JP2008080618A - 繊維マットの乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿式で調製された繊維マットを、表面側繊維の毛羽立ちや部分的に炭化させることなく、短時間かつ効率よく乾燥する。
【解決手段】繊維にバインダーとしての樹脂を含浸した湿潤状態の繊維マット1を、高周波によって加熱する高周波加熱工程と、該高周波加熱工程に次いでヒーターによって加熱するヒーター加熱工程とで乾燥することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維と繊維同士を接着するバインダーとしての樹脂とからなる繊維ボードを製造するにあたり、繊維ボードの前身であってこれを熱プレスすることで所定形状の繊維ボードとなる繊維マットを、湿式で調製する際の繊維マットの乾燥方法に関する。
従来から、繊維にバインダーとしての樹脂を含浸した、いわゆる湿式で調製された繊維マットがある。これを熱プレスして所定形状の繊維ボードとするにあたっては、予め水分を飛ばして乾燥させておく必要がある。この場合、水分を多量に含んだ湿潤状態の繊維マットの乾燥は、ヒーターで繊維マットを直接加熱したり、ヒーターによって熱せられた温風を吹きかけることで、ヒーターの熱を間接的に与えて繊維マットを加熱したりすることが一般的である。このような乾燥方法を使用した技術として、例えば特許文献1がある。
しかし、ヒーターによる加熱乾燥では、繊維マットの表面側から内部に向かって熱が順次伝達されていくので、繊維マットの表面側と中心部とでは温度差が生じる。したがって、表面側の温度が乾燥するに十分な温度に加熱されていたとしても、中心部は十分に加熱されているとは限らない。この状態では、繊維マットの表面側の水分は減少しているので外見上は乾燥しているように見える。しかし、中心部には未だ水分が残存しており、中心部の繊維は水分に浸った状態(繊維と繊維の隙間に水分が充満している状態)となっている。そのため、繊維マットの中心部も十分に乾燥させるためさらに加熱を続けると、表面側は必要以上に加熱された状態となって、表面側の繊維が毛羽立ったり傷んだりしてしまう問題がある。また、ヒーター加熱では、一定温度まで加熱するには長時間を要する。
そこで、繊維マット用ではないが、ヒーターの表面側からの加熱に加えて、高周波加熱による乾燥を併用した技術として特許文献2がある。特許文献2の乾燥対象物は、フィラメントワインディングを成形するための、炭素繊維に樹脂を含浸させたロービングである。高周波による加熱は、高周波が対象物を通過するとき、分子の熱運動が活発化されることで対象物が昇温する原理である。したがって、高周波加熱よれば、表面側、中心部とを問わず対象物全体を均等に加熱することができる。これによれば、樹脂を含浸させたロービングを電気ヒーターによって表面側から加熱し、同時に高周波によって中心部側からも加熱しているので、ロービングを全体的に加熱することができ、表面側の繊維の毛羽立ちなどを回避している。
特開2003−285305号公報 特開平5−329944号公報
ところで、高周波加熱は分子に直接作用するので、短時間で対象物を加熱(昇温)できる。一方、ヒーター加熱は、熱の伝達による加熱なので、対象物の昇温速度は遅い。したがって、特許文献2のように高周波加熱とヒーター加熱とを同時に併用しても、乾燥が始まる温度に達するのは大部分が高周波加熱による影響であり、その間のヒーター加熱による影響は殆ど無いに等しい。これでは、乾燥が始まる温度に達するまでのヒーター加熱のエネルギーの浪費となり、エネルギーコスト高の原因となってしまう。なお、ここでの乾燥が始まる温度とは、水分が常温又はそれより若干高い温度において僅かずつ蒸発する乾燥ではなく、ある程度温度が上昇し蒸発量が多くなって乾燥速度が大幅にアップする温度をいう。
