JP2002020558A - エラストマー組成物及び成形品 - Google Patents

エラストマー組成物及び成形品

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JP2002020558A JP2000212292A JP2000212292A JP2002020558A JP 2002020558 A JP2002020558 A JP 2002020558A JP 2000212292 A JP2000212292 A JP 2000212292A JP 2000212292 A JP2000212292 A JP 2000212292A JP 2002020558 A JP2002020558 A JP 2002020558A
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修康 野田
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一 辻葩
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 基材マトリックスに、エチレン系重合
体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレ
ン系重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合
体、又はシリコーン系重合体を架橋してなる平均最長径
長さが30〜600μmであり、かつ実質的に溶融しな
い架橋ポリマー粒子を含有させると共に、沸騰キシレン
不溶ゲル分を含むことを特徴とするエラストマー組成物
及びこの組成物を成形してなる十点平均粗さが20μm
以上である成形品。 【効果】 安価で、しかも機械的強度、ゴム特性、耐久
性、成形性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー
を製造し得、これを基材マトリックスとして、特定の架
橋ポリマー粒子を分散させることにより、成形品の表面
に凹凸形状を形成でき、摺動性、耐摩耗性、非汚染性、
ゴミ排除性(ブラッシング効果)に優れ、デザイン性、
風合、手触り感などが人の感覚に訴えることができる高
品質な表面被覆部材を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凹凸外観意匠性、
疑似織物(ファブリック)、疑似布の風合を備え、手触
り感、摺動性、及びゴミ異物の排除性に優れたエラスト
マー組成物及び成形品に関し、特にウェザストリップ、
各種モール、アウトサイドミラーパッキン、グラスラン
チャンネル、ドリップモール等の自動車用外装部品、イ
ンパネ、ドアトリム、ヘッドレスト、シートベルトカバ
ー、エアーバッグカバー、アームレスト、シフトレバー
ノブ、各種のリットカバー、アシストグリップ等の自動
車用内装部品などに好適なエラストマー組成物及び成形
品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、柔軟でゴム弾性があり、安価で容易に成形できるオ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物を使って表皮を
形成し、デザイン性、手触り感、摺動性、ゴミ異物の排
除性などの機能を備えた部材(表面被覆部材)が、自動
車部材用途の他、硝子窓、引き戸等の建具建物間の摺動
部材、壁紙、レザー、鞄、手帳などの幅広い用途に用い
られている。
【0003】例えば、自動車用ウエザストリップは、ウ
インドウガラスの昇降がスムーズに行えるように、硝子
摺接部の摺動抵抗を小さくするため、接着剤でナイロン
パイルの植毛加工を施して摺接部を形成すると共に、水
密性の保持が必要なため、柔軟な弾性体を基材とする外
殻部にナイロンパイルの植毛を施している。
【0004】しかしながら、上記外殻部の弾性体とし
て、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場合、
プライマーと接着剤を用いてナイロンパイルを植毛して
いるが、その接着力は十分ではなく、特に、高温高湿の
雰囲気や溶剤の噴霧等の環境下ではナイロンパイル植毛
が脱落するおそれがあり、耐久性に問題があった。
【0005】このため、オレフィン系熱可塑性エラスト
マーにナイロンやウレタン系塗料等で表面処理を施して
摺接部を形成する方法、摺動テープを接着する方法など
が提案されているが、いずれも上記ナイロンパイルを植
毛する方法と同様、接着信頼性や製造工程での負担が大
きいという問題がある。
【0006】かかる問題を解決するため、ポリオレフィ
ン系樹脂からなる硝子圧接部基材層と、メルトフローレ
イト0.5g/10分以上(ASTM D1238 1
90℃)の低粘度ポリエチレンにメルトフローレイト
0.1g/10分以下の高粘度ポリエチレンの粉末又は
粒子からなる摺接部層とを同時に押出成形して、摺接部
表面に細かい凹凸の粗面部を形成し、ウインドウガラス
の昇降時の接合、分離の開閉操作を円滑軽快に行うこと
ができる自動車用ウエザストリップの成形方法が提案さ
れている(特公平7−73893号公報)。
【0007】上記成形方法における細かい凹凸の粗面部
の形成は、高粘度ポリエチレンの粉末又は粒子は、粘度
が高く、流動性が低いため、溶融状態にあっても、ある
程度の粉末又は粒子の形状を維持したままで、押出され
ることによるものであるが、高温領域の成形及び高剪断
領域の成形では、粉末又は粒子の形状が溶融消失してし
まい、表面の細かい凹凸の粗面部が十分に形成できない
という問題がある。
【0008】また、上記ナイロンパイル植毛は、摺動性
の他に、ウインドウガラス昇降時に、このウインドウガ
ラスに付着したゴミ、砂などの異物を取り込み、これら
を排除すると共に、ガラスの傷つきや異物擦れ音の発生
を防止するものであるが、これを樹脂の粉末又は粒子か
らなる凹凸の粗面部で行う場合、表面の十点平均粗さが
20μm以上であることが必要となり、上記特公平7−
73893号公報記載の溶融消失が心配される高粘度ポ
リエチレンの粉末又は粒子では、上記十点平均粗さを達
成することは、極めて困難である。
【0009】一方、自動車用内装材であるヘッドレス
ト、アームレスト、クラッシュハット、グローブボック
ス、コンソールボックス、ドアトリム等には、柔軟性や
クッション性を与えるため、内部を発泡ウレタン層で形
成すると共に、外殻部を皮革、織物、軟質樹脂で形成し
た層とした積層体が広く用いられている。
【0010】この場合、外殻材である皮革、織物、毛羽
立ち布、軟質樹脂の選択は、デザイン性、風合、手触り
感、価格などにより行われているが、価格の点からは軟
質樹脂が最も安く、従来から塩化ビニル系樹脂による疑
似皮革化が行われており、またオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーによる疑似皮革化の検討も行われている。
【0011】しかしながら、疑似皮革化以外の織物、毛
羽立ち布様の特性を有する軟質樹脂外殻材については実
用化されていない。他方、織物、毛羽立ち布は、ほこ
り、ごみ等の異物が付着した場合、これらを除くことが
難しく、汚れが付きやすいという欠点がある。
【0012】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、凹凸外観意匠性、疑似織物(ファブリック)、疑似
布の風合を備え、手触り感、摺動性、及びゴミや異物の
排除性に優れるエラストマー組成物及び成形品を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、成形品の凹凸表面粗さを制御するには、基材マトリ
ックスに架橋ポリマー粒子として、高温度領域の成形及
び高剪断領域の成形で溶融消失しないものを含有させる
ことが効果的であることを知見した。
【0014】即ち、基材マトリックスに、エチレン系重
合体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチ
レン系重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合
体、又はシリコーン系重合体を架橋してなる平均最長径
長さが30〜600μmであり、かつ実質的に溶融しな
い架橋ポリマー粒子を含有させると共に、沸騰キシレン
不溶ゲル分を含ませること、特に基材マトリックスとし
てエチレン−α・オレフイン−非共役ジエン共重合体ゴ
ムをオレフィン樹脂中で、動的に架橋したオレフィン系
熱可塑性エラストマーを用いること、この基材マトリッ
クスに分散させる架橋ポリマー粒子の組成や粒子の大き
さを調整することによって、凹凸外観意匠性、摺動性、
ゴミや異物の排除性、手触り感などの優れた特性を達成
できること、この場合、架橋ポリマー粒子は、複合架橋
剤で架橋することによって、耐候性、耐熱性、耐変色
性、無臭性、耐ブルームブリード性が改善されること、
更には、複合架橋剤の中でも特定構造の不飽和化合物を
使用したり、又はシリコーン共重合体を含有させること
によって、成形品に優れた摺動性、ゴミ異物の排除性、
耐磨耗性、良好な手触り感を付与し得ることを見出し、
本発明を完成したものである。
【0015】従って、本発明は、下記のエラストマー組
成物及び成形品を提供する。 請求項1:基材マトリックスに、エチレン系重合体、イ
ソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレン系重
合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合体、又は
シリコーン系重合体を架橋してなる平均最長径長さが3
0〜600μmであり、かつ実質的に溶融しない架橋ポ
リマー粒子を含有させると共に、沸騰キシレン不溶ゲル
分を含むことを特徴とするエラストマー組成物。 請求項2:上記基材マトリックスが、下記(A)、
(B)、(C)及び(D)成分からなる混合物で、下記
(A−1)成分を部分的又は完全に架橋してなるオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーである請求項1記載の組成
物。 (A)下記(A−1)成分と(A−2)成分とからなる
混合物 (A−1)エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共
重合体ゴム (A−2)ポリプロピレン及びその共重合体並びにポリ
エチレン及びその共重合体から選ばれる少なくとも1種
の重合体 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)下記一般式(D−i)〜(D−x)で示される構
造単位の1種又は2種以上を有すると共に、該構造単位
の合計量が分子量に対して12質量%以上である下記
(D−1)、(D−2)、(D−3)、(D−4)、
(D−5)及び(D−6)から選ばれる少なくとも1種
の不飽和化合物 (D−1)アクリロイル化合物 (D−2)メタクリロイル化合物 (D−3)不飽和ポリエステルアルキッド (D−4)ビニルポリシロキサン (D−5)1,4−結合のイソプレン重合体 (D−6)1,4−結合のブタジエン重合体
【化3】
【化4】 請求項3:上記架橋ポリマー粒子が、エチレン系重合
体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレ
ン系重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合
体、又はシリコーン系重合体を、下記(B)〜(D)成
分を含む複合架橋剤で架橋させたものである請求項1又
は2記載の組成物。 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)上記一般式(D−i)〜(D−x)で示される構
造単位の1種又は2種以上を有すると共に、該構造単位
の合計量が分子量に対して12質量%以上である下記
(D−1)、(D−2)、(D−3)、(D−4)、
(D−5)及び(D−6)から選ばれる少なくとも1種
の不飽和化合物 (D−1)アクリロイル化合物 (D−2)メタクリロイル化合物 (D−3)不飽和ポリエステルアルキッド (D−4)ビニルポリシロキサン (D−5)1,4−結合のイソプレン重合体 (D−6)1,4−結合のブタジエン重合体 請求項4:請求項1乃至3のいずれか1項記載の組成物
を成形してなる表面の十点平均粗さが20μm以上であ
ることを特徴とする成形品。
【0016】本発明によれば、室内室外の環境温度−3
0〜80℃において長期間に亘って低弾性率と高ゴム弾
性を有し、手、頭等の人体へのソフトな接触感、接触す
る他部材への追従密着性、成形品(表面被覆材)と人体
又は他部材間に砂等の硬質異物が挟まった場合に表面被
覆部材が容易に変形して人体又は他部材を傷付けにくく
できる点、圧接部材として永久変形、応力緩和が小さい
点から、基材マトリックスとしては、ポリプロピレン及
びその共重合体並びにポリエチレン及びその共重合体等
の硬質でゴム弾性のないオレフィン樹脂ではなく、特定
の熱可塑性エラストマーを用いること、特に特定の動的
架橋したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いるこ
とが好ましい。この基材マトリックスに対して、高温度
領域の成形及び高剪断領域の成形で溶融消失しない十分
な耐久性を備えた架橋ポリマー粒子を含ませることによ
り、これらが相俟って、柔軟性、低弾性率、永久変形及
び応力緩和が小さく、使用可能温度が広く、耐候性、耐
磨耗性、耐久性、機械的強度、経済性、更には凹凸外観
意匠性、疑似織物、疑似布の風合い、手触り感を備え、
特にウェザストリップ、各種モール、アウトサイドミラ
ーパッキン、グラスランチャンネル、ドリップモール等
の自動車用外装部品、インパネ、ドアトリム、ヘッドレ
スト、シートベルトカバー、エアーバッグカバー、アー
ムレスト、シフトレバーノブ、各種のリットカバー、ア
シストグリップ等の自動車用内装部品などに好適な成形
品が得られるものである。
【0017】以下、本発明について更に詳しく説明す
る、本発明のエラストマー組成物は、(I−1)基材マ
トリックスに、(I−2)エチレン系重合体、イソプレ
ン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレン系重合体、
炭素数3〜12のα−オレフィン系重合体、又はシリコ
ーン系重合体を架橋してなる平均最長径長さが30〜6
00μmであり、かつ実質的に溶融しない架橋ポリマー
粒子を含有させると共に、沸騰キシレン不溶ゲル分を含
むものである。
【0018】ここで、上記(I−1)成分の基材マトリ
ックスとしては、ポリスチレン系エラストマー(TP
S)、ポリオレフィン系エラストマー(TPO)、ポリ
エステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマ
