JP2008050258A - 炭素質物質及びそれを用いた電気二重層キャパシター - Google Patents
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Abstract
【課題】電気二重層キャパシターの電極材料等として好適な炭素質物質を提供する。
【解決手段】アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属元素の合計含有量が100〜2000ppm、X線回折で測定される面間隔d002が0.344〜0.365nm、かつLiBF4を1.0モル/Lで含有するプロピレンカーボネート溶液中でLiを対極とした場合の自然電位が1.50〜2.85Vである炭素質物質。このものはX線回折で測定される面間隔d002が0.344〜0.365nmの炭素質原料に上記の金属又はこれを含む化合物を混合して、500〜1300℃に10分間以上保持したのち水洗・乾燥することにより入手できる。
【選択図】 なし
【解決手段】アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属元素の合計含有量が100〜2000ppm、X線回折で測定される面間隔d002が0.344〜0.365nm、かつLiBF4を1.0モル/Lで含有するプロピレンカーボネート溶液中でLiを対極とした場合の自然電位が1.50〜2.85Vである炭素質物質。このものはX線回折で測定される面間隔d002が0.344〜0.365nmの炭素質原料に上記の金属又はこれを含む化合物を混合して、500〜1300℃に10分間以上保持したのち水洗・乾燥することにより入手できる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、炭素質物質及びそれを用いた電気二重層キャパシターに係わるものである。本発明に係る炭素質物質は、非水系電解液中での自然電位が通常の炭素より低いため、耐電圧、充放電容量等が電極を構成する物質の電位に大きく影響を受ける電気二重層キャパシター、リチウムイオン二次電池、空気電池、ガスセンサー等の技術分野に好適である。
活性炭、コークス、黒鉛、炭素繊維等の炭素質は、電気伝導度が高い、耐腐食性が高い、電気化学的に安定である、リチウムイオン等のイオン種を可逆的に吸蔵放出できる、重金属を含まない、安価である等の理由から、電気二重層キャパシター、リチウムイオン二次電池用負極、乾電池電極、製鋼用電極、センサー電極等の電極材料として広く利用されている。しかし、これらの炭素質の電解液中での自然電位は、すべて3.0V(対Li/Li + )であることから、使用可能な電位領域が制限されている。
一方、大電流で充放電できる電気二重層キャパシターは、電気自動車、補助電源等の用途に有望である。そのために、エネルギー密度が高く、急速充放電が可能であり、高電圧印加時の耐久性及び充放電サイクル耐久性に優れた電気二重層キャパシターの実現が望まれている。
キャパシターのセルに蓄積されるエネルギーは、1/2 ・C・V2 で算出され、Cはセル当たりの静電容量(F)、Vはセルに印加可能な電圧(V)である。印加可能電圧Vは、その値の二乗がエネルギーに反映されるため、エネルギー密度の向上にはキャパシターに印加する電圧(耐電圧)を上げるの効果的であるが、大きな電圧では電解液の分解が起こることにより、内部抵抗の増加、静電容量の短時間での低下という問題があった。そのため、従来の電気二重層キャパシターでは使用する電解液の溶媒と溶質の種類にもよるが、単位セルあたりの耐電圧は、非水系電解液の電気二重層キャパシターの場合、約2.4Vであり(特許文献1)、2.5V以上の高電圧で使用すると、内部直列抵抗の増加あるいは静電容量の減少が短時間で発生する。そこで、正負側の電極、セパレータ、電解液、容器等を詳細に検討し、2.5V〜2.8Vの電圧を印加することが試みられている。例えば、フェノール樹脂、石油コークス等をKOH 賦活して得られる活性炭を用いた電極を不活性雰囲気中で熱処理して耐久性を向上させる方法や、原料を選定した結果、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂の場合に耐久性がわずかに向上したこと(特許文献2)、キャパシターの集電体に多孔質アルミニウムを用いて耐久性向上を図る手法(特許文献3)等が知られている。
キャパシターのセルに蓄積されるエネルギーは、1/2 ・C・V2 で算出され、Cはセル当たりの静電容量(F)、Vはセルに印加可能な電圧(V)である。印加可能電圧Vは、その値の二乗がエネルギーに反映されるため、エネルギー密度の向上にはキャパシターに印加する電圧(耐電圧)を上げるの効果的であるが、大きな電圧では電解液の分解が起こることにより、内部抵抗の増加、静電容量の短時間での低下という問題があった。そのため、従来の電気二重層キャパシターでは使用する電解液の溶媒と溶質の種類にもよるが、単位セルあたりの耐電圧は、非水系電解液の電気二重層キャパシターの場合、約2.4Vであり(特許文献1)、2.5V以上の高電圧で使用すると、内部直列抵抗の増加あるいは静電容量の減少が短時間で発生する。そこで、正負側の電極、セパレータ、電解液、容器等を詳細に検討し、2.5V〜2.8Vの電圧を印加することが試みられている。例えば、フェノール樹脂、石油コークス等をKOH 賦活して得られる活性炭を用いた電極を不活性雰囲気中で熱処理して耐久性を向上させる方法や、原料を選定した結果、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂の場合に耐久性がわずかに向上したこと(特許文献2)、キャパシターの集電体に多孔質アルミニウムを用いて耐久性向上を図る手法(特許文献3)等が知られている。
