JP2008147014A - 非水電解質組成物及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質組成物及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高温保存時における電池の膨れを抑えることができる非水電解質組成物と、このような非水電解質組成物を用いた非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】非水溶媒中に、電解質塩と共に、例えば2−シアノフランやフルフラールなどのように、炭素−窒素多重結合や炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が2位に結合したフラン誘導体、あるいは上記のような電子吸引基がビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体を含有させ、必要に応じて、さらに高分子化合物を添加して非水電解質組成物とし、このような非水電解質組成物を用いて非水電解質二次電池とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質組成物及び非水電解質二次電池に係り、更に詳細には、フラン誘導体を含有し、高温保存時における電池の膨れを抑制することができる非水電解質組成物と、このような非水電解質組成物を用いたリチウムイオン非水電解質二次電池に関するものである。
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ)、デジタルスチルカメラ、携帯電話、携帯情報端末、ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そして、これら電子機器のポータブル電源として、電池、とりわけ二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
中でも、負極活物質に炭素、正極活物質にリチウム−遷移金属複合酸化物、電解液に炭酸エステル混合物を使用するリチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池や、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
特に外装にアルミニウムラミネートフィルムを使用するラミネート電池は軽量であるためエネルギー密度が大きい(例えば、特許文献2参照。)。
このようなラミネート電池においては、電解液で膨潤させたポリマーを用いると、電池の変形を抑制することができるため、ラミネートポリマー電池も広く使用されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平4−332479号公報 特許第3482591号公報 特開2005−166448号公報
しかしながら、特に、外装材としてラミネートフィルム材を用いたラミネート電池においては、高温での保存時に膨れ易いという問題点があった。
そこで、重合しやすい共役多重結合を有する化合物として、化学式(1)に示すようなフランを電解液に添加して皮膜を形成することが考えられるが、上記フランは正極で酸化分解されやすい欠点があった。
Figure 2008147014
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高温保存時における電池の膨れを抑えることができる非水電解質組成物と、このような非水電解質組成物を用いた非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を繰り返した結果、化学式(1)に示したフランに換えて、その2位に炭素−窒素多重結合や炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基を結合させたフラン誘導体を添加することによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の非水電解質組成物は、電解質塩と、非水溶媒と、炭素−窒素多重結合及び/又は炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が2位に結合したフラン誘導体、又は上記電子吸引基がビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体を含有していることを特徴とする。
また、本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を正極活物質又は負極活物質とする正極及び負極と、非水電解質組成物と、セパレータと、これらを収容する外装部材を備える非水電解質二次電池であって、上記非水電解質組成物が、電解質塩と、非水溶媒と、炭素−窒素多重結合及び/又は炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が直接又はビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体を含有することを特徴としている。
本発明によれば、フランの2位に、炭素−窒素多重結合及び炭素−酸素多重結合の少なくとも一方を有する電子吸引基が直接、又はビニレン基を介して結合したフラン誘導体を用いるようにしたため、高温保存時における電池の膨れ変形を抑制し得る非水電解質組成物、及びこれを用いた非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明の非水電解質組成物につき詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
本発明において、上記フラン誘導体としては、炭素−窒素多重結合又は炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基がその2位に結合したもの、すなわち次の化学式(2)
Figure 2008147014
[式(2)中のR1はC2m+1(0≦m≦4)、XはO、N−OH、N−R2(R2はC2n+1(0≦n≦4))を示す。]で表わされる化合物や、化学式(3)で示される2−シアノフランを用いることができる。
Figure 2008147014
ここで、(2)式で表されるフラン誘導体の具体例としては、それぞれ以下の化学式(4)〜(6)で示されるフルフラール…(4)、2−アセチルフラン…(5)、フリル…(6)等を用いることができる。
