JP3807854B2 - 電気二重層キャパシター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐電圧とエネルギー密度が大きく、急速充放電性に優れた電気二重層キャパシターに関する。
【0002】
【従来の技術】
大電流で充放電できる電気二重層キャパシターは、電気自動車、補助電源、深夜電力貯蔵等を用途としたエネルギー貯蔵装置として有望である。そのために、エネルギー密度が高く、急速充放電が可能であり、耐電圧の高い電気二重層キャパシターの実現が望まれている。同様にエネルギー貯蔵装置として近年着目されているリチウムイオン二次電池と比べて、電気二重層キャパシターの特長は、急速充放電が可能であること、サイクル耐久性及び電圧印加時の耐久性が高いことが挙げられるが、一方、上記の二次電池と比べてエネルギー密度及び耐電圧が小さいという問題があった。したがって、急速充放電性、高い耐久性を維持しながら、高エネルギー密度、および高い耐電圧を有する電気二重層キャパシターの実現が強く望まれていた。
【0003】
キャパシターのセルに蓄積されるエネルギーは、1/2・C・V2で算出され、Cはセル当たりの静電容量(F)、Vはセルに印加可能な電圧(V)である。印加可能電圧Vは、その値の二乗がエネルギーに反映されるため、エネルギー密度の向上にはキャパシターに印加する電圧(耐電圧)を上げることが効果的であるが、大きな電圧では電解液の分解が起こることにより、内部抵抗の増加、静電容量の短時間での低下という問題があった。また、電気二重層キャパシターではその耐電圧が2.5Vにあるのが現状であり、電気二重層キャパシターをメモリーバックアップ電源として使用する際、半導体回路の駆動電圧は約3.3Vであるため、単セルを複数個直列に連結して使用しなければならず、単セル当たりの耐電圧を大きくすることが強く望まれていた。
【0004】
これまでに、正極及び負極の両方に活性炭を主体とする分極性電極を使用する非水系電解液を用いた電気二重層キャパシターにおいて、正負側の電極、セパレータ、電解液、容器等を詳細に検討して単セル当たりの耐電圧の増加させることが試みられているが、これらの電気二重層キャパシター耐電圧は2.5〜3.3V程度であり不十分であった。
【0005】
一方、耐電圧を3.5V以上にする手法として、特開平8−107048号公報では、非水系電解液を用いた電気二重層キャパシターにおいて、正極を活性炭を主体とする分極性電極とし、負極をフェノール樹脂の炭化物、フラン樹脂の炭化物、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料に化学的手法または電気化学的手法で予めリチウムをイオン化した状態で吸蔵させた炭素質材料を主体とする電極とすることにより、耐電圧が約4Vとなる電気二重層キャパシターが提案されている。該キャパシターには2種類の電極が使用されており、それぞれ吸着または吸蔵するイオンが限定されている。すなわち、正極は分極性電極であり、アニオンを吸着、脱着し、負極は非分極性電極であり、リチウムイオンのみを吸蔵、脱離できる。該キャパシターの負極側の電位は金属リチウムに近い電位領域(0.05〜0.20V 対Li/Li+ )となるため、充電前にすでに正極(分極性電極)と負極の間には、約3Vの電位差が存在する。したがって、電解液の分解電圧付近まで充電した場合、正負極の電位差は4.3Vとなり、この電位差が該キャパシターの耐電圧(約4V)となる。また、負極が非分極性電極であるためセル当たりの静電容量C(F)は、従来の両極に分極性電極を用いたキャパシターの約2倍となる。また、正極が分極性電極、負極に非分極性電極を用いた電気二重層キャパシターに関して、特開平9−232190号公報、特開平9−275041号公報では、活性炭を主体とする分極性電極中に、それぞれ、ステンレス鋼繊維、高比表面積なカーボンブラックを添加することによる該キャパシターの耐電圧向上、低抵抗化等が提案されている。特開平10−27733号公報では、負極の主成分としてピッチの低温での熱処理過程で生じるメソフェーズ小球体を黒鉛化して得られる炭素質物質を提案している。
【0006】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、上記の公報の方法では、耐電圧は高くなるものの、いずれの公報においても実施例として記載されている電極電流密度は、約0.5mA/cm2 であり、これは、リチウム二次電池において使用可能な電流密度範囲にある。即ち、該二次電池に対するキャパシターの優位性が見られない。これは、上記の公報で用いられる負極用炭素質物質では、該キャパシターの充放電時に、リチウムイオンの吸蔵・脱離反応の反応速度が小さく律速段階となるために、高い電流密度領域の充放電では、静電容量は著しく小さくなるためである。特開平10−27733号公報で提案された黒鉛化物を負極とした場合、電解液組成、電極成型条件等にもよるが、大きい電流密度で充放電した場合、静電容量の低下だけでなく、黒鉛とリチウムイオンとの反応によるガス発生が生じ、電気二重層キャパシターの容器が膨張したりするという安全性の問題も考えられる。また、特開平8−107048号公報で提案されたフェノール樹脂炭化物、フラン樹脂炭化物の難黒鉛化性炭素を負極に用いた場合、該炭素質物質に可逆的に吸蔵・脱離するリチウムイオン量が、黒鉛等と比べて著しく小さい。そのため、キャパシターを安定に作動させるために、負極に使用する炭素質の量が多くなり、その結果、単位セル体積あたりの静電容量は低下する。したがって、1.5mA/cm2 以上の高い電極電流密度による充放電(急速充放電)を行った場合でも、高い静電容量を発現する電気二重層キャパシター用の負極用炭素質物質は、これまでに見出されていないと言える。
