JP2008037520A - エレベータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エレベータ制御装置に組込まれている救出運転装置の蓄電器の寿命を正確に評価する。
【解決手段】商用電源1から供給された電力をエレベータのかご8を移動させる電動機9に供給する主制御装置22と、商用電源の停電発生時に蓄電器15に蓄積された電力を電動機6に供給してエレベータに対して閉込め客に対する救出運転を行う救出運転装置13aとを有するエレベータ制御装置において、商用電源1の通常電力供給状態において、電動機に対する制御を商用電源を用いた主制御装置から蓄電器を用いた救出運転装置に一時的に変更して、救出運転装置に、救出運転を力行側運転で実施させ、救出運転期間中における電圧低下特性を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレベータシステムにおいて駆動電力を供給する電源に停電が発生した場合に、エレベータに対して閉じ込め客に対する救出運転を行う救出運転装置を付加したエレベ一タ制御装置に関する。
図6に、停電発生時にエレベータに対して、閉じ込め客に対する救出運転を行う救出運転装置が組込まれたエレベータシステムのエレベータ制御装置の概略構成を示す。
商用電源1から供給される例えば三相の交流電力は、接点2を介して、主制御装置3内の電力変換装置としての主インバータ装置4で電力変換されて、接点5を介して、電動機6に供給される。この電動機6の回転軸に取付けられたシーブ7に、一端にかご8が取付けられ、他端に釣合錘9が取付けられたロープ10が掛けられている。
主制御装置3内の通常時運転制御部11は、各階のエレベータホールに設けられた乗場呼び登録装置におけるボタン操作で登録された乗場呼びの指定する階へエレベータのかご8が移動するように、主インバータ装置4を制御する。
さらに、商用電源1の電動機6に対する電力供給路12a、12bには、主制御装置3に対して並列に救出運転装置13が接続されている。この救出運転装置13内には、商用電源1の通常電力供給状態において、この商用電源1から、電力供給路12a、閉成状態の接点2を介して供給される交流電力が充電器14で直流電力に変換されて蓄電器15に蓄電される。さらに、この救出運転装置13内には、停電時運転制御部16、インバータ装置17、各接点18、19、20が組込まれている。
主制御装置3内には、商用電源1から供給される電力を監視する停電検出回路21が設けられており、商用電源1から電力が正常に供給されている状態においては、電力供給路12a、12bに介挿されている各接点2、5を閉成し、救出運転装置13内の接点19を開放する。この状態においては、接点19が開放されており、停電時運転制御部16は起動しないので、各接点18、20は開放状態である。しかし、前述したように、蓄電器15は充電器14にて蓄電動作状態を維持する。
また、この状態では、商用電源1から供給される交流電力は、接点2を介して、主制御装置3内の通常時運転制御部11で制御される主インバータ装置4で電力変換されて、接点5を介して、電動機6に供給される。このように商用電源1の通常電力供給状態においては、エレベータのかご8は主制御装置3内の通常時運転制御部11で通常運転制御される。
商用電源1に停電が発生すると、主制御装置3内の停電検出回路21がその停電を検出して、電力供給路12a、12bに介挿されている各接点2、5を開放し、救出運転装置13内の接点19を閉成する。この状態においては、接点19が閉成するので、停電時運転制御部16には、蓄電器15から駆動電圧が供給される。その結果、停電時運転制御部16が起動して、各接点18、20を閉成する。したがって、蓄電器15に蓄電されている直流電力は接点18を経てインバータ装置17で交流電力に変換されて、接点20を経て、電動機6に供給される。
停電時運転制御部16はインバータ装置17を制御することにより、エレベータに対して閉込め客に対する救出運転を実施する。具体的には、階と階との中間に停止状態のエレベータのかご8を上下いずれかの最寄り階に移動して、ドアを開いて、かご8に閉じ込められた乗客をエレベータホールに待避させる。