Figure 2008147014
Figure 2008147014
Figure 2008147014
また、他のフラン誘導体として、炭素−窒素多重結合や炭素−酸素多重結合を有する上記のような電子吸引基がその2位にビニレン基を介して結合したもの、すなわち次の化学式(7)
Figure 2008147014
[式(7)中のR3はC2m+1(0≦m≦4)、XはO、N−OH、N−R4(R4はC2n+1(0≦n≦4))を示す。]で表わされる化合物や、化学式(8)で示される2−フリルアクリロニトリルを用いることができる。
Figure 2008147014
なお、(7)式で表されるビニレン基介在フラン誘導体の具体例としては、以下の化学式(9)や(10)で示される2−フリルアクロレイン…(9)やフルフラールアセトン…(10)等を用いることができる。
Figure 2008147014
Figure 2008147014
上記した化学式(1)〜(10)に示したフラン誘導体は、いずれもフランの2位のみに上記電子吸引基が結合したものを示したが、同種又は異種の電子吸引基が2位及び5位の両方に結合した誘導体を使用することもできる。このとき、ビニレン基が介在していてもよいことは言うまでもない。
さらに、上記したフラン誘導体は、それぞれ単独で添加する他に、任意に選択した2種以上を組合わせて、混合添加することも可能である。
上記のように、本発明の非水電解質組成物は、電解質塩と、非水溶媒と、炭素−窒素多重結合や炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が直接に又はビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体を含有するものであり、リチウムイオン非水電解質二次電池の電解液として好適に用いられる。
フランの2位に炭素−窒素多重結合や炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基を結合させた誘導体とすることによって、酸化に対してより安定なものとなり、皮膜形成効果が維持され、高温保存時の膨れ抑制効果が得られることになる。
なお、本発明の非水電解質組成物におけるフラン誘導体の含有量としては、0.05〜2%程度の範囲とすることが好ましく、さらには0.1〜1%の範囲とすることがより好ましい。
すなわち、このような化合物の含有量が0.05%未満では、その添加による効果が十分に得られず、2%を超えると、皮膜による抵抗が大きくなり、放電容量が劣化する傾向があることによる。
本発明の非水電解質組成物においては、例えばビニレンカーボネートやビニレンエチレンカーボネート等の炭素−炭素間二重結合を有する炭酸エステルを含有させることもでき、これによって、繰り返し充放電時の放電容量維持率を向上させることができる。
このような炭素−炭素間二重結合を有する炭酸エステルの含有量としては、0.05〜5%とすることが好ましい。すなわち、0.05%未満では、添加の効果が十分でない一方、5%を超えると、大電流放電時の容量が低下することがあることによる。
さらに、本発明の非水電解質組成物においては、所定の高分子化合物を添加し、本発明の非水電解質組成物でこの高分子化合物を膨潤させ、この非水電解質組成物が当該高分子化合物に含浸ないしは保持されるようにすることができる。
このような高分子化合物の膨潤やゲル化ないしは非流動化により、得られる電池で非水電解質組成物の漏液が起こるのを効果的に抑制することができる。
このような高分子化合物としては、以下の化学式(11)〜(13)で表されるポリビニルホルマール…(11)、ポリアクリル酸エステル…(12)、ポリフッ化ビニリデン…(13)などを例示することができる。
なお、各式において、Nは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が困難であり、10000を超えると、流動性が減少する傾向がある。
Figure 2008147014
Figure 2008147014
但し、(10)式中のRはC2n−1(nは1〜8の整数、mは0〜4の整数を示す。)を示す。
Figure 2008147014
なお、上述の高分子化合物の含有量は、0.1〜5%とすることが好ましい。0.1%未満では、ゲル化が困難となり、5%を超えると、流動性が減少することがある。
本発明の非水電解質組成物に用いる非水溶媒としては、各種の高誘電率溶媒や低粘度溶媒を挙げることができる。
高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、ブチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステルを挙げることができる。
また、高誘電率溶媒として、環状炭酸エステルの代わりに又はこれと併用して、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン、N−メチルピロリドン等のラクタム、N−メチルオキサゾリジノン等の環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホン等のスルホン化合物なども使用することができる。
一方、低粘度溶媒としては、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を好適に使用することができるが、これ以外にも、メチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミド等の鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチル、N,N−ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテルを用いることができる。
なお、本発明の非水電解質組成物において、上述の高誘電率溶媒及び低粘度溶媒は、その1種を単独で又は2種以上を任意に混合して用いることができる。特に、炭素負極の場合、プロピレンカーボネートのみから成る溶媒では、充電ができなくなることから、上記した低粘度溶媒と他の高誘電率溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。