【0007】
さらに、上記の公報の方法では、エネルギー密度を大きくするために、4V以上の電圧を印加することにより高電圧印加時の耐久性及び充放電サイクル耐久性に対しては不十分なものであった。
これに対し、本発明者らは、特願平10−098701号において、正極の炭素質物質に、アルカリ金属等の金属、または、無機物を添加して、正極の該電解液中での自然電位を0.5V(対Li/Li+ )以上、2.6V(対Li/Li+ )以下に調整して、実質的に電解液の分解が生じる電圧以下の領域で充放電を行うことにより、正極の分極の起こる電位領域を広げることが可能となった。これにより、正極の自然電位を制御しない場合と比べて、エネルギー密度が大幅に増加し、かつ、キャパシターの耐久性の改善効果も得たが、急速充放電を可能とする適切な電極材料については不明であった。
【0008】
【発明が解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の課題を検討すべく鋭意検討した結果、非水系電解液を用いた電気二重層キャパシターにおいて、負極電極として特定の比表面積及び真密度を有する炭素質物質に予めリチウムイオンを吸蔵させた物質を用いることにより、急速充放電特性に優れ、かつ、高エネルギー密度を発現する電気二重層キャパシターが得られることを見い出し本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、非水系電解液を用い、最大許容印加電圧が3.35V以上、かつ、充放電時の最大電極電流密度が1.5mA/cm2 以上である電気二重層キャパシターにおいて、正極として、窒素吸着法による比表面積が10m2 /g以上3000m2 /g以下である多孔性炭素質物質を主成分とする分極性電極を用い、負極として、窒素吸着法による比表面積が1.8m2 /g以上12m2 /g以下であり、かつ、真密度が1.80g/cc以上2.23g/cc未満である炭素質物質に、予めリチウムイオンを吸蔵させた物質が主成分である非分極性電極を用いることを特徴とする電気二重層キャパシターに存する。
【0010】
更に詳しくは、本発明は上記の電気二重層キャパシターにおいて、正極の分極性電極体の該電解液中での自然電位がLi/Li+ を対極として、0.5V以上2.6V以下となるように、電極体中にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる1つ以上の物質を添加した正極を使用する電気二重層キャパシターに存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
従来の電気二重層キャパシターは、正極・負極とも分極性電極を用いたものが多いが、本発明における電気二重層キャパシターは正極のみ分極性電極であり、負極は非分極性電極であることが特徴である。最近、単極又は正極・負極が分極性電極である電気二重層キャパシターの総称として「電気化学キャパシター」という専門用語が定着しつつある。さらに、電気化学キャパシターとは、電極−電解質の界面に電気エネルギーを蓄えるエネルギー貯蔵デバイスであると言える。そういったことから、本発明における電気二重層キャパシターを、電気化学キャパシターまたはエネルギー貯蔵デバイスと言い換えることもできる。
本発明の最大の特徴は、電気二重層キャパシターの急速充放電性を得るために、負極電極として特定の物性の炭素質物質を用いることにある。更に、正極電極の該電解液中における自然電位を調整することにより、高エネルギー密度化も可能となる。
【0012】
具体的には、本発明は、非水系電解液を用いた電気二重層キャパシターにおいて、負極の主成分である炭素質物質は、窒素吸着法による比表面積が1.8m2/g以上12m2 /g以下であり、かつ、真密度が1.80g/cc以上2.23g/cc未満である炭素質物質であることを特徴としている。該炭素質物質は、金属リチウムを対極とした場合の、リチウム塩−非水系電解液中における初回充放電効率が、25℃において、1.5mA/cm2 以上の電極電流密度で定電流充電後、3mA/cm2 以上の電極電流密度で定電流放電を行った場合、75%以上100%以下であることが好ましい。このようなリチウムを可逆的に吸蔵・脱離しうる炭素質物質に、予めリチウムイオンを吸蔵させて非分極性電極とすることにより、電気二重層キャパシターの急速充放電が可能となる。
【0013】
