JP2008074948A - オレフィン類重合用固体触媒成分、重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分、重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】立体規則性および収率を高度に維持しつつ、高細孔容量と高嵩密度の重合体を得ることのできる、特にプロピレンブロック共重合体に適したオレフィン類重合用固体触媒成分および触媒並びに重合方法を提供すること。
【解決手段】不活性有機溶媒中に懸濁させたアルコキシ含有マグネシウム化合物に、非イオン性界面活性剤及びアルコールの存在下にハロゲン化剤を接触させ、20℃から70℃まで10℃/分以上で懸濁液の温度を上昇させ固体マグネシウム成分(a)を形成させた後、電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を接触させるオレフィン類重合用固体触媒成分。
【選択図】図2

Description

本発明は、重合体の立体規則性および収率を高度に維持しつつ、高細孔容量と高嵩密度の重合体を得ることができ、特にプロピレンブロック共重合においてゴム状重合体の生成割合が高い場合であっても、重合体の嵩密度の高いオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造法に関する。
アイソタクティックポリプロピレンは、剛性および耐熱性に優れた特性を有する反面、耐衝撃性に劣るという問題があるが、このポリプロピレンの剛性を保持しながら耐衝撃性を改良するため、プロピレンとエチレンまたはその他のオレフィンとを段階的に重合させてブロック共重合体を生成させるケミカルブレンドによる方法が古くから検討されている。一般にケミカルブレンドによるブロック共重合体は、2段あるいは多段による重合で製造され、通常最初にプロピレンを重合させ、次いでエチレンとプロピレンあるいは他のオレフィンと共重合させることによって製造される。このとき耐衝撃性を向上させるため、エチレンとプロピレンの共重合により生成するゴム状重合体の割合を増加させることが行なわれているが、生成したゴム成分が重合体粒子の表面上に析出し、それにともなって重合体粒子間の付着や重合体の装置内壁への付着が生じる。このため、長期的に安定したブロック共重合体を製造することが困難である。
この問題を解決するため、特許文献1(特開平8−283329号公報)では、嵩密度が、0.25g/ml以上であるジアルコキシマグネシウム、チタンハロゲン化物および芳香族ジカルボン酸ジエステルを接触させることによって調製されることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分が開示されており、さらに特許文献1中に、ジアルコキシマグネシウムと常温で液体の芳香族炭化水素の懸濁液に、チタンハロゲン化物を接触させる際の温度から反応に至る温度までの昇温は平均昇温速度で0.5〜20℃/分範囲に設定することが記載されている。
また、特許文献2(特開2002−356507号公報)では、マグネシウム、チタンおよびハロゲン原子を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分であって、平均粒径が1〜100μm 、比表面積が100〜500m/g、細孔容積が0.3ml/g未満、かつ細孔直径100Å以下の累積細孔容積が50%より大である細孔分布を有することを特徴とするオレフィン重合用固体触媒成分が開示されている。
上記従来技術は、いずれも固体触媒成分粒子の細孔容積または細孔分布を制御しており、プロピレンとエチレンのブロック共重合に供した際、ゴム成分の比率を高くしてもプロピレン重合体中にゴム成分が高分散し、あるいは表面上のゴム成分の析出が少ないため共重合体粒子の付着性の問題がなく、かつ耐衝撃性の良好なプロピレンブロック共重合体を製造する点で優れた効果を挙げている。
プロピレンブロック共重合体においては、剛性と耐衝撃性のバランスの良好なより付加価値の高い重合体が市場で要求されており、そのためプロピレンとエチレンのブロック共重合において、2段目以降のエチレンとプロピレンの共重合により生成するゴム状重合体の割合をさらに増加させる必要がある。このような要求にこたえるためには、固体触媒成分粒子の細孔容積を増加させ、ブロック共重合の1段目のプロピレン単独重合で生成する重合体の細孔容積を増加させる必要がある。または、特許文献2に開示されている固体触媒成分は、細孔容積が比較的小さいものの、微細な1次粒子が凝集して2次粒子を形成しており100Å以下の微細な細孔が微分散しているものであるため、固体触媒成分自身の嵩密度が小さく、これを用いて得られるプロピレン重合体またはプロピレンブロック重合体の嵩密度が小さく、工業的に用いた際、生産性が低下するという問題があった。
特開平8−283329号公報(特許請求の範囲) 特開2002−356507号公報(特許請求の範囲)
すなわち、本発明の目的は、上記の従来技術に残された課題を解決するものであり、重合体の立体規則性および収率を高度に維持しつつ、高細孔容量と高嵩密度の重合体を得ることができ、特にプロピレンブロック共重合においてゴム状重合体の生成割合が高い場合であっても、高い嵩密度の重合体を得ることのできるオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒およびオレフィン類重合体の製造法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、原料であるアルコキシ含有マグネシウム化合物をハロゲン化する条件で、最終的に得られる固体触媒成分の粒子性状がほぼ決まること、さらにこのハロゲン化の際に発生する反応熱をコントロールすることによって最終的な固体触媒成分の粒子性状と触媒特性をコントロールでき、高細孔容量と高嵩密度の重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、不活性有機溶媒中に懸濁させたアルコキシ含有マグネシウム化合物に、非イオン性界面活性剤及びアルコールの存在下にハロゲン化剤を接触させ、20℃から70℃まで10℃/分以上で懸濁液の温度を上昇させ固体マグネシウム成分(a)を形成させた後、電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分を提供するものである。
また、本発明は、(A)前記オレフィン類重合用固体触媒成分、
(B)下記一般式(2);R AlQ3−p (2)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
さらに、本発明は、(A)上記オレフィン類重合用固体触媒成分、(B)上記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物および(C)外部電子供与性化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
