JP6299125B2 - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents
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[式(1)中、R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基を示す。]
[式(2)中、R2は、炭素数1〜3のアルキル基、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基を示す。]
<全体構成>
図1は、本発明のリチウムイオンキャパシタの一実施形態を示す図であり、図1(a)は正極側を上にした状態のリチウムイオンキャパシタの上面図であり、図1(b)は、図1(a)のIB−IB線断面図である。なお、図1(b)では、極板群5の断面形状は図示を省略してあり、また、断面部分を示すハッチングも省略してある。リチウムイオンキャパシタ1(以下、場合により「キャパシタ1」と略す)は、ニッケルメッキが施されたスチール製等の有底円筒状の容器(缶)3を有している。容器3内には、極板群5と正極集電部材39及び負極集電部材45の組み合わせからなるリチウムイオンキャパシタ用極板群ユニット2が収納されている。ここで、図2は、リチウムイオンキャパシタを構成する極板群の展開図である。図1(b)及び図2に示すように、極板群5は、中空円筒状の軸芯7に帯状の正極板9及び帯状の負極板11が第1のセパレータ13及び第2のセパレータ15を介して捲回された構造を有する。負極板11にリチウムイオンを吸蔵又はドープする前の極板群5内には、図2に示すように金属リチウムを含む金属リチウム支持部材17が配置されている。正極板9は、2枚の分割正極板9A,9Bから構成されている。第1及び第2のセパレータ13,15としては、クラフト紙等の多孔質基材を用いることができる。軸芯7としては、特に限定されないが、ポリプロピレン製の軸芯等を用いることができる。
正極板9を構成する分割正極板9A、9Bは、長さ寸法を除いて同じ構造を有している。図3(a)及び(b)は、正極板及び負極板の一例を示す平面図である。分割正極板9A,9Bは、例えば、アルミニウム箔(正極集電体)19の両面に正極活物質合剤21が塗着された構造を有している。なお、本願明細書において、アルミニウム箔はアルミニウム合金箔を含むものである。また、正極集電体には、アルミニウム箔以外の公知の正極集電体を用いてもよい。
負極板11も、長さ寸法及び活物質合剤の材料を除いて正極板9(分割正極板9A及び9B)と同様の構造を有している。すなわち、負極板11は、図3(a)及び(b)に示すように、例えば、銅箔(負極集電体)27の両面に負極活物質合剤29が塗着された構造を有している。なお、本願明細書において、銅箔は、純銅箔だけでなく銅合金箔も含むものである。また、負極集電体には、銅箔以外の公知の負極集電体を用いてもよい。
正極板と負極板とを分離するセパレータの構成は、特に限定されるものではないが、単層又は積層した構成のセパレータを用いることができる。セパレータの材質としては、電解コンデンサ紙、クラフト紙などのセルロース系の基材、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、レーヨン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどの不織布や多孔質フィルム基材、ガラス繊維基材などが挙げられる。また、上記の基材を複数積層したものをセパレータとして用いてもよい。セパレータの厚みは、例えば、10〜60μmであり、好ましくは20〜50μmである。また、セパレータは、電解液が浸潤するものであることが好ましい。
金属リチウム支持部材17は、負極板11の負極活物質(本例では非晶質炭素)にリチウムイオンを吸蔵(ドープ)させるためのものである。図4は、金属リチウム支持部材17の一例を示す図であり、図4(a)は金属リチウム支持部材17の斜視図であり、図4(b)は金属リチウム支持部材17の断面図である。図4(a)及び(b)に示すように、金属リチウム支持部材17は、薄板状の金属リチウム35と、2枚の銅箔(支持体)37,37とで構成されている。銅箔37,37は、負極板11を構成する銅箔27と同様のものを所定寸法に切断して用いることができる。銅箔37,37には、多数の貫通孔が形成されており(図示せず)、金属リチウム35は、2枚の銅箔37の多数の貫通孔が形成された部分に接触するようにして2枚の銅箔37,37間に挟持されている。ここで、2枚の銅箔37,37の一方又は両方は、ニッケルメッキした銅箔であってもよい。