ー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラス
トマー等の熱可塑性エラストマーなどを目的に応じて用
いることができるが、耐候性、耐水性、マテリアルリサ
イクル、サーマルリサイクル、架橋ポリマー粒子との密
着性の点からTPS又はTPOを用いることが好まし
い。
【0019】上記TPSとしては、例えばスチレン−ブ
タジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SI
S)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロッ
ク共重合体(SEBS)、水添スチレン−ブタジエンゴ
ム(HSBR)、スチレン以外のハードセグメントを持
たせたSEBC、CEBC等をポリプロピレン及びその
共重合体等のオレフィン系樹脂に分散させた組成物、及
び前記SBS、SIS、部分的に水素添加したSEB
S,SEPS,HSBR,SEBC,CEBCの不飽和
基をオレフィン樹脂中で動的に架橋した組成物などが挙
げられる。
【0020】上記TPOとしては、例えばポリプロピレ
ン及びその共重合体、ポリエチレン及びその共重合体中
でエチレン−α・オレフィン共重合体ゴムを分散させた
組成物、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリエチレ
ン及びその共重合体中でエチレン−α・オレフィン−非
共役ジエン共重合体ゴムを有機過酸化物、フェノール樹
脂、ヒドロシリル化架橋剤で動的に架橋させた組成物な
どが挙げられる。これらのうちでも動的に架橋したもの
を特にTPVという。
【0021】このような(I−1)成分の基材マトリッ
クスとしては、本発明の目的及び作用効果を達成する点
から、特に、下記(A)、(B)、(C)及び(D)成
分からなる混合物で、下記(A−1)成分を部分的(1
0質量%以上、好ましくは40質量%以上)又は完全に
架橋してなるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用い
ることが好ましい。 (A)下記(A−1)成分と(A−2)成分とからなる
混合物 (A−1)エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共
重合体ゴム (A−2)ポリプロピレン及びその共重合体並びにポリ
エチレン及びその共重合体から選ばれる少なくとも1種
の重合体 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)後述する特定の不飽和化合物
【0022】以下、(I−1)成分の基材マトリックと
して好適なオレフィン系熱可塑性エラストマーについて
詳述する。まず、上記(A)成分を構成する(A−1)
成分のエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合
体ゴムは、非共役ジエンとして、ジシクロペンタジエ
ン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン
(ENB)、メチレンノルボルネン、5−ビニル−2−
ノルボルネン(VNB)、及び5−(2−エチリデン−
6−メチル−5ヘプテニル)−2−ノルボルネンに代表
される鎖状ポリジエン含有ノルボルネン化合物等が用い
られ、α・オレフィンとしては、C3〜C15のものから
なる、無定形ランダムな弾性共重合体が好適に用いられ
る。
【0023】本発明のヒドロシリル架橋剤系を使用した
場合、後述する(D)成分の不飽和化合物を含まない従
来のヒドロシリル架橋剤系に比較して、いずれの非共役
ジエンにおいても、架橋速度、架橋度の向上や、ゴム弾
性、その低温特性、機械強度、耐油性を向上させること
ができるが、特に架橋速度の観点からは、エチリデンノ
ルボルネン、又は鎖状ポリエン含有ノルボルネン化合物
が望ましい。更に、現在最も多くの組成バリエーション
を有し、汎用化しているのは、エチリデンノルボルネン
であるが、本発明においても、エチレン−α・オレフィ
ン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムを好適に使用
できる。
【0024】上記α・オレフィンとしては、入手の容易
さからプロピレン、ブテンが好ましく、プロピレンが最
も汎用化されている。従って(A−1)成分としてはエ
チレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体
ゴムが特に好適である。
【0025】上記(A−1)成分のエチレン/α・オレ
フィン比は、重量比で好ましくは20/80〜90/1
0、より好ましくは50/50〜80/20である。ヨ
ウ素価は1〜30、特に3〜20の範囲であることが好
ましい。また、(A−1)成分の100℃ムーニー粘度
(ML1+4)は、好ましくは30〜350、より好まし
くは50〜350、更に好ましくは80〜300であ
る。なお、100℃ムーニー粘度(ML1+4)が80を
超える時には121℃ムーニー粘度(ML1+4)を測定
する場合がある。この場合、100℃ムーニー粘度(M
1+4)の80〜300が121℃ムーニー粘度(ML
1+4)では55〜240となる。
【0026】本発明に係る(A−2)成分のポリプロピ
レン及びその共重合体並びにポリエチレン及びその共重
合体は、ヒドロキシル化架橋TPVのマトリックスとな
り、TPVに熱可塑性を与えるものである。
【0027】上記(A−2)成分のうち、ポリプロピレ
ン及びその共重合体は、ポリプロピレン又はポリプロピ
レンとC2以上のα・オレフィンとの共重合体である。
このC2以上のα・オレフィンとしては、例えばエチレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテ
ン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙
げられる。なお、ポリプロピレン鎖としては、アイソタ
クチック又はシンジオタクチックな結晶性を持つものが
好ましい。
【0028】具体的には、結晶性ホモのポリプロピレ
ン、アイソタクチックとアタクチックをブロック単位で
構成したポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン
のブロック共重合体、前記ブロック共重合体よりもエチ
レン比を高めたランダム共重合体、結晶性プロピレン−
エチレン−1−ブテン共重合体、アイソタクチックとア
タクチックをブロック単位で構成したプロピレン鎖にエ
チレン鎖をブロックした共重合体、結晶性ポリプロピレ
ンブロックとランダムなプロピレン−エチレン共重合体
から構成したリアクターメイドのTPOなどが挙げら
れ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。中でも汎用性の面から、結晶性ホ
モのポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレンのブ
ロック共重合体及びランダム共重合体が好ましい。
【0029】上記ポリプロピレン及びその共重合体のメ
ルトフローレートは、好ましくは0.1〜100g/1
0min、より好ましくは0.5〜50g/10min
の範囲である。
【0030】本発明のエラストマー組成物は、製品の外
皮を形成するものであり、特に表面耐刺傷性、耐摩耗性
及び外観光沢性などの性能が要求されるものである。従
って、アイソタクチックとアタクチックをブロック単位
で構成したポリプロピレン、アイソタクチックとアタク
チックをブロック単位で構成したプロピレン鎖にエチレ
ン鎖をブロックした共重合体の中でもアイソタクチック
指数0.33〜0.45の低結晶性のものを使用するこ
とが好ましい。これらの添加量は(A−1)成分のエチ
レン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム10
0質量部に対して10〜200質量部、好ましくは20
〜100質量部である。少なすぎると表面耐刺傷性、耐
摩耗性及び外観光沢性を改善することができない場合が
ある。一方、多すぎるとベタツキ感が生じ、手触感が劣
る場合がある。
【0031】また、本発明においては、(A−2)成分
として、ポリプロピレン及びその共重合体の他に、ポリ
エチレン及びその共重合体を用いることができる。従来
の有機過酸化物架橋剤系では、(A−1)成分とポリエ
チレン及びその共重合体のエチレン部との架橋が同時進
行してしまい、構造形成ができなかったり、熱可塑性を
持てなくなったりして、TPVを製造することができな
い場合がある。
【0032】これに対し、本発明の新規なヒドロシリル
化架橋系は、ポリエチレン及びその共重合体をマトリッ
クスとできる手法ともなっている。
【0033】上記(A−2)成分をポリエチレン及びそ
の共重合体のみ、ポリエチレン及びその共重合体とポリ
プロピレン及びその共重合体との併用とした場合、ポリ
プロピレン及びその共重合体のみの場合と比較して、低
硬度化、反撥弾性、引張強度、耐油性、表面耐刺傷性、
耐摩耗性、表面光沢性などの性能を向上させることがで
きる。特に、ポリエチレン及びその共重合体とポリプロ
ピレン及びその共重合体との併用は、耐熱性を大きく損
うことなく、前記性能を向上させることができることか
ら好ましい。
【0034】このポリエチレン及びその共重合体は、ポ
リエチレン、ポリエチレンとC3〜C12のα・オレフィ
ンとの共重合体、及びSBSなどのリビングアニオン重
合体を水素添加してエチレン鎖を形成させるポリエチレ
ンの共重合体である。
【0035】このC3以上のα・オレフィンとしては、
例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メ
チル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メ
チル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0036】リビングアニオン重合体を水素添加してエ
チレン鎖を形成させるポリエチレンの共重合体にはSE
BS、SEPS、SEBC、CEBC、HSBRなどが
挙げられる。
【0037】汎用性の点で、高密度ポリエチレン(HD
PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度
ポリエチレン(LLDPE)、更にα・オレフィン含有
量を高めた密度0.86〜0.91の低密度ポリエチレ
ン(VLDPE)を用いることが好ましい。
【0038】上記ポリエチレン及びその共重合体のメル
トフローレートは好ましくは0.1〜100g/10m
in、より好ましくは0.3〜50g/10minの範
囲である。
【0039】本発明の(A−2)成分のポリプロピレン
及びその共重合体並びにポリエチレン及びその共重合体
の添加量は、(A−1)成分のエチレン−α・オレフィ
ン−非共役ジエン共重合体ゴム100質量部に対して5
〜250質量部、特に15〜200質量部であることが
好ましい。(A−2)成分が少なすぎると成形時の流動
性が悪くなる。一方、多すぎると硬くなりすぎたり、耐
クリープ性が低下する。
【0040】本発明の組成物は、主として製品の外皮を
形成するものであり、このため、表面耐刺傷性、耐摩耗
性及び外観光沢性能を要求されるものが多い。この場
合、HSBR又はVLDPEを使用することが好まし
い。HSBR又はVLDPEの添加量は(A−1)成分
のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴ
ム100質量部に対して10〜200質量部、好ましく
は20〜100質量部である。少なすぎると表面耐刺傷
性、耐摩耗性、光沢性が得られない場合がある。一方、
多すぎると耐熱性、耐クリープ性が低下する場合があ
る。
【0041】なお、(A−2)成分は、(A),
(B),(C),(D)の4成分の動的な熱処理(動的
な架橋)以前に、全量を系中に存在させる必要はなく、
(A),(B),(C),(D)の4成分の動的な熱処
理の前後に分けて混合させても構わない。
【0042】次に、本発明のオレフィン系TPVの
(B)成分の1分子中に珪素原子に結合した水素原子を
少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンについて説明する。
【0043】この(B)成分のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンは、(A−1)成分のエチレン−α・オ
レフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのジエン部分及び
後述する(D)成分の不飽和化合物に付加して、(D)
成分の不飽和化合物と共に(A−1)成分のエチレン−
α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムの橋架け部
(クロスリンカー)を構成する。この場合、クロスリン
カーとして(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンは1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少
なくとも2個、好ましくは3個以上含有することが必要
である。なお、オルガノハイドロジェンポリシロキサン
は25℃の粘度が0.5〜106cs、特に10〜105
csであるものが好ましい。
【0044】このようなオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンとして、下記平均組成式(1)で示されるも
の、又は下記一般式(S−1)〜(S−11)で示され
るものなどを例示することができる。
【0045】 Hb(R4CSiO(4-b-C)/2 (1) (但し、式中R4は同一又は異種の炭素数1〜10、好
ましくは1〜8の置換又は非置換の好ましくは脂肪族不
飽和結合を有さない一価炭化水素基を示し、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル
基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル
基、β−フェニルエチル基等のアラルキル基、シクロヘ
キシル基などのシクロアルキル基等であり、bは0.0
02〜1.0の正数、cは1.99〜2.02の正数、
b+cは1.992〜3.0である。)
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】上記(B)成分のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンの添加量は、(A−1)成分のエチレン
−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム100質
量部に対して0.5〜20質量部、より好ましくは1.