さらにまた、本発明は、前記オレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類の重合を行なうことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法を提供するものである。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分は、重合体の立体規則性および収率を高度に維持しながら、高細孔容量と高嵩密度の重合体を得ることができ、特にプロピレンブロック共重合においてゴム状重合体の生成割合が高い場合であっても、高い嵩密度の重合体を得ることができる。従って、剛性と耐衝撃性の優れた付加価値の高い重合体を低コストで提供することが期待できる。また、オレフィンの単独重合及び共重合においても微粉重合体の生成が極めて少ないため、効率的なオレフィン重合体の製造が可能となる。
本発明で用いられるアルコキシ含有マグネシウム化合物としては、下記一般式(1);Mg X(OR2−n (1)
(式中、Xはハロゲン原子、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは0≦n<2である。)で表されるジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムクロライド、アルコキシマグネシウムブロマイド、アルコキシマグネシウムアイオダイドなどが使用できる。
上記のアルコキシ含有マグネシウム化合物の具体例としては、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロポキシマグネシウム、ジ−iso−プロポキシマグネシウム、ジ−n−ブトキシマグネシウム、ジ−iso−ブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシn−プロポキシマグネシウム、n−ブトキシエトキシマグネシウム、エトキシiso−プロポキシマグネシウム、エトキシiso−ブトキシマグネシウム、エトキシマグネシウムクロライド、エトキシマグネシウムブロマイド、エトキシマグネシウムアイオダイド、n−プロポキシマグネシウムクロライド、iso−プロポキシマグネシウムクロライド、n−ブトキシマグネシウムクロライド、iso−ブトキシマグネシウムクロライドが挙げられ、ジエトキシマグネシウム、エトキシマグネシウムクロライドが特に好ましい。これらのアルコキシ含有マグネシウム化合物は、単独あるいは2種以上併用することもできる。
上記アルコキシ含有マグネシウム化合物のうち、ジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、触媒の存在下にアルコールと反応させて得たものでもよい。触媒としては、例えば、臭化メチル、塩化メチル、臭化エチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル、塩化マグネシウム、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化物、ジエトキシマグネシウムなどのジアルコキシマグネシウム、沃素、酢酸エステルなどが使用される。この中でも特に沃素およびジエトキシマグネシウムが好ましい。金属マグネシウムとアルコールは、公知の方法で反応することができるが、好ましい接触反応方法としては、金属マグネシウムとアルコールの反応系への最終添加割合を金属マグネシウム/アルコール(重量比)=1/9〜1/15とし、前記最終添加割合の金属マグネシウムとアルコールを、アルコールの還流下であり触媒を含有する反応系に連続的または断続的に添加し、5〜80分間に亘り反応させ、次いで、アルコールの還流下に1〜30時間保持し、熟成反応を行い、ジアルコキシマグネシウム粉末を得る。触媒は反応工程の初期に添加しておくことが好ましい。
更に、ジアルコキシマグネシウムは粉末状のものが好ましく、その形状は不定形あるいは球状のものを使用し得る。例えば球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
上記の球状ジアルコキシマグネシウム粉末は、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。具体的にその粒子の形状は、長軸径lと短軸径wとの比(l/w)が3以下であり、好ましくは1から2であり、より好ましくは1から1.5である。
また、上記ジアルコキシマグネシウム粉末の平均粒径は1から200μmのものが使用し得る。好ましくは5から150μmである。球状のジアルコキシマグネシウム粉末の場合、その平均粒径は1から100μm、好ましくは5から50μmであり、更に好ましくは10から40μmである。また、その粒度分布については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。更にその粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと3以下であり、好ましくは2以下である。
上記の如き球状のジアルコキシマグネシウム粉末の製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、特開昭62−51633号公報、特開平3−74341号公報、特開平4−368391号公報、特開平8−73388号公報などに例示されている。
ハロゲン化剤としては、ハロゲン化チタン化合物、アルコキシチタンハライド、ハロゲン化シラン化合物、アルコキシシランハライド、酸モノハライド化合物、酸ジハライド化合物が挙げられる。具体的には、ハロゲン化チタン化合物としては、四塩化チタン、エトキシチタニウムトリクロライド、ジエトキシチタニウムジクロライド、エトキシシラントリクロライド、ジエトキシシランジクロライド、酸ハライド化合物としては、安息香酸クロライド、フェニル酢酸クロライド、フタル酸ジクロライド、t−ブチルクロライド、プロピオン酸クロライド、コハク酸クロライド、オキサリルクロライド、マロニルジクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゾトリクロライド、無水クロレンド酸、メタクリル酸クロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタリルクロライド、メタンスルホニルクロライド、4−メチルベンジルクロライド、モノクロロアセトアルデヒト、ラウリルクロライド等が例示される。
これらのハロゲン化剤は1種または2種以上組合せて用いることができる。これらの中でも好ましくは、四塩化チタン、安息香酸クロライド、フタル酸ジクロライド、プロピオン酸クロライド、コハク酸クロライド、オキサリルクロライドまたはマロニルジクロライドであり、また四塩化チタンとフタル酸ジクロライドなどの酸ハライドを併用することも好ましい。