このようなエレベータ制御装置において、停電時に起動する救出運転装置13では、通常、蓄電器15として、二次電池である蓄電池を採用している。しかし、蓄電池には寿命があり、その寿命も一定していない。したがって、通常は定期的に実施されるエレベータ保守点検作業において蓄電器15の交換等の保守点検を実施している。
また、特許文献1には、停電発生等の非常時救出運転装置に組込まれた蓄電池の出力電圧を、この非常時救出運転装置を実際に動作させない、無負荷状態で検出して、出力電圧が予め定められた基準電圧の許容範囲であるか否かを判定し、許容範囲外の場合は警告を出力する技術が開示されている。
特開平5−78052号公報
しかしながら上述した各手法においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
すなわち、保守員が一定地域内に設置されている各エレベータに対する定期的に実施される保守点検作業で劣化した蓄電器を交換する手法においては、定期的な保守点検が実施されていなかったり、蓄電器の周囲が高温多湿等の環境悪化による劣化が激しく交換前に寿命尽きた蓄電器の場合、いざ停電が発生した場合に、電力が供給されずエレベータの救出運転が出来なくなる不具合事例も散見されている。
また、非常時救出運転装置に組込まれた蓄電池の出力電圧を無負荷状態で検出する手法においては、蓄電池の寿命の評価基準となる物理量を、電圧(V)×電流(I)×時間(H)の電力量(WH)の低下とすると、電圧(V)のみで蓄電池の寿命を評価することになり、正確な寿命予測が得られない。
より具体的には、劣化の進んだ負荷を接続していない蓄電池の出力電圧は、新品の蓄電池の出力電圧とほぼ同じレベルを有しているが、負荷を接続すると、急激に低下する。これに対して新品の蓄電池の出力電圧は、負荷を接続しても、劣化の進んだ蓄電池の出力電圧ほど、低下しない。
また、近年、商用電源の停電発生率が低下し、その結果、エレベータ制御装置に組込まれている救出運転装置13の実働率が大幅に低下している。したがって、この救出運転装置13を駆動させるときに必要となる各接点2、5、20等の機械的動作部品が腐食、錆付等に起因して、正常に作動しなくなっており、実際の停電発生時になって初めて、その動作不良に気づく懸念がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エレベータに対する保守員の保守点検の作業効率を向上でき、救出運転装置の蓄電器の寿命を確実に推測でき、停電発生時に閉込め客に対する救出運転を確実に実施でき、かつエレベータ利用客に対する安全性をより一層向上できるエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、商用電源から供給された電力を電力変換装置で電力変換してエレベータを移動する電動機に供給する主制御装置と、商用電源の停電発生時に蓄電器に蓄積された電力を電動機に供給してエレベータに対して閉込め客に対する救出運転を行う救出運転装置とを有するエレベータ制御装置において、
商用電源の通常電力供給状態において、電動機に対する制御を商用電源を用いた主制御装置から蓄電器を用いた救出運転装置に一時的に変更する制御切換手段と、制御切換手段にて電動機に一時的に接続された救出運転装置に、救出運転を力行側運転で実施させる救出試験運転手段と、この救出運転期間中における前記蓄電器の電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段で検出された救出運転期間中における電圧低下特性を記憶する電圧特性記憶手段とを備えている。
このように構成されたエレベータ制御装置においては、例えば夜間等のエレベータ利用客が少ない時間帯で、かつ商用電源が停電時でなく通常電力供給状態において、蓄電器を用いた救出運転装置を電動機に切換接続している。この状態で、救出運転装置でエレベータに対して、例えば、停電で停止しているエレベータを最寄り階へ移動させる「救出運転」を実際に実行させている。
そして、救出運転期間中における電圧低下特性を求めている。この電圧低下特性は、蓄電器に実際に負荷(電動機)が接続された状態の特性である。したがって、得られた蓄電器の電圧低下特性の信頼性が向上する。
