以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本発明の遠隔監視システムに用いる監視装置を明確にするため、最初に、図4及び図5において、発明者の従来例による監視装置を説明し、次に本発明の実施形態を説明する。図1に、本発明の遠隔監視システムの全体構成と監視装置を示し、図2及び図3に、本発明の監視装置の制御プログラムの処理について示す。なお、図面の符号を明確にするために、説明において、符号には括弧書きを随時いれる。例えば、CPU2(20(2))となる。すなわち、名称はCPU2であり、符号は20(2)である。
図4は、従来例の監視装置の基本構成を示すブロック図である。従来例として、特許文献1に記載の監視装置の基本構成を示している。CPU20には、監視装置として必要な各種センサ(ITV(Industrial Televison)カメラなど)100Sがインターフェース(以下、I/Fという。)99aを介して接続されている。また、CPU20には、必要に応じてモータなどの各種アクチュエータ100Mが、駆動回路100D、インターフェース99bを介して接続され、通信装置25A,25Bが、インターフェース99c,99dを介して接続されている。ここで、CPU20は、演算回路であるが、プログラムを格納しておくROM(Read Only Memory)や、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)などは省略している。CPU20は、演算回路のハードウエアとソフトウエアの部分に分かれてもよいし、すべてハードウエアで実現されるものでも差し支えない。また、I/Fも接続するものに応じてA/DコンバータやDIOやSIOなど適切な回路が用いられるがここではそれらを総称してI/F回路として記述している。CPU20の動作は図5で説明する。
図5は、従来例の監視装置のCPUで実行されるプログラムの処理を示すフローチャートである。A系である通信装置25AあるいはB系である通信装置25Bへは、コマンドデータ50が送信されてくる。コマンドデータ50は、コマンド50a、送信元ID(50b)、送信先ID(50c)、コマンド付属データ(50d)から構成される。送信されたコマンドデータ50に対応する処理は、以下のように実施される。
まず、CPU20で実行されるプログラムが、スタートする(処理3S001)と、コマンド入力(処理3S002)で、コマンドデータ50を通信装置25Aあるいは通信装置25Bの入力バッファから取り込む。次に、処理3S003で、コマンドデータ50の中の送信先ID(50c)が、自分のIDであるか否か(自分宛てのコマンドが来たか否か)を確認する。自分宛てのコマンドでない場合(No)には、コマンド入力の処理3S002へ戻る。
処理3S003において、自分宛てのコマンドが来た場合(Yes)には、処理3S004で、コマンドデータ50のコマンド50aを参照して何のコマンドであるかを識別する。そのコマンドの種類に応じた処理を行なう。各処理は、監視装置の目的に応じて色々な処理を用意しておけばよい。例えば、データサンプリング処理(処理3S005)では、データのサンプリング処理をする。データ送信処理(処理3S006)では、RAMデータから既にサンプリングなどしているデータを読み出して通信出力バッファへデータをすべて書き込み出力する処理をする。データ中継処理(処理3S007)では、例えば、A系(あるいはB系)の通信入力バッファから読み込んだデータを全てそのままB系(あるいはA系)の通信出力バッファへ書き込み出力する処理をする。パラメータ設定処理(処理3S008)では、通信入力されたデータをRAMエリアへパラメータデータとして格納する処理をする。データ前処理、あるいは、診断処理(処理3S009)では、RAMデータに記録している点検データを呼び出して所定のデータ処理を実行して、その結果を所定のRAMエリアに書き込む処理などをする。
従来例によれば、他の監視装置間のデータ中継処理(処理3S007)の処理頻度が高くなると、CPU20の制御負荷が高くなり、CPU20が、データ中継処理以外の処理ができなくなるおそれがあった。
図1は、本発明の遠隔監視システムを示す構成図である。図1(a)は、遠隔監視システムの全体構成を示し、図1(b)は、監視装置の基本構成を示すブロック図を示す。図1(a)に示すように、複数の監視装置1(209a)、監視装置2(209b)、監視装置5(209e)、監視装置4(209d)、監視装置3(209c)と、ホスト通信設備10とを有している。各監視装置は、監視対象に沿って、間隔を開けて配備され、ホスト通信設備10のA系と監視装置1のB系が連系され、監視装置1のA系と監視装置2のB系が連系され、監視装置2のA系と監視装置5のB系が連系され、監視装置5のA系と監視装置4のB系が連系され、監視装置4のA系と監視装置3のB系が連系されている。連系方法についての組み合わせのパターンは、図25において説明する。
図1(b)に示すように、各監視装置は、図4の従来例の監視装置に対して、CPU20を通信制御専用のCPU1(20(1))とその他のCPU2(20(2))、CPU3(20(3))、・・・に分けて構成している。CPU1(第1の制御部)は、主として、データ中継処理を実行し、その他のCPU2、CPU3、・・(第2の制御部)は、データ中継処理以外の処理を実行する。
監視装置は、主に通信制御を実行させるCPU1(20(1))を中心において、CPU1(20(1))に、I/F(99a(1))を介してCPU2(20(2))を接続している。CPU2(20(2))には、I/F(99a(2))を介して各種センサ100Sが接続される。同様に、モータなどの各種アクチュエータ100Mも、駆動回路100D、I/F(99b(2))を介してCPU3(20(3))に接続され、さらに、I/F(99b(1))を介してCPU1(20(1))に接続される。同様に、通信装置25Aは、I/F(99c)を介して、CPU1(20(1))に接続される。通信装置25Bは、I/F(99d)を介してCPU1(20(1))に接続される。通信装置25Cは、I/F(99e)を介してCPU1(20(1))に接続される。ここで、通信装置25AをA系、通信装置25BをB系、通信装置25CをC系と呼ぶこととする。また、通信装置25Cの電源35aは、スイッチ35bの入切りでON/OFFされ、スイッチ35bは、駆動回路100Dにより制御できるように接続されている。駆動回路100Dへの指令は、CPU3(20(3))から与えられる。
ここで、通信装置のA系とB系を光無線による通信装置として、通信装置C系を電波無線装置とする。C系を、A系あるいはB系のバックアップ通信系として用意しておく場合に、通常時からC系の通信装置25Cの電源を入れておくと、通信装置A系あるいはB系との干渉が発生する。このため、例えば、CPU3(20(3))で、A系あるいはB系の光無線の系統が途絶えたことを検知した場合に、通信装置25Cの電源をスイッチ35bでONさせて、バックアップの通信系を生かすようにするものである。光無線の場合、光を送受する方向をパンチルト動作する雲台などで設定するようにする。手動雲台で最初に光無線が通過可能状態にその方向が適切に調整されていても、もし、雲台の機構のゆるみなどでその方向が運用の途中でずれてしまったような場合には、CPU3(20(3))で光無線の途切れたことを検知して、スイッチ35bをONして通信装置25Cに電源を供給して、C系統をいかして、A系あるいはB系のバックアップ通信系を有効にさせる制御を行なうような使い方も可能となる。
図2は、本発明のCPU1で実行されるプログラムの処理を示すフローチャートである。基本フローは、まず、CPU1で実行されるプログラムがスタート(処理4S001)すると、コマンド入力(処理4S002)で、コマンドデータ50を通信装置25Aあるいは通信装置25Bの入力バッファから取り込む。次に、処理4S003で、コマンドデータ50の中の送信先ID(50c)が自分のIDか否か(自分宛てのコマンドが来たか)を確認して、自分宛てのコマンドでない場合(No)には、コマンド入力の処理(処理4S002)へ戻る。
処理4S003において、自分宛てのコマンドが来た場合(Yes)には、処理4S004で、コマンドデータ50のコマンド50aを参照して何のコマンドかを識別する。その場合、データ中継処理のコマンドか、データ中継処理以外のコマンドであるかの識別を行なう。データ中継処理のコマンドの場合には、データ中継処理(処理4S005)(図5のデータ中継処理3S007と同じ。)を行ない、それ以外の場合には、処理4S006で、コマンドデータ50の内容をそのままCPU2、CPU3、・・・へ転送する処理を行なう。ここで、処理4S003で自分宛てのコマンドか否かを、送信先ID(50c)を参照して判別するが、CPU1、CPU2、CPU3、・・・に個別の識別IDを設けておいてもよい。また、CPU1にはIDを設けなくて、CPU2、CPU3、・・・にのみIDを設けてもよい。各CPUを識別しないで接続されている全CPUへコマンドを転送するようにして、各CPU側で自分宛てのコマンドか否かを判別させてもよい。送信先ID(50c)は、監視装置のIDとして、コマンド50aの種類に応じて、処理を実行するCPUを識別して当該CPUに、コマンドデータ50を転送するようにしてもよい。
図3は、本発明のCPU2、CPU3などで実行されるプログラムの処理を示すフローチャートである。基本フローは、まず、CPU2、CPU3などで実行されるプログラムがスタート(処理5S001)すると、コマンド入力(処理5S002)でコマンドデータ50を、CPU1(20(1))から取得する。次に、処理5S003でコマンドデータ50の中の送信先ID(50c)が自分のIDか否か(自分宛てのコマンドが来たか)を確認して、自分宛てのコマンドでない場合(No)には、処理5S004へ進む。
処理5S004では、自分宛てのコマンドが所定時間以上来ない状態か否かを判定する。ここで、コマンドが来ない状態が所定時間以上である場合(Yes)には、A系あるいはB系の通信系統がダウン状態と判断して、処理5S005でバックアップの通信装置25Cの電源をONさせる処理を実行し、処理5S002へ戻る。ここでは、コマンドの有無のレベルでA系及びB系の通信系が正常に機能しているか否かを識別している。コマンドデータ50の中の送信元ID(50b)と送信先ID(50c)の情報から、A系から来ているコマンドか、B系から来ているコマンドかは判定できるので、バックアップ系のC系をA系として立ち上げるか、B系として立ち上げるか識別するようにできる。また、あるいは、コマンドベースでの識別でなく、通信装置A系、B系が光無線などであれば、光無線装置の受光レベルの信号を検出してCPU2、3、・・のどれかで取り込み光信号の受光レベルの有無で光通信が正常か否かを識別して、光信号が得られていない場合にバックアップ通信系をONさせるようにしてもよい。なお、処理5S004において、コマンドが来ない状態が所定時間以上でない場合(No)には、処理5S002へ戻る。
次に、処理5S003において、自分宛てのコマンドが来た場合(Yes)には、処理5S006でコマンド50のコマンド50aを参照して何のコマンドかを識別し、そのコマンドの内容に応じてコマンドの処理を実行するようにする。ここでは、例として、データサンプリング処理である処理5S007では、データサンプリング処理のコマンドを実行する。データ送信処理である処理5S008では、データ送信処理を実行する。パラメータ設定処理である処理5S009では、パラメータの設定処理を実行する。データ前処理、あるいは、診断処理である処理5S010では、データの前処理、あるいは、診断処理を実行するなどの各種コマンドに対応する処理を実行する。
以上のように、図1(b)の監視装置の構成で、図2、図3で説明したようなCPU1とCPU2、CPU3、・・・の処理を行なうようにする。各監視装置の図1のI/F(99a(1))、I/F(99b(1))、・・・を同じI/F仕様とすることができる。あらかじめ複数I/Fをコネクタ仕様で用意しておくことにより、各種センサ100Sや各種駆動回路100Dを当該監視装置の目的に応じて、各種センサの追加(あるいは削除)、各種アクチュエータの追加(あるいは削除)を容易に行なうことが可能となる。
また、同様に、各監視装置の図1のI/F(99c)、I/F(99d)、I/F(99e)・・・を、同じI/F仕様とすることで、あらかじめ複数I/Fをコネクタ仕様で用意しておくことにより、各通信装置25A、25B、25C、・・・を当該監視装置の目的に応じて、容易に追加(あるいは削除)を行なうことが可能となる。
また、各CPUが、マルチCPUになるため、複数処理の同時進行も可能となり、監視装置の処理速度も容易に向上させることが可能となる。なお、CPU1は、プログラムで動作するのではなくハードウエアで動作する専用回路として設計してもよいし、リピータハブやスイッチングハブ、ルータなどのために開発された専用ICを利用して回路を設計するようにしてもよい。
本実施形態によれば、分割した専用通信制御手段のI/F部の取り合い仕様を共通化して複数設けることにより、同じ仕様に合わせたI/Fを有する色々な種類の通信手段や、色々な種類の監視情報の取得と、送信処理を実行する手段を任意に接続することで、通信手段や監視情報の取得と送信処理を実行する手段を増やしたりする拡張も容易に実現することが可能となる。例えば、監視情報の取得と送信処理を実行する手段のものを、カメラセンサ、赤外線センサ、温度センサ、振動センサなどを分割して機能をもたせておくことで、機能のオプション的な追加や交換も容易に対応可能となる。
本実施形態を用いて、遠隔監視システムのネットワークを構成する場合、ネットワークの末端の監視装置は、その先への監視データなどの中継処理は行なう必要はないので、末端には中継手段をもたない監視装置を含んでもよい。また、間隔を開けて配備する監視装置の間が広く、また、その広い間の途中には監視対象がないような場所では、監視情報を取得あるいは送信するための自分宛ての指令に対する処理を実行する手段は有さずに、中継手段のみを有する監視装置を配備するようにしてもよい。
また、各監視装置の通信情報の通信手段として少なくとも2系統以上の光無線による通信手段と、少なくとも1系統以上の電波による無線通信手段とを有する。光無線による通信回線は、高速で混信の生じにくい安定した無線中継機能を有する監視装置のネットワークを構築できる。さらに光無線が、万一何かの障害物によって遮られるような場合にも、電波による無線通信手段をONさせ、電波無線による通信で確実に通信を行うことができる。また、もともと見通しのきかない場所の監視装置との通信を行なう場合には、直進する光無線では、ネットワークが構築できない。このような個所でも電波による無線通信でネットワークを確実に構成できるようになる。監視装置のバックアップの通信手段としては、必要に応じて電話とかPHSや携帯電話などの公衆回線を利用するための無線通信手段も有するようにして、公衆回線を利用して離れたところの監視装置ネットワークともつなげるようにしてもよい。また、通信手段も光無線以外に無線LANやPHSや携帯電話などの通信手段の種類ごとに同じI/F部の仕様として用意しておくことにより容易に追加や交換ができるようになる。
本実施形態の通信手段は、所定の通信相手との光通信が確立しないときに、所定の通信相手との電波による無線通信を行なう回路(通信装置25C)をONさせるようにする。このため、光ビームが届かない影に近くの監視装置がある場合や、光ビームを移動する人や物が遮ったような場合でも、電波による無線がその代わりにつながるようになる。光無線が届かない状態のある場合においても、監視装置全体のネットワークを途中途切れることなく構成することが可能となる。ここで、各監視装置は、光無線通信の確立した周囲の相手側監視装置の状況のほかに、周辺の監視装置が電波無線の通信装置を有している監視装置か否か、光無線のチャンネル、電波無線のチャンネルなどの情報についても、各監視装置の識別IDと対応させてそれらの情報を各監視装置は自分自身で記録しておくことは可能であり、光無線が途絶えたときにも途絶えた相手側監視装置のIDに基づきすぐにそれらの情報を参照して所定の適切なチャンネルの電波無線に切り替えるなどの制御も自動で容易に行なえるようになる。
具体的には、相手側監視装置が電波無線の通信装置を有していない場合は、電波無線に切り替えての通信確立は行なわず光無線通信が確立するように繰り返す処理を行わせる。相手側に電波通信の通信装置はあるが、既に近くの周辺で所定のチャンネルの電波無線での通信が確立されている監視装置がある場合には、あとから確立させる電波無線のチャンネルは前記チャンネルとは別のチャンネルを自動で選択して近くのほかの監視装置の電波無線との干渉を防止して新規に電波無線の通信をここで確立させるように自動で制御させるなどである。電波無線を行なっている周囲のほかの監視装置が所定の距離以上離れている場合には、電波無線の干渉問題が生じないので、そのような場合は監視装置の位置情報なども参照して、使用する電波無線のチャンネルを選択するようにしてもよい。
また、原子力発電所などでは、放射線の影響で光無線が故障する場合もある。そのような場合には、各監視装置に電波無線の通信装置を接続しておき、光無線がダウンした場合に、その間、電波無線をONさせて光無線のバックアップを行なわせるようにしてもよい。無線LANなどを適用した場合の通信速度は、光無線より劣るが、バックアップ手段としては有効である。
図6は、監視装置の通信情報の通信手段として光無線を使用した場合の構成を示す説明図である。図6(a)は、光無線装置の回路図であり、図6(b)は、光軸の調整方法を示す概観斜視図であり、図6(c)は、光軸回りのねじり機構を示す説明図である。
図6(a)に示すように、光無線装置25は、光を放射する機能と、光を受光する機能を有している。光を放射する場合には、コネクタ部(25(C1))から入力される電気信号がアンプ(25(3))で増幅され、増幅された信号が発光素子(25(2))により光に変調され、レンズ(25(1))を介して発光(25(R1))が放射される。アンプ(25(3))の利得は、可変抵抗(25(9))と可変抵抗(25(10))でスイッチ(25(11))を入りの場合と切りの場合で所定の利得に調整可能な回路とした。
光を受光する場合には、受光(25(R2))がレンズ(25(4))で集光され受光素子(25(5))に照射される。照射された光は、受光素子(25(5))により、光エネルギーが電気エネルギーに変換され、アンプ(25(6))で増幅され出力コネクタ部(25(C2))から電気信号として出力される。また、アンプ(25(6))に所定レベルの光が入った場合には、LED駆動アンプ(25(7))でLED(25(8))を点灯できるようにした。
発光(25(R1))の強度(強又は弱)を変更する場合には、スイッチ(25(11))を入りにした場合と切りにした場合とで、容易に切り替えられる。例えば、強をレーザークラス2にして、弱をレーザークラス1に設定しておけば、通常光無線の通信を行なうときにはレーザークラス1で行い、光軸調整を行なう時には、クラス2で強いレーザ(明るいレーザー)で光軸調整を行なうことができる。これにより、手動による光軸調整を容易に実施することが可能となる。
原子力発電所の格納容器内の監視装置などに本発明の監視装置を適用した場合、監視装置は、プラント運転中に運用され、格納容器内には、人がプラント運転中は入れない。定期検査において、プラントが停止中に、格納容器内には多くの定期点検のために人が入る。一方、監視装置のセッティングは、定期検査中に行なうので光軸調整も定期検査中に実施する必要があるが、その時には他の作業者もまわりにいる。このため、レーザークラスは、クラス1で安全な強度レベルで通信を行なっているのが望ましい。光軸調整を行なう時には、光軸調整しやすいようにレーザークラス2などに強度をアップさせたほうがよい。ここで、手動で光軸調整するときには、発光側と受光側に人を配置してハンドフリーのトランシーバなどで連絡を取り合いながら互いの光軸調整ができるようにする。そのときに光軸調整をしているときだけであれば、その間を横切るほかの作業者に注意を喚起したり、一時的であれば立ち入り禁止エリアを設定して注意を喚起できるので、一時的であれば光軸調整しやすいレーザークラス2にレーザーを強くして、調整が終了した際には、速やかにレーザークラス1に戻すことができる。
このように、光路の途中を作業者が横切っても安全なレーザー強度に設定することが、現場で容易にできる。また、所定の光が入力された場合に、LED(25(8))が点灯するようにしたことでも、手動による光軸調整を容易に行なうことができるようになる。すなわち、光軸を微妙に手動調整するときに、相手側のLEDランプ(25(8))を見ながら光軸を調整してLEDランプ(25(8))が点灯したときに光軸が一致したと容易に確認することができるようになる。ここで、LEDランプ(25(8))以外に電子音やブザーで光軸が一致していることを知らしめるようにしてもよい。省電力化のために現場でイヤホンを差し込んでイヤホンを差し込んだときのみ光軸があっていることのわかる音がでるようにしてもよい。LEDランプ(25(8))にも省電力のためON/OFFスイッチを設けるようにしてもよい。
次に、図6(b)を参照して、光軸調整の基本的な方法を示す。図中手前に監視装置209aのA系の光無線装置25Aがあり、奥に監視装置209bのB系の光無線装置25Bがある状況を示している。光無線装置25A,25Bの外部の操作しやすい位置に、切替スイッチ25(11)を設けて、又、相手側から見えやすい場所にLEDランプ25(8)を設けている。また、光軸を手動、あるいは遠隔操作、あるいは自動で調整する場合、動かす軸が必要である。通信装置25は、雲台上に取り付けられる。この光軸調整用雲台は、カメラ三脚などの機構を利用することで安価な手動による向きを調整する機構を得ることができる。また、電動式雲台を用いる場合、電動モータを手動操作で制御すれば手動による光軸調整ができ、電動モータを自動で制御できるようにすると、自動による光軸調整が可能となる。本実施形態の雲台の調整軸は、パン(左右の回転方向)軸(25(M1))、チルト(上下の回転)軸(25(M2))があり、従来の通常の雲台は、このパン軸とチルト軸から構成されるものである。
本実施形態では、ねじり軸(25(M3))を設けることで光軸調整をより容易に行なえるようにした。ねじり軸(25(M3))のねじりの中心は受光(25(R1))あるいは発光(25(R2))の光軸と一致する軸まわりに回転可能な軸とする。すなわち、手順としては、最初にパン軸(25(M1))とチルト軸(25(M2))で監視装置209aのA系の受光軸と監視装置209bのB系の発光軸の光軸調整を行う。
次に、チルト軸25(M3)を回転させて監視装置209aのA系の発光軸と監視装置209bのB系の受光軸の光軸を合わせるようにする。各光無線装置の発光(25(R1))と受光(25(R2))は、平行で所定の間隔で配置されるので、片一方の光軸を中心に回転させるとどこかでかならず光軸の一致する点があるので、容易に光軸の調整ができるようになる。ここで、パン軸(25(M1))、チルト軸(25(M2))、及びねじり軸(25(M3))は、それぞれ機械的に回転可能な構造にすれば、手動で光軸調整できるようになる。また、それぞれの全軸あるいは一部分の軸に回転可能なモータを設ければ、スイッチなどを押したら当該軸を回転させるような遠隔操作可能となり、また、CPUなどの指令で当該モータを駆動するようにすることで自動的に光軸調整を行なうことも可能となる。
図6(c)を参照して、光軸回りのねじり機構について説明する。監視装置209aの光無線装置25Aの受光(25(R2))の光軸中心まわりに、光無線装置(25Aof209a)のねじり機構(25(M3)Aof209a)のねじり回転軸を配置して、同様に、監視装置209bの光無線装置25Bの発光(25(R2))の光軸中心まわりに、光無線装置(25Bof209b)のねじり機構(25(M3)Bof209b)のねじり回転軸を配置している。
このような構成にすることで、光無線装置(25Aof209a)のねじり機構(25(M3)Aof209a)のねじり回転軸、あるいは光無線装置(25Bof209b)のねじり機構(25(M3)Bof209b)のねじり回転軸を回すと受光25(R1)の光軸もどこかで一致する位置が存在することになるので、ねじり軸だけを調整することで、残りの軸を容易に調整できる。
本実施形態では、光無線の光の強度は、少なくとも2種類以上に切り替える手段を有する。光無線でレーザーを利用する場合、レーザーの出力はクラス1くらいにして万一レーザー光線のところを人が横切っても安全にしておくのがよい。光無線の場合は、光軸調整が必要になり、その調整作業を人手で行なうと距離がはなれると結構面倒な作業になる。例えば、光軸調整のときだけ、レーザークラス2に切り替えて明るい光で光の当った個所を見やすくして光軸を調整しやすくすることが容易にかつ安全にできるようになる。
原子力発電所の格納容器内の監視カメラなどに監視装置を適用する場合、通常の発電所運転中には、人が入れない格納容器内であるが、プラントの定期検査期間には、格納容器内のポンプや配管、バルブなどの定期検査や補修作業も行なわれている。光軸調整中は、光無線のそれぞれの発信器と受信器側に人がいて光軸調整作業を行なえば、そのときに他の作業員が不用意にレーザーの途中を横切って目にレーザーが入るのを、注意を喚起してあげることが容易にできる。光軸調整作業の時だけ、レーザークラス2に切り替えて、調整完了後、不用意に他の作業員が横切っても安全なレーザークラス1に切り替えておくなどの運用が容易にできるようになる。
手動による光軸調整の要領としては、光無線のそれぞれの発信器と受信器側に調整する人を配置してレーザーのスポットを見ながら相手側の発信器からのレーザーが受信器側のレンズにレーザーのスポットが当るように相手側の送信器の向きを微調整してもらうことになる。相手側との距離があり、人の声が聞えにくいような場合には、光軸調整する調整作業員は、マイクとスピーカを有する音声通信装置やハンドフリーのヘッドマウントタイプのトランシーバなどを装備して、互いに連絡を取り合いながら、光軸の向きを上下左右などに、声を掛け合いながら調整するのがよい。
また、1人で距離が離れた場合の光軸調整を行なう場合には受信器側のレンズの部分を望遠鏡で見るとか、望遠レンズ付きのカメラで撮影してその映像をモニタなどで見ながら光軸調整を1人で容易に行なえるようにしてもよい。このときのカメラは、監視装置のカメラを利用してもよい。ハンディーのモニタを調整作業員が持っていき、監視装置のカメラの出力を調整作業時だけモニタにつなぎかえてモニタを見ながらの調整作業ができるようにしてもよい。このときに、例えば、光無線ユニットの発信器や受信器のユニットケースのところにレーザー出力の切替えスイッチを設ければ、光軸調整をするときにだけそのスイッチを高出力のクラス2に切り替えて、光軸調整後には、すぐにクラス1に再度戻せるようにするのがよい。
また、原子力発電所では放射線による影響などで、遠隔監視システム運用中にも放射線被爆をするとレーザーの出力が低下したりもする。特に、格納容器の中ではプラント運転中の放射線が高いのでレーザー出力への影響も大きいので、そのような場合は、運転を開始して、例えば6ヶ月後に自動的にクラス1からクラス2に切り替えるとか、ホスト通信設備からの遠隔操作でクラス1からクラス2に切り替えられるようにしてもよい。レーザーの出力を上げれば電力もその分多く必要とするので、クラス1で十分通信できる間は、クラス1で通信をするようにして、レーザーの出力が低下(具体的には放射線などでレンズなどが変色して発光エネルギーの消費は大きいが出力されるレーザーの出力は低下)するような場合にはクラス2に切り替えて運用できるようにするのがよい。
さらに、レーザー出力光を検出して、レーザー出力光が常に通信に必要な出力となるようにする。このため、レーザー出力光を検出信号をフィードバックして自動でレーザー出力をコントロールされるような出力ゲインコントロール回路を設けるようにし、また、常に最適な省電力運用ができるようにして、バッテリーなどの動力源が長持ちできるようにしてもよい。また、光軸調整作業のときの光無線の電源、カメラやモニタを用いて光軸調整作業を行なう場合のそれらの電源は、別のハンディーの外置きバッテリーを調整作業員が持っていき、光軸調整作業を行なうときの監視装置の内蔵バッテリーは消費させることなく光軸調整作業を行なうようにするのがよい。近くに電源を一時的にでもとれる設備がある場合には、現場の仮設電源(工事用に準備している電源、ポンプ、あるいは、照明、電動バルブなどの電源を一時的に利用することも含む)を利用して電源を供給するようにしてもよい。
本実施形態では、光無線の光の発光部と受光部を有する受発光ユニットは、パンチルト雲台機構の他に、発光部あるいは受光部の光軸まわりのねじり機構を有する。パンチル雲台で上下左右に向きを変えて光軸調整を行なうが、光無線の発信部と受信部が別々のレンズになっている場合には、受信の光軸と発信の光軸のそれぞれ2本の光軸を合わせる必要がある。このため、先に光軸まわりのねじり機構を有する側の光軸をあわせてパンチルト雲台の向きを決定し、次にもう1本の光軸を調整するときには先に光軸調整の終った光軸まわりのねじり機構を回す。そして、ほかのもう1本光軸を調整するようにすれば、先に合わせた光軸はずれることなく、もう1本の光軸も容易に調整することができるようになる。
