JP2008055976A - 自動車用ウェザーストリップおよび自動車用ウェザーストリップの製造方法 - Google Patents

自動車用ウェザーストリップおよび自動車用ウェザーストリップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性を損うことなく、ゴム成形体の滑性,耐貼り付き性等を持続させ、目的とするゴム成形体の機能を十分に発揮する。
【解決手段】ゴム成形体の当接部位のうち少なくとも表面側は、少なくともエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラック50phr〜100phrと、軟化剤100phr以下と、粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物10phr以下と、前記押出し成形加硫での加硫工程の温度以下で膨張する熱膨張カプセル10dと、を配合したゴム材料組成物を用いる。このゴム材料組成物から成るゴム成形体10には、カーボン由来粗面10c,熱膨張由来凹凸面10eが形成され、これら各面を覆うように塗膜が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用ウェザーストリップおよび自動車用ウェザーストリップの製造方法に関するものであって、例えば自動車用のドア部やトランク部等に適用されるものである。
ゴム材料等の高分子材料が配合されたゴム材料組成物から成るシール用の加硫成形体(以下、ゴム成形体と称する)は、種々の用途に適用されており、その用途に応じた特性を満たすことができるように研究開発されている。
例えば、ウェザーストリップに適用されるゴム成形体の軽量化を図る技術として、熱膨張性マイクロカプセル(以下、熱膨張カプセルと称する)を配合したゴム材料組成物を用い、その組成物の加硫時に該熱膨張カプセルを熱膨張(微発泡化)させる手段が知られており、ゴム成形体の比重を低くすると共に十分な硬度を得る試みがなされている(例えば、特許文献1等)。
また、ゴム成形体は、適用される対象(以下、被適用対象と称する;例えば、自動車用ウェザーストリップの場合にはドア部やトランク部等)に応じて、他の部材等(例えば、前記ドア部に用いられるウェザーストリップの場合はパネルやガラス、トランク部に用いられるウェザーストリップの場合はパネルに該当する;以下、当接対象と称する)に対して当接(圧接,摺接等)する部位(例えば、シールリップ等;以下、当接部位と称する)がある。この当接部位において滑性(例えば、ゴム成形体が当接対象に対して摺動するように用いられる場合には、スティックスリップによる低級音が発生しないようにする特性)や耐貼付性(例えば、ゴム成形体と当接対象との貼り付きによる該ゴム成形体の機能低下が起こらないようにする特性)が低い場合には、例えば高分子弾性材料から成る塗料(表面処理剤)を該ゴム成形体の表面(少なくとも、諸特性を要する箇所(当接部位等)の表面)に対して塗布する手段が採られている。
例えば、自動車用ドア(ドアパネル)に用いられシール部(例えば、スポンジゴムから成るシール部)を構成したウェザーストリップの場合は、そのシール部表面に塗料(例えばウレタン系,シリコーン系)を塗布しておくことにより、ドア開閉時におけるシール部とドアパネルとの貼り付きを防止して該ドア開閉が困難にならないようにしている。また、前記のシール部の表面がガラスやドアパネル等の当接対象と摺動する用途の場合には、前記の塗料により該当接部位表面の滑性を高めてスティックスリップによる低級音の発生を防止している。
前記のように塗布された塗料による膜(以下、塗膜と称する)は、当接対象との摩擦(例えば、局所的な摩擦)等に起因して時間経過と共に厚さが薄くなる可能性がある。このため、該塗膜の厚さを十分にしておく手法が考えられるが、該塗膜が厚過ぎる場合には、その塗布条件(例えば、塗布する際の塗料の温度,粘度等や、被塗布対象であるゴム成形体の温度等)に応じて塗布斑が生じたり(例えば、塗料が均一に塗布されず塗布斑が生じたり)、その塗膜の厚さが不十分になり易かった。また、該塗膜の弾性(伸張永久歪み性等)が十分でないと、ゴム成形体自体の弾性等の機能が低下してしまう恐れがある。
近年においては、前記のように塗料を塗布する替わりに、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体にシリコーン化合物(例えば、粘度(25℃)1000Pa・s以上(約1×106cSt以上に相当)のもの)を配合し、該シリコーン化合物のブリードによりゴム成形体(特に、ブレーキカップ)に滑性等を付与する技術(例えば、特許文献2等)が知られている。しかしながら、前記のようにゴム材料組成物自体に対し単にシリコーン化合物を配合して当接部位に滑性等を付与する技術は、耐貼付性等に関しては想定されておらず、該滑性等を長期間持続させることも想定されていなかった。
特開平6−183305号公報(段落[0004]〜[0006],図1等) 特許第3511899号公報。
以上示したようなことから、ゴム成形体において、厚い塗膜を形成しなくとも、滑性,耐貼付性等を十分付与できると共に、それら滑性,耐貼付性等を長期間持続させ、該ゴム成形体の機能を十分に発揮させることが可能な技術が望まれていた。
本発明は、前記課題に基づいてなされたものであり、厚い塗膜を形成しなくとも、生産性を損うことなくゴム成形体の滑性,耐貼付性等を高め、目的とするゴム成形体の機能を十分に発揮すると共に、それら滑性,耐貼付性等の物性が長期間持続する自動車用ウェザーストリップおよび該自動車用ウェザーストリップの製造方法を提供することにある。
具体的には、請求項1記載の発明は、ゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るシール用のゴム成形体であって、前記のゴム成形体のシール部における当接部位のうち少なくとも表面側は、少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラック50phr〜100phrと、軟化剤100phr以下と、粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物10phr以下と、前記押出し成形加硫での加硫工程の温度以下で膨張する熱膨張カプセルと、を配合したゴム材料組成物から成り、前記の当接部位の表面に熱膨張由来凹凸面が形成されると共に、その熱膨張由来凹凸面の表面にカーボン由来粗面が形成され、該カーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面を覆うように滑性塗膜が形成されたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記の熱膨張カプセルは、熱可塑性樹脂の隔壁内に液体が封入されたものであって、該液体は加熱により気体を発生するものであることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、ゴム材料組成物を押出し成形加硫してシール用のゴム成形体を製造する方法であって、前記のゴム成形体のシール部における当接部位のうち少なくとも表面側のゴム材料組成物には、少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラック50phr〜100phrと、軟化剤100phr以下と、粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物10phr以下と、前記押出し成形加硫での加硫工程の温度以下で膨張する熱膨張カプセルと、を配合したゴム材料組成物を用い、該ゴム材料組成物を押出し成形加硫することにより、前記の当接部位の表面に熱膨張由来凹凸面を形成すると共に、その熱膨張由来凹凸面の表面にカーボン由来粗面を形成し、該カーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面を覆うように滑性塗料を塗布したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記の熱膨張カプセルは、熱可塑性樹脂の隔壁内に液体が封入され熱膨張開始温度が120℃〜150℃であって、該液体は加硫工程での熱により気体を発生するものであることを特徴とする。