5〜10質量部である。(B)成分の添加量が少なすぎ
ると十分な架橋効果が得られない。一方、多すぎると架
橋度や架橋速度の向上がみられず、無駄であるばかり
か、過剰のオルガノハイドロジェンポリシロキサンがヒ
ドロシリル化架橋オレフィン系TPV中に残存して成形
時の流動性を乱したり、場合によっては脱水素縮合し、
成形品を発泡させてしまう。
【0051】なお、本発明のヒドロシリル化架橋剤系
は、成形発泡しにくい特徴がある。これは、(D)成分
の不飽和化合物が、効率良く(B)成分のオルガノハイ
ドロジェンポリシロキサンと反応して(B)成分の未反
応残存量を減らす働きがあるためであると考えられる。
【0052】本発明のオレフィン系TPVに用いる
(C)成分のヒドロシリル化触媒としては、例えばパラ
ジウム、ロジウム、白金などの第VIII族の遷移金属
及びこれらの錯体が好ましい。この場合、いずれのヒド
ロシリル化触媒においても、本発明のヒドロシリル化架
橋剤系をとれば、触媒量を軽減することができる。白金
も高価であるが、現在のところパラジウム、ロジウムは
更に高価であることから、白金系のヒドロシリル化触媒
を使用するのが、本発明の目的に最も合致するので好ま
しい。
【0053】白金系触媒としては、例えば白金、白金ブ
ラック、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、
塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサ
ン又はアセチレンアルコール類との錯体が挙げられる。
なお、白金や白金ブラック担体よりも、活性の強い錯体
(錯塩)を使用することが望ましい。
【0054】代表的なものとしては、H2PtCl6
(6H2O)、〔{(CH2=CH)(CH32Si}
2O〕2・Pt、〔(CH2=CH)(CH32Si〕2
・(CH2=CH)(CH32Si−O-Si(CH32
(OH)・Pt等の無機ハロゲンを実質的に含まない錯
体などが挙げられる。これらはイソプロパノール、2−
エチル−ヘキサノール、トルエン、キシレンで希釈して
市販されている。
【0055】このヒドロシリル化触媒は、(A−1)成
分のエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体
ゴムと(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキ
サンの付加反応、並びに(D)成分の不飽和化合物と
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの
付加反応を進行させるための触媒である。
【0056】この場合、従来のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンとヒドロシリル化触媒の二成分からなる
ヒドロシリル化架橋剤系では、ヒドロシリル化触媒、特
に白金系触媒は、エチレン−α・オレフィン−非共役ジ
エン共重合体ゴム100質量部に対して白金金属換算で
5×10-3〜1×10-1質量部添加しないと、高度に架
橋したヒドロシリル化架橋オレフィン系TPVを高い生
産性で製造することが困難となる場合がある。
【0057】これに対し、本発明においては、(B)成
分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(C)成
分のヒドロシリル化触媒に(D)成分の不飽和化合物を
加えた三成分からなるヒドロシリル化架橋剤系とするこ
とにより、ヒドロシリル化触媒、特に白金系触媒の添加
量は、(A−1)成分のエチレン−α・オレフィン−非
共役ジエン共重合体ゴム100質量部に対して白金金属
換算で5×10-6〜5×10-2質量部、より好ましくは
5×10-5〜5×10-3質量部である。ヒドロシリル化
触媒が少なすぎると反応性に乏しくなる場合がある。一
方、多すぎると白金系触媒添加量低減による安価なヒド
ロシリル化架橋オレフィン系TPVを提供するという本
発明の目的から外れてしまう場合がある。
【0058】次に、本発明は(D)成分として、下記一
般式(D−i)〜(D−x)で示される構造単位の1種
又は2種以上を有すると共に、該構造単位の合計量が分
子量に対して12質量%以上である下記(D−1)、
(D−2)、(D−3)、(D−4)、(D−5)及び
(D−6)から選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物
を使用する。 (D−1)アクリロイル化合物 (D−2)メタクリロイル化合物 (D−3)不飽和ポリエステルアルキッド (D−4)ビニルポリシロキサン (D−5)1,4−結合のイソプレン重合体 (D−6)1,4−結合のブタジエン重合体
【0059】即ち、この特定される分子構造からなる
(D)成分の不飽和化合物(D−1)〜(D−6)は、
下記一般式(2)〜(7)で表される脂肪族不飽和基を
少なくとも1個有するものである。
【0060】(D−1)アクリロイル化合物
【化9】
【0061】(D−2)メタクリロイル化合物
【化10】
【0062】(D−3)不飽和ポリエステルアルキッド
【化11】
【0063】(D−4)ビニルポリシロキサン
【化12】 (式(5)中、Rは脂肪族不飽和結合を有さない炭素数
1〜10の置換又は非置換の一価炭化水素基であり、特
にメチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等の
アリール基が好ましい。)
【0064】(D−5)1,4−結合のイソプレン重合
【化13】 (但し、シス、トランスの区別は不要)
【0065】(D−6)1,4−結合のブタジエン重合
【化14】 (但し、シス、トランスの区別は不要)
【0066】本発明において、上記のような不飽和基を
持つ(D−1)〜(D−6)から選ばれる不飽和化合物
を用いることは、動的に熱処理する条件下において、こ
の不飽和化合物に(B)成分のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンを付加反応させるための必要条件であ
る。
【0067】この(D)成分の不飽和化合物は、上記一
般式(2)〜(7)で示される脂肪族不飽和基を1分子
中に1個以上持つものであり、特には2個以上であるこ
とが好ましい。
【0068】また、(D)成分の不飽和化合物は、下記
一般式(D−i)〜(D−x)で示される構造単位を1
種又は2種以上有することが必要である。
【0069】
【化15】
【0070】式(D−i)中、R1は水素原子又はアル
キル基であり、アルキル基としては、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イ
ソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペ
ンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、特にメチル基、
エチル基が好ましい。n,mは、m+n≧6を満たす数
であり、特には6≦m+n≦100であることが好まし
い。
【0071】
【化16】
【0072】式(D−iv)中、R2は互いに同一又は
異種の炭素数1〜10の置換又は非置換の一価炭化水素
基であり、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール
基、アラルキル基やこれらの基の炭化水素基の水素原子
の一部又は全部をハロゲン原子で置換したものなどが挙
げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ter
t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル
基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基
等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェ
ニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル
基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘ
キセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のア
ルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部を
フッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基、水酸
基などで置換したものが挙げられる。また、p≧2であ
り、好ましくは2≦p≦10,000、更に好ましくは
10≦p≦3,000である。
【0073】
【化17】
【0074】
【化18】
【0075】本発明においては、上記一般式(D−i)
〜(D−x)の構造単位を持つ不飽和基を1つ以上有す
る不飽和化合物が、低白金触媒量下のエチレン−α・オ
レフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのヒドロシリル化
架橋速度を増速させ、架橋密度を向上させてヒドロシリ
ル化架橋オレフィン系TPVの特性や成形性向上に効果
を発揮する。
【0076】この場合、(D)成分の不飽和化合物にお
いて、上記一般式(D−i)〜(D−x)の構造単位の
総含有量(質量%)は、この不飽和化合物の分子量に対
して12質量%以上であり、これは下記数式により計算
される。
【0077】
【数1】
【0078】この場合、上記一般式(D−i)〜(D−
x)の構造単位の合計の式量を不飽和化合物の分子量で
割った値に100を掛けて質量%表示とする。なお、不
飽和化合物に分子量分布がある場合は、数平均分子量を
用いる。
【0079】本発明においては、(D)成分の不飽和化
合物中に少なくとも1種類の上記一般式(D−i)〜
(D−x)の構造単位を合計で12質量%以上含むこと
が必要であり、好ましくは18質量%以上、より好まし
くは30質量%以上である。この場合、上限値は特に制
限されないが98質量%以下であることが好ましい。こ
れにより(A−1)成分のエチレン−α・オレフィン−
非共役ジエン共重合体ゴムのヒドロシリル化架橋密度を
向上させることができる。なお、これら(D−i)〜
(D−x)の構造単位と上記式(2)〜(7)の単位と
を合せて100質量%とすることができる。
【0080】上記(D)成分の不飽和化合物は150〜
1×107の幅広い分子量で効果が認められる。分子量
が150未満では動的架橋温度で蒸発しやすいものが多
く、エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体
ゴムに分散含浸させることが難しくなる場合がある。ま
た、分子量が150未満では上記一般式(D−i)〜
(D−x)の構造単位をもつことができないためと思わ
れるが、ゴムの架橋密度を向上させることができない場
合がある。
【0081】このように、分子量中に少なくとも上記一
般式(2)〜(7)で示した少なくとも1つの不飽和基
を持ち、かつ分子量に対して上記一般式(D−i)〜
(D−x)の構造単位を合わせた式量が12質量%以上
である不飽和化合物が、(A−1)成分のエチレン−α
・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのヒドロシリ
ル化架橋を促進できるものである。なお、上記一般式
(D−viii)は、(D−5)及び(D−6)の不飽
和基と同じものである。
【0082】上記(D)成分の不飽和化合物の添加量
は、(A−1)成分のエチレン−α・オレフィン−非共
役ジエン共重合体ゴム100質量部に対して0.05〜
50質量部、より好ましくは0.2〜20質量部であ
る。不飽和化合物の添加量が少なすぎるとオルガノハイ
ドロジェンポリシロキサンと白金系触媒からなるブラン
クの架橋剤系に対して優位性が小さくなる。一方、多す
ぎると反応速度は極端に速まるが、オルガノハイドロジ
ェンポリシロキサンの大部分がこの不飽和化合物との反
応に消費され、エチレン−α・オレフィン−非共役ジエ
ン共重合体ゴムの架橋度の低下が発生する。
【0083】上記(D)成分の不飽和化合物のうち、
(D−1)成分のアクリロイル化合物及び(D−2)成
分のメタクリロイル化合物としては、ステアリルアクリ
レート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルア
クリレート、イソステアリルメタクリレート、ラウリル
アクリレート、ラウリルメタクリレート、トリシクロデ
カンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジ
メタノールジメタクリレート、1,9−ノナンジオール
ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレ
ート、1,8−ノナンジオールジアクリレート、1,8
−ノナンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,
5−ペンタンジオールジアクリレート、3−メチル−
1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジア
クリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレー
ト、下記一般式(J−1)〜(J−3)で示される化合