図7は、光無線装置の受発光の光軸の同軸化の一実施形態を示す構成図である。本実施形態では、図6の実施形態で、発光素子(25(2))の波長をA系とB系とで変えて、受光素子(25(5))もA系とB系とでそれぞれ変えた波長に対応する受光素子として、ハーフミラー(25(16))とミラー(25(17))を一つのユニット(25(18))に組み込み一括して無線装置25から着脱可能にした場合の実施形態である。
発光素子(25(2))から発光した光は、レンズ(25(1))、ハーフミラー(25(16))を通過して発光(25(R1))として放射され、受光(25(R2))は、ハーフミラー(15(16))で反射して、ミラー(25(17))で反射して、レンズ(25(4))を介して、受光素子(25(5))に集光される構成になっている。ここで、ハーフミラー(25(16))の特性は、一方の発光波長は通過しやすく、もう一方の発光波長には反射する特性がのぞましい。レーザーの場合、例えば、赤のレーザーとブルーレーザーで波長を変えるなどすればよい。
また、ユニット(25(18))を着脱可能とすることで、脱時には、図6の実施形態と同じように平行に受光と発光を照射する運用と、着時には、図7の実施形態のように受発光を同軸化して運用することができ、試験・調整などが容易にできる。また、劣化したような場合も、脱することで、特にハーフミラー(25(16))を通さないで発光させることができるので、運用の途中で劣化したような場合、すぐに図6のようなハーフミラーを介さずに運用するようにもできる。また、ハーフミラー(25(16))でも、わずかな反射成分が反射され受光素子(25(12))に入るように構成して、受光素子(25(12))で電気信号に変換された信号はアンプ(25(13))で増幅され、受光素子(25(12))の電気信号の大小に応じてアンプ(25(3))の増幅率が調整される調整器(25(14))へ入力する。
このような構成とすることで、例えば、原子力施設では放射線劣化でレンズや発光素子の発光量が低下する劣化現象があるが、そのような場合に劣化しても発光量を受光センサ(25(12))で検出してアンプ(25(3))の増幅率にフィードバックして、劣化した場合も所定の発光量が発光されるようにすることで、放射線劣化にも影響しない光無線装置を得ることができる。ここで、あらかじめハーフミラー(25(16))の透過性能の劣化特性とハーフミラー(25(16))の反射性能の劣化特性の相関関係を求めておき、その関係の補正を含めた形で、フィードバック制御されるように調整器(25(14))の特性を決めておいてもよい。また、この制御を受光センサ(25(12))の信号をCPUに一旦取り込んでアンプ(25(3))の増幅率をCPUで制御するようにしてもよい。CPUで制御することで、ハーフミラー(25(16))の透過性能の劣化特性とハーフミラー(25(16))の反射性能の劣化特性の相関関係をCPUのメモリに記憶させておき、どのような複雑な変化特性でも適切に制御できるようにしてもよい。また、本実施形態では受光素子(25(5))の電気信号をアンプ(25(15))を介してコネクタ部(25(C3))からCPU3(20(3))(図2参照)へ取り込めるようにしている。CPU3(20(3))へ取り込むことで、CPU3(20(3))で光軸の自動調整なども容易に行なえるようになる。光軸の自動調整方法は後述する。
本実施形態の光無線の双方向通信は、異なる波長を用い、同軸上に受発光の光を投射して双方向通信を行なうようにする。このため、受信の光軸と発信の光軸は同じ軸上になるので、1本の光軸調整を行なうのみで、受信と発信の両方の光軸調整を行なうことができるので光軸調整は容易になる。受信と発信の両方の光軸を合わせる方法には、偏向フィルタを用いて受信と発信の光を分光させる方法もある。監視装置の設置姿勢によっては、受信光と発信光で、例えば、90度ずらした偏向方向が入れ違いになる場合もあるので、監視装置の設置姿勢に制約を与え、また、偏向フィルタの向きを設置後に再調整することのできる機構などが必要になる。発信と受信とで光の波長を変えることにより、当該波長に対応するフィルタを用いて受光と発光を分離するようにすれば、偏向フィルタのように向きの制約をうけることなく、受光と発光の光軸を同一にして、光軸調整を容易にすることができる。
また、受光レンズと発光レンズを並べて配置して受光と発光のレーザーを平行に通すようにしておき、そのレンズの全面にミラーとハーフミラーからなる分光ユニットを着脱可能な構造にしておくことにより、同軸上に光軸をしたり、平行の受光と発光の2軸にしたり、現場で容易に切替えながらの運用も容易に行なえるようにしてもよい。ハーフミラーを介すことで光の減衰は免れないので、レーザーなどの光の出力を変えて長距離に対応するようにしてもよいし、距離が長くなるような場合には同軸化するユニットを取り外してハーフミラーなどによる減衰をさせないで運用できるようにすることでもよい。
また、本発明での実施形態の説明は、全て送信側波長と受信側波長を変えて同軸化する場合の例で説明しているが、発光素子を波長の違う複数個、受光素子も波長特性の違う複数個を用いて、それらの複数の発光側の波長もプリズムやミラー、ハーフミラーなどで同軸化して、受光側でも波長の違いでミラー、ハーフミラーやプリズムを用いて同軸化された複数の波長の光りを分岐させて各波長特性の受光素子へ入力するようにして、同時に複数チャンネルの通信を行なえるようにして、1チャンネルであると100Mbpsでも複数チャンネル化で200Mbps、300Mbps、・・・と、より一層大量のデータを高速に通信できるようにして高精細カメラや高速度カメラなどのデータ転送にも適用可能としてもよい。
図8は、光軸調整を遠隔操作あるいは自動で行なう場合のミラー駆動系の一実施形態を示す構成図である。ミラー駆動ユニット(25(21))は、ハーフミラーユニット(25(18))の全部に装着可能になっている。これは必要なときのみ装着すればよいので、着脱可能な構造にしておくのがよい。ミラー駆動ユニット(25(21))は、反射ミラー(25(19))をパン軸まわりに回転制御できるパン軸モータ(25(M6))を設け、反射ミラー(25(20))をチルト軸まわりに回転制御できるモータ(25(M7))を設けた構成の一例である。これらのモータ(25(M6)),(25(M7))を回転制御することでミラー(25(19)),(25(20))の向きが変わるので、発光(25(R1))と受光(25(R2))の向きを変えることが可能となる。このモータ(25(M6)),(25(M7))の代わりに回転可能な軸を用意しておくことで、手動で調整することも可能となる。パン軸(25(M1))、チルト軸(25(M2))などとの使い分けは、パン軸(25(M1))、チルト軸(25(M2))などは大まかな調整に利用して、ミラーの調整軸(25(M6)),(25(M7))を微調整が可能な構造にしておくことで、より微調整をしやすくしておくことでもよい。
また、本図の実施形態では、発光素子(25(2))と受光素子(25(5))をレンズに対して前後に移動するアクチュエータ(25(M4)),(25(M5))を設けた。これによって、発光、受光を広角にしたり、狭角にしたりアクチュエータの駆動で変えることができるようになる。これを手動操作のときに変えて行なえば、はじめに広角で調整して概略光軸調整できてから狭角に切り替えて詳細な光軸調整を行なうようにもできるので手動による場合でも光軸調整の操作がしやすくなる。光軸を自動で調整する場合の手順詳細は後述する。
図9は、光軸調整を遠隔操作あるいは自動で行なう場合のミラー駆動系の他の一実施形態を示す構成図である。本実施形態では、1枚のミラー(25(24))をパン軸モータ(25(M6))とチルト軸モータ(25(M7))とで駆動制御する構成である。ここで、モータは、小型のブレーキ付きACサーボモータにすれば、位置決め完了後はブレーキで姿勢を保持できるので電力を節約でき、DCモータのようなブラシがないモータであれば、保守も不要な光軸調整機構を得ることができる。また、モータは圧電超音波アクチュエータを用いてもよいし、形状記憶合金を利用してもよいし、電磁石などを利用した駆動機構にしてもよい。
図10は、図9のミラー駆動系の機構の具体的な一実施形態を示す構成図である。ベース(25(27))の中央部にミラー(25(24))の支点(25(26))を設けて、ミラー(25(24))は、ばねあるいはゴムなどの弾性部材(25(25))とカム機構のカム板(25(22)),(25(23))で押さえつけられている構造で、モータ(25(M7))を回転させるとカム板(25(23))が回転して、モータ(25(M6))を回転させるとカム板(25(22))が回転する。カム板(25(22)),(25(23))の形状は、図10の位置でミラー(25(24))は水平になる形状になっているが、カム板(25(22)),(25(23))が回転すると、そのカム板の形状に応じてミラー(25(24))のカム板(25(22)),(25(23))と接触している部分が押されたり、引き戻されたりするので、その回転に応じて、ミラー(25(24))の傾きを任意に制御させることができる機構となっている。また、図10の機構の代わりに、同様にミラーの傾きを変える駆動制御の行なえる汎用スキャナ、例えば、日本信号株式会社の2005年7月現在のカタログにある商品名「エコスキャン(ECO SCAN(登録商標))」の2次元タイプなどを利用することでもよい。
図61は、光軸調整を遠隔操作あるいは自動で行なう場合の小型雲台の機構の一実施形態を示す構成図である。図61(a)は、小型雲台の機構例の上から見た平面図、図61(b)は、小型雲台の機構例の正面図、図61(c)は、小型雲台の機構例の右側面図を示す。全体を小型にするためパン軸モータ(25(M1))、チルト軸モータ(25(M2))で動かす部分を軽くするため、図7の光無線装置25の受発光素子(25(2)),(25(5))とその必要最小限の回路を含む基板を収納するケース(25Body2)と、ケース(25Body2)とミラー、レンズなどとを収納するケース(25Body1)と、その他の回路を収納するケース(25Body3)とに分ける。ケース(25Body2)はケース(25Body1)の中で電磁ソレノイドなどのアクチュエータ(26(M45))で前後に移動可能な構造とする。ここでは、より機構を単純化するため、受光素子(25(5))と、発光素子(25(2))をいっしょに前後に移動してレーザービームの広角、狭角の切替えを行なうようにした。
また、必要な駆動回路などは、極力ケース(25Body3)の中に収納して各軸モータ(25(M1)),(25(M2)),(25(M45))の負荷を軽くする。但し、モータ出力に余裕のある範囲でその切り分けは適切に行なうようにしてもよい。また、ケース(25Body3)は、A系、B系と一緒にしてもよいし、監視装置209本体のケースの中の回路と一緒にしてもよい。
ここでは、ケース(25Body2)は、受光素子と発光素子を近くに配置するので、互いのノイズの影響をうけにくくするために、別々の基板にして、ケース(25Body2)の中に仕切り(25(88))を設けるようにしてシールドなども施すようにする。そうすることで、受光素子及び発光素子をできるだけ近づけて配置できるようになるので、ケース(25Body1)をより一層小型にでき、ひいては光無線の雲台機構そのものの小型軽量化が容易にできるようになる。
また、ここでは、受発光ビームのレンズ焦点位置を中心にチルト軸モータ(25(M2))の軸、パン軸モータ(25(M1))の軸がそれぞれ回転するように配置した。これによって、パンチルトのモータの回転角度を検出してその方向を定めるときにその方向を決める回転の中心点(受発光ビームのレンズ焦点位置)になるので、相手側の監視装置の光無線装置の位置を計算して求めるときに回転により中心のずれを補正しないでも容易に方向や座標位置を計算して、光軸合わせ制御や監視点検制御に利用できるようになる。
図11は、光軸調整をCPU3で行なう場合の基本的な構成を示す制御回路図である。図1の実施形態から追加した部分を中心に説明する。通信装置25A,25Bは、光ファイバーの通信装置でもよいし、電波無線や超音波無線の通信装置でもよいが、ここでの実施形態では光無線装置に特定して説明する。
各光無線装置25A,25Bには、図7で説明した受光センサの信号を取り出すコネクタ部(25(C3))として、コネクタ部(25(C3)A),(25(C3)B)を設けて、それぞれ、A/D変換回路(99(AD1)),(99(AD2))のI/F部からCPU3(20(3))へ入力可能な構成としている。CPU3(20(3))は、I/F回路を介して、駆動回路(100(D1))でスイッチ35bを制御できるようになっており、駆動回路(100(D2))は、A系及びB系のパン軸とチルト軸のミラー系の駆動モータ(25(M6)A),(25(M6)B),(25(M7)A),(25(M7)B)を制御可能である。
モータの動力系は、スイッチ99SW4で切替え制御でき、ポテンショやエンコーダあるいはレゾルバなどのポジションフィードバック系は、スイッチ99SW3で切替え可能になっている。駆動回路(100(D3))は、A系及びB系の雲台系のパン軸とチルト軸の駆動モータ(25(M1)A),(25(M1)B),(25(M2)A),(25(M2)B)を制御可能な構成になっている。モータの動力系は、スイッチ99SW2で切替え制御でき、ポテンショやエンコーダあるいはレゾルバなどのポジションフィードバック系は、スイッチ99SW1で切替え可能になっている。駆動回路(100(D4))は、スイッチ99SW1,99SW2,99SW3,99SW4の切替え制御が可能なように構成している。これによって、CPU3(20(3))からA系、B系の雲台のパン軸、チルト軸、ミラー系のパン軸、チルト軸を任意に制御駆動させることが可能となる。
ここで、駆動回路(100(D4))で駆動制御するモータ系とポジションフィードバック系を選択するように切替え制御することで、それぞれ4台のモータを1台の駆動回路(100(D2))あるいは(100(D3))で制御できるようになるので、駆動回路をモータの数だけ用意しないで済むので監視装置を小型軽量化、安価に構成することが可能となる。これは、ブレーキ付きモータあるいはブレーキがなくても減速機の部分で回転制御しない場合に軸が安定に固定されるモータを用いることで、同時に複数の軸を制御しないように制御することで、モータと同じ数の駆動回路を設けなくてもすむようにできる。
また、CPU3(20(3))からはI/F回路を介して駆動回路(100(D5))が接続され、駆動回路(100(D5))は、A系及びB系のそれぞれの受光素子(25(5))、発光素子(25(2))の位置を前後に移動させるアクチュエータ(25(M5)A),(25(M4)A),(25(M5)B),(25(M4)B)を駆動制御可能なように構成する。これによって、CPU3(20(3))からA系、B系の発光素子、受光素子をそれぞれ、広角あるいは狭角の特性に任意に切替え駆動制御することができる。
また、本実施形態の構成では、タイマー21を設けて、そのタイマー21の出力情報が、CPU2(20(2))とCPU3(20(3))に入力される構成として、また、タイマー21にもひとつのIDを割り付けてCPU1(20(1))経由でコマンド制御ができるような構成としている。また、電源などのON/OFF制御もスイッチ35c、35dで行なうことが可能な構成となっている。この構成で、CPU3が動作すれば光軸の自動調整なども可能となるが、光軸の自動調整方法は、CPU3の基本処理フローとして後述する。タイマー21で電源ONさせた場合に、ホスト通信設備からのコマンドの指令でタイマー21のON時間を延長するようなコマンドを入力して制御できるようにしてもよい。また、所定の時間において、コマンドが何もこない場合には電力節約のため自動で電源OFFするようにしてもよい。
図12は、ミラー駆動系の制御系の他の一実施形態を示す構成図である。この実施形態では、CPU3(20(3))で、ミラー駆動系を制御するのではなく、ここでは光無線装置25の中に制御回路を設ける場合の実施形態を示す。配線の長さやノイズ防止の観点からは光無線装置25の中に本回路は設けた方がよい。ミラー駆動ユニット(25(21))は、光無線装置25に装着されるので、そのミラー駆動用パン軸モータ(25(M6))、チルト軸モータ(25(M7))を駆動する駆動回路(25(31)),(25(32))も光無線装置25の中に設けている。なお、制御回路は、光無線装置25の外に設けてもよい。
本実施形態は、受光素子(25(5))の受光信号の一部を取り出して、専用制御回路(25(30))へ入力するようにして、専用制御回路(25(30))で常に光軸が最適な方向になるように、ミラー駆動用パン軸モータ(25(M6))、チルト軸モータ(25(M7))を駆動制御する。ミラー駆動系の雲台の部分と比較すると、駆動する部分の質量が小さいので小型の小容量のモータで高速、高精度の駆動制御を容易に実現することが可能となるので、雲台の部分で低速かつ概略の光軸調整を行ない、ミラー制御で高速、高精度な駆動制御を行なわせることが可能となる。
また、専用制御回路(25(30))は、受光素子のレベルが最高になるように制御するが、受光と発光が同軸ユニット(25(18))で同軸に調整されているので、受光に対して最適に光軸調整することは、発光に対しても同時に最適に調整されることになる。
本実施形態のように、光無線装置25として単独で最適に制御されるようにすることで、CPU3(20(3))での雲台制御をどのように行なう場合でも、CPU3(20(3))の雲台制御とは独立して最適な制御を行なうことが可能である。最適な制御範囲は、ミラーの少しの傾きの範囲なので、雲台のように大きなパン角、チルト角で大きな向きを変えないので、微小範囲での最適に常に独立に制御される。このため、CPU3(20(3))とは独立した制御系構成できるので、制御系が複雑に連携させる場合より容易に構成できる。
図13は、図12の構成の専用制御回路の基本動作を示すフローチャートである。この専用制御回路(25(30))の基本動作は、マイコンなどで実現してもよいし、ASICなどの専用のハードウエア回路を製作して実現してもかまわない。ここでは、電源ONでスタートする回路とする。
専用制御回路(25(30))は、電源ONでスタート(処理13S001)すると、、処理13S002で、受光センサの受光信号レベルを取り込む。専用制御回路(25(30))は、処理13S003でミラーの方向制御を仮定して、次に、処理13S004において、最初は処理13S003で仮定した方向へミラーの駆動制御を行う。専用制御回路(25(30))は、処理13S005で、再度受光センサの受光信号レベルを取り込み、次に処理13S006で、ミラーの制御方向を見直し、処理13S004に戻る。以降は、見直したミラー制御方向にミラーを駆動制御するようにする。
ここで、処理13S006のミラーの制御方向の見直しは、例えば、前回の受光信号レベルと今回の受光信号レベルを比較して、受光信号レベルが高くなった場合には、同じ方向によりミラーを傾けるように制御方向を決定して、受光信号レベルが低くなった場合には、次には反対方向にミラーを傾けるように制御方向を見直しするようにすればよい。ミラーの駆動軸は、パン軸とチルト軸の2軸ある場合には、パン軸とチルト軸を交互に変化させながら、より受光信号レベルが高くなる方向へ制御するようにすればよい。あるいは、パン軸とチルト軸を上下左右に少しずつ変化させた場合の受光信号レベルを、複数取り込んでから(例えば、現在の方向を中央とした場合、中央と上下左右の合計5つの方向の信号レベルを取り込む。)、現在位置よりも高くなる方向を決定して、それを繰り返すことで、ミラーの最適な傾き方向を探索しながら制御駆動するようにしてもよい。また、本制御方法は、ミラーの傾きを制御する場合だけでなく、雲台でレーザービームの光軸の向きを制御する場合に適用してもよい。前記の汎用ミラースキャナ「エコスキャン(ECO SCAN(登録商標))」を用いて本制御を適用することでもよい。また、このようにCPU3(20(3))でミラー駆動系を制御しないで、そのユニットのみで独立して光軸を最適な向きに自動調整する制御手法を適用したユニットを用いる場合は、電動で駆動する雲台あるいは手動でその向きを任意に変えて手動レバーなどで固定する安価な手動雲台に搭載するだけでも有効に適用できる。すなわち、大まかな向きを手動操作で大体合わせれば、あとは、搭載ユニットのミラー駆動系の動作範囲内で最適な向きに自動光軸調整される。この場合、CPU3(20(3))による雲台の光軸の制御を省略した簡単で、かつ、光軸の自動調整機能も有する使い勝手のよいシステムを容易に得ることができる。
図14、図15は、CPU3で雲台を制御して概略の光軸調整を行なう処理を示すフローチャートである。本例ではタイマー21が、所定の時間T1で起動される場合で説明する。タイマー21起動で、CPU3(20(3))は、光軸調整の制御を開始する(処理14S001)。まず、処理14S002で、A系及びB系の受光素子及び発光素子を広角に設定制御する。次に、処理14S003で、A系及びB系の雲台のパンチルト軸の現在位置を取り込む。ミラー駆動系を、CPU3で駆動制御する場合はミラー駆動系の現在位置も取り込む。次に、処理14S004で、ミラー駆動系がある場合にはミラー駆動系が動かないようにロックする。
次に、処理14S005で、A系雲台のパン軸とチルト軸を最初に取り込んだ現在位置を基準とした所定のサーベイポイント(LiA、LjA)へ移動制御する。現在位置を基準とした所定のサーベイポイントは、丸でも矩形でもかまわない。ここでは矩形とした場合で説明する。最初に取り込んだ現在位置を中心として、上下左右に所定の範囲移動した上下左右のポイントをサーベイポイントとして複数設定する。その密度は細かくサーベイする度合いに応じて適切に設定すればよい。その場合、例えば、左右方向にnA分割した矩形領域の一番左上をポイント(0,0)として、その右隣をポイント(0,1)、その隣を(0,2)、その隣を・・・と定義して右上のポイントが(0,nA)となる。同様に上下方向にmA分割すると、左下がポイント(mA,0)となり、右下がポイント(mA,nA)となる。サーベイのどのような順番で動かしてもよいが、全部のサーベイポイントへ動かすようにすればよい。
次に、処理14S006で、B系雲台のパン軸とチルト軸を最初に取り込んだ現在位置を基準とした所定のサーベイポイント(LiB、LjB)へ移動制御する。移動制御後には、A系及びB系の受光センサの信号レベルをA/D変換器(99(AD1))、(99(AD2))を介してCPU3(20(3))へ読み込むようにする。読み込んだ受光センサの信号レベルはA系、B系のそれぞれの雲台のサーベイポイント(LiA、LjA)、(LiB、LjB)ごとにCPUのRAMメモリ上に記憶しておく。
現在位置を基準とした所定のサーベイポイントは、丸でも矩形でもかまわないが、ここでは矩形とした場合で説明する。最初に取り込んだ現在位置を中心として、上下左右に所定の範囲移動した上下左右のポイントをサーベイポイントとして複数設定する。その密度は細かくサーベイする度合いに応じて適切に設定すればよい。その場合、例えば、左右方向にnB分割した矩形領域の一番左上をポイント(0,0)として、その右隣をポイント(0,1)、その隣を(0,2)、その隣を・・・と定義して右上のポイントが(0,nB)となる。同様に上下方向にmB分割すると、左下がポイント(mB,0)となり、右下がポイント(mB,nB)となる。サーベイのどのような順番で動かしてもよいが、全部のサーベイポイントへ動かすようにすればよい。ここではA系のサーベイを粗く、B系のサーベイを細かくして効率よく広い範囲をサーベイするようにしてもよいし、A系もB系も同じ程度の荒さでサーベイしてA形はB系より狭い範囲、B系はA系より広い範囲をサーベイするようにしてもよい。処理14S006は、すべてのB系のサーベイポイントが終了するまで繰り返す。
処理14S007の判別で、B系全てのサーイポイントのサーベイが終了したならば(Yes)、処理14S008で、受光信号レベルがピーク(最大)になるサーベイポイント(LiB、LjB)を求める。なお、処理14S007において、B系全てのサーベイポイントのサーベイが終了しない場合(No)、処理14S006へ戻る。
そして、同様に,A系も全てのサーベイポイントをサーベイするまで処理14S005から繰り返す。処理14S009で、全てのA系のサーベイの終了判別をして全て終了したならば(Yes)、処理14S010で、A系受光センサのピーク(最大)になったサーベイポイント(LiA、LjA)を求める。ここで、途中、処理14S008は複数回行なわれるので、B系受光センサのピークになるサーベイポイント(LiB、LjB)は複数回求まるが、基本的には、すべて、同じ方向になる。微妙に方向が違うピーク点がいくつか生じた場合には、最もピーク(最大)の受光センサの信号になったポイントを最大ピークのポイントとすればよい。なお、処理14S009において、全てのA系のサーベイの終了判別をして全て終了しない場合(No)、処理14S005へ戻る。同様に,A系も全てのサーベイポイントをサーベイするまで処理14S004から繰り返す。
次に、処理14S011で、A系、B系のそれぞれにピーク点が存在したか否かを判定する。ピーク点が存在した場合には(Yes)、その求めた方向が求めるべき光軸調整の概略設定方向なので、処理14S012では、その求めた概略方向の情報は記憶しておき、概略光軸調整の完了フラグをセットして当該処理を終了してよい。
処理14S011で、A系、B系のピークが見つからない場合(No)は、処理14S015、処理14S014へ行き、サーベイの範囲を拡大して、再度、処理14S005から同様の処理を行なうようにする。すでにA系あるいはB系の片方がサーベイされている場合は見つかっている系統は最大ピークの得られた方向に固定して、見つかっていない系統の方向のみサーベイするようにしてもよい。サーベイ範囲の拡大の一つの実施形態として説明するが、ここでは、最初に最初の方向を中心としてその上下左右に、例えば、±10度の範囲をサーベイして、ピークになる方向が見つからない場合には、その外側の±30度の範囲をサーベイするようにする。それでも見つからない場合は、さらにその外側の±50°をサーべイする。徐々にサーベイする範囲を広げていくことにより、どこかに相手が存在するかぎりにおいてはその方向を見つけることが可能となる。なお、処理14S011において、A系、B系のピークが見つかっている場合(Yes)は、処理14S012で、A系、B系とも光通信系の概略の光軸合わせは完了し、完了フラグを設定し、一連の処理を終了する(処理14S013)。
CPU3(20(3))の次の処理としては、処理14S015で、所定の範囲を広げてサーベイしてもピーク方向が見つからない場合(Yes)には、処理14S016で、A系のピーク点は見つかっているか判別して、見つかっている場合(Yes)は、処理14S017で、A系の概略光軸調整は完了して、通信装置25Cの電源をONさせて、通信装置25CにB系の代わりの通信系統を確立させるようにする。ここで処理は終了する(14S018)。
処理14S016で、A系のピーク点が見つからない場合(No)は、処理14S019に進む。処理14S019で、B系のピーク点があった場合(Yes)には、処理14S020で、B系の概略光軸合わせ完了フラグを設定して、通信装置25CはA系の代わりとして通信系を確立させる。例えば、通信装置25Cに無線LANなどを適用すれば、無線LANなどの通信装置には複数の周波数のチャンネルが割り付けられているので、あらかじめA系のチャンネル周波数とB系のチャンネル周波数を設定しておくことにより、相手側監視装置のA系とB系との組み合わせで適切な無線LANの通信系を見つからなかった光無線の系統に割り当てることができる。ここで処理は終了する(14S021)。
そして、処理14S016で、B系のピーク点が見つからなかった場合(No)は、処理14S022で、エラーフラグを設定して、処理を終了する(処理14S023)。ここで、A系もB系も光通信が確立できない場合は、通信装置25D(D系)も接続しておくことにより、光無線のA系とB系のかわりを、例えば無線LANなどの電波無線でかわりに確立させるようにしてもよい。
図16、図17は、CPU3で雲台を制御して詳細に光軸調整を行なう処理を示すフローチャートである。本実施形態ではタイマー21が所定の時間T2で起動される場合で説明する。タイマー21による起動で、CPU3(20(3))は、光軸調整をスタートする(処理16S001)。まず、処理16S002で、A系及びB系の受光素子及び発光素子を、A系を広角にB系を狭角に駆動制御する。処理16S003で、A系及びB系の雲台のパンチルト軸の現在位置を概略の光軸調整で求めた受光センサに、ピークの出た方向に合わせる。次に、処理16S004で、A系雲台のパン軸とチルト軸を、現在位置を基準とした所定のサーベイポイント(iA、jA)へ移動制御する。ミラー駆動系がある場合は詳細調整なので雲台系ではなくミラー駆動系を動作制御させるのがよい。