前記のように、少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラック50phr〜100phrと、軟化剤100phr以下と、粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物10phr以下と、前記押出し成形加硫での加硫工程の温度以下で膨張する熱膨張カプセルと、を配合したゴム材料組成物により、当接部位の表面に熱膨張由来凹凸面が形成されると共に、その熱膨張由来凹凸面の表面にカーボン由来粗面が形成され、当接対象との接触面積が小さくなる。また、前記のカーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面を覆うように形成される滑性塗膜の密着性が良好になる。さらに、前記の滑性塗膜が除去されても、前記のシリコーン化合物がブリードし、そのブリード物は前記のカーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面に残存し易い。
前記のエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,カーボンブラック,軟化剤,シリコーン化合物,熱膨張カプセルの配合量は、それぞれの配合量は目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度とすることが好ましい。
例えば、前記のエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,カーボンブラック,軟化剤,シリコーン化合物,熱膨張カプセルの配合量において、本発明に示す範囲外では、ゴム材料組成物の混練加工性,押出し成形性やゴム成形体の特性(滑性,耐貼り付き性等)が低下する可能性がある。
カーボンブラックの配合量において、過少の場合にはゴム材料組成物の混練加工性や押出成形性が損われ、過多の場合にはゴム成形体のカーボン由来凹凸面が形成されない可能性がある。
前記のシリコーン化合物が過剰に配合されている場合には、前記のゴム成形体を被適用対象に溶融接着(例えば、熱可塑性エラストマーとの溶融接着や、ゴム部材と射出成形等する際の溶融接着)することが困難になる可能性がある。また、シリコーン化合物の粘度が過小(例えば、100cSt程度)であると、ゴム材料組成物の混練加工性等が損われる可能性がある。
軟化剤においては、該軟化剤が粘着性を有する場合、過剰に配合されるとゴム成形体の耐貼付性が損われる可能性がある。
なお、発泡剤を配合する場合、該配合量が過剰であるとゴム成形体の比重が過小(例えば、一般的な自動車用ウェザーストリップ等のゴム成形体の比重と比較して過小)になる。このようにゴム成形体の比重が過小の場合、該ゴム成形体内部の発泡セルが多くなりシリコーン化合物のブリードを阻害し、ブリード速度が遅過ぎてしまう可能性がある。
前記の各材料の他に、例えば一般的な押出し成形加硫によるゴム成形体の技術分野で扱われている各種材料を適宜配合しても良いが、それぞれの配合量は目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度とすることが好ましい。
例えば、加硫剤,加硫促進剤,加硫促進助剤等を用いる場合、それらの配合量が少なすぎると加硫進行が緩慢となり、該配合量が多すぎるとブルーム現象等を引き起こす可能性がある。
請求項1〜4記載の発明によれば、ゴム材料組成物の混練加工性,押出し成形性が良好であり、生産性を損うことなく十分良好な滑性,耐貼付性等の物性が安定して持続する。これにより、目的とするゴム成形体の機能を十分に発揮できる。
以下、本実施の形態における自動車用ウェザーストリップおよび自動車用ウェザーストリップの製造方法を図面等に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、ゴム材料(例えば、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体)等の高分子材料を配合したゴム材料組成物を押出し成形加硫して得られるゴム成形体に係るものであり、該ゴム成形体のシール部における当接部位の少なくとも表面側が、少なくとも前記の高分子材料,カーボンブラック,軟化剤,シリコーン化合物,熱膨張カプセルを配合したゴム材料組成物から成り、前記のカーボンブラックには比較的粒径の大きいものを比較的少量(一般的な押出し成形加硫によるゴム成形体の技術分野で扱われている量(例えば、140phr以上)よりも少量)用い、前記のシリコーン化合物には粘度(25℃)1000cSt以上のものを用いるものである。前記当接部位以外の他の部位については、その当接部位に使用されるゴム材料(本実施例ではエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体)と同種の従来通りの高分子材料であればよく、当接部位と他の部位とは公知の多重同時押出工法により押出し成形加硫される。
一般的な押出し成形加硫においては、ゴム材料組成物を押出し成形機のダイから吐出した後、その吐出物(押出し成形物)をフリーな状態(型成形とは異なり、吐出物に対する圧力が殆どかからない状態)にて架橋反応させることにより、目的とするゴム成形体を得るものである。例えば、一般的なゴム成形体(ゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体)として、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に平均粒径60nm未満のカーボンブラックを配合した場合、または、60nm以上であっても100phrより多く配合した場合には、図1Aの構造モデル図に示すように、ゴム成形体10の表面(図中では符号10aで示す平坦面)は比較的平坦なものとなる。
図1Aに示すようなゴム成形体10においてシリコーン化合物が配合されている場合には、図1Bに示すように平坦面10aにシリコーン化合物がブリードし、そのブリード物(図中では符号10b)によって滑性,耐貼り付き性が得られるものの、例えばゴム成形体10の組み付け作業による拭き取られや当接対象との摺動等に起因して、該平坦面10aのブリード物10bが容易に除去される可能性がある。この場合には、シリコーン化合物のブリードが再度起こることにより滑性,耐貼付性等が得られるものの、該ブリードに至るまでに所定時間を要する。
また、前記エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に平均粒径60nm以上のカーボンブラックが100phr以下配合された高分子材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体の場合には、図1C,図1D(図1Cの部分拡大図)の構造モデル図に示すようにゴム成形体10の表面に対して表面粗度の小さいカーボン由来粗面10cが形成される。これは、粒径の大きなカーボンブラックの配合量が比較的少量であるため、前記のゴム成形体内において局所的にエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体成分の多い部分が形成され、その部分で収縮等を起こし易くなるためと考えられる。