また、高周波加熱は中心部と表面側とを一様に加熱することになるので、ヒーター加熱と高周波加熱とを併用すると、対象物の中心部は主に高周波によって加熱されるが、対象物の表面側は高周波とヒーターとによって加熱されることになる。これでは、対象物の表面側が過剰に加熱されることになり、結果として表面側の繊維の毛羽立ちや傷みなどを招来する結果となりかねない。
そこで、高周波加熱のみで乾燥することも考えられるが、上述のように高周波加熱は分子に直接作用して熱運動を活発化させる原理であるから、高周波に長時間曝すと対象物は上限無く加熱されていく。とくに繊維マットの場合、水分含有率が高く繊維が水分に浸っている状態では、繊維マットは全体的に均等に加熱されていくが、ある程度水分が蒸発して繊維の形状が現出してくると、水分は繊維同士の交絡部分に付着した状態で存在する。そして、繊維マットにおける繊維量(目付け)は、厳密には繊維マット全体において一様ではなく部分的に異なっている。したがって、ある程度水分が蒸発して繊維の形状が現出してくると、繊維量の多い部分には水分も多く残存しているが、繊維量の少ない部分には水分の残存量も少なくなっている。この状態において高周波により加熱していくと、水分の多い部分は水分の蒸発が促進されるが、水分が少なく蒸発し切った部分は、繊維自体が過剰に加熱されることになって繊維の炭化が始まってしまう。これでは、せっかく繊維マットの水分含有率を短時間で低減できたとしても、最終的に水分含有率がゼロに近づいたとき、繊維マットに炭化した部分が発生してしまうことがあり、製品不良となる。つまり、高周波加熱のみで乾燥する場合は、乾燥時間を短縮できる反面、ある程度水分が蒸発した後の繊維マットの品質の管理制御は極めて困難であり、部分的に炭化させることなくほぼ完全に乾燥させることは不可能に近い。
これに対し、ヒーター加熱の場合は加熱に時間がかかるものの、長時間これに曝していても繊維マットがヒーターの設定温度を大幅に超えた温度に達することはなく、部分的に炭化するなどの不都合は無い。したがって、ヒーター加熱は繊維マットの品質を保ちなが水分含有量の制御が容易であり、ほぼ完全に繊維マットを乾燥させるには高周波加熱よりもヒーター加熱の方がむしろ好ましい。
本発明者は、上記のような事情に鑑みて鋭意検討の結果、初期段階では高周波加熱のみを使用し、ある程度乾燥させた後はヒーター加熱のみに切り替えれば、繊維マット不良を発生させることなく乾燥時間を短縮でき、かつ効率的にエネルギーを使用してコスト削減も達成できるのではと考え、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、湿式で調製された繊維マットを、表面側繊維の毛羽立ちや部分的に炭化させることなく、短時間かつ効率よく乾燥することにある。
上記課題を解決するための手段として、本発明に係る繊維マットの乾燥方法は、繊維にバインダーとしての樹脂を含浸した湿潤状態の繊維マットを、高周波によって加熱する高周波加熱工程と、該高周波加熱工程に次いでヒーターによって加熱するヒーター加熱工程とで乾燥することを特徴とする。ここでのヒーター加熱とは、ヒーターを繊維マットに近接してヒーターの熱を繊維マットに直接作用させる場合のほか、ヒーターによって熱せられた温風を繊維マットに吹き付けて乾燥する、間接的なヒーター加熱も含む概念である。
このとき、高周波加熱工程とヒーター加熱工程とは1つのハウジング内で連続して行い、該両加熱工程中はハウジング内を通気していることが好ましい。
本発明によれば、繊維にバインダーとしての樹脂を含浸した湿潤状態の繊維マットを、初期段階では高周波のみによって加熱している。これによれば、繊維マット全体を均等にしかも短時間で加熱することができ、迅速かつ効率的にある程度の水分を蒸発させることができる。もちろん、繊維マットにおいて表面側と中心部との温度差が生じることもない。したがって、表面側の繊維のみが必要以上に加熱されることがなく、毛羽立ちの問題も回避することができる。また、このときヒーター加熱は利用していないので、消費エネルギーを低減できる。高周波加熱はある程度水分を蒸発させるための工程なので、繊維マットの温度が上昇し過ぎたり、部分的に炭化が進行するなどの問題も回避できる。高周波加熱工程では、厳密な水分含有量の調整も不要である。