エネルギー密度を大きくするため、印加電圧を3V以上にする方法としては、特許文献4にリチウム箔を接触させてリチウムを吸蔵させた黒鉛電極を負極に、活性炭を正極に、リチウムイオンを溶質に含んだ電解液を用いたキャパシターや、特許文献5では、活性炭粉末を含む分極性電極材料にステンレス鋼繊維の集電体が混在状態で組み合わされたものを正極としたキャパシターが提案されている。また、特許文献6公報では、電解液に2−メチルスルホランを溶媒の主体とする電解液を用いて、耐電圧の向上を図っている。
特開平7−145001号公報
特開平8−162375号公報
特開平8−339941号公報
特開平8−107048号公報
特開平9−232190号公報
特開平9−205041号公報
しかしながらこれらの例は、いずれの程度の差こそあれ満足すべきものではなかった。例えば前述の、フェノール樹脂、石油コークス等をKOH 賦活して得られる活性炭を用いた電極を不活性雰囲気中で熱処理する方法では、同時に初期静電容量も小さくなるという問題があった。また、特開平8-162375号公報、特開平8-339941号公報の方法では、根本的には耐久性を改善することはできないと言ってよい。印加電圧を3V以上にすることによるエネルギー密度向上策として、特開平9-232190号公報、特開平9-205041号公報は、最大の印加電圧は3.3Vであり、それより大きい電圧を印加することができない。また、特開平8-107048号公報の方法では、電極−電解液間で酸化還元反応を伴うため、耐久性の問題がある。また、負極(非分極性電極)にリチウムを含有するため、未充電の状態ですでに正極(分極性電極)は約3Vであり、記載の実施例のように4.3Vまで電圧を印加した場合の充電による電位変化は1.3V程度となる。従って、キャパシターとして使用した場合のエネルギー密度は通常のキャパシターより小さくなる。
従来の電気二重層キャパシターの活性炭電極では、2.5Vを越える高電圧の連続印加によって、ガス発生あるいは分極性電極上への反応生成物の付着が発生していた。これが原因となって、著しい内部抵抗の増加あるいは静電容量の減少を起こすという欠点を有していた。
従来の電気二重層キャパシターの活性炭電極では、2.5Vを越える高電圧の連続印加によって、ガス発生あるいは分極性電極上への反応生成物の付着が発生していた。これが原因となって、著しい内部抵抗の増加あるいは静電容量の減少を起こすという欠点を有していた。
そこで、本発明者らは、特願平9 −183670号公報において、炭素質電極の自然電位を任意に調節して充電時の電位を、電解液の高電位側(酸化側)の実質的な分解開始電圧以下にすることにより、電解液の分解が抑制され、電気二重層キャパシターの印加可能電圧、及び耐久性が改善できることを提案している。
これについて、簡単に説明する。電解液として代表的な非水系の電解液である4級アルキルアンモニウム塩のプロピレンカーボネート溶液を用い、電極として実質的に炭素質物質からなる電極を用いた場合、電解液の酸化側の分解開始電圧は4.4 V(対Li/Li+)付近であると言われている。一方、通常の炭素質電極の自然電位は3V(対Li/Li+)付近であり、キャパシターの印加電圧が2.8Vの場合、充電後の正極側の分極は約1.4 Vとなり、酸化側の電位は4.4V(対Li/Li+)以上を示し、電解液の電気化学的分解がおこると考えられる。その結果、従来の炭素質電極を用いた場合、その電解液の分解により発生するガス等により容量は低下するため、長期間使用した場合に耐久性が問題であった。従って、特願平9-183670号の発明では炭素質電極の自然電位を下げて充電後の正極側の電位が電解液の酸化分解開始電圧以下とすることによって、キャパシターの実質的な印加可能電圧が大幅に増加し、エネルギー密度を向上できることを提案している。
これについて、簡単に説明する。電解液として代表的な非水系の電解液である4級アルキルアンモニウム塩のプロピレンカーボネート溶液を用い、電極として実質的に炭素質物質からなる電極を用いた場合、電解液の酸化側の分解開始電圧は4.4 V(対Li/Li+)付近であると言われている。一方、通常の炭素質電極の自然電位は3V(対Li/Li+)付近であり、キャパシターの印加電圧が2.8Vの場合、充電後の正極側の分極は約1.4 Vとなり、酸化側の電位は4.4V(対Li/Li+)以上を示し、電解液の電気化学的分解がおこると考えられる。その結果、従来の炭素質電極を用いた場合、その電解液の分解により発生するガス等により容量は低下するため、長期間使用した場合に耐久性が問題であった。従って、特願平9-183670号の発明では炭素質電極の自然電位を下げて充電後の正極側の電位が電解液の酸化分解開始電圧以下とすることによって、キャパシターの実質的な印加可能電圧が大幅に増加し、エネルギー密度を向上できることを提案している。
しかしながら、従来の炭素質の自然電位は3V(対Li/Li+)付近であり、炭素質電極の自然電位を下げるには非水系電解液中で金属リチウム等の卑な金属を対極として炭素質電極中に電気化学的にリチウムイオンをドープする等の操作が必要であった。これらの電位制御の操作をすることなく、空気中で安定でかつ電解液中では低い自然電位を示す炭素質物質はこれまでに得られなかった。
