成する方法により行える。
透明性樹脂層側や表面保護層側からエンボス加工を施すことにより凹凸模様を形成してもよい。凹凸模様は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸模様としては、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
上記化粧シートは、最下層(木質基材と接着する最裏面層)に厚さ100μm以上の合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を有していてもよい。なお、バッカー層は、床用化粧材において衝撃吸収等を目的とした緩衝層を意味する。バッカー層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。バッカー層の厚さの上限は限定的ではないが、600μmが適当である。好ましいバッカー層の厚さは200〜400μmである。なお、バッカー層は、2層以上の積層体であってもよい。
バッカー層の形成方法は、特に限定されない。例えば、溶融樹脂の押出しによって容易に形成できる。また、例えば、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤等を用いて周知のドライラミネーション法で形成することもできる。
バッカー層の形成方法として同時押出し法を用いる場合には、積層体からなるバッカー層も容易に形成できる。同時押出し製膜には、例えば、マルチマニホールドタイプやフィードブロックタイプのTダイを使用できる。
≪積層方法≫
木質基材上に、前記工程1で得られた樹脂含浸紙(樹脂含浸紙A)、及び化粧シートを積層する。
木質基材上に樹脂含浸紙(樹脂含浸紙A)を積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、フェノール等を有効成分とする水系(水系エマルジョン)接着剤;フェノール、メラミン、尿素等の熱硬化型接着剤、などが挙げられる。なかでも、水系接着剤を使用する場合、冷圧プレス成型にて貼り合わせることによって接着剤の硬化収縮を抑制することが可能となり、その結果、反り等の寸法安定性はより安定させることができるので、好ましい。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
樹脂含浸紙(樹脂含浸紙A)上に化粧シートを積層する際は、公知の接着剤が使用できる。接着剤としては、例えば、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする水系(水系エマルジョン)接着剤;PUR等の反応性ホットメルト系接着剤、などの接着剤が挙げられる。特に、水系接着剤を使用した場合、本発明では樹脂含浸率が30〜100%である樹脂含浸紙を使用するため、水系接着剤中の水分は床用化粧材の側面側だけでなく樹脂含浸紙面側からも蒸発乾燥することができる。そのため、好適に水系接着剤を使用することができる。
2液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用する場合、前記ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等を挙げることができ、イソシアネート成分としては、TDI、MDI、HDI、PIDI、XDI等のジイソシアネートおよびこれらを出発原料とする変性体を挙げることができる。塗布量や作業性および作業環境を考慮すると、エマルジョンタイプの硬化型接着剤が好ましく、湿気硬化型ホットメルト接着剤がより好ましい。
接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1〜50μm程度が好ましい。
本発明の床用化粧材
本発明の製造方法によって得られた床用化粧材は、比重が0.55g/cm以下である木質基材上に、樹脂含浸紙及び化粧シートが順に積層されている。樹脂含浸紙は、事前に熱圧成形された樹脂含浸紙を用いるため、比重が0.55g/cm以下という低比重木質基材を使用した場合においても優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材が得られる。
本発明の床用化粧材は、各種建築物の床面に施工する床用化粧材及び特殊用途として床暖房用途に用いる床用化粧材として適している。
本発明の床用化粧材の製造方法によれば、事前に熱圧成形された樹脂含浸紙を用いるため、低比重木質基材を使用した場合においても優れた耐傷性能(耐キャスター性及び耐衝撃性)を有し、且つ、表面外観品質及び寸法安定性に優れた床用化粧材を得ることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
≪化粧シートの作製≫
両面にコロナ放電処理を施した60μm厚さのポリプロピレンフィルムの一方の面に2液硬化型アクリルウレタン樹脂からなる印刷インキで2μm厚さの絵柄印刷層を形成した。次に、当該絵柄印刷層の上に、ウレタン樹脂系接着剤を固形分量が3g/mとなるように塗布して、接着剤層を形成した。当該接着剤層上に、Tダイ押出機でポリプロピレン系樹脂を加熱溶融押出しして80μm厚さの透明性樹脂層を形成した。次に、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、当該コロナ放電処理を行った面に対して、固形分量が1g/mとなるようにアクリルウレタン系樹脂を塗工することによりプライマー層を形成した。
