JP5554511B2 - ゴム成形体およびゴム成形体の製造方法 - Google Patents

ゴム成形体およびゴム成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム成形体およびゴム成形体の製造方法に関するものであって、熱膨張カプセルを含有した高分子材料組成物を用い、当該熱膨張カプセルの膨張を利用してゴム成形体表面に粗面を形成し、艶消し調等の意匠を付与するものである。
ゴム材料等が配合された高分子材料組成物から成るゴム成形体(架橋された成形体)は、種々の用途に適用されており、その用途に応じた機能を発揮できるように研究開発されている。また、近年においては、前記のように各種機能を発揮するだけでなく、ゴム成形体の任意の意匠を付与し外観性を良好にすることが要求されている。
例えば、自動車のシール部材(ウェザーストリップ等),プロテクタ部材等に適用されている製品(ゴム成形体)においては、その適用対象に応じた各種機能(シール部材の場合はシール性等)を発揮するだけでなく、艶消し調等の意匠を付与して外観性を良好にすることが要求され始めている。この外観性を良好にする手法としては、例えば適用対象部位の周辺の外観と調和させるために、ゴム成形体表面に意匠性の良好な部材(布生地等)を貼り付ける手法が考えられていた。例えば、自動車用ウェザーストリップの場合には、その自動車内装と調和する色彩の布地を貼り付ける手法が考えられていたものの、貼り付ける工程において手間およびコストがかかってしまうため、懸念されていた。
近年、熱膨張カプセルを含有した高分子材料組成物を用い、当該熱膨張カプセルの膨張を利用してゴム成形体表面を粗面(熱膨張カプセルの熱膨張に由来する微細な凹凸面;熱膨張由来粗面と称する)にすることにより、そのゴム成形体表面を艶消し調にして外観性を高める手法が出現した。このように熱膨張カプセルを利用した場合、高分子材料組成物中の熱膨張カプセルが加熱架橋工程時に熱膨張するため、ゴム成形体表面には、当該膨張により破裂した熱膨張カプセルの残部によって外側に開口した複数の凹部(以下、開口凹部と称する)および/または凸部が形成され、艶消し調等の意匠により外観性が向上するとみなされていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記のように単に熱膨張カプセルを用いて熱膨張由来粗面が形成されたゴム成形体では、その表面の凹凸が不均一に形成(例えば、開口凹部が不均一に形成)されたり、ささくれが生じ、目的とする意匠が得られず低い外観性となる恐れがある。
また、前記の開口凹部の耐摩耗性が低いため表面形状は変化し易く、目的とする意匠を保持できない恐れがある。例えばガラスランのように摺動機能を要するゴム成形体の場合は、その摺動に伴って磨耗し易く、目的とする意匠が損なわれる恐れがある。
また、ゴム成形体表面の開口凹部は、汚れが溜まり易く、例えば洗浄等を行っても除去し難い恐れがある。さらに、特にゴム成形体表面の色彩が白色系,淡色系等の場合は当該開口凹部が陰となり、如何にも黒い斑点が表面に散乱した状態(陰影)になるため、外観性も悪化する恐れがある。
特許第3535090号公報(段落[0004],[0005],図1等参照)。
本願発明者は、前記のような技術進歩等に伴って、意匠性を要求されるゴム成形体では以下に示す第1〜第3課題があることに着目した。
すなわち、第1課題としては、熱膨張由来粗面によって艶消し調等の意匠を持たせたゴム成形体において、熱膨張カプセルの破裂に起因する開口凹部が形成されないようにし、十分良好な外観性,耐摩耗性,耐汚れ付着性を得ることが挙げられる。
第2課題としては前記のように熱膨張カプセルの破裂の抑制を容易にする点が挙げられ、また第3課題としては当該破裂抑制をより強化する点が挙げられる。
この発明に係るゴム成形体およびその製造方法は、前記の課題を解決すべく創作された技術的思想であって、熱膨張カプセル等を配合した高分子材料組成物を押出し成形して成る基体(ゴム成形体の基体)表面に対し、被覆層組成物を被覆(塗布)して被覆層を形成することにより、当該表面近傍の熱膨張カプセルが破裂に至って開口凹部が形成されようにし、第1課題を解決することが可能となる。
また、高分子材料組成物に係る成分の種類,配合量等を設定、または/および被覆層組成物に係る成分の種類,配合量や厚さ等を設定することにより、第2または/および第3課題を解決することが可能となる。
具体的に、この発明のゴム成形体の一態様は、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に対し、少なくともシリカを含んだ充填剤,熱膨張カプセルが配合された高分子材料組成物を押出し成形して成る基体と、その基体表面に被覆された被覆層と、を備えた成形体を加熱により架橋して得られ、前記充填剤は、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrに対して150phr〜300phr配合されたことを特徴とする。
また別の態様は、前記充填剤が、シリカと層状結晶性充填剤とを含有、またはシリカと層状結晶性充填剤との結合化合物を含有したことを特徴とする。
さらに別の態様では、前記充填剤が、少なくともシリカを150phr含有することを特徴とする。
さらに別の態様では、前記被覆層が、ウレタン系またはシリコーン系の塗料が配合された被覆層組成物を基体表面に被覆して形成されたことを特徴とする。
さらに別の態様では、前記被覆層組成物は、造膜系プライマーが配合されたことを特徴とする
さらに別の態様では、前記被覆層の厚さが1μm以上であることを特徴とする。
さらに別の態様では、前記のウレタン系塗料またはシリコーン系塗料が配合された被覆層組成物は、温度110℃以下で揮発する有機溶剤または水が配合されたことを特徴とする。
