以下、本発明の実施の形態を、作業車両としての農作業用トラクタに適用した場合の図面について説明する。図1はトラクタの全体の右側面図、図2はトラクタの全体の平面図、図3は同走行機体の斜視図、図4はオペレータが操作するペダル等の平面図、図5はオペレータが操作するペダル等の斜視図、図6は同走行機体の前部の側面図、図7は同走行機体の前部の斜視図、図8は前進ペダル及び後進ペダル及び変速リンク機構等の側面図、図9は図8の前進ペダル及び後進ペダル等の拡大側面説明図、図10は前進ペダル及び後進ペダル等の平面説明図、図11はクルーズレバー等の作動説明側面図である。
図1乃至図3に示されるように、トラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持し、前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて前記両後車輪4及び両前車輪3を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。走行機体2は、前バンパ6及び前車軸ケース7を有するエンジンフレーム8と、エンジン5から出力された動力を継断するためのメインクラッチ9を有するクラッチハウジング10と、エンジン5の回転を適宜変速して前記両後車輪4及び両前車輪3に伝達するためのミッションケース11と、クラッチハウジング10にミッションケース11を連結するためのミッション前面ケース12と、クラッチハウジング10の外側面から外向きに突出するように着脱可能に装着される左右一対のステップフレーム13とからなる。
なお、エンジンフレーム8の後端側がエンジン5の左右外側面に連結されている。エンジン5の後面側にはクラッチハウジング10の前面側が連結されている。クラッチハウジング10の後面側には、ミッション前面ケース12を介してミッションケース11の前面側が連結されている。
エンジン5はボンネット14にて覆われる。また、クラッチハウジング10の上面には、操縦コラム15が立設されている。前記両前車輪3を左右に動かすことによってかじ取りするようにした操縦ハンドル16が操縦コラム15の上面側に配置されている。ミッションケース11の上面には、操縦座席17が配置されている。左右一対のステップフレーム13の上面には、平坦なステップ床板18がそれぞれ設けられている。両前車輪3は、前車軸ケース7を介してエンジンフレーム8に取付けられている。また、両後車輪4は、図3にも示す如く、前記ミッションケース11に対して、当該ミッションケース11の外側面から外向きに突出するように着脱可能に装着される後車軸ケース11aを介して取付けられている。なお、両後車輪4の上面側は、左右のリヤフェンダ4aにて覆われている。また、操縦座席17の後方の走行機体2には、ロプスフレーム2aが立設されている。
前記ミッションケース11の上面には、前記走行機体2の後部に連結されるウッドチッパ等の破砕作業機19を昇降動するための油圧式の作業機用昇降機構20が着脱可能に取付けられている。さらに、前記ミッションケース11の後側面には、作業機19に駆動力を伝えるためのリヤPTO軸21が後向きに突出するように設けられている。作業機19は、ミッションケース11の後部に、一対の左右のロワーリンク22及び1本のトップリンク23からなる3点リンク機構24を介して連結されている。作業機用昇降機構20の左右のリフトアーム20aがリフトリンク20bを介して左右のロワーリンク22に連結され、作業機用昇降機構20を作動させた場合、作業機19が昇降動することになる。
ミッション前面ケース12の前側面には、後述する静油圧式無段変速機(HST)25が配置されている。静油圧式無段変速機25は、クラッチハウジング10の後部に内設されている。メインクラッチ9から後ろ向きに突出する主動軸26を介して、前記エンジン5の回転を無段変速機25に伝達し、次いで、無段変速機25からの出力をミッションケース11内の副変速ギヤ機構27にて適宜変速して、前記両後車輪4及び両前車輪3に伝達することになる。一方、ミッションケース11の底部に、前向きに突出したミッドPTO軸28を配置する。主動軸26からの前記エンジン5の回転は、リヤPTO軸21と、ミッドPTO軸28とに伝達される。即ち、走行機体2の後方に配置する破砕作業機19またはロータリ作業機(図示省略)等がリヤPTO軸21を介して駆動される。また、前車輪3と後車輪4の間の走行機体2の下方に配置する芝草刈り用のモア作業機29がミッドPTO軸28を介して駆動されることになる。
次に、図3乃至図5を参照して、操縦座席17のオペレータが操作する操縦部の構造を説明する。操縦座席17の前方の床板18から上方に突出する操縦コラム15より左方には、メインクラッチ9を切断作動するためのクラッチペダル31が配置されている。クラッチペダル31には、メインクラッチ9を切断させるクラッチ切り機構39と、クラッチペダル31を初期位置に維持するクラッチ入りバネ9bとが連結されて、クラッチ入りバネ9bによってクラッチペダル31が初期位置に維持されることになる。また、クラッチハウジング10にはクラッチ操作軸39aが回動可能に軸支され、クラッチハウジング10内のクラッチ切り機構39のレリーズフォーク等がクラッチ操作軸39aに配置されている。また、後述するブレーキ操作軸30にクラッチペダル31のペダルアーム31a基端のボス部31bを回動可能に被嵌し、クラッチ操作軸39aにクラッチ操作リンク機構40を介してクラッチペダル31を連結している(図5参照)。クラッチペダル31の踏込み操作によってメインクラッチ9を切り作動させることになる。なお、クラッチ操作リンク機構40は、ボス部31bに固設した第1クラッチリンク40aと、クラッチ操作軸39aに固設した第2クラッチリンク40bと、各リンク40a,40bに連結したクラッチロッド40cとからなる。