本発明における負極用炭素質物質の初回充放電効率の測定は、通常の電気化学的手法を用いる。例えば、LiClO4 、LiPF6 等のリチウム塩のエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を主成分とする非水系溶媒中に溶解して得た電解液中で、リチウム金属電極と炭素質物質電極をセパレータを介して対向せしめた電気化学セルにおいて、所定の電極電流密度下、カットオフ電位が0.01〜1.0V(対Li/Li+ )の条件下で、初回の充電容量(mAh/g)に対する放電容量(mAh/g)の比率から算出することが可能である。
【0014】
本発明における負極電極体に用いられる炭素質物質は、通常、多環縮合芳香族環を含有する易黒鉛化性有機物を炭素化の完了温度以上黒鉛化温度未満で熱処理することによって得られる。負極電極体に用いられる炭素質物質の原料である「多環縮合芳香族環を含有する易黒鉛化性有機物」としては、石炭もしくは石油から抽出される重質油もしくはタール、メソフェーズピッチ、石炭液化物等の化石燃料の他、ポリイミド樹脂、ピレン重合体、合成ピッチ等の合成物などが挙げられる。
【0015】
本発明では、これらの易黒鉛化有機物を「炭素化の完了温度」以上「黒鉛化温度」未満で熱処理して炭素質物質を得ることが好ましいが、ここで「炭素化の完了温度」とは、熱重量分析における不活性ガス雰囲気下での、有機物の熱分解による大きな重量減少が十分に終了した温度であり、該有機物の種類により一概には言えないが、一般には、800〜1000℃以上であり、本発明に言及した場合、通常1000℃とすることができる。また、「黒鉛化温度」とは、例えば、炭素質物質の粉末X線回折パターンにおいて、炭素六角網面の積層間隔を反映する002面、004面等のピークが著しく鋭くかつ強くなり、これらの回折ピークから算出される平均面間隔(d002 値)が、0.340nm以下を示し、黒鉛(0.3354nm)に近づく領域にほぼ該当し、一般には2500℃以上である。本発明に言及した場合の「黒鉛化温度未満」の熱処理とは、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気中で2200℃以下の温度による熱処理とすることができる。易黒鉛化性有機物の種類にもよるが、熱処理温度は通常1000〜2200℃、好ましくは1000〜1800℃、更に好ましくは1100〜1700℃である。尚、上記の易黒鉛化性有機物を不活性ガス雰囲気下で熱処理する途中過程において、予め800℃以下で空気、炭酸ガス等の酸化性ガスを接触させたり、予め1000℃以下で炭素化処理を行った後、冷却したものを改めて熱処理することなどにより、炭素質物質の炭素構造を若干変化させたものについても本発明に含まれる。
【0016】
また、易黒鉛化性有機物である石炭及び石油から抽出される重質油及びタールを炭素化の完了温度以上黒鉛化温度以下で熱処理して得られる炭素質物質は、安価かつ大量に入手可能であることから、本発明の負極用炭素質物質として好適に使用できる。本発明の負極に用いる炭素質物質としては、窒素吸着法による比表面積が1.8m2 /g以上12m2 /g以下であり、かつ、真密度が1.8g/cc以上2.23g/cc未満であるものを用いるが、比表面積は2.0 2 /g以上8.0m2 /g以下がより好ましく、2.0〜7.0m2 /gが更に好ましい。また、真密度1.9〜2.20g/ccがより好ましく、1.93〜2.18g/ccが更に好ましい。窒素吸着法による比表面積は、市販の多点式窒素吸着量測定装置で得られる炭素質物質の窒素吸着等温線をBET法による解析により得られる。炭素質物質の真密度は、1−ブタノール法等により容易に得られる。
【0017】
石炭または石油から抽出される重質油及びタールを炭素化の完了温度以上黒鉛化温度以下で熱処理して得られる負極用炭素質物質のうち、通常、これらのX線回折で測定される平均面間隔d002 が0.34nm以上0.35nm以下、002面ピークから求めた結晶粒子のc軸方向のサイズLcが2nm以上30nm以下であることにより、高い電極電流密度で充放電を繰り返しても、高い静電容量を維持することが可能である。d002 0.348〜0.342nmがより好ましく、0.346〜0.343nmが更に好ましい。Lcは、2.0〜25nmがより好ましく、2.0〜15nmが更に好ましい。
【0018】
負極の炭素質物質へ予めリチウムを吸蔵させる方法としては、電気化学的手法または化学的手法のいずれを問わないが、例えば次のような方法がある。リチウム塩を含む電解液中に、該炭素質物質を成型した電極を作用極、金属リチウムを対極として充電する、または、炭素質物電極と金属リチウムとを短絡させることにより該炭素質電極へリチウムイオンが電気化学的に吸蔵される。他のリチウムイオン吸蔵方法として、該炭素質電極にリチウム箔を張り付けた後、非水系電解液中に浸漬して加温する方法、炭素質電極へリチウム−アルミニウム合金粉末またはリチウム粉末を添加した後、成型する等があるが、前述の、炭素質電極へ電気化学的にリチウムイオンを吸蔵させる方法が、他の方法と比べて、リチウムイオンの炭素質へ短時間で吸蔵することができ、かつ、吸蔵量を任意に制御できることから好ましい。