不活性有機溶媒としては、常温で液体のものであり、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物、塩化メチレン、1,2−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素化合物、メタノール、エタノール、イソオクチルアルコールなどのアルコール類、ジエチルエーテルなどのエーテル類等が挙げられる。これらの中でもトルエン、キシレンなどの室温で液体の芳香族炭化水素化合物およびヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの室温で液体の飽和炭化水素が好ましく用いられる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分は、上記のアルコキシ含有マグネシウム化合物を不活性有機溶媒中に懸濁させ、これにハロゲン化剤を接触させる。このとき、懸濁液の温度を20℃から70℃まで10℃/分以上で上昇させ固体マグネシウム成分(a)を形成させる。このときの温度上昇は、アルコキシ含有マグネシウム化合物とハロゲン化剤が接触してハロゲン化反応する際に発生する反応熱により温度上昇させてもよく、またこの反応熱による温度上昇の他に外熱により懸濁液全体を加熱してもよい。ここで、懸濁液の温度上昇の範囲を20℃から70℃までとした理由は、アルコキシ含有マグネシウム化合物の大半がこの温度範囲でハロゲン化反応を起こし、最も反応熱が生じる温度範囲であり、この温度範囲で温度上昇する過程で固体触媒成分の粒子が形成させるからである。この温度範囲において、10℃/分以上という比較的早い速度で温度を上昇させることによって、従来のマグネシウム系触媒の担体粒子の性状とは異なる粒子性状を持つ粒子が形成される。温度上昇速度は、好ましくは20〜50℃/分、特に好ましくは22〜30℃/分である。
また本発明では、不活性有機溶媒中に懸濁させたアルコキシ含有マグネシウム化合物にハロゲン化剤を接触させる際、非イオン性界面活性剤を存在させることにより、結果として高い重合体の嵩密度が得られる固体触媒成分を得ることができる。
非イオン性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が1〜18のポリオキシエチレンモノまたはジアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体等のエーテル型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル類、ポリエチレングルコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型等が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独または2種以上を併用することができる。
特に、HLB(親水親油バランス)価が通常3〜20である非イオン性界面活性剤が好ましく用いられ、処理方法によって異なるが、使用する溶媒に十分溶解するような非イオン界面活性剤を選択することが望ましい。例えば、アルコール類、エーテル類、アセトン等の極性有機溶媒中で処理する場合は、HLB価が10〜20の親水性の非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。またヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物などの有機溶媒中で処理する場合には、HLB価が3から15のやや親油性の非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。
HLB価が3から15のやや親油性の非イオン界面活性剤としては、ノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上が特に好ましく用いられる。
さらに本発明では、不活性有機溶媒中に懸濁させたアルコキシ含有マグネシウム化合物にハロゲン化剤を接触させる際、アルコールを存在させることにより、アルコール自身もハロゲン化剤と反応することにより、アルコキシ含有マグネシウム化合物のハロゲン化反応の際の懸濁液の温度上昇を促進することができ、結果として、粒子性状の優れた固体触媒成分を得ることができる。
アルコールとしては、1価から多価アルコールから選ばれ、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサノール、n−デカノール、2−エチルヘキシルアルコール、グリセリン、エチレングリコールなどが挙げられ、この中でも好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ヘキサノール、n−デカノール、2−エチルヘキシルアルコールである。アルコールは1種または2種以上を使用することができる。
さらに、不活性有機溶媒中に懸濁させたアルコキシ含有マグネシウム化合物にハロゲン化剤を接触させる際、また、20℃から70℃まで10℃/分以上で懸濁液の温度を上昇させる途中、あるいは70℃まで温度上昇し固体マグネシウム成分(a)を形成させた後、アルコキシ含有チタン化合物を接触させることにより、固体マグネシウム成分(a)の嵩密度を向上させることができる。好ましくは、70℃まで温度上昇し固体マグネシウム成分(a)を形成させた後、アルコキシ含有チタン化合物を接触させる。
アルコキシ含有チタン化合物としては、テトラアルコキシチタン、トリアルコキシチタンハライドおよびこれらのダイマー、トリマー、テトラマーなどの縮合物であり、具体的には、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、トリエトキシチタンクロライド、トリ−n−プロポキシチタンクロライド、トリ−iso−プロポキシクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド、トリ−iso−ブトキシクロライド等が挙げられる。この中、テトラエトキシチタンが好ましい。これらアルコキシ含有チタン化合物は1種あるいは2種以上が使用される。
上記ハロゲン化剤の使用量は、四塩化チタンなどのチタンハロゲン化合物の場合、アルコキシ含有マグネシウム化合物1モルに対して0.001〜0.1モル、好ましくは0.002〜0.025モルである。ハロゲン化剤として酸ハライド化合物を用いる場合は、アルコキシ含有マグネシウム化合物1モルに対して0.001〜1モル、好ましくは0.002〜0.1モルである。これらのハロゲン化剤の量は、前記範囲より少ない場合、アルコキシ含有マグネシウムとの反応が少ないため温度上昇が10℃/分以上にはならず、また、前記範囲より多い場合、ハロゲン化反応が進みすぎ、結果として得られる固体触媒成分の粒子性状及びこれを用いて重合した重合体の嵩密度と細孔容積は向上せず、さらには微粉重合体が増加してしまう。
また上記非イオン性界面活性剤の使用量は、アルコキシ含有マグネシウム化合物1gに対して1〜0.0001g、好ましくは0.1〜0.001gである。アルコールの使用量は、アルコキシ含有マグネシウム化合物1モルに対して1〜0.001モル、好ましくは0.5から0.01モルである。アルコキシ含有チタン化合物の使用量は、アルコキシ含有マグネシウム化合物1モルに対して1〜0.0001モル、好ましくは0.1〜0.001モルである。
アルコキシ含有マグネシウム化合物とハロゲン化剤との反応は、その温度によっては進行が早く、アルコキシ含有マグネシウム化合物粒子の表面等で、局所的に反応が進行してしまう。従って、接触時の温度は−20〜20℃、好ましくは−10〜10℃と比較的低温で接触させることが望ましい。その後、温度上昇させ少なくとも70℃、好ましくは100℃まで上昇させる。
以上のように固体マグネシウム成分(a)(以下、単に「成分(a)」ということがある。)を調製する過程において、アルコキシ含有マグネシウム化合物は、ハロゲン化剤によりハロゲン化され、ジハロゲン化マグネシウムあるいはハロゲン化アルコキシマグネシウムとなる。従って、固体マグネシウム成分(a)は、アルコキシ含有マグネシウム化合物がジアルコキシマグネシウムであり、ハロゲン化剤が四価のチタンハロゲン化合物の場合、ジアルコキシマグネシウム、ジハロゲン化マグネシウムまたはハロゲン化アルコキシマグネシウム、並びに四価のチタンハロゲン化合物、四価のアルコキシハロゲン化チタン化合物、四価のアルコキシチタン化合物が混在した組成物である。