物(以下、アクリロイル、メタクリロイルを同時に記載
する)、下記一般式(J−4)等で示される(メタ)ア
クリロイル化合物、下記一般式(J−5),(J−6)
等で示されるシリコーン系(メタ)アクリロイル化合
物、下記一般式(J−7)〜(J−15)等で示される
ウレタン(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0084】
【化19】
【0085】
【化20】
【0086】
【化21】
【0087】
【化22】
【0088】
【化23】
【0089】
【化24】
【0090】なお、これら化合物においてR4は水素原
子又はメチル基である。
【0091】(D−3)成分の不飽和ポリエステルアル
キッドとしては、下記一般式(J−16),(J−1
7)などのフマル酸系不飽和ポリエステルアルキッドが
挙げられる。
【0092】
【化25】
【0093】(D−4)成分のビニルポリシロキサンと
しては、下記一般式(J−18)〜(J−21)などが
挙げられる。
【0094】
【化26】
【0095】(D−5)成分の1,4−結合のイソプレ
ン重合体としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、
液状イソプレン重合体、スチレン−イソプレン共重合体
(SIS)、ブチルゴム及びこれらの部分水素添物等の
1,4−結合のイソプレン(共)重合体などが挙げられ
る。
【0096】(D−6)成分の1,4−結合のブタジエ
ン重合体としては、例えばブタジエンゴム、液状ブタジ
エン重合体、スチレン−ブタジエンゴム(SBS)、ア
クリロニトリル−ブタジエンゴム及びこれらの部分水素
添物等の1,4−結合のブタジエン(共)重合体などが
挙げられる。
【0097】これら(D)成分の不飽和化合物は1種を
単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ
る。使用する不飽和化合物の種類により、ゴム弾性及び
その低温特性、機械強度、耐油性をオルガノハイドロジ
ェンポリシロキサンと白金系触媒高濃度の二成分からな
る架橋系を用いたヒドロシリル化架橋オレフィン系TP
Vと比較して、向上させることができる。
【0098】例えば、ゴム弾性や低温特性を付与する場
合には、上記一般式(D−iv),(D−ix),(D
−viii)で示される構造を持つ不飽和化合物が好ま
しい。機械強度を付与する場合には上記一般式(D−i
i),(D−vi),(D−i),(D−viii)で
示される構造を持つ不飽和化合物が好ましい。耐油性を
付与する場合には上記一般式(D−iv),(D−i
x)で示される構造を持つ不飽和化合物が好ましい。
【0099】上記(B),(C),(D)の三成分から
なる本発明のヒドロシリル化架橋剤系は、(A−1)成
分のエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体
ゴムと、(A−2)成分のポリプロピレン及びその共重
合体並びにポリエチレン及びその共重合体から選ばれた
少なくとも1種類の重合体が高分散された混合物を、動
的な熱処理の下で、(A−1)成分のエチレン−α・オ
レフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを選択的に高速で
高度に架橋することによって、(A−2)成分をマトリ
ックスとし、(A−1)成分のゴムを微小粒径の島とし
て高分散された構造を高い生産性で形成させることがで
きると共に、これを固定化することができる。
【0100】本発明においては、(D)成分の不飽和化
合物と(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキ
サンの高速反応性を応用し、(A−1)成分のエチレン
−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムのヒドロ
シリル化架橋反応の高速高度化を実現することができ
る。
【0101】そして、上記(D)成分の不飽和化合物と
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの
高速反応性の利用は、(A)成分の混合物をヒドロシリ
ル化架橋剤系の存在下で、動的に熱処理して、オレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物を得る製造方法におい
て、どのような製造形態(添加順序、混練方法)をとっ
ても、ヒドロシリル化架橋剤系に(D)成分の不飽和化
合物が存在しない場合に比較して、優位性が認められる
ものである。
【0102】この場合、予め、(C)成分と(D)成分
を混合分散させておき、これを(A−1)、(A−
2)、(B)成分の混練物に添加混練することが特に好
ましい。(D)成分の不飽和化合物は(C)成分の溶剤
変性錯体との相溶性又は分散性が良く、(C)成分の溶
剤変性錯体を(D)成分に安定に分散させておくことが
できることから、動的な熱処理の熱による(C)成分の
錯体の乾燥固化による分散性の低下や触媒活性の低下を
防止することができる。
【0103】また、動的な熱処理工程における(C)成
分と(D)成分の分散時間(出合の時間)を省くことが
できる。更に、(D)成分の不飽和化合物は、(A−
1)、(A−2)、及び(B)成分との相溶性にも優れ
る分子構造を持つことから、(C)成分の(A−1)、
(A−2)、及び(B)成分の混練物に対する浸透分散
性を高めることができる。従って、架橋反応に関与する
(A−1)、(B)、(C)、及び(D)成分の出合い
を容易にし、動的な熱処理工程時間を短縮する効果があ
る。
【0104】本発明においては、(C)成分及び/又は
(D)成分を希釈する場合、上記一般式(D−i)〜
(D−x)の構造単位を持つ飽和化合物を用いること
が、(C)成分の乾燥固化防止及び各成分への浸透分散
性を高める点から好ましい。
【0105】このような(E)成分の希釈剤用飽和化合
物としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサン、パラフィン系オイル、エチレン
−α−オレフィン−コオリゴマー、ステアリン酸系エス
テル、ラウリン酸系エステル、モンタン酸系エステル、
フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フ
タル酸ブチルベンジル又はC11〜C13の高級アルコール
等のフタル酸エステル;n−ヘキシルアルコール、イソ
ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エ
チルヘキサノール、イソノリルアルコール、デシルアル
コール等のC6〜C11のアルコールからなるトリメリテ
イトやピロメリテイト;2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパン
ジオールなどのC6〜C8の分岐グリコール及び2−エチ
ルヘキサノール、イソノリルアルコール、デシルアルコ
ール、ラウリルアルコール、ラウリル酸等のC8以上の
末端停止成分からなるアジピン酸ポリエステル;ポリブ
タジエンの完全水素添加物、ポリイソプレンの完全水素
添加物、ポリエチレン、エチレン−プロピレンやエチレ
ン−ブテン等のエチレン−α・オレフィン−共重合体、
SEBS、SEPS、SEBC、CEBCなどが挙げら
れ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0106】本発明においては、必要に応じて、(F)
成分として鉱物油系軟化剤や合成油系軟化剤を用いるこ
とができる。この(F)成分の軟化剤としては、得られ
るTPVの透明性、明色性、耐候性、耐熱性などを損な
うことがないものが好適である。例えばパラフィン系プ
ロセスオイル、エチレン−α・オレフィン−コオリゴマ
ーなどを用いることができる。
【0107】また、動的架橋の前に軟化剤を混合する場
合は、軟化剤としては、窒素化合物、燐化合物、硫黄化
合物のN,S,Pとしての濃度が0.3質量%未満であ
るものを用いることが望ましい。例えば、脱ろう、溶剤
抽出、水素化などの処理を多く受けて造られる汎用のパ
ラフィン系プロセスオイル、エチレン−α・オレフィン
−コオリゴマーなどの合成油を用いることができる。
【0108】上記(F)成分の軟化剤は、動的架橋の前
又は後に添加混練する。また、予め(A−1)成分と混
合した油展エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共
重合体ゴムとして用いることができる。
【0109】この(F)成分の軟化剤は、(A−1)成
分のエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共重合体
ゴム100質量部に対して0〜150質量部添加するこ
とにより、得られるTPVの硬さなどの特性や流動性を
調整することができる。
【0110】更に、本発明の組成物には、強度やゴム弾
性を高めるために、(B)成分と(A)成分とを混練す
る際に、必要に応じて、(G)成分として煙霧性シリ
カ、沈降性シリカ等の合成シリカ、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、FEF、HAF等のカーボン
ブラック、クレー、タルクなどの微粉末を添加すること
が好ましい。これらの中でも物性、着色性、動的架橋速
度の増速の点から合成シリカが好ましい。合成シリカと
しては比表面積が50m2/g以上、特に75〜500
2/gのものを用いることが好ましい。また、シリカ
表面の水酸基をジメチルジクロルシラン、ヘキサメチル
ジシランで封鎖処理したものも好適に用いることができ
る。
【0111】この(G)成分の微粉末の添加量は(A−
1)成分100質量部に対して好ましくは5〜150質
量部、より好ましくは10〜80質量部である。(G)
成分の微粉末の添加量が少なすぎると動的架橋速度の増
加とゴム弾性、低クリープ性、機械強度、耐候性、耐熱
性、耐油性などの特性が(G)成分を添加しないものと
変化がない場合がある。一方、多すぎるとTPVの特性
が低下したり、成形性が悪くなる場合がある。
【0112】なお、白金系触媒が供給される系に、ルイ
ス塩基の化合物が存在すると、このルイス塩基は白金系
触媒に配位して触媒をブロックしてしまう。この場合、
ルイス塩基は熱や剪断により除くことができるが、多量
のルイス塩基の存在は触媒濃度を下げたことに等しく、
時間的ロスを招くので好ましくない。
【0113】本発明のヒドロシリル化架橋TPVには、
上記(A),(B),(C),(D)成分、及び
(E),(F),(G)成分の他に、更に必要に応じて
ヒドロシリル化反応制御剤、造核剤、外滑剤、内滑剤、
光安定剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、補強剤、増量
剤、難燃剤、導電剤、熱伝導剤、帯電防止剤、絶縁剤、
銅害防止剤、発泡剤、摺動剤、接着性向上剤などを含有
することは任意とされる。
【0114】本発明のオレフィン系TPVは、(A−
1)成分と(A−2)成分とからなる混合物である
(A)成分、及び(B),(C),(D)成分の存在下
で動的に熱処理することにより製造することができる。
【0115】この場合、オレフィン系TPVの製造方法
は、2度の動的な熱処理を行って製造する方法が推奨さ
れる。即ち、1度目が(A−1)成分と(A−2)成分
の混練を目的とするものと、2度目が動的な架橋を目的
とするものである。
【0116】1度目の動的な熱処理は、樹脂温度25〜
300℃、好ましくは80〜240℃で比エネルギー
0.05〜1.0kWh/kgの条件で混練するもので
ある。また、2度目の動的な熱処理は、樹脂温度100
〜300℃、好ましくは130〜250℃で比エネルギ
ー0.1〜1.5kWh/kgの条件で混練するもので
ある。
【0117】上記2度の動的な熱処理は、同一の1つの
混練機、同一種又は異種の複数の混練機を用いて、その
操作を行うことができる。このような混練機としては、
例えば加圧ニーダー、ハンバリーミキサー、ニーダー、
単軸押出機、二軸押出機、ロール等が挙げられる。
【0118】本発明における生産効率の高いオレフィン
系TPVの製造方法の一例として、図1に示したライン
による製造方法がある。この製造方法は、まず、(A
−1),(A−2)成分をリボンブレンダー1で混合す
る。この場合、(A−1)成分はペレット、クラム、ベ
ールの形態を持つので、ベールの場合には粉砕する。な
お、(A−2)成分はペレット又は粉であるため、粉砕
の必要はない。 次に、(A−1),(A−2)成分の混合物をベルト
フィーダー2を使って二軸押出し機Iに定量供給し、
(B)成分と共に二軸押出し機Iで溶融混練する。 (A−1),(A−2),(B)成分の混練物は、二
軸押出し機Iにタンデムに接続された二軸押出し機II
に供給され、(C),(D)成分も二軸押出し機IIに
供給される。(C)成分の系中への分散によって動的な
架橋が開始され、架橋反応や構造形成が進行し、本発明
のオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造することが
できる。なお、図中3は、ダイである。
【0119】次に、本発明の(I−2)成分の架橋ポリ
マー粒子は、(I−1)成分の基材マトリック、特にT
PS、TPO、特定のTPVとの密着性が高いエチレン
系重合体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、
