JP2008016252A - 非水電解質組成物及び非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質組成物及び非水電解質電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下での膨れが抑制されうる非水電解質組成物及び非水電解質電池を提供すること。
【解決手段】プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含み、非水電解質電池に用いられる非水電解質組成物である。上記カルボン酸が多重結合及び/又はハロゲンを有する。上記カルボン酸の多重結合が、カルボキシル基と隣接し、共役している。ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル及びポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を更に含有する。
正極及び負極と、非水電解質組成物と、セパレータと、これらを収容する外装部材と、を備え、非水電解質組成物が、プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含む非水電解質電池である。外装部材が、アルミニウムラミネートフィルムから成る。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質組成物及び非水電解質電池に係り、更に詳細には、二次電池の保存特性を向上させうる非水電解質組成物及び非水電解質電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR、デジタルスチルカメラ、携帯電話、携帯情報端末、ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。
そしてこれらの電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
中でも、負極活物質に炭素、正極活物質にリチウム−遷移金属複合酸化物、電解液に炭酸エステル混合物を使用するリチウムイオン二次電池は、従来の非水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている。特に外装にアルミニウムラミネートフィルムを使用するラミネート電池は軽量なためエネルギー密度が大きい。
かかるラミネート電池においては、電解液をポリマーに膨潤させるとラミネート電池の変形を抑制することができるため、ラミネートポリマー電池も広く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、ラミネート電池には高温環境下で膨れが発生するという問題点があった。
特開2000−58124号公報
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高温環境下での膨れが抑制されうる非水電解質組成物及び非水電解質電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電解液に、プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を添加することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の非水電解質組成物は、非水電解質電池に用いられる非水電解質組成物であって、
プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含むことを特徴とする。
また、本発明の非水電解質電池は、正極及び負極と、非水電解質組成物と、セパレータと、これらを収容する外装部材と、を備える非水電解質電池であって、
上記非水電解質組成物が、プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含むことを特徴とする。
本発明によれば、電解液に、プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を添加することとしたため、高温環境下での膨れが抑制されうる非水電解質組成物及び非水電解質電池を提供できる。
以下、本発明の非水電解質組成物について説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、濃度及び含有量などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の非水電解質組成物は、プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含み、非水電解質電池に用いられるものである。
このように、エステルや塩ではない「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を非水電解質に混合することにより、適用した電池が保存時などに高温環境下にあっても膨れが抑制される。
具体的なメカニズムとしては、現時点では明らかではないが、「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」が、電極表面で不溶性のリチウム塩となり、皮膜が形成され、活物質と溶媒の反応を抑制していると推察できる。
ここで、上記カルボン酸は、多重結合、ハロゲンのいずれか一方又は双方を有することが好適である。このときは、電極表面により効果的に皮膜が形成され、溶媒の分解を抑制することができる。
また、このときの多重結合は、カルボキシル基と隣接し、共役していることが好適である。これにより、電極表面における反応性をより増大させることができる。
更に、上記カルボン酸を、全質量に対して0.1〜1.0%の割合で含むことが好適である。これにより、電極表面における反応性をより増大させることができる。
上記カルボン酸の含有量が0.1%未満であると効果が十分でなくなることがあり、1.0%を超えると放電容量が低下することがある。
かかる「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」としては、代表的には、次の化1〜5に示すような構造を有するカルボン酸が挙げられる。
Figure 2008016252
(式中のR1は、C2m+1−n(1≦m≦5,0≦n≦2m+1)、又はC2m−1−n(1≦m≦5,0≦n≦2m−1)、又はC2m−3−n(1≦m≦5,0≦n≦2m−3)を示す。)
Figure 2008016252
(式中のR2〜R6のそれぞれは、C2m+1−n(0≦m≦2,0≦n≦2m+1)を示す。)
Figure 2008016252
(式中のR7〜R9のそれぞれは、C2m+1−n(0≦m≦2,0≦n≦2m+1)を示す。)
Figure 2008016252
(式中のR10〜R12のそれぞれは、C2m+1−n(0≦m≦2,0≦n≦2m+1)を示す。)
Figure 2008016252
(式中のR13〜R15のそれぞれは、C2m+1−n(0≦m≦2,0≦n≦2m+1)を示す。)
また、「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」は、上記化合物に限定されず、例えば、次に示す、ジフルオロ酢酸(化6)、アクリル酸(化7)、ソルビン酸(化8)、プロピオル酸(化9)、安息香酸(化10)、ピロ粘液酸(化11)、2−テノイル酸(化12)、クマル酸(化13)なども使用可能である。
Figure 2008016252
Figure 2008016252
Figure 2008016252
Figure 2008016252
Figure 2008016252
Figure 2008016252
Figure 2008016252
Figure 2008016252
更に、本発明の非水電解質組成物においては、所定の高分子化合物を添加し、この高分子化合物を膨潤させて上記カルボン酸が当該高分子化合物に含浸ないしは保持されるようにすることができる。
かかる高分子化合物の膨潤やゲル化ないしは非流動化により、得られる電池で非水電解質組成物の漏液が起こるのを効果的に抑制することができる。
また、上記化学式1〜13で表されるカルボン酸は、かかる高分子化合物に対する含浸性も良好であると推察され、これによっても得られる電池の繰り返し充放電時の放電容量維持率が向上するものと思われる。
なお、このような高分子化合物としては、次の化学式14〜16で表されるポリビニルホルマール(化14)、ポリアクリル酸エステル(化15)、及びポリフッ化ビニリデン(化16)などを例示することができる。
Figure 2008016252
Figure 2008016252
(式中のRは、C2n−1(0≦m≦4,1≦n≦8)を示す。)
Figure 2008016252
なお、上述の高分子化合物の含有量は、0.1〜5%とすることが好ましい。0.1%未満では、ゲル化が困難であり、5%を超えると、流動性が低下することがある。
本発明の非水電解質組成物に用いる非水溶媒としては、各種の高誘電率溶媒や低粘度溶媒を挙げることができる。