また、別の発明においては、上記発明のエレベータ制御装置に対して、さらに、電圧特性記憶手段に記憶された電圧低下特性に基づいて前記蓄電器の寿命を予測する寿命予測手段と、電圧特性記憶手段に記憶された電圧低下特性及び前記予測された寿命を外部のエレベータ保守センターへ送信する送信手段とを備えている。
このように構成されたエレベータ制御装置においては、さきに算出された電圧低下特性から寿命が予測され、この寿命及び電圧低下特性はエレベータ保守センターへ送信されるので、エレベータ保守センターにて、遠隔監視できる。
また、別の発明は、上記発明のエレベータ制御装置に対して、さらに、停電発生時に救出運転装置が行う救出運転の電力消費に関する複数の救出運転パターンを記憶する救出運転パターン記憶手段と、電圧特性記憶手段に記憶された電圧低下特性に基づいて前記複数の救出運転パターンから一つの救出運転パターンを選択する救出運転パターン選択手段と、記停電発生時に、前記救出運転装置に、前記選択された救出運転パターンの救出運転を実行させる最適救出運転実行手段とを備えている。
そして、複数の救出運転パターンは、基準救出運転パターンの他に、この基準運転パターンに対して、加速度を下げる、速度を下げる、走行距離に対して制限を設ける、力行側運転は実行しない、の各救出運転パターンを含む。
このように、救出運転装置の蓄電器の残り寿命に応じて、実際に停電発生時に実施される救出運転が最良のパターンで実施されるので、蓄電器の使用可能時間を延ばすことが可能となる。
さらに、別の発明は、上記発明のエレベータ制御装置に対して、さらに、商用電源の通常電力供給状態時における商用電源から電力変換装置を経由して電動機への主電力供給路を、停電発生時に救出運転装置から電動機へ向かう停電電力供給路に切換えるために、主電力供給路に介挿された複数の接点と、商用電源の通常電力供給状態において、複数の接点を切換制御して、救出運転装置に、蓄電器に蓄積された電力に代えて、商用電源から供給される電力を用いて試験救出運転を実施させる接点動作確認手段とを備えている。
このように構成されたエレベータ制御装置においては、例えば夜間等のエレベータ利用客が少ない時間帯で、かつ商用電源が停電時でなく通常電力供給状態において、例えば、1ヶ月に1回程度、たとえば、一定周期で、救出運転装置に、蓄電器に蓄積された電力に代えて、商用電源から供給される電力を用いて試験救出運転を実施させることにより、他の部材に比較して劣化が激しい蓄電器を採用せずに、救出運転装置を試験稼働しているので、エレベータ制御装置自体の信頼性を向上できる。
本発明においては、エレベータに対する保守員の保守点検の作業効率を向上でき、救出運転装置の蓄電器の寿命を確実に推測でき、停電発生時に閉込め客に対する救出運転を確実に実施でき、かつエレベータ利用客に対する安全性をより一層向上できる。
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図であり、図6に示す従来のエレベータ制御装置と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略する。
この第1実施形態のエレベータ制御装置においては、商用電源1から供給される例えば三相の交流電力は、電力供給路12a、接点2を介して、主制御装置22内の電力変換装置としての主インバータ装置4に入力される。なお、電力供給路12a、12bに介挿されている各接点2、5は通常状態においては閉成(ノーマリー・クローズ)されている。
主インバータ装置4は、入力された三相交流を内部に組込まれている整流器で一旦直流に変換して、この直流を同じく内部に組込まれているインバータで通常時運転制御部11から印加されるPDM変調信号(パルス幅変調信号)で指定される周波数及び振幅(電圧レベル)を有した三相交流に変換して、接点5、電力供給路12bを介して、三相交流誘導型の電動機6に供給する。
この電動機6の回転軸に取付けられたシーブ7に、一端にかご8が取付けられ、他端に釣合錘り9が取付けられたロープ10が掛けられている。三相交流誘導型の電動機6は力行運転と回生運転が可能である。力行運転は、外部から供給された電力で回転し、かご8を上下移動させる。一方、回生運転は、かご8、又は釣合錘り9の重力で回転し、回生電力が主インバータ装置4側へ逆流することを示す。
