JP2008071731A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非水電解質二次電池は、正極と負極をセパレータを介して巻回又は積層して成る電極体と、非水電解液と、これらを収容する外装部材から成る外装体と、を備え、正極及び負極の少なくとも一方とセパレータとの間に、高分子支持体を有し、非水電解液につき、外装体内部に存在する量MAに対する電極体と外装体との間に存在する量MOの比(MO/MA)が0.04以下である。
更に、上記非水電解液中に、ハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体が含有されると、サイクル特性が向上するので、より好ましい。
【選択図】なし
Description
また、近時では、アルミニウムや鉄などの金属製の缶に替えて、ラミネートフィルム等を外装部材として使用することにより、電池の更なる小型化や軽量化、薄型化が進められている。
なお、これらはいずれも電解質として電解液を用いたいわゆる液系の電池において、液漏れ防止や内圧上昇防止など、空隙との関係で電解液量が規定されている。
このような高温保存時の膨れは、電池内の電解液量を減らすことによって、抑制することもできるが、電解液量を減らしすぎて、電解液が活物質の周囲を完全に満たしていない状態になると、電極内の電解液に接していない部分では電池反応が進行せず、十分な電池容量が得られないことがある。
更には、充放電の繰り返しが進むに伴って正負極間の電解液が消費されるため、正負極活物質が劣化に至る以前に徐々に電池の放電容量が低下し、電解液不足によるサイクル特性の低下や内部短絡の発生といった問題も生じる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、サイクル特性に優れ、高温保存時の膨れを抑制ないし防止し得る非水電解質二次電池を提供することにある。
更に、上記非水電解液中に、ハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体が含有されると、サイクル特性が向上するので、より好ましい。
まず、電池質量を測定し、次いで、電極体を取り出し、次いで、電極体を正極、負極及びセパレータに分解し、次いで、正極、負極、セパレータ及び外装体をジメチルカーボネートなどの洗浄液中に2日間浸漬し、濾過し、3日間真空乾燥し、更に、真空乾燥後の電池質量を測定し、しかる後、最初の電池質量から真空乾燥後の電池質量を差し引くことにより、MAが求められる。
一方、電極体と外装体との間、即ち非水電解質二次電池内であって電極体外に存在する非水電解液量MOは、例えば以下に記載の方法により測定し、算出すればよい。
まず、電池質量を測定し、電極体を取り出す。次いで、取出した電極体を布などの非水電解液を吸収する素材で挟み、10kPaの荷重をかけて染み出した非水電解液を全て拭き取る。また、電極体を取出した外装体をジメチルカーボネートなどの洗浄液中に浸漬し、乾燥する。更に、外装体と拭き取り処理した電極体の合計質量を測定し、しかる後、最初の電池質量から外装体と拭き取り処理後の電極体との合計質量を差し引くことにより、MOが求められる。
また、MO/MAは、値が小さいほど好ましく、MO/MAが0であることが最適であると考えられるが、0.03以下でも、更に顕著な膨れ抑制効果を得ることができる。
図1は、本発明の非水電解質二次電池の第1の実施形態であって、ラミネート型二次電池の一例を示す分解斜視図である。
同図に示すように、この二次電池は、正極端子11と負極端子12が取り付けられた巻回電池素子20をフィルム状の外装部材30A、30Bから成る外装体30の内部に封入して構成されている。
正極端子11及び負極端子12は、外装体30の内部から外部に向かって、例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極端子11及び負極端子12は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成される。
なお、巻回電池素子20は、詳しくは後述する巻回電極体と非水電解液を構成要素とする。
外装部材30A、30Bと正極端子11及び負極端子12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム31が挿入されている。密着フィルム31は、正極端子11及び負極端子12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば正極端子11及び負極端子12が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
ここで、外装部材の一般的な構成は、外装層/金属箔/シーラント層の積層構造で表すことができ(但し、外装層及びシーラント層は複数層で構成されることがある。)、上記の例では、ナイロンフィルムが外装層、アルミニウム箔が金属箔、ポリエチレンフィルムがシーラント層に相当する。
なお、金属箔としては、耐透湿性のバリア膜として機能すれば十分であり、アルミニウム箔のみならず、ステンレス箔、ニッケル箔及びメッキを施した鉄箔などを使用することができるが、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることができる。
同図に示すように、この二次電池は、上記の巻回電池素子20の代わりに積層電池素子20’を備える以外は、図1に示す巻回型二次電池と同一の構成を有する。
図3に示す実施形態においては、積層電池素子20’は、シート状の負極(負極シート)とシート状の正極(正極シート)とがセパレータを介して交互に積層されたものである。そして、更に、正極シートとセパレータ、負極シートとセパレータの間には、高分子支持体層が配設されている。換言すれば、積層型電池素子20’は、積層電極体と非水電解液を構成要素とする。
この点以外については、図1に示す巻回型二次電池と実質的に同一の構成を有するので、以下、再び上記巻回型二次電池を例に採って、本発明の非水電解質二次電池の説明を続行する。
正極集電体21Aは、例えばアルミニウム箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば硫黄(S)や、二硫化鉄(FeS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)などの二硫化物、二セレン化ニオブ(NbSe2)、酸化バナジウム(V2O5)、二酸化チタン(TiO2)及び二酸化マンガン(MnO2)などのリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物やスピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、並びに、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールなどの導電性高分子化合物が挙げられる。
LixMIO2…(1)
LiyMIIPO4…(2)