スチレン系重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系
重合体、及びシリコーン系重合体から選ばれる単一組成
物の架橋体、或いは複数組成物のブレンド架橋体又は多
段階重合架橋体である。
【0120】上記重合体を構成する重要なモノマー単位
としては、エチレン、イソプレン、ブタジエン、スチレ
ン、炭素数3〜12のα−オレフィン、シロキサン単位
などが挙げられ、これらモノマー単位の合計が20〜1
00mo1%、特に50〜100mol%であることが
好ましい。上記範囲を外れると密着性が低下し、耐磨耗
性及び機械的強度が低下する場合がある。
【0121】また、本発明の(I−2)成分の架橋ポリ
マー粒子は、元来は、ヒドロシリル化架橋剤、有機過酸
化物、アゾ化合物、電子線、紫外線、熱、イミド化合
物、硫黄、硫黄同族体、キノンジオキシム誘導体、フェ
ノール樹脂、プロトン酸、ハロゲン化金属、安定カルボ
ニウムイオン、アルカリ金属、アルカリ水酸化物、グリ
ニャール試薬、有機金属ハロゲン化合物、有機金属塩、
有機金属化合物、水架橋(シラノール縮合)、イソシア
ネート、エポキシ、カルボン酸、酸無水物、アルデヒ
ド、アルコール、アミン、メラミン、アルコキシドなど
と反応する官能基を有しており、この官能基を使って架
橋を形成することもできる。
【0122】これらの中でも、炭素炭素二重結合を有機
過酸化物架橋、硫黄系架橋、フェノール樹脂架橋、ヒド
ロシリル化架橋させて、エチレン系架橋重合体、イソプ
レン系架橋重合体、ブタジエン系架橋重合体、スチレン
系架橋重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系架橋
重合体、又はシリコーン系架橋重合体からなる粒子を形
成させるのが汎用性及び架橋効率の点から好ましい。
【0123】エチレン系架橋重合体の原料としては、エ
チレン−α・オレフィン非共役ジエン共重合体ゴム、リ
ビングアニオン重合体を部分水素添加したSEBS、H
SBR、SEPS、SEBC、CEBCなどが挙げられ
る。エチレン−α・オレフィン非共役ジエン共重合体ゴ
ムとしては上記(A−1)成分と同様のものを用いるこ
とができるが、非共役ジエンとしては、特に架橋反応の
効率が高いエチリデンノルボルネン(ENB)、メチレ
ンノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン(VN
B)、5−(2−エチリデン−6−メチル−5ヘプテニ
ル)−2−ノルボルネンに代表される鎖状ポリエン含有
ノルボルネン化合物が好ましい。これらの中でも反応持
続性に富んだVNBが好適である。この場合、エチレン
−α・オレフィン比は、質量比で20/80〜95/
5、好ましくは40/60〜85/15である。また、
ヨウ素価は1以上、特に5〜50の範囲であることが好
ましい。更に、100℃ムーニー粘度(ML1+4、10
0℃)は30〜350、特に50〜250であることが
好ましい。
【0124】また、炭素炭素二重結合を有するSEB
S、HSBR、SEPS、SEBC、CEBCを用いて
ヒドロシリル化架橋を行う場合は、炭素炭素二重結合
は、イソプレン単位又はブタジエン単位であることが好
ましい。ヨウ素価は1〜70、特に4〜45の範囲であ
ることが好ましい。なお、ヒドロシリル化架橋を行う場
合は、ブタジエン単位は、架橋反応の効率が高い1,4
−結合がより好ましい。
【0125】上記炭素炭素二重結合を有するイソプレン
系重合体としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチル
ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体SISな
どが挙げられる。
【0126】上記炭素炭素二重結合を有するブタジエン
系重合体としては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体などが挙げられる。ヒ
ドロシリル化架橋を行う場合は、ブタジエン単位は、架
橋反応の効率が高い1,4−結合がより好ましい。
【0127】スチレン系架橋重合体の原料としては、ス
チレンモノマー、ジビニルベンゼンなどのモノマー単位
が挙げられる。スチレン系重合体としては、エチレン系
重合体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体にス
チレン単位を含有するものとしてすでに例示されている
ものが挙げられる。ブロックのスチレン単位はブロック
のエチレン単位同様、架橋ポリマー粒子の硬度を上げる
一手法として活用できる。
【0128】炭素数3〜12のα−オレフィン系架橋重
合体の原料としては、上述したリビングアニオン重合体
の部分水素添加物やエチレン−α−オレフィン−非共役
ジエンが、炭素炭素二重結合を利用したものとして挙げ
られる。これら以外としては、ポリプロピレン、ポリメ
チルペンテン、ポリブテン等の炭素数3〜12のα−オ
レフィン重合体に、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン等のシランをグラフト重合させた共
重合体、即ち水架橋を利用したものが挙げられる。
【0129】シリコーン系架橋重合体の原料としては、
下記平均組成式で示される平均重合度100〜1000
0のオルガノポリシロキサンが挙げられる。 R5 nSiO4-n/2 (式中、R5は同一又は異種の炭素数1〜10、好まし
くは1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基を示し、
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の
アルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベ
ンジル基、β−フェニルエチル基等のアラルキル基、シ
クロヘキシル基などのシクロアルキル基等であり、これ
らの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部を
ハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、
トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが挙げら
れる。nは1.90〜2.05の正数である。) なお、上記オルガノポリシロキサン分子中にビニル基、
アリル基、シクロペンタジエン基、3−メタクロロキシ
プロピル基等を導入した炭素炭素二重結合を有するもの
を用いることがより好ましい。
【0130】本発明架橋ポリマー粒子の架橋方法は、特
に制限されず、モノマーの重合段階から架橋体を製造し
てもよいし、未加硫の重合体を、ヒドロシリル化架橋
剤、パーオキサイド、アゾ化合物、イミド化合物、硫
黄、硫黄同族体、キノンジオキシム誘導体、フェノール
樹脂、プロトン酸、ハロゲン化金属、安定カルボニウム
イオン、アルカリ金属、アルカリ水酸化物、グリニャー
ル試薬、有機金属ハロゲン化合物、有機金属塩、有機金
属化合物、水架橋(シラノール縮合)、イソシアネー
ト、エポキシ、カルボン酸、酸無水物、アルデヒド、ア
ルコール、アミン、メラミン、アルコキシドなどを架橋
剤として用い、これら架橋剤を重合体を構成するモノマ
ーの重合段階から添加して架橋体を製造することもでき
るが、未架橋の重合体に後工程で架橋剤を添加して架橋
することもできる。
【0131】また、モノマーの重合開始剤が架橋剤と異
なり、併用できない場合は、後工程で架橋することにな
るが、この場合、後工程の架橋剤で反応する官能基を持
つモノマーを前の重合段階で共重合させておくことがで
きる。重合段階の架橋及び後工程の架橋のいずれにおい
ても、粒子状物で直接架橋体を形成しても良く、架橋体
の塊状物を粉砕して粒子状としても構わない。
【0132】これらの中でも、架橋し得る官能基を有す
るエチレン系重合体、イソプレン系重合体、ブタジエン
系重合体、スチレン系重合体、シリコーン系オリゴマー
やポリマーの重合体と、ポリプロピレン及びその共重合
体並びにポリエチレン及びその共重合体とを混合し、こ
の混合物に架橋剤を添加し、押出機等の混練機を用いて
動的に架橋させる方法は、高速かつ連続的な生産性が可
能であり、粒径制御も容易で、特に好ましい方法であ
る。
【0133】この場合、架橋ポリマー粒子が熱可塑性の
ポリプロピレン及びその共重合体並びにポリエチレン及
びその共重合体に被覆された状態で得られるため、基材
マトリックスに容易に分散しやすいという特徴がある。
また、懸濁重合法、乳化重合法、気相重合法、溶液重合
のスプレードライなどで造られた球状形とは異なる不定
形状が得られる点でも、優れた架橋ポリマー粒子の製造
方法である。更に、反応槽での攪拌では、水、溶剤、モ
ノマー、オリゴマー、ポリマーに、後述する摺動性付与
成分を分散させることは困難であるが、上記高剪断を発
現し得る混練機を使って動的に架橋させる方法によれ
ば、強制的に摺動性付与成分を架橋ポリマー粒子に分散
固定化することができる点からも好ましい。
【0134】なお、汎用性のある架橋ポリマー粒子の入
手方法は、上記の方法で作製した市販品を使用しても勿
論構わない。また、市販のエチレン系、イソプレン系、
ブタジエン系、スチレン系、シリコーン系のモノマー、
オリゴマー、ポリマーに、架橋剤を添加し、そのまま又
は水、溶剤、各種重合体、各種フィラーに分散させて、
反応槽、金型、押出機などの混練機を使って、架橋させ
ることも安価に得ることができる方法である。
【0135】本発明の(I−2)成分の架橋ポリマー粒
子は、エチレン系重合体、イソプレン系重合体、ブタジ
エン系重合体、スチレン系重合体、炭素数3〜12のα
−オレフィン系重合体、又はシリコーン系重合体を、下
記(B)〜(D)成分を含む複合架橋剤で架橋させたも
のであることが好ましい。なお、(B)〜(D)成分に
ついては、上述したものと同様のものを用いることがで
きる。 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)特定の不飽和化合物
【0136】以下、有用性の高い、押出機等の混練機を
用いて動的に架橋させて架橋ポリマー粒子を製造する方
法について具体的に説明する。なお、使用するポリプロ
ピレン及びその共重合体並びにエチレン及びその共重合
体は、上記(A−2)成分と同じものを用いることがで
きる。
【0137】上記複合架橋剤としては、下記(B)〜
(D)成分を含むものが好ましい。なお、(B)〜
(D)成分については、上述したものと同じものを用い
ることができる。 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)上記一般式(D−i)〜(D−x)で示される構
造単位の1種又は2種以上を有すると共に、該構造単位
の合計量が分子量に対して12質量%以上、好ましくは
18〜98質量%である下記(D−1)、(D−2)、
(D−3)、(D−4)、(D−5)及び(D−6)か
ら選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物 (D−1)アクリロイル化合物 (D−2)メタクリロイル化合物 (D−3)不飽和ポリエステルアルキッド (D−4)ビニルポリシロキサン (D−5)1,4−結合のイソプレン重合体 (D−6)1,4−結合のブタジエン重合体
【0138】この場合、架橋ポリマー粒子用重合体の炭
素炭素二重結合と(D)成分の不飽和化合物の炭素炭素
二重結合の合計1mo1に対し、(B)成分のオルガノ
ハイドロシロキサンの珪素原子に結合した水素原子は
0.5mo1以上、好ましくは0.8〜10mol添加
する。水素原子が0.5mol未満では架橋ポリマー粒
子を形成することができない場合がある。
【0139】上記(C)成分のヒドロシリル化触媒の添
加量は、全体の系に対して白金換算で0.05〜100
ppm、好ましくは0.2〜50ppm、より好ましく
は0.4〜10ppmである。少なすぎると架橋反応が
起こらない場合があり、一方、100ppmを超えて添
加しても優位性が認められないばかりか、経済的でない
場合がある。また、0.4ppm以上の高濃度で動的架
橋を行うと粒度分布の狭い粒子が得られる傾向があり、
用途によっては好ましい。
【0140】また、架橋ポリマー粒子用重合体の炭素炭
素二重結合と(D)成分の不飽和化合物の炭素炭素二重
結合の比は、モル比で99〜50/1〜50、好ましく
は90〜45/10〜55、より好ましくは80〜40
/20〜60である。(D)成分の不飽和化合物の炭素
炭素二重結合のモル比が1未満であると架橋ポリマー粒
子の平均最長径長さが大きくなりすぎたり、粒度分布が
広くなりmm単位の粒子が生じて成形品を成形する際
に、流路中に詰まったり、粒子が成形品から脱落するな
どの不具合が生じる可能性がある。一方、(D)成分の
不飽和化合物の炭素炭素二重結合のモル比が50を超え
ると、架橋ポリマー粒子の平均最長径長さが小さくなり
すぎる場合がある。
【0141】本発明の架橋ポリマー粒子は、成形時に方
向性が出やすい針状形、鱗片状形よりも、球状形、立方
形、紡錘形、柱状形、不定形であることが好ましい。特
に毛羽立ちの強調、ゴミ取り機能、摺動性を高める場合
は、不定形が好ましい。中でも鋭角な突起を多数有する
不定形がより好ましい。また密状、中空状、多孔質など
の形態は問わない。
【0142】また、本発明の架橋ポリマー粒子の粒径
は、架橋し得る官能基を有するエチレン系重合体、イソ
プレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレン系重合