より具体的には、かご8に定員の半数の客が乗車した状態で、重量バランスが均衡するように釣合錘9の重量が設定されている。したがって、乗客が半数以下の場合は、かご8が下降している時に力行運転となり、かご8が上昇している時に回生運転となる。逆に、乗客が半数以上の場合は、かご8が上昇している時に力行運転となり、かご8が下降している時に回生運転となる。
主制御装置22内には、上述した主インバータ装置4、通常時運転制御部11の他に、従来のエレベータ制御装置に設けられた停電検出回路21が設けられている。さらに、主制御装置22内には、電源回路23、試験運転指示部24、主回路切離・救出運転起動部25、電圧特性測定部26、特性記憶部27、電圧特性及び予測寿命を保守センター28へ送信する特性送信部29が設けられている。
電源回路23は商用電源1からの電力を受けて、主制御装置22内の各部へ駆動電源を供給する。この電源回路23は蓄電機能を有しており、商用電源1に停電が発生しても、数時間は主制御装置22内の各部へ駆動電源を供給し続ける。
さらに、商用電源1から電動機6への電力供給路12a、12bに対して主制御装置22と並列接続されている救出運転装置13a内では、商用電源1の通常電力供給状態において、この商用電源1から、電力供給路12a、閉成状態の接点2を介して供給される交流電力が充電器14で直流電力に変換されて蓄電器15に蓄電される。さらに、この救出運転装置13a内には、停電時運転制御部16、インバータ装置17、各接点18、19、20が組込まれている。この各接点18、19、20はこの救出運転装置13aが稼働していない期間においては開放(ノーマリー・オープン)されている。
さらに、救出運転装置13a内には、蓄電器15の電圧Vを検出する電圧検出器30が組込まれている。電圧検出器30で検出された蓄電器15の電圧Vは、主制御装置22内の電圧特性測定部26へ入力される。
このようなエレベータ制御装置において、商用電源1から電力が正常に供給されている状態においては、商用電源1から供給される交流電力は、電力供給路12a、接点2を介して、主制御装置22内の通常時運転制御部11で制御される主インバータ装置4で電力変換されて、接点5、電力供給路12bを介して、電動機6に供給される。
商用電源1に停電が発生すると、主制御装置22内の停電検出回路21がその停電を検出して、電力供給路12a、12bに介挿されている各接点2、5を開放し、救出運転装置13a内の接点19を閉成する。この状態においては、接点19が閉成するので、停電時運転制御部16には、蓄電器15から駆動電圧が供給される。
その結果、停電時運転制御部16が起動して、各接点18、20を閉成する。したがって、蓄電器15に蓄電されている直流電力は接点18を経てインバータ装置17内に組込まれたインバータで交流電力に変換されて、接点20を経て、電動機6に供給される。停電時運転制御部16はインバータ装置17をPWM変調信号で制御することにより、エレベータに対して予め設定されている「基準救出運転パターン」に従った閉込め客に対する救出運転を実施する。具体的には、階と階との中間に停止状態のエレベータのかご8を最寄り階(上方又は下方のいずれか近い方の階)に移動して、ドアを開いて、かご8に閉じ込められた乗客をエレベータホールに待避させる。
主制御装置22内に設けられた主回路切離・救出運転起動部25は、例えば、予めプログラム設定された月1回の、夜間等のエレベータの利用客がいない時間帯であって、かつ停電検出回路21が商用電源1の停電を検出してない期間に、電動機6に対する制御を主制御装置22から救出運転装置13aに切換える。具体的には、電力供給路12a、12bの各接点2、5を開放し、救出運転装置13aの接点19を閉じる。さらに、試験指示部24へ切換通知を行う。その結果、停電時運転制御部16には、蓄電器15から駆動電圧が供給され起動する。
一方、試験指示部24は起動された停電時運転制御部16に対して、試験運転指示を出力する。具体的には、停電時運転制御部16に予め設定されている前述した「基準救出運転パターン」を、力行側運転で実行する指示を出力する。