さらに別の態様では、前記シリコーン系塗料が配合された被覆層組成物において、粘度が10万〜100万cpsであることを特徴とする。
さらに別の態様では、前記熱膨張カプセルにおいて、最大膨張温度が90℃〜180℃であることを特徴とする。
この発明に係るゴム成形体の製造方法の一態様では、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrに対し、少なくともシリカを含んだ充填剤150phr〜300phr,熱膨張カプセルが配合された高分子材料組成物を押出し成形して基体を得、その基体表面に被覆層組成物を塗布し乾燥させて被覆層を形成した後に加熱により架橋する方法であって、前記熱膨張カプセルには、膨張開始温度が前記の被覆層組成物の塗布温度,乾燥温度よりも高く、最大膨張温度が架橋温度以下のものを用いたことを特徴とする。また、別の態様では、前記熱膨張カプセルにおいて、最大膨張温度が90℃〜180℃であることを特徴とする。
以上示したように本発明によれば、例えば図1Aに示すように、予め基体1表面に被覆層2が形成されているため、たとえ基体1表面近傍の熱膨張カプセル1aが熱膨張しても、その熱膨張による破裂が抑制、すなわち開口凹部が形成されないように抑制されながら、熱膨張由来粗面が形成される。
一方、被覆層2が無い場合、図1Bに示すように、基体1表面に開口凹部1bが形成されてしまい、当該開口凹部1bが陰影となってしまう。このような開口凹部1bが形成された基体1表面は、耐摩耗性も低く、特に開口凹部1bには汚れ等が付着して溜まり易いため外観性が損なわれる恐れがある。
また、図1Cに示すように、熱膨張カプセル1aの熱膨張による開口凹部1b形成された後に被覆層2を形成しても、残存した開口凹部1bが陰影となる。図1Bの場合と比較すると、少なからず耐摩耗性が得られるものの、当該開口凹部1bに汚れ等が溜まり易く外観性が損なわれる恐れがある。
本発明に係るゴム成形体およびその製造方法によれば、熱膨張カプセルは被覆層によって抑制されながら膨張するため開口凹部も形成され難くなり、十分良好な外観性,耐摩耗性,耐汚れ付着性が得られる。
熱膨張カプセルを配合した高分子材料組成物から成るゴム成形体の概略説明図。
本実施の形態におけるゴム成形体およびその製造方法は、少なくともエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体(以下、EPDMと称する),充填剤,熱膨張カプセルが配合された高分子材料組成物を押出し成形して成る基体と、その基体表面を被覆する被覆層と、を備えた成形体(架橋される前の成形体;以下、架橋前成形体と称する)を用いるものであって、その架橋前成形体を加熱により架橋して得られるゴム成形体に関するものである。
前記の加熱架橋工程時の熱により熱膨張カプセルが熱膨張するが、被覆層により熱膨張カプセルの破裂が抑制され、開口凹部が形成され難くなる。前記の熱膨張によって熱膨張由来粗面が形成され、ゴム成形体表面には艶消し調等の意匠が付与される。
本実施形態の基体に用いる高分子材料組成物,基体表面に被覆される被覆層組成物においては、例えば以下に示すようなEPDM,充填剤,熱膨張カプセルや被覆層組成物だけでなく、使用目的に応じて各種添加剤を適宜配合しても良い。
<高分子材料組成物>
[EPDM(エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体)]
EPDMにおいては、α‐オレフィンとして、例えばプロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、1‐デセン等が挙げられ、好ましくはプロピレンとする。もちろん、前記のα‐オレフィン群のなかから複数のものを選択し、例えばプロピレンと1‐ブテンの如く組み合わせて使用しても良い。
また、ポリエン共重合体が5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5‐ビニル‐2‐ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン等の環状の非共役ポリエンであるものや、1,4ヘキサジエン、7‐メチル‐1,6‐オクタジエン、4‐エチリデン‐1,7ウンデカジエン、4,8‐ジメチル‐1,4,8‐デカトリエン等の鎖状の非共役ポリエンであるものが挙げられる。これら各非共役ポリエンは、単独、または2種類以上組み合わせたものでも良く、その構成単位(EPDMにおける非共役ポリエンの含有比率)は例えば1wt%〜20wt%とし、好ましくは1wt%〜15wt%、より好ましくは5wt%〜11wt%である。このようなEPDMとしては、例えば住友化学社製のエスプレン7456を適用することができる。
[充填剤]
充填剤には、少なくともシリカを含んだ無機充填剤(以下、シリカ含有充填剤と称する)を用いる。シリカは、EPDMにおけるオレフィン成分の部分結晶化に寄与し核剤として機能することから、基体の耐摩耗性が良好となる。また、シリカの外表面や内部はシラノール基(Si‐OH)で覆われていることから、内部にシリコーン化合物等が保持され易い。本実施形態においては、基体と被覆層とが同時に架橋(硬化)され、アンカー効果により基体と被覆層との間で密着性が得られるが、被覆層においてシリコーン化合物が適用されている場合には、基体のシリカにより被覆層のシリコーン化合物が保持され易いため、その保持力により前記の密着性が更に高められることとなる。
シリカの粒子形状は特に限定されるものではないが、好ましい粒径として、前記のように結晶化に寄与する核剤としての機能の他に取り扱い性を考慮すると、約0.1μm〜約100μmの範囲が挙げられるものの、目的とするゴム成形体の特性を大きく損なわない程度であれば適宜用いることができる。