なお、「非水電解質」については、本明細書では、電解質を非水媒体に分散乃至溶解したもの、及び固体電解質をいい、電解質をプロピレンカーボネートなどの非水溶媒に溶解した非水電解液の外、電解質をゲル状をなす非水分散媒(ポリフッ化ビニリデンなどのポリマー)に溶解したもの、及びリチウムイオン伝導性を有する固体電解質をいうものとする。
また、かかる非水電解質は、電解質を非水溶媒に溶解した非水電解液と、電解質をゲル状をなす非水分散媒に溶解したゲル状電解質と、固体電解質とに大別できる。
ここで、高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネート等を好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、及びトリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステルを用いることができる。
また、高誘電率溶媒として、環状炭酸エステルの代わりに又はこれと併用して、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等のラクトン、N−メチルピロリドン等のラクタム、N−メチルオキサゾリジノン等の環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホン等のスルホン化合物なども使用可能である。
一方、低粘度溶媒としては、ジエチルカーボネートを好適に使用することができるが、これ以外にも、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、絡酸メチル、イソ絡酸メチル、トリメチル酢酸メチル及びトリメチル酢酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミド等の鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチル及びN,N−ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、並びに1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及び1,3−ジオキソラン等のエーテルを用いることができる。
なお、本発明の非水電解質組成物において、上述の高誘電率溶媒及び低粘度溶媒は、その1種を単独で又は2種以上を任意に混合して用いることができる。
また、上述の非水溶媒の含有量は、70〜90%とすることが好ましい。70%未満では、粘度が上昇しすぎることがあり、90%を超えると、十分な電導度が得られないことがある。
また、本発明の非水電解質組成物に用いる電解質塩としては、上述の非水溶媒に溶解ないしは分散してイオンを生ずるものであればよく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を好適に使用することができるが、これに限定されないことはいうまでもない。
即ち、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl)等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CFSO)、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)メチド(LiN(CSO)、及びリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CFSO)等のパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩なども使用可能であり、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
なお、このような電解質塩の含有量は、10〜30%とすることが好ましい。10%未満では、十分な電導度が得られないことがあり、30%を超えると、粘度が上昇し過ぎることがある。
次に、本発明の非水電解質電池について詳細に説明する。
図1は、本発明の非水電解質電池の一実施形態であって、ラミネート型二次電池の一例を示す分解斜視図である。
同図において、この二次電池は、正極端子11と負極端子12が取り付けられた電池素子20をフィルム状の外装部材30の内部に封入して構成されている。正極端子11及び負極端子12は、外装部材30の内部から外部に向かって、例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極端子11及び負極端子12は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成される。
外装部材30は、例えばナイロンフィルム、アルミニウム箔及びポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えばポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着又は接着剤により互いに接合されている。
外装部材30と正極端子11及び負極端子12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム31が挿入されている。密着フィルム31は、正極端子11及び負極端子12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば正極端子11及び負極端子12が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造、例えば金属材料を有さないラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム又は金属フィルムなどにより構成してもよい。
ここで、外装部材の一般的な構成は、外装層/金属箔/シーラント層の積層構造で表すことができ(但し、外装層及びシーラント層は複数層で構成されることがある。)、上記の例では、ナイロンフィルムが外装層、アルミニウム箔が金属箔、ポリエチレンフィルムがシーラント層に相当する。
なお、金属箔としては、耐透湿性のバリア膜として機能すれば十分であり、アルミニウム箔のみならず、ステンレス箔、ニッケル箔及びメッキを施した鉄箔などを使用することができるが、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることができる。
外装部材として、使用可能な構成を(外装層/金属箔/シーラント層)の形式で列挙すると、Ny(ナイロン)/Al(アルミ)/CPP(無延伸ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)/Al/CPP、PET/Al/PET/CPP、PET/Ny/Al/CPP、PET/Ny/Al/Ny/CPP、PET/Ny/Al/Ny/PE(ポリエチレン)、Ny/PE/Al/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PET/PE/Al/PET/LDPE(低密度ポリエチレン)、及びPET/Ny/Al/LDPE/CPPなどがある。
図2は、図1に示した電池素子20のI−I線に沿った断面図である。同図において、電池素子20は、正極21と負極22とが本発明の非水電解質組成物から成る非水電解質組成物層23及びセパレータ24を介して対向して位置し、巻回されているものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
ここで、正極21は、例えば対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面又は片面に正極活物質層21Bが被覆された構造を有している。正極集電体21Aには、長手方向における一方の端部に正極活物質層21Bが被覆されずに露出している部分があり、この露出部分に正極端子11が取り付けられている。
正極集電体21Aは、例えばアルミニウム箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて導電材及び結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば硫黄(S)や、二硫化鉄(FeS)、二硫化チタン(TiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二セレン化ニオブ(NbSe)、酸化バナジウム(V)、二酸化チタン(TiO)及び二酸化マンガン(MnO)などのリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物やスピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、並びに、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールなどの導電性高分子化合物が挙げられる。