また、上述の非水溶媒の含有量は、70〜90%とすることが好ましい。70%未満では、粘度が上昇し、90%を超えると、十分な電導度が得られないことがある。
また、本発明の非水電解質組成物に用いる電解質塩としては、上記非水溶媒に溶解ないしは分散してイオンを生ずるものであればよく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を好適に使用することができるが、これに限定されないことはいうまでもない。
すなわち、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl)等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CFSO)、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)メチド(LiN(CSO)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CFSO)等のパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩なども使用可能であり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
なお、このような電解質塩の含有量は、10〜30%とすることが好ましい。10%未満では、十分な電導度が得られないことがあり、30%を超えると、粘度が上昇し過ぎることがある。
次に、本発明の非水電解質二次電池について詳細に説明する。
図1は、本発明の非水電解質二次電池の一実施形態であって、ラミネート型電池の一例を示す分解斜視図である。
同図において、この二次電池は、正極端子11と負極端子12が取り付けられた電池素子20をフィルム状の外装部材30の内部に封入して構成されている。正極端子11及び負極端子12は、外装部材30の内部から外部に向かって、例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極端子11及び負極端子12は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成される。
外装部材30は、例えばナイロンフィルム、アルミニウム箔及びポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えばポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着又は接着剤により互いに接合されている。
外装部材30と正極端子11及び負極端子12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム31が挿入されている。密着フィルム31は、正極端子11及び負極端子12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば正極端子11及び負極端子12が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造、例えば金属材料を含まないラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム又は金属フィルムなどにより構成してもよい。
ここで、外装部材の一般的な構成は、外装層/金属箔/シーラント層の積層構造で表すことができ(但し、外装層及びシーラント層は複数層で構成されることがある。)、上記の例では、ナイロンフィルムが外装層、アルミニウム箔が金属箔、ポリエチレンフィルムがシーラント層に相当する。
なお、金属箔としては、耐透湿性のバリア膜として機能すれば十分であり、アルミニウム箔のみならず、ステンレス箔、ニッケル箔及びメッキを施した鉄箔などを使用することができるが、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることができる。
外装部材として、使用可能な構成を(外装層/金属箔/シーラント層)の形式で列挙すると、Ny(ナイロン)/Al(アルミ)/CPP(無延伸ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)/Al/CPP、PET/Al/PET/CPP、PET/Ny/Al/CPP、PET/Ny/Al/Ny/CPP、PET/Ny/Al/Ny/PE(ポリエチレン)、Ny/PE/Al/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PET/PE/Al/PET/LDPE(低密度ポリエチレン)、PET/Ny/Al/LDPE/CPPなどがある。
図2は、図1に示した電池素子20のI−I線に沿った断面図である。同図において、電池素子20は、正極21と負極22とが本発明の非水電解質組成物から成る非水電解質組成物層23及びセパレータ24を介して対向して位置し、巻回されているものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
ここで、正極21は、例えば対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面又は片面に正極活物質層21Bが被覆された構造を有している。正極集電体21Aには、長手方向における一方の端部に正極活物質層21Bが被覆されずに露出している部分があり、この露出部分に正極端子11が取り付けられている。
正極集電体21Aは、例えばアルミニウム箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて導電材及び結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば硫黄(S)や、二硫化鉄(FeS)、二硫化チタン(TiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二セレン化ニオブ(NbSe)、酸化バナジウム(V)、二酸化チタン(TiO)、二酸化マンガン(MnO)などのリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物やスピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、並びに、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの導電性高分子化合物が挙げられる。