シリカにおいては、一般的に知られているもの(市販品等)を適宜適用することができ、例えば湿式シリカ(例えば、トクヤマ社製のトクシール),球状シリカ(例えば、トクヤマ社製のエクセリカ),多孔質シリカ(例えば、旭ガラス社製のサンフィア,鈴木油脂工業社製のゴットボール,東海化学工業所社製のマイクロイド)等が挙げられる。
また、シリカと共にカオリン,タルク,マイカ,スメクタイト等の板状,鱗片状の層状結晶性充填剤を適宜組み合わせたシリカ含有充填剤であっても良い。この場合、基体表面には層状結晶性充填剤に起因する微細な粗面が形成されるため、アンカー効果により基体と被覆層との間の密着性がより高められる。なお、シリカと層状結晶性充填剤との結合化合物、例えば球状シリカと板状カオリンとの結合化合物(例えば、HOFFMAN MINERAL社製のシリチン;シリカ68wt%〜84wt%,カオリン15wt%〜25wt%)から成るシリカ含有充填剤であっても、同様の作用効果がある。
EPDMに対するシリカ含有充填剤の配合量は、150phr〜300phrとすることが好ましく、より好ましくは少なくともシリカが150phr配合されていることである。これらの範囲外でシリカ含有充填剤が配合されると、目的とするゴム成形体の特性を損なう恐れがある。
例えば、シリカの配合量が150phr未満の場合、被覆層においてシリコーン化合物が適用されていても保持力が十分ではなく、前記のように密着性を高めることができない恐れがある。また、シリカによる部分結晶化が少なくなるため、ゴム成形体(基体)は脆弱で表面が削られ易い状態となり、耐摩耗性が低くなってしまう。
さらに、シリカ含有充填剤の配合量が300phr超の場合、高分子材料組成物の混練性が低下(高分子材料組成物の一体化が困難)したり押出し成形性が低下し、例えば押出し加工時の所謂メヤニ現象(押出し成形機の口金縁等に発生するメヤニ)が発生し得る。また、エッジを有する形状に押出し成形(異形押出し成形)する場合には、そのエッジ部に所謂ささくれが発生し易くなり好ましくない。
[熱膨張カプセル]
前記の熱膨張カプセルとしては、押出し成形後の架橋前成形体を加熱架橋する際の熱により膨張し得るものが適用される。例えば、前記の加熱架橋工程の熱により気体を発生し得る液体(例えば、低沸点の炭化水素,塩素化炭化水素)を熱可塑性樹脂の殻壁(例えば、球状の殻壁)内に充填したもの(熱膨張性の熱可塑性樹脂粒子)であって、真比重0.1以下,粒径(メディアン径)5μm〜100μmとし、その液体が膨張開始温度以上の温度の熱により膨張し始め、目的とするゴム成形体内にて熱膨張セル(例えば30μm〜300μmの熱膨張セル)を形成する液体封入熱可塑性樹脂粒子が挙げられる。
前記の熱膨張カプセルの膨張開始温度や最大膨張温度は、高分子材料組成物の押出し成形工程,被覆層組成物の被覆・乾燥工程,加熱架橋工程の温度等に応じて選択される。すなわち、押出し成形工程や被覆・乾燥工程で発生する熱では熱膨張せず、加熱架橋工程での熱により熱膨張するものを適用することが好ましい。
例えば加熱架橋温度が110℃〜200℃に設定される場合、最大膨張温度は110℃〜200℃が好ましく、より好ましくは130℃〜190℃となる。なお、膨張開始温度や最大膨張温度が低過ぎると(例えば110℃未満の場合)、押出し成形された基体表面に被覆層を形成する前、例えば被覆層組成物の塗布工程や乾燥工程で発生する熱により熱膨張カプセルが意に反して膨張し、開口凹部が形成され得る可能性がある。また、最大膨張温度が高過ぎると(例えば200℃超の場合)、加熱架橋工程時の熱が加えられても熱膨張カプセルの膨張が不足し、ゴム成形体表面において目的とする熱膨張由来粗面が形成されない可能性がある。
さらに、前記の熱膨張カプセルの最大膨張温度が加熱架橋温度よりも十分低い場合(例えば、加熱架橋温度のピーク温度が170℃程度の場合、120℃〜150℃程度)には、該加熱架橋工程時に熱膨張セルによる構造が形成された後、架橋されたゴム成形体が得られることから、たとえ生産工程上において生じ得る加熱架橋温度のバラツキがあっても、該ゴム成形体の比重のバラツキが生じることは殆どない。換言すれば、安定した比重でスポンジゴムを生産することが可能となる。
前記の熱膨張カプセルの殻壁を構成する熱可塑性樹脂の成分としては、好ましくは(メタ)アクリルニトリル重合体や、(メタ)アクリルニトリルを多く含有する重合体が挙げられ、それら重合体に対するモノマー(いわゆる相手側のモノマー;コモノマー)として、ハロゲン化ビニル,ハロゲン化ビニリデン,スチレン系モノマー,(メタ)アクリレート系モノマー,酢酸ビニル,ブタジエン,ビニルピリジン,クロロプレン等のモノマーが挙げられる。
なお、前記の殻壁は、未架橋であることが好ましいが、例えば一般的なジビニルベンゼン,エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の架橋剤により架橋されたものであっても良い。また、熱膨張カプセル内に充填される液体としては、例えばn‐ペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,ブタン,イソブタン,ヘキサン,石油エーテル等の炭化水素類や、塩化メチル,ジクロロエチレン,トリクロロエタン,トリクロルエチレン等の塩素化炭化水素類が挙げられる。
熱膨張カプセルの更なる具体例としては、大日精化工業社製のダイフォームH750Dの他、同シリーズであるH770D,H850D,M430を好適に使用することができる。また、例えば、松本油脂社製のマツモトマイクロスフェアーF80S−D,F85−D,F100−D,F105−D,F82−Dや、スウェーデン国・エクスパンセル社製のEXPANCEL091DU−80,092DU−120等を適用することもできる。熱膨張カプセルの配合量は、例えば目的とするゴム成形体の比重を考慮して適宜設定することができる。