これらの中でも、リチウム含有化合物は、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えばリチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられるが、より高い電圧を得る観点からは、特にコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)又はこれらの任意の混合物を含むものが好ましい。
かかるリチウム含有化合物は、代表的には、次の一般式(1)又は(2)
LiM…(1)
LiIIPO…(2)
(式中のM及びMIIは1種類以上の遷移金属元素を示し、x及びyの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。)で表され、(1)式の化合物は一般に層状構造を有し、(2)式の化合物は一般にオリビン構造を有する。
また、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、これらの固溶体(Li(NiCoMn)O)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1−zCo(z<1)、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)及びこれらの固溶体(Li(Mn2−xNi)O)などが挙げられる。
リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばオリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)又はリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−vMnPO(v<1))が挙げられる。
一方、負極22は、正極21と同様に、例えば対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面又は片面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。負極集電体22Aには、長手方向における一方の端部に負極活物質層22Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極端子12が取り付けられている。
負極集電体22Aは、例えば銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料、金属リチウムのいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて導電材及び結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば炭素材料、金属酸化物及び高分子化合物が挙げられる。炭素材料としては、難黒鉛化炭素材料、人造黒鉛材料やや黒鉛系材料などが挙げられ、より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭及びカーボンブラックなどがある。
このうち、コークス類にはピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。また、金属酸化物としては、酸化鉄、酸化ルテニウム及び酸化モリブテンなどが挙げられ、高分子化合物としてはポリアセチレンやポリピロールなどが挙げられる。
更に、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。この負極材料は金属元素又は半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。
なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存するものがある。
このような金属元素又は半金属元素としては、例えばスズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
中でも、長周期型周期表における14族の金属元素又は半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素又はスズである。ケイ素及びスズは、リチウムを吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えばスズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)から成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えばケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムから成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物又はケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ又はケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
また、セパレータ24は、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィン系の合成樹脂から成る多孔質膜、又はセラミック製の不織布などの無機材料から成る多孔質膜など、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜から構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。特に、ポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、正極21と負極22との分離性に優れ、内部短絡や開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。
次に、上述した二次電池の製造方法の一例につき説明する。
上記ラミネート型二次電池は、以下のようにして製造することができる。
まず、正極21を作製する。例えば粒子状の正極活物質を用いる場合には、正極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを作製する。
次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成する。
また、負極22を作製する。例えば粒子状の負極活物質を用いる場合には、負極活物質と必要に応じて導電材及び結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させて負極合剤スラリーを作製する。この後、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成する。
次いで、正極21に正極端子11を取り付けるとともに、負極22に負極端子12を取り付けた後、セパレータ24、正極21、セパレータ24及び負極22を順次積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体を形成する。更に、この巻回電極体を外装部材30で挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とする。
しかる後、上述した鎖状炭酸エステルと、六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩と、エチレンカーボネートなどの非水溶媒を含む非水電解質組成物を準備し、外装部材30の開口部から巻回電極体の内部に注入して、外装部材30の開口部を熱融着し封入する。これにより、非水電解質組成物層23が形成され、図1及び図2に示した二次電池が完成する。
なお、この非水電解質電池は次のようにして製造してもよい。
例えば、巻回電極体を作製してから非水電解質組成物を注入するのではなく、正極21及び負極22の上、又はセパレータ24に非水電解質組成物を塗布した後に巻回し、外装部材30の内部に封入するようにしてもよい。
以上に説明した非水電解質電池では、充電を行うと、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、非水電解質組成物層23を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。放電を行うと、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、非水電解質組成物層23を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
ここで、非水電解質組成物層23に含まれる非水電解質組成物は、正極活物質層21B及び負極活物質22Bへの含浸性や浸透性に優れている。従って、多くの活物質に電解質が十分に接触しているので、充放電に際し、この電池の電池性能は大きく劣化することはなく、繰り返し充放電時の放電容量維持率が向上している。