これらの中でも、リチウム含有化合物は、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えばリチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられるが、より高い電圧を得る観点からは、特にコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)又はこれらの任意の混合物を含むものが好ましい。
かかるリチウム含有化合物は、代表的には、次の一般式(14)又は(15)
LiM…(14)
LiIIPO…(15)
(式中のM及びMIIは1種類以上の遷移金属元素を示し、x及びyの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。)で表され、(14)式の化合物は一般に層状構造を有し、(15)式の化合物は一般にオリビン構造を有する。
また、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1−zCo(0<z<1)、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)などが挙げられる。
リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばオリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)又はリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−vMnPO(v<1))が挙げられる。
これらの複合酸化物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属の一部をAlやMgその他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素の一部をフッ素等で置換したもの等も挙げることができる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものとしてもよい。また、正極活物質は、複数種類を混合して用いてもよい。
一方、負極22は、正極21と同様に、例えば対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面又は片面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。負極集電体22Aには、長手方向における一方の端部に負極活物質層22Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極端子12が取り付けられている。
負極集電体22Aは、例えば銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料、金属リチウムのいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて導電材及び結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば炭素材料、金属酸化物及び高分子化合物が挙げられる。炭素材料としては、難黒鉛化炭素材料、人造黒鉛材料や黒鉛系材料などが挙げられ、より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラックなどがある。
このうち、コークス類にはピッチコークス、ニードルコークス、石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。また、金属酸化物としては、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブテンなどが挙げられ、高分子化合物としてはポリアセチレンやポリピロールなどが挙げられる。
さらに、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。この負極材料は金属元素又は半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。
なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存するものがある。
このような金属元素又は半金属元素としては、例えばスズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
中でも、長周期型周期表における14族の金属元素又は半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素又はスズである。ケイ素及びスズは、リチウムを吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えばスズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)から成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えばケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムから成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物又はケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
さらに、上述のような負極材料としては、チタンのようにリチウムと複合酸化物を形成する元素でもよい。もちろん、金属リチウムを析出溶解させてもよく、リチウム以外のマグネシウムやアルミニウムを析出溶解させることもできる。
また、セパレータ24は、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィン系の合成樹脂から成る多孔質膜、又はセラミック製の不織布などの無機材料から成る多孔質膜など、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜から構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。特に、ポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、正極21と負極22との分離性に優れ、内部短絡や開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。