そこで、本発明者らは、上記の課題を検討すべく鋭意検討した結果、結晶性の発達した炭素質原料を、卑な金属又は卑な金属を含有する化合物と混合し熱処理した後、水洗・乾燥することにより低い自然電位を示す炭素質物質が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の目的は、空気中で安定かつ電解液中で低い自然電位を示す炭素質物質を得て、かつ、該炭素質物質を電気二重層キャパシター用電極材料に使用することにより、電気二重層キャパシターの耐電圧、サイクル耐久性、電圧印加時の耐久性、及びエネルギー密度を向上することにあり、かかる目的は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属からなる元素の合計含有量が100ppm以上2000ppm 以下であり、かつ、非水系電解液中で、Li/Li+を対極とした場合の自然電位が、1.50V以上2.85V以下であることを特徴とする炭素質物質により容易に達成される。
また、このような炭素質物質は結晶性の発達した炭素質原料と金属カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる1つ以上の物質との混合物を熱処理した後、水洗・乾燥することにより得ることができる。
また、このような炭素質物質は結晶性の発達した炭素質原料と金属カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物から選ばれる1つ以上の物質との混合物を熱処理した後、水洗・乾燥することにより得ることができる。
本発明に係る炭素質物質は、非水電解液中での自然電位が通常の炭素より低いため、耐電圧、充放電容量等が電極を構成する物質の電位に大きく影響を受ける電気二重層キャパシター、リチウムイオン二次電池、空気電池、ガスセンサー等の技術分野に使用でき、特に高い耐電圧、高エネルギー密度、充放電サイクル耐久性、電圧印加時の耐久性等が強く要求される電気二重層キャパシターには好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の最大の特徴は、金属カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属並びにこれらの金属を含有する化合物から選ばれる1つ以上の物質と結晶性の発達した炭素質原料との混合物を熱処理した後、水洗・乾燥することにより、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる1つ以上の元素を炭素質物質中に重量比で合計100ppm以上2000ppm 以下含有し、空気中で安定かつ、非水系電解液中で、Li/Li+を対極とした場合の自然電位が、1.50V以上2.85V以下(対Li/Li+)である炭素質物質が得られ、この炭素質物質を、非水系電解液系電気二重層キャパシター用電極の主材料として使用することにより、耐電圧が大きく、サイクル耐久性及び電圧印加時の耐久性に優れ、かつエネルギー密度が大きい電気二重層キャパシターを提供できる点にある。
本発明の最大の特徴は、金属カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属並びにこれらの金属を含有する化合物から選ばれる1つ以上の物質と結晶性の発達した炭素質原料との混合物を熱処理した後、水洗・乾燥することにより、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる1つ以上の元素を炭素質物質中に重量比で合計100ppm以上2000ppm 以下含有し、空気中で安定かつ、非水系電解液中で、Li/Li+を対極とした場合の自然電位が、1.50V以上2.85V以下(対Li/Li+)である炭素質物質が得られ、この炭素質物質を、非水系電解液系電気二重層キャパシター用電極の主材料として使用することにより、耐電圧が大きく、サイクル耐久性及び電圧印加時の耐久性に優れ、かつエネルギー密度が大きい電気二重層キャパシターを提供できる点にある。
本発明の炭素質物質は、例えば以下の手法に基づく製法により得られる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属並びにこれらの金属を含む化合物から選ばれる1つ以上の物質中で熱処理する前の炭素質原料として、植物系の木材、のこくず、ヤシ殻、パルプ廃液、化石燃料系の石炭、石油重質油、あるいはそれらを熱分解した石炭および石油系のタール及びピッチ、石油コークス、石炭コークス、タールピッチを紡糸した繊維、炭素繊維、カーボンブラック、カーボンアエロゲル、活性炭、合成高分子、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶高分子、プラスチック廃棄物、廃タイヤ等の炭素化する物質を熱処理したものから選ばれる1つ以上の物質が好適である。
アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属並びにこれらの金属を含む化合物から選ばれる1つ以上の物質中で熱処理する前の炭素質原料として、植物系の木材、のこくず、ヤシ殻、パルプ廃液、化石燃料系の石炭、石油重質油、あるいはそれらを熱分解した石炭および石油系のタール及びピッチ、石油コークス、石炭コークス、タールピッチを紡糸した繊維、炭素繊維、カーボンブラック、カーボンアエロゲル、活性炭、合成高分子、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶高分子、プラスチック廃棄物、廃タイヤ等の炭素化する物質を熱処理したものから選ばれる1つ以上の物質が好適である。