以上のように調製した固体マグネシウム成分(a)は、そのまま以下に示す固体触媒成分の調製に供してもよいが、最終的に得られる固体触媒成分の重合活性や重合体の立体規則性を向上させるために、好ましくは、ヘプタンやトルエンのごとき不活性有機溶媒で洗浄し、遊離のハロゲン化剤、界面活性剤、アルコールあるいはアルコキシチタンを除去する。
次いで、固体マグネシウム化合物(a)に、電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を接触させて本発明の固体触媒成分(A)を調製する。
電子供与性化合物(b)として具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジフェニルエーテル、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、p−メトキシ安息香酸エチル、p−エトキシ安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、ジメチルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、ジ−n−プロピルマロン酸ジエチル、ジイソプロピルマロン酸ジエチル、ジ−n−ブチルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジ−sec−ブチルマロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジエステル、フタル酸ジエステル誘導体等のジカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン類、フタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド等の酸ハライド類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、メチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン等のアミン類、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類、イソシアン酸メチル、イソシアン酸エチル等のイソシアネート類を挙げることができる。
上記の電子供与性化合物のうち、エステル類、とりわけ安息香酸エチル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、p−エトキシ安息香酸エチル、アニス酸エチルなどのモノカルボン酸エステル、またフタル酸ジエステルおよびフタル酸ジエステル誘導体などの芳香族ジカルボン酸ジエステルが好ましく用いられる。このうち、フタル酸ジエステルの具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−iso−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−iso−ブチル、フタル酸エチルメチル、フタル酸メチル(iso−プロピル)、フタル酸エチル(n−プロピル)、フタル酸エチル(n−ブチル)、フタル酸エチル(iso−ブチル)、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジ−iso−ペンチル、フタル酸ジ−neo−ペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ノニル、フタル酸ジ−iso−デシル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘプチル)、フタル酸n−ブチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ブチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチルヘキシル、フタル酸n−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸iso−ペンチル(ヘプチル)、フタル酸n−ペンチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチル(iso−ノニル)、フタル酸iso−ペンチル(n−デシル)、フタル酸n−ペンチルウンデシル、フタル酸iso−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘキシル(n−デシル)、フタル酸n−ヘプチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘプチル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘプチル(neo−デシル)、フタル酸2−エチルヘキシル(iso−ノニル)が例示され、これらの1種あるいは2種以上が使用される。
また、フタル酸ジエステル誘導体としては、下記一般式(4);
4−i(COOR)(COOR) (4)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子を示し、RおよびRは炭素数1〜12のアルキル基を示し、RとRは同一であっても異なってもよく、また、置換基Rの数iは1又は2であり、iが2のとき、Rは同一であっても異なってもよい。)で表されるものが好ましい。
上記一般式(4)において、Rが炭素数1〜8のアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルペンチル基、イソオクチル基、2,2−ジメチルヘキシル基であり、Rがハロゲン原子である場合の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。Rは好ましくはメチル基、臭素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはメチル基または臭素原子である。また、置換基Rの数iは1又は2であり、iが2のとき、Rは同一でもあっても異なってもよい。iが1の場合、Rは上記一般式(4)のフタル酸エステル誘導体の3位、4位、5位又は6位の位置の水素原子と置換し、iが2の場合、Rは4位および5位の位置の水素原子と置換するのが好ましい。
上記一般式(4)において、RおよびRとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルペンチル基、またはイソオクチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基である。この中でもエチル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソオクチル基が好ましく、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、ネオペンチル基が特に好ましい。