次に、上述した二次電池の製造方法の一例につき説明する。
上記ラミネート型二次電池は、以下のようにして製造することができる。
まず、正極21を作製する。例えば粒子状の正極活物質を用いる場合には、正極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを作製する。
次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成する。
また、負極22を作製する。例えば粒子状の負極活物質を用いる場合には、負極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて負極合剤スラリーを作製する。この後、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成する。
次いで、正極21に正極端子11を取り付けるとともに、負極22に負極端子12を取り付けた後、セパレータ24、正極21、セパレータ24及び負極22を順次積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体を形成する。更に、この巻回電極体を外装部材30で挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とする。
しかる後、上述した鎖状炭酸エステルと、六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩と、エチレンカーボネートなどの非水溶媒を含む非水電解質組成物を準備し、外装部材30の開口部から巻回電極体の内部に注入して、外装部材30の開口部を熱融着し封入する。これにより、非水電解質組成物層23が形成され、図1及び図2に示した二次電池が完成する。
なお、この二次電池は次のようにして製造してもよい。
例えば、巻回電極体を作製してから非水電解質組成物を注入するのではなく、正極21及び負極22の上、又はセパレータ24に非水電解質組成物を塗布した後に巻回し、外装部材30の内部に封入するようにしてもよい。
また、ゲル状の非水電解質組成物を有するポリマー型の非水電解質二次電池を作製する場合には、正極21及び負極22の上、又はセパレータ24に上述したポリフッ化ビニリデン等の高分子化合物のモノマーを塗布して巻回し、外装部材30の内部に収納した後に上述した非水電解質組成物を注入するようにしてゲル状の非水電解質組成物を形成してもよい。但し、外装部材30の内部でモノマーを重合させるようにした方が非水電解質組成物とセパレータ24との接合性が向上し、内部抵抗を低くすることができるので好ましい。また、外装部材30の内部に非水電解質組成物を注入してゲル状の非水電解質組成物を形成するようにした方が、少ない工程で簡単に製造することができるので好ましい。
以上により説明した二次電池では、充電を行うと、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、非水電解質組成物層23を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。放電を行うと、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、非水電解質組成物層23を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
ここで、非水電解質組成物層23に含まれる非水電解質組成物には、上記のようなフラン誘導体、すなわち炭素−窒素多重結合及び/又は炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が直接又はビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体が含有されており、電池の膨れ抑制に有効である。
なお、本発明は上記のようなラミネート型電池のみならず、筒型電池、角型電池等にも適用可能であるが、特に、電池外装の膨れ対策がより強く求められているラミネートフィルム外装電池や、薄型の角型電池に適用した場合により効果的なものとなる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
具体的には、以下の各例に記載したような操作を行い、図1及び図2に示したようなラミネート型電池を作製し、その性能を評価した。
(実施例1)
まず、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)94重量部と、導電材としてグラファイト3重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し、正極合剤塗液を得た。
次いで、得られた正極合剤塗液を厚み20μmのアルミニウム箔上の両面に均一に塗布し、乾燥して片面当たり40mg/cmの正極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を作成し、正極端子を取り付けた。
次に、負極活物質として黒鉛97重量部と、結着剤としてPVdF3重量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し負極合剤塗液を得た。
次いで、得られた負極合剤塗液を負極集電体となる厚み15μmの銅箔上の両面に均一に塗布し、乾燥して片面当たり20mg/cmの負極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極を作成し、負極端子を取り付けた。
一方、非水電解質組成物としては、フラン誘導体として、化学式(3)に示した2−シアノフランを使用し、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート/六フッ化リン酸リチウム/2−シアノフラン=25/59.5/1/14/0.5の割合(重量比)で混合して作成したものを用いた。
この正極と負極を、厚さ9μmの微多孔性ポリエチレンフィルムから成るセパレータを介して積層して巻き取り、アルミニウムラミネートフィルムから成る外装部材の一例である袋に入れた。この袋に上記非水電解質組成物を2g注入後、袋を熱融着してラミネート型電池を作成した。この電池の容量は700mAhである。