停電時運転制御部16は、停電発生時と同様に、各接点18、20を閉成する。したがって、蓄電器15に蓄電されている直流電力は接点18を経てインバータ装置17内に組込まれたインバータで交流電力に変換されて、接点20を経て、電動機6に供給される。停電時運転制御部16はインバータをPWM変調信号で制御することにより、エレベータに対して予め設定されている「基準救出運転パターン」の救出運転を、試験指示部24が指示した力行側運転で実行する。
具体的には、夜間で乗客のいない無人の基準階に待機しているかご8を、この基準階の下方に位置する隣接階へ移動させて、ドアを開く。したがって、電動機6は、かご8を基準階から下方の隣接階へ下降させる時に力行運転となる。このように、救出運転を力行側運転で実行することにより、この力行運転を実行するための電力は救出運転装置13aの蓄電器15から供給される。
この試験的な救出運転が終了すると、停電時運転制御部16は、各接点18、20を開放する。その後、主回路切離・救出運転起動部25は、接点19を開放し、停電時運転制御部16を停止し、各電力供給路12a、12bの接点2、5を閉成する。その結果、商用電源1から電力供給路12a、主インバータ装置4、電力供給路12bを介して電動機6に電力が供給される。
この救出運転装置13aが力行側運転による救出運転期間TS中における蓄電器15の電圧Vは電圧検出器30で検出されて、主制御装置22内の電圧特性測定部26へ入力される。電圧特性測定部26は、図2に示すように、力行運転における救出運転の開始時刻tS(V=VS)から終了時刻tE(V=VQ)までの救出運転期間TSにおける、蓄電器15の現在時点における電圧低下特性31を測定する。さらに、この電圧低下特性31から蓄電器15の現在時点における電圧低下率Bを算出する。
電圧低下率B=(VS―VQ)/TS
電圧Vが電動機6を駆動する下限電圧VLに低下するまでの猶予時間TBが救出運転期間TSまで低下すると、この蓄電器15は寿命が尽きたと見なせる。
図2に、この蓄電器15の新品時の電圧低下特性32、新品時の電圧低下率A、新品時の猶予時間TAを示す。なお、救出運転の開始時刻tSにおける電圧V(=VS)は、前述したように、新品時と現在時点とはほぼ同一である。終了時刻tE(V=VR)とする。
新品時の電圧低下率A=(VS―VR)/TS
したがって、蓄電器15の現在時点における残り寿命は、現在時点の猶予時間TBの新品時の猶予時間TAに対する割合として求めることが可能である。
電圧特性測定部26は、測定した蓄電器15の現在時点の電圧低下特性31、及び算出した寿命を特性記憶部27へ書込む。特性送信部29は、特性記憶部27に記憶されている蓄電器15の現在時点の電圧低下特性31及び寿命を、例えば通信回線で接続された保守センター28へ送信する。
このように構成された第1実施形態のエレベータ制御装置においては、主回路切離・救出運転起動部25が、各接点2、5を開放して、例えば夜間等のエレベータ利用客が少ない時間帯で、かつ商用電源1が停電時でなく通常電力供給状態において、蓄電器15を用いた救出運転装置13aを電動機6に切換接続している。
この状態で、救出運転装置13aの停電時運転制御部16が、エレベータに対して、例えば、当該エレベータが停電で停止していると仮定して、エレベータを最寄り階へ移動させる力行運転側の「救出運転」を実際に実行させている。
そして、図2に示すように、救出運転期間TS中における電圧低下特性31を求めている。この電圧低下特性31は、蓄電器15から実際に電動機6に電力が供給されている状態の特性である。したがって、電圧特性測定部26で得られた蓄電器15の電圧低下特性31の信頼性が向上する。さらに、電圧低下特性31から寿命が予測され、この寿命及び電圧低下特性は保守センター28へ送信されるので、エレベータ保守センター28のオペレータは各エレベータの設置位置に実際に行くことなく、遠隔監視できる。
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態に係わるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図であり、図1に示す第1実施形態のエレベータ制御装置と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略する。