ここで、前記エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に対し背景技術の欄に記載した熱膨張カプセルが配合されたゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体の場合には、図1Eの構造モデル図に示すようにゴム成形体10の表面に対し、熱膨張カプセル10dの熱膨張によりカプセルの外側の殻壁(詳細説明後出)が破壊消失した形状の熱膨張由来凹凸面10eが形成される。なお、前記の熱膨張カプセル10dの替わりに有機発泡剤等が配合されたゴム材料組成物を押出し成形加硫した場合、ゴム成形体の表面には先に皮膜が形成され、大きく皮膜表面が粗くなる。ただし、前記のように大きく粗くなるのみであれば、本発明の課題である滑性,耐貼付性を達成することはできない。
一方、本実施の形態に基づいて、前記エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に対し、平均粒径60nm以上のカーボンブラックが100phr以下配合されると共に、熱膨張カプセルが配合されたゴム材料組成物を用い、そのゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体の場合には、図1Fの構造モデル図に示すようにゴム成形体10の表面に対し熱膨張由来凹凸面10eが形成されると共に、その熱膨張由来凹凸面10eに対してカーボン由来粗面10cが形成される。このようなカーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面によれば、単なる平坦面を有するゴム成形体と比較して接触面積が小さく、十分な滑性,耐貼付性が得られる。
そして、前記のようにカーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面が形成されたゴム成形体の表面に対して塗料を塗布することにより、図1Gに示すようにカーボン由来粗面10c,熱膨張由来凹凸面10eを覆うように滑性塗膜10fが形成される。前記のカーボン由来粗面10c等によれば、いわゆるアンカー効果が得られることから、該ゴム成形体10の表面に対する滑性塗膜10fの密着性は良好となる。
前記の滑性塗膜10fは、例えば当接対象との摩擦(例えば、局所的な摩擦)等に起因して磨耗,剥離し除去され得る可能性はあるが、図1Hに示すようにカーボン由来粗面10c,熱膨張由来凹凸面10eの特に内部側(特に、凹部の内部側)の滑性塗膜10fは他の領域(例えば、熱膨張由来凹凸面10eの凸部)と比較して直接的に当接対象と接触しないため除去され難く、その形状の特徴ためより厚く残存する。また、たとえ除去された領域(以下、除去領域と称する)が発生しても、本実施の形態においてはシリコーン化合物が配合されているため、該除去領域においてシリコーン化合物がブリードする。さらに、前記のようにブリードした後、例えば当接対象との摺動等が行われた場合、ブリード物10bは除去される可能性があるが、該シリコーン化合物が再度ブリードする。
さらにまた、滑性塗膜10fの殆どが除去された後でも、カーボン由来粗面10c,熱膨張由来凹凸面10eの殆どがブリード物10bによって覆われるため、前記のように当接対象との摺動等が行われると該カーボン由来粗面10c,熱膨張由来凹凸面10eのうち特に外周側(特に凸部の外周側)のブリード物10bが除去され易いが、該カーボン由来粗面10c,熱膨張由来凹凸面10eの特に内部側(特に、凹部の内部側)のブリード物10bは除去され難く残存する。前記のようにブリード物10bの一部が除去されると、その除去領域にてシリコーン化合物が再度ブリードするだけでなく、該凹部等の内部側の残存したブリード物(少なくとも、一部のブリード物)10bが該除去領域に移動するものと思われる。
したがって、本実施形態によれば、たとえ滑性塗膜が剥離等により除去されて図1Hに示すような状態になっても、滑性,耐貼付性等の物性が図1Gの場合と同様のレベルに戻り易く、該滑性,耐貼付性等の物性が長期間安定して持続する。
本実施形態の自動車用ウェザーストリップおよび該自動車用ウェザーストリップの製造方法においては、以下に示すようなエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,カーボンブラック,軟化剤,シリコーン化合物,熱膨張カプセルだけでなく、例えば使用目的に応じて、発泡剤,加硫剤,加硫促進助剤,加硫促進助剤,加工助剤,無機充填剤等の各種添加剤を適宜配合しても良い。
[エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体]
エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体においては、α‐オレフィンとして、例えばプロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、1‐デセン等が挙げられ、好ましくはプロピレンとする。もちろん、前記のα‐オレフィン群のなかから複数のものを選択し、例えばプロピレンと1‐ブテンの如く組み合わせて使用しても良い。
また、ポリエン共重合体が5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5‐ビニル‐2‐ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン等の環状の非共役ポリエンであるものや、1,4ヘキサジエン、7‐メチル‐1,6‐オクタジエン、4‐エチリデン‐8‐メチル‐1,7‐ノナジエン、4‐エチリデン‐1,7ウンデカジエン、4,8‐ジメチル‐1,4,8‐デカトリエン等の鎖状の非共役ポリエンであるものが挙げられる。これら各非共役ポリエンは、単独、または2種類以上組み合わせたものでも良く、その構成単位(エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体における非共役ポリエンの含有比率)は例えば1wt%〜20wt%とし、好ましくは1wt%〜15wt%、より好ましくは5wt%〜11wt%である。このようなエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体としては、例えば住友化学社製のエスプレン7456を適用することができる。
[カーボンブラック]
前記のカーボンブラックにおいては、例えばゴム成形体の技術分野で適用されているもので、平均粒径(算術平均粒径)60nm以上、好ましくは60nm〜90nmのものを用いる。また、このカーボンブラックの配合量は、50phr未満であると混練加工が困難となるため、50phr以上〜120phr以下、好ましくは50phr以上〜100phr以下とする。このようなカーボンブラックとしては、例えば旭カーボン社製の旭カーボンブラック・旭♯50や旭カーボンブラック・旭♯55において算術平均粒径60nm以上のロットを選定して適用することができる。
[軟化剤]
前記の軟化剤としては、例えばプロセスオイル,パラフィン系オイル,潤滑油,流動パラフィン,石油アスファルト,ワセリン等の石油系軟化剤や、コールタール,コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤や、ヒマシ油,アマニ油,ナタネ油,ヤシ油等の脂肪油系軟化剤が挙げられる。これら各軟化剤のうち、好ましくは石油系軟化剤が挙げられ、より好ましくはパラフィン系オイルが挙げられる。また、前記のような軟化剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、例えば100phr以下とする。
[シリコーン化合物]