この電池を23℃の環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存した時の電池厚みの変化(膨れ)を測定し、その結果を表1に示す。
このようにフラン誘導体を使用することによって、90℃で4時間保存した時の電池の膨れが、後述するように、上記のようなフラン誘導体を添加していない非水電解質組成物を使用した比較例1の電池よりも大幅に減少していることが分かる。
(実施例2、3)
上記2−シアノフランの添加量を0.1%及び1%とし、その分ジエチルカーボネートの量を増減したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、実施例2及び3のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを測定し、得られた結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、フラン誘導体の添加は、0.1%程度でも有効であること、1%に増量することによって、膨れ防止効果がさらに向上することが判明した。
(実施例4〜9)
フラン誘導体として、それぞれ化学式(4)に示したフルフラール、化学式(5)に示
した2−アセチルフラン、化学式(6)に示したフリル、化学式(8)に示した2−フリルアクリロニトリル、化学式(9)に示した2−フリルアクロレイン及び化学式(10)に示したフルフラールアセトンを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、これら実施例4〜9のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表1に併せて示す。
このように、フラン誘導体の種類を変えても、90℃−4時間保存時の膨れ抑制効果がそれぞれ認められ、比較例1の電池よりも減少することが分かる。
(実施例10)
ビニレンカーボネートを添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、その結果を表1に併せて示す。
このように、ビニレンカーボネートを添加しないと、高温保存時の電池の膨れが実施例1よりも増加するが、実施例1よりは大幅に減少することが分かる。
(比較例1)
上記のようなフラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを測定し、得られた結果を表1に併せて示す。
このように、フラン誘導体を使用しないと、90℃−4時間保存時の膨れが上記実施例1〜10に較べて増大することが分かる。
(比較例2)
フラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例10(ビニレンカーボネート無添加)と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表1に併せて示す。
このように、フラン誘導体もビニレンカーボネートも使用しないと、高温保存時の膨れが上記実施例1〜10、比較例1に較べて増大することが分かる。
(比較例3)
2−シアノフランに換えてフランを添加したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを測定し、得られた結果を表1に併せて示す。
このように、上記のような電子吸引基を備えたフラン誘導体をこれら電子吸引基のないフランに換えると、高温保存時の電池の膨れが上記実施例1〜10や、比較例1,2よりも増大することが確認された。
Figure 2008147014
(実施例11)
非水電解質組成物に、高分子化合物としてポリビニルホルマール1%を添加して膨潤させ、その分ジエチルカーボネートを減量したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れ量を測定し、得られた結果を表2に示す。
このように、ポリビニルホルマールを添加した場合にも、上記のようなフラン誘導体を使用することによって、90℃で4時間保存した時の電池の膨れが、後述するように、フラン誘導体を添加していない非水電解質組成物を使用した比較例4の電池よりも大幅に減少していることが分かる。
(実施例12、13)
上記2−シアノフランの添加量を0.1%及び1%とし、その分ジエチルカーボネートの量を増減したこと以外は、実施例11と同様の操作を繰り返し、実施例12及び13のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表2に併せて示す。
このように、フラン誘導体の添加は、0.1%程度でも有効であると共に、その添加量を1%に増量することによって、膨れ防止効果がさらに向上することが判明した。
(実施例14〜19)
フラン誘導体として、それぞれ化学式(4)に示したフルフラール、化学式(5)に示
した2−アセチルフラン、化学式(6)に示したフリル、化学式(8)に示した2−フリルアクリロニトリル、化学式(9)に示した2−フリルアクロレイン及び化学式(10)に示したフルフラールアセトンを用いたこと以外は、実施例11と同様の操作を繰り返し、これら実施例14〜19のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表2に併せて示す。
表2から分かるように、フラン誘導体の種類を変えても、90℃−4時間保存時の膨れ抑制効果がそれぞれ認められ、比較例4の電池よりも減少する。
(実施例20)
ビニレンカーボネートを添加しないで、その分ジエチルカーボネートの添加量を増したこと以外は、実施例11と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、その結果を表2に併せて示す。
このように、ビニレンカーボネートを添加しないと、高温保存時の電池の膨れが実施例11よりも増加するが、実施例4よりは大幅に減少することが分かる。
(比較例4)
上記のようなフラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例11と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表2に併せて示す。
このように、フラン誘導体を使用しないと、90℃−4時間保存時の膨れが上記実施例11〜20に較べて増大することが分かる。