このような熱膨張カプセルをエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体等の高分子材料に添加する場合、その熱膨張カプセルの飛散の防止や分散性の向上を図るために、あらかじめ他の使用材料(例えば、EPDM.充填材等の何れか、または複数のもの)と混合してから用いても良い。この具体例としては、予めオイルコンテント品,EVA,PE等に含有されたものが市販されている。
熱膨張カプセルを予め他の使用材料と混合してから用いる場合には、例えば該熱膨張カプセルの混合比率を10wt%〜99wt%程度(好ましくは10wt%〜50wt%)に調整することが挙げられる。また、前記のような熱膨張カプセルは何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。
[架橋剤等]
前記の架橋剤としては、熱膨張カプセルの最大膨張温度等を考慮し、目的とするゴム成形体の特性を損なわない程度で架橋反応(加硫反応)を起こすことが好ましい。例えば、前記のように最大膨張温度が110℃〜200℃に設定される場合には、当該架橋反応が110℃〜200℃で進行することが好ましく、最高架橋速度時の温度が150℃〜190℃となることがより好ましい。前記のように架橋反応を起こすために、架橋剤の配合量を設定したり、必要に応じて架橋促進剤,架橋促進助剤等を適用することができる、
具体例として、架橋剤として硫黄を0.5phr〜2phr程度用いることが挙げられる。また、架橋促進剤としてチアゾール系,チウラム系,スルフェンアミド系,グアニジン系,チオウレア系,ジチオカルバミン酸系等のものを2phr〜8phr程度用いたり、架橋促進助剤として酸化亜鉛(亜鉛華),炭酸亜鉛,酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,一酸化亜鉛等(好ましくは酸化亜鉛,酸化マグネシウム)のものを5phr程度用いることが挙げられる。
[軟化剤]
前記の軟化剤としては、例えばプロセスオイル,パラフィン系オイル,潤滑油,流動パラフィン,石油アスファルト,ワセリン等の石油系軟化剤や、コールタール,コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤や、ヒマシ油,アマニ油,ナタネ油,ヤシ油等の脂肪油系軟化剤が挙げられる。これら各軟化剤のうち、好ましくは石油系軟化剤が挙げられ、より好ましくはパラフィン系オイルが挙げられる。また、前記のような軟化剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損なわない程度の配合量で用い、例えば0phr〜200phr程度(好ましくは30phr〜150phr)用いることが挙げられる。
[着色剤]
前記の着色剤としては、一般的に市販されている顔料、例えば酸化チタン(白色),カーボンブラック(黒色),黒鉛(黒色)や、各色のコンパウンド顔料を適用することができる。具体例としては、前記の各色の顔料を適宜用いて混合(山陽色素社製のPIGMOTEXや各種色マスターバッチ等により混合)し、目的とするゴム成形体に合わせた色に調整することが挙げられる。
[加工助剤]
前記の加工助剤としては、ステアリン酸,リシノール酸,パルミチン酸,ラウリン酸等の高級脂肪酸や、その高級脂肪酸のエステル類や、ステアリン酸等の高級脂肪酸の塩が挙げられ、その他のゴム成形体の技術分野で加工助剤として扱われている化合物を用いても良い。これら加工助剤は、目的とするゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは5phr程度とし、より好ましくは3phr以下とすることが挙げられる。
[発泡剤]
前記の発泡剤としては、種々のものを適宜適用することができ、例えば有機系発泡剤が挙げられる。有機系発泡剤の具体例としては、4,4‐オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド(OBSH)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾカルボキシレート等が挙げられる。この有機系発泡剤は、目的とするゴム成形体の特性を損わない程度(例えば、0〜10phr)に用いることが好ましい。また、前記のような有機系発泡剤と共に、尿素系誘導体,サリチル酸,フタル酸,ステアリン酸等の発泡助剤を用いても良い。
[その他の添加剤]
前記の各種成分の他には、脱水剤,酸化防止剤,老化防止剤,熱安定剤,光安定剤,紫外線吸収剤,中和剤,滑剤,防雲剤,アンチブロッキング剤,スリップ剤,分散剤,難燃剤,帯電防止剤,導電性付与剤,粘着付与剤,架橋剤,架橋助剤,金属不活性剤,分子量調整剤,防菌・防黴剤,蛍光増白剤,摺動性向上剤,着色剤(酸化チタン等),金属粉末(フェライト等),ガラス繊維,無機繊維(金属繊維等),炭素繊維,有機繊維(アラミド繊維等),複合繊維,ガラスバルーン,ガラスフレーク,グラファイト,カーボンナノチューブ,フラーレン,硫酸バリウム,フッ素樹脂,充填剤ポリオレフィンワックス(ポリマービーズ等),セルロースパウダー,ゴム紛,再生ゴム等が挙げられ、何れか1種類または複数の種類のものを組み合わせ、目的とするゴム成形体に応じて適宜使用して良い。
<被覆層組成物>
被覆層組成物は、ゴム成形体の基体表面に被覆されて被覆層を形成し得るものであって、例えば以下に示すウレタン系塗料やシリコーン系塗料等の組成物を適用することができる。この被覆層組成物において、滑性塗料等が適用される場合には、ゴム成形体の摺動性や耐摩耗性が高められることになる。
[ウレタン系塗料(硬化性ポリウレタン)]