現在位置を基準とした所定のサーベイポイントとは、丸でも矩形でもかまわないが、ここでは矩形とした場合で説明する。概略サーベイでピークの出た現在位置を中心として、上下左右に所定の範囲移動した上下左右のポイントをサーベイポイントとして複数設定する。その密度は細かくサーベイする度合いに応じて適切に設定すればよい。その場合、例えば、左右方向にnA分割した矩形領域の一番左上をポイント(0,0)として、その右隣をポイント(0,1)、その隣を(0,2)、その隣を・・・と定義して右上のポイントが(0,nA)となる。同様に上下方向にmA分割すると、左下がポイント(mA,0)となり、右下がポイント(mA,nA)となる。サーベイのどのような順番で動かしてもよいが、全部のサーベイポイントへ動かすようにすればよい。
次に、処理16S005で、B系雲台のパン軸とチルト軸を、現在位置を基準とした所定のサーベイポイント(iB、jB)へ移動制御する。ミラー駆動系がある場合は、詳細調整なので雲台系ではなくミラー駆動系を動作制御させるのがよい。移動制御後にはA系及びB系の受光センサの信号レベルを、A/D変換器(99(AD1))、(99(AD2))を介してCPU3(20(3))へ読み込むようにする。読み込んだ受光センサの信号レベルはA系、B系のそれぞれの雲台のサーベイポイント(iA、jA)、(iB、jB)ごとにCPUのRAMメモリ上に記憶しておく。
概略サーベイしたピーク点を基準とした所定のサーベイポイントは、丸でも矩形でもかまわない。ここでは矩形とした場合で説明する。最初に取り込んだ現在位置を中心として、上下左右に所定の範囲移動した上下左右のポイントをサーベイポイントとして複数設定する。その密度は細かくサーベイする度合いに応じて適切に設定すればよい。その場合、例えば、左右方向にnB分割した矩形領域の一番左上をポイント(0,0)として、その右隣をポイント(0,1)、その隣を(0,2)、その隣を・・・と定義して右上のポイントが(0,nB)となる。同様に上下方向にmB分割すると、左下がポイント(mB,0)となり、右下がポイント(mB,nB)となる。サーベイのどのような順番で動かしてもよいが、全部のサーベイポイントへ動かすようにすればよい。ここではA系のサーベイを粗く、B系のサーベイを細かくして効率よく広い範囲を詳細にサーベイするようにするのがよい。
処理16S006は、すべてのB系のサーベイポイントが終了するまで繰り返す。処理16S007の判別ですべてのB系サーイポイントのサーベイが終了した場合(Yes)、処理16S008で,受光信号レベルがピーク(最大)になるサーベイポイント(iB、jB)を求める。処理16S006の判別ですべてのB系サーベイポイントのサーベイが終了しない場合(No)、処理16S007へ戻る。
そして、同様に,A系も全てのサーベイポイントをサーベイするまで処理16S004から繰り返す。処理16S008で、全てのA系のサーベイの終了判別をして全て終了した場合(Yes)、処理16S009へ進む。処理16S009で、A系受光センサのピーク(最大)になったサーベイポイント(LiAp、LjAp)を求める。この段階では、A系はまだ広角でB系より荒いサーベイポイントでサーベイしている。また、続いて、処理16S010で、B系受光センサのピーク(最大)になったサーベイポイント(iBp、jBp)を求める。ここで、途中、処理16S007は、複数回行なわれるので、B系受光センサのピークになるサーベイポイント(iB、jB)は複数回求まるが、基本的には、すべて、同じ方向になる。微妙に方向が違うピーク点がいくつか生じた場合には、最もピーク(最大)の受光センサの信号になったポイントを最大ピークのポイント(iBp、jBp)とする。
処理16S011で、B系雲台をピークの出た方向(iBp、jBp)に向ける。ミラー駆動系のある場合はミラー駆動系を動作させる。処理16S012で、A系の発光用素子及び受光素子の位置を狭角の位置に駆動制御する。次に、処理16S013で、A系の雲台あるいはミラーのパンチルト駆動軸の方向を、処理16S009で求めたピークの出るサーベイポイント(LiAp、LjAp)の方向に向ける。
処理16S014で、A系を詳細にサーベイする。サーベイポイントは細かいサーベイポイント(iA、jA)へ順番に移動しながら、A系の受光センサの信号レベルを取り込む。処理16S015で、すべてのA系の詳細サーベイが終了判別して、終了するまで処理16S014を繰り返し、終了した場合(Yes)、処理16S016で、A系受光センサのピーク(最大)になったサーベイポイント(iAp、jAp)を求める。そして、処理16S017で、A系の雲台あるいはミラー駆動系をA系受光センサのピーク(最大)になったサーベイポイント(iAp、jAp)へ駆動制御する。そして、最後に処理16S018で、A系、B系、C系の通信状態をそれぞれ相手側の監視装置とのテスト通信を行なって、通信が正常に行なわれることを確認して通信系の確立したフラグをそれぞれセットして、一連の処理を終了する(処理16S019)。
本実施形態では、光無線の光軸の自動調整手段を設けるので、監視装置を多数設置して、光無線の個所が多数あっても、光軸調整作業員の手間をかけることなく、各監視装置の光通信部分の光軸調整を効率良く、簡単に行なうことができる。光軸の自動調整は、発光面及び受光面の向きをかえるパンチルト機構や、光軸まわりのねじり機構の自由度がある場合には、それらの駆動制御をモータで動作制御させる。そのモータの動作制御は、通常のサーボ制御などでパンチルトの角度やねじり機構のねじり角度などを検出してそれらの角度を任意に制御できるようにしておき、その制御は相手側からの受光信号のレベルを検出するようにしてその受信レベルの信号が大きくなる向きにパンチルトやねじれの角度、向きを制御するようにすることで、相手側の発光の方向へ自動で向けることが容易にできるようになる。受光と発光が同軸上にしてあるものであればねじり機構は不要になる。
また、受光レベルが最大の向きに合わせると発光の光軸もいっしょに合ったことになるので、より効率良く光軸を合わせることができるようになる。さらに、自動の光軸調整を行なう場合には、発光ビームの広がりを広角に可変できるようにしたり、受光素子側も斜めからの受光ビームが入りやすくする。すなわち、広角にして、大まかな向きの調整制御行なうようにして、概略の方向合わせが完了したらば受発光ビームを狭角に戻して、より正確な光軸合わせを行なうようにしてもよい。そのようにすれば、最初に概略の方向も設定されていない場合には、最初は色々な向きに受光素子を向けて発光素子のある方向を探索する必要があるが、その探索手順(どのような手順でパンチルト角を動作制御するかの手順)は効率よい手順をいろいろ設定してその手順で探索動作させるようにしてもよい。最初に広角ビーム状態で探索を行なえば1回でみつけられる角度範囲が広くなるので、全方向を探索する時間も短くなり効率よく探索制御して、その上で光軸の精度よい調整も容易に短時間に行なうことができるようになる。
また、パンチルト機構などの角度検出センサは、比較的低分解能の安価センサを使用して駆動速度も比較的低速のモータを適用して粗位置決めを行なうようにして、さらに受発光ビームをミラーに反射させて受発光を行なうように、ミラーをモータで駆動させてもよい。受発光素子をモータで動かすようにして光軸の向きを狭い範囲に限って動作制御可能とする場合には、ミラーの角度や受発光素子の位置は高精度で検出するようにして、駆動系も高速に高精度に位置決めできるようにしたサーボ系と組み合わせて構成することで、大きな向きの変更は粗位置決めのパンチルト動作系で行い、未調整はミラーなどの駆動系に高速動作系で行なうようにして広範囲の向きに対して高速に高精度に光軸調整できるようにしてもよい。もちろん、パンチルト駆動系も高速、高精度の駆動系にしてそれだけで広範囲の向きに対して高速に高精度に光軸調整できるようにしてもよいが、ミラーや受光素子単独で動作させたほうが動作させる質量が軽くなるので、容易に高速、高精度の駆動系を構成することが可能となる。
図18は、図14、図15で説明した概略の光軸合わせと、図16、図17で説明した詳細な光軸調整を続けて行なう場合を示すタイムチャートである。監視装置の全体の構成は、ホスト通信設備から監視装置1、次に監視装置2、次に監視装置3、次の監視装置4が通信系としてつながる構成となっているとする。t=t0でタイマーT1が起動したものとする。最初に、ホスト通信設備、全監視装置で同じ時計のタイマーを有しており、同時刻にタイマーT1は起動するようにする。各監視装置で、図14、図15で説明した概略光軸あわせの処理がスタートすると、最初、角度は色々な角度でよいが、例えば±10度でのサーベイ処理18S001を行う。そして、ピーク点が見つからない場合は、次に±30度の範囲のサーベイ処理18S002を行なう。図18では、監視装置2とホスト通信設備は、この段階で概略光軸調整が終了した場合を示している。監視装置1と監視装置3では、さらに±50度の範囲のサーベイ処理18S003まで実施して終了し、監視装置4は、±70度のサーベイ処理18S004まで実施して終了した場合の例で示してある。
次に、詳細な光軸調整処理は、同様に同時刻に起動されるが、そのタイマー起動の時刻t=t1を決めるタイマーT2は、概略の光軸調整処理の最大予想される最大時間を考慮して設定するようにする。それによって、図18のように、監視装置4が、最後まで概略の光軸調整を行なっている場合でも、その概略光軸調整がすべて終了してから、詳細の光軸調整処理18S005に入ることができるようになる。
本実施形態の光軸の自動調整手段は、所定の時刻あるいは所定の時間間隔で自動調整が実行されるようにする。光軸調整を自動で行なえる駆動サーボ系を有する各監視装置の光無線通信系の光軸調整は、その自動制御機能を起動すれば、いつでも自動で光軸調整を行なうことができる。各監視装置に光軸調整起動のスイッチを設けて、人がそのスイッチを押して光軸の自動調整を行なわせるようなことをしないでも、所定の時刻あるいは時間間隔で各監視装置が同時に光軸の自動調整が起動されるようにできる。
自動による光軸調整を行なう場合には、相手側の監視装置も自動による光軸調整状態にすることが必要になる。さらに当該監視装置の先には、その監視装置と通信を行なう監視装置が存在して、さらにその先には、多くの光無線での監視装置のネットワークが構成されるので、すべての監視装置が、同時に光軸自動調整が起動される必要がある。タイマーなどにより各監視装置が、同じ基準時間による所定の時刻、あるいは、基準スタート時刻からの所定の時間間隔でその自動調整機能が起動されれば全体の監視装置の光軸調整が行なわれ、監視装置のネットワークの光軸調整が自動に行なわれるので、容易に全体の光軸調整を自動で行なわせることができる。
また、電波時計で精度よく時刻を合わせるようにしてもよい。電波の届かない場所などでも精度よく時間を合わせる方法として、前回の通信の途中か、終わりのタイミングで互いの各監視装置間で同期をとって、例えば前回の通信の終わりのタイミングから所定の時間経過後に起動させるような方法を用いると、毎回、通信終わりで時計の誤差はキャンセルされるので、長期間繰り返しても各監視装置間での起動タイミングのずれは生じないように運用することもできる。
自動による光軸調整が、現在の向きの周辺に相手側がいることを前提にすると、自動による光軸調整が起動したときの向きの周辺に相手側を探索して光軸調整するようにしてもよい。また、各監視装置には少なくとも2チャンネルの光無線装置を搭載している。例えば、2チャンネルをAとBとすれば、Aはまずは受光側の調整を行い、Bは発光側の調整を行なうように自動調整の動作を行なうようにあらかじめ設定しておくことで、受光と受光側同志で合わせるような組み合わせを容易に避けることもできるようになる。最初に、概略AとB、BとAで通信する経路を決めておき、概略その方向に向けておいて自動調整を始めれば探索範囲は狭くてよいので、短時間に自動調整を行なうことが可能になる。概略向きを設定するのは、人手で向きを変えてもよいし、モータを駆動して人がマニュアル操作で向きを変えてもよい。モータを駆動する手動操作スイッチを監視装置本体に設けてもよいし、スイッチを直接押してもよいし、赤外線リモコンを使用して遠隔でその手動操作スイッチを操作させるようにしてもよい。
また、所定の時刻を細かく設定する、又は、所定の時間間隔を短く設定することにより、頻繁に光軸の自動調整を行なうようになる。このため、動く可能性のある場所に取り付けた監視装置などに対しても、有効に通信を確立維持させることができる。極めて短時間周期で、つまり、連続に光軸調整が行なわれるように設定した場合(例えば、移動ロボット、移動機械に搭載された監視装置、人に取り付けた監視装置、あるいは、風などで揺れるものに取り付けた監視装置)、監視装置が移動する速度、又は、揺れる速度より高速にミラーやパンチチルトなどを駆動制御する光軸自動調整が行なわれれば、そのような条件の場合でも安定した光無線通信を維持確立しておくことが可能となる。また、監視装置を固定式で同じところに設置しておくと、セキュリティ上もどこに監視カメラがあるかわかってしまうので、不審者はカメラを取り外したり、カメラに撮影されないように対応策を講じられてしまう。これに対し、監視装置自身を移動式にし、、監視カメラの位置が時々変わるようにすれば、そのセキュリティ上もより対応策を講じられなくすることができる。これによれば、監視装置が移動しても安定に高速の光通信伝送は確保できるようになるので、移動式の監視カメラをより容易に実現できる。
図19は、監視装置に画像メモリを設ける場合にCPU2に画像メモリを設けた場合の構成を示すブロック図である。画像メモリは、監視装置で監視点検を行なわせるために画像処理を行なう場合や、光軸調整でも監視装置の概略方向を最初にTVカメラで撮影した周囲の画像情報の中から抽出する処理を行なうのに使用する。その場合に、それらの処理をCPUで行なう場合は、画像処理をCPUの周辺デバイスとして設ける構成とするのがよい。この場合、CPU2(20(2))には、TVカメラ(100(S1))がI/F回路を介して接続されているので、そのCPU2(20(2))に画像メモリ(100(S2))もI/F回路を介して接続した実施形態である。
TVカメラ(100(S1))のレンズ系モータ(100(M1))もCPU2(20(2))からI/F回路を介して駆動回路(100(S3))で駆動制御可能とし、TVカメラ(100(S1))の雲台のパンチルトモータ(100(M2)),(100(M3))もCPU2(20(2))からI/F回路を介して駆動回路(100(S4))で駆動制御可能な構成としている。
光軸調整を行なうCPU3(20(3))は、光無線の光軸を調整制御するための駆動回路がつながっている。画像メモリ(100(S2))をCPU2(20(2))に接続した場合、CPU2(20(2))とCPU3(20(3))の同期処理や、処理データの交換を行なうために、CPU2(20(2))とCPU3(20(3))は、RS−232Cの直接の通信回線で接続している。また、CPU2(20(2))とCPU3(20(3))の通信は、この直接のRS−232Cで行ってもよいが、CPU1を介して通信を行なうようにして、直接のRS−232Cの通信回線を省略してもよいし、設けておき必要なときに使用するようにしてもよい。
また、タイマー21でON/OFFする電源の系統は、スイッチ35cでCPU2(20(2))の系統の電源がON/OFFされるようにして、スイッチ35dでCPU3(20(3))の系統の電源がON/OFFされるように構成している。この場合は、TVカメラ(100(S1))からCPU2が取り込んだ画像データを、CPU2は画像メモリ(100(S2))に一旦蓄えて、CPU2が監視点検にかかわる画像処理や光軸の概略方向を検出するための画像処理を行なう処理を行なうことができる。
図20は、監視装置に画像メモリを設ける場合にCPU3に画像メモリを設けた場合の構成を示すブロック図である。画像メモリ(100(S2))は、CPU3(20(3))にI/Fを介して接続する構成である。TVカメラ(100(S1))の画像データは、CPU2(20(2))で読み込んだ後、RS−232Cの通信回線を経由して、CPU3(20(3))へ転送して、CPU3から画像メモリ(100(S2))へ書き込むようにして、その上で、画像処理をCPU3で行なうようにしてもよい。転送速度が速い場合は、画像データの転送はCPU2からCPU1を経由してCPU3へ転送するようにしてもよい。
画像データを用いた画像処理で、相手側監視装置の概略方向を求めて光軸調整を行なう処理を頻繁に行なう場合には、CPU3(20(3))の電源系統をスイッチ35dでともに電源をONするそれ専用のTVカメラを、監視点検用のTVカメラ(100(S1))とは別に設けて、CPU3でそれ専用のTVカメラの画像データを読み込み画像メモリ(100(S2))へ取り込めるようにしてもよい。また、CPU3(20(3))を介さないでも直接、画像メモリ(100(S2))へ画像データを取り込めるようにしてもよい。
図21は、監視装置に画像メモリを設ける場合に画像処理専用CPU4に画像メモリを設けた場合の構成を示すブロック図である。監視点検のための画像処理や相手側監視装置の概略方向を検出するための画像処理などを行なうために、画像処理専用CPU4(20(4))は、CPU1(20(1))に所定のI/F回路を介して接続する。CPU4(20(4))に、画像メモリ(100(S2))をI/F回路を介して接続される構成とする。CPU4(20(4))は、CPU3(20(3))ともデータの送受ができるようにRS−232Cの通信回線を設けるとともに、タイマー21からの起動信号は、CPU4(20(4))へも直接入力する構成としている。また、CPU4(20(4))は、TVカメラ(100(S1))から直接に画像メモリ(100(S2))に画像データを転送可能なI/Fを設けて接続する。この直接のI/Fより、高速に画像データを画像メモリ(100(S2))へ転送できるようにできる。
また、高速の転送ができない直接のI/F回路とする場合でも、通常はTVカメラ(100(S1))からの画像データはCPU2で読み取り、CPU1を経由してCPU4へ転送して、画像メモリ(100(S2))へ画像データを書き込むように通常はしておき、CPU1(20(1))が他の通信制御の処理で負荷が多い場合に、TVカメラ(100(S1))からの画像データは、画像メモリ(100(S2))へ直接のI/Fを介して転送することで、CPU1の負荷を増やすことなく並行して画像データの転送処理ができるようになる。
図21に示すように、画像処理専用CPU4(20(4))を設けることで、各種の画像処理は、CPU1の通信制御、CPU2の監視点検制御処理、及びCPU3の光軸調整処理などと並行して高速に画像処理を行なわせることが可能となる。
また、CPU3(20(3))には、駆動回路(100(D11))を介してランプ(100(L1))を接続する。ランプ(100(L1))は、監視装置の位置を、他の監視装置に知らせるための目印となる。例えば、ランプ(100(L1))は、LEDランプでよい。CPU3(20(3))で、ランプ(100(L1))の点灯制御を行なえるようにすることで、必要なときのみ点灯して省エネを図るほかに、点滅するタイミングもCPU3(20(3))であらかじめ定めた所定のタイミングで点滅制御させることも可能となる。
監視装置の設置される周辺には、色々な環境があるためその中で監視装置を監視装置と認識しやすい特別な色、形状にして画像処理で監視装置を認識するようにしてもよいが、ランプを点灯することで暗い場所でも検出しやすくなる。ランプの色を特殊な色にすればより検出しやすくなるが、点滅のパターンを、通常にはないパターンで、CPU3で制御して点滅させることで、他の監視装置から容易に監視装置のランプの点滅であるということを検出しやすくなる。点滅のパターンをモールス信号などのようにコード化して自分自身の監視装置のIDコードを示すようにして、点滅のランプを画像処理して点滅のパターンコードを抽出するのみで、その方向にある監視装置のIDを検出することも容易にできるようになる。ここでは、TVカメラで撮影した画像データの中から所定の色、輝度のランプを抽出したり、連続して数10msかの周期で画像データを取り込み、ランプの点灯状態を検出して、ランプの点滅周期などの情報を得る方法は、通常の画像処理手法で可能なことであるので、ここであらためて詳細な説明は省略する。図21の構成では、ランプ(100(L1))は一つであるが、複数のランプを点灯、点滅させるようにして、より他の監視装置で検出し易くしてもよい。
図22は、CCDカメラで監視装置の概略方向を検出する場合の基本的な一実施形態を示す図である。手前に監視装置2(209b)があり、奥に監視装置1(209a)がある。監視装置2(209b)の本体にはA系の光無線装置(25Aof209b)とB系の光無線装置(25Bof209b)が雲台機構を介して取り付けられている。また、監視装置209bの本体の中央には雲台機構やズーム機構やフォーカス機構などのレンズ制御も付属しているTVカメラ(100(S1)of209b)が設置されている。TVカメラ部(100(S1)of209b)の上にランプ(100(L1)of209b)を取り付けている。また、監視装置209bの本体部分には全部をまとめて持ち運びできるように取手部(41(1))を設けて容易に持ち運びができるようになっている。
また、監視装置2(209b)の本体は、蝶ネジ(41(2))で容易にプレート(41(5))に取り付け又は取り外しができるようになっている。プレート(41(5))は、あらかじめパイプ41(6)にUボルト41(4)とナット41(3)で取り付けられている。監視装置2(209b)の本体ケースの内部には、図21に示すようなCPU1(20(1)),CPU2(20(2)),CPU3(20(3)),CPU4(20(4))、その周辺回路からなる基板、及び電源35aとなるバッテリーなどが収納されている。バッテリーは容量にもよるが、電力を消耗すると定期的に充電する必要があるので、監視装置2(209b)の本体ごと、蝶ネジ(41(2))を外して、取手部(41(1))で手軽に取り外して、現場から事務所などへ持ち帰り、事務所でケース内のバッテリーを充電されたバッテリーと交換して、再度、現場の同じ場所に設定し易い構成になっている。奥に記載の監視装置1(209a)も同様な構成である。
監視装置1(209a)のランプは、2個として、ランプ(100(L1)of209a)は、光通信装置(25Aof209a)の上に、ランプ(100(L2)of209a)は監視装置209a本体の端の上に設けた例として図示している。ここで、監視装置1(209a)のTVカメラの映像、すなわち、画像メモリ(100(S2)of209a)に取り込んだ画像のイメージの中には、監視装置1(209a)から手前を撮影すると監視装置2(209b)のランプ(100(L1)of209b)が手前に見える状況で写っており、その奥に他の監視装置のランプが3つ写っている状況を示す。
また、監視装置2(209b)のTVカメラの映像、すなわち、画像メモリ(100(S2)of209b)に取り込んだ画像のイメージの中には、さらに奥の監視装置3台のランプ(100(L1)of209c)、ランプ(100(L1)of209d)、ランプ(100(L1)of209e)が写っている状況を示している。
例えば、この状態で画像メモリ(100(S2)of209b)の画像処理を行い3個のランプを抽出して、3個ランプのそれぞれの画像中心からの変位量(ランプ(100(L1)of209d)の場合には、パン角度δθpとチルト角度δθtをいう。)を求めることは、通常の画像処理で容易にできる。また、画像メモリ(100(S2)of209b)を撮影したときのTVカメラ(100(S1))のパン角度がθp2、チルト角度がθt2である場合、監視装置2(209b)にとってのランプ(100(L1)of209d)の方向は、パン角度は(θp2+δθp)、チルト角度は(θt2+δθt)として求めることができる。同様に他のランプの方向も監視装置2(209b)自身に対する方向として検出することができる。これは監視装置1(209a)でも同様である。
画像処理で方向を求める場合には、取り込んだ画像データを撮影したときのレンズの撮影画角の情報も必要であるので、それも演算するCPUでは取り込んで処理をする。これらのランプの概略方向を求めるCCDは、点検監視に使用するTVカメラ(100(S1))でもよいし、専用の広角CCDを別に設けてもよい。カメラを魚眼レンズなどで1回の撮影で広角範囲の画像データを取り込むようにすれば、カメラの雲台制御なしで1回の撮影で広範囲のランプ位置を検出することも可能である。広角レンズになると画像のひずみも大きくなるのでその場合には、あらかじめレンズのひずみ特性データも取得しておき演算で方向を求めるときに補正するようにするのがよい。
また、プレート(41(5))は、常設的に取り付けておき、毎回、監視装置を同じ場所に容易に設定可能なものとするもので、パイプ(41(6))などのほか、通常のプレートや現場などに多いL型鋼(41(7))などにも容易に取り付けられる構造にしておくのがよい。ここで、光通信装置(25Aof209b),(25Bof209b)の雲台機構や、TVカメラ部(100(S1)of209b)は、監視装置209bの本体の上に取り付けているが、本体を設置する場所からは相手側監視装置と光通信に難点がある場合とか、TVカメラでの監視対象が見えにくい場合には、監視装置209bの本体の上にかぎらず、そこから取り外して、容易に、他の場所にも取り付けやすい構成にしておくことが好ましい。図22では、配線ケーブルの図示は省略しているが、必要に応じて長めの配線ケーブルに取り替えて少し離れたところに設置するようにしてもよい。
本実施形態の光無線の光軸の自動調整は、最初に、カメラで撮影した画像を処理する画像処理装置で周囲の監視装置の概略方向を検出してから、光無線の受発光部を概略方向に向けてから光軸の自動調整を行なうようにする。これによれば、最初にカメラで概略の方向を短時間に検出できるので、その次に検出した概略の方向に基づき詳細な光軸調整を行なうようにする。このため、全体の探索時間、光軸調整時間を短時間に効率よく行なうことができる。さらに、周囲に複数の監視装置が存在する場合でも、最初にカメラで自分自身の周囲に存在する監視装置を全てその概略方向を検出できるので、その次の処理として、順番にそれぞれの監視装置との光軸調整自動調整を行い、複数監視装置のすべての光軸自動調整を全部行なうようにすることもできる。1台の監視装置との光軸調整が済めばその監視装置との情報通信は可能となる。相手側の監視装置のID識別番号などを通信で取得するようにすれば、周囲に複数存在する監視装置の中で自分が通信するあらかじめ設定されている通信ルートの相手であるかどうかの識別もできる。これにより、周囲に複数存在しても適切な相手との通常通信ネットを各監視装置は構築することも可能とできる。
また、光軸調整終了後には光通信系統を使用して、相手側の監視装置との往復時間を計測するようにして、互いの監視装置間の距離を測定するようにすれば、通信相手の周囲の各監視装置の方向と距離を精度よく計測できる。このため、各監視装置間の相対的な位置関係もわかるので、各監視装置の所在は、各監視装置からのそれらの情報を収集するホスト通信設備からも確認することもできる。さらに、近くの監視装置との位置関係が既知になると、各監視装置のカメラの画像をステレオ計測して監視装置周辺環境の物体のアズビルトの3D−CADを生成して、3D−CADを用いて周囲環境や物体を認識させ自動監視、自動点検、あるいは、少なくとも、監視点検するべき範囲を自動認識させるようにしてもよい。
図23は、画像処理で周囲監視装置の概略方向を検出処理した結果のメモリの中の概念の一例を示す説明図である。No.は、周囲の監視装置の台数分の行データになるが、No.(1)での監視装置の概略方向は、パン角度(パン方向)が−123度で、チルト角度(チルト方向)が+15度、その概略方向の監視装置のIDは1で、自己の監視装置とB系統の通信装置を介して通信可能な状況にあるというデータを、1行で表現している。同様にNo.(2)の監視装置、No.(3)の監視装置と、検出した周囲の監視装置のランプの数に相当する行データを有する。ここで、監視装置のIDは、ランプの点滅パターンで識別するようにしてもよいが、最初の段階では、監視装置IDの部分と通信系統はブランクの状態でも概略の方向にランプがあるという情報のみを記憶しておき、次の処理、すなわち、既に図14、15で概略光軸調整手順、図16、17で光軸の詳細調整手順を説明したが、その中の図14、15の概略光軸調整のかわりに画像処理で求めた周囲の概略ランプの方向から、いきなり、図16、17の光軸詳細調整の処理を行なえば、相手側との通信が確立することができる。相手側監視装置から確立した通信系統を用いて、相手側の監視装置のIDを伝送してもらうこともできるので、その段階で当該方向にいる監視装置のIDは何であるかをメモリのテーブルに記憶してもよい。
