JP2008037936A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕ゴム強化樹脂と、〔B〕ガラス転移温度が0〜75℃である共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂とを含有し、両者の含有量の合計を100質量%とした場合に、上記ゴム強化樹脂〔A〕の含有量が30〜95質量%であり、且つ、上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量が5〜70質量%である。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、アクリル酸エステル系ゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリウレタンを含有する、良流動・耐候・高衝撃性重合体組成物が開示されている。特許文献2には、熱可塑性ポリウレタンと、ジエン系共重合体の存在下で単量体をグラフト共重合した共重合体とを含有する樹脂組成物が開示されている。
上記の特許文献1及び2に示される、柔軟成形体を与える樹脂組成物は、耐候性及び成形加工時の耐熱安定性が十分でなく、耐候性及び耐熱安定性の改良された樹脂組成物が求められている。
1.〔A〕ゴム強化樹脂と、〔B〕ガラス転移温度が0〜75℃である共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂とを含有し、両者の含有量の合計を100質量%とした場合に、上記ゴム強化樹脂〔A〕の含有量が30〜95質量%であり、且つ、上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量が5〜70質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.ISO 178に準じて測定される曲げ弾性率が、900〜1,500MPaである上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.上記ゴム強化樹脂〔A〕が、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物、からなり、上記熱可塑性樹脂組成物中の上記ゴム質重合体(a)の含有量は、5〜40質量%である上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)が、ジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(A1−1)と、非ジエン系ゴム質重合体(a2)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られた非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(A1−2)とからなり、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)及び上記非ジエン系ゴム質重合体(a2)の含有量の合計を100質量%とした場合に、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が20〜80質量%であり、且つ、上記非ジエン系ゴム質重合体(a2)の含有量が20〜80質量%である上記3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.更に、〔C〕ポリカーボネート樹脂を含有し、該ポリカーボネート樹脂〔C〕の含有量が、上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量を100質量部とした場合に、0.1〜50質量部である上記1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.更に、〔D〕耐候性向上剤を含有し、該耐候性向上剤〔D〕の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕及び上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量の合計を100質量部とした場合に、0.01〜10質量部である上記1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.上記1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
8.車両部品用である上記7に記載の成形品。
上記ゴム強化樹脂〔A〕が、特定のゴム質重合体を用いてなるゴム強化ビニル系樹脂を含む場合には、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に柔軟性及び耐候性に優れる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂〔C〕を含有する場合には、上記ゴム強化樹脂〔A〕及び上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕との相溶性が向上し、更に、柔軟性、耐候性、耐衝撃性、及び、成形加工時の熱安定性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、柔軟性、耐候性及び耐衝撃性に優れるため、車両部品、特に外装用車両部品に好適である。
尚、本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕ゴム強化樹脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、〔B〕ガラス転移温度が0〜75℃である共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下、「成分〔B〕」ともいう。)とを含有し、両者の含有量の合計を100質量%とした場合に、上記ゴム強化樹脂〔A〕の含有量が30〜95質量%であり、且つ、上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量が5〜70質量%である。
この成分〔A〕は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)とよりなる混合物、からなるものである。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1オクテン−1、プロピルペンテン−1等が挙げられる。
また、上記非共役ジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン化合物;5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐連鎖の非環状ジエン化合物;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン等の脂環式ジエン化合物等が挙げられる。
また、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
このアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの化合物のうち、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。また、これらのアクリル酸アルキルエステルは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物。