硬化性ポリウレタンはウレタンポリオールとポリイソシアネートから成る。ウレタンポリオールとしては、ポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール等を好適に用いることができる。また、ヒドロキシル基(‐OH)を有するポリオール以外としては、ポリアミン(‐NH3),ポリカルボン酸(‐COOH)等を用いることができる。さらに、前記の各成分以外のポリマーとのブレンド、例えばポリエーテル・エステルポリエーテル等の付加重合体、およびシリコーン共重合体ポリエーテル等の共重合体などを用いることができ、好ましい例としてはポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基(−NCO)を有する化合物であり、トリレンジイソシアネート(TDI),ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI),キシリレンジイソシアネート(XDI),ナフタレンジイソシアネート(NDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI),リシンジイソシアネート(LDI)、その水添物である水素化ジフェニルメタンジイソシアネート(H6MDI)、または水素化キシリレンジイソシアネート(H12XDI)をモノマーで使用するか、または前記のものをTMPアダクト,水アダクト,トリマー等に代表される変成物、または前述のウレタンポリオールと前記ポリイソシアネート化合物とのプレポリマー等が使用可能であり、さらに前記モノマーや変成物やプレポリマーをブレンドしてもよい。さらに、フェノールやオキシムブロック体等によるブロックイソシアネートも使用可能である。また、以上に限定されることなく、イソシアネート基(‐NCO)を複数有しているものであれば適宜使用できる。
直鎖状のジオルガノポリシロキサンは、例えば環状シロキサンの開環重合や、オルガノクロロシラオン又はオルガノアルコキシランの加水分解重合等で得られる。また、その側鎖や端末のメチル基の一部をフェニル基,ビニル基,アミノ基,エポキシ基,エーテル基等で置き換えた変性シリコーンオイルでもかまわない。
また、使用条件等に応じて、表面処理用に硬化性シリコーンオイル,変性シリコーンオイル,シリコーンオイル及び接着付与剤,顔料,つや消剤,触媒,各種溶剤(好ましくはトルエン等の約110℃以下で揮発する溶剤)等を適宜併用することができる。なお、溶剤を用いなくとも、例えば被覆層組成物の含水率や粘度が適度であって、基体表面に塗布できれば良い。
前記の直鎖状のジオルガノポリシロキサンは、実質的に被覆層形成要素となるのに十分な量が含有されればよく、好ましくは硬化性ポリウレタン100phrに対して0.5phr〜100phr配合し、更に好ましくは2phr〜80phr配合する。ジオルガノポリシロキサンの配合量が0.5phrより少ないと被覆層における耐摩耗性が低くなる恐れがあり、当該配合量が100phr超の場合には被覆層が形成されない恐れもある。
[シリコーン系塗料]
シリコーン系塗料は反応性ポリオルガノシロキサンを主成分とする滑性塗料である。このシリコーン系塗料としては一般的に市販されているものを適宜適用できるが、例えば反応性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。なお、反応性ポリオルガノシロキサンは、粘度が1〜20Pa・s程度であると好適に用いることができる。
また、使用条件等に応じて、表面処理用に硬化性シリコーンオイル,変性シリコーンオイル,シリコーンオイル、および接着付与剤,顔料,艶消し剤,触媒,溶剤(好ましくはトルエン等の約110℃以下で揮発する溶剤)等を適宜併用することができる。なお、溶剤を用いなくとも、例えば被覆層組成物の含水率や粘度が適度であって、基体表面に塗布できれば良い。
[被覆層組成物の粘度,被覆層の厚さ]
被覆層組成物において溶剤を適用しない場合の粘度は、10万cps〜100万cps程度が好ましく、より好ましくは50万cps〜80万cps程度である。例えば、当該粘度が10万cps未満の被覆層組成物では、たとえ基体表面に被覆層を被覆した後に熱膨張カプセルの最大膨張温度まで加熱しても、特に基体表面近傍の熱膨張カプセルの膨張を抑制することができない恐れがある。すなわち、当該被覆層では、熱膨張する熱膨張カプセルに対して十分な内圧(破裂に対抗する力)が掛からず、基体表面近傍の熱膨張カプセルが破裂に至って開口凹部が形成される恐れがある。一方、前記の粘度が100万cps超であると、その被覆層組成物の塗布性(塗着性)が悪化する恐れがあり好ましくない。
また、被覆層組成物による被覆層の厚みは、1μm以上とすることが好ましい。例えば、当該厚さが1μm未満であると、前述の粘度が10万cps未満の場合と同様に、熱膨張する熱膨張カプセルに対して十分な内圧(破裂に対抗する力)が掛からず、基体表面近傍の熱膨張カプセルが破裂に至って開口凹部が形成される恐れがある。
[その他の添加剤]
基体表面との密着性を更に向上する手法として、例えば塩素化オレフィン,マレイン化オレフィン,ハロゲン化オレフィン,ハロゲン化ゴム,アクリル変性ゴム,マレイン変性ゴム等の造膜系プライマーを配合することが挙げられる。
また、目的とするゴム成形体の特性を損なわない範囲で、摺動性フィラー(PMMAパウダー,PCパウダー,シリコーン樹脂パウダー,アクリルシリコーン樹脂パウダー,ポリエチレンパウダー,ナイロンパウダー等),分散剤,紫外線防止剤,熱安定剤,反応促進剤,防腐剤,艶消し剤等を適宜適用しても良い。
<製法>
基体において、前記のEPDM,充填剤,熱膨張カプセルや必要に応じて各種添加剤等を混練して目的とする高分子材料組成物を得る場合、例えば接線式ミキサー,噛み合い式ミキサー,ニーダー等の各種密閉式混練機や、連続式の二軸押出混練機やオープンロール等を適宜適用できる。また、前記の高分子材料組成物を押出し成形して目的とする基体を得る場合には、例えば一般的な一軸押出成形機等を適用することができる。