(式中のMI及びMIIは1種類以上の遷移金属元素を示し、x及びyの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。)で表され、(1)式の化合物は一般に層状構造を有し、(2)式の化合物は一般にオリビン構造を有する。
更に、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばオリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)又はリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−vMnvPO4(v<1))が挙げられる。
これらの複合酸化物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属の一部をAlやMgその他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたもの、酸素の一部をフッ素等で置換したもの等も挙げることができる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものとしてもよい。また、正極活物質は、複数種類を混合して用いてもよい。
負極集電体22Aは、例えば銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば炭素材料、金属酸化物及び高分子化合物が挙げられる。炭素材料としては、難黒鉛化炭素材料、人造黒鉛材料や黒鉛系材料などが挙げられ、より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭及びカーボンブラックなどがある。
このうち、コークス類にはピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。また、金属酸化物としては、酸化鉄、酸化ルテニウム及び酸化モリブテンなどが挙げられ、高分子化合物としてはポリアセチレンやポリピロールなどが挙げられる。
なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存するものがある。
中でも、長周期型周期表における14族の金属元素又は半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素又はスズである。ケイ素及びスズは、リチウムを吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
ケイ素の合金としては、例えばケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムから成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ここで、「密着」とは、高分子支持体層23とセパレータ24や正極21、負極22とが、所定の力を加えなければ互いに相対的に移動しない程度まで隙間なく接していることをいう。
従って、図2に示す実施形態の非水電解質二次電池は、非水電解液量が従来よりも少量であっても優れたサイクル特性を発揮し、また、使用する非水電解液量が少量であるので耐漏液性にも優れることになる。
これら重合体に対する非水電解液の担持性向上やこれら重合体よりの高分子ゲル電解質のイオン伝導性を向上させるため、アクリルニトリルとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のビニルカルボン酸、アクリルアミド、メタクリルスルホン酸、ヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、各種(メタ)アクリレート等を好ましくは50%以下、特に20%以下の割合で共重合したものも用いることができる。
また、芳香族ポリアミドは、高耐熱性ポリマーであることより、自動車用バッテリーの如く高耐熱性が要求される高分子ゲル電解質が求められる場合には好ましい高分子重合体である。また、ブタジエン等を共重合せしめ架橋構造を有する重合体も用い得る。
特に、構成成分としてフッ化ビニリデンを含む重合体、即ち単独重合体、共重合体及び多元共重合体が好ましく、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、及びポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVdF−HEP−CTFE)を挙げることができる。
また、高分子支持体層を構成する高分子支持体としては、後述するセパレータより低い融点もしくはゲル融点を示すものを好適に用いることができる。即ち、セパレータより低い融点もしくはゲル融点を示す高分子支持体の端部を正負極より例えば0.3mm以上突出させることにより、電池作製時の加熱によって、高分子支持体層同士を熱融着させることができ、落下安全性を向上させ得るという副次的な効果が得られる。更に、高分子支持体層付きのセパレータの幅を外装体の内部寸法より大きくすることによっても、落下安全性を向上させ得るという副次的な効果が得られる。
ここで、電解質塩としては、後述する非水溶媒に溶解ないしは分散してイオンを生ずるものであればよく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を好適に使用することができるが、これに限定されないことはいうまでもない。
即ち、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4)等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(C2F5SO2)2)、及びリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3SO2)3)等のパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩なども使用可能であり、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートを好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、及びトリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネートを用いることができる。
このような非水電解液を用いることにより、少量の非水電解液で、高分子支持体を良好に膨潤させることができ、電池の膨れ抑制や漏れ防止と高い伝導性との一層の両立を図ることができる。
環状カーボネートと低粘度溶媒との比率が上述の範囲を逸脱すると、電解液の伝導率が低下し、サイクル特性が低下するおそれがある。具体的には、低粘度溶媒が多すぎる場合には誘電率が低くなり、逆に低粘度溶媒が少なすぎる場合には粘度が低くなってしまい、どちらの場合にも十分な伝導度が得られず、良好な電池特性が得られなくなるおそれがある。
本発明では、電極体と外装体との間に存在する非水電解液量の割合(MO/MA)の割合が少ないので、沸点の低い低粘度溶媒を50%以上用いても、膨れが少なく抑えられる。