一方、操縦コラム15より右方には、左右の後車輪制動用ブレーキ機構32を作動させる単一のブレーキペダル33と、パーキングブレーキレバー34とが配置されている。ブレーキペダル33には、左右のブレーキロッド32aを介して左右の後車輪制動用ブレーキ機構32が連結されている。したがって、ブレーキペダル33の操作によってブレーキ機構32が作動し、左右の後車輪4が制動されることになる。また、パーキングブレーキレバー34の操作によってブレーキペダル33が踏込み位置に維持され、オペレータがブレーキペダル33から足を離しても、後車輪4の制動が継続されることになる。なお、クラッチハウジング10の底部には、ブレーキ操作軸受部10aが鋳造加工にて一体的に形成されている。ブレーキ操作軸受部10aには、ブレーキ操作軸30が回動自在に軸支されている(図8参照)。ブレーキペダル33にブレーキ操作軸30を介して左右のブレーキロッド32aを連結している(図5参照)。
また、操縦コラム15より右方には、無段変速機25の変速操作用トラニオンアーム35を作動させる前進ペダル36及び後進ペダル37と、前進ペダル36を踏込み操作位置に維持するクルーズレバー38とが配置されている(図3参照)。前進ペダル36及び後進ペダル37には、変速リンク機構41を介してトラニオンアーム35が連結され、前進ペダル36または後進ペダル37の足踏み操作によって無段変速機25が前進側の変速動作または後進側の変速動作を行うことになる。
なお、操縦コラム15の右側には、エンジン5の回転数を調節するアクセルレバー42を配置する(図2参照)。また、操縦ハンドル16の下方で、操縦座席17に座乗したオペレータの足が当りにくい操縦コラム15の背面には、パーキングブレーキレバー34とクルーズレバー38とを配置する。一方、操縦座席17の左方には、副変速ギヤ機構27を切換える副変速操作レバー43と、ミッドPTO軸28を作動するミッドPTOクラッチレバー44とを配置する(図2参照)。操縦座席17の右方には、作業機用昇降機構20を作動する昇降操作レバー45と、リヤPTO軸21を作動するリヤPTOクラッチレバー46とを配置する(図2参照)。
次に、図1乃至図3、図6及び図7を参照して、エンジン5、ボンネット14、操縦コラム15等の走行機体2の前部の構造を説明する。図6及び図7に示されるように、エンジン5の前方のエンジンフレーム8の上側には、ラジエータ47、エアクリーナ48、バッテリ49等を、エンジンルーム前側フレーム50を介して配置する。ラジエータ47の左右及び上方に前側遮閉板51を延設し、ボンネット14とラジエータ47との間に形成される隙間を前側遮閉板51にて閉塞している。また、ボンネット14は、上部ボンネット14aと、左右の側部ボンネット14bと、前部ボンネット14cとからなる。通気可能なフロントグリルを形成する前部ボンネット14cを介して、ラジエータ47の前面からエンジン5の方向に、エンジン5前方の冷却ファン52にて、外気を吸い込むことになる。
図6に示されるように、上部ボンネット14aと、前部ボンネット14cとは、ボンネット前部フレーム53等を介して一体的に連結されている。エンジン5を内設するエンジンルーム54が、前側遮閉板51と後側遮閉板55との間に形成されている。エンジン5の後面に沿って後側遮閉板55を立設し、後側遮閉板55によってエンジン5の後方を閉塞し、エンジンルーム54を下方に開放し、冷却ファン52によって吸い込んだ外気をエンジン5の下方に排出することになる。
後側遮閉板55の後方のクラッチハウジング10の上面に、ハンドルフレーム56を介してハンドルポスト57を立設し、ハンドルポスト57の上端部に操縦ハンドル16を組付けている(図6参照)。また、ハンドルフレーム56の上面側と後側遮閉板55の上端側とにタンクフレーム58を連結し、タンクフレーム58に燃料タンク59を着脱可能に取付ける。操縦コラム15は、タンクカバー60と、ポストカバー61と、メータパネルボックス62とを有する。エンジン5に燃料を供給する燃料タンク59がタンクカバー60内に配置される。タンクカバー60の上面には、油受け皿63を介して注油キャップ64を配置している(図7参照)。注油キャップ64を外して燃料タンク59内に燃料を補給することになる。
なお、ハンドルポスト57の左右及び後方がポストカバー61にて覆われることになる。タンクカバー60とポストカバー61との上面側に、メータパネルボックス62が配置されている。
図6に示されるように、タンクフレーム58と後側遮閉板55との連結部にボンネット支点フレーム65を配置する。ボンネット支点フレーム65にボンネット開閉支点軸66を介してボンネット支持フレーム67を回動可能に連結している。ボンネット支持フレーム67に上部ボンネット14aの後部の内面を固着している。エンジン5の上面に配置したボンネット台68と、ボンネット支持フレーム67とに、突っ張り用リンク69,70を連結する。上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cを上方に持上げることによって、突っ張り用リンク69,70が展開され、上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cが開動した位置に支持され、エンジンルーム54の上面側及び前方が開放されることになる。
図7に示されるように、ボンネット前部フレーム53の下端側にU字形状のボンネットフック71を固着する。エンジンフレーム8には、解除レバー72を有するボンネットロック機構73を配置する。エンジンフレーム8にボンネットロック機構73を介してボンネットフック71が係止されて、上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cが閉動位置に支持されることになる。解除レバー72を操作してボンネットロック機構73からボンネットフック71を離脱することによって、上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cを開動位置に移動できることになる。