図2に示すように、極板群5は、正極板9(分割正極板9A,9B)と負極板11とが、直接接触しないように、2枚のセパレータ13,15を介して、軸芯7を中心として断面渦巻き状に捲回されて構成されている。そして、極板群5の径方向の中央領域には、金属リチウム支持部材17の捲回層が位置するように金属リチウム支持部材17が負極板11上に配置されている。正極板9と負極板11は、それぞれの未塗工部(未塗工部25と33)が逆方向に、セパレータ13,15よりも外側に突出するように配置されている。なお、極板群5の捲回終端部は、捲き解けを防止するために、粘着テープを捲回終端部と極板群の外周面とに跨って貼り付けることで固定されている。
図5は、正極集電部材39の一例を示す斜視図である。正極集電部材39は、例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)からなり、図5に示す通り、中心部分に円形の孔41が形成されたリング形状を有している。図1(b)に示すように、孔41は、正極集電部材39が極板群5の中心からずれないようにするために、軸芯7の上端に嵌る直径を有している。正極集電部材39は、極板群5に含まれる正極板9の未塗工部25に溶接される。ここで、図7は、極板群5と、正極集電部材39及び負極集電部材45との配置関係を示す斜視図である。図7に示すように、極板群5の正極板9の未塗工部25が位置する側の上方から正極集電部材39を極板群5に向かって近付け、正極板9のアルミニウム箔19の未塗工部25の上に、正極集電部材39を載せる。そして後述するレーザ溶接のために、正極集電部材39には、極板群5と接する方向に向かって凸となり、極板群5から離れる方向に向かって開いた形状となる溶接用凹部を構成する溝43が4本設けられている。これらの溝43は、正極集電部材39の仮想中心点を中心として、放射状に直線的に延びている。これらの溝43は、例えばプレス加工によって形成することができる。なお、図7において正極集電部材39に溶接された正極端子部44Aは、図1(b)に示した容器蓋55に溶接されるものである。なお、図1(b)に示すように、組立の際には、正極集電部材39の外周縁部には、容器3と電気的に絶縁するためのゴム製等の絶縁リング部材63が装着される。
図6は、負極集電部材45の一例を示す斜視図である。負極集電部材45は、例えばニッケル、又は、銅にニッケルメッキを施した金属材料のいずれかで形成されている。図6に示す通り、負極集電部材45は、中心部分に円形の窪み47が形成された円盤形状を有している。窪み47は、軸芯7の下端を収納するように形成されている。図7に示す通り、負極集電部材45は、極板群5の負極板11の銅箔の未塗工部33が位置する側から、極板群5に近付けられて、銅箔27の未塗工部33上に載せられる。そして負極集電部材45と銅箔27の未塗工部33とはレーザ溶接される。負極集電部材45にも、正極集電部材39と同様に、極板群5と接する方向に向かって凸となり、極板群5から離れる方向に向かって開いた形状となる溶接用凹部を構成する溝49が4本設けられている。これらの溝49は、負極集電部材45の仮想中心点を中心として放射状に直線的に延びている。これらの溝49は、例えばプレス加工によって形成することができる。
極板群5の未塗工部25及び33と集電部材(正極集電部材39及び負極集電部材45)との溶接は、例えばレーザ光を用いたレーザ溶接により行うことができる。レーザ溶接装置としては、レーザ光を連続的に発生する直接集光型半導体レーザ装置(DLL)等を用いることができる。直接集光型半導体レーザ装置は、効率的な発振が可能なレーザダイオードのレーザ光を用いており、YAGレーザ光やCO2レーザ光に比べて集光度が10分の1程度、ビーム形状が楕円形であり、レーザ光による伝導熱で金属を溶かし込む溶接が可能なものである。このような直接集光型半導体レーザ装置を用いることで、溶接を確実にし、且つ、溶融金属の飛び散りによるスパッタの少ない溶接が可能になる。負極集電部材45を溶接する場合を例にして説明すると、レーザ光を連続的に発生する直接集光型半導体レーザ装置を用いて、レーザ光を負極集電部材45の溝部49に沿って負極集電部材45の外周側から中心部に向かって連続照射して負極集電部材45を局部的に溶融し、溶融金属により負極板の銅箔の未塗工部33及び金属リチウム支持部材17の支持体37の端部と負極集電部材45とを溶接する。このように直接集光型半導体レーザ装置を用いてレーザ溶接を行うと、負極集電部材を効率的に溶融させることができて、確実に溶接を行うことが可能になり、溶接部の抵抗が大きくなることを確実に防止できる。なお、直接集光型半導体レーザ装置の代わりに、ファイバ導光型半導体レーザ装置を用いても同様に良好な溶接結果を得ることができる。
図10は、リチウムイオンキャパシタ用極板群ユニットを容器に収納し、容器蓋で密封する様子を示した断面図である。図10に示すように、正極集電部材39及び負極集電部材45を溶接した極板群5、すなわち、リチウムイオンキャパシタ用極板群ユニット2は、容器3へ収納される。リチウムイオンキャパシタ用極板群ユニット2を収納した状態で、負極集電部材45の窪み47と容器の底部とは、例えばスポット溶接により溶接され、電気的に接続されている。