この第2実施形態のエレベータ制御装置においては、主制御装置22a内に、前述した電圧特性測定部26に加えて、救出運転パターンメモリ33、実行パターン判定部34、救出運転パターン送信部35が設けられている。その他の構成は、図1に示す第1実施形態のエレベータ制御装置とほぼ同じであるので、説明を省略する。
救出運転パターンメモリ33内には、実際の停電発生時に救出運転装置13aの停電時運転制御部16aが実際に行う救出運転の図4(a)、(b)、(c)に示す5つの救出運転パターンが記憶されている。5つの救出運転パターンとは、第1実施形態の停電時運転制御部16に設定されていた図4(a)、(b)、(c)で実線で示す基準救出運転パターン36と、この基準救出運転パターン36に対して、図4(a)に波線で示す加速度を下げる救出運転パターン37、図4(a)に波線で示す速度を下げる救出運転パターン38、図4(b)に波線で示す走行距離に対して制限を設ける救出運転パターン39、及び図4(c)に波線で示す力行側運転は実行しない救出運転パターン40である。
基準救出運転パターン36は、停電発生時に最も短時間で救出運転を終了させる運転パターンであり、最寄り階が力行運転側に位置する場合は消費電力が最も大きい。したがって、この基準救出運転パターン36は、蓄電器15が正常状態の場合に採用される。
走行距離に対して制限を設ける救出運転パターン39とは、仮に、基準救出運転パターン36にエレベータの移動先が最寄り階でなくて特定階の場合は、移動先を特定階より近い最寄り階とする救出運転パターンである。
力行側運転は実行しない救出運転パターン40を説明する。前述したように、基準救出運転パターン36においては、図4(c)に示すように、最寄り階が力行運転側に位置する場合は消費電力が最も大きい。これに対して、この力行側運転は実行しない、すなわち回生運転の救出運転パターン40においては、回生運転側に位置する最寄り階へ移動させる。したがって、最寄り階が回生運転側に位置する場合は、基準救出運転パターン36と一致する。回生運転の場合は、蓄電器15から電動機6に対する電力供給はない。
加速度低下救出運転パターン37、及び速度低下救出運転パターン38においても、図4(c)に示すように、救出運転の所要時間は長くなるが、瞬時の電流値を低下できる。
このように、各救出運転パターン37、38、39、40においては、基準救出運転パターン36に比較して、消費電力を抑制できる。
電圧特性測定部26は、前述したように、現在時点における蓄電器15の図2に示す電圧低下特性31、及び寿命を算出して、実行パターン判定部34へ送出する。実行パターン判定部34は、現在時点における蓄電器15の電圧低下特性31及び寿命に基づいて、救出運転パターンメモリ33に記憶されている5つの救出運転パターン36、37、38、39、40から最適の1つの救出運転パターンを判定して救出運転パターン送信部35へ知らせる。
具体的には、実行パターン判定部34は、電圧低下特性31及び寿命が新品の蓄積器の電圧低下特性31及び寿命に近似している場合には、基準救出運転パターン36を選択する。電圧低下特性31及び寿命が新品の蓄積器の電圧低下特性31及び寿命に比較して低下(劣化)している場合は、その低下(劣化)の程度に応じて選択する。最も低下(劣化)が進んでいる場合は、力行側運転は実行しない回生運転の救出運転パターン40を選択する。さらに、中間の劣化の場合、劣化の大きい順に、距離救出運転パターン39、加速度低下救出運転パターン37、速度低下救出運転パターン38をそれぞれ選択する。
救出運転パターン送信部35は、選択された救出運転パターンを救出運転装置13aの停電時運転制御部16aへ設定する。停電時運転制御部16aは、商用電源1に実際に停電が生じた時に、エレベータに対して、救出運転パターン送信部35にて設定された救出運転パターンの救出運転を実行する。
このように構成された第2実施形態のエレベータ制御装置においては、救出運転パターンメモリ33には、基準救出運転パターン36の他に、この基準運転パターン36に対して、加速度を下げる、速度を下げる、走行距離に対して制限を設ける、力行側運転は実行しない、の各救出運転パターン37〜40が記憶されている。したがって、救出運転装置13aの蓄電器15の残り寿命に応じて、実際に停電発生時に実施される救出運転が最良のパターンで実施されるので、蓄電器15の使用可能時間を延ばすことができ、エレベータ制御装置のメンテナンス費用を節減できる。