また、図7に示されるように、エンジンルーム前側フレーム50に横向きV字形状の受圧板74の後端側を固着し、エンジンルーム前側フレーム50から前方に向けて受圧板74を突出する。受圧板74の前端側には、前方が広くなる平面視V字形状の閉支持ガイドノッチ75を形成している。上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cが開動位置から閉動位置に移動する場合、ボンネットロック機構73にボンネットフック71が係止される直前で、閉支持ガイドノッチ75にボンネット前部フレーム53が嵌まり込み、受圧板74に閉支持ガイドノッチ75を介してボンネット前部フレーム53が係合し、受圧板74によってボンネット前部フレーム53が位置決め支持され、上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cが閉動位置に移動することになる。
即ち、閉支持ガイドノッチ75とボンネット前部フレーム53との係合によって、ボンネットロック機構73に対してボンネットフック71の左右方向の位置ずれが修正されるから、上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cを開動位置から閉動位置に移動する操作だけで、ボンネットロック機構73にボンネットフック71が係止されることになる(図21、図22参照)。上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cを開動位置から閉動位置に簡単に移動できる。
なお、及び上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cが閉動位置にロックされている状態で、閉支持ガイドノッチ75とボンネット前部フレーム53との係合によって、上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cの左右方向の移動(横移動)が阻止されるから、ボンネットフック71を係止維持するためのボンネットロック機構73のバネ力を低減でき、解除レバー72を小さい力で簡単に操作できることになる。
次に、図1を参照して、前車輪3の駆動構造について説明する。上述したミッション前面ケースには、副変速ギヤ機構27から前車輪3に駆動力を伝える四駆切換え機構76を内設する。四駆切換え機構76は、図示しない前車輪駆動ギヤと、前車輪用出力クラッチと、前車輪用出力軸とを有する。四駆切換え機構76の前車輪用出力クラッチを入り操作することによって、副変速ギヤ機構27の出力回転は、四駆切換え機構76から前車輪用伝動軸77に伝わり、前車輪用伝動軸77から前車軸ケース7に伝わり、前車軸ケース7から前車輪3に伝わり、前車輪3が駆動されることになる。即ち、左右の前車輪3と左右の後車輪4とをそれぞれ駆動する四輪駆動状態でトラクタ1が移動することになる。
なお、四駆切換え機構76の前車輪用出力クラッチを切り操作することによって、前車輪3の駆動が中止され、左右の後車輪4を駆動する二輪駆動状態でトラクタ1が移動することになる。
次に、図8乃至図11を参照して、前進ペダル36及び後進ペダル37の取付け構造について説明する。図8及び図11に示されるように、上述したクラッチハウジング10の進行方向に向かって右側の側面に、複数本のボルト91によってベースフレーム90を着脱可能に締結する。ベースフレーム90には、前後の横側板92,93を介して縦側板94を熔接にて一体的に固設する。
即ち、前進ペダル36及び後進ペダル37を組付けるための平面視で矩形状のペダルユニット枠89は、ベースフレーム90と、前後の横側板92,93と、縦側板94とから形成されている。なお、ペダルユニット枠89は、進行方向(前進)に向かって右側のステップフレーム13の下方のクラッチハウジング10の右側面に配置されている。
図10に示されるように、ベースフレーム90と、縦側板94とは、走行機体2の前後方向(進行方向)に略平行に、クラッチハウジング10の右側面に沿わせて延設する。ベースフレーム90及び縦側板94に前進ペダル軸95及び後進ペダル軸96を回動可能に軸支し、前後の横側板92,93の間に前進ペダル軸95及び後進ペダル軸96を配置する。縦側板94の外側方に前進ペダル軸95及び後進ペダル軸96の一端側を突出している。縦側板94の外側方の前進ペダル軸95の一端側に、前進ペダル36のペダルアーム97基端側のボス部98を被嵌する。また、縦側板94の外側方の後進ペダル軸96の一端側に、後進ペダル37のペダルアーム99基端側のボス部100を被嵌する。
したがって、前進ペダル軸95及び後進ペダル軸96の軸芯線回りに回動可能に前進ペダル36及び後進ペダル37が配置される。前進ペダル36のペダルアーム97、及び後進ペダル37のペダルアーム99は、前進ペダル軸95及び後進ペダル軸96から斜め前方上方に向けて突設され、前進ペダル36の斜め後側方に後進ペダル37が配置されている。前進ペダル36及び後進ペダル37は、両者ともに、斜め前方下方に向けて略同一方向に足踏み操作されることになる。なお、上述したクラッチペダル31、ブレーキペダル33、前進ペダル36、及び後進ペダル37の各足踏み操作方向(斜め前方下方)が略一致することになる。
図9に示されるように、前進ペダル軸95のボス部98及び後進ペダル軸96のボス部100にストップアーム101,102を固設する。縦側板94の外側面には、各ストップアーム101,102を当接させるためのボルト形の前進ストッパ103及び後進ストッパ104をそれぞれ配置する。縦側板94に熔接にて固設されたストッパ受ブラケット105に、前進ストッパ103及び後進ストッパ104を位置調節可能にそれぞれ螺着している。したがって、ストップアーム101,102が前進ストッパ103及び後進ストッパ104に当接して、前進ペダル36及び後進ペダル37の増速方向の踏込み操作が規制され、前進側及び後進側の最大速度が前進ストッパ103及び後進ストッパ104によって設定されることになる。