前記のシリコーン化合物としては、粘度が1000cSt(25℃)以上であるものを用いることができる。具体的には、ジメチルシリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイル,シリコーンゲル(いわゆるガム状シリコーン)等のシリコーンオイルが挙げられる。より具体的には、例えば信越化学社製のKF96,KF50,KE76BSや、GE東芝シリコーン社製のTSF451,TSF456,TSE3051等が挙げられるが、その他一般的に販売されているシリコーン化合物であっても、粘度が1000cSt(25℃)以上であれば、それぞれ好適に用いることができる。また、前記の各シリコーン化合物は、何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。さらに、前記のようなシリコーン化合物は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量(例えば、0〜10phr)で用いる。この配合量が過多(例えば、10phr超)であると、ゴム材料組成物の混練性,押出し成形性が低下したり、滑性塗膜の密着性が低下する恐れがある。
[熱膨張カプセル]
前記の熱膨張カプセルとしては、押出し成形加硫での加硫工程にて膨張し得るものが適用される。例えば、加熱(加硫工程の加熱)により気体を発生し得る液体(例えば、低沸点の炭化水素,塩素化炭化水素)を熱可塑性樹脂の殻壁(例えば、球状の殻壁)内に充填したもの(熱膨張性の熱可塑性樹脂粒子)であって、真比重0.1以下,粒径(メディアン径)5μm〜100μmとし、その液体が膨張開始温度以上の温度(例えば、120℃〜150℃)の加熱(例えば、加硫温度での加熱)により膨張し、目的とするゴム成形体内にて熱膨張セル(例えば30μm〜300μmの熱膨張セル)を形成する液体封入熱可塑性樹脂粒子が挙げられる。
前記の熱膨張カプセルの膨張開始温度が目的とするゴム成形体の加硫温度よりも十分低い場合(例えば、加硫温度のピーク温度が170℃程度の場合、120℃〜150℃程度)には、該加硫工程時に熱膨張セルによる構造が形成された後、加硫されたゴム成形体が得られることから、たとえ生産工程上において生じ得る加硫温度のバラツキがあっても、該ゴム成形体の比重のバラツキが生じることは殆どない。換言すれば、安定した比重でスポンジゴムを生産することが可能となる。
また、前記の熱膨張カプセルの殻壁を構成する熱可塑性樹脂の成分として、好ましくは(メタ)アクリルニトリル重合体や、(メタ)アクリルニトリルを多く含有する重合体が挙げられ、それら重合体に対するモノマー(いわゆる相手側のモノマー;コモノマー)として、ハロゲン化ビニル,ハロゲン化ビニリデン,スチレン系モノマー,(メタ)アクリレート系モノマー,酢酸ビニル,ブタジエン,ビニルピリジン,クロロプレン等のモノマーが挙げられる。
なお、前記の殻壁は、未架橋であることが好ましいが、例えば一般的なジビニルベンゼン,エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の架橋剤により架橋されたものであっても良い。また、熱膨張カプセル内に充填される液体としては、例えばn‐ペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,ブタン,イソブタン,ヘキサン,石油エーテル等の炭化水素類や、塩化メチル,ジクロロエチレン,トリクロロエタン,トリクロルエチレン等の塩素化炭化水素類が挙げられる。
熱膨張カプセルの更なる具体例としては、大日精化工業社製のダイフォームH750Dの他、同シリーズであるH770D,H850D,M430を好適に使用することができる。また、例えば、松本油脂社製のマツモトマイクロスフェアーF80S−D,F85−D,F100−D,F105−D,F82−Dや、スウェーデン国・エクスパンセル社製のEXPANCEL091DU−80,092DU−120等を適用することもできる。熱膨張カプセルの配合量は、例えば目的とするゴム成形体の比重を考慮して適宜設定することができる。
このような熱膨張カプセルをエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体等の高分子材料に添加する場合、その熱膨張カプセルの飛散の防止や分散性の向上を図るために、あらかじめ他の使用材料(例えば、高分子弾性体.熱可塑性樹脂,軟化剤,無機充填材等の何れか、または複数のもの)と混合してから用いても良い。この具体例としては、予めオイルコンテント品,EVA,PE等に含有されたものが市販されている。
熱膨張カプセルを予め他の使用材料と混合してから用いる場合には、該発泡剤の混合比率を10wt%〜99wt%、好ましくは10wt%〜50wt%に調整する。また、前記のような熱膨張カプセルは何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。
[塗料]
前記の塗料としては、市販品や種々のものを適宜適用することができ、例えば摺動性を有するシリコーン系(例えば、反応性ポリオルガノシロキサン,シランカップリング剤,ジブチルチンラウレート,フィラー等の混合物),ウレタン系(例えば、反応性ウレタンシリコーン共重合体,シリコーンオイル,ポリイソシアネート,フィラー等の混合物)等のものが挙げられる。また、該塗料においては、各種添加剤を配合、例えば密着性向上剤(ゴム成形体との密着性),外観調整剤,脱水剤,酸化防止剤,老化防止剤,熱安定剤,光安定剤,紫外線吸収剤,中和剤,滑剤,アンチブロッキング剤,スリップ剤,分散剤,難燃剤,帯電防止剤,導電性付与剤,粘着付与剤,架橋剤,架橋助剤,防カビ剤,防菌剤,摺動性向上剤,金属粉末(フェライト等),ガラス繊維,炭素繊維,摺動性粉末(ポリマービーズ等),ゴム紛等が挙げられ、何れか1種類または複数の種類のものを組み合わせ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体に応じて適宜使用して良い。
[発泡剤]
前記の発泡剤としては、種々のものを適宜適用することができ、例えば有機系発泡剤が挙げられる。有機系発泡剤の具体例としては、4,4‐オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド(OBSH)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾカルボキシレート等が挙げられる。この有機系発泡剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度(例えば、0〜10phr)に用いることが好ましい。また、前記のような有機系発泡剤と共に、尿素系誘導体,サリチル酸,フタル酸,ステアリン酸等の発泡助剤を用いても良い。
[加硫剤]
前記の加硫剤としては、硫黄が挙げられ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは0.5phr〜2phr程度とする。
[加硫促進剤]
前記の加硫促進剤としては、チアゾール系,チウラム系,スルフェンアミド系,グアニジン系,チオウレア系,ジチオカルバミン酸系のものが挙げられ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは2phr〜8phr程度とする。
[加硫促進助剤]
前記の加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(亜鉛華),炭酸亜鉛,酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,一酸化亜鉛等が挙げられ、好ましくは酸化亜鉛,酸化マグネシウムが挙げられる。これら加硫促進助剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは5phr程度とする。