そして、ある程度繊維マットが乾燥されたところで、その後はヒーター加熱のみに切り替えている。ここでのヒーター加熱では、温度の低い状態から乾燥が始まる温度まで加熱する必要はなく、最低限の水分を蒸発させるだけでよいので、ヒーター加熱だけの乾燥方法と比べて大幅に時間短縮ができる。また、繊維を炭化させることなく残存している水分を蒸発し切ることができる。ヒーター加熱では繊維マットが表面側から加熱されることになるが、先の高周波加熱工程によって中心部も乾燥が始まるに十分な温度に加熱されているので、表面側の水分が蒸発してもここに中心部からの水分が移動して(染み出して)くるので、表面側だけが必要以上に加熱されて繊維が傷むことはない。
このように、高周波加熱に次いでヒーター加熱を使用することで、それぞれの利点を有効に活用でき、エネルギー効率を高めてコスト削減を図ることができる。また、乾燥工程の時間短縮は、同時に生産ラインの短縮化も実現できる。
高周波加熱工程とヒーター加熱工程とを1つのハウジング内で連続して行っていれば、乾燥装置、延いては生産ラインのコンパクト化を図ることができる。このとき、両加熱工程中にハウジング内を通気していれば、ハウジング内が高湿環境となって乾燥速度が低下することを防いで、常に良好な乾燥環境を保つことができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。本発明に係る繊維マット1は、繊維にこれを接着するバインダーとしての樹脂を含浸した、いわゆる湿式で調製された繊維マットであり、乾燥させた繊維マット1を熱プレスすることで、所定形状に形成された繊維ボードを得ることができる。このとき、必要に応じて繊維マット1を複数枚積層してもよい。最終的に得られる繊維ボードは、各種車両用部材、建材、及び機器材料などとして広く適用できる。したがって、本発明に係る繊維マット1は、乾燥工程を要する湿式で調製されたものであれば、その材料、形状、寸法、密度、強度などは特に限定されることはなく、繊維ボードとして適用する際に求められる機能などに応じて適宜設定すればよい。
例えば繊維としては、木質繊維、動物繊維又は無機繊維などを使用できる。具体的には、木質繊維は木本類や草本類から採取できる繊維である。木本類としては、スギやヒノキなどの針葉樹や、シイ、柿、サクラなどの広葉樹、熱帯樹を使用することができ、草本類としては、良質の繊維が得られやすい靭皮植物が好ましく、例えばケナフ、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ワラ、バガスなどがある。また、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ、これらのパルプを原料として合成される人工の各種セルロース系繊維を使用してもよい。動物繊維としては、羊毛、山羊毛、モヘヤ、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ等のウール、シルク、ダウン、フェザーを使用できる。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などを挙げることができる。
また、バインダーとしての樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、AS樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂(PF)エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂、さらには、植物由来のリグニンなどを使用することもできる。これらの樹脂は、粉末状、短繊維状、溶媒溶液の状態などの形態で使用することができる。