図9及び図10に示されるように、前進ペダル軸95に押圧アーム106の基端部を固設し、該押圧アーム106の先端部にローラ軸107を介して当接ローラ108を回転自在に軸支する。また、後進ペダル軸96に揺動アーム109の基端部を固設する。揺動アーム109には、受圧片110と係止片111とが一体的に形成されている。当接ローラ108に受圧片110を当接し、ローラ軸107と係止片111とに引張バネ112を連結している。したがって、引張バネ112のバネ力によって当接ローラ108と受圧片110とが常に当接することになる。
また、図9及び図10に示されるように、後進ペダル軸96に変速アーム113の基端部を固設し、変速アーム113の先端部に、連結ピン114及び継ぎブラケット115を介して、伸縮調節可能な変速ロッド116の一端側を連結する。上述したトラニオンアーム35に、連結軸117を介して変速ロッド116の他端側を連結している。
さらに、クラッチハウジング10にバネホルダ118を介して挟みバネ形の中立保持バネ119を配置する。クラッチハウジング10に中立調整体120を介して係止軸121を固設する。連結軸117と係止軸121とに中立保持バネ119の両端を係止する。中立調整体120は、中立調整用の1本の支点ボルト122と2本の中立調整ボルト123によってクラッチハウジング10に固設する。中立調整体120の長孔形の中立調整孔124に中立調整ボルト123を貫通させる。中立調整体120に変速規制孔125を形成し、長孔形の変速規制孔125に連結軸117を貫通している。
図9に示されるように、変速規制孔125は、トラニオンアーム35を設けたトラニオン軸88を中心とした円周方向に長く形成する。したがって、連結軸117が変速規制孔125内を移動する無段変速範囲で、トラニオン軸88を中心に、トラニオン軸88から下方に向けて略垂直に垂下したトラニオンアーム35の下端側を前進側(後方)または後進側(前方)に回動することになる。
一方、中立調整体120の中立調整孔124は、支点ボルト122を中心とした円周方向に長く形成する。したがって、中立調整ボルト123を弛めて、支点ボルト122を中心に中立調整体120を回動し、係止軸121を移動して中立(出力零)位置を調整し、且つ変速規制孔125を移動して連結軸117の無段変速範囲を調整することになる。
図9及び図10に示されるように、前進ペダル軸95に踏力調整リンク126の基端部を固設する。踏力調整リンク126に形成した複数の踏力調整孔127のいずれか1つに、踏力調整ピン128を介して、踏力フレーム129の一端側を連結する。また、上述したブレーキ操作軸30上の回動自在な筒軸体130に、連結リンク131の基端部及び踏力リンク132の基端部を固設する。踏力フレーム129の他端側に連結ピン133を介して連結リンク131の先端部を連結する。踏力リンク132の先端部に支持ピン134を介して踏力ダンパ135を連結する。なお、踏力ダンパ135は、クラッチハウジング10の外側方にダンパ取付軸136を介して組み付けている(図5参照)。
次に、前進ペダル36及び後進ペダル37の操作によって実行される無段変速機25の変速操作を説明する。先ず、操縦座席17に座乗したオペレータが右足で前進ペダル36を踏込んだ場合、前進ペダル軸95回りに押圧アーム106が回動して、当接ローラ108によって揺動アーム109を後進ペダル軸96回りに回動させる。揺動アーム109の回動によって後進ペダル軸96上の変速アーム113が回動されて、変速アーム113によって変速ロッド116が押され、中立保持バネ119力に抗してトラニオンアーム35及びトラニオン軸88が前進方向(図9において時計方向)に回動し、無段変速機25を前進側に作動させて、前車輪3及び後車輪4を前進側に駆動し、走行機体2を前進方向に移動させる。
したがって、前進ペダル36を踏込んだ場合、前進ペダル36の踏込み量に比例して走行機体2の移動速度を変更でき、ストップアーム101が前進ストッパ103に当接するまで、または連結軸117が変速規制孔125の一端側に当接するまで、前進ペダル36を踏込んで前進側に増速できる。また、前進ペダル36を踏込んで、揺動アーム109を回動させることによって、踏込み操作方向と逆の方向に後進ペダル37が後進ペダル軸96回りに回動される。
一方、操縦座席17に座乗したオペレータが右足で後進ペダル37を踏込んだ場合、揺動アーム109を介して後進ペダル軸96上の変速アーム113が回動されて、変速アーム113によって変速ロッド116が引かれ、中立保持バネ119力に抗してトラニオンアーム35及びトラニオン軸88が後進方向(図9において反時計方向)に回動し、上述した無段変速機25を後進側に作動させて、前車輪3及び後車輪4を後進側に駆動し、走行機体2を後進方向に移動させる。
したがって、後進ペダル37を踏込んだ場合、後進ペダル37の踏込み量に比例して走行機体2の移動速度を変更でき、ストップアーム102が後進ストッパ104に当接するまで、または連結軸117が変速規制孔125の他端側に当接するまで、後進ペダル37を踏込んで後進側に増速できる。また、後進ペダル37を踏込むことによって、揺動アーム109の回動によって当接ローラ108を介して押圧アーム106が回動して、踏込み操作方向と逆の方向に前進ペダル36が前進ペダル軸95回りに回動される。
なお、前進ペダル36または後進ペダル37から足を離した場合、前進ペダル36及び後進ペダル37は、中立保持バネ119力によって、踏力ダンパ135の規制によって緩やかに中立位置(出力零位置)に戻り、無段変速機25の変速出力が略零に維持される。
次に、図9及び図11を参照して、上述した前進ペダル36を所定の踏込み位置に保持して走行機体2の車速を一定に保持するための車速維持機構(オートクルーズ機構)について説明する。車速維持機構141は、係脱可能に係合させる複数の係止爪142と1つの係止体143とを有する。係止体143と、係止爪142とは、接離可能に対向させて配置される。