【0019】
本発明の電気二重層キャパシターの正極としては、窒素吸着法による比表面積が10m2 /g以上の多孔性炭素質物質を用いることが好ましい。多孔性炭素質物質の比表面積は、炭素質種による単位面積あたりの静電容量(F/m2 )、高比表面積化に伴う嵩密度の低下等の理由から一概には言えないが、窒素吸着法による比表面積は30〜2500m2/gが好ましく、特に、比表面積が300〜2300m2 /gの活性炭は、体積あたりの静電容量が大きく、好ましい。活性炭の原料としては、植物物系の木材、のこくず、ヤシ殻、パルプ廃液、化石燃料系の石炭、石油重質油、あるいはそれらを熱分解した石炭および石油系ピッチ、石油コークス、カーボンアエロゲル、タールピッチを紡糸した繊維、合成高分子、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶高分子、プラスチック廃棄物、廃タイヤ等多種多用である。これらの原料を炭化後、賦活するが、賦活法は、ガス賦活と薬品賦活に大別される。ガス賦活法は、薬品賦活が化学的な活性化であるのに対して、物理的な活性化ともいわれ、炭化された原料を高温で水蒸気、炭酸ガス、酸素、その他の酸化ガスなどと接触反応させて、活性炭が得られる。薬品賦活法は、原料に賦活薬品を均等に含侵させて、不活性ガス雰囲気中で加熱し、薬品の脱水および酸化反応により活性炭を得る方法である。使用される薬品としては、塩化亜鉛、りん酸、りん酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫化カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カルシウム等がある。活性炭の製法に関しては、上記に各種あげたが、特に問わない。活性炭の形状は、破砕、造粒、顆粒、繊維、フェルト、織物またはシート状等各種の形状があるが、いずれも本発明に使用することができる。これらの活性炭のうち、ガス賦活法において、やしがら、石炭、または、フェノール樹脂を炭化したものを原料として得られる活性炭は、比較的高い静電容量を示し、かつ工業的に大量生産可能であり、安価であるため本発明に好適である。
【0020】
また、薬品賦活法では、KOHを用いた薬品賦活で得られる活性炭は、水蒸気賦活品と比べて、製造コストは高いものの、容量が大きい傾向にあることから好ましい。また、KOHを用いた薬品賦活して得た炭素質の場合、賦活前の原料種、賦活条件により300m2 /gより小さい比表面積を示すものもあるが、これらのうち比較的高い静電容量を示すものも存在するため、これらも正極材料として使用できる。
【0021】
賦活処理後の活性炭を、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性雰囲気下で、500〜2500℃、好ましくは700〜1500℃で熱処理し、不要な表面官能基を除去したり、炭素の結晶性を発達させて電子伝導性を増加させても良い。
粒状の炭素質物質の場合、電極の嵩密度の向上、内部抵抗の低減という点で、平均粒子径は30μm以下が好ましい。
【0022】
炭素質物質を主体とする正極または負極の電極体は、通常、炭素質物質、導電剤とバインダー物質から構成される。該電極体は、従来より知られている方法により成形することが可能である。例えば、炭素質物質とアセチレンブラックの混合物に、ポリテトラフルオロエチレンを添加・混合した後、プレス成形して得られる。また、炭素質物質とピッチ、タール、フェノール樹脂等のバインダー物質を混合・成型した後、不活性雰囲気下で熱処理して焼結体が得られる。さらに、導電剤、バインダーを用いず、炭素質物質のみを焼結して分極性電極とすることも可能である。また、導電剤を用いず炭素質物質とバインダーとを焼結して分極性電極とすることも可能である。電極は、薄い塗布膜、シート状または板状の成形体、さらには複合物からなる板状成形体のいずれであっても良い。
【0023】
該電極体に導電剤を用いる場合、導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛、炭素繊維、酸化ルテニウム、酸化チタン、アルミニウム、ニッケル等の金属ファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種の導電剤が好ましい。少量で効果的に導電性が向上する点で、アセチレンブラック及びケッチェンブラックが特に好ましく、例えば、炭素質物質が活性炭の場合、活性炭との配合量は、活性炭の嵩密度により異なるが多すぎると活性炭の割合が減り容量が減少するため、活性炭の重量の5〜50%、特には10〜30%程度が好ましい。
【0024】
バインダー物質としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリイミド、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂のうち少なくとも1種類以上用いるのが好ましい。