黒鉛化が容易な易黒鉛化性炭素又は易黒鉛化性有機化合物の熱処理物が、卑な金属を炭素中に安定した状態で吸蔵するため特に好ましい。易黒鉛化性有機化合物および炭素として、石炭及び石油等の多環芳香族環化合物であるタール、ピッチ、メソフェイズ、ポリイミド樹脂等、脂肪族化合物であるポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。易黒鉛化性炭素である石油コークス、石炭コークス、流動性コークス、等の石油及び石炭を原料とする炭素質は、安価かつ結晶性が基本的に発達しているため特に好ましい。これらの炭素質をそのまま、または、炭化処理により更に結晶性を発達させることにより、本発明の炭素質原料とすることができる。
石油コークス、石炭コークス等の易黒鉛化炭素で、900℃以上の高温で熱処理された炭素質は、さらに炭化処理を行う必要はない。それ以外の有機物または炭素質については、不活性雰囲気下で900℃以上の温度で炭化処理する必要がある。十分に結晶性を発達させるため、1300℃以上の高温で炭化処理を行ってもよい。
また、フェノール樹脂、フラン樹脂等の難黒鉛化性有機化合物を使用しても、硬化条件を最適化して、かつ、1400℃以上で炭化処理して十分に結晶性を発達させることにより、本発明の炭素質原料とすることが可能である。これらの結晶性を発達させた炭素質のX線回折で測定される面間隔d002は、0.365 nm以下であり、かつ結晶粒子のc軸方向のサイズLcが2.5nm以上であることが好ましい。炭素質の形状は、破砕、造粒、顆粒、繊維、フェルト、織物、シート状等各種の形状があるが、いずれも本発明に使用することができる。
また、フェノール樹脂、フラン樹脂等の難黒鉛化性有機化合物を使用しても、硬化条件を最適化して、かつ、1400℃以上で炭化処理して十分に結晶性を発達させることにより、本発明の炭素質原料とすることが可能である。これらの結晶性を発達させた炭素質のX線回折で測定される面間隔d002は、0.365 nm以下であり、かつ結晶粒子のc軸方向のサイズLcが2.5nm以上であることが好ましい。炭素質の形状は、破砕、造粒、顆粒、繊維、フェルト、織物、シート状等各種の形状があるが、いずれも本発明に使用することができる。
炭素質原料と混合する物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属、並びにこれらの金属を含有する化合物から選ばれる1つ以上の物質が好ましく、具体的には、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、マグネシウム、バリウム、イットリウム等の卑な金属、または、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リチウム−アルミニウム合金等の化合物が例示される。これらのうち、特に、金属カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ルビジウムは炭素とともに熱処理することにより、カリウム、ルビジウムが炭素の結晶中に正イオンまたは原子の状態で吸蔵されやすいことから好ましい。これらの炭素中に吸蔵されたイオンまたは原子との電荷移動相互作用によって炭素相には負電荷が貯まり、その結果、炭素質の自然電位は下がると考えられる。
炭素質原料と金属又は金属を含む化合物との混合物の熱処理は、通常窒素、アルゴン、キセノン等の不活性ガスまたはこれらの不活性ガス中に、酸素、二酸化炭素、水素、一酸化炭素等の酸化性または還元性のガスを含有した雰囲気下で、500℃〜1300℃の温度で10分間以上行う必要がある。例えば、金属カリウムと炭素質原料の混合物の場合、金属カリウムの炭素中への拡散速度を大きくするため、不活性雰囲気下、600℃以上で熱処理することが好ましい。また、水酸化カリウムとの場合、650℃以上で熱処理することにより、金属カリウム、カリウム酸化物、炭酸カリウム等が生成し、炭素質原料に導入されやすくなるので好ましい。
熱処理後の生成物を水または沸騰水中での洗浄及び例えば塩酸等の酸による中和を繰り返して十分に不純物を取り除く。ここで、酸を過剰に添加し、その後の洗浄の濾過液がpH6以上となるまで水洗を繰り返すことが好ましい。その後、100℃以上で乾燥することにより本発明の炭素質物質が得られる。該炭素質物質中の、原子吸光法等の分光分析装置等にて定量されるアルカリ土類金属、アルカリ金属、及び希土類金属の元素の含有量は、炭素質原料種、熱処理温度、炭素質原料と混合する物質の種類及び添加量等により異なるため一概には言えないが、通常100ppm以上2000ppm 以下であり、500ppm以上1000ppm 以下であることが好ましい。炭素質物質の自然電位を下げることに寄与していない余分なアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属等の元素は、上記の洗浄及び塩酸中和操作の繰り返しにより、できるだけ取り除いておくことが望ましい。
尚、従来、炭素材料にリチウムを吸蔵させたものを二次電池等の電極として用いることが知られているが、この場合炭素材料中のリチウムは可逆的に吸蔵・脱離しうる状態となっている。これに対し本発明においては、洗浄及び塩酸中和操作を繰り返し行っているので、炭素質物質中にこのような状態で存在するリチウム等の元素は取り除かれていると考えられる。
本発明における炭素質物質の自然電位の測定は、通常の電気化学的手法を用いて行われる。非水系電解液中での電位測定は、水溶液での標準水素電極のような電位基準は厳密には定義されていないが、実際には、銀−塩化銀電極、白金電極、リチウム電極等の電極を用いて一般に広く行われている。本発明においても同様な方法で測定可能である。簡便な測定法として、非水系電解液中で、金属リチウムと該炭素質物質を主材料とする電極体との電位差を測定する方法がある。このような測定法による該炭素質物質の非水系電解液中の自然電位は1.50V以上2.85V以下(対Li/Li+)である。