また、ランプを取り付ける位置をあらかじめ通信装置25に対して所定の範囲内と決めておくことにより、ランプの方向から詳細な相手側の光無線装置の光軸を探索するための必要な探索範囲は、あらかじめ適切に設定しておくことが可能である。1つの監視装置に複数のランプを設けて複数のランプの方向から当該監視装置の概略の姿勢も検出できればより光無線装置の位置(方向)を絞り込んで探索を効率よく行なわせることも可能となる。また、ランプを用いないで監視装置そのものの色や形状で周囲の環境から監視装置本体を認識するようにしてもよいし、最初にランプで概略の方向を検出したあとに監視装置本体の色や形状でその大きさから概略距離を形状から設置されている姿勢を検出してもよい。
ランプで概略方向を検出した段階では、パン方向、チルト方向とも概略の方向であるが、図16、17で説明した方法などで詳細な光軸調整を実施したあとにはより精度のよいパン方向、チルト方向がわかっているので、メモリの中の相手側監視装置の方向データはより詳細な精度の良い方向データに書き換えるようにしてよい。ランプで検出した概略方向とは別に、精度よく求めた方向のデータを両方対応付けて記録しておくようにしてもよい。定期的に図16、図17、あるいは、図14、図15で説明した光軸調整を実施する場合の最初の初期位置を、このCCDで求めたランプの概略方向にあわせてから実施するようにしてもよいし、一度、詳細な光軸調整を実施したあとは、前回の詳細にあわせた光軸調整した方向を最初の位置として光軸調整をするようにするのがよい。基本的に監視装置は移動しない限り、位置が変ることはないので、広い範囲を探索することなくすぐに詳細な再光軸調整が完了させることができる。図23に示したメモリイメージは、監視装置2(209b)の場合にはA系側には監視装置3(209c)、監視装置4(209d)、監視装置5(209e)の3台が位置しており、B系の方には監視装置1(209a)が1台位置している状況を示している。
本実施形態の通信手段は、周囲の監視装置と光軸調整を行なって双方の通信が確立したとき、相手側の監視装置の識別番号と対応させて自分から見た相手側監視装置の方向を記録しておくようにする。再度、所定の時刻になって自動光軸調整を行なう場合に記録していた前回の方向に相手がいるということを前提に自動光軸調整を行なうようにする。これにより短時間に光軸調整を行なうことが可能となる。また、例えば、前回記録しておいた方向の周辺に相手側の監視装置が見付からない場合には、徐々にその周辺に探索範囲を広げれば、万一監視装置がずれて設置されている場所が変っても再度光軸調整で相手側との通信を再確立することができる。
図24は、監視装置の通信経路候補情報の取得を示す説明図である。図24(a)には、遠隔監視システムの全体構成を示し、図24(b)には、各監視装置のA系とB系で通信の確立している相手側の監視装置のリストを示す。ここでも、監視装置2(209b)を中心に説明する。図24(a)に示すように、監視装置2(209b)は、A系側に監視装置3(209c)、監視装置4(209d)、監視装置5(209e)の3台との通信が確立しており、B系の方には監視装置1(209a)とホスト通信設備10の2台との通信が確立している状況を示している。同様に、ホスト通信設備10は、A系が監視装置1(209a)と監視装置2(209b)の2台との通信が確立していて、B系には通信の確立している相手がない状態を示している。以下、同様なので説明は省略する。
次に、図24(b)のリストについて説明する。A系と通信できるのは、B系である。図中の点線は、通信できる相手を示している。例えば、ホスト通信設備のA系で通信の確立している監視装置1は、監視装置1のB系で通信の確立しているホスト通信設備と通信できるので、破線で結んでいる。同様に、ホスト通信設備のA系で通信の確立している監視装置2は、監視装置2のB系で通信の確立しているホスト通信設備と通信できるので、破線で結んでいる。図24(b)は、全ての通信できる相手との関係を示している。これは、通信可能な相手側の情報を、遠隔監視システムの全体において整理した情報であるが、この情報は隣合う監視装置同志が、自己の通信可能な相手側監視装置の情報を交換し、さらに、交換した情報も含めて交換を繰り返すと、すべての監視装置が、図24(b)に示すように遠隔監視システムの全体のそれぞれの通信可能な相手側監視装置の情報を有することが可能となる。また、ホスト通信設備にも、この情報を伝送されてくるので、監視者がいるホスト通信設備でもこの情報は参照することができる。
この情報を交換するタイミングは、全ての監視装置が同時でなければならないので、光軸調整が起動して詳細な光軸調整がすべて完了した直後の所定のタイミングで情報交換しあうようにすればよい。情報交換しあう回数は、遠隔監視システムの監視装置の数が多い場合は、その数に応じて多数回繰り返すように設定するのがよい。ここでは、説明を単純化するために、A系で通信可能な監視装置は、A系の通信装置のある180度側として、B系で通信可能な監視装置はB系の通信装置のある180度側として左右に切り分けた場合の例で示したが、実施にはA系でもB系でも一方向の監視装置と通信可能な場合もあるし、A系側にある監視装置とA系ではたまたま通信できないが、B系ならば通信できるという場合もあるので、A系とB系の方向を左右に限定しないで、全て通信可能な組み合わせを探索して、リストアップするようにしてもよい。
図25は、監視装置の通信経路の確立の方法を示す説明図である。図25に示すように、図24で候補にあがった全ての通信可能な通信回線の組み合わせから、ひとつの通信経路を決定している。A系及びB系で通信できる相手は、それぞれ複数候補あっても実際に通信をする場合は1つの相手に決める必要がある。各監視装置でA系1回線、B系1回線を選択する場合、遠隔監視システムの監視装置の選択パターンは、複数パターンある。その中から、1つのパターンを選択すればよい。例えば、単純な処理としては、複数のパターンの中から一つのパターンを仮定して、各監視装置の通信経路が、多くの監視装置と通信できるか否かで判定するようにすればよい。複数の全てのパターンの中から、最も多くの監視装置との通信が、途中と切れることなく通信経路を確保できるパターンを選択するのが望ましい。
図25には、複数ある中のひとつの通信経路のパターンを示したものである。各監視装置とも、A系1回線、B系1回線のルールに基づき選択されている組み合わせのパターンである。この組み合わせの場合、ホスト通信設備のA系と監視装置1のB系が連系され、監視装置1のA系と監視装置2のB系が連系され、監視装置2のA系と監視装置5のB系が連系され、監視装置5のA系と監視装置4のB系が連系され、監視装置4のA系と監視装置3のB系が連系された場合の組み合わせのパターンである。この組み合わせパターンの評価数値は、ホスト通信設備のほか、監視装置1〜5の合計6台が全て連系されているので、評価値は最大値の6台であり、これ以外の組み合わせパターンをほかに求める必要はない。
組み合わせのパターンの中には、途中で連系できなくなるパターンが多数存在するので、そういう場合の評価値は6台ではなく、評価値5台とか評価値4台になる。そのような候補パターンは採用しないようにする。但し、状況に応じては、例えば100台あっても100台すべて連系できない場合もありうるので、そのような場合には、全てのパターンの中で一番台数の多いパターンを選択するようにする。
評価関数は、例えば、台数の最大とするパターンの他に、監視装置の位置が概略わかっているような場合には面積が広くなる組み合わせパターン、南北にできるだけ遠くまでつながるパターンを選択するようにしてもよい。その選択するプログラムを、同じ評価関数で各監視装置に設けておけば、各監視装置は全ての監視装置の通信可能な相手側の監視装置の情報(同じ情報)を得ることができる。このため、同じ手順で同じ評価関数に基づく最適な通信経路をすべての監視装置が選択するようにすれば、自動で監視装置全体の通信経路を設定させることも容易にできる。
また、ホスト通信設備10に伝送された情報で、別途通信経路を自動で求めたあと、監視員が必要に応じて通信経路を設定し直した条件で、各監視装置へ通信経路の指定情報を伝送するようにしてもよい。このような場合は、まだ通常の伝送経路が確立する前であるから、伝送の方法としては、相互に情報を交換しあう方法で通信経路の情報も交換しあって、末端の監視装置まで届くようにしてもよい。あるいは、ホスト通信設備10の近くから徐々に遠くの監視装置に通信経路を指定しながら伝送していくようにしてもよい。
また、この通信経路を確立する方法は、光無線装置によるセンサネットワークにかぎらず、通信装置25A、25B、25Cが全部電波無線で構成する監視装置とする場合にも同様に適用できる。ただし、電波無線の場合、周波数割付でチャンネルを設定するので、A系とB系はチャンネル割付が同じにならないようにし、周辺近くに混信する同じチャンネル割付の系統はないか否かを考慮することが、通信経路を設定する場合のルールになる。そして、近くの監視装置同志で、チャンネル割付を変えない場合、あるいは変えられない場合には、順番に発信する監視装置、受信する監視装置の順番(少なくとも全員が受信する場合でも発信する順番は所定のルールの順番)を決めておき、その順番に従って発信と送信を行なうようにする必要がある。基本的には同じように最適な通信経路を自動的に決定させることが可能となる。ただし、順番制が導入されると、その分だけ確実に伝送速度は監視装置の員数とともに多くなるので、光無線装置でのセンサネットワークの方が高性能のネットワークを確立させることが容易になる。
本実施形態の各監視装置が、少なくとも自分自身の周囲の監視装置の識別番号の情報を互いに情報交換し、各監視装置が全体のネットワーク状態を認識し、あらかじめ設定される所定ルールに従って通信経路を確立させるようにする。すると、各監視装置は、通信経路が確立した直後に、各監視装置は、全体のネットワーク状態(通信可能なつながり)の情報を有するようになる。例えば、各監視装置に通信を行なう相手側監視装置の決定ルールを設定しておけば、その決定ルールに従って、自動的に自分自身が直接通信を行なう相手を周辺に複数ある監視装置の中から自動で決定させることができる。その結果、監視装置による光無線ネットワーク全体も自動で構築させることもできるようになる。また、その場合に、光無線で通信が行える相手側監視装置の情報以外に電波無線で通信のできる相手か否かの情報も利用して、光無線と電波無線の混在した監視装置ネットワークを構築するようにしてもよい。この場合、現在の監視装置ネットワークにあらたに1台の監視装置を途中に追加する場合も容易に監視装置全体のネットワークを再構築させることが可能となる。
本実施形態のホスト通信設備は、各監視装置へ通信経路を指令で与えるようにする。すると、ホスト通信設備では、オペレータが各監視装置の通信経路を決定して指示したり、通信経路を変更して指示したりすることが可能となる。互いに光軸調整が確立した段階で、各監視装置が相手側との情報交換を行い、その情報交換を行なった情報も含めて再度各監視装置との情報交換を行なえば、各監視装置は、全体の各監視装置の周辺の通信可能な状態にある監視装置の情報を共通することができる。さらに、その情報はホスト通信設備まで届くので、ホスト通信設備でオペレータは各監視装置のネットワーク接続可能な条件をすべて確認することができる。各監視装置にあらかじめ組み込まれた通信経路の設定手順で自動的に設定され、その設定された情報がホスト通信設備で参照でき、その自動設定された通信経路をオペレータが一部変更するようにしてもよい。
また、通信経路の自動設定は、ホスト通信設備側の計算機で自動的に行なうようにしてもよい。新たに監視装置を追加設置する場合とか、監視装置ネットワークの中の監視装置が故障した場合の通信経路の迂回設定などが自動でも行なえる。しかしながら、自動で簡単なルールであると、完全につながらない部分も生じる可能性がある。そのような場合は、ホスト通信設備からオペレータが考えた効率のよい通信経路を指示して、ネットワークを設定することができるようになる。その場合は、まだ、監視装置ネットワークは、完全に完成していない状態である。ホスト通信設備からの通信経路指令情報は、各監視装置が、所定の時刻になって光軸自動調整を行なって、各監視装置間での情報交換を行なっている状態モードを、周囲の監視装置全部へ通信する特別通信モードとして、各監視装置にもたせておく。その状態のときに、ホストからの通信経路の指令を送信してすべての監視装置にその指令を配信するようにし、その後、その通信経路指令に基づく経路で通信を開始するのがよい。
図26は、原子力発電所の格納容器内に監視装置の利用を示す説明図である。原子力発電所の原子炉(301(1))は、格納容器(301(2))で覆われている。格納容器(301(2))の中には、プラント運転中に、通常、人は入れない環境となる。そこで、格納容器(301(2))の中には、PLR(1次系再循環)ポンプ設備(301(5))、MSIV(主蒸気隔離弁)設備(301(6))などがあるので、それらのプラント運転中の監視点検のために、監視装置209a,209b,209c,209d,209e,209f,及び209gを設置して監視点検するようにした場合である。監視装置209bには、光通信装置をA系、B系以外に、光通信装置(25Dof209b)を設けている。監視装置209bは、監視装置209aと監視装置209eのほかに、監視装置209cと通信できる構成としている。
また、PLRポンプなどは、振動の状況をモニタリングする場合も監視点検上は有効なので、振動センサ(101of209f)をポンプに取り付けて振動センサ(101of209f)の情報も、監視装置209fは取り込めるようにしている。格納容器(301(2))内は、プラントの定期検査のときに人が入りポンプやバルブの定期検査が行なわれるが、監視装置を設置する場合もプラントの定期検査の期間中に行なう必要がある。そのような場合、他の定期検査作業も並行して行なわれ、また、格納容器(301(2))の中は狭隘な場所もあるので、監視装置は容易に設置できることが望ましい。このため、図22で説明したような取り付け構造にしてバッテリーを収納した1体化した監視装置を容易に所定の場所に設定できるようにするのがよい。
また、光軸調整も自動で容易に行なえるようにするのがよいが、手動で行なう場合でもレーザーの強度を切り替えるスイッチ(25(11))を有効に活用して、光軸合わせのときにはレーザーを見やすくして調整し、調整完了後はまだ定期期間中は人がレーザー間を横切る場合もあるので、レーザーをクラス1など弱いレベルに切り替えて運用できるようにするのが安全かつ使い勝手のよいものとなる。
また、格納容器(301(2))は、原子炉建屋(301(9))にあるので、ホスト通信設備10は、事務室の建屋(301(10))の中とか、プラントの運転を行なう中央操作室(301(11))に設置するのがよい。本実施形態では事務室(301(10))に、ホスト通信設備10aを中央操作室(301(11))にもホスト通信設備10bを設置して、どちらのホスト通信設備からでも各監視装置の点検監視がいつでもできるように構成している。格納容器(301(2))の中への配線は、ペネトレーション(301(8))を介して最初の監視装置209aには有線の通信で接続してもよい。ペネトレーション(301(8))は電気ペネトレーションでもよいし、光電気の変換器をペネトレーションの両側に設けることで光ペネトレーションであってもよい。また、光ペネトレーションの場合には電気に変換しないで前記監視装置の光無線通信装置の受発光部に光ファイバケーブルなどで接続するようにしてもよい。また、格納容器301(2)の外でも主要な機器はあるので、途中の分岐ユニット61で分岐させて、監視装置209h、監視装置209i、監視装置209jなどを格納容器301(2)の外にも配置して同じホスト通信設備10a、10bで監視点検できるようにしてもよい。
ここで、原子力発電所の通常運転中は、人が入ることのできない格納容器は閉鎖された空間であるが、そのような閉鎖空間の外側にはホスト通信設備10a,10bを配置しておけば、発電所運転中には閉鎖空間となる格納容器内の監視点検が外からできるようになる。また、最初から格納容器内に多数の監視装置を配置しておかなくとも、定期的に発電所の点検を行なう期間には格納容器内へも人は出入りが可能となるので、あらかじめ、ペネトレーションを介して、外側にホスト通信設備を接続可能としておき、また、内側には監視装置を追加設置できるようにしておくことで、必要な場合にはすぐに定期検査で人が入れるときに格納容器内に監視装置を追加設置でき、合理的な運用を行なうことが可能となる。
格納容器(301(2))内には、照明(301(4))がある。格納容器(301(2))内の設備をTVカメラなどで撮影して点検を行なう場合には、格納容器(301(2))内の天井(301(3))に設置された照明(301(4))を点灯させるので、各監視装置は、照明の点灯状態を検出して電源がONするようにして、必要なときだけ電源をONするので有効である。
また、定検期間中に各監視装置を設置して光軸調整を行なう必要がある。光軸調整中には、各監視装置の電源をONする必要があり、光軸調整や初期の条件設定操作などで各監視装置本体内に収納しているバッテリーを消費してしまう。このため、実際にプラント運転後、格納容器(301(2))内に人が入れなくなってから、必要時には本監視装置の電源を遠隔リモートでONさせて、不要なときには電源OFFして、内蔵しているバッテリーをできるだけ有効に長持ちさせて利用する。最初の保守員が格納容器内に入った際の調整で、内蔵バッテリーを消耗させるため、運用後の運転可能時間が短くなってしまう。保守員が入って光軸調整や初期の設定操作を行なっているときには、保守員が別のバッテリーパックを持って入って、監視装置の外部電源入力部分にバッテリーパックの電源ラインを接続することで、内部のバッテリーを消耗させることなく、外部のバッテリーで光軸調整や必要な初期設定操作ができるようにするのがよい。
また、格納容器内の監視装置の必要なときのみ電源ON/OFFを行なう方法の一つとして、例えば、監視装置209aの電源をペネトレーション(301(8))を介して有線で供給するようにして、ペネトレーション(301(8))の外側でその電源供給ラインをON/OFFできるようにしておく。各監視装置は光無線の有無を検出する通信状態検出ユニットの信号で電源ON/OFFするようにしておくことにより、ペネトレーション(301(8))の外側で最初の監視装置209aの電源をON/OFFする。監視装置209aの光無線の光の発光がON/OFFするので、容易に、監視装置209aから光無線通信を行なう監視装置が順番に電源ON/OFFさせることも容易に実現することが可能となる。途中、電波無線で通信を行なう監視装置がある場合には、同様に、電波無線の電波の有無で電源をON/OFFするようにしておくことにより、同様に、格納容器内全体の監視装置の電源のON/OFFを必要なときだけ、外側から容易に操作制御ができる。
また、ここでは図示していないが、格納容器(301(2))内には、プラント運転中空調設備内部は窒素ガスで充填される。空調設備により風が吹いているので風力発電ユニットで内蔵バッテリーに充電してバッテリーの運転寿命を長くするような構成にしてもよいし、照明のわずかなエネルギーでもソーラーパネルで発電して内蔵バッテリーに充電して運転寿命を長くするようにしてもよい。
格納容器(301(2))内は、プラントの原子炉建屋などの通常人が入れるエリアは蛍光灯が常時点灯している。このため、ソーラーパネルで発電して内蔵バッテリーに充電する際、蛍光灯が点灯したときにしか充電できないが、蛍光灯の照明で得られるわずかな電力でも24時間連続して長時間充電することで、内蔵バッテリーの運転寿命を長くすることができる。ここで、内蔵バッテリーの運転寿命を長くするためには、回路の設計で省電力設計にするが、必要なときのみ必要な範囲の電源をON/OFFさせる機能も有効である。その動作の詳細は後述する。
また、格納容器(301(2))内は、プラント運転中、放射線が高くなるので、光無線装置が放射線で損傷する場合も予想される。そのような場合には、無線LANの通信装置をC系統として用意しておき、万一、A系あるいはB系の光無線系統の一部が損傷した場合や、隣の監視装置が損傷した場合などに無線LANのC系を適切動作させて無線LANによる通信を確立できることが好ましい。無線LANの伝送速度は、光無線の伝送速度よりは落ちるが故障時のバックアップ手段として有効である。
また、プラント内に本監視装置を適用した場合、プラント内を巡回する人が通話として利用できるようにしてもよい。通信装置にPHS(Personal Handy-phone System)通信装置を接続して、人がPHS端末をもってPHSにもIDをもたせて音声データを伝送するようにする。通話を可能にしてもよいし、センサ部にマイクを設けて、監視装置近くの音や声を監視装置で検出して伝送できるようにする。CPU2あるいはCPU3からアンプを経由してスピーカを接続しておき、他から伝送されてくる音声データをスピーカで音に変換して監視装置の周囲に聞えるようにしてもよい。
また、人が携帯端末8を持って巡回しているときに、携帯端末8の一つのIDとしてデータの送信、受信が行なえるようにしてもよい。CPU1の通信装置の部分に携帯端末8が接続できるようにしてもよい。光無線装置と携帯端末8とで通信を行なうようにしてもよいし、あるいは、CPU3に後述する赤外線リモコンを接続して、赤外線リモコンを使って携帯端末8からデータや音声の送受信もできるようにしてもよい。また、携帯端末8をホスト通信設備としたシステム構成として、どの監視装置からでも、どこにでも、ホスト通信設備を接続したシステム構成を任意に構成可能となる。
図64は、ホスト通信設備を携帯端末として利用する場合の端末の実施形態を示す説明図である。携帯ホスト端末80本体には、光無線装置25と赤外線リモコンの通信ユニット(38(3))が首振り可能に取り付けてあり、現場に設置されている監視装置の方へ向けられるようになっている。携帯ホスト端末80と各監視装置との通信は赤外線リモコンの通信ユニット(38(3))を介して行なうことができるようになっている。赤外線リモコンの通信速度が監視装置とやりとりするデータ量に対して十分な場合には赤外線リモコンだけでもよいが、画像データなどを高速に通信する場合には携帯ホスト端末80の光無線装置25を監視装置側の光無線装置と光軸を合わせて高速な光無線通信でデータの送受を行なうようにしてもよい。その場合、最初は、赤外線リモコンで監視装置側に監視装置の光無線装置をこちらへ向けるような制御指令や、概略向きがあった場合、光軸調整を自動行なわせるような制御指令を送信でして、光無線装置の通信を確立させてから光無線通信で高速なデータの送受を行なうようにする。勿論、常に、赤外線リモコンと光無線通信の両方の通信を確立させておいて、制御コマンドで使い分けをするようにしてもよい。光無線装置25の先には双方向の光を同軸化するユニット(25(18))を設けて、さらにその先には、ミラーによる光軸自動調整ユニット(25(21))を取り付けて、常に光の来る方向でミラー制御されるようにしておくことにより、人は概略の方向のみあわせれば、あとは自動で光無線装置の光軸を調整されるような運用も容易に行なうことができる。
また、携帯ホスト端末80のモニタ表示の実施形態としては、横軸に時間軸をとって、縦軸に各監視装置の点検結果をとって、各監視装置の点検結果を時系列のグラフ表示するようにした。監視カメラ1の点検結果が(83(1))、監視カメラ2の点検結果が(83(2))、監視カメラ3の点検結果が(83(3))、監視カメラ4の点検結果が(83(4))、監視カメラ5の点検結果が(83(5))である。ここで、点検結果は、各監視装置のセンサデータを処理した結果であるが、温度計などの1つのセンサの1つの出力を時系列にグラフ表示することでもよいが、複数のセンサからなる1次元のラインセンサや2次元のカメラなどのセンサデータについても1つの点検結果のデータとすることで、グラフ表示でき、また、そのようにグラフ表示することにより、1つのモニタ表示画面に複数の監視装置の点検結果を並べて表示して同時に見ることができるようになる。本実施形態では2次元のカメラの点検結果を1つの値として求めて、時系列のグラフ表示としている。
ここで、カメラの2次元のセンサ情報から1つの点検結果を得る方法としては、これも1例であるが、例えば、特開平7−210784号公報で開示しているように時系列の画像の差分画像を求めて、その差分画像の変化した画素数をその点検結果の代表値とする方法である。特開平7−210784号公報の図7の点検時フローの中の処理(23)で求める画素数がそれに相当し、特開平7−210784号公報の図14の水滴Dの面積がそれに相当する。また、2次元の赤外線カメラを用いた温度分布の変化の点検結果としては、これも、一例であるが、特開平6−281543号公報の図6のフローチャートの処理(79)で求める2次元の相関係数r2とか、あるいは処理(81)で求める異常度Sを点検結果として利用することでもよい。このように、2次元センサのカメラの点検結果についても1つの代表値としてグラフ表示することで、複数のたくさんの監視装置の点検結果を短時間に多くの監視装置の結果を確認するのに有効となる。
また、モニタ画面内でライトペン81を用いて表示マーク82をスクロールスイッチ(85(1)),(85(2))のところに移動させてライトペン81でクリックさせると画面が左右にスクロールさせて、先の時間の点検結果、過去の時間の点検結果も容易に確認することが可能となる。また、縦のスクロールスイッチ(85(3)),(85(4))をクリックして画面を上下にスクロールさせると他の監視カメラの点検結果も表示できれば、より多くの監視装置の点検結果を効率よく確認することが可能となる。また、表示マーク82を例えば点検結果グラフ(83(2))のどこかに近づけてクリックすると、その監視カメラのその時間の映像が表示されるようにすると、即座にその点検結果に対応した画像を表示させて確認することもできる。
また、点検結果グラフで点検結果が異常の個所には、アラームマーク(84(1)),(84(2))のように色を変えたり、点滅させたりして、目立つように表示してもよい。従来のように比較的監視装置の台数が少ない場合は各画像を複数マルチで表示したりして切り替えることでもよかった。しかし、監視装置の台数が非常に多くなる場合には、その結果を短時間に確認したり、異常個所を探索したりする場合には、2次元のカメラのセンサの処理結果を1つの数値の点検結果として複数の時系列のグラフ表示にすることで、非常に多くの場合の監視装置の台数にも対応可能な表示とすることができる。
図66は、格納容器外の監視システムのシステム構成の一例を示す説明図である。通常の火力プラント、化学プラント、水力発電所なども同様であるが、原子力発電所の格納容器内と違って、通常、人がいけるところは、監視点検したいときだけできればよいというケースは少なく、定期的に巡視点検を行なっているところを遠隔であるいは自動で定期的に連続して、長期間行ないたいというニーズがある。格納容器内の場合には、漏洩検出系が異常を示した場合、ほかのセンサで異常が検出された場合などに、どこが異常かをプラント運転中に調べられれば、プラントを止めないで済む。また、プラントを止める場合にも事前に情報があるので、プラントの停止期間を短くできる。また、監視員が見たいときにのみ電源を投入して監視点検を外からできればよいので、異常が発生しない場合には次の計画停止まで1度も電源をONしないでも済む場合がある。そういうことから、各監視装置の省電力化が十分でなく、連続運転可能時間にバッテリー容量からの制約条件があっても容易に適用可能な場所である。
しかしながら、格納容器外のように定期的に行なっている巡視点検の代わりに遠隔監視システムを運用したいという場合には、各監視装置の電源をONする回数、運転時間数が多くなる。そうなると内蔵しているバッテリーの容量の関係で運転時間を制限され、頻繁にバッテリーの交換を余儀なくされるので、運用性が悪くなる。勿論、各監視装置の雲台やカメラレンズなどの機械的なパワーを必要とする部分を高角の高分解能のカメラにして機械的に動作させなくても広い範囲の詳細な画像データを得られるようにするとか、各制御部の回路も省電力化を図り、監視装置全体として省電力化が進み、バッテリー方式でも十分長時間の運転が可能になれば別である。あるいは、プラント建屋内の蛍光灯などの照明は通常24時間点灯しているので、太陽電池による電力が消費電力より大きい場合にはそれだけでも連続運転は可能になる。しかしながら、まだ、十分な省電力化ができない段階で長時間運転したいようなシステムとして構築する場合の実施形態である。