上記一般式(4)で表されるフタル酸ジエステル誘導体としては、4−メチルフタル酸ジエチル、4−メチルフタル酸ジ−n−ブチル、4−メチルフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジネオペンチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−メチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジメチルフタル酸ジネオペンチル、4−メチルフタル酸ジネオペンチル、4−エチルフタル酸ジネオペンチル、4−メチルフタル酸−t−ブチルネオペンチル、4−エチルフタル酸−t−ブチルネオペンチル、4,5−ジメチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジエチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジメチルフタル酸−t−ブチルネオペンチル、4,5−ジエチルフタル酸−t−ブチルネオペンチル、3−フルオロフタル酸ジネオペンチル、3−クロロフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジネオペンチル、4−ブロモフタル酸ジネオペンチルが挙げられ、これらの1種あるいは2種以上が使用される。
チタン化合物(c)としては、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド、アルコキシチタンハライドとしてメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリブトキシチタンクロライド等が例示される。このうち、チタンテトラハライドが好ましく、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。これらのチタン化合物は単独あるいは2種以上併用することもできる。
上記のようにして得られた固体マグネシウム成分(a)、電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を接触させて固体触媒成分(A)を調製する。このとき、固体マグネシウム成分(a)はその調製あるいは洗浄に使用した不活性有機溶媒との懸濁液のまま、あるいは必要に応じて分離しあるいは乾燥してこの後の工程に供する。製造工程の簡略化を考慮すれば、分離、乾燥せず懸濁液のまま用いることが望ましい。また、前記必要に応じて行う分離方法としては、固体マグネシウム成分を含有する懸濁液を得た後、デカンテーションによって該懸濁液から不活性有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
本発明においては、上記固体マグネシウム成分(a)、電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を、上述した不活性溶媒の存在下で接触させることによって固体触媒成分(A)を調製する方法が好ましい態様である。不活性溶媒としては具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの沸点が50〜150℃の芳香族炭化水素化合物が好ましく用いられる。また、これらは単独で用いても、2種以上混合して使用してもよい。
以下に、本発明の固体触媒成分(A)の好ましい調製方法について述べる。先ずトルエンの如き不活性有機溶媒中に、ジアルコキシマグネシウム、非イオン性界面活性剤、エタノールを添加し懸濁液を形成させる。次いで懸濁液を10℃に冷却し、これにハロゲン化剤として四塩化チタンおよびフタル酸ジハライドを添加し、昇温させ、その際の昇温速度を20℃から70℃まで1分から2.5分、好適には2分(25℃/分)とする。その後70℃に達した時点でテチラエトキシチタンを添加し、その後100℃で攪拌して処理し、その後ヘプタンおよびトルエンで洗浄して固体マグネシウム化合物(a)を得る。得られた固体マグネシウム成分(a)をトルエン中に懸濁させ、−10℃に冷却し、この懸濁液中にフタル酸ジエステルを添加し、さらに四塩化チタンを添加して−10℃で1時間処理(低温熟成反応)を行う。その後昇温して105℃で処理(反応処理)し、得られた固形物をトルエンで洗浄(中間洗浄)した後、再度トルエンで懸濁させ、これに四塩化チタンを添加して処理(反応処理)を行ない、最期にヘプタンで洗浄して固体触媒成分(A)を得る。
なお必要に応じ、中間洗浄及び反応処理を更に複数回繰り返してもよい。
上記の処理あるいは洗浄の好ましい条件は以下の通りである。
・低温熟成反応:−20〜70℃、好ましくは−10〜60℃、より好ましくは0〜40℃で、1分〜6時間、好ましくは5分〜4時間、特に好ましくは10分〜3時間。
・反応処理:−20〜130℃、好ましくは70〜120℃、特に好ましくは80〜115℃で、0.5〜6時間、好ましくは0.5〜5時間、特に好ましくは1〜4時間。
・洗浄:0〜110℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは30〜90℃で、1〜20回、好ましくは1〜15回、特に好ましくは1〜10回。なお、洗浄の際に用いる炭化水素化合物は、常温で液体の芳香族あるいは飽和炭化水素化合物が好ましく、具体的には、芳香族炭化水素化合物としてトルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、飽和炭化水素化合物としてヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。好ましくは、中間洗浄では芳香族炭化水素化合物を、最終洗浄では飽和炭化水素化合物を用いることが望ましい。
また本発明における固体触媒成分(a)中のチタン、マグネシウム、ハロゲン原子、電子供与性化合物の含有量は特に規定されないが、好ましくは、チタンが1.0〜8.0重量%、好ましくは2.0〜8.0重量%、より好ましくは3.0〜8.0重量%、マグネシウムが10〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは15〜25重量%、ハロゲン原子が20〜85重量%、より好ましくは30〜85重量%、特に好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは45〜75重量%、また電子供与性化合物が合計0.5〜30重量%、より好ましくは合計1〜25重量%、特に好ましくは合計2〜20重量%である。
本発明における固体触媒成分(a)は、平均粒径が5〜75μm、好ましくは20〜40μm、比表面積が100〜500m/g、好ましくは200〜400m/g、細孔容量が、0.15〜0.40ml/g、好ましくは0.20〜0.35ml/g、1μm以下の微粉量が0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%である。本発明における固体触媒成分(a)は、微粉の量が低減され、高細孔容積で高嵩密度であり、当該固体触媒成分および触媒を用いてプロピレンの重合を行うことにより、高活性および高立体規則性を維持し、従来の触媒で得られた重合体とは異なり、高細孔容量でかつ高嵩密度のバランスのよい重合体を得ることができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物(以下単に「成分(B)」ということがある。)としては、上記一般式(2)で表される化合物であれば、特に制限されないが、Rとしては、エチル基、イソブチル基が好ましく、Qとしては、水素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、pは、2又は3が好ましく、3が特に好ましい。このような有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