本発明の負極の非分極性電極は、例えば、炭素質物質として平均粒子径が3〜40μmの粉末を用い、この炭素質粉末にポリフッ化ビニリデン等のバインダー物質を炭素質粉末に対して0.5〜10重量%添加して混合・成型することによって得られ、内部抵抗の小さい負極を得ることができる。
【0025】
本発明の正極としては、電気二重層キャパシターのエネルギー密度を増加させるために、正極電極体の電解液中での自然電位がLi/Li+ を対極とした場合に0.5V以上2.6V以下となるように調整して、有効な分極電位領域を拡張させることが好ましい。正極の充電前の自然電位を0.5〜2.6V(対Li/Li+ )に調節することにより、例えば、キャパシターに4.3Vの電圧を印加すると、前述の印加可能電圧Vは、1.7〜2.8V付近となり、自然電位を調節しない場合(約1.3V)より増加するため、そのエネルギー密度は大幅に増大する。また、正極の充電後の電位を電解液の分解電位(4.3〜4.5V 対Li/Li+ )より少しさげて、4.0〜4.2V付近にすることにより、エネルギー密度は若干低下するものの、電解液の分解抑制による高電圧印加時の耐久性及び充放電耐久性が大幅に改善される。
【0026】
本発明における正極の炭素質電極の自然電位の測定は、通常の電気化学的手法を用いて行われる。非水系での電位測定は、水溶液での標準水素電極のような電位基準は厳密には定義されていないが、実際には、銀−銀イオン電極、銀−塩化銀電極、白金電極、リチウム電極等の電極を用いて一般に広く行われている。本発明においても同様な方法で測定可能である。
【0027】
本発明で用いる正極の分極性電極体の自然電位の調整方法は特に限定するものではないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる少なくとも一つの物質を、電気化学的手法、化学的手法、物理的手法等により電極体に添加することが好ましい。例えば、簡便な方法の一つとして、非常に卑な金属である金属リチウムまたはリチウムを含む物質からなるリチウム含有電極、炭素質物質を主とする電極、セパレータ及び非水系電解液で構成される電気化学セルにおいて、リチウム含有電極と炭素質電極を短絡またはリチウム含有電極を対極、炭素質電極を作用極として充電することにより炭素質電極中にリチウムを簡単に導入することができる。リチウムを含む物質としては、特に限定するものではないが、例えば、リチウムを含む黒鉛、樹脂の炭化物、ピッチ炭化物、コールタール炭化物、活性炭等の炭素、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金等のリチウムを含む合金、リチウム金属間化合物、リチウムを含むマンガン酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、バナジウム酸化物等の複合酸化物、リチウムを含む硫化チタン、セレン化ニオブ、硫化モリブデン等のカルコゲナイトから選ばれる少なくとも1つ以上の物質を用いることが好ましい。卑な電位をもつ金属として、リチウム以外に、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、イットリウム、ネオジウム等の希土類金属または、これらの金属を含む物質をリチウムの場合と同様に自然電位を下げる物質として用いてもよい。電極電位を下げすぎて0.5V未満にすると、電解液の分解が起こる場合があり、エネルギー密度及び耐久性が低下する場合があり好ましくない。リチウムを電気化学的に導入して自然電位を0.5V以上2.6V以下(対Li/Li+ )に調節した炭素質電極中のリチウム含有量は、炭素質の結晶構造、比表面積、表面性状等により一概には言えないが、0.01〜3重量%と微量であり、このリチウムの存在による電解液の分解反応等は実質的に起こらないといってよい。
【0028】
本発明の電気二重層キャパシターの集電体は、電気化学的及び化学的に耐食性があればよく、特に限定するものではないが、例えば、正極ではステンレス、アルミニウム、チタン、タンタルがあり、負極では、ステンレス、ニッケル、銅等が好適に使用される。
【0029】
電解液は非水系電解液とされ、また、電解液の電解質はカチオンがリチウムイオンであるリチウム塩を用いる。リチウム塩は、LiBF4 、LiClO4 、LiPF6 、LiSbF6 、LiAsF6 、LiCF3 SO3 、LiC(CF3SO2 3 、LiB(C6 5 4 、LiC49SO3 、LiC8 17SO3 、LiB(C6 5 4 、LiN(CF3 SO2 2 等が例示され、特に、電気導電性と安定性という点から、LiBF4 、LiClO4 、LiPF6 及びLiSbF6 がリチウム塩として好ましい。これらのリチウム塩の非水系電解液中の濃度は電気二重層キャパシターの特性が十分引き出せるように、0.3〜2.7モル/リットルが好ましく、特に、0.7モル/リットル以上の濃度では、高い電気導電性が得られて好ましい。また、非水系電解液の溶媒は特に限定するものではないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、N−メチルオキサゾリジノン、ジメチルスルホキシド、及びトリメチルスルホキシドから選ばれる1種類以上からなる有機溶媒が好ましい。