図66に示すシステム構成を説明すると、事務室(301(10))や中央操作室(301(11))のホスト通信設備10a,10bの計算機は、コンセントなどへ接続しておけば24時間の電源ONした運転には支障ない。また、原子炉建屋(301(9))の中の建屋電源から電源盤を介して、ハブなどの分岐ユニット61、監視装置209a、監視装置209b、監視装置209c、・・・と主要な連続して長時間監視点検したい個所には有線で電源を各監視装置まで布設し、基幹の監視装置の構成を構築し、基幹の各監視装置の電源は常時電源ONあるいは大元の電源盤で電源ON/OFFできるようにする。その電源盤の電源をONしたときには、連続してバッテリーの容量を気にしないで長時間電源をONできるようにしておく。
各監視装置には、Dチャンネルの光無線装置(25Dof209b),(25Dof209c)などを設けておき、ホスト通信設備10aあるいは10bの指令で各監視装置のDチャンネルの光無線通信装置の電源をON/OFFできるようにする。これにより、必要に応じて監視装置を追加したいような場合には、バッテリー容量で所定の時間は運転できる監視装置209x、209y、209zなどを容易に追加して監視点検できるようにしたシステム構成である。パトロール員は、携帯端末型のホスト通信設備80を携帯して巡視すれば、現場で各監視装置から直接任意の場所の各監視装置を操作し、必要なデータは参照できるようになる。パトロール員は、現場で作業中にいちいち事務室や中央操作室へいかなくても各監視装置の操作や監視点検し、監視点検データを参照することができるようになる。
このように、長時間電源ONしたい場所には、有線で電力を供給する監視装置やハブなどを用いて基幹系統を構築しておき、その他に特別に監視点検したい場所が追加になったような場合には、バッテリー内臓の完全に無線の監視装置を基幹系統の監視装置から通信チャンネルを確保することで容易に追加可能なシステム構成を得ることができる。勿論、連続で引き続き監視したくなった場合は、そこに設置する監視装置にも電源を有線で供給するように追加で工事して基幹系統を拡張してもよい。また、基幹系統の通信は、すべて光無線で行なうようにしてもよいし、有線の通信でもよいし、電波無線を使用することでもよい。電波無線の場合も電波無線の電波発信をON/OFFすることで、その電波で通信を行わせる監視装置の電源をON/OFFさせるようにしてもよい。
図27は、カプセルに収納した監視装置を示す構成図である。監視装置209bの光無線装置(25Aof209b),(25Bof209b)、TVカメラ部(100(S1)of209b)、本体部分のすべてが、カプセル(39of209b)の中に収納される。カプセル(39of209b)は、密閉された容器で、光無線装置(25Aof209b),(25Bof209b)がレーザーの送受信を行なう範囲やTVカメラ部(100(S1)of209b)が監視点検を行なう範囲は、透明の部材でできている容器に覆われる構造とする。これにより、密閉状態でも光無線通信や監視点検には支障のないような構造とすることができる。同様に、監視装置209aの光無線装置(25Aof209a),(25Bof209a)TVカメラ部(100(S1)of209a)、本体部分のすべてが、カプセル(39of209a)の中に収納される。
また、監視装置209bの本体部分にも電源部35aのバッテリーなどが収納されていてよいが、容器をひとまわり大きくすることで、より大きな容量の電源部(35aof209b)をカプセル(39of209b)内のスペースに収納可能となる。監視装置209b全体をカプセル(39of209b)に収納することで監視装置209bを容易に防水構造にすることができる。また、カプセル(39of209b)の中には大きな容量の電源部(35aof209b)も共に収納している。バッテリーの充電のための回収、再取付けを不要とするために、ソーラー発電機(36of209b)や、風力発電機(37of209b)を設けて、カプセル(39of209b)内のバッテリー(35aof209b)に充電できるようにしている。風力発電機(37of209b)は、風見鶏のように回転自在の構造で取り付けることにより常に風の吹いてくる方向を向いて効率良く発電できるようにする。
また、カプセル(39of209b)は、それ自体が密閉された容器であるので、ポール(41(9))などへの取り付けの際、バンド部材(41(8))などでカプセル(39of209b)とポール(41(9))を締め付けて取り付けると取り付けが容易になる。
また、監視装置209bをカプセル(39of209b)の中に収納しているので、手動で監視点検の条件を設定入力し、光無線装置(25Aof209b),(25Bof209b)、TVカメラ部(100(S1)of209b)の雲台を操作して向きを調整するような操作を容易に行なえない。このため、カプセル(39of209b)の外部に手動操作の押しボタンなどを配置してもよいが、カプセル(39of209b)の内部と外部を配線により貫通させる必要があり、貫通部を防水構造にするとOリングやパッキンなどの経年劣化する部品を多用することになる。これに対処するため、カプセル(39of209b)内には赤外線リモコンの受光部(38(1)of209b)を設けて、カプセル(39of209b)の外からリモコン(38(2))で必要な手動操作や初期の設定を行なえるようにする。これによって、手動操作や設定操作もでき、かつ、カプセル(39of209b)全体の防水構造を容易に実現できるようになる。
また、カプセル(39of209b)の光を通す部分は、経年で汚れると光の透過が悪くなる。このため、カプセル(39of209b)外表面には、清掃ロボット(400of209b)を取り付けておき、定期的にカプセル(39of209b)外表面をきれいに清掃できるようにする。
図28は、複数の発電装置を取り付ける場合の電源部の構成を示すブロック図である。電源部35aには、蓄電装置(35(1))が備えられ、太陽電池36で得られた電力は、DC/DCコンバータ(35(2))を介して適切な充電電圧に調整されて蓄電装置(35(1))に入力される。また、風力発電機37で発電される電力は、DC/DCコンバータ(35(2))を介して適切な充電電圧に調整されて蓄電装置(35(1))に入力される。蓄電装置(35(1))からは、DC/DCコンバータ(35(3))を介して外部の負荷回路(35(4))へ必要な電力は出力される。
また、電源部35aには、外部電源の接続コネクタ部(35(C1))を設けている。監視装置に内蔵の蓄電装置(35(1))からの電力の使用を抑制して無駄な電力消費を少なくするために、外部の別のバッテリーパックを接続コネクタ部(35(C1))に接続し、DC/DCコンバータ(35(3))を介して、負荷回路(35(4))に接続できる。また、太陽電池や風力発電以外に外部からレーザー照射などで電力を供給するような場合も、コネクタ部(35(C2))を設けてあり、レーザーなどで受け取った外部からの受電エネルギーを電力としてDC/DCコンバータ(35(2))を介して適切な充電電圧に調整して蓄電装置(35(1))に入力可能な構成とする。このような構成とすることで、監視装置の電源部35aは、負荷回路(35(4))への電力供給を十分長くすることが可能となる。
図29は、複数の発電装置を取り付ける場合の電源部の別の構成を示すブロック図である。図29は、図28と比較して、電源部35aに電気分解水槽38a及び燃料電池38bを設けている。太陽電池36や風力発電機37の電力は、一旦電気分解水槽38aで電気分解のエネルギーに利用され、そこで生成された水素を燃料電池38bに蓄えるようにする。蓄電装置(35(1))の電力を利用する以外に、燃料電池38bの電力もDC/DCコンバータ(35(3))を介して外部の負荷回路(35(4))を駆動させることに利用可能とする場合の一実施形態である。燃料電池38bの出力は、DC/DCコンバータ(35(3))を介して負荷を駆動するようにしてもよいし、DC/DCコンバータ(35(2))を介して蓄電池(35(1))へ蓄電するのに利用する構成としてもよい。また、定期的に燃料電池を交換してもよいし、あるいは、水素を直接外部から補給してもよい。
図30は、カプセルに収納した他の監視装置を示す構成図である。カプセル39に収納した監視装置209は、適当な高さから周囲を監視点検できるように灯台(41(10))の上に載せる設置方法としている。その場合、灯台(41(10))の内部には広いスペースがあるので、そこに十分大きな容量のバッテリーなどを有する電源部(35aof209)を収納しておくことができる。また、カプセル39は、灯台(41(10))の上にのせるので、風力発電機37は、カプセル39の上に配置してカプセル39の上で風見鶏のように風邪の方向に向くようにしておくのがよい。
図65は、カプセルに収納したさらに他の監視装置を示す構成図である。図65(1)は、街灯に似せてカプセル収納した場合の一例を示す。カメラ部(100(S1))、光無線の通信装置25A,25Bなどは、街灯の形をしたカプセル39の中に収納して監視装置209を構成させる。監視装置209は、街灯のようにポール(41(11))の上に設置される。また、カプセル39の中には照明91を一緒に収納して、街灯としての機能をもたせてもよい。カプセル39の屋根部と側面は、透明あるいはマジックミラーなどで監視装置ということが目立たないようにしてもよい。また、図65(2)は、カプセル39の一端にフランジ(41(12))を設けて、そのフランジ41(12)をボルト41(13)で取り付けることで、サポート41(14)に設置可能とした場合の一例である。図65(3)は、フランジ41(12)付きのカプセル39を180度の逆さまにして、サポート41(14)に設置した場合の例である。また、カプセル39を90度あるいは任意の角度傾けてサポートや壁などに取り付けてもよい。このような構造にすれば、色々な向きにカプセルを設置できるので、監視装置の設置や増設、設置位置の変更なども容易に行なえる。
また、太陽電池36もカプセル内に設けるが、灯台(41(10))の周囲の全体を太陽電池パネルにしてもよいし、灯台(41(10))の近くにソーラーパネルを設置してそこから配線を介してソーラーパネルで発電した電力を監視装置209内のバッテリーに供給するようにしてもよい。また、この灯台(41(10))の上部の高い位置にカプセル39を設置しても、人201が赤外線リモコン38(2)を持って近くまでいけば、容易に監視装置内の初期設定や手動操作を人がカプセル39の外から行なうことができる。
また、ダムの点検を遠隔で行なうために、ダムのキャットウォールなどの歩廊の手摺りのパイプ(41(9))にカプセル39を設置する場合には、バンド(41(8))で容易に設置することができる。ダムの歩廊の場所が通常下からの強い風が吹き上げていて、その風の向きが、通常年中変わらないような場所である場合には、あらかじめ風力発電機(37(1)),(37(2))をカプセル39の両側に下から吹き上げる風に対して効果的に発電できるように設置しておくのがよい。この場合も、監視装置209の初期設定や手動操作は、赤外線リモコン38(2)で容易に行なうことができる。
図31は、監視装置を移動体に設置した場合の運用形態を示す説明図である。図31に示すように、監視装置を、移動体として移動ロボット200、人201、木202(ここでは、木は揺れが生じることを意味する。)に設置している。監視装置209a,209bは、灯台の上に設置しているが(図30と同様)、監視装置209zは、移動ロボット200の上に設置している。また、監視装置209cは、木202に設置されており、監視装置209dは、人201が身につけている。監視装置209zは、移動ロボット200の制御装置200Cと接続するが、その接続方法などは後述する。ここでは、監視装置209zが移動ロボット200に搭載されて移動ロボット200とともに移動するようにした場合の使い方を説明する。
移動ロボット200が、固定された監視装置209a,209bの近くにいない場合には、監視装置209aと監視装置209bとは隣り合う監視装置として直接通信を行なっている。このときに、監視装置209zを搭載した移動ロボット200が近くに来た場合、監視装置の通信経路の組替えを行なう。通信経路は、図31に示すように監視装置209aは、監視装置209zと通信を行い、監視装置209zは、監視装置209aと監視装置209bと通信を行ない、監視装置209bは、監視装置209zと行なう。
移動体である移動ロボット200との通信経路の確立は、図23、図24、図25で前述した通信経路の確立を、ロボットの移動速度(例えば4km/h=約1m/秒とすれば)に対応する周期(例えば、1〜2秒周期)で組替えを繰り返し行なうようにする。移動ロボット200が監視装置209a,209bの近くにいない場合、監視装置209a,209bは、直接通信を行なう通信経路が選択される。移動ロボット200が近くにくると、監視装置209zを間に入れた通信経路が選択されるようになるので、容易に実現可能となる。この場合、監視装置209aと監視装置209bとで監視装置209zと通信を行なっているパンチルトの方向は、通信経路の確立で検出されている。例えば、ここで、監視装置209aからのパンチルト角度が(α2,β2)の方向に監視装置209zがいて、監視装置209bからのパンチルト角度が(α1,β1)の方向に監視装置209zがいることになる。この情報は、監視装置209a,209b,209zあるいはホスト通信設備10でも通信で伝送しあうことで得ることのできる情報である。
また、監視装置209a、209bは、灯台に固定の監視装置である。その位置(どこかに基準の座標系を設定した場合は座標X、Y、Zで表現される位置)は、既知であるので、既知の2点のポイントからそれぞれのパンチルト角の方向に、監視装置209zがいることになる。監視装置209zの位置(X、Y、Z)は、容易に求めることも可能となる。その監視装置209zの位置情報をホスト通信設備10でモニタするように利用すれば、ホスト通信設備10から移動ロボット200の現在位置をモニタリングするのに利用できる。
また、監視装置209zの位置情報を移動ロボット200の制御装置200Cで利用するようにすれば、移動ロボット200の現在位置と周辺のマップ情報をもとに移動ロボット200が向かう目標地点までのナビゲーション制御を行なうのにも利用することができる。この場合には、頻繁に通信経路の組替えを行なわないとならない。この対処方法として、監視装置209a,209bにそれぞれ移動体と通信を行なう専用のD系統の光無線装置(25Dof209a),(25Dof209b)を設けておく。監視装置209aの近くに移動ロボット200がいる場合には、光無線装置(25Dof209a)と監視装置209zとで通信を行なうようにする。ロボットが監視装置209bの近くにいる場合には、光無線装置(25Dof209b)と監視装置209zとで通信を行なうようにする。
このようにすれば、監視装置209zは、監視装置209aと監視装置209bとの通信は切れることはない。D系統の光無線装置と監視装置209zの光無線装置とで光軸調整を行なう手順は基本的には同様である。この場合、監視装置209zの通信系も専用のD系統でそれ専用の光軸調整手順を組んで行なうようにしてもよい。
あるいは、監視装置209zは、D系を設けないで、移動体に搭載することを前提にA系とB系とで周囲の監視装置と通信を行なうようにしてもよい。その場合、監視装置209zのA系あるいはB系は、どちらか片方しか実際の通信には使用しないように監視装置209zの中で制御するようにするのがよい。
但し、光軸調整は、順番にA系、B系それぞれ行なうことによって、少なくとも周囲の2台の監視装置の方向を常に検出しながら、A系あるいはB系のどちらか片方を利用して通信を行なうようにすることができる。少なくとも周囲の2台の監視装置の方向がわかると、通信には利用しないまでにも光軸調整を行なったことにより、その方向は正確にわかる。このため、監視装置209zの位置は、前述のように既知の周囲の監視装置との位置関係から求めることができる。このように、その位置情報を利用することも容易にできるようになる。
ここで、各監視装置209a,209bには、移動する監視装置との通信専用のD系の光無線装置以外、E系、F系と同時に複数の移動監視装置との通信ができるように複数の移動体との専用通信装置を複数割り付けて利用するようにしてもよい。
また、監視装置209cは、木202の枝などに取り付けて運用することも可能となる。木202の枝などに取り付けると風などで枝が揺れると監視装置209cも揺れるので光無線の通信回線が途絶える。その揺れが小さな場合には、例えば、図12で説明したような常にミラー単独で最も光のパワーがピークとなる方向に通信を行なっており、互いの監視装置の通信装置のミラーで高速なサンプリングタイムで微調整を行なう。これにより、揺れる枝に取り付けた監視装置209cも周囲の監視装置と常に安定な通信ができる。
あるいは、別の方法として、図16、図17で説明した詳細な光軸調整プログラムを起動させるタイマー周期T2を枝の揺れる周期(例えば0.5秒程度とすれば)より十分早い周期(例えば、0.1秒周期)で起動するようにしてもよい。揺れる枝に取り付けた監視装置209cと周囲の監視装置は安定した通信を常に行うことを容易に実現できる。また、監視装置209dは、監視装置209dの構成品である光無線装置、TVカメラなどをマイクロマシンに構成できるような小型の部品を用いると、カプセル全体も小さなものにできる。これにより、監視装置209dは、例えば人の胸ポケットに装着するような運用も可能となる。
図32は、監視装置のカプセル外表面に取り付けておく自律式の清掃ロボットを示す構成図である。清掃ロボット400は、基本的に移動しながら、カプセル39の外表面をブラシ(404(3))で清掃する。清掃ロボット400の本体は、下部周囲にシールカバー(402(1))が設けており、シールカバー(402(1))の内部は、ポンプ(402(2))により負圧にコントロールされる。負圧へのコントロール制御は、圧力センサ(402(3))の信号をマイコン(401(1))へ取り込みマイコン内で所定の負圧状態となるようにポンプ402(2)をコントロールする。また、清掃ロボット400は、複数の車輪(403(1))で支持され負圧でも所定の空間がシールカバー(402(1))内に確保される。
また、車輪(403(1))は、モータ(403(2))で駆動制御されるようになっている。モータ(403(2))の制御は、清掃ロボット400の周囲に設けた接触センサ(401(3))が何かに当ると、センサ部(401(2))がONするようにしておき、ONした方向には障害物があることがわかるので、そのON/OFFの状態をマイコン(401(1))に取り込み、接触センサがONする方向には進まないように駆動制御することで、カプセル表面の滑らかな所定の範囲内を移動制御することができる。
ここで、マイコン(401(1))で移動する軌跡をモータ(403(2))の回転制御状態より読み取りカプセルの外表面の清掃したい範囲をなるべく均一に清掃するように移動制御するようにしてもよい。また、清掃ロボット400には、バッテリー(405(1))が搭載されていてマイコンなどの制御系電源やモータなどの駆動電力を供給する。また、充電回路(405(2))も搭載されており、ソーラーパネル(405(4))の電力やカプセル内の電源(35(5))からカプセル内のコイル(35(6))を介して電磁誘導で、清掃ロボット400に装備のコイル(405(3))で誘起した電力をバッテリー(405(1))に充電可能な構成とする。これによって、半永久的に電力を得て清掃を自動で行なうことが可能となる。
また、カプセル39の外表面を清掃するために、清掃ロボット400には、洗浄層を構成するシール部材(404(1))があり、その中に洗浄液を満たした状態でブラシ(404(3))をモータ(404(2))で回転させてカプセル39の外表面を清掃する。洗浄液はポンプ(406(2))で洗浄液タンク(406(3))から供給させ、洗浄層内の汚れた洗浄液はポンプ(406(1))でフィルタ410を通して洗浄液タンク(406(3))に戻すようにする。また、洗浄液の補充は雨水を一時スポンジ(407(1))に保持して、そこからポンプ(407(2))で洗浄液タンク(406(3))へ補充する。なお、雨水があるか否かは、サンサ(401(4))により検知する。ここで、直接補充でなく、フィルタ410に入れてから洗浄液タンク(406(3))へ補充されるようにしてもよい。ここで、モータ(404(2))、ポンプ(406(1)),(406(2)),(407(2))、及びフィルタ410の騒動部品の状態は、すべてマイコン(401(1))にその状態を取り込み、その状態に応じて適切なタイミングで動作制御されるようにするのがよい。フィルタ410で濾された汚物420は、清掃ロボット400の後ろから排出される。フィルタ410の詳細は後述する。
図33は、清掃ロボットに搭載するフィルタを示す構成図である。カプセル(410(Ca1)),(410(Ca2))は、固定されており、それらのカプセル内には、浮力体(410(IN1)),(410(IN2))が液体の中に浮いており、その姿勢は重り(410(g1)),(410(g2))で常に上部が鉛直方向を向くように浮いている。そのカプセル(410(Ca1)),(410(Ca2))を利用して、接続口(410(H1))から汚れた洗浄液が、洗浄液注入口(410(8))を通して注入されると、まず、カプセル(410(Ca1))の中の蓄積タンク(410(9))の中に入り、ここで、汚物は鉛直下方へ沈澱させる。蓄積タンク(410(9))中の上澄みを、吸い取り口(410(7))よりポンプ(410(P2))で接続口(410(H2))へ吐き出すように動作する。
汚物の沈澱した汚物密度の濃い洗浄液は、吸引口(410(10))からポンプ(410(P1))でシリンダ(410(1))の内部へ注入される。そのとき、シリンダの出口になるバルブ(410(6))は、閉止しておき、シールシャッタ(410(3))も閉じておく。シリンダ(410(1))の中に所定の量液が注入されたらば、バルブ(410(6))を開にして、シリンダ周囲にあるヒータ(410(4))をONして、シリンダ(410(1))の中の液を蒸発させ、その蒸気はポンプ410(P3)で引いて外部へ排出する。
シリンダ(410(1))の中に残った汚物420は、次にシールシャッタ(410(3))を開(図33の状態)にして、ピストン駆動アクチュエータ(410(5))で汚物の出口(410(H3))の方へ押し出すことにより、汚物420がフィルタの外で押し出される。この中のポンプやシリンダ、バルブなどの制御は、電気的にコネクタ(410(C1))でマイコン(401(1))に接続され必要な情報を検出して適切に制御する。このような清掃ロボット400をカプセル39の外表面に設けておくことで、透明に維持しておきたいカプセル39の外表面をきれいな状態で維持することができるようになる。また、清掃ロボット400は、それ単独で自律しているので、監視装置のカプセル外表面に限ることなく、街灯の窓ガラス面や高層ビルの窓の外側や通常の窓などにも取り付けて自動で清掃をさせるような使い方をしてもよい。
図34は、ワイパ式清掃ロボットを示す構成図である。清掃ロボット500は、図33と構成が異なり、ワイパ式の自律清掃ロボットである。清掃ロボット500は、監視装置209のカプセル表面を清掃するブラシ(501(4))を有し、アーム(501(3))に取り付けられている。ブラシ(501(4))は、カプセル表面に適度な力で押し付けられている。また、アーム(501(3))は、フレーム(501(5))に取り付けられており、フレーム(501(5))は、清掃ロボット500の本体に付いている。また、監視装置には、清掃ロボット500用の軌道(501(2))が、周囲に金具(501(1))で容易に着脱できるように取り付けられている。清掃ロボット500の本体の内部には、軌道(501(2))とかみ合って移動する歯車(506(2))があり、モータで駆動制御されるようになっている。ここで、歯車(506(2))は、単純な歯車だとはずれて落ちてしまうので、軌道(501(2))を別のガイドローラなどで抱え込むような構造とするか、軌道を鉄にして歯車を磁石としてもよい。ただし、軌道(501(2))に装着され軌道に沿って移動可能なものとする。
また、清掃ロボット500の本体の電源は、内蔵バッテリーを装着するが、長期間の運転を可能とするために、監視装置209内部にコイル(35(6))を配置して、そのコイルの近くではコイル(505(3))で電力を監視装置209内部から得ることができる。ここで、清掃ロボット500が、歯車(506(2))を回転させて軌道(501(2))に沿って移動すれば、監視装置209の上部の透明の部分の外部をブラシ(501(4))で清掃することができる。ブラシ(501(4))は、スポンジやゴムなどでもよい。また、この清掃ロボット500を動かすのは、雨の降ったときが効果的なので、雨を検出するセンサを設けて、雨を検出したならば自動的に動作してもよい。
図35は、図34のワイパ式清掃ロボットの制御系を示す構成図である。歯車(506(2))は、モータ(506(2))で回転制御される。モータの制御は、マイコン(504(1))が行い、駆動回路(506(1))に制御指令を出力してモータ(506(2))を制御する。また、マイコン(504(1))は、各種センサ(504(2))の情報を取り込み、モータを駆動制御する。マイコン(504(1))には、バッテリー(505(1))の直流電圧をDC/DCコンバータ(505(4))を介して供給されている。制御方法は、軌道を回る動作速度を検出して動作速度が所定の速度になるように制御してもよいし、雨を検出するセンサを設けて、雨が降ったタイミングで動作するように制御してもよい。また、動力源は、バッテリー(505(1))から得るが、長期間運転できるようにコイル(505(3))から充電回路(505(2))でバッテリー(505(1))に充電できるようにしている。この充電は、専用のソーラーパネルを別に設けるようにしてもよいし、外部の電力を供給できるようにしてもよい。清掃ロボット500への電力供給は、監視装置209への電力の供給と同様であるが、近くに街灯や自動販売機が設置されているような場所では、外部からの電源から直接供給してもよい。
本実施形態の各監視装置の少なくとも1台は、監視装置1台の全体を1つのカプセル(密閉した容器)に収納する。カプセルは、あらかじめ防水構造になっているので、ケーブル工事などもすることなく、水中や雨天の屋外でも容易に設置でき、監視装置のネットワークを構築することができる。また、監視装置が故障したような場合も、カプセルごと新しいカプセルと交換することで、故障時の交換保守も容易に行うことができる。カプセルは、センサ、監視装置本体、通信装置などの小型化を図って小型軽量にして、色々な個所に容易に取り付けできるようにしてもよいし、バッテリーの収納量を大きくして、大型でも長時間の運転ができるようにしてもよい。
本実施形態のカプセルは、監視や通信のために光を通過させる必要のある窓部の外側面に、水や汚れの付かないコーティングが施される。これにより、カプセルの窓にはほこりやゴミなどが付着しにくくなる。また、一度カプセルを設置したあとは、定期的に窓を清掃するような保守を最小限にすることが容易にできる。
本実施形態のカプセルは、監視や通信のために光を通過させる必要のある窓部の外側面に、自律式の清掃ロボットを設置する。これにより、ほこりやゴミで汚れた窓の外表面を清掃ロボットが自動的に定期的に清掃しながら窓を移動し、定期的に窓を清掃するような保守をよりいっそう最小限にすることが容易にできる。
本実施形態のカプセルは、外部に、カプセル内部の機器の外部操作手段を有する。これにより、密閉容器の中の監視装置の操作を、カプセルを開口することなく、そのまま操作することができる。外部操作手段は、カプセルの外部に操作スイッチを配置してもよいし、赤外線リモコンなどで、カプセル内の監視装置の機器をカプセルの外から操作できるようにしてもよい。赤外線リモコン方式にするとカプセル外部に操作スイッチを配置する必要もなく単純なカプセルで構成することが可能となる。
本実施形態の各監視装置は、電源部に、監視装置毎に蓄電装置を用いるとともに、少なくとも太陽電池と風力発電機などの複数種類の発電装置の電力が、蓄電装置に蓄電されるように接続される。これにより、構築された監視装置ネットワークのバッテリーなどの動力源が、監視装置の運用で消耗しても充電できるので、より一層長持ちさせることができる。原子力発電所の施設内には、常時点灯している照明があるので、その照明のエネルギーを各監視装置に少しづつでも連続して充電させることが可能となる。また、原子力発電所の格納容器内では、空調の風が吹いている。また、ダムのキャットウォールなどでは下から強い風が常時吹いている。その風を利用して蓄電装置(バッテリー)などへ充電することで、長時間運転可能な遠隔監視システムを容易に得ることができる。
図36は、姿勢制御機構付きカプセルに収納した監視装置を示す構成図である。監視装置209は、光無線装置25A,25B,TVカメラ部(100(S1))を内部台座(42(IN1))に取り付け、全体が透明な球形のカプセル39で覆う構造とする。内部台座(42(IN1))の周囲と下部には、キャスタ部品(42(1)),(42(2)),(42(3)),(42(4)),(42(5))などは設けられており、また、内部台座(42(IN1)の下部には重り42(g1)が組み込まれている。