さらに、前記の基体に被覆層組成物を被覆する場合には、例えばスプレー塗布方法,刷毛による塗布方法等が挙げられる。なお、前記のように押出し成形された基体をそのまま放置すると、時間経過と共に埃等が付着する可能性があるため、被覆・乾燥工程は押出し成形工程直後で速やかに行うことが好ましい。
そして、前記のように基体表面に被覆層が被覆された架橋前成形体を加熱して架橋する場合には、例えば連続熱風架橋装置(HAV),高周波架橋装置(UHF),遠赤外線架橋装置や、その他の一般的な架橋装置を適用することができる。また、前記の各種機器を必要に応じて組み合わせ(例えば、連続熱風架橋と高周波架橋とを組み合わせ)適用しても良い。
次に、本実施形態等に基づいた高分子材料組成物,被覆層組成物を用意し、種々のゴム成形体の試料(後述の試料S1〜S15(実施例),P1〜P5(比較例),Q1〜Q6(参照例))を作製した。
<高分子材料組成物>
まず、各試料に用いる高分子材料組成物において、EPDMとしてエチレン‐プロピレン‐5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン(住友化学社製のエスプレン7456)を100phr用い、密閉式ミキサーにて素練した。その後、前記の素練物に対し、シリカ含有充填剤としてシリカ(日本シリカ工業社製のニップシールER),カオリン(土屋カオリン社製のカオリン),タルク(村松産業社製のクラウンタルクPP),マイカ(コープケミカル社製のMK−300),シリカと層状結晶性充填剤との結合化合物(HOFFMAN MINERAL社製のシリチン)を下記表1に示すように配合し、着色剤として酸化チタン(テイカ社製)20phr,軟化剤としてパラフィンオイル(JOMO社製のP−300)70phrを配合し、さらにステアリン酸(日油社製)1phr,酸化亜鉛(三井金属社製)10phrを配合して、前記密閉式ミキサーのロータ回転数を50rpmに設定して5分間混練した。
さらに、前記の混練物に対し、架橋促進剤(川口化学社製;チアゾール系,チウラム系,スルフェンアミド系)5phr,硫黄(鶴見化学社製)1phr,顔料(山陽色素社製のPIGMOTEX BLACK701Eを0.1phr,BROWN601Eを0.8phr,BLUE501Eを0.2phr)を配合し、熱膨張カプセルを下記表1に示すように配合して、当該混練物の温度が70℃に至るまでニーダーにより混練する。その後、ロール(20rpm)を用いて5分間混練し、その混練物をブレードによりリボン状に切り出して、種々の高分子材料組成物を得た。
なお、熱膨張カプセルには、最大膨張温度が約180℃,約145℃,約90℃の熱膨張カプセル(大日精化工業社製のダイフォームH850,H750,M430;下記表1では、それぞれ180℃カプセル,145℃カプセル,90℃カプセルと称する)を用いた。
また、試料P1,P2,P4の場合には、前記の素練物に対する酸化チタン,パラフィンオイル、ステアリン酸,酸化亜鉛の各配合量はそれぞれ10phr,50phr,2phr,5phrとし、さらに重質炭酸カルシウム(井上石灰社製),クレー(日東粉化社製)をそれぞれ50phrずつ配合し、他の試料の場合と同様に混練して混練物を得たものとする。
<被覆層組成物>
被覆層組成物として、ウレタン系塗料とシリコーン系塗料とを用いた。溶剤系のウレタン系塗料は、硬化性ポリウレタン100phr(ポリエステルポリオール(日本ポリウレタン社製のニッポラン5129)85phr,ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製のコロネートT65)15phr),ジオルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製(10万CP))40phr,硬化性シリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製(分子量100万))40phr,触媒ジブチルチンラウレート(和光純薬工業社製)4phr,溶剤メチルエチルケトン(関東化学社製)1500phrを配合した混合物を撹拌することにより得た。
また、水系のウレタン系塗料としては、硬化性ポリウレタン100phr(ポリエステルポリオール(日本ポリウレタン社製のニッポラン5129)85phr,ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製のコロネートT65)15phr)、ジオルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の10万CP)40phr、硬化性シリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の分子量100万)40phr、触媒ジブチルチンラウレート(和光純正工業社製)4phr、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王社製)20phr、純水1500phrを配合し、その配合した混合物を撹拌することにより得た。
さらに、溶剤系のシリコーン系塗料は、反応性ポリオルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYSR3022)100phr,触媒シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のエポキシシランA186)20phr,触媒ジブチルチンラウレート(和光純正工業社製)0.1phr,溶剤トルエン(関東化学社製)200phrを配合した混合物を撹拌することにより得た。
さらにまた、水系のシリコーン系塗料としては、反応性ポリオルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYSR3022)100phr、触媒シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のエポキシシランA186)20phr、触媒ジブチルチンラウレート(和光純正工業社製)0.1phr、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王社製)5phr、純水200phrを配合し、その配合した混合物を撹拌することにより得た。