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物。
尚、上記の組合せにおいて、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用割合は、これらの合計量を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは50〜97質量%及び3〜50質量%であり、より好ましくは55〜95質量%及び5〜45質量%である。
〔i〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体(b1)として上記(1)の単量体を用いて得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔ii〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体(b1)として上記(2)の単量体を用いて得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔iii〕ゴム質重合体(a)として非ジエン系ゴム質重合体(a2)の存在下に、ビニル系単量体(b1)として上記(1)の単量体を用いて得られた非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔iv〕ゴム質重合体(a)として非ジエン系ゴム質重合体(a2)の存在下に、ビニル系単量体(b1)として上記(2)の単量体を用いて得られた非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔v〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)及び非ジエン系ゴム質重合体(a2)の併存下に、ビニル系単量体(b1)として上記(1)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂。
〔vi〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)及び非ジエン系ゴム質重合体(a2)の併存下に、ビニル系単量体(b1)として上記(2)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)としては、上記の各態様について、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。また、上記の態様〔i〕〜〔vi〕のうちの2種以上を組み合わせてもよい。
(3)芳香族ビニル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上。
(4)(メタ)アクリル酸エステル化合物のみを重合して得られた(共)重合体の1種以上。
(5)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(6)芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(7)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物を重合して得られた共重合体の1種以上。
(8)芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物を除く他の化合物とを重合して得られた共重合体の1種以上。
これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、態様(5)及び(7)が好ましい。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を、好ましくは乳化重合、溶液重合、塊状重合することにより、製造することができる。
尚、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b1)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b1)を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を100質量部製造する場合、ゴム質重合体(a)の使用量は、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部である。また、ビニル系単量体(b1)の使用量は、好ましくは20〜95質量部、より好ましくは30〜90質量部、更に好ましくは40〜85質量部である。
尚、複数のゴム強化ビニル系樹脂(A1)を併用する場合には、各樹脂を製造した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂を各々含むラテックスを混合し、その後、凝固する等により、混合されたゴム強化ビニル系樹脂(A1)とすることができる。
溶液重合及び塊状重合によるゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造方法は、公知の方法を適用することができる。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)に溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
尚、上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
この成分〔B〕は、ポリブチレンテレフタレート骨格を有する共重合ポリエステルであり、ガラス転移温度は、0〜75℃である。このガラス転移温度の下限は、好ましくは0℃超えである。また、上限は、好ましくは70℃未満、より好ましくは65℃未満、更に好ましくは60℃未満である。このガラス転移温度が低すぎると、本発明の組成物を含む成形品の機械的強度及び耐熱性が十分ではなく、一方、高すぎると、柔軟性が劣る。尚、上記ガラス転移温度は、動的粘弾性測定法により得ることができる。
従って、上記成分〔B〕としては、実質的に、テレフタル酸及び/又はそのエステル誘導体からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを主成分とする2種以上のジオール混合物からなるジオール成分とからなる重縮合物、並びに、テレフタル酸及び/又はそのエステル誘導体を主成分とする2種以上のジカルボン酸混合物からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを主成分とする2種以上のジオールを含むジオール成分とからなる重縮合物が好ましい。
また、重縮合反応により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら、あるいは、水冷後、カッターで切断されてペレット状、チップ状等の粒状体とされる。
他の樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、上記成分〔B〕以外のポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリカーボネート樹脂(以下、「成分〔C〕」ともいう。)を含有する熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
この成分〔C〕は、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば、特に限定されない。