このような構造にすると、カプセル39がどこにどのような状態であっても、内部の台座(42(IN1))は、下部の重り42(g1)で基本的に安定な姿勢をとるようになる。光無線装置25A,25B、TVカメラ部100(S1)は、必ず上側に位置するようになる。内部に液体を入れて粘性をもたせてもよいし、キャスタ(42(1)),(42(2)),(42(3)),(42(4)),(42(5))に適当な粘性を持たせて、内部の台座(42(IN1))の振動を抑制するようにしてもよい。さらに、内部に重りを動かすモータを組み込み内部の台座42(IN1)の姿勢を、すぐに振動なく安定に停止させるように、積極的にモータで重りの位置を制御するようにしてもよい
。
このようなカプセル構造にすることで、防水構造の監視装置を容易に得られることは勿論であるが、このカプセルを複数ばらまいて、ちらばったカプセル間同志で通信させることができる。すなわち、光無線装置25A,25B、TVカメラ部100(S1)が、必ず上部にくるので、周囲とは通信しやすい状態、周囲をTVカメラで撮影しやすい状態に容易することができる。
図37は、アーム機構付きカプセルに収納した監視装置を示す構成図である。監視装置209aには、カプセル(39of209a)の外表面に伸縮可能なアーム機構(43(1)of209a),(43(2)of209a),(42(3)of209a)が取り付けられている。同様に、監視装置209bには、カプセル(39of209b)の外表面に伸縮可能なアーム機構(43(1)of209b),(43(2)of209b),(42(3)of209b)が取り付けられている。
このようにカプセル外表面にアーム機構で突起がでるような構造にすることで、カプセル運搬時には、突起を出さない状態で、多くのカプセルの運搬を省スペ−スで効率よく行ない、カプセルをばらまくときには突起を出すことにより、カプセルが狭隘な谷間の下へ入らないようにすることができる。カプセルが谷間3a,3bの中にへ入ると光通信の部分やTVカメラの部分が物陰に隠れる確率が高くなるので、突起を出すことで、多くの監視装置の通信や点検を有効にすることができる。
このような利用は、災害現場の状況を監視装置で監視点検するためにヘリコプタなどから監視装置のカプセルを投下して災害現場にカプセルを多数配置して広範囲の現場状況を点検できるようにするのに適したものである。また、ロケットに搭載して月やほかの惑星などにカプセルを投下して探索などに利用してもよい。この場合には少なくとも1台の監視装置は遠方の基地と通信ができるような長距離対応の通信装置を搭載しておく必要がある。
図38は、水中にカプセルを投下する場合の実施形態を示す説明図である。プールなどの水中(310(2))で、水中作業や点検作業を行なう場合に、プール設備(310(1))の中にカプセル収納した監視装置209a,209b,209c,209d,209e,209fを投下させる。プール(310(1))の中には、他の構造物(310(3))なども沈めてある状態であるが、投下したカプセルはプール(310(1))の底や、構造物(310(3))の上に着床する。途中に吊るしておきたい場合には、監視装置209a及び監視装置209bのようにワイヤを吊っておくようにする。このような水中状態でも、ある程度レーザーは透過するので、光通信による監視装置の通信を確立させることは可能である。人201は、ホスト通信設備10を用いて、各監視装置に指令する。
ここでも、各カプセルは、図36に示すような常に光無線部とTVカメラ部が上側にくる構造になっているので、周囲の監視装置との通信や周囲の監視点検を容易に行なうことができる。水中に投下する場合は、回収する場合も考慮して各監視装置には回収用ワイヤ44を繋げておくのがよい。また、水中なのでこのような場合は光無線の代わりに指向性のある超音波を利用して同じように監視装置のセンサネットワークを構築するようにしてもよい。
本実施形態のカプセルは、内部の部品が独立して鉛直方向に対して所定の姿勢になる姿勢制御機構を有する。これにより、カプセルを適当に設置したり、カプセルを水中へ投げ入れたり、飛行機などからカプセルをばら撒いたりしたときにも、内部の監視装置本体はカプセル内部で所定の姿勢になるので、周辺の監視装置との光軸自動調整などが問題なく行なわれるようにできる。カプセルを水中に投下する場合には無線通信に超音波の無線通信装置を適用するようにしてもよい。
本実施形態のカプセルは、外部にアーム機構を有する。これにより、投下したカプセルが何かに引っかかった場合とか、向きが適切でないような場合にアーム機構でカプセルの位置や姿勢を補正することができるようになる。また、カプセルを投下前に複数本のアームを伸ばして投下すれば、例えば、瓦礫などのすきまの中にカプセルが入ってしまうことなくアーム機構でひっかかるような使い方も容易にできるようになる。また、投下前にアーム機構を縮小しておくことで、複数のカプセルに収納された監視装置を小スペースで保管、運搬することも可能となる。カプセルを投入したあと、カプセルが落下した位置で各カプセルは周囲のカプセルとの通信ネットワークを確立し、そこに近づく移動機械あるいは移動ロボットにも監視装置を搭載してネットワークを構成するようにする。このように、移動機械あるいは移動ロボットの制御装置を監視装置とでのデータ通信を行えるようにすれば、ホスト通信設備からネットワーク内に存在する移動機械や移動ロボットの制御を遠隔で行なうこともできるようになる。監視装置そのものに移動機械や移動ロボットの制御機能をもたせるようにしてもよい。
図39は、レーザーによるエネルギー伝送を行なう際のエネルギー伝送系を示す構成図である。レーザーを光通信に用いるだけでなく、パワーレーザーによりエネルギー伝送をすることができる。レーザーの入射(25(R2))は、ミラー駆動ユニット(25(21))で反射してハーフミラー(25(16))で反射してミラー(25(17))で反射して受光素子25(5)に集光する。この場合、受光素子(25(5))は、強度の高いレーザー光を電気エネルギーに変換できる。受光素子(25(5))は、通常の通信レベルのレーザーでも検出できるものであれば兼用してよいが、兼用できない場合には、パワー受光と信号受光とで受光素子(25(5))を別々に準備する。
ここでは、兼用する場合で示すが、パワー受光の場合の大きな電流が、信号回路に入るのを防止するためにフィルタ(25(33))を設けて、パワーは電源系へコネクタ(25(C5))から取り出せるようにしている。コネクタ(25(C5))の接続先は、例えば、図28、図29で説明した電源部35aのコネクタ部(35(C2))へ接続すれば、伝送されてきたレーザーエネルギーを蓄電装置(35(1))に蓄電させることができる。また、このように一旦蓄電したあと、パワー発光用素子を利用して、隣の監視装置へパワーを伝送してもよい。
他の方法として、図39の実施形態では、アクチュエータ(25(M8))でミラー(25(42))を動かすようにして、入力されるパワーレーザー(25(R2))を、ミラー駆動ユニット(25(21))で反射したあと、ミラー(25(42))で反射させて、別のミラー反射ユニット(25(41))でパワーレーザー(25(R3))の方向へ反射させる。レーザー(25(R3))の方向へは、隣の監視装置がいるので、同様の転送メカニズムで順番に隣の監視装置へパワーを伝送する。パワーレーザーを電気に変換して再度レーザーに変換する変換ロスをなくした形で、効率良くレーザーを末端の監視装置まで伝送することができる。
パワーレーザーの伝送を行なう場合にも、その光軸は前述の方法で調整しておく必要があるので、通信用のレーザーで光軸を調整したならば、調整された光軸はそのままにして、パワーレーザーに切り替えてパワー伝送するのがよい。
図62は、レーザーによるエネルギー伝送を行なう際のアンプダイレクト経由のエネルギー伝送系を示す構成図である。図63は、レーザーによるエネルギー伝送を行なう際のバッテリーアンプダイレクト経由のエネルギー伝送系を示す構成図である。図39の実施形態では、ミラーなどの光学的な伝送機構を利用したが、図62、図63の実施形態では、電気回路でパワー伝送を可能にしている。
受光素子(25(5))で送られてきた信号情報が重畳されたパワーは、電気信号に変換され、フィルタ(25(33))で信号成分とパワーを分離して、パワーはパワーライン25(34)を通してバッテリーなどの充電回路へ出力するようにする。図62では、スイッチ(25(SW1))を開いて、スイッチ(25(SW2))を閉じることで、パワー電力をパワーライン(25(35))で、発光素子(25(2))を駆動するアンプ(25(3))へ入力されるようにする。ここで,パワー電力をバイアスとしてアンプ(25(3))にかけて、コネクタ(25(C1))から信号処理系からの入力される信号成分を変調して重畳させて、発光素子(25(2))からは、信号成分が変調重畳してパワーレーザーが出力されるようになっている。
ここで、入力信号のA点での波形は、A点波形(25(40A))であり、B点での波形は、B点波形(25(40B))である。B点波形(25(40B))は、A点波形(25(40A))と比較して、バイアス(Eav)分だけ、かさ上げされている。このような構成にすることで、受光素子(25(5))で受光したパワーエネルギーを、電気回路レベルで発光素子(25(2))の発光エネルギーに変換できるので、これを隣あう監視装置のレーザー通信系でパワー伝送も効率よく行なえるようにすることができる。
また、ここで、スイッチ25(SW1)とスイッチ25(SW2)の開閉制御で、パワーを自分自身の充電に使用したり、受光したパワーを次の監視装置へ効率良く伝送したりする切替え制御も容易に行なうことができる。その制御は、ホスト通信装置10からの指令を通信の信号成分に載せて下位の監視装置へ伝送して、各監視装置でその信号を受信して、例えば、CPU3(20(3))で、スイッチ(25(SW1))とスイッチ(25(SW2))の開閉制御を行なうことが容易に実現できる。また、パワー伝送しないときには、通常レベルのレーザーで通信を行なえばよい。
図63の実施形態では、受光したパワーは、一旦バッテリーなどの充電回路へ流して充電している。スイッチ(25(SW3))を閉に制御することで、通常は通信レベルのパワーでアンプ(25(3))を駆動しているが、バッテリーなどのパワー電源系より、より大きなパワーをアンプ(25(3))へ供給して駆動可能にした場合である。この方式も、充放電のロスは生じるが、電気回路でパワー伝送を行なえるようにできる。パワー伝送の効率は、図39のようにパワーレーザーレベルで直接伝送できるようにするのが最も効率はよいが、ミラーなどの光学的な伝送機構が必要になる。それと比較すると、図62あるいは図63は、光学的な伝送機構を付加することなく電気回路でパワー伝送を可能にできるので、装置としてはより単純化を図ることができる。
本実施形態の各監視装置は、電源部に、監視装置毎に蓄電装置を用いるとともに、蓄電装置へレーザー光あるいはマイクロ波のエネルギーを電気エネルギーへ変換して蓄電する手段を有する。これにより、太陽電池とか、風力発電で十分な充電ができないような場合でも、容易に大きなエネルギーを各監視装置に与えることができる。特に各監視装置は、ネットワークが構成されているので、通信経路として過経路が出来上がっているので、その経路を利用すれば、ネットワーク上のすべての各監視装置に効率よくエネルギーを無線で供給することが可能となる。
図40は、複数のホスト通信設備を設けた場合の通信経路を示す説明図である。3台のホスト通信設備(ホスト通信設備1(10a)、ホスト通信設備2(10b)、ホスト通信設備3(10c))と、12台の監視装置(監視装置1(209a)、監視装置2(209b)、監視装置3(209c)、監視装置4(209d)、監視装置5(209e)、監視装置6(209f)、監視装置7(209g)、監視装置8(209h)、監視装置9(209i)、監視装置10(209j)、監視装置11(209k)、監視装置12(209L))が、図40に示すように、接続されている。
特に、監視装置10(209j)と、監視装置11(209k)と、ホスト通信設備3(10c)とは、ルータやモデム(61(1)),(61(2)),(61(3))などを、通信装置の1チャンネルの個所に割り付けることによって、インターネットや携帯電話やPHSなどの公衆回線60を介してセンサネットワークを構築できるようにしてもよい。
また、監視装置2(209b)、監視装置8(209h)には、D系の光無線装置(25Dof209b),(25Dof209h)を接続している。A系、B系、D系の3系統の光無線装置が、CPU1(20(1))に接続される構成にして、センサネットワークをツリー状に広範囲に構築するようにしてもよい。
ホスト通信設備を複数設けても、監視装置と同様にIDを有している。各監視装置のCPU1(20(1))は、通信制御を適切に行なうことによって、所定のホスト通信設備(所定のID)から所定の監視装置(所定のID)へのコマンド指令の応答は、所定のホスト通信設備(所定のID)へ戻ってくる。このため、複数のホスト通信設備のセンサネットワークの中に設けることが可能となる。複数のホスト通信設備を設けることで、監視点検の結果データを、複数の個所でモニタリングすることができる。また、監視装置側で異常を検出したような場合には、複数のホスト通信設備に通報する。これにより、当該監視装置に近くのホスト通信設備に監視員がいれば、すぐに異常な現場に駆けつけることができる。
本実施形態のホスト通信設備は、複数備えるので、複数箇所で各監視装置の監視点検情報を参照することが可能となる。また、ホスト通信設備を携帯用端末で構成して、各監視装置のI/Fを介して必要時に接続して可能とする。これにより、どこからでも各監視装置の監視点検情報を参照することが可能となる。
図41a、図41bは、監視装置の通信系の電源ON/OFF、監視点検部の電源ON/OFFの制御を実施する場合の監視装置の構成を示す制御回路図である。まず、タイマー起動による電源のONの場合について回路を説明する。図41bに示すように、タイマー21は、所定の時間に、監視装置全体、あるいは、監視装置の通信系のみ、あるいは監視装置の点検監視の部分のみの電源を、ONさせる機能を備えている。タイマーによる電源のON/OFFは、プラント設備などで定期的に点検パトロールの行なわれている設備に対して自動で定期的な監視点検を行なう場合には、消費電力を必要最小限とするために有効である。同様に、監視対象の異状を検出する外界センサ回路のみ電源を連続供給させておき、外界センサで監視対象の異状を検出した場合には、監視装置の電源をONしてより詳細な監視点検を行なう方法も、プラントなどの設備の点検監視に有効な省電力化の方法になる。また、セキュリティシステムなどでは、同様に外界センサを利用して、監視装置本体の省電力化を図ってもよいが、監視装置本体による監視点検を連続に行なえるほうがよい場合もあるので、そのような場合には連続して給電されるようにして各監視装置の電源系統の設計を行うのがよい。
ここでは、省電力化のための各種の電源ON/OFF制御手法を述べるが、本発明は各監視装置に有線あるいは無線で電力を外部から供給可能としたシステムにも適用できるものである。各監視装置の平均消費電力が効率などを考慮した平均供給電力より小さくできれば、システムは連続した監視点検が可能なものとなる。外部からの電力供給手段としては、人あるいは別の移動ロボットなどが定期的に各監視装置の場所を巡回して、あるいは、移動式監視装置の場合には、監視装置自身が電力供給装置の個所へ移動して、各監視装置の蓄電装置に電力を供給方法でもよい。そのようなシステムでも省電力化のために不要な場合には電力消費を少なくするようにしてもよい。タイマーのON/OFFのサイクルを短くしてタイムシアリング的に処理を行なうことでも、監視点検する対象の事象を見逃さない周期でON/OFFすれば、省電力化を図りつつ連続的な監視点検を行なうことも可能となる。
時間のタイミングを制御するタイマー21は、時計で初期に設定した所定の時刻になると、信号出力をON/OFFする機能のものである。タイマー21は、設定時刻で動く時計でもよいし、所定のスタート時点からの経過時間を管理するものでもよい。また、精度のあまり良くない時計の場合、他の監視装置との同期のズレが運用時間とともに大きくなる。しかしながら、所定の範囲内でおさまる誤差であれば、かならずしも精度の良いタイマーを使う必要はない。ホスト通信設備10のホストCPUからの指令で定期的に時刻合わせを行なうようにしてもよいし、電波時計で定期的に正確な時刻に設定されるようにしてもよい。時刻(あるいは時間)は、人が生活する時刻と同じ時刻の仕様のものを使用してもよいし、監視点検システムで定義する時刻に設定して動作するようにしてもよい。
タイマー21は、スイッチ(35d(1))をONすれば、電源部35aの電力はCPU3とCPU1を含む通信系の電源がONするように動作する。この場合、通信系が立ち上がるので、光軸調整を必要であれば行い、A系、B系の正常な通信が行なうことができるようになる。その状態で、電源をホスト通信設備側からOFF制御する場合には、通信系を使って、CPU3へ電源OFFコマンドを送信すれば、CPU3は、駆動回路(100(D12))を介してスイッチ(35d(6))を開にして電源部35aからの電源をOFFすることができる。
あるいは、タイマー21では、スイッチ(35d(1))を一時的にONさせるようにした場合には、CPU3ですぐにスイッチ(35d(3))をONさせて電源のON状態を保持できるようにしておく。この状態で、スイッチ(35d(3))をOFFしても電源をOFFさせることができる。
また、ホスト通信設備から点検監視機能の部分の電源をONさせるコマンドがくれば、CPU3は、そのコマンドをCPU1から受けて、スイッチ(35c(4))をONさせてCPU2、CPU4を含む点検監視を行なう系統の電源をONさせることが可能となっている。また、同様にホスト通信設備から点検監視部分の電源のOFFコマンドがくれば、同様に、同じスイッチ(35c(4))をOFFさせることが可能である。
また、タイマー21で通信系はONさせないで、監視点検範囲のみをONさせる場合は、タイマー21は、スイッチ(35c(3))をONさせると、電源部35aの電力はCPU2、CPU4へとCPU1に供給されるようになっている。ここで、無線装置などの電源はONさせないが、CPU1に電源が供給されるようにするのは、CPU2とCPU4の通信をCPU1を介して行なう場合も想定した。そのような使い方をしない場合には、CPU1には電源を供給しないようにしてもよい。
監視点検を行なうCPU2、CPU3に電源が供給されたならば、まず、電源ON状態を維持させるためにCPU2で、スイッチ(35c(2))をONさせる。そして、TVカメラ(100(S1))や画像メモリ(100(S2))を用いて、あらかじめ設定された監視点検を自動で行なって、必要な情報を記録する。点検結果を記録し、必要な監視点検を一通り実行したらば、CPU2でスイッチ(35c(2))をOFFさせると、電源がOFFの状態になる。
監視点検の結果異常が発生して、その結果を他の監視装置やホスト通信設備へ伝える必要が生じた場合には、CPU2は、スイッチ(35d(2))をONして、CPU3を含む通信系に電源を供給して通信制御をできるようにする。但し、この場合、他の周囲の監視装置の電源が入っていない場合もある。このため、各監視装置には、光通信のレーザーを受信したならば通信系の電源がONする機能も設けるようにする。これは、光無線装置A系あるいはB系に光が入ると、それを図12で説明した電流検出回路(25(29))で受光素子(25(5))へ光が入射したことを検出してコネクタ(25(C4))からその信号が出力され、図41bのOR回路(98(1))に入る。すると、駆動回路を介してスイッチ(35d(3))がONしてその結果、CPU3と通信系で電源部35aの電力が供給される。スイッチ(98SW2)をA系の方へ切り替えておくと、A系から信号が入ったときのみ電源がONして、スイッチ(98SW2)をB系の方へ切り替えておくと、B系から信号が入ったときのみ電源がONして、スイッチ(98SW2)をOR回路(98(1))の方へ切り替えておくと、A系からあるいはB系から信号が入ったときのどちらでも電源がONするように切り替えることができる。
ここで、スイッチ(98SW1)をONしておくと、照明センサあるいは照明ON/OFFスイッチの接点情報などを照明状態検出回路(98(2))で取り込んで、その検出状態でスイッチ(35d(3))をON/OFFするように設定することもできる。
光無線のレーザー信号でスイッチ(35d(3))をONしている場合は、光信号がなくなるまではOFFされないので、このような場合にOFFする方法は、先に上流側あるいは下流側の監視装置から電源を順番にOFFしていくようにすることで、電源をOFFすることが可能となる。すなわち、監視装置の自身の通信系統の上流側からあるいは下流側からの順番に応じて、所定の時間後に電源をOFFするようにさせる。OFF指令は上流側からか、あるいは下流側から通信で送られてくるので、CPU3は、電源OFFコマンドを受信すると、上流側からきた場合は上流側からの順番に相当する、下流側からきた場合、下流側の順番に相当する時間経過後にスイッチ(35d(6))を開させて電源をOFFさせる。その時間は、確実にスイッチ(35d(3))をONしている上流側、あるいは下流側からの光信号が先になくなるのに十分な時間経過後に、スイッチ(35d(6))を開させてOFFすることである。
このレーザー光による電源ONは、監視装置側で異常を検出した場合に周囲の監視装置の電源をONさせる場合だけでなく、ホスト通信設備側からホスト通信設備側の最初の監視装置の電源をONさせることで、下位の監視装置の電源をすべてONさせる。また、コマンドでOFF指令をホスト通信設備から伝送後に各監視装置が所定時間経過後に上流側から順番にOFFしていくような使い方をしてもよい。
監視点検の結果、所定の監視装置が周囲の監視装置をONさせた場合には、必要な通信処理を行なったのち、当該監視装置が、OFFさせるコマンドを周囲の監視装置へ送信するようにする。従って、電源OFFコマンドは、どの監視装置から送られてきたものかをコマンドデータの送信元ID(50c)で確認して、適切なタイマー時間でOFFするようにするのがよい。
また、スイッチ(35d(5))は、手動でCPU3と通信系の電源をONするスイッチである。これは手動操作を行なう場合に現場で電源をONできるようにしてある。各種手動操作を、赤外線リモコン(38(2))を用いてその受光器(38(1))で受けた信号を、CPU3に、例えばRS−232CのI/Fを介して取り込める。電源のON/OFFも赤外線リモコンで行なえるようにしてもよい。
また、監視装置に外界センサとして赤外線センサ(98(3))などを設けて、人が近くに来た場合に、電源ONして監視点検を行なうことができる。赤外線センサ(98(3))などのセンサ情報で、スイッチ(35c(1))をONさせ、そのセンサ情報はCPU2へ取り込み可能とする。CPU2で、すぐにスイッチ(35c(2))をONさせて電源のON状態を継続するようにする。そのような場合に必要な監視点検を行ない必要な処理(CPU3及び通信系の電源ON/OFF含む)がすべて終了したらば、CPU2からスイッチ(35c(2))をOFFして電源をOFF制御することが可能となっている。外界センサとしては、その他に、紫外線センサを利用してもよいし、超音波センサで近づく人の距離を検知するようにしてもよいし、臭いセンサなどで外界の異臭を検知するようにしてもよい。また、マイクロフォンなどの音響センサや振動センサで外界の状況変化を検知するようにしてもよいし、レーザセンサやラインセンサ、あるいは、TVカメラの映像で人や動物の侵入を検知するようにしてもよい。このように外界センサで、電源のON/OFFを行なう。これにより、電力の消費を、監視を必要とする外界の状態が変化したときだけに限定することができ、電力の消費を必要最小限に制御できる。
以上のような電源ON/OFF回路及びその他のシステム制御回路は、ASIC化(ICチップ化)して小型軽量なものとしてもよい。また、赤外線リモコンなどで手動操作を行なっている場合に、モニタで処理状況を確認してもよい。その場合、CPU3にモニタを接続するI/Fを設けてもよい。CPU1のI/Fにモニタが、接続可能な構成にしてもよい。また、電源部35aには、電源状態検出回路(98(4))として、例えば、電源部35aの電圧を検出するようにして、電圧が十分高い場合にはスイッチ(35c(5))はONしているが、電圧が異常に低下した場合にはスイッチ(35c(5))をOFFにして電源を強制的に供給しない回路を設けてもよい。この場合、充電などで、電源部35aの状態が十分運転可能な状態に回復した場合には、スイッチ(35c(5))をONにして電源を再度供給させるようにする。このような電源状態検出ユニットの信号で電源ON/OFF制御できるようにすることで、単純にタイマー電源でON/OFFを繰り返していると電源部が異常になった状態でも継続して運転してしまうことも考えられるが、そのような場合にも電源部などを不用意に損傷させることを防止できる。
また、監視点検を行なった結果、ホスト通信設備などへ異常を伝送してもよい。緊急に対応をする必要がある場合には、威嚇装置97をCPU2(20(2))に繋いで、CPU2から威嚇装置97を制御してもよい。ここでは、威嚇装置と称したが、ゴミや煙や不審物や不審者を排除する装置、火災を消火する消火装置、あるいは、監視点検結果に応じて何か操作や作業を行なう場合の作業装置としてもよい。また、CPU1の通信系を経由して、ほかの監視装置経由で他の威嚇装置、移動ロボット、作業機械などに指令を送信してもよい。また、監視点検に用いるTVカメラ(100(S1))は、1台でなく複数台のカメラにしてもよいし、赤外線カメラと併用、あるいは、暗視カメラとしてもよい。また、TVカメラ(100(S1))には、通常の照明や、赤外線照明を設けてもよい。
本実施形態の各監視装置の電源部は、監視対象部位の明るさあるいは監視対象部位を照らす照明スイッチのON状態を検出する照明状態検出ユニット、あるいはタイマー、あるいは通信情報の有無を検出する通信状態検出ユニットのいずれか、あるいはそれらの複数手段の組合せによる電源ON/OFF回路を有し、タイマーによりONした場合には、ホスト通信設備からの指令あるいは各監視装置の監視情報の処理結果により電源ON/OFF回路のON時間を延長する手段を設けている。
原子力発電所の格納容器内などは、通常は照明を消しておき監視装置での遠隔監視を行なうときに照明をONするので、監視装置も、照明がONしたときだけONする電源ON/OFF回路を設けるとよい。また、監視点検しないときには、電源OFFでバッテリーなどの動力源の消耗も節約することができる。また、照明と連動させる以外に、タイマーで所定の時刻に所定の時間のみONさせる機能を設けて、監視装置がONのときにホスト通信設備側から電源ONの延長コマンドを送信し、ON時間を延長させることができるようにしてもよい。これにより、監視点検に必要な時間のみ、監視装置をONしておくことができ、バッテリーなどの動力源の消耗を節約することができる。また、通信経路の上位側(ホスト通信設備側)の通信状態を検出して、上位側の監視装置が通信しようとしているときのその通信状態を、光無線であれば光を検出、電波無線であれば電波を検出することで、その検出結果で、監視装置の電源をONさせるようにする。また、一番上位の通信装置の電源をOFFすれば、順次、下位の監視装置は上位からの通信状態がなくなるので電源はOFFされ、監視点検が必要なときのみ電源のON/OFFがされバッテリーなどの動力源の消耗を抑制することができる。
本実施形態によれば、電源ON/OFF回路のON時間を、ON時間を延長する手段により延長した場合、あるいは通信情報の有無を検出する通信状態検出ユニットにより電源ON/OFF回路をONした場合には、ホスト通信設備からの指令によりOFFさせる手段を設ける。このため、ON時間の延長は所定時間延長するのではなく、ホスト通信設備からOFF指令を与えるまで電源ONを継続させることができる。これにより、バッテリーなどの動力源の消耗を必要最小限にできるので、より一層節約することができる。この場合、通信情報の有無を検出する通信状態検出ユニットにより検出してONしたときは、ホスト通信装置からの指令によりOFF指令が来てOFFする場合は上位の通信状態がOFFされるタイミングとその検出信号が引き続き検出される状態が重複するため、例えば、ホスト通信装置からのOFF指令受信後、所定時間後に一斉に電源をOFFして、電源OFF後所定時間は通信状態を検出しても再度ONしないような電源ON/OFF制御を行なわせることで回避できる。
本実施形態によれば、通信状態検出ユニットにより電源ON/OFF回路をONした場合、ホスト通信設備からの指令によりOFFさせる手段には、各監視装置のホスト通信設備側からの指令の届く順番に電源をOFFさせる手段を設ける。これにより、電源をOFFする場合には、上位側から順番にOFFさせるので、OFFさせたあと、上位の通信状態を検出して再度ONするようなことは避けられ、OFFするタイミングやOFF後にしばらくONさせないなどの電源ON/OFF制御を行なわないでも、全部の監視装置をホスト指令で確実にOFFさせることが可能である。