(比較例5)
フラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例20(ビニレンカーボネート無添加)と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを測定し、その結果を表2に併せて示す。
このように、フラン誘導体もビニレンカーボネートも使用しないと、高温保存時の膨れが上記実施例11〜20、比較例4に較べて増大することが分かる。
(比較例6)
2−シアノフランに換えてフランを添加したこと以外は、実施例11と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、その結果を表2に併せて示す。
表2より、上記のような電子吸引基を備えたフラン誘導体をこれら電子吸引基のないフランに換えると、高温保存時の電池の膨れが上記実施例11〜20や、比較例4,5よりも増大することが確認された。
Figure 2008147014
(実施例21)
非水電解質組成物に、高分子化合物としてポリアクリル酸エステル1%を添加して膨潤させ、その分ジエチルカーボネートを減量したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れ量を測定し、得られた結果を表3に示す。
このように、高分子化合物の種類を変えても、上記のようなフラン誘導体を使用することによって、90℃で4時間保存した時の電池の膨れが、後述するように、フラン誘導体を添加していない非水電解質組成物を使用した比較例7の電池よりも大幅に減少していることが分かる。
(実施例22、23)
2−シアノフランの添加量を0.1%及び1%とし、その分ジエチルカーボネートの量を増減したこと以外は、実施例21と同様の操作を繰り返し、実施例22及び23のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表3に併せて示す。
表3に示すように、フラン誘導体の添加は、0.1%程度でも有効であると共に、その添加量を1%に増量することによって、膨れ防止効果がさらに向上することが判明した。
(実施例24〜29)
フラン誘導体として、それぞれ化学式(4)に示したフルフラール、化学式(5)に示
した2−アセチルフラン、化学式(6)に示したフリル、化学式(8)に示した2−フリルアクリロニトリル、化学式(9)に示した2−フリルアクロレイン及び化学式(10)に示したフルフラールアセトンを用いたこと以外は、実施例21と同様の操作を繰り返し、これら実施例24〜29のラミネート型電池を得た。そして、90℃で4時間保存した時の電池の膨れを上記同様に求め、得られた結果を表3に併せて示す。
表3より、フラン誘導体の種類を変えても、90℃−4時間保存時の膨れ抑制効果がそれぞれ認められ、比較例7の電池よりも減少することが分かる。
(実施例30)
ビニレンカーボネートを添加することなく、その分ジエチルカーボネートの添加量を増したこと以外は、実施例21と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表3に併せて示す。
このように、ビニレンカーボネートを添加しないと、高温保存時の電池の膨れが実施例21よりも増加するが、実施例7よりは大幅に減少することが確認された。
(比較例7)
上記フラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例21と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に、90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表3に併せて示す。
表3より、フラン誘導体を使用しないと、90℃−4時間保存時の膨れが上記実施例21〜30に較べて増大することが分かる。
(比較例8)
フラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例30(ビニレンカーボネート無添加)と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを測定し、得られた結果を表3に併せて示す。
このように、フラン誘導体もビニレンカーボネートも使用しないと、高温保存時の膨れが上記実施例21〜30、比較例7に較べて増大することが分かる。
(比較例9)
2−シアノフランに換えてフランを添加したこと以外は、実施例21と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、その結果を表3に併せて示す。
このように、上記のような電子吸引基を備えたフラン誘導体をこれら電子吸引基のないフランに換えると、高温保存時の電池の膨れが上記実施例21〜30や、比較例7,8よりも増大することが確認された。
Figure 2008147014
(実施例31)
電池を作製するに際して、厚さ7μmの微多孔性ポリエチレンフィルムの両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したセパレータを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れ量を測定した。その結果を表4に示す。
このように、高分子化合物を予め塗布したセパレータを用いた場合にも、上記したフラン誘導体を使用することによって、90℃で4時間保存した時の電池の膨れが、後述するように、フラン誘導体を添加していない非水電解質組成物を使用した比較例10の電池よりも大幅に減少していることが分かる。
(実施例32、33)
2−シアノフランの添加量をそれぞれ0.1%及び1%とし、その分ジエチルカーボネートの量を増減したこと以外は、実施例31と同様の操作を繰り返し、それぞれ実施例32及び33のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表4に併せて示す。
表4に示すように、フラン誘導体は、0.1%程度の添加量でも有効であると共に、その添加量を1%に増量することによって、膨れ防止効果がさらに向上することが分かる。
(実施例34〜39)
フラン誘導体として、それぞれ化学式(4)に示したフルフラール、化学式(5)に示