この成分〔C〕は、芳香族ポリカーボネートでよいし、脂肪族ポリカーボネートでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。本発明においては、耐衝撃性等の観点から、芳香族ポリカーボネートが好ましい。尚、このポリカーボネート樹脂は、末端が、R−CO−基、R’−O−CO−基(R及びR’は、いずれも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。
尚、上記成分〔C〕を2種以上用いる場合には、成分〔C〕全体としての粘度平均分子量が上記範囲に入るものであれば、上記範囲外にある、互いに異なる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
添加剤としては、耐候性向上剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、可塑剤、離型剤、滑剤、摺動剤、着色剤、充填剤、抗菌剤等が挙げられる。これらのうち、耐候性向上剤(以下、「成分〔D〕」ともいう。)を含有する熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体等が挙げられる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリエーテル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分〔A〕及び〔B〕の含有量の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜25質量部、更に好ましくは3〜25質量部である。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分〔A〕及び〔B〕の含有量の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
有機系難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤;リン酸エステル及びこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化スチレンの重合体、ハロゲン化エポキシ重合体、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、押出成形、共押出成形、シート押出成形、異形押出成形、発泡成形、真空成形、キャスト成形、ロール成形等の公知の成形法により、所定形状の成形品とすることができる。即ち、本発明の成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物を含む。本発明の成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物が、成形加工時の熱安定性に優れるので、表面外観性にも優れる。
本発明の成形品は、塗装、メッキ、スパッタリング、溶着等の二次加工を施して使用することができる。
下記の実施例及び比較例における、各評価項目の測定方法を以下に示す。尚、評価用試験片の作製方法は、下記の通りである。
原料成分を、40mmφ一軸スクリュータイプ押出機に供給して、シリンダー温度200℃の条件で押出し、ペレット(熱可塑性樹脂組成物)とした後、このペレットを、3.5オンスのスクリュータイプ射出成形機に供給して、シリンダー温度220℃の条件で、所定形状の試験片を作製した。
ISO 1133に準じて、メルトマスフローレート(MFR、温度;240℃、荷重;98N)を測定した。
(2)耐衝撃性
ISO 179に準じて、シャルピー衝撃強度を測定した。
(3)曲げ強さ及び曲げ弾性率
ISO 178に準じて、測定した。
(4)高速落錘試験
50mm×80mm×2.4mmの試験片4枚に対し、高速衝撃試験機「サーボパルサEHF−2H−20L」(島津製作所社製)を用い、温度23℃及び−30℃における、破壊エネルギー(試験片4枚の平均値)及び延性破壊割合(延性破壊した枚数/試験に供した枚数)を測定した。測定条件は、試験片受け台径30mmφ、打撃棒先端12.7mmR、打撃速度3.1m/sである。
80mm×55mm×2.5mmの試験片を、「サンシャインウェザーオメーター」(スガ試験機社製)に静置し、降雨サイクル18分/120分、ブラックパネル温度63℃として、500時間及び1000時間暴露し、それぞれ、暴露前後の色調変化値ΔEを算出した。
ΔEは、「多光源分光測定計」(スガ試験機社製)を用いて、変色度Lab(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)を測定し、次式により算出した。
ΔE=√〔(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2〕
(式中、L1、a1、b1は、暴露前の値を、L2、a2、b2は暴露後の値を示す。)
ΔEの値が小さいほど、色の変化が小さく、色調が優れていることを示す。
(6)成形加工時の熱安定性
熱可塑性樹脂組成物を、260℃に設定した射出成形機内に滞留させた後、試験片(50mm×80mm×2.4mm)を成形し、外観性を目視評価した。変色又は発泡等が見られるものを「×」、部分的に見られるものを「△」、及び、全く見られないものを「○」と判定した。
熱可塑性樹脂組成物の調製に用いた原料成分を以下に示す。
2−1.成分〔A〕
(1)ゴム強化ビニル系樹脂(A−1)
体積平均粒子径290nmのポリブタジエンの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であり、ポリブタジエン/スチレン/アクリロニトリル=60/29/11(%)であり、グラフト率が60%であり、アセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.45dl/gである。
(2)ゴム強化ビニル系樹脂(A−2)
トルエン溶媒中、エチレン・プロピレン系ゴム(商品名「EP84」、JSR社製)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを溶液重合して得られた共重合樹脂であり、エチレン・プロピレン系ゴム/スチレン/アクリロニトリル=30/46/24(%)であり、グラフト率が55%であり、アセトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.5dl/gである。
(3)ゴム強化ビニル系樹脂(A−3)
体積平均粒子径100nmのアクリル系ゴム(アクリル酸n−ブチル99部及びメタクリル酸アリル1部の乳化重合品)の存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られた共重合樹脂であり、アクリル系ゴム/スチレン/アクリロニトリル=50/37/13(%)であり、グラフト率が60%であり、アセトニトリル可溶分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.46dl/gである。
(4)アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−4)
スチレン/アクリロニトリル=76/24(%)であり、極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.5dl/gである。
(1)共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(B−1)