本実施形態の各監視装置は、通信手段へ電力を供給する通信系電源部と監視装置本体部分の監視系電源部を別に設け、通信系電源部とは独立して監視系電源部をON/OFFできるようにする。これにより、監視点検は、各監視装置の必要なタイミングで必要な監視点検を行なわせ、ホスト通信設備とか、周辺の各監視装置間での通信が必要な場合のみに通信系の電源をONさせることができるようになる。このため、各監視装置のバッテリーなどの動力源を有効に節約して長持ちさせることができる。
図42、図43、図44は、CPU2での処理を示すフローチャートである。CPU2は、処理42S001からスタートして、処理42S002でCPU1からのコマンドを入力する。次に、処理42S003で、自分宛てのコマンドが来たか否かを判別する。自分宛てのコマンドが来ない場合(No)には、処理42S004で、赤外線センサなどのデータを取り込みCPU2のRAMデータへ書き込み、次に進む。処理42S005で、赤外線センサあるいはタイマーで電源ONの場合は、電源ON・継続ONする。電源ON・継続ONするとは、赤外線センサ(98(3))などのセンサ情報で、スイッチ(35c(1))をONさせ、そのセンサ情報はCPU2へ取り込み可能とする。CPU2で、すぐにスイッチ(35c(2))をONさせて電源のON状態を継続するようにする。
処理42S003で、自分宛てのコマンドが来た場合(Yes)には、処理42S006で異常処理継続フラグを確認する。異常処理中の場合(Yes)には、処理42S007で、CPU2へ異常処理対応中の応答をして処理42S004へ進む。異常処理対応中でない場合(No)には、処理42S008で、具体的に自分宛ての何のコマンドかをコマンド50aやコマンド付属データ50dの内容で確認して、その種類に応じた処理を行なうようにする。
処理42S009では、データのサンプリング処理を行い、処理42S010では、データの検索と送信処理を行なう。処理42S011では、TVカメラの雲台やレンズ系の駆動制御を行い、処理42S012では、各種パラメータの設定を行なう。処理42S013では、データの前処理あるいは診断処理、あるいはデータの検索処理などを行なう。データの検索処理は、監視装置の監視点検機能として、各監視装置が点検時に、メモリに記録しておいたデータ(例えば、TVカメラなどの映像データ、マイクセンサからの音声データ、又は振動センサからの振動データ)の中味を、後にホスト通信設備からの指令で検索し、検索した結果のデータをホスト通信設備側へ転送するような機能になる。
他の処理として、威嚇装置97への所定の威嚇行動をとらせる処理を行なってもよい。移動式ロボットへ異常内容と現在位置を知らせて、現在位置まで移動して来させるコマンドを移動式ロボット宛てに伝送する処理や、具体的に異常状況に応じて移動ロボットに作業(消火活動や不審者への威嚇動作さらには排除動作など)を実行させる指令出力する処理を行なうようにしてもよい。
処理42S005を実行した後は、処理43S001で、CPU3からのコマンド読み取りを行なう。そして、処理43S002で、コマンドの有無を判別する。コマンドがある場合(Yes)には、処理43S003で、何のコマンドかを識別して、そのコマンドに対応した処理を行なう。具体的な処理の例としては、処理43S004のデータサンプリング処理、処理43S005のHOLD処理の設定や解除を行なう処理、処理43S006のTVカメラの雲台やレンズ系の制御操作を行なう処理、処理43S007の各種パラメータの設定処理、処理43S008のデータ前処理、あるいは診断処理を行なう処理など、各種の処理を用意しておき適切に選択実行できるようにしておく。処理43S002で、コマンドがない場合(No)には、処理44S001へ進む。
そして、次の処理としては、処理44S001で、タイマーあるいは赤外線センサなど、監視装置自身で電源をONしているか否かを判定する。具体的には、タイマーからの信号やセンサからの信号を読み取り確認することによって判定する。判定結果がYesの場合は、処理44S002へ進む。判定結果がNoの場合は、処理42S002へ戻る。
処理44S002において、異常時処理中であるか否か(異常時フラグ継続ONか)を判定する。異常時処理でない場合(No)には、処理44S003で、CPU4へ自動点検処理を指令する。処理44S004ではCPU4からの結果を入力して、結果の応答が来たか否かを判定する(処理44S005)。結果の応答が来た場合(Yes)には、処理44S006で、その結果に異常があったか否かを識別する。結果の応答が来ない場合(No)には、処理44S004へ戻る。処理44S006において、異常があった場合(Yes)には処理44S017へ進み、異常がない場合(No)には、通常監視点検時のデータ、結果などを記録交換するかどうかのフラグがONか否かを判定する(処理44S007)。フラグがONでなく記録交換しない場合(No)には、処理44S008で、CPU2系統の電源をOFFして終了する(処理44S009)。
処理44S007で、記録交換処理する場合(Yes)には、処理44S010へ進む。処理44S010では、CPU3と通信系の電源をONして、CPU3への通信系確立を指令し、次に進む。処理44S011では、CPU3からの結果を入力して、結果の応答が来たか否かを判定する(処理44S012)。結果の完了応答が来た場合(Yes)には、処理44S013へ進む。結果の完了応答が来ない場合(No)には、処理44S011へ戻る。
処理44S013では、CPU4と周囲のほかの監視装置へ、監視点検データや結果の情報交換の指令を出力する。処理44S014では、CPU4と各監視装置からの応答を入力する。処理44S015で、その処理の完了応答が来たか否かを判定する。完了応答が来た場合(Yes)、処理44S016で、CPU3と通信系の電源をOFFし、処理44S008へ進む。処理44S008では、CPU2の電源をOFFして終了する。処理44S015において、結果の完了応答が来ない場合(No)には、処理44S014へ戻る。
また、処理44S002において、異常時処理中であるか否か(異常時フラグ継続ONか)を判定し、処理中であれば(Yes)、処理44S033で、前状態を読み込み、処理44S017へ進む。ここでも同様に、CPU3と通信系の電源をONして、CPU3への通信系確立を指令する(処理44S017)。CPU3からの他の監視装置との通信確立の応答を待つ。すなわち、処理44S018では、CPU3からの結果を入力して、結果の応答が来たか否かを判定する(処理44S019)。完了応答が来ない場合(No)は、処理44S018へ戻る。完了応答が来た場合(Yes)は、処理44S020へ進む。
処理44S020において、トラッキングフラグを確認してONか否かを判定する。トラッキングフラグがONの場合(Yes)には、処理44S021で、CPU4と周囲の監視装置にトラッキング処理の指令を出力する。トラッキング処理の指令は、あらかじめ監視装置での監視対象が決まっている場合、例えば、侵入者監視であれば、人を検知したならば異常である。トラッキングすべき対象は人と決まっている。
そのようなときには、各監視装置に、人の形状データなどの画像処理でトラッキングを行なうのに十分な情報が記録されているようにするのがよい。このため、通信で指令と共に伝送する情報は、例えば、どの監視装置IDが検出したかという情報と、その時の検出した方向の情報とを伝送するとよい。それを受け取った監視装置で画像処理トラッキングを行なう場合には、その方向データを自分のTVカメラで見た場合の映像の中の方向に置き換える。その方向を中心に、人の形状データなどの特徴を有する部分を画像処理で検出して、トラッキングすることは容易に行なうことができる。画像処理で画像の中の人の大きさから概略の距離情報を求めれば、方向と距離から、検出した人の概略位置がわかる。その位置情報を各監視装置で共通的に認識できるワールド座標系での座標値に変換して伝送してあげれば、他の監視装置のその点を中心に人を探索してトラッキングするようにしてもよい。
また、対象が人と限らない場合には、検出した物体の種別を伝送するとよい。あらかじめ、種別ごとに各監視装置で形状データを記憶させていない対象の場合には、検出対象の形状データも伝送して、他の監視装置にも伝送された形状データを用いてトラッキングをさせてもよい。
1台のカメラで撮影した1シーンから抽出した形状データは、奥行きのない2次元のデータ(2Dデータ)になるが、最初は2Dデータで、精度はよくないがトラッキングを行なう。その後、複数の監視装置で同じ対象のトラッキングができるようになった時点から複数の監視装置で撮影した画像情報からステレオ計測を行なう。3次元の3D形状を生成しながら、よりトラッキング精度を上げるようにしてもよい。3Dレーザスキャナを各監視装置のセンサとして装備して、最初から裏は検出できないが、ある程度の3D形状データを得てトラッキングするようにしてもよい。各監視装置の2台のカメラを装備して、1台の監視装置の2台のカメラでもステレオ計測を行い、最初からある程度の3D形状データを得て、トラッキングするようにしてもよい。トラッキング中は、周囲の監視装置と各監視装置のトラッキング状況の各種の詳細データも交換し合いながら、各監視装置でトラッキングを行なうようにする。トラッキング処理が終了後、処理44S022へ進む。なお、処理44S020において、トラッキングフラグがONでない場合(No)には、処理44S022へ進む。
次の処理として、処理44S022で、通報フラグがONであるか否かを判定する。通報するか否かの通報フラグを判別して通報する場合(Yes)には、処理44S023で、通報先への異常結果の伝送処理を行ない、処理44S024へ進む。なお、処理44S022で、通報フラグがONでない場合(No)は、処理44S024へ進む。
処理44S024で、記録交換フラグがONであるか否かを判定する。記録交換フラグを確認して記録交換する場合(Yes)には、処理44S025で、CPU4と周囲の所定範囲の各監視装置に情報交換の指令を出力する処理を行い、処理44S026へ進む。なお、処理44S024において、記録交換フラグがONでない場合(No)には、処理44S026へ進む。
次に処理44S026で、威嚇フラグがONであるか否かを判定する。威嚇するか否かの威嚇フラグを確認して威嚇する場合(Yes)には、処理44S027で、威嚇装置97へ威嚇内容の指令を出力して、処理44S028へ進む。なお、処理44S026において、威嚇フラグがONでない場合(No)は、処理44S028へ進む。
処理44S028で、ロボットへの要請フラグがONであるか否かを判定する。ロボットへの要請をするか否かのフラグを確認して要請する場合(Yes)には、処理44S029で、ロボットへの威嚇要請指令を出力する。ここで、ロボットは自律移動可能なロボットへ指令をダイレクトに送信するので、ロボットはすでに周辺の地図情報はもっている。また、移動中の周辺障害物なども検出しながら、自律的に目的地まで移動できるものとすれば、指令とともに伝送する情報は、来てほしい目標位置をマップ上で示したり、ワールド座標系での座標で示したりすることでよい。そして、目的地まで来た場合に、どのような威嚇処理をするか、対象の座標(位置情報)と処理の内容などを指令する。
この処理44S029は、異常時処理の場合には繰り返し実行される処理なので、毎回、その時点での最新の情報で指令を出力するようにする。対象が移動して目的地点が変わっても随時指令される目的地も更新指令されるので、対象に向かって移動ロボットを向かわせることができる。処理44S029の処理が終了後、処理44S030へ進む。なお、処理44S028において、ロボットへの要請フラグがONでない場合(No)は、処理44S030へ進む。
処理44S030は、異常時処理が全て完了か否かを判定する。異常時処理が全て完了の場合(Yes)は、処理44S016へ進む。異常時処理が全て完了でない場合(No)は、処理44S031へ進む。ここで、異常処理が全て完了する場合とは、処理44S003〜処理44S006までと同じような処理をここでも実行してCPU4からの結果が異常なしとなり、異常ありの状態から異常なしとなった場合には、終了にかかわる処理(トラッキングしていた場合にはトラッキングデータの終了処理、異常の通報をしている場合には通報先へ異常の終了通知、記録交換処理をしている場合には記録の終了処理、威嚇処理を行なっていた場合には威嚇の終了処理、ロボット要請していた場合にはロボットへの終了(待機場所へ戻れの処理)処理など)を行なって完了となる。異常ありからなしへの判断は1回の状況変化で判断させることでもよいが、所定時間繰り返して、異常なしが所定時間続いた場合に、本当に異常なしになったと判断するようにしてもよい。
また、異常処理を継続する場合、処理44S031の後、そのまま(R2)へ戻って、電源のON/OFFをさせないで継続させる方法もあるが、電源の消費を少しでも少なくするために、例えば、タイマーによる電源のON/OFF周期を短く設定するような場合もある。この場合には、処理44S032で、現在の状況を記録しておき、処理44S016及び処理44S008で、電源系統を一端OFFさせて、次にタイマーにより電源ONさせて、処理44S002へ入ってきた場合に異常時処理フラグ継続ONの場合には、最初に、処理44S033で、電源OFFする直前に記録した前回の状況を読み込む。これにより、電源OFFした場合も電源OFFしない場合と同じ状況に戻して、電力消費を最小限にして異常時処理を継続させる。この電源OFFの前に現在の状態を記録しておき、電源ONで前回の状態を読み込んで処理の連続性を確保する方法は、ここでの異常処理に限ることはなく、通常時の処理でも、タイムシアリングにより基本的に省電力化を図りたいような場合には、同様に通常のほかの処理の部分にも適用可能な手法である。
異常時状態が続いている限りは、処理44S031で、異常時処理継続フラグをONして、図42の処理42S002から繰り返し実行する。また、図42の処理42S006では、異常処理継続中かどうかを判断しているが、異常継続中でも強制的にホスト通信設備側から別のコマンドを実行させたい場合には、コマンド50aの種別を通常コマンドと強制コマンドとに分けて設けるようにする。このことで、異常処理継続中でも強制的ホストからの指令を実行させることができる。これにより、異常処理中で不審者をトラッキング監視継続しているときでも、ホスト通信設備側でその状況を時々伝送させて、状況を確認することも可能になる。
図45は、CPU2で実行させる処理の設定フラグを示す説明図である。図45に示すように、CPU2で実行させる処理は、遠隔監視を自動点検するか、自動点検を行なった結果(異常あり/なし)の取得データの対処方法について説明する。項目45L001には処理項目、項目45L002には処理内容、項目45L003にはフラグの設定内容が記載されている。
CPU2で実行させる処理の内容は、CPU2のメモリに、1あるいは0のフラグで記録され、プログラム実行中に初期の設定フラグとして参照可能とする。各CPUのメモリには、画像メモリ(100(S2))も該当するが、USBメモリ、スマートメディア、ハードディスクなどの大容量メモリとして装備してもよい。ここでは基本的なフラグを示し、他にフラグを定義して設けてもよい。
自動点検する/しないのフラグとして、タイマー起動で自動点検を実施する/しないのフラグ、赤外線センサなどによる起動の自動点検を実施する/しないのフラグがある。赤外線センサなどは、監視装置で通常生かしておくセンサ系で、何かを検出させた場合に利用される。また、自動点検を行なった結果、異常がなしの場合にも、データを自分自身で記録する/しないのフラグ、他の監視装置へもデータを伝送して記録、交換する/しないのフラグを用意する。他の監視装置へもデータを伝送して記録するようにすることで、万一、監視装置が故障して記録データが損傷したような場合でも、同じデータを他の監視装置が記録している。これにより、他の監視装置から必要なデータを検索取得するようなことも容易となる。
また、異常がありの場合にも、データを記録する/しないのフラグ、他の監視装置へデータを伝送して記録、交換する/しないのフラグ(この場合、どの監視装置までデータを転送するかの範囲を指定するようにするのがよい。)、異常の対象をトラッキングする/しないかのフラグ、異常を通報する/しないのフラグ、威嚇装置で威嚇する/しないのフラグ、自律移動ロボットに対応処理を要請する/しないのフラグなどを設ける。
これらのフラグは、赤外線リモコンなどで容易に各監視装置のフラグの内容を変えられるようにしてもよい。また、ホスト通信設備から各監視装置へフラグの設定コマンドとして指令して設定してもよい。このように、異常時に、単に通報する以外に威嚇やロボットなどをむかわせることが自動で行なえれば、異常事態に緊急に適切な対応がとれるようになる。また、他の監視装置で異常時のデータを記録するようにすれば、万一、異常事態の影響で、その場所の監視装置が損傷し、破損させられたような場合にも、その時のデータを異常現場から離れた監視装置で記録しておくことができる。後に、確実に異常時のデータを検索して参照することなども容易に行なえることができる。
図46〜図51は、CPU3の処理を示すフローチャートである。CPU3は、処理46S001でスタートすると、処理46S002で、CPU1からのコマンドを入力して、処理46S003で、自分宛てのコマンドか否かを、送信先ID(50c)により判別する。自分宛てコマンドでない場合には、処理46S004へ進む。処理46S004では、タイマーで電源ONのときには、CPU3系統の電源ONの継続処理を行い、次へ進む。
処理46S003で、自分宛てのコマンドが来た場合(Yes)には、処理46S005で、光軸調整中フラグがONで通常コマンドであるか否かを判定する。光軸調整中か否かを確認して、光軸調整中の場合(Yes)には、CPU1へ光軸調整中の応答を戻す(処理46S006)。光軸調整中フラグがOFFあるいは強制割り込みコマンドである場合(No)は、処理46S007で何のコマンドかを、コマンド50aやコマンド付属データ50dで判別する。コマンドの判定後、各種の処理に対応する処理を実行する。なお、処理46S003において、自分宛てのコマンドでない場合(No)には、処理46S004へ進む。
ここで、代表的な処理としては、処理46S008では、CPU2の電源ON/OFF処理、処理46S009では、自分自身の電源OFF処理、この場合、コマンド入力後、所定時間経過後OFFさせるようにする。処理46S010では、通信経路変更指令をする。例えば、A系の通信装置の相手の監視装置が故障したときに、別の監視装置の通信系に接続し直すような処理であり、通信経路情報を各監視装置で保持しておく場合にはすべての監視装置にその情報はホスト通信設備から指令伝達されるようにする。実際の組替え処理を行なう監視装置は、当該監視装置が行なうようになる。また、処理46S011では、テスト動作として光軸調整処理を実行させてもよい。処理46S012では、各種パラメータの設定処理を用意しておく。各種パラメータの中にはタイマー起動のT1、T2、T3などのタイミングのデータを設定変更できるようにしておく。各種処理後、処理46S004へ進む。
次に、処理47S001では、CPU2からの直接コマンドを入力して、処理47S002へ進む。処理47S002では、コマンドがあるか否かを判定する。コマンドがある場合(Yes)には、処理47S003で、光軸調整中フラグがONで通常コマンドであるか否かを判定する。光軸調整中か否かを確認して、光軸調整中の場合(Yes)には、CPU1へ光軸調整中の応答を戻す(処理47S004)。光軸調整中フラグがOFFあるいは強制割り込みコマンドである場合(No)は、処理47S005で、何のコマンドかを、コマンド50aやコマンド付属データ50dで判別する。コマンドの判定後、各種の処理に対応する処理を実行する。なお、処理47S002において、自分宛てのコマンドでない場合(No)には、処理48S001へ進む。
ここでは、通信系確立指令のコマンドが来た場合の処理の一例で示す。その場合には、まず、処理47S006で、A系、B系の通信状態を確認する。これは、具体的には通信テスト用のデータを実際に相手側へ伝送して、そのテストデータ転送のコマンドが来た場合には、各監視装置は所定の応答をするようにしておく。そして、処理47S007で、通信系が確立しているか否かを判定する。所定の応答が来ない場合(No)には、当該通信系は確立していないとして、処理47S008へ進む。処理47S007で、所定の応答が来た場合(Yes)には、当該通信系は確立しているとして、処理47S011へ進む。処理47S011で、相手側監視装置が起動するに十分な時間を待って、処理47S012へ進む。
処理47S007で、通信系が確立していない場合(No)には、相手側監視装置の電源が入っていない場合が想定されるので、処理47S008で、A系、B系、あるいは両方の発光を広角・狭角の切替えを広角に設定する。そして、処理47S009で、A系、B系を広角レーザー照射にして、現在の位置から上下左右周辺にレーザーを広い範囲で照射して、相手側監視装置のレーザー信号を検出して電源ONする機能を起動させる。
次に、処理47S010で、相手側監視装置が起動するに十分な時間を待ってから、処理47S012で、A系、B系を今度は狭角に設定する。そして、処理47S013で、現在位置から上下左右に微動させてレーザー信号がピークになる方向を検出してその方向へ合わせる。この処理は、相手側監視装置とは同時に行なえないので、例えば、電源をONさせた側から、ID番号の小さな番号の方からなどとルールを決めて行なうようにする。処理47S014で、相手側監視装置がピークになる方向を検出してその方向に合わせるのに十分な時間を待つ。
その上で、処理47S015で、A系、B系の通信系が確立しているか否かを再度確認する。処理47S007で、通信系が確立している場合にも、この処理を実施するようにしたのは、通信は確立していても最適ポジションからずれて、かろうじて通信できている可能性もある。このため、再度、最適なポジションに合わせるために実施するようにする。処理47S016で、通信系が確立した場合(Yes)には、処理47S026に進み、通信確立した確立応答を返して次の処理へ進む。処理47S016で、通信がまだ確立しなかった場合(No)には、雲台の方向が微調整では補正できない程度にずれていると思われるため、処理47S017で、所定時間待つ。これは、相手側監視装置とのタイミングをとりスタートする必要があるため、処理47S017でタイミングを合わせるため適切な時間待ちを行なうようにする。次に、処理47S018で、詳細な光軸調整処理(光軸詳細調整処理)を実施する。光軸詳細調整処理は、既に図16、17で説明した内容に相当する処理を行なう。
次に、処理47S019で、通信系の確認を行なって、処理47S020で、通信系が確立したか否かを判定する。通信系が確立した場合(Yes)は、処理47S026へ進む。光軸詳細調整を行なっても、処理47S020で、通信系が確立しない場合(No)には、光軸が大きくずれている可能性がある。このため、次に同様にタイミングをとるため、処理47S021で、所定時間待ってから、処理47S022でより広い範囲をサーベイする概略光軸調整処理を実行する。続いて、その後、再度、処理47S023で、光軸詳細調整処理を行なうようにする。ここで、処理47S022の概略光軸調整処理は、図14、15で説明した内容に相当する処理を行なう。
次に、処理47S024で、通信系の確認を行なう。このようにした結果、処理47S025において、通信が確立した場合(Yes)には、処理47S026で、確立応答を行い、未確立の場合(No)には、処理47S027で、未確立の応答をして次の処理へ進む。
処理48S001で、赤外線リモコンからのコマンドを入力し、処理48S002で、コマンドがあるか否かを判定する。コマンドがある場合(Yes)には、処理48S003で、何のコマンドか応じて、各種用意しておく処理を実行する。例えば、処理48S004で、光軸調整用の雲台やミラーを手動操作で任意の方向へ向ける処理、処理48S005で、CPU2系統の電源をON/OFFさせる処理、処理48S006で、TVカメラの雲台やレンズ系の操作を行なう処理、処理48S007及び処理48S008では、光軸調整の処理をテスト的に実行させる処理である。ほかの処理としては、各種パラメータを設定するコマンド、威嚇装置を操作するコマンド、CPU2あるいはCPU4に対して点検監視を実行させてみるコマンド、TVカメラを画像を画像メモリへ取り込み、モニタなどでその結果を確認しながら手動操作で各種画像処理を実行させる処理もできるようにしてもよい。TVカメラの雲台やレンズ系の操作を行なう場合には、リモコンからCPU3が指令を入力するが、CPU3は、その指令をCPU2に対する指令コマンドとしてCPU2へ指令を出力する処理となる。
次の処理は、処理49S001で、自動光軸調整のタイマー起動が行なわれたか否か(タイマーがONか否か)を判別する。タイマ−起動が行なわれた場合には、T1(概略調整)、T2(詳細調整)、T3(組替え)のどのタイマー起動かを、処理49S002で識別する。それぞれの処理が行なわれるようにする。識別方法は、タイマー21からの信号をCPU3でも取り込んでおき、何のタイマー起動信号が入っているかで識別する。
また、処理49S003で、T1未実行フラグがONであるか否かを判定する。T1未実行フラグがONでない場合(No)、すなわち既に実行の場合には、T1タイマー起動が行なわれずに、次の処理N4へ進む。T1未実行フラグがONである場合(Yes)、すなわち、未実行の場合には、T1タイマー起動が行なわれる。T1タイマー起動の場合は、概略調整であり、処理49S004で概略光軸調整処理を実行する。ただし、処理要求は何度も繰り返し入ってくるので、次のT1タイマーの経過時間内にT1処理を1回実行したらば、次のT1タイマー起動まで2回以上実行しないように、処理49S003で、T1未実行フラグを確認するようにした。
また、処理49S005で、T1未実行フラグがONであるか否かを判定する。T1未実行フラグがONの場合(Yes)、すなわち、未実行の場合には、次の処理49S006へ進む。T1未実行フラグがONでない場合(No)、すなわち、既に実行の場合には、T1タイマー起動が行なわれたとして、処理49S010へ進む。T2タイマー起動の場合は、詳細調整であるが、T1(概略調整)のあとのT2(詳細調整)起動もタイマーで調整されて実行される。T2(詳細調整)の頻度を多くして、監視装置が移動したり、動くような場合は、このT2周期を短くする運用方法も可能としている。すなわち、最初に処理49S005で、T1起動されたあとか否かを確認する。T1起動がされていない場合は、処理49S006で、A系、B系を現在位置から上下左右に微動させて、レーザー信号のピーク点にあわせなおす処理を実行する。処理49S007で、相手側監視装置がピークになる方向を検出してその方向に合わせるのに十分な時間を待つ。処理後には処理49S008で、通信系の確認を行ない、処理49S009で、通信系が確立しているか否かを判定する。処理49S009で、通信系が確立していない場合(No)には、処理49S010で、光軸詳細調整処理を実行させる。処理49S009で、通信系が確立した場合(Yes)には、時間のかかる処理49S010での光軸詳細調整処理をパスして、処理49S013に進み、通信確立フラグを設定して次の処理へ進む。T2の起動周期を早くする場合にも対応可能とする。
ここで成立する条件は、監視装置の移動速度とT2の関係で、上下左右微動して光軸を合わせなおす範囲内に監視装置が移動する分には、この調整方法で移動する監視装置に対しても、常に光軸はベストの状態に調整しながら追従できるようになる。それでも万一、追従できない場合が生じても、処理49S010で、光軸詳細調整処理でサーべイする微小範囲内で見つかれば、移動する監視装置を見失うことなく追従制御可能となる。処理49S011で、A系、B系の通信を確認し、処理49S012で、通信系が確立したか否かを判定する。通信系が確立した場合(Yes)には、処理49S013で、通信確立フラグを設定して次の処理へ進む。処理49S012で、通信系が確立していない場合(No)は、処理49S014へ進む。
なお、処理49S005で、T1未実行フラグがONでない場合(No)には、処理49S010へ進む。T1起動された直後のT2起動であれば、処理49S010の光軸詳細調整を実行する。ここで、T1後のT2タイマーと、短周期のT2タイマーは、別のタイマー設定で別の周期にするようにしてもよい。