[加工助剤]
前記の加工助剤としては、ステアリン酸,リシノール酸,パルミチン酸,ラウリン酸等の高級脂肪酸や、その高級脂肪酸のエステル類や、ステアリン酸等の高級脂肪酸の塩が挙げられ、その他のゴム成形体の技術分野で加工助剤として扱われている化合物を用いても良い。これら加工助剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは5phr程度とし、より好ましくは3phr以下とする。
[無機充填剤]
前記の無機充填剤としては、炭酸カルシウム,クレー,シリカ,ケイ酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,カオリン,マイカ,ゼオライト等が挙げられ、何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。また、前記のような無機充填剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、例えば0〜100phr程度とする。
[その他の添加剤]
前記の各種添加剤の他には、脱水剤,酸化防止剤,老化防止剤,熱安定剤,光安定剤,紫外線吸収剤,中和剤,滑剤,防雲剤,アンチブロッキング剤,スリップ剤,分散剤,難燃剤,帯電防止剤,導電性付与剤,粘着付与剤,架橋剤,架橋助剤,金属不活性剤,分子量調整剤,防菌・防黴剤,蛍光増白剤,摺動性向上剤,着色剤(酸化チタン等),金属粉末(フェライト等),ガラス繊維,無機繊維(金属繊維等),炭素繊維,有機繊維(アラミド繊維等),複合繊維,ガラスバルーン,ガラスフレーク,グラファイト,カーボンナノチューブ,フラーレン,硫酸バリウム,フッ素樹脂,充填剤ポリオレフィンワックス(ポリマービーズ等),セルロースパウダー,ゴム紛,再生ゴム等が挙げられ、何れか1種類または複数の種類のものを組み合わせ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体に応じて適宜使用して良い。
[製法]
前記のエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,カーボンブラック,軟化剤,シリコーン化合物,熱膨張カプセルや、必要に応じて各種添加剤等を混練して目的とするゴム材料組成物を得る場合、例えば接線式ミキサー,噛み合い式ミキサー,ニーダー等の各種密閉式混練機や、連続式の二軸押出混練機やオープンロール等を適宜適用できる。また、前記のゴム材料組成物を押出し成形加硫(例えば、200±40℃の押出し成形加硫)して目的とするゴム成形体を得る場合には、例えば連続熱風加硫装置(HAV),高周波加硫装置(UHF)や、その他の一般的な加硫装置を適用することができる。また、前記の各種機器を必要に応じて組み合わせ(例えば、連続熱風加硫と高周波加硫とを組み合わせ)適用しても良い。
塗料においては、例えばゴム材料組成物の押出し成形後であって、加硫後に塗布する。塗布する場合には、予めプライマー処理してから行い、該塗布後に乾燥させることが好ましい。また、塗布方法においては、例えばスプレー塗布方法,刷毛による塗布方法等が挙げられる。
次に、本実施形態に基づいて種々のゴム材料組成物(後述のゴム配合物S1〜S11(実施例),P1〜P11(比較例),P12(参照例))を作製し、それらゴム材料組成物の加工性およびゴム成形体(後述の試料GS1〜GS11(実施例),GP1〜GP11(比較例),GP12(参照例))の物性等を調べた。
まず、高分子材料としてエチレン‐プロピレン‐5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン(住友化学社製のエスプレン7456)を100phr用い、密閉式ミキサーにて素練した。その後、前記の素練物に対し、算術平均粒径が80nm,60nm,45nmのカーボンブラック(以下、それぞれカーボン80nm,60nm,45nmと称する)のうち1種類を45phr〜140phr、軟化剤(JOMO社製のプロセスオイルP−300)を80phr〜110phr、粘度(25℃)が100cSt,1000cSt,100000cStのシリコーン化合物(信越化学社製のジメチルシリコーンオイルKF96)のうち1種類を0〜5phr加え、所定時間混練した。
なお、本実施例においては、前記のカーボン80nm,60nm,45nmとして、旭カーボン社製の旭カーボンブラック・旭♯50,旭♯55,♯60の材料ロットから、それぞれ算術平均粒径80nm,60nm,45nmに該当するものを選定して用いた。また、前記の各種材料の他に、加工助剤としてステアリン酸を1phr,ポリエチレングリコールを1phr、無機充填剤として炭酸カルシウムを30phr、無機加硫促進助剤として活性亜鉛華を3phr,脱水剤として酸化カルシウムを5phr加えてから、5L密閉式混練機で5分間混練した。
その後、前記の密閉式混練機で得た混練物を取り出し、オープンロール機で混練しながら、発泡開始温度が約145℃,約180℃,約90℃の熱膨張カプセル(大日精化工業社製のダイフォームH750D;以下、それぞれ145℃カプセル,180℃カプセル,90℃カプセルと称する)のうち1種類を0〜15phr、有機系発泡剤として4,4‐オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド系化合物(永和化成工業社製のネオセルボンN♯1000SW)を0〜7phr、加硫促進剤としてチアゾール系,チウラム系,スルフェンアミド系のものを合わせて5phr、加硫剤として硫黄を1phr加え(混練物をロールに巻きつけてから加え)、所定時間混合(ブレンド)することにより、後述の表1に示すように種々の組成のゴム配合物(リボン状で未加硫のゴム配合物)S1〜S11,P1〜P12をそれぞれ得た。
Figure 2008055976
次に、前記の各ゴム配合物S1〜S11,P1〜P12において、それぞれゴム成形体用の押出成形機を用いて押出成形(後述の図2に示す成形体が得られるような口金形状を有し押出成形機で、スクリュー回転数を調整して押出成形)した後、その押出成形物を連続熱風加硫装置にて加硫(温度200℃,10分間で加硫)することにより、図2に示すように略平板状の基部(厚さ2mm,幅25mmの基部)21に対し横断面略円状のチューブ部(肉厚2mmのチューブ)22が設けられたゴム成形体(高さ20mmのゴム成形体)の試料GS1〜GS11,GP1〜GP12(図中では符号20)をそれぞれ作製した。
なお、前記の各試料GS1〜GS11,GP1〜GP12のうち試料GP12以外については、それぞれ押出成形直後の押出成形物表面に対し、ウレタン系塗料(ウレタンポリオール85phr,ポリイソシアネート15phr,ジオルガノシロキサン(10万cp)40phr,硬化性シリコーンオイル(分子量100万)40phr,触媒4phr,つや消し剤15phr,溶剤1500phrを配合して成る塗料)またはシリコーン系塗料(反応性ポリオルガノシロキサン100phr,シランカップリング剤20phr,ジブチルチンラウレート0.1phr,フィラー10phrを配合して成る塗料)を厚さ5μm塗布してから、加硫したものとする。
前記のように作製した各ゴム配合物S1〜S11,P1〜P12の加工性(混練加工性,押出成形性)、および各試料GS1〜GS11,GP1〜GP12の外観性(塗膜の見栄え),耐貼付性(貼り付き力,耐貼付持続指数,磨耗劣化後の貼り付き力),滑性(摩擦係数,摩擦持続指数)を、それぞれ以下に示す方法により測定し、それら各測定結果を後述の表2に示した。なお、後述の表2の総合評価の項目において、記号「◎」,「○」,「×」は、それぞれ自動車用ウェザーストリップ等のゴム成形体として良好に適用できる場合,十分適用できる場合,適用困難な場合を示すものとする。