図8に示されるように、進行(前進)方向に向かって走行機体2の右側にクラッチハウジング10からクラッチ操作軸39aの一端側を突出させ、そのクラッチ操作軸39aの突出端部に側面視L形の係止リンク144の中間を回動可能に軸支し、手動操作レバーとしてのクルーズレバー38に係止リンク144の一端側を連結し、係止リンク144の他端側に突起形の係止体143を一体的に形成する。図1及び図4に示されるように、クルーズレバー38の握り部38aは、操縦コラム15の後面の右側で、操縦ハンドル16の略直下に配置されている。即ち、操縦座席17に座乗した姿勢でオペレータの手がクルーズレバー38の握り部38aに簡単に届き、且つクルーズレバー38は使用頻度が低いので、オペレータの本機への乗り降りの邪魔にならない場所で、操縦座席17に座乗していてもオペレータの足に当らない場所に、クルーズレバー38の握り部38aが配置されている。また、操縦ハンドル16の下面の近傍で、本機の外方から操作しにくい場所に、誤操作されないように、クルーズレバー38の握り部38aが配置されている。
図11に示されるように、前進ペダル軸95に側面視弓形の係止アーム145の一端側を連結し、係止アーム145の他端側の外周縁に複数の係止爪142を連続的に形成する。中立保持バネ119によって係止アーム145が回動する円周形軌跡の接線に対して、係止爪142に係止体143が係合または離脱する方向を略直交させる。係止アーム145が回動する円周形軌跡の接線に対して、係止爪142と係止体143との係合面を略直交させている。そのため、前進ペダル36をさらに増速方向に踏込んだ場合、係止体143に係合している係止爪142に隣接した増速側の係止爪142によって、係止体143が離脱方向に移動させられて、係止爪142と係止体143との係合が解除されるように構成している。
即ち、中立保持バネ119によって係止アーム145が回動する回転モーメントが、係止爪142に係止体143を係合させる力として作用するように、係止爪142及び係止体143の形状を形成する。係止爪142に係止体143を係合させる係止アーム145の回動力(中立保持バネ119力)が、操縦コラム15の切り位置にクルーズレバー38を保持するための切り保持バネ146の力(係止爪142から係止体143を離脱させる力)より数倍大きくなるように、またはオペレータが車速維持位置(入り位置)から切り位置にクルーズレバー38を移動させる操作力より数倍大きくなるように、中立保持バネ119によって係止アーム145が初期位置に復帰するように構成している。
したがって、切り保持バネ146によってクルーズレバー38を切り位置に戻す力では、係止爪142から係止体143が離脱しない。また、オペレータが車速維持位置(入り位置)から切り位置にクルーズレバー38を戻す押し操作力では、係止爪142から係止体143が離脱しない。中立保持バネ119によって係止アーム145が回動する回転モーメントが、係止爪142及び係止体143に係合力として作用し、前進ペダル36を踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネとしての中立保持バネ119力によって、係止爪142及び係止体143の係合を維持可能に構成している。
次に、図10及び図11等を参照して、上述した車速維持機構(オートクルーズ機構)141の車速保持動作(オートクルーズ動作)を説明する。オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた状態で、オペレータによってクルーズレバー38が切り保持バネ146に抗して引き上げられた場合、図11に示すように、係止リンク144が仮想線位置から実線位置にクラッチ操作軸39a回りに回動し、係止爪142に係止体143が係合される。したがって、オペレータが前進ペダル36から足を離しても、前進ペダル36が踏込み位置に維持されて、前車輪3及び後車輪4が略一定速度で駆動され、略一定速度で移動しながら耕耘作業等が行われる。一方、係止爪142に係止体143が係合されている状態で、オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた場合、係止爪142から係止体143が離脱して、クルーズレバー38及び係止リンク144が実線位置から仮想線位置(初期位置)に切り保持バネ146によって戻され、略一定速度で移動する車速保持動作(オートクルーズ動作)が解除される。
次に、図6、図12乃至図16等を参照して、上述した燃料タンク59の取付け構造を説明する。上述したタンクフレーム58は、ハンドルポスト57を挟んだハンドルフレーム56の上面の左右両側に立設する左右の背面フレーム58aと、背面フレーム58aの上端側に締結する左右の側面フレーム58bとからなる。背面フレーム58aに側面フレーム58bの後端側をボルトで連結し、燃料タンク59より前方に側面フレーム58bの前端側を延長し、後側遮閉板55に側面フレーム58bの前端側を締結する。
側面フレーム58bの前側の内面に締結する上部支持フレーム215と、ハンドルフレーム56に連結する下部支持フレーム216とを備える。上部支持フレーム215と、下部支持フレーム216とに、防振ゴム217を介して燃料タンク59の側面リブ59aを締結する。即ち、燃料タンク59は、防振ゴム217を介して上部支持フレーム215と下部支持フレーム216とに支持される。燃料タンク59の左右外側方は、左右の側面フレーム58bによって囲まれる。燃料タンク59の前後外側方は、後側遮閉板55と左右の背面フレーム58a及びハンドルポスト57とによって囲まれることになる。