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態に係わるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図であり、図1に示す第1実施形態のエレベータ制御装置と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略する。
この第3実施形態に係わるエレベータ制御装置においては、主制御装置22b内には、接点確認部41が設けられており、救出運転装置13b内において、商用電源1の電源供給路12aに介挿された接点2とインバータ装置17の接点18側との間に、接点42と整流器43の直列回路が介挿されている。
接点42は、通常状態では開放(ノーマリーオープン)されており、主制御装置22bの接点確認部41が、商用電源1の電源供給路12bに介挿された接点5、救出運転装置13b内の接点20の動作確認を実施する場合に、接点確認部41の指示に応じて閉成される。
主制御装置22bの接点確認部41は、主回路器切離・救出運転運起動部25と同様に、例えば、予めプログラム設定された月1回の、夜間等のエレベータの利用客がいない時間帯であって、かつ停電検出回路21が商用電源1の停電を検出してない期間に、電動機6に対する制御を主制御装置22から救出運転装置13bに切換える。具体的には、電力供給路12bの各接点5を開放し、救出運転装置13aの接点42、19を閉じる。さらに、試験指示部24へ切換通知を行う。その結果、停電時運転制御部16aには、蓄電器15から駆動電圧が供給され起動する。
一方、試験指示部24は起動された停電時運転制御部16aに対して、試験運転指示を出力する。具体的には、停電時運転制御部16aに予め設定されている前述した「基準救出運転パターン」を実行する指示を出力する。
停電時運転制御部16aは、接点確認部41に起因して起動された場合は、接点20を閉成するが、接点18を開放状態に維持する。この状態においては、インバータ装置17には、蓄電器15からの直流電力は供給されない。しかし、商用電源1から出力され、接点2、42を経て整流器43で整流された直流電力がインバータ装置17に印加される。
したがって、商用電源1から出力された交流電力は救出運転装置13bの整流器43、インバータ装置17内に組込まれたインバータで交流電力に変換されて、接点20を経て、電動機6に供給される。停電時運転制御部16aはインバータ装置17をPWM変調信号で制御することにより、エレベータに対して予め設定されている「基準救出運転パターン」に従った閉込め客に対する救出運転を実施する。
その他の動作は、図1に示す第1実施形態のエレベータ制御装置と同じであるので、説明を省略する。
このような構成の第3実施形態のエレベータ制御装置においては、前述した、第1、第2実施形態と同様に、例えば夜間等のエレベータ利用客が少ない時間帯で、例えば、1ヶ月に1回程度、救出運転装置13bに対して、自己救出運転装置13bに組込まれた蓄電器15に蓄積された電力に代えて、商用電源1から供給される電力を用いて、エレベータに対して、試験救出運転を実施させている。
このように、他の部材に比較して劣化が激しい蓄電器15の電力を採用せずに、救出運転装置を試験稼働しているので、試験稼働に起因する蓄電器15の劣化をおこすことなく、エレベータ制御装置自体の信頼性を向上できる。なお、蓄電器15の劣化確認は、第1、第2実施形態と同様な手法で実施している。
さらに、機械的な各接点5、20を定期的に開閉動作させているので、各接点の機械的動作部品が腐食、錆付等に起因して動作不良になると、実際の停電発生前に対策を講じることができる。その結果、エレベータ制御装置自体の信頼性をさらに向上できる。