電気化学的及び化学的安定性、電気伝導性に優れる点から、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、γ−ブチロラクトンから選ばれる1種類以上の有機溶媒が特に好ましい。高い耐電圧が得られるように、非水系電解液中の水分は200ppm以下、さらには50ppm以下が好ましい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例で説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
石炭系ピッチを約1400℃で熱処理して得た炭素質物質を平均粒径19μmに粉砕して負極用炭素質物質とした。X線回折によるd002 が0.344nm、Lcが5.6nm、窒素吸着法による比表面積が6.7m2 /g、ブタノール置換法による真密度が2.1g/cc、アッシュが0.02%以下であった。粉砕して得られた負極用炭素質物質(純度 99.9%、平均粒径19μm)90重量%にポリフッ化ビニリデン10重量%からなる混合物に対し、N−メチルピロリドンを3倍重量添加した後、これを乳鉢中で十分に混練して得たスラリーを、ステンレス316Lの箔上に塗布した。これを、150℃で2時間乾燥した後、アルゴン雰囲気のグローブボックスへ移し、該塗布膜を直径10mmの円盤に打ち抜いた。ステンレス箔の厚さを除いた炭素質塗布膜の厚さは約100μmであった。グローブボックス中で、炭素質塗布膜円盤と直径10mmで厚さ約0.5mmの金属リチウムの間にポリエチレン製のセパレータ挟み込んで、これらを対向させた後、炭素質塗布膜円盤と金属リチウムの外側に集電体としてステンレス板を圧着した。さらに、集電体、セパレータ、正負極の電極がよく接触するように、一番外側から2枚の厚さ5mmの4個のボルト孔を有するテフロン板で挟み込んで、オープンセルを組み立てた。このオープンセルを1.2モル/リットルの濃度のLiBF4 を含むエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート(容積比7:3)の溶液を満たしたガラス製ビーカ中に浸し、30分間放置した。次に、炭素質塗布膜電極を負極、リチウム箔電極を正極として、北斗電工(株)充放電装置HJ201Bにより0.01Vの定電圧下で8時間充電処理した。充電処理後、オープンセルを分解して、炭素質塗布膜円盤を集電体から取り外した。
【0031】
次に、KOH賦活処理して得られたフェノール樹脂系活性炭粉末(比表面積1880m2 /g、平均粒子径8μm)80重量%、アセチレンブラック10重量%、ポリテトラフルオロエチレン10重量%からなる混合物を混練した後、50kgf/cm2 の圧力で加圧成型して直径10mm,厚さ0.5mmの円盤状の成型体を得た。この成型体を0.1torr以下の真空中、300℃で3時間乾燥後、これを前述のアルゴン雰囲気のグローブボックス中へ移動した。放冷後の活性炭成型体を正極電極体として、ステンレス316L製コインセルの内底の中心部に設置した。さらに、前述の充電処理後の炭素質塗布円盤電極の間にポリエチレン製セパレータを挟み込んで両極を対向させた後、1.2モル/リットルの濃度のLiBF4 を含むエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート(容積比7:3)の溶液を両極中に含浸した。その後、ポリプロピレン製の絶縁ガスケットとステンレス304製のコインセルの上蓋を用いて、コインセルをかしめ封口して図1のような電気二重層キャパシターを得た。得られた電気二重層キャパシターを、25℃下で、1.26mA(電極電流密度1.6mA/cm2 )の定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mA(電極電流密度3.3mA/cm2 )の定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は3.73F、エネルギー密度は3.2Jであった。また、対極を金属リチウム極として、25℃下、非水系電解液(LiClO4 のエチレンカーボネート/ジエチルカーボネートの混合溶媒溶液)を使用し、1.6mA/cm2 の電流密度で定電流充電後、3.3mA/cm2 で定電流放電して得られる初回充放電効率(放電容量/充電容量)は81%であった。
【0032】
実施例2