次に、図6、図14乃至図16等を参照して、上述したボンネット14の取付け構造を説明する。左右の上部支持フレーム215に左右の支点位置調節フレーム217を介してボンネット支点フレーム65の左右両端側を連結する。左右の上部支持フレーム215に、2本の左右方向調節ボルト218を介して、左右の支点位置調節フレーム217を、左右方向の位置調節が可能なように締結する。左右の支点位置調節フレーム217に、2本の前後方向調節ボルト219を介して、ボンネット支点フレーム65の左右両端側を、前後方向の位置調節が可能なように締結する。
ボンネット支点フレーム65にボンネット開閉支点軸66を介して支持したボンネット支持フレーム67には、ボンネット支持体220を介して、上部ボンネット14aの後端側が一体的に固着されている。左右方向調節ボルト218を緩めてボンネット開閉支点軸66の左右方向の取付け位置を調節する一方、前後方向調節ボルト219を緩めてボンネット開閉支点軸66の前後方向の取付け位置を調節することになる。
次に、図6、図7、図12乃至図17等を参照して、本発明の実施形態のタンクカバー60等の取付け構造を説明する。図13及び図17に示されるように、上述したクラッチケース10の上側を覆う下部カバー261を備え、クラッチケース10等に下部カバー261を締結する。下部カバー261は、ポストカバー61より下方で、タンクカバー60の後方に配置している。
図13及び図17に示されるように、タンクカバー60は、後側遮閉板55のビス座55a,55bと、タンクフレーム58のビス座58c,58d,58eとに、複数(10本)のタップビス262にて着脱可能にそれぞれ締結している。タンクカバー60の後面には、タップビス262の頭部を内設するための凹部60a,60bが形成されている。凹部60a,60bは、タンクカバー60の側面方向に略面一に開放された形状に形成されている(図18、図20参照)。凹部60a,60bの側方の開放側から、凹部60a,60b内の水又は埃が排出され、凹部60a,60b内に埃等が堆積するのを防止している。
また、後側遮閉板55のビス座55aと、タンクフレーム58のビス座58cとに、タンクカバー60と共に、エアカットプレート263を、共締めにて固着している。エアカットプレート263によって、エンジンルーム54の暖気が燃料タンク59の後方に移動するのを阻止している。後側遮閉板55と、タンクフレーム58と、タンクカバー60と、エアカットプレート263とが、互いに補強されて、それらの剛性及び連結強度を向上することになる。
一方、後側遮閉板55の左右側部にステー264を介して当てゴム265を配置し、且つ上部支持フレーム215に当てゴム266を配置し、タンクカバー60の側部及び上部の各内面に、各当てゴム265,266をそれぞれ当接させている。外側方からの変形力によってタンクカバー60が内方に変形するのを、各当てゴム265,266によって防止している。ボンネット14とメータパネル62との間に配置した一体成形品製(合成樹脂製)のタンクカバー60の左右側面がそれぞれ1箇所と、上面の2箇所とが、各当てゴム265,266によって補強されることになる。
次に、図6、図7、図12乃至図23等を参照して、本発明の実施形態のボンネット14とタンクカバー60との間の隙間を塞ぐシール構造を説明する。図21及び図22に示されるように、上述した合成樹脂製の油受け皿63には、上方に開放された円筒形状の皿本体63aと、皿本体63aの底部中央に開口された給油口用の取付孔63bと、皿本体63aの底部側方から外側に突出する油抜きパイプ63cと、皿本体63aの上部開口縁に形成した鍔体63dとからなる。油抜きパイプ63cには、皿本体63a内の燃料を排出するドレンパイプ267を接続し、給油作業等において、燃料タンク59の給油口59aから皿本体63a内に溢れた燃料が、油抜きパイプ63cからドレンパイプ267に排出されて回収されることになる。
また、図21及び図22に示されるように、鍔体63dには、ボンネット14の上面側に向けて突出させる遮閉体63eが、合成樹脂成形加工によって一体的に形成されている。タンクカバー60の上面の左右幅中央の前端側には、タンクカバー60の前方から皿本体63aを嵌着するための受け皿取付け孔60cが形成されている(図20参照)。受け皿取付け孔60cは、タンクカバー60の上面窪部60dに形成されている。皿本体63aの後面側で、皿本体63aの外側面の上端側、換言すると、皿本体63aの外側の後面と、鍔体63dの下面との接合部に、受け皿取付け溝63fを形成する。受け皿取付け溝63fは、上面窪部60dの側端縁60eの厚みより若干大きい幅に形成されている。受け皿取付け孔60cの開口縁60eに受け皿取付け溝63fを嵌め込み、タンクカバー60に油受け皿63を取付けることになる。
即ち、受け皿取付け孔60cに前側の開口部から皿本体63aを差込んで、受け皿取付け溝63fに上面窪部60dの側端縁60eを嵌着する。受け皿取付け孔60cの開口縁(上面窪部60dの側端縁60e)に受け皿取付け溝63fを係止し、タンクカバー60の上面窪部60dに受け皿取付け孔60cを介して油受け皿63を前方に取外し可能に組付ける。そして、取付孔63bに下方から燃料タンク59の給油口59aを挿入し、皿本体63aの内部の上方に突出した給油口59aの上端側に注油キャップ64を締結することになる(図22参照)。
また、タンクカバー60に受け皿取付け孔60cを介して油受け皿63を支持した状態では、タンクカバー60の前端縁より前方に遮閉体63eが突出することになる(図22参照)。即ち、ハンドルフレーム56には、タンクフレーム58が連結される。タンクフレーム58の前面側には、ボンネット位置調節手段としての左右方向調節ボルト218及び前後方向調節ボルト219を介して、ボンネット開閉支点軸66が連結される。そのように、遮閉体63eより前方で低位置にボンネット開閉支点軸66が配置されることにより、ボンネット開閉支点軸66回りに上部ボンネット14aを回動した場合、遮閉体63eの下面側に上部ボンネット14aの後端側の上面側が接離することになる。