体、シリコーン系オリゴマーやポリマーの重合体と、ポ
リプロピレン及びその共重合体並びにポリエチレン及び
その共重合体との混合比により主に制御できる。また、
粘度差によっても調整することができる。更に、混合と
架橋にかける剪断、熱量、官能基の反応性、架橋剤の量
によっても調整することができる。架橋ポリマー粒子と
ポリプロピレン及びその共重合体並びにポリエチレン及
びその共重合体との混合比は、重量比で97/3〜40
/60、より好ましくは95/5〜60/40である。
官能基の反応性は、高速かつ、持続性の高いものが、粒
径を大きくすることができるので好ましい。
【0143】本発明の架橋ポリマー粒子の大きさ、即
ち、電子顕微鏡又は光学顕微鏡によって測定した平均最
長径長さが30〜600μmであることが必要であり、
特に100〜500μmであることが好ましい。平均最
長径長さが小さすぎると成形品の表面に凹凸が形成でき
ず本発明の目的とする特性が発現し得ない。一方、大き
すぎると機械的強度が極端に低下したり、成形中や表面
被覆材として用いる時に架橋ポリマー粒子の堕落や分離
が発生しやすくなる。なお、平均最長径長さを測定する
場合、最長径長さが5μm未満の粒子は除いて測定し
た。また、本発明エラストマー組成物でもその平均最長
径長さを測定することができる。
【0144】本発明において、ポリマー粒子が架橋して
いるかどうかは、成形品のポリマー粒子部分をサンプリ
ングして、沸騰キシレン中に入れ、攪拌還流を30分間
行い、未架橋部分又はオレフィン系樹脂を抽出除去し、
ポリマー粒子が不溶物として残存するか否かで確認する
か、又は加熱型顕微鏡により180〜230℃の溶融状
態を観察することにより確認することができる。
【0145】本発明のエラストマー組成物の沸騰キシレ
ン不溶ゲル分量を測定した場合は、(I−1)成分の熱
可塑性エラストマー中にも沸騰キシレン不溶ゲル分とな
る一般には0.1μm〜数μmの微細なエチレン−α・
オレフィン−非共役ジエン共重合体の架橋物を含んでい
るものもあるため、この架橋物と架橋ポリマー粒子の合
計量が沸騰キシレン不溶ゲル分として測定される。
【0146】この場合、本発明エラストマー組成物中の
沸騰キシレン不溶ゲル分は好ましくは25〜85質量
%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは
45〜70質量%である。沸騰キシレン不溶ゲル分が多
すぎると、エラストマー組成物の流動性が低下し、成形
性が悪くなると共に、引張強度や引裂強度が大きく低下
する場合がある。一方、少なすぎると、たとえすべてが
平均最長径長さが30〜600μmの範囲の架橋ポリマ
ー粒子であっても、特性が発現する表面凹凸を形成でき
なくなる場合がある。
【0147】なお、組成物中にフィラーなどの沸騰キシ
レン不溶物が含まれている場合にはこれも沸騰キシレン
不溶物としてカウントする。この場合、予めフィラーな
どの沸騰キシレン不溶物量が不明な場合には、沸騰キシ
レン不溶物をTEG(N2ガス気流中で加熱し、ガス化
する)にかけて、その減量重量から沸騰キシレン不溶ゲ
ル分中の樹脂量を算出することができる。
【0148】しかしながら、エチレン系重合体、イソプ
レン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレン系重合
体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合体、又はシ
リコーン系架橋重合体以外のフィラーなどの沸騰キシレ
ン不溶物だけでは、製品に表面凹凸が発現し得なかった
り、傷がつき易くなったり、重くなったり、強度や柔軟
性が低下する場合がある。従って、沸騰キシレン不溶物
の全体の少なくとも25質量%以上、好ましくは35〜
100質量%のエチレン系重合体、イソプレン系重合
体、ブタジエン系重合体、スチレン系重合体、炭素数3
〜12のα−オレフィン系重合体、又はシリコーン系架
橋重合体を含むことが好ましい。
【0149】また、架橋ポリマー粒子の硬さは、摺動
性、人体触感、ゴミ取り機能に影響を及ぼす、各条件が
同一であれば、硬さが高い方が、一般的には、摺動性、
サラサラ感、ゴミ取り機能が高くなる傾向がある。
【0150】この場合、架橋ポリマー粒子の硬さは、簡
易的には、架橋ポリマー粒子と同組成の密なバルクを別
に成形し、JIS−D硬度(JIS K7215)が好
ましくは25〜70、より好ましくは40〜60であ
る。架橋ポリマー粒子が硬すぎると長期使用で基材の一
部が剥げた際、対岸の圧接部材や人体に傷がつきやすく
なる場合がある。一方、やわらかすぎると摺動性が悪く
なる場合がある。
【0151】なお、本発明架橋ポリマー粒子には、その
硬さ調整及び粒子形状の調整などを目的としてフィラー
を添加することができる。このようなフィラーとして
は、短繊維、クレー、タルク、炭酸カルシウム、シリ
カ、カーボンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又
は2種以上を組合せて用いることができる。これらの中
でもシリカ、カーボンが好ましい。
【0152】シリカとしては湿式又は乾式の比表面積が
50m2/g以上、特に75〜500m2/gのものが好
ましい。シリカ表面の水酸基をジメチルジクロルシラ
ン、ヘキサメチルジシラザンで封鎖処理したものが好適
である。カーボンとしては、FEF,HAF、グラファ
イトなどが好適である。
【0153】本発明の(I−2)成分の架橋ポリマー粒
子の添加量は、(I−1)成分の基材マトリックス10
0質量部に対して2〜550質量部、好ましくは50〜
300質量部である。(I−2)成分の添加量が少なす
ぎると特性が発現する表面凹凸が形成できない場合があ
り、一方、多すぎると機械的強度や成形性が低下する場
合がある。
【0154】また、本発明のエラストマー組成物には、
表面凹凸形状による摺動性の付与に加えて、更に、(I
−1)成分の基材マトリックスである熱可塑性エラスト
マーと(I−2)成分の架橋ポリマー粒子に、摺動性
付与剤を形成すること、摺動性付与剤を添加すること
は、手触り感の調整、摺動性、ゴミ異物の排除性、耐磨
耗性の機能を高めたり、これらの長期信頼性を高める点
で好ましい。特に(I−2)成分の架橋ポリマー粒子に
摺動性を付与することは、架橋ポリマー粒子が外表面に
現れた際に摺動性を増すことができ、ごみ除去性や耐磨
耗性が減衰しないばかりか、向上させる働きを有する点
で好ましい。
【0155】上記摺動性付与剤を形成する方法は、
(D−4)成分のビニルポリシロキサン、(D−iv)
や(D−ix)のシロキサン構造を分子量に対して20
質量%以上、好ましくは30〜98質量%有する(D−
1),(D−2),(D−3),(D−5),(D−
6)の不飽和化合物により、(I−1)成分の熱可塑性
エラストマー及び/又は(I−2)成分の架橋ポリマー
粒子を形成することにより摺動性を付与することができ
る。シロキサン構造の割合が少なすぎると摺動性を付与
することができない場合がある。
【0156】上記摺動性付与剤を添加する方法は、エ
ラストマー組成物に添加しても良いし、その前段階の
(I−1)成分の熱可塑性エラストマー、又は(I−
2)成分の架橋ポリマー粒子に添加しても構わない。
【0157】摺動性付与剤を本発明のエラストマー組成
物、又は(I−1)成分の熱可塑性エラストマーに添加
する場合、(I−1)成分の熱可塑性エラストマーとの
相溶性が悪いと、成形時にブリードアウト、ウエルドな
どの成形不良が発生したり、表面被覆材から短時間でブ
リードアウト、ブルームアウトしてしまい、長期的な特
性が維持されないばかりか、外観意匠性が損なわれた
り、却ってべたつきが発現するなどの不具合が生じる場
合がある。
【0158】TPS、TPO、又は特定のTPVと相溶
性がよい、好ましい摺動性付与剤としては、シリコーン
−プロピレン系共重合体、シリコーン−エチレン系共重
合体、シリコーン−アクリル系共重合体から選ばれる少
なくとも1種類のシリコーン共重合体などが挙げられ
る。
【0159】上記シリコーン−プロピレン系共重合体及
びシリコーン−エチレン系共重合体としては、プロピレ
ン鎖又はエチレン鎖にシリコーンをグラフトしたもの、
プロピレンブロック又はエチレンブロックとシリコーン
ブロックの共重合体などが挙げられる。具体的には、東
レ・ダウコーニングシリコーン(株)製 商品名シリコ
ーンコンセントレートBY27−201,BY27−2
01C,BY27−202などがある。
【0160】上記シリコーン−アクリル系共重合体とし
ては、ブロック共重合体又はグラフト共重合体がある。
グラフト共重合体には、アクリル系重合体を主鎖とする
ものとシリコーンを主鎖とするものなどが挙げられる
(特開平2−158667号公報、特開平5−3110
54号公報、特開平9−302242号公報、特願平1
0−318880号参照)。
【0161】上記摺動性付与剤の添加量は、エラストマ
ー組成物に対して2〜40質量%、特に4〜20質量%
であることが好ましい。
【0162】一方、摺動性付与剤を(I−2)成分の架
橋ポリマー粒子に添加する場合、ポリマーの架橋前に摺
動性付与剤を混合分散させて架橋することにより、架橋
ポリマー粒子中に一部固定する方法を採用することがで
きる。これは粒子自体に摺動性を付与することができる
点で好ましい。
【0163】この方法で用いることのできる摺動性付与
剤としては、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ジ
メチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン
等のオルガノポリシロキサン、フッ化炭化水素基含有の
オルガノポリシロキサン、高級脂肪酸アミド変性オルガ
ノポリシロキサン、ポリエ−テル変性オルガノポリシロ
キサン、ポリラクトン変性オルガノポリシロキサン、オ
ルガノトリアルコキシシラン、前記シリコーン−プロピ
レン系共重合体、シリコーン−エチレン系共重合体、シ
リコーン−アクリル系共重合体などの他、グラファイ
ト、マイカ、タルク、二硫化モリブデン等の無機系の摺
動性付与剤を使用することもできる。
【0164】上記摺動性付与剤の添加量は、架橋し得る
官能基を有するエチレン系重合体、イソプレン系重合
体、ブタジエン系重合体、スチレン系重合体、炭素数3
〜12のα−オレフィン系重合体、又はシリコーン系重
合体100質量部に対して100質量部以下、好ましく
は40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下であ
る。摺動性付与剤が多すぎると封止できなくなり、成形
時や成形品になってから分離して不具合が生じたり、架
橋ポリマー粒子と基材マトリックスとの密着性が低下
し、機械的強度が劣る場合がある。
【0165】なお、本発明のエラストマー組成物には、
成形品に表面凹凸形状を多く付与するために、アゾジカ
ルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテ
トラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル
ヒドラジド)、ヒドラゾジカルボンアミド、尿素、重炭
酸水素ナトリウムなどの発泡剤を添加することもでき
る。
【0166】また、本発明のエラストマー組成物には、
成形性(即ち、金型剥離性、溶融粘度、溶融伸び調
整)、光沢性向上、耐磨耗性向上、機械的強度向上の目
的で、各種滑剤、アクリル変性ポリフルオロエチレン、
水添率の高い飽和のSEBS,SEPS,SEBC,C
EBC,VLDPEを添加することもできる。特に、ス
チレン系の架橋ポリマー粒子と飽和のSEBS,SEP
S,SEBCとを併用すると、溶融伸び、光沢性、耐磨
耗性、機械的強度が向上するので効果的である。
【0167】また、本発明のエラストマー組成物には、
赤、黒、白、黄色、茶等の顔料及び染料などの各種着色
剤を添加し、この色彩を施した架橋ポリマー粒子を複数
種類混合して成形品を成形することにより、極めて特徴
のある外観意匠性を創出することができる。
【0168】本発明のエラストマー組成物の製造方法
は、それぞれ別々に製造した(I−1)成分の基材マト
リックスである熱可塑性エラストマーと、(I−2)成
分の架橋ポリマー粒子とを公知の溶融混練機などを用い
て分散混合することにより得ることができる。なお、架
橋体が(I−1)成分の熱可塑性エラストマーの(A−
1)成分のエチレン−α・オレフィン非共役ジエン共重
合体ゴムと同様なエチレン系重合体である場合は、(I
−1)成分の熱可塑性エラストマーと(I−2)成分の
架橋ポリマー粒子を動架橋用溶融混練機を用いて一括で
製造できる。
【0169】このようにして得られる本発明のエラスト
マー組成物は、成形品製造用の押出機の先端にダイスを
取り付けて直接成形品に加工することができる。また、
組成物を予めバルク状、べール状、シート状、ペレット
状、粉状などに成形しておき、これらを成形工程に送
り、押出成形法、ブロー成形法、射出成形法、回転成形
法、プレス成形法、カレンダーロール法等の通常の成形
法により成形することができる。この場合、成形金型、
ダイス、ロールなどの内側面に、スリット、ブラスト、
模様、彫刻、ピンを形成しておき、成形品(表面被覆部
材)表面に優れた凹凸外観意匠性、疑似織物(ファブリ
ック)、疑似布の風合を付与することができる。
【0170】なお、押出成形法によって成形する場合
は、使用している架橋ポリマー粒子の最長径平均の0.