本発明の炭素質物質は、非水電解液を用いる電気二重層キャパシター用電極の主材料として用いることができる。
炭素質物質を主体とする電極(炭素質電極)は、炭素質物質とバインダーから構成される。また、電極に導電性を付与するために、さらに導電性物質を添加しても良い。分極性電極は、従来より知られている方法により成形することが可能である。例えば、炭素質物質とアセチレンブラックの混合物に、ポリテトラフルオロエチレンを添加・混合した後、プレス成形して得られる。また、比較的軟化点の高い石炭ピッチをバインダーとして炭素質物質に添加・混合後、成型したものを、不活性雰囲気中でバインダーの熱分解温度以上まで焼成しても成型体を得ることができる。さらに、導電剤、バインダーを用いず、炭素質物質のみを焼結して分極性電極とすることも可能である。電極は、薄い塗布膜、シート状または板状の成形体、さらには複合物からなる板状成形体のいずれであっても良い。
炭素質物質を主体とする電極(炭素質電極)は、炭素質物質とバインダーから構成される。また、電極に導電性を付与するために、さらに導電性物質を添加しても良い。分極性電極は、従来より知られている方法により成形することが可能である。例えば、炭素質物質とアセチレンブラックの混合物に、ポリテトラフルオロエチレンを添加・混合した後、プレス成形して得られる。また、比較的軟化点の高い石炭ピッチをバインダーとして炭素質物質に添加・混合後、成型したものを、不活性雰囲気中でバインダーの熱分解温度以上まで焼成しても成型体を得ることができる。さらに、導電剤、バインダーを用いず、炭素質物質のみを焼結して分極性電極とすることも可能である。電極は、薄い塗布膜、シート状または板状の成形体、さらには複合物からなる板状成形体のいずれであっても良い。
炭素質電極に用いられる導電剤として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛、炭素繊維、酸化ルテニウム、酸化チタン、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属ファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種の導電剤が好ましい。少量で効果的に導電性が向上する点で、アセチレンブラック及びケッチェンブラックが特に好ましく、導電剤の配合量は、重量の10〜30%程度が好ましい。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリイミド、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂のうち少なくとも1種類以上用いるのが好ましい。
電気二重層キャパシターの集電体は電気化学的及び化学的に耐食性があればよく、特に限定するものではないが、例えば、正極ではステンレス、アルミニウム、チタン、タンタルがあり、負極では、ステンレス、ニッケル、銅等が好適に使用される。
電解液は非水系電解液が好ましい。非水系電解液の溶質は、R4N+、R4P+(ただし、RはCnH2n+1で示されるアルキル基)、トリエチルメチルアンモニウムイオン等でなる第4級オニウムカチオンと、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、SbF6 −またはCF3SO3 −なるアニオンとを組み合わせた塩、または、カチオンがリチウムイオンであるリチウム塩を用いる。リチウム塩は、LiBF4 ,LiClO4 ,LiPF6 ,LiSbF6 ,LiAsF6 ,LiCF3 SO3 ,LiC(CF3 SO2 )3 ,LiB(C6 H5 )4 ,LiC4 F9 SO3 ,LiC8 F17SO3 ,LiB(C6 H5 )4 ,LiN(CF3 SO2 )2 から選ばれる1つ以上の物質が好ましい。特に、電気導電性、安定性、及び低コスト性という点から、カチオンが、R4N+(ただし、RはCnH2n+1で示されるアルキル基)及びトリエチルメチルアンモニウムイオン、アニオンが、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、及びSbF6 −を組み合わせた塩が好ましい。
電解液は非水系電解液が好ましい。非水系電解液の溶質は、R4N+、R4P+(ただし、RはCnH2n+1で示されるアルキル基)、トリエチルメチルアンモニウムイオン等でなる第4級オニウムカチオンと、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、SbF6 −またはCF3SO3 −なるアニオンとを組み合わせた塩、または、カチオンがリチウムイオンであるリチウム塩を用いる。リチウム塩は、LiBF4 ,LiClO4 ,LiPF6 ,LiSbF6 ,LiAsF6 ,LiCF3 SO3 ,LiC(CF3 SO2 )3 ,LiB(C6 H5 )4 ,LiC4 F9 SO3 ,LiC8 F17SO3 ,LiB(C6 H5 )4 ,LiN(CF3 SO2 )2 から選ばれる1つ以上の物質が好ましい。特に、電気導電性、安定性、及び低コスト性という点から、カチオンが、R4N+(ただし、RはCnH2n+1で示されるアルキル基)及びトリエチルメチルアンモニウムイオン、アニオンが、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、及びSbF6 −を組み合わせた塩が好ましい。