正極の分極性電極の自然電位を調整した電気二重層キャパシターの製法について以下に述べる。実施例1と同様な製法で得た活性炭成型体と厚さ0.1mmの金属リチウムのシートを直径10mmの2つの円筒の間にポリエチレン製セパレータを挟み込んで、両極を対向させた後、1.2モル/リットルの濃度のLiBF4 を含むエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート(容積比7:3)の溶液を両極中に含浸した。その後、ポリプロピレン製の絶縁ガスケットとステンレス304製のコインセルの上蓋を用いて、コインセルをかしめ封口した。得られたコインセルの正極と負極をリード線で10分間接続して短絡させた。アルゴン雰囲気のグローブボックス内で短絡処理後のコインセルを分解して、活性炭成型体のみ取り出し、この短絡処理した活性炭成型体を電気二重層キャパシターの正極電極体とした。以上のように自然電位を調整した分極性電極を正極とした以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシターを得た。得られた電気二重層キャパシターを、25℃下で、1.26mA(電極電流密度1.6mA/cm2 )の定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mA(電極電流密度3.3mA/cm2 )の定電流で2.10Vまで放電して求めた静電容量は3.71F、エネルギー密度は9.0Jであった。また、初回充放電効率は81%であった。
【0033】
実施例3
石炭系ピッチを約1400℃で熱処理して得た炭素質物を平均粒径19μmに粉砕して負極用炭素質物とした。X線回折によるd002 が0.344nm、Lcが5.3nm、窒素吸着法による比表面積が5.0m2 /g、ブタノール置換法による真密度が2.1g/cc、アッシュが0.2%であった。得られた粉末を負極用炭素質物質として用いた以外は実施例1と同様な電気二重層キャパシターを得て、これを25℃下で、1.26mAの定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mAの定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は3.68F、エネルギー密度は3.1Jであった。また、初回充放電効率は75%であった。
【0034】
実施例4
石炭系ピッチを1100℃で熱処理して得た炭素質物を平均粒径18μmに粉砕して負極用炭素質物とした。X線回折によるd002 が0.344nm、Lcが2.4nm、窒素吸着法による比表面積が5.1m2 /g、ブタノール置換法による真密度が1.95g/cc、アッシュが0.02%以下であった。粉砕して得られた炭素質物質を負極用炭素質物質として用いた以外は実施例1と同様な電気二重層キャパシターを得て、これを25℃下で、1.26mAの定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mAの定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は、3.72F、エネルギー密度は3.2Jであった。また、初回充放電効率は77%であった。
【0035】
実施例5
実施例4で用いた炭素質物を、アルゴン雰囲気中で1300℃で1時間熱処理して炭素質物を得た。平均粒径は18μm、X線回折によるd002 が0.344nm、Lcが3.6nm、窒素吸着法による比表面積が2.8m2 /g、ブタノール置換法による真密度が2.1g/cc、アッシュが0.02%以下であった。得られた炭素質物質を負極用炭素質物質として用いた以外は実施例1と同様な電気二重層キャパシターを得て、これを25℃下で、1.26mAの定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mAの定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は3.74F、エネルギー密度は3.3Jであった。また、初回充放電効率は80%であった。
【0036】
実施例6
実施例4で用いた炭素質物を、アルゴン雰囲気中で1600℃で1時間熱処理して炭素質物を得た。平均粒径は18μm、X線回折によるd002 が0.343nm、Lcが13.4nm、窒素吸着法による比表面積が2.2m2 /g、ブタノール置換法による真密度が2.17g/cc、アッシュが0.02%以下であった。得られた負極用炭素質物質を負極用炭素質物質として用いた以外は実施例1と同様な電気二重層キャパシターを得て、これを25℃下で、1.26mAの定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mAの定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は3.72F、エネルギー密度は3.2Jであった。また、初回充放電効率は78%であった。
【0037】
比較例1
実施例1において、人造黒鉛粉末(純度99.9%、平均粒径6μm)を負極用炭素質物質として用いた以外は実施例1と同様な電気二重層キャパシターを得て、これを25℃下で、1.26mAの定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mAの定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は3.02F、エネルギー密度は 2.5Jであった。また、初回充放電効率は70%であった。
【0038】
比較例2