5倍以上、特に2倍以上のダイスリップ厚みを設けるこ
とが好ましい。ダイスリップ厚みが0.5倍未満では弾
性変形が可能な粒子であっても、目詰まりが生じたり、
成形品に穴があき易くなる場合がある。
【0171】本発明の成形品(表面被覆部材)は、デザ
イン性、手触り感、摺動性、ゴミ異物の排除性などの機
能を付与するため、表面の十点平均粗さが20μm以上
であることが必要であり、好ましくは20〜400μ
m、より好ましくは40〜200μmである。十点平均
粗さが小さすぎると、上記本発明の優れた機能を発現す
る凹凸状の粗面が得られない。一方、大きすぎると、成
形品が破壊され易くなったり、摩耗によるゴミが発生す
る場合がある。
【0172】なお、金型に模様を施すなどの上述の方法
を併用する場合は、規則性のある凹凸は除き、判別が困
難な場合は1000μm以上の凹凸を消去して十点平均
粗さを測定する。なお、この場合も表面の十点平均粗さ
が40〜400μmであることが、同じ理由により好ま
しい。
【0173】なお、本発明において、表面被覆材とは、
本発明エラストマー組成物単一、又は他組成物との複合
成形体の場合は、表皮(最外殻部)が本発明エラストマ
ー組成物から形成されているものを指す。
【0174】本発明の成形品は、デザイン性、手触り
感、摺動性、ゴミ異物の排除性などの機能を備えてお
り、自動車部材用途の他、硝子窓、引き戸等の建具建物
間の摺動部材、壁紙、レザー、鞄、手帳などの用途に幅
広く用いることができる。
【0175】特に、自動車部品としては、例えばドアガ
ラスアウターウェザストリップ(ベルトモール)、ドア
ガラスインナーストリップ(インナーモール)、サンル
ーフウェザストリップ、ドア周りのウェザストリップ、
ドア下モール、窓周りの各種モール、アウトサイドミラ
ーパッキン、グラスランチャンネル、ドリップモールな
どの外装部品や、インパネ、ドアトリム、ヘッドレス
ト、シートベルトカバー、エアーバッグカバー、アーム
レスト、シフトレバーノブ、各種のリットカバー、アシ
ストグリップ等の内装部品などに用いることができる。
【0176】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。
【0177】〔実施例1、比較例1〕 (1)熱可塑性エラストマーの調製 表1〜3に示す組成で、下記,,の操作により、
(I−1)−1〜(I−1)−3の3種類の熱可塑性エ
ラストマーを製造した。
【0178】混練機として、株式会社池貝製高速二軸押
出機PCM30を用いた。このPCM30は、ホッパー
下C0からペレット製造用ダイスDまで、C0→C1〜
C9→H→AD→Dの等分割したシリンダー単位で連結
されており、L/D=35、スクリューは正転,ニュー
トラル,逆転のニーディングディスクと順逆送りスクリ
ューエレメントから構成されている。
【0179】表1記載の「予備混練ステージで混練さ
れる原材料」を混練するため、予め高速二軸押出機PC
M30に食い込むことができる大きさにまで粉砕したエ
チレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体と、他の表
1記載の「予備混練ステージで混練される原材料」をブ
レンダーで混合した。得られた混合物をPCM30に供
給し、混練して予備混練ペレットを作製した。 で作製した予備混練ペレットをL/D=42、ニー
ディングディスクを増設したPCM30に供給し、表2
記載の「動架橋混練ステージで添加混練される架橋剤」
を表2の配合比になるように、PCM30のC2位置か
ら供給した。 表3記載の「動架橋混練ステージで架橋剤添加後、添
加混練する耐候剤、耐熱剤」を表3の配合比になるよう
に、PCM30のC8位置から供給した。
【0180】
【表1】 予備混練ステージで混練される原材料
【0181】
【表2】 動架橋混練ステージで添加混練される架橋剤
【0182】
【表3】 動架橋混練ステージで架橋剤添加後に添加混
練する耐候剤、耐熱剤
【0183】(2)架橋ポリマー粒子の調製と評価 表4〜7に示す組成で、下記,の操作により、動的
架橋により、(I−2)−1〜(I−2)−7,(あ−
2)−6の8種類の架橋ポリマー粒子を製造した。な
お、予備混練には株式会社トーシン製TD10−20M
加圧式ニーダーを用いた。また、動的架橋には株式会社
池貝製高速二軸押出機PCM30を用いた。
【0184】TD10−20M加圧式ニーダーのロー
ター、反応槽、加圧蓋を150℃に制御した。表4,5
記載の「予備混練ステージで混練される原材料」の全量
が8kgになるように計量し、投入した後、混練を行っ
た。樹脂温度が180℃になったところで、TD−10
−20M加圧式ニーダーから取り出して、シーティング
し、冷却して粉砕した。 の予備混練粉砕物をシリンダー温度160〜200
℃に制御した高速二軸押出機PCM30に供給した。次
に、表6,7記載の「動架橋混練ステージで添加混練さ
れる架橋剤」を表6,7の配合比になるように、PCM
30のC2位置から供給した。この場合、架橋ポリマー
粒子(I−2)−1,(I−2)−5,(I−2)−
6,(I−2)−7はダイスを付けずに粉体で製造し
た。(I−2)−2,(I−2)−3,(あ−2)−6
は、ホットカットダイスを付けてペレット化して製造し
た。(I−2)−4は、ストランドカットダイスを付け
てペレット化して製造した。なお、スクリュー回転数は
50〜100rpmで行った。また、PCM30のL/
Dは35、ニーディングディスク数も減らした。
【0185】動的架橋で得られた(I−2)−1〜(I
−2)−7,(あ−2)−6の8種類の架橋ポリマー粒
子、表9記載の市販の架橋ポリマー粒子及び未架橋ポリ
マー粒子について、電子顕微鏡でその粒子径を測定し、
平均最長径長さを算出した。また、加熱型顕微鏡を用い
て100〜240℃まで5℃/minの加熱速度で溶融
性を確認した。結果を表8,9に示す。
【0186】
【表4】 予備混練ステージで混練される原材料(1)
【0187】
【表5】 予備混練ステージで混練される原材料(2) *1:三井化学製R−4532 油添前極限粘度[η]:3.2 油添前100℃ムーニー粘度:115 油添後100℃ムーニー粘度:103 VNB含有量(ヨウ素価):1.7質量%(4) エチレン含有質量%(エチレン含有モル%):70(7
8) 油添量(質量部):20 *2:三井化学製PX−046 油添前極限粘度[η]:2.1 油添前100℃ムーニー粘度:58 VNB含有量(ヨウ素価):4.5質量%(10) エチレン含有質量%(エチレン含有モル%):57(6
8)
【0188】
【表6】 動架橋混練ステージで添加混練される架橋剤
(1)
【0189】表6中(J−10)は下記式に示した通り
である。
【化27】 上記式中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、qは
11〜13である。
【0190】
【表7】 動架橋混練ステージで添加混練される架橋剤
(2)
【0191】
【表8】
【0192】
【表9】
【0193】(3)実施例1及び比較例1のエラストマ
ー組成物の調製 表10〜12に示す組成を、ブレンダーで混合した後、
高速二軸押出機PCM30に供給して、混練した。この
PCM30では、シリンダー温度を160〜200℃に
制御し、ストランドカットダイスを付けてペレット化し
た。なお、スクリュー回転数は200rpmで行った。
【0194】次に、図2に示したように、二層ダイスに
φ40mmとφ20mmの二台の単軸押出機を接続し
た。φ40mm単軸押出機から熱可塑性エラストマー
(I−1)−2のペレットを、φ20mm単軸押出機か
ら表4〜7,9で作製又は入手した架橋ポリマー粒子又
は未架橋ポリマー粒子を含有する表10〜12のペレッ
トをそれぞれ供給して、図3に示したようなA部、B部
を有する成形品(押出シート)4を成形した。その際、
B部の厚みが0.4〜0.5mmの範囲に入るように、
各押出機のスクリュー回転速度及び二層成形品の引き取
り速度を若干調整した。なお、φ40mm、φ20mm
の単軸押出機と二層ダイスは180〜200℃に温調し
た。
【0195】得られた成形品について、下記方法により
諸特性を評価した。結果を表10〜12に示す。沸騰キシレン不溶ゲル分 成形品4を0.5mm以下の大きさまで粉砕した。この
粉砕物を3g程度精秤W1gし、150mLの沸騰キシ
レンに入れ、6時間還流抽出を行った。予め精秤したW
2gの濾紙で抽出溶液を濾過して不溶ゲル分を分離し
た。濾紙上の不溶ゲル分を濾紙に乗せたまま、100℃
で24時間乾燥し、室温まで冷却した後、濾紙ごと秤量
3gした。これらの結果から、下記式に基づき、沸騰
キシレン不溶ゲル分を算出した。
【数2】 表面の十点平均粗さ 株式会社東京精密社製サーフコム110BでJIS B
0601−1994に基づいて測定した。静摩擦係数及び動摩擦係数 摩擦試験機としてヘイドン14−D−ANL(新東科学
社製)を用いて成形品(押出シート)のB部から6mm
×50mmのサンプルを切り取り、平面圧子に貼り付
け、荷重1000kg、引張速度100mm/minの
条件でガラスとの静摩擦係数及び動摩擦係数を測定し、
摺動性の評価とした。摩耗回数 図4に示したように、成形品4を固定し、R=15m
m、幅3mmのガラス(すりガラス面)を荷重1kgで
接触させ、150mm間を1Hzの条件で往復運動し、
成形品に穴が空いた時の往復回数を摩耗回数とした。但
し、1000回ごとにすりガラス面をサンドぺーパーで
掃除した。変形量 図5(A),(B)に示した治具Tに成形品4を固定
し、23℃で24時間放置した後、治具の一部を解放
し、30分後の変形量(両矢印方向)を測定した。な
お、変形量が小さいほど、耐永久歪み性に優れている。引張試験 JIS K7113(2号ダンベル)
【0196】
【表10】 *1:日信化学(株)製アクリル変性ポリオルガノシロ
キサン *2:日本合成ゴム(株)製SEBC *3:大日本インキ化学工業(株)製
【0197】
【表11】 *4:J−750H 出光石油化学(株)製ブロックタ
イプポリプロピレン *5:シリコーンコンセントレートBY27−201
東レダウコーニング(株)製ポリプロピレンにシリコー
ングラフトした共重合体 *6:日本合成ゴム(株)製ポリプロピレンにHSBR
(日本合成ゴム(株)製DR1320P)を分散させた
もの なお、表11中、実施例(1−12),(1−15)
は、架橋ポリマー粒子と熱可塑性エラストマーとを一度
に作製したものである。
【0198】
【表12】 *7:三井化学(株)製オレフィン系熱可塑性エラスト
マー *8:ダウケミカルカンパニー製エチレン−オクテン共
重合体
【0199】表10〜12の結果から、実施例1−1〜
1−17は、いずれも問題なく成形することができ、摺
動性、耐摩耗性、耐永久歪み性、機械的強度、柔軟性に
優れたものであることが認められた。
【0200】〔実施例2、比較例2〕実施例1−6の組
成物102質量部にシャリーヌR−128(日信化学
(株)製アクリル変性ポリオルガノシロキサン)5質量
部を添加混練して、実施例2の組成物を製造した。この
組成物の沸騰キシレン不溶ゲル分は48質量%であっ
た。
【0201】次に、図6に示したように、芯材5となる
ステンレスをロール加工し、その表面に接着剤を塗布し
た後、本体硬質部6となるポリプロピレン組成物(タル
ク、黒顔料を含有)、本体弾性部7となる実施例2の組
成物を三層押出成形により、車両用ウエザストリップを
成形した(「実施例2の製品」)。なお、本体弾性部7
と窓ガラス摺動部とを合せてリップ部という。
【0202】比較例2として、リュブマー(三井化学
(株)製ポリエチレン系摺動材)100質量部にハイゼ