[混練加工性]
前記の各ゴム配合物において、14インチロールを備え各ロール間の距離が5mmに設定されたオープンロール機によりそれぞれ混練し、前記の各ロールに対するゴム配合物の巻き付き性を観測した。なお、後述の表2の混練加工性の項目において、記号「◎」はゴム配合物が各ロール間へ容易に浸入し該ロールに密着するように巻き付いた場合を示し、記号「×」はゴム配合物が各ロールに密着せずに垂れ下がったり途中で切断された場合を示すものとする。また、記号「○」は記号「◎」の場合よりもゴム配合物が各ロール間へ浸入し難いが、時間経過と共に該ロールに密着するように巻き付いた場合を示す。記号「△}は、ゴム配合物がロールに密着する場合と密着しない場合があり、量産として混練が不可能と判断される場合を示す。
[押出成形性]
直径75mmの押出機で、回転数が15rpmに設定された押出成形機により、前記の各ゴム配合物(押出成形時の温度60±5℃に調整されたゴム配合物)において1分間の押出を行い、図2に示した形状のゴム成形体(試料20)をそれぞれ得た。
この押出成形を各ゴム配合物毎に100回繰り返し、その押出成形毎に押出成形機から吐出された押出成形物(未加硫物)の質量(g)をそれぞれ吐出量として秤量した。そして、各ゴム配合物毎に、吐出量のばらつき(%)を下記(1)式により算出した。
吐出量のばらつき(%)=((「最大吐出量」−「最小吐出量」)/平均吐出量)×100 …… (1)。
[塗膜外観性]
試料GS1〜GS11,GP1〜GP12のうち試料GP8以外について、塗膜の表面を目視により観察した。なお、後述の表2の塗膜外観性の項目において、記号「◎」,「○」,「△」,「×」は、それぞれ自動車用ウェザーストリップ等の製品として好適に使用できる程度の高い美観を有する場合,使用できる程度の十分な美観を有する場合、美観は低いものの製品として使用できる可能性はある場合,美観が劣り製品として使用することが困難と思われた場合を示すものとする。
[耐貼付性(初期および熱加速劣化後)]
図3A(平面図),B(側面図),C(動作図)に示すように、前記の試料20を矩形平板状(5mm×50mm×2mm)に打ち抜いて2個の試料片30を作製し、それら各試料片30の表面の汚れをエタノールで清浄(拭き取り)した後、矩形平板状(2mm×110mm×70mm)のステンレス板(SUS板)31上に対しそれぞれ60mm隔てて接着剤により固定(5mm×50mmの面(滑性塗膜が形成される面の反対側の面)を固定)した。
さらに、前記の各試料片30を覆うように、該試料片30上に矩形平板状(ステンレス板31と同様の形状で、厚さ1.0mm〜1.5mm)の白色メラミン塗装板32を載置(滑性塗膜が形成される面上に載置)し、その塗装板32上に計49Nの錘部材33を載置して荷重を加えながら、80℃雰囲気下中にて24時間放置した。
その後、前記の錘部材33を取り除き(測定直前に取り除き)、ステンレス板31と塗装板32との間(および各試料片30間)に対し縦断面略L字状の治具34を介在させ、その治具34の内角側を塗装板32の端部に係合させると共に前記のステンレス板31を固定した状態で、テンシロン引張り試験機によって治具34を水平方向(固定された各試料片30の長手方向;図示矢印方向)に対して速度50mm/分で引張る(すなわち、治具34を介して塗装板32を引張る)ことにより、その塗装板32と試料片30とが完全に剥離した際に生じる最大荷重(単位;N/5cm2)を貼り付き力(以下、初期貼り付き力と称する)として測定し、耐貼付性を調べた。
また、前記のように各試料片30を覆うように塗装板32を載置し錘部材33により荷重を加えながらギヤオーブン内(80℃)にて計200時間放置することにより、該試料片30を熱加速劣化処理した後、初期貼り付き力同様の方法により塗装板32と試料片30とが完全に剥離した際に生じる最大荷重(単位;N/5cm2)を貼り付き力(以下、熱劣化後貼り付き力と称する)として測定した。
そして、前記の初期貼り付き力,熱劣化後貼り付き力を用い下記式により耐貼付持続指数ΔSを算出し、耐貼付性の持続性(以下、耐貼付持続性と称する)を調べた。
「耐貼付持続指数ΔS」=「熱劣化後貼り付き力」−「初期貼り付き力」 …… (2)。
なお、ここで使用したN/5cm2は、2個の試料片30の総接触面積に対する剥離荷重を数値化するために発明者が規定した単位である。また、「耐貼付持続指数ΔS」,「熱劣化後貼り付き力」は、80℃,20時間の熱加速劣化処理を10回繰り返した場合(すなわち、熱加速劣化処理時間の合計が200時間(アレニウスの法則に基づいて経過年数を約5年加速させたことに相当))の結果である。さらに、前記の10回の熱加速劣化処理毎に、塗装板32をエタノールで清浄する工程(特に、両者の接触面を清浄する工程)と、試料片30の表面をクレシア社製のキムワイプ(キムワイプS−200)で清浄する工程(エタノールを含んだキムワイプが試料片30に対して0.98Nの荷重で圧接するように、該試料片30表面を一方向に掃引して清浄する工程)を行ったものとする。
[耐貼付性(磨耗劣化後)]
まず、前記の試料20を矩形平板状(10mm×150mm×2mm)に打ち抜いて試料片40を作製し、図4(詳細を後述する)に示す試験装置(学振型(JIS L0849のII型)スガ試験機株式会社製の染色堅牢度摩擦試験機械)を用いて前記の試料片40を摩擦劣化させた。
図4において、符号41は、被測定対象となる試料片40が載置される台座を示すものである。なお、符号40aは、前記試料片40の図示上面側(後述するサンドペーパー46が接する面側)に形成される滑性塗膜を示すものである。前記台座41の端部における連結部41aは、連結部材43を介して回転ディスク44の連結部44aに連結される。回転軸44bを中心にして回転ディスク44を回転させることにより、前記台座41を図示左右方向に往復運動(ストローク)させることができる。
符号45は前記試料片40に対して荷重を加えることができる加重部材(質量200gの加重部材)を示すものであり、符号46は前記加重部材45を覆うようにして備えられたサンドペーパ(サンドペーパ♯800)を示すものである。符号47は、前記サンドペーパー46を前記加重部材に対して固定するための固定部材を示すものである。
以上示したように構成された試験装置において、加重部材45により試料40に対して荷重を加えると共に、回転ディスク44を回転(サイクル速度;30回/分)させて台座41を図示左右方向に500回往復運動(ストローク120mm)させることにより、前記試料片40をの磨耗劣化させた。なお、サンドペーパ46は、250回往復運動毎に交換したものとする。
そして、前記のように磨耗劣化させた試料片40を矩形平板状(5mm×50mm×2mm)に打ち抜いて2個の試料片30を得、それら各試料片30について前記[耐貼付性,劣化後耐貼付性]の欄で示した方法により初期貼り付き力(以下、磨耗劣化後貼り付き力と称する)を求めた。
[滑性]
図5A(概略図),B(変化特性図)に示すように、前記の試料20を矩形平板状(5mm×100mm×2mm)に打ち抜いて試料片50を作製し、その試料片50の表面の汚れをエタノールで拭き取った後、摩擦係数測定機(新東科学製のHEIDON−14D)の支持台(試験台)51上に載置した。その後、R50球面ガラスを構成し0.98Nの荷重が加えられた錘部材52を、前記の試料片50上に載置(R50球面側を載置)し、その錘部材52を水平方向(試料片50の長手方向;図示矢印方向)に対して速度1000mm/分で摺動(試料片50に接触しながら摺動)させることにより、例えば図5Bに示すような経過時間(摺動時間の経過)に対する摩擦係数変化特性を得て、静摩擦係数(以下、初期静摩擦係数と称する),動摩擦係数(以下、初期動摩擦係数)を測定した。