したがって、ボンネット14及びタンクカバー60が走行機体2の上面側に組み込まれ、ボンネット14によってエンジン5が覆われ、タンクカバー60によって燃料タンク59が覆われた状態では、上部ボンネット14aの後端縁14dと、タンクカバー60の前端縁60fとの間に形成されたカバー隙間268が、タンクカバー60の上面側から上部ボンネット14aの上面側に延長された遮閉体63eによって閉塞されることになる。
なお、上述した実施形態では、正面視かまぼこ形状に形成したタンクカバー60の上面の前端側に受け皿取付け孔60cを形成し、受け皿取付け孔60cの開口縁60eに油受け体63を嵌め込み、タンクカバー60の上面の左右幅の略中央に油受け体63を配置したが、他の実施構造として、タンクカバー60の正面視かまぼこ形状の側面に受け皿取付け孔60cを形成し、その受け皿取付け孔60cを介して、タンクカバー60の側面に油受け体63を配置することも可能であり、上部ボンネット14aの側面又は側部ボンネット14bと、タンクカバー60の左右いずれか一方の側面との隙間を、前記遮閉体にて閉塞することもできる。
次に、図18、図19、図23を参照して、ボンネット14とタンクカバー60との間のカバー隙間268を閉塞するシール材269について説明する。シール材269は、合成樹脂製のシール材本体269a(連続加硫押出成形品)に芯金270(取付金具)を同時押出し成形して形成されている。断面がU字形状に形成されたシール材本体269aの溝形成面269bに複数のリップ269cを一体形成する。断面がU字形状のシール材本体269aによって、タンクカバー60の端縁を覆うためのシール溝269dを形成している。即ち、図23に示されるように、シール溝269dにタンクカバー60の前端縁60fを差込み、タンクカバー60の前端縁60fにシール材269を被嵌することになる。
また、シール材269の外側面には、発泡樹脂(スポンジゴム)製のカバー体271が接着剤にて固着されている。シール材本体269aの外側面に、ベルト形状のカバー体271の内側面を接着している。シール材本体269aより後方に延長したカバー体271の後端側271aは、タンクカバー60の上面に接近する方向に折り曲げられている。即ち、タンクカバー60の上面とシール材本体269aの後端との間のシール溝269dの開口部が、カバー体271の後端側271aによって閉塞されることになる(図23参照)。
一方、シール材本体269aより前方に延長したカバー体271の前端側271bは、ボンネット14の上面及び側面の外側方に突出している。タンクカバー60の上面側及び側面側から上部ボンネット14aの上面側及び側面側にカバー体271の前端側271bを延長する。即ち、ボンネット14及びタンクカバー60が走行機体2の上面側に組み込まれ、ボンネット14によってエンジン5が覆われ、タンクカバー60によって燃料タンク59が覆われた状態では、上部ボンネット14aの後端縁14dと、タンクカバー60の前端縁60fとの間に形成されたカバー隙間268が、カバー体271の前端側271bによって閉塞されることになる(図23参照)。
図2、図15、図20に示されるように、走行機体2の前後方向の機体中心線上に、左右対称形状に、燃料タンク59及び油受け皿63を配置する。即ち、タンクカバー60の左右幅の中間に油受け皿63を配置し、走行機体2の前後方向の機体中心線上に、左右対称形状に、遮閉体63eを位置させる。タンクカバー60の左右両側方の側端縁に、左右一対のシール材269及びカバー体271を嵌着し、上部ボンネット14a及びタンクカバー60の左右幅の中間のカバー隙間268を遮閉体63eにて閉塞し、且つ上部ボンネット14a及びタンクカバー60の左右両側方のカバー隙間268を、カバー体271にて閉塞することになる。なお、上述した側部ボンネット14bの後端縁と、タンクカバー60の前端縁60fとの間に形成されるカバー隙間も、前記したカバー隙間268と同様に、カバー体271の前端側271bによって閉塞されることになる。
図22に示されるように、ボンネット14の上面側におけるカバー体271の前端側271bの突出長さと、遮閉体63eの突出長さとを略一致させている。即ち、カバー体271の前端と遮閉体63eの前端とが、略横一列状に整列されて配置されることになる。したがって、遮閉体63eの左右の側面に、シール材270及びカバー体271の端面が当接するから、遮閉体63eの左右両側方に配置したシール材270及びカバー体271の端面が、遮閉体63eの左右側面によってそれぞれ遮閉されることになる。
上記の構成により、ボンネット開閉支点軸66回りに上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cを回動することによって、遮閉体63eの下面側に上部ボンネット14aの後端側の上面側が接離する。一方、エンジンフレーム8にボンネットロック機構73を介して上部ボンネット14a及び前部ボンネット14cが係止維持された状態では、遮閉体63eの下面側の近傍に上部ボンネット14aの後端側の上面側が接近して支持され、上部ボンネット14aの後端縁14dと、タンクカバー60の前端縁60fとの間のカバー隙間268が、遮閉体63eによって閉塞される。
また、上部ボンネット14aの後端縁14d及び側部ボンネット14bと、タンクカバー60の前端縁60fとの間で、油受け皿63の左右両側方に形成されたカバー隙間268は、シール材269及びカバー体271によって閉塞される。したがって、タンクカバー60の前端縁60fにシール材269を嵌着する作業において、シール材269及び心金270を、タンクカバー60の前端縁60fに沿わせて折り曲げ、タンクカバー60の前端縁60fにシール材269を被嵌することによって、シール材269の表面に皺(シボ模様)が形成された場合であっても、そのシール材269の表面の皺(シボ模様)はカバー体271によって隠されるから、上部ボンネット14a及び側部ボンネット14bと、タンクカバー60との間のシール構造の外観が良好に保持される。また、例えば上部ボンネット14a又は側部ボンネット14bとタンクカバー60との間、或は、上部ボンネット14a又は側部ボンネット14bとシール材269との間に、カバー隙間268が不均一な大きさに形成されても、遮閉体63eとカバー体271とによって、ボンネット14とタンクカバー60又はシール材269との間のカバー隙間268が確実に遮閉される。