<ゴム成形体の試料>
前述の各高分子材料組成物を押出し成形機により押出し成形(シリンダー温度40℃,ヘッド50℃,回転数20rpm)してそれぞれ平板状の基体を形成した後、その基体に対し以下に示す方法A〜Cを適用して被覆層を形成し、ゴム成形体の試料S1〜S15,P3,P5,Q1〜Q6を得た。なお、試料P1,P2,P4の場合には、単に前記の基体を温度200℃のオーブン内で10分間放置することにより、架橋し熱膨張カプセルを熱膨張させてゴム成形体の試料を得たものとする。
[方法A]
前記のように押出し成形した直後の基体に対し、被覆層組成物を下記表1に示す厚さでスプレー塗布して架橋前成形体を得た後、その架橋前成形体を温度200℃のオーブン内で10分間放置することにより、当該架橋前成形体を架橋し熱膨張カプセルを熱膨張させて試料を得た。
[方法B]
前記のように押出し成形した直後の基体を、温度200℃のオーブン内で10分間放置することにより、当該架橋前成形体を架橋し熱膨張カプセルを熱膨張させてから、被覆層組成物を下記表1に示すようにスプレー塗布し10分間放置して試料を得た。
[方法C]
前記のように押出し成形した直後の基体に対し、被覆層組成物を少なくとも厚さ1μm以上スプレー塗布して架橋前成形体を得た後、その架橋前成形体を温度200℃のオーブン内で10分間放置することにより、当該架橋前成形体を架橋し熱膨張カプセルを熱膨張させ、その架橋された成形体表面に対し更に被覆層組成物を下記表1に示すようにスプレー塗布して10分間放置し試料を得た。
Figure 0005554511
次に、前記の各試料S1〜S15,P1〜P5,Q1〜Q6において、以下に示す方法により、被覆層の厚さ,外観性(意匠性,開口凹部の有無),耐摩耗性,耐汚れ付着性を調べ、その結果を下記表2に示した。
[被覆層の厚さ]
キーエンス社製の超深度形状測定顕微鏡VK−850により、試料の断面(基体と被覆層との積層方向に切断した断面)を観察することにより、被覆層の厚さを10点平均法により求めた。
[外観性]
まず、各試料を打ち抜いて120mm×30mm×2mmの試料片をそれぞれ作製し、それら試料片の被覆層側表面を目視により意匠性を観察し感性評価を行った。なお、下記表2中の意匠性の欄において、「評点5」は観察した表面に略均一な凹凸の粗面が形成され艶消し調で所謂しっとり感が有り綺麗な見映えの場合、「評点4」は粗面の凹凸が不均一であるが陰影,ささくれが無く綺麗な見映えの場合、「評点3」は陰影,ささくれ,汚れが僅かに観られた場合、「評点2」陰影,ささくれ,汚れが少なからず観られた場合、「評点1」は表面の荒れが酷く陰影が有り非常に汚れた見映えの場合を示すものとする。
また、開口凹部の有無として、前記の各試料片の被覆層側表面を日本電子製SEMで観察(観察範囲10mm×7mm,倍率100倍)し、その観察範囲において、熱膨張カプセルの膨張により形成された粗面における凹凸の総数と、開口凹部が形成された数と、をそれぞれカウントし、開口凹部が形成される割合を下記式により算出した。
「開口凹部が形成される割合」(%)=[「開口凹部が形成された数」/「粗面における凹凸の総数」]×100……(式)。
[耐摩耗性]
JIS−L0823に基づき、堅牢度摩擦試験機(スガ試験機社製)を用いて耐摩耗性を調べた。まず、前記試験機の台座に設置された試料片の被覆層側表面に対して摩擦体(金巾綿布3号)を圧接(質量170gの加重部材により圧接)しながら、当該台座を往復運動(ストローク50mm)して試験片の被覆層側表面を磨耗劣化させ、その試験片の磨耗深さが1mmに達した際のストローク回数(1往復で1回)を測定することにより、各試料片の耐摩耗性を調べた。
[耐汚れ付着性]
まず、泥水(JIS8種;関東ローム層:澱粉糊:水=10:3:2の混合液)に対して試験片を浸漬し室温にて1日放置した。その後、試験片を泥水から取り出し、温度80℃のオーブン内にて1日放置して乾燥させた。そして、前記の試験片を水洗いした後、拭き取り表面の見映えを目視により観察し、泥水浸漬前後における試験片の被覆層表面の変化をそれぞれ調べた。なお、下記表2中の汚れ性の欄において、記号「◎」は浸漬前後において変化が殆ど無く意匠面が保持できている場合、記号「○」は浸漬前後において若干の変色が観られたが十分良好な意匠面が保持できている場合、記号「△」は微細な泥汚れ溜りが多くでき汚れが目立った場合、記号「×」は大きな泥汚れ溜りができ汚れが非常に目立った場合を示すものとする。
[総合評価]
各測定結果に基づいて相対的に評価した。なお、下記表2中の「◎」は各測定結果において極めて良好な結果が得られた場合、「○」は十分良好な結果が得られた場合、「□」は比較的良好な結果が得られた場合、「×」は比較的悪い結果が得られた場合、「△」は「×」と比較すると良好な結果が得られた場合を示すものとする。
Figure 0005554511
前記の表2に示す結果から、以下に示すことが判明した。
<試料P1〜P5>
シリカ含有充填剤が適用されていない試料P1〜P3は、外観性,耐摩耗性,耐汚れ付着性の全てにおいて比較的悪い結果が得られたことが読み取れる。また、シリカ含有充填剤が適用されているものの被覆層が形成されていない又は架橋工程後に被覆された試料P4,P5においても、試料P1〜P3同様に各測定結果において比較的悪い結果であった。
<試料S1〜S15>