次に、繊維マット1を製造する一連の工程について説明する。例えば木質繊維により繊維マット1を製造する場合を例に挙げると、先ず、微生物の作用を利用した生分解(レッティング)、高温の水蒸気を利用した蒸煮、高気圧状態から一気に大気圧まで気圧開放する爆砕、ディスクリファイナなどを用いる乾式開繊などによって木質植物の靭皮から繊維を採取する。次いで、得られた繊維をカード機やエアレイ機などで解繊してウェブを形成し、必要に応じてニードルパンチなどで繊維同士を絡ませたり、コーミングによって繊維方向を配向した後、これをプレスして帯状に連続した長尺の繊維マット1を作成する。この時点では、繊維マット1に樹脂は含浸されていない。
そして、図1によく示されるように、長尺の繊維マット1をロール状に巻いた状態から、順次無端ベルトで構成されたコンベア2上を搬送していく。ロール巻き状態から引き出された繊維マット1は、先ず水槽3の中を通される。水槽3には、粒状の樹脂を水に分散させた懸濁液、又は樹脂を有機溶媒に溶融した樹脂溶液が貯留されており、これに繊維マット1を浸漬することによって、水分及び樹脂が繊維マット1に含浸される。これが、湿式と呼ばれる所以である。繊維マット1を水槽3中の懸濁液などに浸漬するとき、攪拌ファン4によって懸濁液などを攪拌しておくと、樹脂を繊維マット1に均一に含浸させることができる。
樹脂を含浸させた湿潤状態の繊維マット1は、水槽3を出たところで、上下に配列された2つのローラー5・5の間に通して、ある程度水分を絞っておく。このとき、繊維マット1中の水分含有量が少なくとも70重量%以下、好ましくは60重量%程度になるよう、各ロール5・5間の距離を設定するとよい。その先には計量装置6が配されており、搬送される繊維マット1中の樹脂含有率を計測している。計量装置6の計測結果により繊維マット1中の樹脂含有量が低い場合は、噴霧装置7によって樹脂懸濁液又は樹脂溶液をスプレーし、必要量の樹脂を補充している。計量装置6の計測結果が求める樹脂含有量を超えていれば、樹脂を補充することなく噴霧装置7を通り過ぎていく。このように、水分や樹脂の含有量をある程度調整しながら含浸した湿潤状態で、繊維マット1を本発明に係る乾燥工程へ搬送する。
乾燥工程は、1つのハウジング10内で行われる。ハウジング10は、搬送されてきた湿潤状態の繊維マット1を受け入れる搬入口11と、乾燥された繊維マット1を次工程へ搬出する搬出口12とを有し、当該搬入口11はハウジング10における搬送方向上手側側面に、搬出口12は搬入口11と対向するハウジング10における搬送方向下手側側面に、それぞれ設けられている。また、繊維マット1の乾燥中にハウジング10内の湿度が上昇して乾燥速度が低下することを防ぐために、外気を吸気する吸気口13とハウジング10内の湿潤空気を外部へ排出する排気口14も形成されており、ハウジング10内に適量の空気を高周波発生装置20からヒーター21側へ向かって通気している。通気は、吸気口13又は排気口14の先に設けられた、送風ファンやコンプレッサー(図示せず)によって行うことができる。
空気の通気量としては、ハウジング10内の湿気を外部に排出できる最低限の流量があればよい。空気の通気量が多すぎると、高周波加熱工程において繊維マット1の表面を冷やしてしまったり、ヒーター加熱工程においてヒーターからの熱を飛ばしてしまい、逆に乾燥効率を下げる要因となるおそれがあるからである。
そして、ハウジング10の内部には、搬送方向上手側に高周波発生装置20が、搬送方向下手側にヒーター21が、それぞれ連続して配置されている。高周波発生装置20としては、コイルに通電することで高周波を発生する周知の装置を使用している。ヒーター21としては、ガスヒーターを使用した。もちろん、高周波発生装置20及びヒーター21がこれに限定されることはない。例えば高周波発生装置20としては、プラズマ反応装置に電力を供給して高周波放電を発生させる高周波発生装置やダイオードクリップ型のウィーンブリッジ発振回路を有する高周波発生装置などを使用することができる。また、ヒーター21としては、電熱ヒーターを使用してもよいし、これらのヒーター熱を利用した熱風ヒーターでもよい。