また本発明の触媒では上記成分(A)及び成分(B)の他に外部電子供与性化合物(C)(以下単に「成分(C)」ということがある。)を用いることができる。特にプロピレンの立体規則性重合を行う際、成分(C)を用いることにより、触媒の活性および重合体の立体規則性を向上させることができる。
外部電子供与性化合物(C)としては、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物であり、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物等が挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジフェニルエーテル、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−メトキシ安息香酸エチル、p−エトキシ安息香酸エチル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル等のジカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン類、フタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド等の酸ハライド類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、メチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン等のアミン類、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類、イソシアン酸メチル、イソシアン酸エチル等のイソシアネート類等を挙げることができる。
上記のなかでも特に安息香酸エチル、p−メトキシ安息香酸エチル、p−エトキシ安息香酸エチル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類が好ましい。
また有機ケイ素化合物も成分(C)としては、下記一般式(3);
Si(OR4−q (3)
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基のいずれかで、同一または異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)で表される化合物が挙げられる。
このような有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。
上記の有機ケイ素化合物を具体的に例示すると、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリイソブチルメトキシシラン、トリ−t−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ビス(3−メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(4−メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(3,5−ジメチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジプロポキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロペンチル(イソプロピル)ジメトキシシラン、シクロペンチル(イソブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(イソプロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(イソブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ブチル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができる。上記の中でも、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシランが好ましく用いられ、該有機ケイ素化合物(C)は1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合もしくは共重合を行う。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが好適に用いられる。特に好ましくはプロピレンである。プロピレンの重合の場合、他のオレフィン類との共重合を行うこともできる。共重合されるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、プロピレンのブロック共重合である、第1段の重合においてプロピレンの単独重合を行い、次いで第2段の重合においてエチレンとプロピレンの共重合に好適である。
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常成分(B)は成分(A)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。成分(C)は、(B)成分1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モルの範囲で用いられる。
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず成分(B)を装入し、成分(A)を接触させることが望ましい。成分(C)を用いる場合、まず成分(B)を装入し、次いで成分(C)を接触させ、次いで成分(A)を接触させることが望ましい。更にあるいは重合系内にまず成分(B)を装入し、一方で成分(A)と成分(C)とを予め接触させ、接触させた成分(A)、成分(C)を重合系内に装入接触させ触媒を形成することも好ましい態様である。このように予め成分(A)と成分(C)とを接触させて処理することによって、触媒の対水素活性および生成重合体の結晶性をより向上させることが可能となる。
本発明における重合方法は、有機溶媒の存在下でも非存在下でも行うことができ、またプロピレン等のオレフィン単量体は、気体及び液体のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
更に、本発明において成分(A)及び成分(B)、又は成分(C)から形成される触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合ともいう。)、触媒活性、立体規則性及び生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。具体的には、オレフィン類の存在下に成分(A)、成分(B)または成分(C)を接触させ、成分(A)1gあたり0.1〜100gのオレフィンを予備的に重合させ、さらに成分(B)または成分(C)を接触させ触媒を形成する。