ックスミリオン240M(三井化学(株)製 超高分子
量ポリエチレン粒子)40質量部を混練した組成物で、
窓ガラス摺動部を形成した車両用ウエザストリップを成
形した(「比較例2の製品」)。この「比較例2の製
品」は、窓ガラス摺動部の凹凸がまばらにしか発生しな
かった。
【0203】「実施例2の製品」の窓ガラス摺動部の十
点平均粗さは360μmであった。また、「比較例2の
製品」の十点平均粗さは10μmであった。
【0204】次に、「実施例2の製品」及び「比較例2
の製品」を実車に取り付けた。施工の際、「比較例2の
製品」はリップ部に変形が加わると、窓ガラス摺動部が
しわになってしまった。「実施例2の製品」はリップ部
が変形しても、弾性回復してしわが残らなかった。ま
た、10000回の窓ガラス昇降試験を行った。この
際、1000回ごとに平均粒径30μmの鋳砂を定量付
着させて200回目、1000回目、2000回目、5
000回目、10000回目の窓ガラス摺動部の摩耗及
びガラスの摩耗を観察した。
【0205】「実施例2の製品」及び「比較例2の製
品」とも10000回まで摺動性不足による昇降ストッ
プという事態には陥らなかった。また、「比較例2の製
品」は、当初よりガラスと鋳砂の摺れ音が発生し、20
0回時点で窓ガラス摺動部及びガラスに傷が発生し、回
数を追うごとにガラスの傷が増加し、窓ガラス摺動部は
摩耗していった。
【0206】これに対して、「実施例2の製品」は、鋳
砂が窓ガラス摺動部に入らずに排除する傾向が強かっ
た。2000回時点まで窓ガラス摺動部及びガラスに傷
がほとんど発生しなかった。5000回目、10000
回目で窓ガラス摺動部は摩耗していたが、凹凸は残って
おり、ガラスに傷はほとんど発生しなかった。
【0207】〔実施例3〕表13の配合で、実施例1と
同じ方法で熱可塑性エラストマー(I−1)−4のペレ
ットを作製した。次に、表14の配合で、予備混練を高
速二軸押出機PCM30を用いて160〜200℃の設
定温度で200rpmで行った以外は、実施例1と同じ
方法で、(I−2)−8の架橋ポリマー粒子を作製し
た。続いて、表15に示した配合で、実施例1と同じ方
法で混練し、実施例3のペレットを製造した。
【0208】得られた実施例3のペレットを押出機にて
180〜210℃の条件で加熱混練を行い、円筒状に押
出された材料を2枚の金型で挟み、空気を吹き込んで金
型の内壁に密着させると同時に冷却し、図7に示した車
両用ヘッドレストの被覆層となる中空成形品を得た。な
お、金型の内側には、図8に示したキャンバス布地模様
が施されている。
【0209】この金型模様の規則的な凹凸を相殺した時
の十点平均表面粗さは70μmであり、上記同様に測定
した沸騰キシレン不溶ゲル分は46質量%であった。
【0210】この実施例3のヘッドレストの被覆部材
は、金型模様、架橋粒子による凹凸、(I−1)−4と
(I−2)−8の色を若干ずらした効果が相俟って、染
めた繊維を編んだ布地感のある外観が得られた。また、
粘着感がなく、手触りも布地の風合を持つものとなっ
た。本物の布地と異なり、ジュース、タバコの灰を付着
させても、染みや汚れの付きにくい特性を有していた。
【0211】
【表13】 *LLDPE
【0212】
【表14】
【0213】
【表15】 *:日本合成ゴム(株)製HSBR
【0214】〔実施例4〕実施例3と同じ方法で、表1
6の熱可塑性エラストマー(I−1)−5、表17の架
橋ポリマー粒子(I−2)−9を作製した。続いて、表
18の配合で、実施例4のペレットを製造した。
【0215】次に、全体に皮地の絞り模様を施し、グリ
ップ部分形成箇所に半円凸部を多数設けた金型に、金属
賦形物をインサートし、実施例4のペレットを射出成形
機で射出して、図9に示した車両用アームレスト被覆層
を成形した。
【0216】半円凹状の規則的な凹凸部及び1000μ
m以上の凹凸部を相殺した時の十点平均表面粗さは、グ
リップ部分とその他の部分も40〜50μmであった。
被覆層の一部をサンプリングし、上記同様に測定した結
果、ポリマー粒子の平均最長長さが80μm、ポリマー
粒子の溶融性なし、沸騰キシレン不溶ゲル分が47質量
%であった。
【0217】この実施例4は、艶消し感のある疑似皮地
の外観、さらっとした手触り感を持ち、かつ爪で傷の付
きにくいアームレスト被覆部材であった。
【0218】
【表16】 *:SEBS
【0219】
【表17】
【0220】
【表18】
【0221】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性エラストマー
からなる基材マトリックスに架橋粒子を分散させること
によって、成形品の表面に凹凸形状を形成でき、摺動
性、耐摩耗性、非汚染性、ゴミ排除性(ブラッシング効
果)に優れる表面被覆部材や、デザイン性、風合、手触
り感などの人の感覚に訴える表面被覆部材を提供できる
ようになった。
【0222】また、特定の不飽和化合物、オルガノハイ
ドロジェンポリシロキサンと白金触媒との3つの成分を
併用することにより、効率よく動的なヒドロシリル化架
橋を行うことができ、高い性能のオレフィン系熱可塑性
エラストマー基材や架橋粒子を製造することができるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオレフィン系TPVの製造工程(タン
デム型)を示した概略図である。
【図2】実施例1の二層ダイスの概略断面図である。
【図3】同成形品の概略断面図である。
【図4】摩耗回数の測定方法を示した説明図である。
【図5】変形量の測定方法を示し、(A)は成形品を治
具に固定した状態、(B)は治具の一部を解放した状態
を示す。
【図6】ウエザストリップの概略図である。
【図7】ヘッドレストの斜視図である。
【図8】ヘッドレスト成形金型の内側の模様を示した拡
大図である。
【図9】アームレストの概略図である。
【符号の説明】
4 成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/00 C08K 5/00 5/101 5/101 5/541 C08L 23/04 C08L 23/04 23/10 23/10 101/00 101/00 (C08L 101/00 //(C08L 101/00 83:05 83:05 83:04 83:04 23:20 23:20 9:00 9:00 83:07 83:07 67:00) 67:00) C08K 5/54 (72)発明者 辻葩 一 埼玉県大宮市吉野町1−406−1 信越ポ リマー株式会社内 (72)発明者 吉田 仲次郎 埼玉県大宮市吉野町1−406−1 信越ポ リマー株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA06 AA12 AA13 AA15 AA16 AA18 AA60 AB09 AB11 AB16 AC06 AC25 AC52 AC53 AC73 AC88 AC92 AE08 GA01 GA06 GB10 4F071 AA12 AA15 AA20 AA21 AA22 AA67 AB06 AB11 AC10 AE02 AH07 AH10 AH11 BC07 BC10 BC16 4J002 AC02X AC03X AC034 AC06X AC064 AC074 AC084 BB02X BB03W BB04W BB05W BB12W BB12X BB14W BB15W BB17X BC02X CF214 CP03X CP034 CP043 CP134 DA117 DE197 EH078 EX006 EX037 FD144 FD146 FD147 FD148 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材マトリックスに、エチレン系重合
    体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチレ
    ン系重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合
    体、又はシリコーン系重合体を架橋してなる平均最長径
    長さが30〜600μmであり、かつ実質的に溶融しな
    い架橋ポリマー粒子を含有させると共に、沸騰キシレン
    不溶ゲル分を含むことを特徴とするエラストマー組成
    物。
  2. 【請求項2】 上記基材マトリックスが、下記(A)、
    (B)、(C)及び(D)成分からなる混合物で、下記
    (A−1)成分を部分的又は完全に架橋してなるオレフ
    ィン系熱可塑性エラストマーである請求項1記載の組成
    物。 (A)下記(A−1)成分と(A−2)成分とからなる
    混合物 (A−1)エチレン−α・オレフィン−非共役ジエン共
    重合体ゴム (A−2)ポリプロピレン及びその共重合体並びにポリ
    エチレン及びその共重合体から選ばれる少なくとも1種
    の重合体 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
    とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
    ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)下記一般式(D−i)〜(D−x)で示される構
    造単位の1種又は2種以上を有すると共に、該構造単位
    の合計量が分子量に対して12質量%以上である下記
    (D−1)、(D−2)、(D−3)、(D−4)、
    (D−5)及び(D−6)から選ばれる少なくとも1種
    の不飽和化合物 (D−1)アクリロイル化合物 (D−2)メタクリロイル化合物 (D−3)不飽和ポリエステルアルキッド (D−4)ビニルポリシロキサン (D−5)1,4−結合のイソプレン重合体 (D−6)1,4−結合のブタジエン重合体 【化1】 【化2】
  3. 【請求項3】 上記架橋ポリマー粒子が、エチレン系重
    合体、イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体、スチ
    レン系重合体、炭素数3〜12のα−オレフィン系重合
    体、又はシリコーン系重合体を、下記(B)〜(D)成
    分を含む複合架橋剤で架橋させたものである請求項1又
    は2記載の組成物。 (B)1分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なく
    とも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサ
    ン (C)ヒドロシリル化触媒 (D)上記一般式(D−i)〜(D−x)で示される構
    造単位の1種又は2種以上を有すると共に、該構造単位
    の合計量が分子量に対して12質量%以上である下記
    (D−1)、(D−2)、(D−3)、(D−4)、
    (D−5)及び(D−6)から選ばれる少なくとも1種
    の不飽和化合物 (D−1)アクリロイル化合物 (D−2)メタクリロイル化合物 (D−3)不飽和ポリエステルアルキッド (D−4)ビニルポリシロキサン (D−5)1,4−結合のイソプレン重合体 (D−6)1,4−結合のブタジエン重合体
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項記載の組
    成物を成形してなる表面の十点平均粗さが20μm以上
    であることを特徴とする成形品。
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