これらの非水系電解液中の溶質濃度は電気二重層キャパシターの特性が十分引き出せるように、0.5 〜2.0 モル/リットルが好ましく、特に、0.7 モル/リットル以上1.9 モル/リットルの濃度では、高い電気導電性が得られて好ましい。非水系電解液の溶媒は特に限定するものではないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、N-メチルオキサゾリジノン、ジメチルスルホキシド、及びトリメチルスルホキシドから選ばれる1種類以上からなる有機溶媒が好ましい。電気化学的及び化学的安定性、電気伝導性に優れる点から、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、γ−ブチロラクトンから選ばれる1種類以上の有機溶媒が特に好ましい。ただし、エチレンカーボネート等の高融点溶媒は、単独では低温下では固体となるため使用できず、プロピレンカーボネート等との低融点溶媒との混合溶媒とする必要がある。非水系電解液中の水分は、高い耐電圧が得られるように200ppm以下、さらには50ppm 以下が好ましい。
本発明の炭素質物質を主材料とする分極性電極は電気二重層キャパシターの両極に用いてもよいし、一方の極のみに用いてもよい。例えば、正極を活性炭等の炭素を主材料とする分極性電極、負極を金属リチウム、リチウム合金、またはリチウムイオンを可逆的に吸蔵、脱離しうる炭素材料に予めリチウムイオンを吸蔵させたものを主材料とする非分極性電極、及びリチウム塩を含有する非水系電解液で構成される電気二重層キャパシターにおいて、活性炭等を主材料とする分極性電極の代わりに本発明の炭素質物質を正極材料として使用することが可能である。本発明の炭素質物質を使用することにより、従来の活性炭を正極材料とした場合より、印加可能電圧を大きくすることが可能なため電気二重層キャパシターのエネルギー密度を大幅に増加できる。
また、上記の炭素質電極に電気化学的にリチウムイオンを少量ドープする等の手法により電極の非水系電解液中での自然電位をさらに調節した電気二重層キャパシター用電極、及び室温下で高容量を発現する、フェノール樹脂熱分解物、石油コークス等を原料としたKOH賦活品等の比表面積が300m2/g以上の活性炭粉末を、本発明の炭素質物質に10重量%〜70重量%程度添加・成型した電気二重層キャパシター用電極も本発明に含まれる。
以下、本発明を具体的な実施例で説明するが、本発明は以下の実施例により限定されない。
(実施例1)
石炭ピッチを1500℃で4時間熱処理した後、これをボールミルで粉砕して、平均粒径が約20μmの炭素質原料を得た。炭素質原料のX線回折パターンを図1に示す。X線回折パターンで測定される面間隔d002は、0.344 nmであった。この炭素質原料に重量比で2倍の粒状の水酸化カリウムを加えて混合した後、ニッケル製のるつぼに入れ、窒素気流中で、800℃で2時間熱処理した。冷却後の生成物を1回水洗後、10%の塩酸水溶液中で1時間煮沸した後、洗浄後の濾過液のpHが6以上となるまで水洗を繰り返した。その後、115℃で乾燥して、本発明の炭素質物質を得た。炭素質物質中のカリウムの含有量を発光分光分析装置にて定量したところ、660ppmであった。
石炭ピッチを1500℃で4時間熱処理した後、これをボールミルで粉砕して、平均粒径が約20μmの炭素質原料を得た。炭素質原料のX線回折パターンを図1に示す。X線回折パターンで測定される面間隔d002は、0.344 nmであった。この炭素質原料に重量比で2倍の粒状の水酸化カリウムを加えて混合した後、ニッケル製のるつぼに入れ、窒素気流中で、800℃で2時間熱処理した。冷却後の生成物を1回水洗後、10%の塩酸水溶液中で1時間煮沸した後、洗浄後の濾過液のpHが6以上となるまで水洗を繰り返した。その後、115℃で乾燥して、本発明の炭素質物質を得た。炭素質物質中のカリウムの含有量を発光分光分析装置にて定量したところ、660ppmであった。
次に、炭素質物質80重量%、アセチレンブラック10重量%、ポリテトラフルオロエチレン10重量%からなる混合物を混練した後、日本分光製錠剤成型器を用い、油圧プレスで直径10.5mm,厚さ0.5mm となるように50kgf/cm2の圧力で加圧成形して円盤状の成型体を作製した。この成型体を0.1torr 以下の真空中、300 ℃で3時間乾燥した後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中へ移した。この成型体を正極の電極体とし、これをステンレス316L製コインセルの内底の中心部に接着した。次に、厚さ0.5mmの金属リチウムのシートを直径13mmの円形に打ち抜いてこれを負極とした。作製した正極と負極の間にポリエチレン製セパレータを挟み込んで、両極を対向させた後、1.0モル/リットルの濃度のLiBF4を含むプロピレンカーボネート溶液を両極中に含浸した。その後、ポリプロピレン製の絶縁ガスケットとステンレス304製のコインセルの上蓋を用いて、コインセルをかしめ封口した。得たコインセルの正極(炭素質物質電極)と負極(金属リチウム)との間に電圧計を接続して測定した炭素質物質電極の自然電位は2.79V(対Li/Li+)であった。
図2において、1はステンレス製容器のケース、2は正極、3はガスケット、4はセパレータ、5は負極、6はステンレス容器の上蓋である。
図2において、1はステンレス製容器のケース、2は正極、3はガスケット、4はセパレータ、5は負極、6はステンレス容器の上蓋である。
(実施例2)