当該プライマー層表面に対して、固形分量が15g/mとなるようにウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂をロールコート法により塗布し、次いで酸素濃度200ppm以下の環境下において電子線照射装置を用いて、加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して硬化させることで表面保護層を形成した。次に、当該表面保護層側からエンボス加工により深さ30μmの木目導管柄の凹凸模様を形成することにより化粧シート(総厚さ:160μm)を作製した。
≪床用化粧材の作製≫
紙坪量が500g/mであるクラフト紙(含浸用原紙)に対してフェノール系樹脂を含浸させた未硬化の樹脂含浸紙(樹脂含浸率:50%)に対し、熱圧プレス機にて140℃、7kg/cm、4分間の条件にて熱圧成形した。これにより、樹脂含浸紙に含まれるフェノール系樹脂が熱硬化した。
11.4mm厚のファルカタ合板上に、水系接着剤(BA−10L/BA−11B、中央理化工業株式会社製)を介して熱硬化した樹脂含浸紙を貼り合わせた。
次いで、当該樹脂含浸紙上に、水系接着剤(BA−10L/BA−11B、中央理化工業株式会社製)を介して化粧シートを貼り合わせた。なお、化粧シートは、当該化粧シートのポリプロピレンフィルムが接着剤と接するようにして貼り合わされた。これにより、床加工ラインにて幅303mm×長さ1818mmの床用化粧材を作製した。
実施例2
未硬化の樹脂含浸紙として、原紙の紙坪量が900g/mで樹脂含浸率が50%である未硬化の樹脂含浸紙を用いる以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
実施例3
実施例1によって得られた化粧シートの裏面(ポリプロピレンフィルム面)に、ウレタン樹脂系接着剤を介して250μmのポリプロピレン系樹脂フィルム(PP)を貼り合わせ、これを化粧シート(総厚さ:410μm)として用いた。その他については、実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
実施例4
未硬化の樹脂含浸紙として、原紙の紙坪量が500g/mで樹脂含浸率が100%である未硬化の樹脂含浸紙を用いる以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
比較例1
11.4mm厚のファルカタ合板にフェノール系接着剤を10g/尺角塗布し、さらにその上に、原紙の紙坪量が900g/mであって、フェノール系樹脂を含浸させた未硬化の樹脂含浸紙(樹脂含浸率:50%)を置き、熱圧プレス機にて140℃、7kg/cm、4分間の条件にて熱圧成形した。その他については、実施例1と同様にして床用化粧材を作製した。
試験例1(耐キャスター性評価試験)
実施例1〜4及び比較例1で作製した床用化粧材を、以下の手順によって評価した。即ち、双輪式キャスターに25kgの荷重を加えて、試験体表面を25000回往復させた後の表面の凹み深さを評価した。評価基準は次の通りとした。
○:凹み深さが100μm以下
×:凹み深さが100μmよりも大きい
試験例2(耐衝撃性評価試験)
JIS K5600のデュポン衝撃試験に従って、実施例1〜4及び比較例1で作製した床用化粧材の表面上に、半径6.35mmの半球形状の先端を有した撃ち型を静置させ、前記撃ち型上に500g荷重のおもりを高さ30cmから落下させることにより評価した。評価基準は次の通りとした。なお、△評価及び○評価を合格と判断した。
○:凹み深さが300μm以下
△:凹み深さが300μmよりも大きく、400μm以下
×:凹み深さが400μmよりも大きい
試験例3(反り量評価試験)
実施例1〜4及び比較例1で作製した床用化粧材の経時的な変形(反り量)を測定した。詳細には、各床用化粧材をフロア用として施行を完成させた後の反り矢高量を測定した。評価基準は次の通りとした。なお、△評価及び○評価を合格と判断した。
○:長手方向の反り量が10mm以下
△:長手方向の反り量が10mmよりも大きく、15mm以下
×:長手方向の反り量が15mmよりも大きい
結果を表1に示す。なお、耐キャスター性評価と耐衝撃性評価を合わせた耐傷総合評価を、併せて表1に示す。耐傷総合評価の評価基準は、以下の次の通りとした。なお、△評価及び○評価を合格と判断した。
○:耐キャスター性評価、耐衝撃性評価のいずれも○評価
△:耐キャスター性評価が○評価で、かつ耐衝撃性評価が△評価
×:耐キャスター性評価、耐衝撃性評価の少なくとも一つが×評価
Figure 2013072186

Claims (4)

  1. 比重が0.55g/cm以下である木質基材上に、樹脂含浸紙及び化粧シートが順に積層された床用化粧材の製造方法であって、
    (1) 原紙に熱硬化性樹脂を含浸させた未硬化の樹脂含浸紙を、熱圧成形によって熱硬化させる工程1、及び
    (2) 前記木質基材上に、前記工程1で得られた樹脂含浸紙、及び化粧シートを積層する工程2、
    を含む、床用化粧材の製造方法。
  2. 前記化粧シートの最下層に合成樹脂層を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記樹脂含浸紙の樹脂含浸率が30〜100%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記木質基材が、早成樹合板又は針葉樹合板である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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