なお、沸点が130℃以下の鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートなどを例示することができる。
また、非水電解液中に、上述の環状カーボネートとして、ハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体が含まれる場合、サイクル特性が改善されるのでより好ましい。環状炭酸エステル誘導体としては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンや4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて用いることができる。含有量としては、0.5〜2%が好ましい。含有量が少ないとサイクル特性向上効果が小さく、逆に多すぎると、高温保存時の膨れが大きくなってしまうからである。
上記巻回型二次電池は、以下のようにして製造することができる。
まず、正極21を作製する。例えば粒子状の正極活物質を用いる場合には、正極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを作製する。
次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成形して正極活物質層21Bを形成する。
高分子支持体を含有する溶液をセパレータ24表面に塗布する手法としては、セパレータを高分子支持体含有溶液に浸漬する手法、Tダイ押出法等により供給塗布する手法、スプレー法・ロールコーター・ナイフコーター等により溶液を基材表面に塗布する手法などが挙げられる。
溶媒を除去する脱溶媒処理の手法としては、乾燥除去する手法、高分子支持体の貧溶媒に浸漬して溶媒を抽出除去した後、貧溶媒を乾燥除去する手法、又はこれらの組合せによる手法等を用いることができる。
別途形成した高分子支持体層をセパレータ24の表面に密着させる手法としては、接着剤により接着することも可能であるが、この場合、使用する電解液の種類(酸、アルカリ、有機溶剤など)に応じて接着剤を適当に選定する必要があり、また目詰まりを生じないようにする必要がある。
また、セパレータ上に形成された高分子支持体層を密着させる手法としては、ゲル転移点以上の温度による熱融着が挙げられる。特に、熱ロール圧縮等の、加圧しながらの熱融着が好ましい。
これにより、非水電解液が高分子支持体層23に保持され、巻回電極体と非水電解液を構成要素とする巻回電池素子20が外装体30に収容された図1及び図2に示した巻回型二次電池が完成する。
このように高分子支持体層を形成し収納した後に、電解液を膨潤させて電解質を形成する手法では、高分子支持体を形成する原料となる前駆体や溶媒を予め除去し電解質内にほとんど残さないようにすることができ、また、高分子支持体形成工程を良好に制御できる。そのため、セパレータや正極、負極と、高分子支持体層とを、密着させることが可能である。
具体的には、以下の各例に記載したような操作を行い、図1及び図2に示したような巻回型二次電池を作製し、その性能を評価した。
<正極の作製>
まず、炭酸リチウム(LiCO3)0.5molに対して炭酸コバルト(CoCO3)1molの割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成することにより、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を得た。
次いで、得られたリチウムコバルト複合酸化物85質量部と、導電剤である黒鉛5質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを均質に混合し、正極合剤を調製し、更に分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、正極合剤スラリーを得た。
次いで、得られた正極合剤スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔より成る正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形して、正極活物質層を形成し、正極を作製した。その後、正極に正極端子を取り付けた。
次に、粉砕した黒鉛粉末を負極活物質として用意し、この黒鉛粉末90質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを均質に混合し、負極合剤を調製し、更に分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、負極合剤スラリーを得た。
次いで、得られた負極合剤スラリーを、厚み15μmの銅箔より成る負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形して、負極活物質層を形成し、正極を作製した。その後、負極に負極端子を取り付けた。
次に、N−メチル−2−ピロリドン100質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体を15質量部の割合で添加したポリマー溶液を、厚み20μmの微孔性ポリエチレンフィルムより成るセパレータ両面にコーティング装置で塗布し、次いで、ポリエチレンフィルムを脱イオン水に浸漬し、しかる後、乾燥して、片面当たりの厚み5μmの高分子支持体層をポリエチレンフィルムから成るセパレータに配設した。
上記のように作製した正極及び負極を、上記のように作製したセパレータを介して密着させ、次いで、長手方向に巻回して、しかる後、最外周に保護テープを貼付することにより、巻回電極体を作製した。
次いで、得られた巻回電極体を外装部材で挟み、3辺を熱融着して、袋状とした。なお、外装部材として、最外層から順に厚み20μmのナイロンフィルムと厚み40μmのアルミニウム箔と厚み30μmのポリプロピレンフィルムとが積層されて成る防湿性のアルミニウムラミネートフィルムを用いた。
その後、これに非水電解液を1.6mL注入し、減圧下で残りの1辺を熱融着し、密封した。その際、非水電解液としては、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(質量比)の割合で混合した溶媒に、1.2mol/Lの割合で六フッ化リン酸リチウムを溶解させたものを用いた。
そして、鉄板に挟んで70℃で3分間加熱して、高分子支持体層を介して、正極及び負極にセパレータを接着させた。
これにより、図1及び図2に示すような本例の非水電解質二次電池(幅:34mm、奥行:50mm、厚み:50mm)を得た。
高分子支持体層を形成せず、注液量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、各例の非水電解質二次電池を得た。実施例1と同様にMA及びMOを求めた結果、MO/MAは表1の通りとなった。
表1のようにPVdF−HFPの厚みと注液量を変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、各例の非水電解質二次電池を得た。実施例1と同様にMA及びMOを求めた結果、MO/MAは表1の通りとなった。