予備重合を行うに際して、各成分及びモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはプロピレンなどの重合を行うガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いで成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。
本発明のオレフィン類重合用触媒の存在下で、オレフィン類の重合を行った場合、従来の触媒を使用した場合に較べ、重合体の立体規則性および収率を高度に維持でき、しかも高細孔容量と高嵩密度の重合体を得ることができる。特にプロピレンブロック共重合においてゴム状重合体の生成割合が高い場合であっても、高い嵩密度の重合体を得ることができる。従って、剛性と耐衝撃性の優れた付加価値の高い重合体を低コストで提供し得る。
上記の本発明の触媒を用いてプロピレン単独重合を行い、プロピレン重合体を製造した場合、細孔容積が比較的大きいにもかかわらず、嵩密度の高い重合体を得ることができる。つまり細孔容積と嵩密度のバランスの非常に優れた重合体を得ることができる。本発明の触媒で得られた重合体(実施例)と従来の触媒の重合体(比較例)の細孔容積と嵩密度の関係を表わしたグラフを図1に示した。このグラフにおいて、本発明の触媒で得られる重合体は以下の式(5);
y≧−2.14x + 1.13 (5)
(式中、yはプロピレン単独重合体の平均細孔容積量(ml/g)、xは0.30≦x≦0.49内のプロピレン単独重合体の嵩密度(g/ml)を示す。)を満たすものである。
すなわち本発明の固体触媒成分および触媒は、上記のような粒子性状のプロピレン単独重合体が得られるため、プロピレンブロック共重合においてゴム状重合体の生成割合が高くでき、その場合であっても、高い嵩密度の重合体が得られることが期待できる。また、上記のように、高い細孔容積を有する一方、高い嵩密度を有する重合体が得られるため、オレフィンの単独重合及び共重合においても微粉重合体の生成量も極めて少ないため、効率的なオレフィン重合体の製造が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(固体マグネシウム成分の調製)
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム粉末20g、トルエン60ml、HLB3.5のソルビタンジステアレート(「レオドールSP−S20」;花王社製)1.7g、およびエタノール2.8mlを添加して懸濁液を形成した。次いで、懸濁液を20℃にし、この中に四塩化チタン 0.2ml、フタル酸ジクロライド 2.0mlを同時に添加した。添加後、20℃から70℃まで2分で到達した。70℃でテトラエトキシチタンを1ml添加後100℃まで昇温し、1時間保持した。その後、ヘプタン200mlで2回、トルエン200mlで2回洗浄後し、最後にトルエンを150ml加え固体マグネシウム成分を含むトルエン懸濁液を得た。
(固体触媒成分の調製)
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに、上記で得られた固体マグネシウム成分を含むトルエン懸濁液を装入し、この中にフタル酸ジ−n−ブチル1.0ml及びフタル酸ジ−n−オクチル1.5mlを添加した。次いで、該懸濁液を−10℃まで冷却後、四塩化チタン60mlを1時間かけて添加し、添加後−10℃で1時間保持した低温反応させた(低温熟成処理)。その後、80℃まで昇温した後、フタル酸ジ−n−ブチル2.8ml添加し、さらに105℃まで昇温した。昇温後温度を105℃に保ちながら2時間反応処理(第1処理)を行った。反応終了後、生成物を90℃のトルエン100mlで4回洗浄(中間洗浄)し、トルエン40ml、四塩化チタン60mlを加えて、撹拌しながら110℃で1時間の反応処理(第2処理)を行った。次いで、生成物を40℃のヘプタン100mlで7回洗浄し、濾過、乾燥して、粉末状の固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.5重量%であった。
(重合触媒の形成および重合)
窒素ガスで十分に乾燥し、次いでプロピレンガスで置換された内容積2300mlの攪拌装置付きステンレス製オートクレーブに、n−ヘプタン20mlを装入し、プロピレンガス雰囲気下に保ちつつ、トリエチルアルミニウム2.10mmol、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.21mmol、及び前記固体触媒成分をTiとして0.0053mmol装入し、重合用触媒を形成した。次いで、1500mlの水素を挿入し、最後にプロピレンを1400g添加し70℃で1時間重合を行った。
なお、生成固体重合体(N)のメルトフローレイトの値(MFR)は、ASTM D 1238、JIS K 7210に準拠して測定した。
また、重合体の細孔容積は、島津製作所社製自動ポロシメータ オートポアIII9400シリーズを用いて測定した。
重合体嵩密度(BD)は、JIS規格K6721に従って測定した。
生成固体重合体の45μm以下の微粉の量は330メッシュの篩上に置いた生成ポリマーにエタノールを流し、篩を通過した微粒子を含むエタノール懸濁液を遠心分離することにより固体分(微粒子)を回収し、さらに減圧乾燥して重量を測る方法により測定した。
固体マグネシウム成分の調製においてフタル酸ジクロライドを添加しなかった
以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に併載した。
固体マグネシウム成分の調製において四塩化チタンを添加しなかった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に併載した。
固体マグネシウム成分の調製において四塩化チタンを添加後、フタル酸ジクロライドを添加した以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に併載した。
固体マグネシウム成分の調製においてフタル酸クロライドを添加後、四塩化チタンを添加した以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表1に併載した。
比較例1
(固体触媒成分の調製)
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに、実施例1で用いたものと同じジエトキシマグネシウム粉末10g、トルエン80mlを装入し懸濁液を形成し、この中にフタル酸ジ−n−ブチル1.0ml及びフタル酸ジ−n−オクチル 1.5mlを添加した。次いで、該懸濁液を−10℃まで冷却後、四塩化チタン60mlを1時間かけて添加し、添加後−10℃で1時間保持した低温反応させた(低温熟成処理)。その後、80℃まで昇温した後、フタル酸ジ−n−ブチル 2.8ml添加し、さらに105℃まで昇温した。昇温後温度を105℃に保ちながら2時間反応処理(第1処理)を行った。反応終了後、生成物を90℃のトルエン100mlで4回洗浄(中間洗浄)し、トルエン40ml、四塩化チタン60mlを加えて、撹拌しながら110℃で1時間の反応処理(第2処理)を行った。次いで、生成物を40℃のヘプタン100mlで7回洗浄し、濾過、乾燥して、粉末状の固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.0重量%であった。