した2−アセチルフラン、化学式(6)に示したフリル、化学式(8)に示した2−フリルアクリロニトリル、化学式(9)に示した2−フリルアクロレイン及び化学式(10)に示したフルフラールアセトンを用いたこと以外は、実施例31と同様の操作を繰り返し、それぞれ実施例34〜39のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に、90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、得られた結果を表4に併せて示す。
表4より、フラン誘導体の種類を変えても、90℃−4時間保存時の膨れ抑制効果がそれぞれ認められ、比較例10の電池よりも減少することが分かる。
(実施例40)
ビニレンカーボネートを添加することなく、その分ジエチルカーボネートの添加量を増したこと以外は、実施例31と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、その結果を表4に併せて示す。
このように、ビニレンカーボネートを添加しないと、高温保存時の電池の膨れが実施例31よりも増加するが、実施例10よりは大幅に減少することが確認された。
(比較例10)
上記フラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例31と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、90℃で4時間保存した時の電池の膨れを同様に求め、得られた結果を表4に併せて示す。
表4から分かるように、フラン誘導体を使用しないと、90℃−4時間保存時の膨れが上記実施例31〜40に較べて増大する。
(比較例11)
フラン誘導体を添加することなく、その分ジエチルカーボネートを増量したこと以外は、実施例40(ビニレンカーボネート無添加)と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、90℃で4時間保存した時の電池の膨れを同様に測定し、得られた結果を表4に併せて示す。
このように、フラン誘導体もビニレンカーボネートも使用しないと、高温保存時の膨れが上記実施例31〜40、比較例10に較べて増大することが分かる。
(比較例12)
2−シアノフランに換えてフランを添加したこと以外は、実施例31と同様の操作を繰り返し、本例のラミネート型電池を得た。そして、上記同様に90℃で4時間保存した時の電池の膨れを求め、その結果を表4に併せて示す。
このように、上記のような電子吸引基を備えたフラン誘導体を電子吸引基のないフランに換えると、高温保存時の電池の膨れが上記実施例31〜40や、比較例10,11に較べて増大することが確認された。
Figure 2008147014
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、正極21及び負極22を積層して巻回した電池素子20を備える場合について説明したが、1対の正極と負極とを積層した平板状の電池素子、又は複数の正極と負極とを積層した積層型の電池素子を備える場合についても、本発明を適用することができる。
また、上記の実施形態では、フィルム状の外装部材30を用いる場合について説明したが、外装部材に缶を用いたいわゆる円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの他の形状を有する電池についても同様に本発明を適用することができる。さらに、二次電池に限らず一次電池についても適用可能である。
さらに、本発明は、上述の如く、電極反応物質としてリチウムを用いる電池に関するものであるが、本発明の技術的思想は、ナトリウム(Na)若しくはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)若しくはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても適用することが可能である。
本発明の非水電解質二次電池の一実施形態であって、ラミネート型電池の一例を示す分解斜視図である。 図1に示した電池素子のI−I線に沿った断面図である。
符号の説明
11…正極端子、12…負極端子、20…電池素子、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…非水電解質組成物層、24…セパレータ、25…保護テープ、30…外装部材、31…密着フィルム。

Claims (6)

  1. 電解質塩と、
    非水溶媒と、
    炭素−窒素多重結合及び/又は炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が直接又はビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体と、
    を含有することを特徴とする非水電解質組成物。
  2. 炭素−炭素多重結合を有する炭酸エステルを更に含有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質組成物。
  3. 高分子化合物を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質組成物。
  4. 上記高分子化合物が、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル及びポリフッ化ビニリデンから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項3に記載の非水電解質組成物。
  5. リチウムイオンを吸蔵及び放出できる材料を正極活物質又は負極活物質とする正極及び負極と、非水電解質組成物と、セパレータと、これらを収容する外装部材を備える非水電解質二次電池であって、
    上記非水電解質組成物が、
    電解質塩と、
    非水溶媒と、
    炭素−窒素多重結合及び/又は炭素−酸素多重結合を有する電子吸引基が直接又はビニレン基を介して2位に結合したフラン誘導体と、
    を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。
  6. 上記外装部材が、ラミネートフィルムから成るものであることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池。
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