実施例1において、ノボラック樹脂を窒素ガス雰囲気下で1500℃で1時間熱処理した後、粉砕して得られた炭素質物質(純度99.9%、平均粒径20μm)を負極用炭素質物質として用いた以外は実施例1と同様な電気二重層キャパシターを得て、これを25℃下で、1.26mAの定電流で4.3Vまで充電した後、2.59mAの定電流で3.00Vまで放電して求めた静電容量は2.90F、エネルギー密度は2.4Jであった。また、初回充放電効率は61%であった。
【0039】
表1に、実施例1〜6、比較例1、2で用いた負極用炭素質物質の窒素吸着法により求めた比表面積、ブタノール置換法による真密度、X線回折法で測定されるd002 値とLc値、静電容量及びエネルギー密度を示した。実施例・比較例においては、従来よりも高い電極電流密度で充放電を行った。実施例においては高い静電容量とエネルギー密度が得られているのに対し、比較例においては負極でのリチウムイオンの吸蔵・脱離反応の反応速度が律速となり、静電容量とエネルギー密度が著しく小さくなっていることがわかる。
【0040】
【表1】
Figure 0003807854
【0041】
【本発明の効果】
本発明の負極材料を用いることにより、高い電極電流密度による充放電(即ち、急速充放電)を行った場合でも、高い静電容量を発現し、エネルギー密度の大きい電気二重層キャパシターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例で用いたコイン型セルの説明図である。
【符号の説明】
1:ステンレス製容器のケース
2:正極
3:ガスケット
4:セパレータ
5:負極
6:ステンレス容器の上蓋

Claims (10)

  1. 非水系電解液を用い、最大許容印加電圧が3.35V以上、かつ、充放電時の最大電極電流密度が1.5mA/cm2 以上である電気二重層キャパシターにおいて、正極として、窒素吸着法による比表面積が10m2 /g以上3000m2 /g以下である多孔性炭素質物質を主成分とする分極性電極を用い、負極として、窒素吸着法による比表面積が1.8m2 /g以上12m2 /g以下であり、かつ、真密度が1.80g/cc以上2.23g/cc未満である炭素質物質に、予めリチウムイオンを吸蔵させた物質が主成分である非分極性電極を用いることを特徴とする電気二重層キャパシター。
  2. 非水系電解液がリチウム塩を0.3〜2.5モル/リットル含むものである請求項1記載の電気二重層キャパシター。
  3. 負極の炭素質物質として、金属リチウム極を対極としたリチウム塩を電解質主成分とする非水系電解液を用いた電気化学セルにおいて、25℃における、1.5mA/cm2 以上の電極電流密度で定電流充電後、3mA/cm2 以上の電極電流密度で定電流放電したときの初回充放電効率が、75%以上100%以下である炭素質物質を使用することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか記載の電気二重層キャパシター。
  4. 負極の炭素質物質が、多環縮合芳香族環を含有する易黒鉛化性有機物を炭素化の完了温度以上黒鉛化温度未満で熱処理して得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気二重層キャパシター。
  5. 該多環縮合芳香族環を含有する易黒鉛化性有機物が、石油もしくは石炭から抽出される重質油もしくはタール成分であることを特徴とする請求項4記載の電気二重層キャパシター。
  6. 負極の炭素質物質が、多環縮合芳香族環を含有する易黒鉛化性有機物を不活性雰囲気中で1000℃以上2200℃以下で熱処理して得られるものであることを特徴とする請求項4記載の電気二重層キャパシター。
  7. 負極の炭素質物質として、X線回折で測定される平均面間隔d002 が0.34nm以上0.35nm以下であり、かつ、結晶粒子のc軸方向のサイズLcが2.0nm以上30nm以下である炭素質物質を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気二重層キャパシター。
  8. 正極の分極性電極として、非水系電解液中での自然電位が、Li/Li+ を対極として、0.5V以上2.6V以下である分極性電極を用いることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシター。
  9. 正極の分極性電極体に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属から選ばれる1つ以上の物質を含有させることにより、正極の該電極体の自然電位を調整したことを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシター。
  10. 正極で用いられる炭素質物質が活性炭であることを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシター。
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