高分子支持体として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、表1のようにPVdFの厚みと注液量を変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、各例の非水電解質二次電池を得た。実施例1と同様にMA及びMOを求めた結果、MO/MAは表1の通りとなった。
密封した後、鉄板に3分間挟んだのみで、70℃加熱を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の非水電解質二次電池を得た。実施例1と同様にMA及びMOを求めた結果、MO/MAは表1の通りとなった。
高分子支持体として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた以外は、実施例13と同様の操作を繰り返し、本例の非水電解質二次電池を得た。実施例1と同様にMA及びMOを求めた結果、MO/MAは表1の通りとなった。
非水電解液の注液量を1.5mLとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して非水電解質二次電池を得、その非水電解質二次電池を開封し、更に同様の非水電解液を0.10mL注入し、合計注液量を1.6mLとし、再度、減圧下で密封して、本例の非水電解質二次電池を得た。実施例1と同様にMA及びMOを求めた結果、MO/MAは表1の通りとなった。各例の仕様を表1に示す。
(初回放電容量)
上記各例の非水電解質二次電池について、23℃で200mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで7時間行い、次いで、200mAの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行い、初回放電容量を測定した。得られた結果を表1に併記する。
上記各例の非水電解質二次電池について、上記初回放電容量の測定に引き続き、23℃で500mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで2時間行い、次いで、500mAの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行うという充放電を300サイクル行い、500mA放電における1サイクル目の放電容量を100%とした場合の300サイクル目の放電容量維持率を測定・算出した。得られた結果を表1に併記する。
上記各例の非水電解質二次電池について、90℃で6時間保存し、その際の膨れ量を測定した。得られた結果を表1に併記する。
一方、高分子支持体層を形成しない場合は、高分子支持体層を形成した場合と比較して、MO/MAの値が大きくなる傾向が見られる。しかしながら、MO/MAが0.04以下となる範囲では、90℃で6時間保存した時の膨れ量は1mm以下となるが、この範囲では放電容量維持率が小さくなってしまうことが分かる。
従って、高温保存時の膨れ量の抑制と優れたサイクル特性を両立するためには、高分子支持体層が配設されていることが必要であることが確認された。更に、実施例1〜12と実施例13、14とを比較することにより、配設した高分子支持体を加熱し、セパレータや電極と熱融着して密着させることにより、一層優れたサイクル特性が得られることが確認できた。
非水電解液として、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(質量比)の割合で混合した溶媒に代えて、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(質量比)の割合で混合した溶媒に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)及び4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(CEC)のいずれか一方又は双方を表2に示す濃度となるように添加して得られた溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、各例の非水電解質二次電池を得た。各例の仕様を表2に示す。
上記各例の非水電解質二次電池について、上記初回放電容量、放電容量維持率及び膨れ量の評価と同様評価を行った。得られた結果を実施例1の結果と共に表2に併記する。
例えば、上記の実施形態では、正極21及び負極22を積層して巻回した巻回電池素子20を備える場合について説明したが、一対の正極と負極とを積層した平板状の電池素子、又は複数の正極と負極とを積層した積層型の電池素子を備える場合についても、本発明を適用することができる。
また、上記の実施形態では、フィルム状の外装部材を用いる場合について説明したが、高温保存時の膨れを抑えることが重要な技術課題として共通する例えば外装体が角型缶の電池などについても同様に本発明を適用することができる。
更に、二次電池に限らず一次電池についても適用可能である。
Claims (7)
- 正極と負極をセパレータを介して巻回又は積層して成る電極体と、非水電解液と、これらを収容する外装部材から成る外装体と、を備える非水電解質二次電池であって、
上記正極及び上記負極の少なくとも一方と上記セパレータとの間に、高分子支持体を有し、
上記非水電解液につき、上記外装体内部に存在する量MAに対する上記電極体と上記外装体との間に存在する量MOの比(MO/MA)が0.04以下である、ことを特徴とする非水電解質二次電池。 - 上記高分子支持体が、上記正極及び上記負極の少なくとも一方と上記セパレータとに密着ないし接着していることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記高分子支持体が、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンを含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記非水電解液が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記非水電解液が、ハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体を含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記環状炭酸エステル誘導体として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン及び4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池。
- 上記外装部材が、ラミネートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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