実施例1で作製した炭素質物質成型体2枚を0.1torr 以下の真空中、300 ℃で3時間乾燥後した後、これらの成型体を正極及び負極の電極体とした電気二重層キャパシターの組立を窒素雰囲気下のグローブボックス中で行った。得た2枚の成型体を正負極の電極とし、及び1.3モル/リットル濃度のトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液を両極に含浸して、実施例1と同様なコインセルを組み立てて電気二重層キャパシターを得た。得た電気二重層キャパシターに、室温下で、2.8 Vまたは3.8Vの電圧を1時間印加した後、1.16mAの定電流で1.0 Vまで放電して求めた初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.03F、3.8V印加の場合、1.33Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−15%であった。
実施例1で作製した炭素質物質成型体2枚を0.1torr 以下の真空中、300 ℃で3時間乾燥後した後、これらの成型体を正極及び負極の電極体とした電気二重層キャパシターの組立を窒素雰囲気下のグローブボックス中で行った。得た2枚の成型体を正負極の電極とし、及び1.3モル/リットル濃度のトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液を両極に含浸して、実施例1と同様なコインセルを組み立てて電気二重層キャパシターを得た。得た電気二重層キャパシターに、室温下で、2.8 Vまたは3.8Vの電圧を1時間印加した後、1.16mAの定電流で1.0 Vまで放電して求めた初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.03F、3.8V印加の場合、1.33Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−15%であった。
(実施例3)
キノリン不溶成分を取り除いたコールタールピッチを回転キルンにて900℃で3時間熱処理した後、粉砕して、面間隔d002 が、0.349 nmである炭素質原料を得たこと以外は、実施例1と同様な炭素質物質及びコインセルを得た。得た炭素質物質中のカリウム含有量は780ppmであり、炭素質物質電極の自然電位は2.80V(対Li/Li+)であった。
キノリン不溶成分を取り除いたコールタールピッチを回転キルンにて900℃で3時間熱処理した後、粉砕して、面間隔d002 が、0.349 nmである炭素質原料を得たこと以外は、実施例1と同様な炭素質物質及びコインセルを得た。得た炭素質物質中のカリウム含有量は780ppmであり、炭素質物質電極の自然電位は2.80V(対Li/Li+)であった。
(実施例4)
実施例3で得た炭素質物質成型体2枚を電気二重層キャパシターの電極体とした以外は実施例2と同様な電気二重層キャパシターを構成した。得られた電気二重層キャパシターの初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.11F、3.8V印加の場合、1.38Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−12%であった。
実施例3で得た炭素質物質成型体2枚を電気二重層キャパシターの電極体とした以外は実施例2と同様な電気二重層キャパシターを構成した。得られた電気二重層キャパシターの初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.11F、3.8V印加の場合、1.38Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−12%であった。
(比較例1)
実施例1の炭素質物質を、やしがらを水蒸気賦活した後、水洗及び酸中和を繰り返して得られた活性炭粉末(カリウム含有量:25ppm、平均粒子径:約20μm、比表面積1680m2/g、)をとした以外は、実施例1と同様なコインセルを構成した。正極である炭素質物質電極の自然電位は3.01V(対Li/Li+)であった。
実施例1の炭素質物質を、やしがらを水蒸気賦活した後、水洗及び酸中和を繰り返して得られた活性炭粉末(カリウム含有量:25ppm、平均粒子径:約20μm、比表面積1680m2/g、)をとした以外は、実施例1と同様なコインセルを構成した。正極である炭素質物質電極の自然電位は3.01V(対Li/Li+)であった。
(比較例2)
比較例1で得た活性炭成型体2枚を電気二重層キャパシターの電極体とした以外は実施例2と同様な電気二重層キャパシターを構成した。得られた電気二重層キャパシターの初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.19F、3.8V印加の場合、1.36Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−39%であった。
比較例1で得た活性炭成型体2枚を電気二重層キャパシターの電極体とした以外は実施例2と同様な電気二重層キャパシターを構成した。得られた電気二重層キャパシターの初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.19F、3.8V印加の場合、1.36Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−39%であった。
(比較例3)
コールタールピッチを500℃で2時間熱処理後、粉砕して得た、面間隔d002が0.372nmである石炭ピッチ粉末に重量比2.3 倍の粒状の水酸化カリウムを加えて混合した後、ニッケル製のるつぼに入れ、窒素気流中で、650℃で1時間熱処理した。冷却後、実施例1と同様に洗浄・乾燥した後、窒素気流中で1000℃で1時間熱処理して活性炭粉末を得た。この活性炭粉末中のカリウム含有量は30ppmであった。次に、この活性炭粉末を用いて、実施例1と同様なコインセルを得た。炭素質物質電極の自然電位は3.08V(対Li/Li+)であった。