また、本発明の非水電解質電池の一実施形態としてラミネート電池を例示したが、本発明は上記形状に限定されないことは言うまでもない。即ち、筒型電池、角型電池等にも適用可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、正極活物質として、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO)を94重量部と、導電材としてグラファイトを3重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3重量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し正極合剤塗液を得た。
次に、得られた正極合剤塗液を、厚み20μmのアルミニウム箔上の両面に均一に塗布、乾燥して片面当たり40mg/cmの正極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を作製した。
次に、負極活物質として、黒鉛97重量部、結着剤としてPVdFを3重量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し負極合剤塗液を得た。
次に、得られた負極合剤塗液を、負極集電体となる厚み15μmの銅箔上の両面に均一に塗布、乾燥して片面当たり20mg/cmの負極合剤層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極を作製した。
電解液はエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート/ジフルオロ酢酸=30/9/69.5/1/0.5の割合(質量比)で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを86:14の割合で溶解して作製した。
この正極と負極を、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して積層して巻き取り、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋に入れる。この袋に電解液を2g注液後、袋を熱融着してラミネート型電池を作製する。この電池の容量は700mAhである。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
Figure 2008016252
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より減少していることが分かる。即ち、高温環境下での膨れが抑制されていた。
(実施例2〜8)
溶媒の組成を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より減少していることが分かる。
(実施例9)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を酢酸とした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より減少していることが分かるが、酢酸は炭素−炭素多重結合やハロゲン原子を有していないため、実施例1−8より効果は小さい。
(実施例10)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を3−ブテン酸とした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より減少していることが分かるが、3−ブテン酸の炭素−炭素二重結合はカルボキシル基に隣接していないため、実施例2−8より効果は小さい。
(実施例11)
クマル酸の濃度を1%とし、その分ときエチルカーボネートを減量した以外は、実施例8と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より減少していることが分かる。
(実施例12)
クマル酸の濃度を0.1%とし、その分ときエチルカーボネートを増量した以外は、実施例8と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を0.1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より減少していることが分かる。
(比較例1)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を混合せず、その分ジエチルカーボネートを増量した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用しないと、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は実施例1〜12より増大していることが分かる。
(比較例2)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを混合した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表1に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを使用すると、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例1より増大していることが分かる。
(実施例13)
電解液にポリビニルホルマール1%を膨潤させ、その分ジエチルカーボネートを減量した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
Figure 2008016252
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より減少していることが分かる。
(実施例14〜20)
溶媒の組成を表2に示すようにした以外は、実施例9と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より減少していることが分かる。
(実施例21)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を酢酸とした以外は、実施例13と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より減少していることが分かるが、酢酸は炭素−炭素多重結合やハロゲン原子を有していないため、実施例13〜20より効果は小さい。
(実施例22)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を3−ブテン酸とした以外は、実施例13と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より減少していることが分かるが、3−ブテン酸の炭素−炭素二重結合はカルボキシル基に隣接していないため、実施例14−20より効果は小さい。
(実施例23)
クマル酸の濃度を1%とし、その分ときエチルカーボネートを減量した以外は、実施例20と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より減少していることが分かる。
(実施例24)
クマル酸の濃度を0.1%とし、その分ときエチルカーボネートを増量した以外は、実施例20と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を0.1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より減少していることが分かる。
(比較例3)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を混合せず、その分ジエチルカーボネートを増量した以外は、実施例13と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用しないと、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は実施例13〜24より増大していることが分かる。
(比較例4)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを混合した以外は、実施例13と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表2に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを使用すると、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例3より増大していることが分かる。
(実施例25)
電解液にポリアクリル酸エステル1%を膨潤させ、その分ジエチルカーボネートを減量した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
Figure 2008016252
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より減少していることが分かる。
(実施例26〜32)
溶媒の組成を表3に示すようにした以外は、実施例17と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より減少していることが分かる。