本発明の第1実施形態に係わるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図 同実施形態エレベータ制御装置の電圧測定部測定された電圧低下特性を示す図 本発明の第2実施形態に係わるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図 同実施形態エレベータ制御装置の救出運転パターンメモリに記憶された救出運転パターンを示す図 本発明の第3実施形態に係わるエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図 従来のエレベータ制御装置の概略構成を示すブロック図
符号の説明
1…商用電源、2,5,18,19,20,42…接点、4…主インバータ装置、6…電動機、8…かご、9…釣合錘、11…通常時運転制御部、12a,12b…電力供給路、13,13a,13b…救出運転装置、41…充電器、15…蓄電器、16,16a…停電時運転制御部、17…インバータ装置、21…停電検出回路、22,22a,22b…主制御装置、24…試験運転指示部、25…主回路切離・救出運転起動部、26…電圧特性測定部、27…特性記憶部、28…保守センター、29…特性送信部、30…電圧検出器、31…電圧低下特性、33…救出運転パターンメモリ、35…救出運転パターン送信部

Claims (5)

  1. 商用電源から供給された電力を電力変換装置で電力変換してエレベータを移動する電動機に供給する主制御装置と、前記商用電源の停電発生時に蓄電器に蓄積された電力を前記電動機に供給して前記エレベータに対して閉込め客に対する救出運転を行う救出運転装置とを有するエレベータ制御装置において、
    前記商用電源の通常電力供給状態において、前記電動機に対する制御を商用電源を用いた前記主制御装置から前記蓄電器を用いた前記救出運転装置に一時的に変更する制御切換手段と、
    この制御切換手段にて前記電動機に一時的に接続された救出運転装置に、前記救出運転を力行側運転で実施させる救出試験運転手段と、
    この救出運転期間中における前記蓄電器の電圧を検出する電圧検出手段と、
    この電圧検出手段で検出された救出運転期間中における電圧低下特性を記憶する電圧特性記憶手段と
    を備えたことを特徴とするエレベータ制御装置。
  2. 前記電圧特性記憶手段に記憶された電圧低下特性に基づいて前記蓄電器の寿命を予測する寿命予測手段と、
    前記電圧特性記憶手段に記憶された電圧低下特性及び前記予測された寿命を外部のエレベータ保守センターへ送信する送信手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。
  3. 前記停電発生時に前記救出運転装置が行う救出運転の電力消費に関する複数の救出運転パターンを記憶する救出運転パターン記憶手段と、
    前記電圧特性記憶手段に記憶された電圧低下特性に基づいて前記複数の救出運転パターンから一つの救出運転パターンを選択する救出運転パターン選択手段と、
    前記停電発生時に、前記救出運転装置に、前記選択された救出運転パターンの救出運転を実行させる最適救出運転実行手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータ制御装置。
  4. 前記複数の救出運転パターンは、基準救出運転パターンの他に、この基準運転パターンに対して、加速度を下げる、速度を下げる、走行距離に対して制限を設ける、力行側運転は実行しない、の各救出運転パターンを含むことを特徴とする請求項3記載のエレベータ制御装置。
  5. 前記商用電源の通常電力供給状態時における前記商用電源から前記電力変換装置を経由して前記電動機への主電力供給路を、停電発生時に前記救出運転装置から前記電動機へ向かう停電電力供給路に切換えるために、前記主電力供給路に介挿された複数の接点と、
    前記商用電源の通常電力供給状態において、前記複数の接点を切換制御して、前記救出運転装置に、前記蓄電器に蓄積された電力に代えて、前記商用電源から供給される電力を用いて試験救出運転を実施させる接点動作確認手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。
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