〈重合触媒の形成および重合〉
上記で得られた固体触媒成分を用いた以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた結果を表1に示した。
実施例6〜9、比較例2及び3
固体マグネシウム成分の調製において、四塩化チタン 0.2ml、フタル酸ジクロライド 2.0mlを同時に添加した後、20℃から70℃までの昇温を表2に示す昇温速度で行なった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表2に併載した。
実施例10〜12
固体マグネシウム成分の調製において、四塩化チタンの量を表3に示す量で行なった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表3に併載した。
実施例13及び14
固体マグネシウム成分の調製において、フタル酸クロライド量を表4に示す量で行なった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表4に併載した。
実施例15
固体マグネシウム成分の調製において、テトラエトキシチタンの変わりにテトラブトキシチタンモノマーを用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表4に併載した。
実施例16
固体マグネシウム成分の調製において、テトラエトキシチタンを用いなかった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表4に併載した。
実施例17〜21
固体マグネシウム成分の調製において、エタノールの代わりに表5に示すアルコール成分を用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表5に併載した。
比較例4
固体マグネシウム成分の調製において、アルコールを用いなかった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表5に併載した。
実施例22〜26
固体マグネシウム成分の調製において、フタル酸ジクロライドの代わりに表6に示す酸ハライド化合物を用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表6に併載した。
実施例27及び28、比較例5及び6
固体マグネシウム成分の調製において、ソルビタンジステアレートの代わりに、表7に示す界面活性剤を用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表7に併載した。なお、実施例27のソルビタンモノオレエートのHLB(「レオドールSP−O10V」;花王社製)は4.3、実施例28のソルビタントリオレエート(「レオドールSP−O30V」;花王社製)のHLBは1.8である。
比較例8
固体マグネシウム成分の調製において、ソルビタン脂肪酸エステルを用いなかった以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた結果を表8に併載した。
Figure 2008074948
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以上の結果から、本発明の固体触媒成分および触媒を用いてプロピレンの重合を行うことにより、高活性および高立体規則性を維持し、従来の触媒で得られた重合体とは異なり、高細孔容量でかつ高嵩密度のバランスのよい重合体を得ることができることがわかる。また、重合体自身の凝集がなく、さらに微粉重合体の生成量も極めて少ない。
重合体の嵩密度と重合体の細孔容量の関係図である。 本発明の触媒成分及び重合触媒を調製する工程を示すフローチャート図である。

Claims (8)

  1. 不活性有機溶媒中に懸濁させたアルコキシ含有マグネシウム化合物に、非イオン性界面活性剤及びアルコールの存在下にハロゲン化剤を接触させ、20℃から70℃まで10℃/分以上で懸濁液の温度を上昇させ固体マグネシウム成分(a)を形成させた後、電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分。
  2. 前記アルコキシ含有マグネシウム化合物が、下記一般式(1);
    Mg X(OR2−n (1)
    (式中、Xはハロゲン原子、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは0≦n<2である。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
  3. 前記固体マグネシウム成分を形成させた後、前記電子供与性化合物(b)およびチタン化合物(c)を接触させる前に、該固体マグネシウム成分とアルコキシ含有チタン化合物を接触させて固体マグネシウム成分(a)を形成することを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
  4. (A)請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分、
    (B)下記一般式(2);
    AlQ3−p (2)
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  5. (A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により得られたオレフィン類重合用固体触媒成分、
    (B)下記一般式(2);
    AlQ3−p (2)
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の実数である。)で表される有機アルミニウム化合物および
    (C)外部電子供与性化合物
    から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  6. 前記(C)外部電子供与性化合物が、下記一般式(3);
    Si(OR4−q (3)
    (式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基のいずれかで、同一または異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、同一または異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)で表される有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン類重合用触媒。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類の重合を行なうことを特徴とするオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法。
  8. 前記オレフィン類重合体又は共重合体の製造に用いられるオレフィン類の単量体が、プロピレン又はプロピレン及び他の1種以上のオレフィン類の単量体であることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン類重合体又は共重合体の製造方法。
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