コールタールピッチを500℃で2時間熱処理後、粉砕して得た、面間隔d002が0.372nmである石炭ピッチ粉末に重量比2.3 倍の粒状の水酸化カリウムを加えて混合した後、ニッケル製のるつぼに入れ、窒素気流中で、650℃で1時間熱処理した。冷却後、実施例1と同様に洗浄・乾燥した後、窒素気流中で1000℃で1時間熱処理して活性炭粉末を得た。この活性炭粉末中のカリウム含有量は30ppmであった。次に、この活性炭粉末を用いて、実施例1と同様なコインセルを得た。炭素質物質電極の自然電位は3.08V(対Li/Li+)であった。
(比較例4)
比較例3で得た活性炭成型体2枚を電気二重層キャパシターの電極体とした以外は実施例2と同様な電気二重層キャパシターを構成した。得た電気二重層キャパシターの初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.19F、3.8V印加の場合、1.35Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−65%であった。
比較例3で得た活性炭成型体2枚を電気二重層キャパシターの電極体とした以外は実施例2と同様な電気二重層キャパシターを構成した。得た電気二重層キャパシターの初期静電容量は、2.8V印加の場合、1.19F、3.8V印加の場合、1.35Fであった。また、室温下で3.8Vの電圧を800時間印加した後の静電容量の変化率は、−65%であった。
1:ステンレス製容器のケース
2:正極
3:ガスケット
4:セパレータ
5:負極
6:ステンレス製容器の上蓋
2:正極
3:ガスケット
4:セパレータ
5:負極
6:ステンレス製容器の上蓋
Claims (10)
- アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属元素の合計含有量が100ppm以上2000ppm以下、X線回折で測定される面間隔d002が0.344nm以上0.365nm以下、かつLiBF4を1.0モル/Lで含有するプロピレンカーボネート溶液中でLiを対極とした場合の自然電位が1.50V以上2.85V以下であることを特徴とする炭素質物質。
- X線回折で測定される面間隔d002が、0.344nm以上0.349nm以下であることを特徴とする請求項1記載の炭素質物質。
- X線回折で測定される面間隔d002が、0.344nm以上0.365nm以下の炭素質原料と、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属又はこれらの金属を含有する化合物とを混合し、500〜1300℃に10分間以上保持したのち水洗・乾燥して得られた、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希望土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属元素の合計含有量が100ppm以上2000ppm以下、かつLiBF4を1.0モル/Lで含有するプロピレンカーボネート溶液中でLiを対極とした場合の自然電位が1.50V以上2.85V以下であることを特徴とする炭素質物質。
- X線回折で測定される面間隔d002が0.344nm以上0.349nm以下の炭素質原料を用いて得られたことを特徴とする請求項3記載の炭素質物質。
- アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属元素の合計含有量が500ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の炭素質物質。
- アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から成る金属元素群から選ばれた金属元素として、少なくともカリウム又はルビジウムを含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の炭素質物質。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の炭素質物質を少なくとも正極の主材料とし、電解液が非水系電解液であることを特徴とする電気二重層キャパシター。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の炭素質物質を正極及び負極の主材料とし、電解液が非水系電解液であることを特徴とする電気二重層キャパシター。
- 非水系電解液の溶質が、R4N+、R4P+(ただしRはCnH2n+1で示されるアルキル基である)及びトリエチルメチルアンモニウムより成る群から選ばれた第4級オニウムカチオンと、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、SbF6 -及びCF3SO3 -より成る群から選ばれたアニオンとの塩であり、かつ溶質濃度が0.5モル/L以上2.5モル/L以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の電気二重層キャパシター。
- 定常的に2.8V以上の電圧を印加して充電することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の電気二重層キャパシターの充電方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101207 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110419 |