キャパシタ1の内部を密封する前に、容器3内には、リチウムイオンキャパシタ用極板群ユニット2全体を浸潤可能な量の非水電解液(不図示)を注入する。この非水電解液は、リチウム塩を非プロトン性の有機溶媒に溶解したものである。
上記式(1)中、R1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基を示す。また、上記フッ化アルキル基は、炭素数1〜3のフッ化アルキル基であることが好ましい。
ここで、式(2)中、R2は、炭素数1〜3のアルキル基、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたフッ化アルキル基を示す。また、上記フッ化アルキル基は、炭素数1〜3のフッ化アルキル基であることが好ましい。
<正極板の作製>
正極スラリーには、活性炭、結着剤、分散剤及び導電助剤を含有するキャパシタ用活物質ペースト(日立化成社製、商品名:ヒタゾル GA−1200)を用いた。正極スラリーを、図3(b)に示すように正極スラリーを塗布する塗工部に多数の貫通孔が形成された厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗工し、乾燥後、プレスして、アルミニウム箔の両面にそれぞれ厚さ17μmの塗布層が形成され、且つ、塗布層に沿ってアルミニウム箔の未塗工部が露出した状態で残された正極板を得た。
負極活物質として非晶質炭素(クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名:カーボトロンPS(F)、平均面間隔d002=0.38nm)93質量部と、結着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)系エマルション(JSR社製、商品名:TRD2001)1質量部と、分散剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(ダイセルファインケム社製、商品名:CMC#2200)1質量部と、カーボンブラックとしてアセチレンブラック(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック HS−100)2質量部及びケッチェンブラック(ライオン社製、商品名:EC600JD)3質量部とを混合し、そこに分散溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を添加し、混練して負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを、図3(b)に示すように負極スラリーを塗布する塗工部に多数の貫通孔が形成された厚さ15μmの銅箔の両面に塗工し、乾燥後、プレスして、銅箔の両面にそれぞれ厚さ12μmの塗布層が形成され、且つ、塗布層に沿って銅箔の未塗工部が露出した状態で残された負極板を得た。
120mm×85mmの寸法で、厚さ500μmの板状の金属リチウムと、該金属リチウムの寸法よりも若干大きな寸法で、多数の貫通孔が形成された厚さ15μmの銅箔とを準備した。上記金属リチウムを上記2枚の銅箔の多数の貫通孔が形成された部分に接触するようにして2枚の銅箔間に挟み込み、金属リチウム支持部材を得た。
軸芯を捲回中心として、正極板及び負極板を、2枚のセパレータを介して、正極板と負極板とが直接接触せず、且つ、正極板と金属リチウム支持部材とが直接接触しないように捲回することで、極板群の捲回体を得た。この時、捲回体の直径が38mmになるように、正極板、負極板及びセパレータは所定寸法で切断し、極板群の外周に捲回されたセパレータの長手方向に沿って、巻き解け防止の粘着テープを貼り付けた。また、セパレータにはセルロース不織布(日本高度紙工業社製、商品名:TF4840)を用いた。
軸芯の両端部にそれぞれアルミニウムからなる正極集電部材と銅にニッケルメッキを施した金属材料からなる負極集電部材とをはめ合わせ、レーザ溶接により、正極板の未塗工部と正極集電部材、及び、負極板の未塗工部と負極集電部材をそれぞれ溶接した。この極板群の外周に金属リチウム支持部材を巻きつけた後、それをニッケルメッキが施されたスチール製の有底円筒状の容器内に挿入し、容器の内底部と負極集電部材とを抵抗溶接により接合した。さらに、軸芯の内周に所定量のエポキシ樹脂を注入し、固化するまで所定の時間待った後、金属リチウム支持部材と容器の側面部とを抵抗溶接により接合した。次に、あらかじめ正極集電部材に溶接した正極端子部と、容器を封口するための容器蓋とを接合した。