樹脂の含浸された湿潤状態の繊維マット1がハウジング10内に搬入されると、先ず高周波発生装置20によって加熱される。これが高周波加熱工程となる。この高周波加熱工程では、高周波が繊維マットを通過する際に当該高周波が分子(又は原子)に直接作用することで分子(又は原子)の熱運動を活発化して加熱される機構であり、繊維マット1は表面側及び中心部を含めて全体的に加熱される。また、高周波が水分子に直接作用するので、繊維マット1は短時間で加熱される。
高周波加熱工程の加熱時間は、ある程度乾燥させた状態を担保できれば厳密に設定する必要はない。高周波加熱工程によれば繊維マット1を短時間で効率よく乾燥できるので、当該高周波加熱工程においてできるだけ多くの水分を蒸発させたい。しかしその反面、あまり長時間加熱すると繊維マット1が部分的炭化してしまうことがある。そこで、高周波加熱工程の終期の目安としては、少なくとも繊維マット1の繊維が水に浸った状態を脱して繊維形状が現出する状態とし、最も好ましくは炭化が始まる直前までである。後述のように、繊維マット1中の水分含有量が10重量%を下回ると、部分的に炭化が発生することがある。したがって、高周波加熱工程は、少なくとも繊維マット1中の水分含有量が30重量%、好ましくは15重量%を下回るまでとし、10重量%程度まで乾燥することが最も好ましい。乾燥時間は、高周波の出力強度や搬送速度によって適宜調整すればよい。
高周波発生装置21を通過した繊維マット1は、続いてヒーター21で乾燥される。つまり、上記高周波加熱工程に次いで、ヒーター21の熱によって乾燥するヒーター加熱工程へ移行する。ヒーター加熱工程は、繊維マット1を炭化させることなく乾燥を完結させる工程としての意義を有する。ヒーター加熱は乾燥に時間がかかるが、先の高周波加熱工程にて大部分の水分を蒸発させているので、ヒーター加熱のみの乾燥と比べて大幅に乾燥時間は短縮されている。また、ヒーター加熱では、繊維マット1が表面側から熱せられる機構であるが、先の高周波加熱工程にて中心部も十分に熱せられているので、そのまま中心部の乾燥も持続し、この中心部からの水分が蒸発するときに表面側に染み出ることによって繊維マット1の表面側が必要以上に加熱されることも抑制されている。
ヒーター加熱工程での乾燥は、繊維マット1中の水分含有量が0重量%になるまで行うことが理想的ではあるが、若干の水分が残った状態でも構わない。繊維マット1中に若干量の水分が残っていても、これを熱プレスして繊維ボートとするまでの保管中に自然乾燥することもあるし、熱プレスの熱によって蒸発させることもできるからである。繊維マット1中の水分含有量を0重量%とするには、その分乾燥時間も長くなる。したがって、ヒーター加熱工程は、繊維マット1中の水分含有量が5重量%以下、好ましくは2重量%以下となるまで行えばよい。
最後に、乾燥された長尺繊維マット1を、ハウジング10の先に設置しているカッター8によって一定間隔おきに断裁することで、所定寸法に統一された繊維マット1を順次得ることができる。なお、高周波加熱工程とヒーター加熱工程は、それぞれ別々のハウジングにおいて別個独立して行っても構わない。
次に、高周波加熱によって乾燥した場合とヒーター加熱によって乾燥した場合とを比較した試験について説明する。
高周波加熱及びヒーター加熱では、同じ繊維マットを使用した。その繊維マットの条件は以下に示す通りである。
繊維 :ケナフ繊維
樹脂 :リグニン粉末
繊維目付け:720g/m2
水分含有量:61.5重量%
樹脂含有量:15.4重量%
外径寸法 :150×150mm
厚み :7mm
また、各加熱での乾燥条件は以下に示す通りである。なお、ヒーター加熱は熱風乾燥で行った。
<高周波乾燥>
目標水分含有量:5重量%以下
通気量 :3m3/min
高周波出力 :4kW
<ヒーター加熱>
目標水分含有量:5重量%以下
熱風通気量 :3m3/min
熱風温度 :124℃