上記の記載及び図1、図2、図21、図22から明らかなように、走行機体2に搭載されたエンジン5と、エンジン5を覆う開閉可能なボンネット14と、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク59と、燃料タンク59を覆うタンクカバー60と、ボンネット14とタンクカバー60との間のカバー隙間268を塞ぐ合成樹脂製のシール材269とを備え、タンクカバー60に油受け体としての油受け皿63を配置して、油受け皿63によって、燃料タンク59の給油口59aから漏れた燃料を受け止めるように構成してなる作業車両において、油受け皿63には、ボンネット14の後端縁14dと、そのボンネット14の後端縁14dに対峙したタンクカバー60の前端縁60fとの間のカバー隙間268を塞ぐための遮閉体63eを一体的に形成し、油受け皿63からボンネット14の上面側に向けて遮閉体63eの一端側を延長したものであるから、例えばタンクカバー60の上面の左右幅の中央に遮閉体63eを配置することによって、遮閉体63eの左右両側方にシール材269を左右に分割して配置できる。シール材269を左右に分割することによって、1本のシール材269の長さを短尺に形成できるから、組付け作業等において、シール材269が折れ曲って、シール材269の固定部が変形するのを防止できる。したがって、ボンネット14の後端縁又はタンクカバー60の前端縁にシール材269を簡単に嵌着できる。また、油受け皿63に遮閉体63eを一体的に形成することによって、構成部品数を増やすことなく、ボンネット14とタンクカバー60との間のシール構造を簡単に構成できる。
上記の記載及び図2、図22、図23から明らかなように、タンクカバー60の上面の前端側に受け皿取付け孔60cを形成し、受け皿取付け孔60cの開口縁60eに油受け体63を嵌め込み、タンクカバー60の左右幅の略中央に油受け皿63を配置し、タンクカバー60の左右両側方の前端縁に左右のシール材269を被嵌し、ボンネット14及びタンクカバー60の左右幅の中間のカバー隙間268を遮閉体63eにて閉塞し、且つボンネット14及びタンクカバー60の左右両側方のカバー隙間268をカバー体271にて閉塞するように構成したものであるから、遮閉体63eの左右側面を利用してシール材269の端面を隠すことができ、シール材269の端面が露呈されるのを簡単に防止できる。また、走行機体2の前後方向の機体中心線上に遮閉体63eを位置させることができるから、例えばボンネット14の後端側の支点(ボンネット開閉支点軸66)を中心に、ボンネット14の前端側を上下動させることによって、ボンネット14を大きく開閉動しても、ボンネット14と遮閉体63eとが干渉するのを簡単に防止できる。
上記の記載及び図15、図18、図22、図23から明らかなように、エンジン5の後側方に燃料タンク59が配置され、ボンネット14の後側方にタンクカバー60が配置され、連続加硫押出成形品としてのシール材本体269aに取付金具としての芯金270を同時押出し成形して形成されたシール材269が、ボンネット14の後端縁14dに対峙したタンクカバー60の前端縁60fに嵌着された構造であって、シール材269の外側面に発泡樹脂製のカバー体271を接着し、ボンネット14の外側面に遮閉体63eの一端側を延長し、遮閉体63eによって塞がれたカバー隙間268を除いたボンネット14とタンクカバー60との間のカバー隙間268が、カバー体271によって閉塞されるように構成したものであるから、タンクカバー60の前端縁60fにシール材269を嵌着する作業によって、シール材269の表面に皺(シボ模様)が形成されても、カバー体271によってその皺(シボ模様)を隠すことができ、ボンネット14とタンクカバー60との間のシール構造の外観を良好に保持できる。また、例えばボンネット14とタンクカバー60との間、又はボンネット14とシール材269との間に、カバー隙間268が不均一な大きさに形成されても、遮閉体63eとカバー体271とによって、ボンネット14とシール材269との間のカバー隙間268を確実に遮閉できるから、ボンネット14又はシール材269等の組付け作業性等を簡単に向上できる。
上記の記載及び図13、図14、図16から明らかなように、走行機体2の操縦ハンドル16を配置するためのハンドルフレーム56に、燃料タンク59を支持するためのタンクフレーム58を連結し、タンクフレーム58の前面側にボンネット位置調節手段としての左右方向調節ボルト218及び前後方向調節ボルト219を介してボンネット開閉支点軸66を連結し、遮閉体63eより低位置に配置されたボンネット開閉支点軸66回りに上部ボンネット14a(ボンネット14)を回動することによって、遮閉体63eの下面側に上部ボンネット14aの後端側の上面側が接離するように構成したものであるから、上部ボンネット14aが大きく開閉動するように構成しても、遮閉体63eと上部ボンネット14aとが干渉するのを簡単に防止できる。また、ハンドルフレーム56及びタンクフレーム58を利用して、走行機体2にボンネット開閉支点軸66を高剛性に支持できるから、走行機体2に上部ボンネット14aを組付ける場合、例えば左右方向調節ボルト218及び前後方向調節ボルト219を半固定状態に支持して上部ボンネット14aの位置を決定した後、左右方向調節ボルト218及び前後方向調節ボルト219を完全に固定することによって、ボンネット開閉支点軸66を利用した上部ボンネット14aの支持位置を簡単に調節できる。