「ノバデュラン5510S」(三菱エンジニアリングプラスチック社製)を用いた。ガラス転移温度は、20℃である。
(2)非共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(B−2)
「ノバデュラン5008F」(三菱エンジニアリングプラスチック社製)を用いた。ガラス転移温度は、79℃である。
ポリカーボネート樹脂(商品名「ノバレックス7022A」、三菱エンジニアリングプラスチック社製)を用いた。粘度平均分子量は、23,000である。
(1)2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(D−1)
チバスペシャルティ・ケミカルズ社製「TINUVIN P」(商品名)を用いた。
(2)テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(D−2)
チバスペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGANOX 1010」(商品名)を用いた。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(商品名「ミラクトランE195」、日本ミラクトラン社製)を用いた。
上記成分〔A〕〜〔E〕を用いてなるペレットを作製し、各種評価を行った。その結果を表1〜表3に併記した。
実施例1〜4及び比較例1〜2は、成分〔A〕が、ジエン系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂を含有する例である。比較例1は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外の、少ない例であり、曲げ弾性率が大きすぎた。また、比較例2は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外の、多い例であり、曲げ弾性率が小さく、シャルピー衝撃強度も低かった。一方、実施例1〜4は、曲げ強さが30〜45MPa、曲げ弾性率が700〜1295MPaであり、シャルピー衝撃強度が46〜60J/mであり、柔軟性及び耐衝撃性に優れており、耐候性、及び、成形加工時の熱安定性にも優れていた。
実施例5〜9及び比較例3〜6は、成分〔A〕が、非ジエン系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂を含有する例である。比較例3は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外の、少ない例であり、曲げ弾性率が大きすぎた。比較例4は、成分〔B〕の含有量が、本発明の範囲外の、多い例であり、曲げ弾性率が小さく、シャルピー衝撃強度も低かった。また、比較例5は、ガラス転移温度が高すぎる成分〔B〕を含有する例であり、柔軟性、及び、衝撃による延性破壊性に劣っていた。更に、比較例6は、成分〔B〕に代えて、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いた例であり、耐候性、及び、成形加工時の熱安定性に劣っていた。一方、実施例5〜9は、曲げ強さが35〜50MPa、曲げ弾性率が800〜1350MPaであり、シャルピー衝撃強度が52〜64J/mであり、柔軟性及び耐衝撃性に優れており、耐候性、及び、成形加工時の熱安定性にも優れていた。特に、耐候性については、実施例1〜4よりも格段に優れていた。
また、実施例10及び11は、成分〔A〕が、アクリル系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂を含有する例、実施例12〜15は、成分〔A〕が、ジエン系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂と、非ジエン系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂とを含有する例、更に、実施例16は、ジエン系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂と、アクリル系ゴム質重合体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂とを含有する例であり、いずれも、柔軟性、耐候性、耐衝撃性、及び、成形加工時の熱安定性に優れていた。
Claims (8)
- 〔A〕ゴム強化樹脂と、〔B〕ガラス転移温度が0〜75℃である共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂とを含有し、両者の含有量の合計を100質量%とした場合に、上記ゴム強化樹脂〔A〕の含有量が30〜95質量%であり、且つ、上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量が5〜70質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- ISO 178に準じて測定される曲げ弾性率が、900〜1,500MPaである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記ゴム強化樹脂〔A〕が、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物、からなり、上記熱可塑性樹脂組成物中の上記ゴム質重合体(a)の含有量は、5〜40質量%である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)が、ジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(A1−1)と、非ジエン系ゴム質重合体(a2)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られた非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(A1−2)とからなり、
上記ジエン系ゴム質重合体(a1)及び上記非ジエン系ゴム質重合体(a2)の含有量の合計を100質量%とした場合に、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が20〜80質量%であり、且つ、上記非ジエン系ゴム質重合体(a2)の含有量が20〜80質量%である請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 更に、〔C〕ポリカーボネート樹脂を含有し、該ポリカーボネート樹脂〔C〕の含有量が、上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量を100質量部とした場合に、0.1〜50質量部である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、〔D〕耐候性向上剤を含有し、該耐候性向上剤〔D〕の含有量が、上記ゴム強化樹脂〔A〕及び上記共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂〔B〕の含有量の合計を100質量部とした場合に、0.01〜10質量部である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
- 車両部品用である請求項7に記載の成形品。
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