(実施例33)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を酢酸とした以外は、実施例25と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より減少していることが分かるが、酢酸は炭素−炭素多重結合やハロゲン原子を有していないため、実施例25〜32より効果は小さい。
(実施例34)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を3−ブテン酸とした以外は、実施例25と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より減少していることが分かるが、3−ブテン酸の炭素−炭素二重結合はカルボキシル基に隣接していないため、実施例26〜32より効果は小さい。
(実施例35)
クマル酸の濃度を1%とし、その分ときエチルカーボネートを減量した以外は、実施例32と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より減少していることが分かる。
(実施例36)
クマル酸の濃度を0.1%とし、その分ときエチルカーボネートを増量した以外は、実施例32と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を0.1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より減少していることが分かる。
(比較例5)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を混合せず、その分ジエチルカーボネートを増量した以外は、実施例25と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用しないと、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は実施例25〜36より増大していることが分かる。
(比較例6)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを混合した以外は、実施例25と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表3に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを使用すると、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例5より増大していることが分かる。
(実施例37)
セパレータの厚さを10μmとし、その両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したセパレータを使用した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
Figure 2008016252
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より減少していることが分かる。
(実施例38〜44)
溶媒の組成を表4に示すようにした以外は、実施例37と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より減少していることが分かる。
(実施例45)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を酢酸とした以外は、実施例37と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より減少していることが分かるが、酢酸は炭素−炭素多重結合やハロゲン原子を有していないため、実施例37〜44より効果は小さい。
(実施例46)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を3−ブテン酸とした以外は、実施例37と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用することで、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より減少していることが分かるが、3−ブテン酸の炭素−炭素二重結合はカルボキシル基に隣接していないため、実施例38〜44より効果は小さい。
(実施例47)
クマル酸の濃度を1%とし、その分ときエチルカーボネートを減量した以外は、実施例44と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より減少していることが分かる。
(実施例48)
クマル酸の濃度を0.1%とし、その分ときエチルカーボネートを増量した以外は、実施例44と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の濃度を0.1%にしても、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より減少していることが分かる。
(比較例7)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を混合せず、その分ジエチルカーボネートを増量した以外は、実施例37と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」を使用しないと、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は実施例37〜44より増大していることが分かる。
(比較例8)
「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを混合した以外は、実施例37と同様の操作を繰返して、ラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下700mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化を表4に示す。
このように「プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸」の代わりにメチルエステルを使用すると、90℃で4時間保存したときの電池厚みの変化は比較例7より増大していることが分かる。
以上、本発明を若干の実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施例ではラミネート型非水電解質二次電池を作製したが、外装部材に缶を用いた電池、いわゆる円筒型、角型、ボタン型などの他の形状を有する電池についても同様に本発明を適用することができる。更に、二次電池に限らず一次電池についても適用可能である。
本発明の非水電解質電池の一実施形態を示す分解斜視図である。 図1の非水電解質電池の電池素子を示す断面図である。
符号の説明
11…正極端子、12…負極端子、20…電池素子、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…非水電解質組成物層、24…セパレータ、25…保護テープ、30…外装部材、31…密着フィルム

Claims (8)

  1. 非水電解質電池に用いられる非水電解質組成物であって、
    プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含むことを特徴とする非水電解質組成物。
  2. 上記カルボン酸が多重結合及び/又はハロゲンを有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質組成物。
  3. 上記カルボン酸の多重結合が、カルボキシル基と隣接し、共役していることを特徴とする請求項2に記載の非水電解質組成物。
  4. 上記カルボン酸を、全質量に対して0.1〜1.0%の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質組成物。
  5. 高分子化合物を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の非水電解質組成物。
  6. 上記高分子化合物が、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル及びポリフッ化ビニリデンから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質電池。
  7. 正極及び負極と、
    非水電解質組成物と、
    セパレータと、
    これらを収容する外装部材と、
    を備える非水電解質電池であって、
    上記非水電解質組成物が、プロトンとして解離し得る水素を有するカルボン酸を含むことを特徴とする非水電解質電池。
  8. 上記外装部材が、アルミニウムラミネートフィルムから成ることを特徴とする請求項7に記載の非水電解質電池。
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