一方、シリカ含有充填剤が150phr〜300phrの範囲で適用され、かつ架橋工程前に被覆層が形成された試料S1〜S15は、前記の試料P1〜P5と比較して外観性,耐摩耗性,耐汚れ付着性の全てにおいて良好な結果が得られた。また、例えば試料S9のように架橋工程前後にて被覆層を形成した場合や、試料S10のように被覆層の厚さが比較的薄い場合であっても、比較的十分良好な結果が得られた。さらに、試料S11のように熱膨張カプセルの最大膨張温度が比較的高い場合や、試料S12,S13のように被覆層組成物の粘度が比較的低い又は高い場合であっても、比較的十分良好な結果が得られた。なお、試料S14,S15のように水系のウレタン系塗料やシリコーン系塗料を用いた場合であっても、溶剤系の塗料を用いた試料S1〜S13と同様の結果が得られることを確認できた。
<試料Q1〜Q6>
試料Q1〜Q6は、試料S1〜S15と比較すると劣るものの、試料P1〜P5と比較すると良好な結果が得られた。
シリカ含有充填剤の割合が少ない試料Q1のような場合は、例えば高分子材料組成物中での部分結晶化作用の高い種類のシリカを選択すれば、試料S6のような結果が得られるものと考えられる。一方、シリカ含有充填剤の割合が多い試料Q2のような場合は、例えば成形性の高い押出し成形機等を適用することにより、試料S7のような結果が得られるものと考えられる。
また、最大膨張温度が低い熱膨張カプセルを適用した試料Q3のような場合は、例えば当該熱膨張カプセルが膨張しない温度にて押出し成形工程,被覆・乾燥工程等を行うことができれば、試料S1のような結果が得られるものと考えられる。
さらに、被覆層の厚さが薄い試料Q4や被覆層組成物の粘度が低い試料Q5のような場合は、例えば当該被覆層において十分な強度(熱膨張カプセルの膨張を抑制できる強度)を付与できる被覆層組成物を適用することにより、試料S10,S12のような結果が得られるものと考えられる。一方、被覆層組成物の粘度が高い試料Q6のような場合は、例えば塗布性の高いスプレー塗布機器を適用することにより、試料S13のような結果が得られるものと考えられる。
したがって、試料S1〜S15,Q1〜Q6のように、EPDM100phrに対しシリカ含有充填剤,熱膨張カプセルが配合された高分子材料組成物を押出し成形して成る基体と、その基体表面を被覆する被覆層と、を備えた架橋前成形体を加熱し架橋して得たゴム成形体によれば、熱膨張カプセルは被覆層によって抑制されながら膨張するため開口凹部も形成され難くなり、少なくとも試料P1〜P5のようなゴム成形体と比較して、十分良好な外観性,耐摩耗性,耐汚れ付着性が得られることを確認できた。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…基体
1a…熱膨張カプセル
1b…開口凹部
2…被覆層

Claims (10)

  1. エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に対し、少なくともシリカを含んだ充填剤,熱膨張カプセルが配合された高分子材料組成物を押出し成形して成る基体と、その基体表面に被覆された被覆層と、を備えた成形体を加熱により架橋して得られ、
    前記充填剤は、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrに対して150phr〜300phr配合され、前記被覆層は、シリコーン化合物を含んだウレタン系塗料またはシリコーン系塗料が配合された被覆層組成物を基体表面に被覆して形成されたことを特徴とするゴム成形体。
  2. 前記充填剤は、シリカと層状結晶性充填剤とを含有、またはシリカと層状結晶性充填剤との結合化合物を含有したことを特徴とする請求項1記載のゴム成形体。
  3. 前記充填剤は、少なくともシリカを150phr含有することを特徴とする請求項1または2記載のゴム成形体。
  4. 前記のシリコーン化合物を含んだウレタン系塗料またはシリコーン系塗料が配合された被覆層組成物は、造膜系プライマーが配合されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のゴム成形体。
  5. 前記被覆層の厚さは1μm以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のゴム成形体。
  6. 前記のシリコーン化合物を含んだウレタン系塗料またはシリコーン系塗料が配合された被覆層組成物は、温度110℃以下で揮発する有機溶剤または水が配合されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のゴム成形体。
  7. 前記のシリコーン化合物を含んだウレタン系塗料またはシリコーン系塗料が配合された被覆層組成物は、粘度が10万〜100万cpsであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のゴム成形体。
  8. 前記熱膨張カプセルは、最大膨張温度が90℃〜180℃であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のゴム成形体。
  9. エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrに対し、少なくともシリカを含んだ充填剤150phr〜300phr,熱膨張カプセルが配合された高分子材料組成物を押出し成形して基体を得、その基体表面にシリコーン化合物を含んだウレタン系塗料またはシリコーン系塗料が配合された被覆層組成物を塗布し乾燥させて被覆層を形成した後に加熱により架橋する方法であって、
    前記熱膨張カプセルには、膨張開始温度が前記の被覆層組成物の塗布温度,乾燥温度よりも高く、最大膨張温度が架橋温度以下のものを用いたことを特徴とするゴム成形体の製造方法。
  10. 前記熱膨張カプセルは、最大膨張温度が90℃〜180℃であることを特徴とする請求項記載のゴム成形体の製造方法。
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