また、前記の試料片50をギヤオーブン内(80℃)にて計200時間放置することにより、該試料片50を熱加速劣化処理した後、初期静摩擦係数,初期動摩擦係数と同様の方法により、経過時間に対する摩擦係数変化特性を得て、静摩擦係数(以下、劣化後静摩擦係数と称する),動摩擦係数(以下、劣化後動摩擦係数)を測定し、滑性を調べた。
そして、前記の初期静摩擦係数,劣化後静摩擦係数(または、初期動摩擦係数,劣化後動摩擦係数)を用い下記式により静摩擦持続指数Δμs(または動摩擦持続指数Δμd)を算出し、滑性の持続性(以下、滑持続性とし、それぞれを静滑持続性,動滑持続性と称する)を調べた。
「静摩擦持続指数Δμs(または動摩擦持続指数Δμd)」=「劣化後静摩擦係数(または劣化後動摩擦係数)」−「初期静摩擦係数(または初期動摩擦係数)」 …… (3)。
なお、「静摩擦持続指数Δμs」,「動摩擦持続指数Δμd」,「劣化後静摩擦係数」,「劣化後動摩擦係数」は、80℃,20時間の熱加速劣化処理を10回繰り返した場合(すなわち、熱加速劣化処理時間の合計が200時間(アレニウスの法則に基づいて経過年数を約5年加速させたことに相当))の結果である。また、前記の10回の熱加速劣化処理毎に、試料片50の表面をクレシア社製のキムワイプ(キムワイプS−200)で清浄する工程(エタノールを含んだキムワイプが試料片50に対して0.98Nの荷重で圧接するように、該試料片50表面を一方向に掃引して清浄する工程)を行ったものとする。
Figure 2008055976
前記の表2に示す結果から、以下に示すことが判明した。
<ゴム配合物P1〜P3,試料GP1〜GP3>
一般的な配合(カーボン80nmを140phr配合)のゴム配合物P1、シリコーン化合物や熱膨張カプセルを配合したP2,P3は、それぞれ混練加工性,押出成形性が良好であり、該ゴム配合物P1〜P3から成る試料GP1〜GP3において十分な塗膜外観性,滑性,耐貼付性が得られるものの、滑持続性,耐貼付持続性は不十分になり易いことを読み取れる。
この結果から、ゴム配合物P1〜P3のような一般的な配合物を用いたゴム成形体の場合、塗膜により十分な塗膜外観性,滑性,耐貼付性が得られるものの、該塗膜は時間経過と共に劣化(例えば、熱や磨耗により劣化)する恐れがあり、たとえシリコーン化合物や熱膨張カプセルが配合されていても滑持続性,耐貼付持続性は低いことを読み取れる。
<ゴム配合物P4,P5、試料GP4,GP5>
一般的な配合(ゴム配合物P3等)と比較してカーボン80nmの配合を少量にしたゴム配合物P4は、混練加工性,押出成形性の両方が共に良好であり、該ゴム配合物P4から成る試料GP4の表面にはカーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面が形成され、塗膜外観性,滑性,耐貼付性,滑持続性が良好であったが、耐貼付持続性は低かった。
また、ゴム配合物P4の軟化剤の配合を比較的少量にしシリコーン化合物の配合を比較的多量にしたゴム配合物P5は、滑性,耐貼付性,滑持続性,耐貼付持続性の全てが良好であったが、該ゴム配合物P5から成る試料GP5の混練加工性,押出成形性,塗膜外観性は低かった。
この結果から、一般的な配合において単にカーボン80nm配合量を少なくし熱膨張カプセルを配合することにより、カーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面が形成され得るものの、軟化剤が配合されている場合(特に、軟化剤が粘着性を有する場合)には、塗膜の劣化に応じて耐貼付性が低下するため、耐貼付持続性が低いことを読み取れる。
また、シリコーン化合物の配合量が過多の場合には混練加工性や押出成形性が低下し、ゴム成形体に塗布され得る塗料は弾かれ易くなり塗膜外観性が低下することを読み取れる。
<ゴム配合物P6〜P9,試料GP6〜GP9>
一般的な配合(ゴム配合物P3等)と比較してカーボン80nm,軟化剤の配合量が少量の配合物であって、熱膨張カプセルを配合しないゴム配合物P6は、混練加工性,押出成形性が共に良好であり、該ゴム配合物P6から成る試料GP6の塗膜外観性,滑性,耐貼付性の全てが良好であったが、滑持続性,耐貼付持続性は低かった。
また、カーボン80nmの配合量が極めて少ないゴム配合物P7,粘度100cStのシリコーン化合物を配合したゴム配合物P8は、それぞれ滑性,耐貼付性,滑持続性,耐貼付持続性の全てが良好であったが、該ゴム配合物P7,P8から成る試料GP7,GP8の混練加工性,押出成形性,塗膜外観性は低かった。
さらに、カーボン80nmの替わりにカーボン45nmを配合したゴム配合物P9は、混練加工性,押出成形性が良好であり、該ゴム配合物から成る試料GP9の塗膜外観性,耐貼付性は良好であったが、滑性,滑持続性,耐貼付持続性は不十分であった。
この結果から、一般的な配合において熱膨張カプセルが無配合である場合には、滑持続性,耐貼付持続性が得られないことを読み取れる。
また、カーボン80nmの配合量が過少,シリコーン化合物の粘度が過小の場合には、配合物の纏まり性や分散性が低くなり、その配合物の混練加工性,押出成形性が低下(例えば、ロールに対する巻き付き性の低下や吐出のバラツキが発生)し、ゴム成形体の塗膜外観性も低くなることを読み取れる。
さらに、カーボンブラックの算術平均粒径が過小の場合には、ゴム成形体においてカーボン由来粗面が形成されないため、当接対象との接触面積が大きくなってしまい、該ゴム成形体に対する塗膜の密着性が低くなると共に、たとえ塗膜が除去された後にシリコーン化合物がブリードしても、該ブリード物は除去され易いことを読み取れる。
<ゴム配合物P10,P11、試料GP10,GP11>
一般的な配合(ゴム配合物P3等)と比較してカーボン80nm,軟化剤の配合量が少量の配合物であって、180℃カプセルを配合したゴム配合物P10は、混練加工性,押出成形性が共に良好であり、該ゴム配合物P10から成る試料GP10の塗膜外観性,滑性,耐貼付性の全てが良好であったが、滑持続性,耐貼付持続性は低かった。また、90℃カプセルを配合したゴム配合物P11は、混練加工性が極めて低く、押出成形することができなかった。
この結果から、熱膨張カプセルの熱膨張開始温度が高過ぎる場合には、熱膨張由来凹凸面が形成され難くなり、当接対象との接触面積が大きくなり易いため、たとえ塗膜が除去された後にシリコーン化合物がブリードしても、該ブリード物は除去され易いことを読み取れる。また、熱膨張カプセルの熱膨張開始温度が低過ぎる場合には、該熱膨張カプセルがゴム配合物の押出成形時に膨張してしまい、該ゴム配合物の混練加工時においても膨張し得る可能性があることを読み取れる。
<ゴム配合物P12、試料GP12>
一般的な配合(ゴム配合物P3等)と比較してカーボン80nm,軟化剤の配合量が少量の配合物であって、145℃カプセルを配合したゴム配合物P12は、混練加工性,押出成形性が共に良好であり、該ゴム配合物P12から成る試料GP12は、塗膜を有しないものの、滑性,耐貼付性,滑持続性,耐貼付持続性の全てが良好であった。
<ゴム配合物S1〜S11,試料GS1〜GS11>
前記のゴム配合物P12と同様の配合物であって、カーボン80nmを50phr〜100phr配合したゴム配合物S1〜S4、軟化剤を100phr配合したゴム配合物S5、粘度1000cStのシリコーン化合物を配合したゴム配合物S6、シリコーン化合物を10phr配合したゴム配合物S7、145℃カプセルを0.5phr〜15phr配合したゴム配合物S8,S9、カーボン60nmを配合したゴム配合物S10、シリコーン化合物が無配合のゴム配合物S11は、それぞれ該ゴム配合物P12と同様の混練加工性,押出成形性が得られた。
また、該ゴム配合物S1〜S11から成る試料GS1〜GS11は、それぞれ前記の試料GP12と同様の滑持続性,耐貼付持続性が得られると共に、滑性,耐貼付性においては更に良好な結果が得られた。