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)10体積部と、ジメチルカーボネート(DMC)50体積部と、エチルメチルカーボネート(EMC)40体積部とを混合した溶媒に、電解質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0モル/Lの濃度となるように溶解し、電解液を得た。この電解液を軸芯の内周を利用して容器内に注入した。
容器に絶縁部材としてガスケットをはめた後、正極端子部を折りたたむようにして容器蓋で容器に蓋をし、蓋の縁部にカーリング加工を施して密封することで、リチウムイオンキャパシタを作製した。
50℃に管理された貯蔵室に、リチウムイオンキャパシタを後述する予備充電時間放置することで、リチウムイオンが負極活物質へ吸蔵され、負極が充電状態になったリチウムイオンキャパシタを得た。
負極スラリーに配合する非晶質炭素、アセチレンブラック及びケッチェンブラックの配合量(質量部)を表1に示すように変え、電解液の溶媒に用いるEC、PC(プロピレンカーボネート)、DMC及びEMCの体積比を同表に示すように変えた以外は参考例1と同様にして、参考例4、6、実施例2、3、5、7〜10及び比較例1〜3のリチウムイオンキャパシタを作製した。
予備充電開始(上記貯蔵室への放置開始)から50時間毎にセルを解体し、負極の予備充電容量を測定した。予備充電開始から予備充電容量が350mAh/gとなるまでにかかった時間を予備充電時間とした。予備充電時間が200時間未満の場合を「A」、200時間以上250時間未満の場合を「B」、250時間以上300時間未満の場合を「C」、300時間以上の場合を「D」と評価した。評価結果を表1に示す。
予備充電後のリチウムイオンキャパシタについて、10Aの定電流でリチウムイオンキャパシタのセル電圧が3.8Vになるまで充電した後、3.8Vの定電圧を印加して、定電流−定電圧による充電を30分間行った。次いで、10Aの定電流でセル電圧が2.2Vになるまで放電した。この放電におけるセルの静電容量と直流内部抵抗を測定した。測定には充放電装置(東洋システム社製、商品名:TOSCAT−3200)を用いた。静電容量は、算出開始及び終了時点の電圧と時間から求めた。具体的には、放電電流と放電時間との積算を、放電開始10秒後の電圧と放電開始310秒後の電圧との差分で除することにより求めた。また、直流内部抵抗は、放電開始1秒後及び2秒後の電圧より近似直線を求め、この近似直線の外挿により放電開始時の電圧降下分を求め、この電圧降下分と放電電流との除算により求めた。静電容量が900F以上の場合を「A」、875F以上900F未満の場合を「B」、850F以上875F未満の場合を「C」、850F未満の場合を「D」と評価した。また、直流内部抵抗が1.2mΩ未満の場合を「A」、1.2mΩ以上1.3mΩ未満の場合を「B」、1.3mΩ以上1.4mΩ未満の場合を「C」、1.4mΩ以上の場合を「D」と評価した。直流内部抵抗が低いほど、リチウムイオンキャパシタは出力特性に優れていることとなる。評価結果を表1に示す。
予備充電後のリチウムイオンキャパシタについて、80℃の恒温槽内において、5Aの定電流でリチウムイオンキャパシタのセル電圧が3.8Vになるまで充電した後、3.8Vの定電圧を印加して、定電流−定電圧による充電を1000時間行った。
フロート試験の前後においてリチウムイオンキャパシタの静電容量を測定した。試験前の静電容量をC1、試験後の静電容量をC2とし、容量維持率を下記式(A)により算出した。寿命として、容量維持率が80%以上の場合を「A」、75%以上80%未満の場合を「B」、70%以上75%未満の場合を「C」、70%未満の場合を「D」と評価した。評価結果を表1に示す。
容量維持率(%)=(C2/C1)×100 (A)
Claims (3)
- 正極板と、負極板と、電解液とを有するリチウムイオンキャパシタであって、
前記正極板が活物質として活性炭を含み、
前記負極板が、活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な非晶質炭素と、導電助剤としてカーボンブラックとを含み、
前記電解液が環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含み、
前記環状カーボネートが、エチレンカーボネートを含み、
前記電解液における前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートとの混合比が、体積比で20:80〜40:60である、リチウムイオンキャパシタ。 - 前記カーボンブラックが、アセチレンブラックとケッチェンブラックとを含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
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