上記の条件にてそれぞれ乾燥した際の、水分含有量、乾燥速度、乾燥コスト、及び乾燥効率の経時的変化をそれぞれ計測した。その結果として、高周波加熱によるデータを図2〜図5に、ヒーター加熱によるデータを図6〜図9に示す。なお、乾燥速度は、単位時間当たりの水分減少量により算出した。乾燥コストは、乾燥する際に消費したエネルギーを電力単価15円/kWhで換算して算出した。乾燥効率は、印加したエネルギーのうち、水分の乾燥に消費されたエネルギーの割合により算出した数値である。
高周波加熱による水分含有量の経時変化を示した図2と、ヒーター加熱による水分含有量の経時変化を示した図6との対比から明らかなように、高周波加熱では水分含有量を5重量%にまで乾燥するのに4分しかかかっていないことに対し、ヒーター加熱では27分を要しており、高周波加熱の方が極めて短時間で乾燥できることがわかる。
しかし、図3〜図5から明らかなように、高周波加熱は水分含有量が多い状態では、各種データにおいて高い数値を示しているが、時間経過に伴って比較的急激に性能が落ちていることがわかる。特に図3と照らして図4を見ると、高周波加熱では水分含有量が10重量%未満となると、乾燥コストが跳ね上がっている。これらの結果は、水分含有量が低くなっていくと、高周波が水分のみならず繊維や樹脂の加熱にも作用していることによるものと考えられる。これが、ある程度水分が減少すると繊維が炭化する部分が発生することの原因でもある。因みに、高周波加熱では水分含有量が10重量%未満となった時点で、炭化する部分が発生していた。これに対してヒーター加熱では、繊維マットの乾燥に長時間を要するものの、各種データの値は、経時的な変化はごく僅かであり、安定的に乾燥できていることがわかる。また、ヒーター加熱では、炭化する部分は最後まで発生していなかった。
これを踏まえて図3〜図5と図7〜図9とを対比すると、水分含有量が10重量%までは、乾燥速度、乾燥コスト、及び乾燥効率のそれぞれにおいて高周波加熱の方が優れた値を示しているが、水分含有量が10重量%未満となると、逆にヒーター加熱の方がそれぞれ優れていることがわかる。
以上の結果から総合的に判断すると、繊維マット中の水分含有量が10重量%程度までを乾燥初期、繊維マット中の水分含有量が10重量%未満を乾燥終期として分け、乾燥初期は高周波加熱によって乾燥し、乾燥終期はヒーター加熱によって乾燥することによって、製品不良を起こすことなく短時間で且つ効率的に十分乾燥できることが判明した。この乾燥方法によって、上記各試験と同様の条件にて各種データを計測した場合、理論的には図2〜図5に示される高周波加熱工程の0〜3分までの曲線と、図6〜図9に示されるヒーター加熱の25〜27分までの曲線とを繋げた状態のデータが得られる。その場合、例えば水分含有量を5重量%まで乾燥するに5分で済むことになる。
繊維マットの製造工程図である。 高周波加熱による水分含有量の経時変化を表すグラフである。 高周波加熱による乾燥速度の経時変化を表すグラフである。 高周波加熱による乾燥コストの経時変化を表すグラフである。 高周波加熱による乾燥効率の経時変化を表すグラフである。 ヒーター加熱による水分含有量の経時変化を表すグラフである。 ヒーター加熱による乾燥速度の経時変化を表すグラフである。 ヒーター加熱による乾燥コストの経時変化を表すグラフである。 ヒーター加熱による乾燥効率の経時変化を表すグラフである。
符号の説明
1 繊維マット
2 コンベア
3 水槽
4 ファン
5 ローラー
6 計量装置
7 噴霧器
8 カッター
10 ハウジング
13 吸気口
14 排気口
20 高周波発生装置
21 ヒーター

Claims (2)

  1. 繊維にバインダーとしての樹脂を含浸した湿潤状態の繊維マットを、高周波によって加熱する高周波加熱工程と、該高周波加熱工程に次いでヒーターによって加熱するヒーター加熱工程とで乾燥することを特徴とする繊維マットの乾燥方法。
  2. 前記高周波加熱工程とヒーター加熱工程とは1つのハウジング内で連続して行い、
    該両加熱工程中は、前記ハウジング内を通気していることを特徴とする請求項1に記載の繊維マットの乾燥方法。






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