この結果から、ゴム配合物S1〜S11のように、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラックを50phr〜100phr,粘度1000cSt以上のシリコーン化合物を10phr以下,押出し成形加硫での加硫工程にて膨張し得る熱膨張カプセル(例えば、120℃〜150℃;本実施例では145℃カプセル)を配合した配合物においては、十分な纏まり性を有することから、良好な混練加工性,押出成形性が得られることを読み取れる。
また、該配合物から成るゴム成形体においては、カーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面が形成され、当接対象との接触面積が小さくなると共に、たとえ該ゴム成形体の塗膜が劣化して除去されてもカーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面にシリコーン化合物のブリード物が残存し易いことから、良好な滑性,耐貼付性が持続することを読み取れる。さらに、軟化剤の配合量が100phr以下であれば、耐貼付性の低下は殆どないことが読み取れる。さらにまた、シリコーン化合物を配合しなくとも、塗膜がウレタン系塗料,シリコーン系塗料の何れであっても、それぞれ同様の物性が得られることを読み取れる。
ここで、下記表3および図6A(静摩擦係数),B(動摩擦係数)は、前記の試料GP1,GP12,GS3における各熱加速劣化処理毎に測定した劣化後静摩擦係数,劣化後動摩擦係数の結果(熱加速劣化処理時間に対する変化特性)を示すものである。
Figure 2008055976
この表3および図6に示す結果において、試料GP1は、特に初期静摩擦係数,初期動摩擦係数は良好であるものの、熱加速劣化処理回数が増加するに連れて(熱加速劣化処理時間が増加するに連れて)、劣化後静摩擦係数,劣化後動摩擦係数が上昇する傾向があることを読み取れる。また、試料GP12は、特に初期静摩擦係数,初期動摩擦係数は比較的大きいものの、熱加速劣化処理回数が増加するに連れて、劣化後静摩擦係数,劣化後動摩擦係数が低下し安定することを読み取れる。
一方、試料GS3においては、特に初期静摩擦係数,初期動摩擦係数は試料GP1同様に良好であり、熱加速劣化処理回数が増加しても劣化後静摩擦係数,劣化後動摩擦係数は該初期静摩擦係数,初期動摩擦係数と同様に良好で安定していることを読み取れる。
なお、前記のゴム配合物S1〜S11と同様に、少なくとも他の高分子材料,カーボンブラック,軟化剤,シリコーン化合物,熱膨張カプセルを配合したゴム配合物であって、該カーボンブラックの算術平均粒径が60nm以上(例えば、カーボン60nm,80nm)で配合量が50phr〜100phr,該軟化剤の配合量が100phr以下,粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物が10phr以下,押出し成形加硫での加硫工程にて膨張し得る熱膨張カプセル(例えば、120℃〜150℃;本実施例では145℃カプセル)を配合したものであれば十分な混練加工性,押出し成形性が得られ、そのゴム配合物を用いて成る試料の塗膜外観性,滑性,耐貼付性,滑持続性,耐貼付持続性が十分良好であったことを確認した。
以上示した各試料GS1〜GS11は、例えば図7A(概略図),B〜F(部分断面図)に示すように自動車70のドア部71やトランク部72等に用いられるドア用ウェザーストリップ73,74,75やトランク用ウェザーストリップ76に適用することができる。これら、ドア用ウェザーストリップ73,74,75、トランク用ウェザーストリップ76においては、それぞれ固定部73a,74a,75a,76aを介して自動車70に組み付けられ、それぞれの当接部位73b,74b,75b,76bが各々の当接対象に当接する。したがって、前記の当接部位73b,74b,75b,76bのうち少なくとも表面側に前記の各試料GS1〜GS11を適用し、その他の固定部73a,74a,75a,76a等には一般的なゴム成形体を適用することも可能である。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
ゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体の構造モデルを示す説明図。 実施例で用いたゴム成形体の試料(GS1〜GS11,GP1〜GP12)の概略説明図。 実施例における初期,熱加速劣化後の耐貼付性の測定方法を示す説明図。 実施例における磨耗劣化後の耐貼付性の測定方法を示す説明図。 実施例における摩擦係数の測定方法を示す説明図。 試料GP1,GP12,GS3における各熱加速劣化処理毎の劣化後静摩擦係数,劣化後動摩擦係数の測定結果の説明図。 本実施例におけるゴム成形体の適用例を示す説明図。
符号の説明
10…ゴム成形体
10a…平坦面
10b…ブリード物
10c…カーボン由来粗面
10d…熱膨張カプセル
10e…熱膨張由来凹凸面
10f…滑性塗膜
20…試料
30,40,50…試料片

Claims (4)

  1. ゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るシール用のゴム成形体であって、
    前記のゴム成形体のシール部における当接部位のうち少なくとも表面側は、
    少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラック50phr〜100phrと、軟化剤100phr以下と、粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物10phr以下と、前記押出し成形加硫での加硫工程の温度以下で膨張する熱膨張カプセルと、を配合したゴム材料組成物から成り、
    前記の当接部位の表面に熱膨張由来凹凸面が形成されると共に、その熱膨張由来凹凸面の表面にカーボン由来粗面が形成され、
    該カーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面を覆うように滑性塗膜が形成されたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
  2. 前記の熱膨張カプセルは、熱可塑性樹脂の隔壁内に液体が封入されたものであって、該液体は加熱により気体を発生するものであることを特徴とする請求項1記載の自動車用ウェザーストリップ。
  3. ゴム材料組成物を押出し成形加硫してシール用のゴム成形体を製造する方法であって、
    前記のゴム成形体のシール部における当接部位のうち少なくとも表面側のゴム材料組成物には、
    少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径60nm以上のカーボンブラック50phr〜100phrと、軟化剤100phr以下と、粘度(25℃)が1000cSt以上のシリコーン化合物10phr以下と、前記押出し成形加硫での加硫工程の温度以下で膨張する熱膨張カプセルと、を配合したゴム材料組成物を用い、
    該ゴム材料組成物を押出し成形加硫することにより、前記の当接部位の表面に熱膨張由来凹凸面を形成すると共に、その熱膨張由来凹凸面の表面にカーボン由来粗面を形成し、
    該カーボン由来粗面,熱膨張由来凹凸面を覆うように滑性塗料を塗布したことを特徴とする自動車用ウェザーストリップの製造方法。
  4. 前記の熱膨張カプセルは、熱可塑性樹脂の隔壁内に液体が封入され熱膨張開始温度が120℃〜150℃であって、該液体は加硫工程での熱により気体を発生するものであることを特徴とする請求項3記載の自動車用ウェザーストリップの製造方法。
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