また、処理49S014で、T1未実行フラグがONであるか否かを判定する。T1未実行フラグがONの場合(Yes)、すなわち、未実行の場合には、次の処理49S015へ進む。T1未実行フラグがONでない場合(No)、すなわち、実行の場合には、T1タイマー起動が行なわれたとして、処理49S022へ進む。処理49S010で光軸詳細処理を実行しても通信系が確立できなかった場合で、まだ、概略光軸処理を実行していない場合には、処理49S014及び処理49S015を経由して、処理49S016で、概略光軸調整を実行する。その後、処理49S017で、各監視装置が同期するのに十分な時間を待って、再度、処理49S018で、光軸詳細調整処理を実行するようにした。処理49S019で、A系、B系の通信を確認し、処理49S020で、通信系が確立したか否かを判定する。通信系が確立した場合(Yes)には、処理49S021で、確立状態フラグを設定して次の処理へ進む。一方、処理49S020で、通信が確立できなかった場合(No)には、処理49S022で、未確立状態フラグを設定して次の処理へ進む。
処理49S010で、光軸詳細処理を実行しても通信系が確立できなかった場合で、すでに、概略光軸処理を実行している場合には、処理49S014を経由して、処理49S022で、未確立状態フラグを設定して次の処理へ進む。
また、処理49S023で、T3未実行フラグがONであるか否かを判定する。T3未実行フラグがONでない場合(No)、すなわち、既に実行の場合には、T3タイマー起動が行なわれずに、次の処理N4へ進む。T3未実行フラグがONの場合(Yes)、すなわち、未実行の場合には、T3タイマー起動が行なわれる。タイマーT3起動が行なわれた場合には、通信経路の組替え処理である。まず、処理49S024でCPU2系の電源をONさせて、処理49S025で、CPU2へカメラを所定の方向へ向けて、処理49S026で、CPU4でカメラの映像を画像メモリへ取り込み、画像処理でランプなどの特徴点を検出する。そして、周囲の監視装置の概略方向を検出して、処理49S027で、所定の方向すべての範囲の周囲の監視装置の概略方向を検出したか否かを判定する。所定の方向すべての範囲について検出していなければ(No)、処理49S025へ戻る。所定の方向すべての範囲について検出し終了した場合(Yes)、処理49S028へ進む。
処理49S028で、周囲のすべての監視装置に対して、順番に光軸詳細調整処理を実行する。そして、処理49S029で、カメラで検出した概略の周囲の監視装置の方向すべてに対して、光軸詳細調整処理が終了したか否かを判定する。所定方向すべてで終了していない場合(No)は、処理49S028へ戻り、所定方向すべてで終了している場合(Yes)は、次の処理へ進む。
処理49S030で、周囲の相手側監視装置とあらかじめ決めておく所定のタイミングで同期を合わせるようにして、処理49S031で周囲の監視装置と通信確立情報を交換する。周囲の監視装置と交換した情報も、再度交換することを繰り返して交換することで、すべての監視装置がすべての監視装置の周囲の監視装置との通信確立情報を得ることができる。
次に、処理49S032で、所定のルールに従って、各監視装置で、全体の監視装置ネットワークの通信経路を求めて決定する処理を実行して、その決定した通信経路の方向にA系、B系の雲台を向けて、通信確認して、処理49S033で、各監視装置が同期するのを待って、次の処理へ進むようにする。
組替え周期は、全ての監視装置が同じ時刻に電源ONして同時に同じ処理が実行されるようにする。途中に監視装置を追加したり、どこかの監視装置を取り外したり、どこかの監視装置が故障したり、移動する監視装置がネットワークの中に含まれるような場合においても、この処理が起動するとその時点での最適な監視装置によるセンサネットワークが再構築できるようになる。この周期を早くすると、移動する監視装置などに対しても有効である。
監視装置を追加するような変化に対して、1日に1回とか数日の1回のタイミングでT3起動されるまで運用上待つようにしてもよいが、移動する監視装置に対しては、T3周期を短くすることで、移動する監視装置に対してもリアルタイムで通信経路を、常に最適に組替えることができるようになる。但し、この場合には処理を極力早くするのがよい。このため、監視点検用のTVカメラの映像を使って周囲監視装置の概略方向を検出するのではなく、魚眼レンズなどの1回の撮影で広角の広い範囲を撮影してすぐに周囲全体の監視装置の位置を検出するのが好ましい。それでも、複数の概略方向に対して、光軸の詳細調整処理を複数回実施するため、その期間通信系は通信できないことになる。そのような場合には、それまでの通信系統A系、B系はそのままにしておき、通信装置D系、F系などを設けて、この方向を検出するのは、D系、F系の光無線装置を用いて行なうようにしてもよい。
次の処理としては、処理50S001で、通信用レーザーの有無で電源ONしたか否かを判別する。レーザー光でONしない場合(No)はR4へ戻る。ここでは、処理50S001で、レーザー光で電源ONした場合(Yes)の処理を説明する。この場合は、処理50S002で、CPU3系統の電源ON継続処理を行なって、レーザーがなくなってもすぐにOFFしないようにする。処理50S003で、レーザーを照射してONさせた側と所定のタイミングで同期を合わせるようにして、処理50S004で、A系、B系を狭角設定する。処理50S005で、相手側監視装置が相手側監視装置の受光出力のピークになる方向を検出してその方向に合わせるのに十分な時間を待つ。処理50S006で、雲台を上下左右に微動させて、自分自身の受光出力のピークの出る方向へ設定(ウエイクアップ電源ONさせた側の監視装置とは通信確立を目的に微動させるが、ウエイクアップ電源ONさせる側の監視装置に対してはこの微動でウエイクアップ電源ONさせる)して、処理50S007で、A系、B系の通信確認を行い、処理50S008で、通信系が確立したか否かを判定する。
処理50S008で、通信が確立しない場合(No)には、処理50S009で、相手側監視装置との同期設定の時間を待って、処理50S010で、光軸詳細調整を行なう。処理50S011で、A系、B系の通信確認を行い、処理50S012で、通信系が確立したか否かを判定する。処理50S012で、通信系が確立した場合(Yes)には、処理50S018へ進む。それでも確立しない場合には、処理50S013で、相手側監視装置との同期設定の時間を待って、処理50S014で、概略光軸調整処理をする。その後、処理50S015で、詳細詳細調整処理を行なう。処理50S016で、A系、B系の通信確認を行い、処理50S017で、通信系が確立したか否かを判定する。それでも確立しない場合(No)には、処理50S020で、未確立状態フラグを設定して、図46の最初の処理46S002へ戻る。また、処理50S017で、通信が確立した場合(Yes)には、さらに上流の監視装置、あるいは、さらに下流の監視装置を自分自身が電源ONさせる処理が必要なるので、処理50S018で、確立フラグを設定する。そして、処理50S019で、上流あるいは下流への伝送処理を実行してから、図46の最初の処理46S002へ戻る。また、処理50S008で、通信が確立した場合(Yes)には、処理50S018へ進む。
なお、処理50S007、処理50S011、及び処理50S016のA系、B系の通信確認のときには、通信データの中に上流側のみか、下流側のみか、あるいは周辺、何台までの監視装置まで電源ONさせるかの設定パラメータを、コマンド付属データに付けて送信側は送信するようにする。最初の何台までONするかの台数は、あらかじめ所定の台数に決めておいてもよいし、設定パラメータで変更設定するようにしてもよい。
図51は、CPU3の処理の上流あるいは下流へ伝送する処理(処理50S019)を示すフローチャートである。ENTER(処理51S001)から入ると、まず、処理51S002で、周辺何台までONさせるかを示す台数変数(送られてきたデータの中にある台数)から−1台(1台を減算)とする。すなわち、自分自身がすでにONしたので、その分を−1としている。
処理51S003で、台数変数が0か否かを判定する。台数変数の値が0であり、残りONさせるべき台数がなく自分で終わりであれば、そのままRETURN(51S025)で戻る。台数変数の値が0でなく、ONすべき台数がある場合には、処理51S004で、A系あるいはB系の通信を確認し、処理51S005で、通信系が確立しているか否かを判定する。通信系が確立していない場合(No)には、処理51S006及び処理51S007で、レーザービームを広角にして雲台を上下左右に微動させて上位側あるいは下位側の監視装置の電源をONさせる。A系あるいはB系のどちらかは自分がONさせられた相手側なので、それから、ONさせるべき側の系統のみを処理するようにしてもよい。処理51S005で通信系が確立している場合(Yes)は、処理51S009へ進む。処理51S009では、所定時間待って、処理51S010へ進む。
次に、処理51S008で、所定時間待って相手側とタイミングをとって、処理51S010でレーザーを狭角に設定する。処理51S011で、A系あるいはB系の雲台を上下左右に微動させてピーク点に合わせる処理を行う。処理51S012で、所定時間待って、そのあと、処理51S013で、A系、あるいはB系の通信を確認する。処理51S014で、通信系が確立したか否かを判定する。このとき、通信データの中にONさせるのが上流側のみか、下流側のみか、あるいは周辺の何台までの監視装置まで電源ONさせるかの設定パラメータを、コマンド付属データに付けて送信側は送信する。
処理51S014で、通信がまだ確立していない場合(No)には、処理51S015で、所定時間待って、処理51S016で、光軸詳細調整処理を行なう。処理51S017でA系、B系の通信確認を行い、処理51S018で、通信系が確立したか否かを判定する。それでも確立できなかった場合は、処理51S019で、所定時間待って、処理51S020及び処理51S021で、概略光軸調整と光軸詳細調整処理を行なう。処理51S022で、A系、B系の通信確認を行い、処理51S023で、通信系が確立したか否かを判定する。処理51S023において通信が確立した場合(Yes)には、処理51S024へ進む。また、処理51S018で通信系が確立した場合には、同様に、処理51S024へ進む。
処理51S023においてその結果でも確立しない場合(No)には、処理51S026で、未確立フラグを設定して戻る。通信が確立した場合には、処理51S024で、確立フラグを設定して戻るようにする。このような処理を組み込んでおくことにより、必要な周囲の監視装置の電源をONさせる処理を必要な範囲(台数)行なうことが可能となる。
本実施形態の各監視装置が、監視対象の異常を検知した場合、監視対象に対して能動的対処を行なう手段を有する。これにより、即座に異常に対応できるようになる。能動的対処を行なう手段としては、近くにいる人の携帯電話やPHS電話に通話するとか、警報などの音で周囲の人に知らせるとか、あるいは、火災を検知した場合には能動的に消火設備と連動させて消火を行なわせるようにしてもよい。また、セキュリティに監視装置を適用する場合には、不審者を検知したときにレーザー砲や水鉄砲で即座に威嚇するようにしてもよい。レーザー砲では、パルスの振幅の周期をコントロールして、平均エネルギーを例えば人の目に対して傷付けないギリギリのところに制御するようにすれば、動力源のエネルギーも無駄なく最適にコントロールして運転するようにしてもよい。また、異常を検知した場合には、自律型の移動ロボットへ異常を検出した監視装置から直接指令を与えて、異常への対応をロボットに行なわせるようにしてもよい。
本実施形態の各監視装置が、監視対象の異常を検知した場合、監視情報を連続して記録する手段を有する。これにより、異常発生直後の状態を自動で記録しておくので、のちに異常発生時の状況を回収した監視装置から確認し、又は、回収しないでもホスト通信設備からの指令で異常時に記録したデータを参照して異常時の状況を確認することができる。ここで、連続とはアナログ的に連続に記録するようにしてもよいし、所定の周期で記録を停止するまで繰り返すことでもよい。デジタル記録の場合は周期を短くしてもサンプリング周期での連続記録となる。サンプリングの周期を長くして記憶装置の容量から記録するデータを少なくして長時間分記録できるようにしてもよい。また、異常時に限らずに、通常時にも監視点検データの記録を行なうようにしてもよい。その場合は所定の記録容量を記録したならば最初に記録したデータを消しながら繰り返し記録するようにしてもよい。
本実施形態の各監視装置が、監視対象の異常を検知した場合、監視情報をホスト通信設備へ知らせる手段を有する。これにより、自動で対応する以外に、ホスト通信設備の情報で、オペレータが判断して、より適切な対応を各監視装置や、周辺の人や、周辺のロボットへ指示を与えることができるようになる。自律移動ロボットの場合でも、そのロボットへの指令を、各監視装置が自動で与えるなどの高度な判断認識機能を各監視装置に搭載すればできないことはない。しかしながら、ホスト通信設備でオペレータがその情報を受け取り、オペレータが各監視装置のネットワークを介してロボットを指令を与えてもよいし、別の専用通信回線を利用してロボットへ指令を与えるようにしてもよい。オペレータは、状況に応じた適切な指令を与えることが可能となる。この場合でもロボットは、ある程度は自律的に移動できるものが、より円滑に異常に対する対応ができるようになる。
本実施形態の各監視装置が、監視対象の異常を検知した場合、他の各監視装置へ監視情報を送信する手段と他監視装置からの監視情報を記憶する手段を有するようにする。これにより、ある個所で異常が発生してそれをその個所の監視装置が検出すると、検出した異常データは、ほかの監視装置へも伝わるので、異常な状況を各監視装置全体が共有することができる。ホスト通信設備にもその異常情報が伝達されるようにしてもよい。このように、複数の監視装置が異常時の情報を共有すると、例えば、異常により異常発生個所近くの監視装置が初期の段階では監視データを取得していたが、その後、温度や爆発などで監視装置が破損した場合でも、監視データはほかの監視装置に伝送されている。このため、異常発生時からのデータを確実に残せるようになる。セキュリティに適用した場合でも不審者が監視装置を壊そうとした場合においても1台の監視装置を壊しても監視データは他の監視装置に伝送されているので、監視データを壊されることはない。
本実施形態の各監視装置が、監視対象の監視情報を定期的に他の各監視装置と情報交換を行い、各監視装置は自分以外の他の監視装置の監視情報も記録する手段を有する。これにより、各監視装置の通常時の監視点検データも各監視装置の中だけではく、他の監視装置でも共有して、記録保存することができるようになる。異常が発生した場合に、異常が発生する前の監視点検データを確認したい場合、あるいは異常が監視装置で検出できなかったが何か異常が発生していたような場合にも、後日、過去に記録していた監視点検データを調べたいという状況の場合にも各監視装置にそのデータは記録され、ホスト通信設備にも伝わっているので、監視装置が損傷されるような場合にも安全確実に監視点検データは残るようにすることができる。
図52は、監視装置を市街の監視カメラとして適用する場合の一例を示す説明図である。図52は、上空からの市街の一部についての視図を示している。監視装置209a,209b,209c,209d,209e,209f,209g,209h,209i,209j,209kが、路地の道路の街灯近くに設置されている。監視装置209iからは、ホスト通信設備10を接続して、建屋の中に配線を引き込むようにして電源を確保する。その他の監視装置の電源は、電灯や自動販売機など周囲から取れる場合は近くから受電してもよいし、また、バッテリーを併用して長時間運転が可能なようにしてもよい。
そして、各監視装置が、定期的にタイマー起動で自動点検を行なう。例えば、監視装置209dが、何らかの異常を検出したような場合、アラームを発生したり、ホスト通信設備10へアラームを発生したり、あるいは、近くの自律式の移動ロボット200に要請コマンドを指令したりする。移動ロボット200は、監視装置209zを搭載している。この指令に基づいて、移動ロボット200は、自律的に移動して、異常の発生した監視装置209dのところまで呼ぶことができる。そこで、監視装置209dは、必要な処理をロボットへ指令してさせることが容易に実現可能となる。ここで、ロボットは、走行して移動するもの、2足歩行するもの、又は飛行する自律式の移動ロボットでもよい。自律式の移動ロボットでない場合は、遠隔操作による移動ロボットでもよい。
図53は、移動ロボットに監視装置を搭載する場合のI/Fを示す構成図である。移動ロボット200に搭載する監視装置209zのCPU1(20(1))は、移動ロボット200の制御装置200Cの中のCPU(200C(20))と、インターフェース99zとインターフェース(200C(99))を介して接続する。監視装置209zの外部には、そのI/Fケーブルの接続コネクタ(209(C1))を設けておき、容易に着脱可能な構成とする。このI/Fの通信データは、ロボット制御装置のCPU(200C(20))にも所定のIDを決めて割り付けておくことで、他の通信と同様に行なうことが可能となる。
図54、図55は、移動体追尾専用通信装置と視覚情報処理装置とを組み合わせた場合の一例を示す説明図である。監視装置209a,209bは、A系、B系以外にも、D系、E系を追加して接続する。監視装置209aのA系及びB系、監視装置209bのA系及びB系は、通常の固定の監視装置で構成するセンサネットワークの通信を常時維持した状態である。移動する監視装置(209z(1)),(209z(2))との通信系の確立は、監視装置209a,209bのD系、E系によって行なうことができる。移動する監視装置(209z(1)),(209z(2))は、A系、B系を使用してよい。
通信を確立する手順は、A系、B系として前述してきた方法と同じである。ここで、D系、E系を使用して、移動する監視装置(209z(1)),(209z(2))と通信用光軸をあわせて通信を確立すると、通信できるようになる。移動する監視装置(209z(1)),(209z(2))の方向は、監視装置209a,209bのD系、E系の雲台やミラーの向きで得ることができる。このため、固定式の監視装置209a、209bの位置A点、B点は、基本となるワールド座標系の座標位置として既知の情報であるので、その監視装置の中のD系、E系の雲台やミラーの位置とその向きも既知となる。それらの情報から、移動する監視装置(209z(1)),(209z(2))の位置P1点、P2点を求めることが可能となる。その情報は、伝送されることにより、他の監視装置及びホスト通信設備でも参照することが可能となる。
このような構成にすると、固定の監視装置209a,209bのA系、B系の雲台を動かす必要がないので、固定の監視装置209a,209bのA系、B系の通信は確立した状態で、移動する監視装置209z(1)や209z(2)の通信を連続して確立させ、その位置も連続して容易に得ることができる。また、ここで、移動する監視装置209zに、I/F(99z)などを利用してロボットのCPUの代わりに携帯端末8などを接続する。これにより、人が持ち歩く携帯端末8を携帯端末として利用するほか、ホスト通信設備としても利用してもよい。
図54では、D系とE系を、1台の移動する監視装置のA系とB系にあわせた。一方、図55に示すように、D系あるいはE系のどちらか一方で、1台の監視装置のA系あるいはB系のどちらか一方と合わせるようにしてもよい。このようにすると、A点、B点の2箇所から移動する監視装置の方向を検出できないので、その位置をそれだけで検出することはできないが、方向だけは検出することができるようになる。方向が検出できれば、TVカメラなどでその方向のものを撮影して画像処理して認識処理するようなこともできるし、レーザー通信の往復時間などを測定して距離の情報を得るようにすれば、方向だけでなく位置を特定することも可能となる。そのようなD系、E系の使い方にすると、少ない光無線装置の数でも、より多くの移動する監視装置との通信を行なうことができる。
また、図54に示すように、監視装置209の中のCPU4(20(4))は、視覚情報処理装置(20(100))として組み合わせて運用することも可能である。視覚情報処理装置の詳細は、特開2004−201085号公報及び特開2006−003263号公報などで開示されているので、ここでの詳細な説明は省略する。但し、特開2004−201085号公報及び特開2006−003263号公報の視覚情報処理装置は、基本的に1台のカメラであれば移動して、異なる視点から撮影する複数の画像を対象に、また、2台以上のカメラであれば複数の視点から撮影した複数の画像を対象に、視覚情報処理を主に記載している。
本監視装置で取得する画像で処理する場合について説明を補足する。1台のカメラの監視装置自身のTVカメラの映像は、TVカメラがCPU2(20(2))に接続されている場合には、CPU2からCPU1を経由してCPU4(20(4))に取り込み、また、同時刻に他の監視装置で撮影された画像データをA系あるいはB系の通信装置を介して、CPU1(20(1))を経由してCPU4(20(4))へ取り込む。このようにすれば、同時刻に撮影された監視装置の数だけ複数の視点から撮影された画像データを1台の監視装置のCPU4(20(4))へ取り込んで、ステレオ計測などを同様に行なうことができる。
その場合の処理の概念を簡単に説明すると、監視装置209a,209bの中のCPU4は、図55のB点から撮影した画像(Pic55(1))とA点から撮影した画像(Pic55(2))を画像処理して、B点及びA点からそれぞれ撮影した画像で生成した2次元のCADデータ(Pic55(3)),(Pic55(4))を生成する。このようにして、生成された2次元のCADデータを、各監視装置で交換するようにすると、1台の監視装置で複数点から撮影した画像情報を得ることができる。それぞれの画像は、タイマーの時刻などを参照に同時に撮影するようにする。また、2D―CADデータに変換した情報以外に、生の画像データを伝送交換しあうようにしてもよい。
各監視装置のCPU4は、複数視点から同時刻に撮影した画像データが得られて、それらの撮影した監視装置の位置と撮影方向の情報も伝送しあって既知となると、ステレオ計測によって、3次元のCADデータ(Pic55(5))を生成することできる。この状態で、各監視装置のCPU4のメモリに記憶させておく参照CADデータ(Pic55(6)),(Pic55(7))との3次元マッチングや2次元マッチングを行うようにすれば、現在、撮影した画像データに写っているものが、参照CADデータのものと同じか否かという識別を画像処理で自動で行なうことができる。例えば、検出したい参照CADデータと同じものが見つかった場合には、このような画像処理で検出したい対象の有無とその位置を検出することができるようになる。また、複数の参照CADデータとのマッチングを行い、一番マッチングのよいものを選ぶようにすれば、現在、撮影している対象が参照CADデータの中のどれかを特定、識別(物体を何か認識)させることもできる。これらの参照CADデータは、必要に応じてホスト通信設備から各監視装置へ任意に伝送できる。例えば、探索したい人あるいは物のCADデータを用意して、ホスト通信設備から各監視装置に伝送してその参照CADデータに近い物体の検出するような監視点検を各監視装置に行なわせることも容易にできる。
ここで、2Dの参照CADデータは、最初からホスト通信設備から複数伝送するようにしてもよいし、3Dの参照CADデータを伝送して、その状況でありうる色々な方向から見た2Dの参照CADデータは、各監視装置で3Dの参照CADデータから生成するようにしてもよい。また、各監視装置をパイプラインや電線などの監視対象設備に沿って設置するような場合、各監視対象特有の点検、監視を行なわせるための機能をCPU2やCPU4に組み込んで、タイマーであるいはホスト通信設備からの指令で自動的に所定の監視対象に対応した自動点検プログラムが起動されるようにしてもよい。
図56は、監視装置をグルーピングしてブロック構成ごとに制御する場合の一例を示す説明図である。ここでは、利用者が事業者へ監視サービスを依頼した際、依頼者を監視装置で監視するサービスに適用した場合について説明する。監視装置209a,209b,209c,209d,209e,209f,209g,209h,209i,209j,209k,・・・が、複数、街中に設置されており、監視装置209jは、公衆回線を介してホスト通信設備10に接続されている。すなわち、すべての監視装置の電源が入って動作しているときには、携帯電話(8(1))は、ホスト通信設備10から任意の監視装置の情報を得ることができ、任意の監視装置に指令を入力して与えることが可能になっている。例えば、監視装置209cの近くの依頼者201bが、監視サービスを依頼した場合に、街中のすべての監視装置の電源をONさせて監視サービスを行なうことでもよい。しかし、依頼者から遠く離れた監視装置の電源まで投入するのは省電力、バッテリーを長持ちさせる観点からも好ましくない。
そのような場合の対応方法としては、各監視装置の通信処理にかかわる部分だけ電源をONさせる方法は既に説明した。ここでは、監視装置を地域ごとにグルーピング化して、そのグループごとに監視装置の電源のON/OFF制御を行なう場合の一実施形態を説明する。
監視装置209cは、他の監視装置209a,209b,209d,209e,209fからなるBグループを構成する。また、その隣の地域では監視装置209g,209h,209i,209j,209kがAグループを構成する。ほかにも、複数のグループを構成してよいが、各グループの少なくとも1台の監視装置のA系、B系の光通信装置、C系のバックアップ無線LANの通信装置以外の通信装置とのI/FのD系などに、携帯電話などを接続できるようにしておく。本例では、Bグループの監視装置209fに、携帯電話(8(3))を接続し、また、Aグループの監視装置209gに携帯電話(8(2))を接続している。携帯電話は、携帯端末、PHS、専用の無線装置、又は、有線の通信装置でもよい。
ここで、依頼者201bが携帯電話(8(4))などで監視サービスセンターへ電話をして依頼をすると、その依頼の電話は、携帯電話(8(4))から近くの携帯電話のアンテナ(61(6))を介して公衆の電話回線(60(2))を経由して、センター員201aの電話(8(1))に入る。センター員201aは、依頼を受けたならば電話(8(1))から携帯電話(8(3))へ電話をして、電話からAグループの監視装置の電源ON指令を入力するようにする。すると、監視装置209fからその上流、下流の同じグループの監視装置には、通信用のレーザー光による電源ON機能を使って各監視装置の電源が入る。そして、センター員201aは電話(8(1))をホスト通信設備として、各種コマンドを監視装置209f経由でグループAの任意の監視装置へ与えるようにする。コマンドは、最初に依頼者201bを探索するというコマンドを送信し、監視装置209cが依頼者を発見したならば、以後は、各監視装置で依頼者を追跡しながら、周囲の異常の有無を自動で検知するように動作させる。
依頼者が、グループBの監視装置のエリアからグループAのエリアへ移動する場合、センター員201aは、次に電話(8(1))からグループAの監視装置209gの電話(8(2))へ電話をして、同様なコマンド指令を入力する。今度は、Aグループの監視装置の電源をONさせる。依頼者がグループBエリアからグループAエリアへ移動している途中では両グループの電源をONしておくが、依頼者が完全にBグループのエリアを抜けた場合には、Bグループの監視装置の電源をOFFして、Aグループの監視装置側で監視サービスを継続させてもよい。また、センター員201aは1台の電話(8(1))では、同時に複数のグループに指令を与えられないので、複数台の電話を使用するようにしてよい。また、この一連のセンター員の電話の対応を、電話の受信から発信まですべて専用の制御装置で自動で行なえるようにしてもよい。依頼者からの電話は、センター員が受けて、センター員が専用の制御装置を操作すると、監視装置のグルーピングの電源ON/OFF操作の部分だけを自動で制御装置が行なうようにしてもよい。
すべて自動で行なうためには、依頼者を探索することも自動で行なう必要がある。そのような場合には、監視サービスを会員制にして依頼者の参照CADデータをセンターの計算機あるいは各監視装置のメモリに転送記録しておく。依頼者のID番号から自動で参照CADデータを取り出して、監視カメラの画像の中の依頼者を探索するようにする。探索まで自動で行なわないような場合には、センター員が、直接依頼者と電話で現在どこにいるかを聞いて、その場所の近くの監視装置の属するグループの電源をONして、近くの監視装置のTVカメラを遠隔操作して、画面で依頼者をセンター員が直接確認してから、監視サービスをスタートするという方法を用いてもよい。センター員は、街のマップと監視装置の配置が表示されているモニタで、依頼者のいる場所をモニタ上でクリックするだけで、当該エリアのグループの電源をON/OFF操作できる。また、モニタ上の監視装置をクリックするだけでクリックした監視装置の遠隔操作ができるようにセンターの設備を用意しておくようにしてもよい。また、最初に探索してからの依頼者のトラッキング追跡や周囲の異常の有無の監視も各監視装置の機能を使って自動で行なってもよいし、センター員がTVカメラの映像などを確認して行なうようにしてもよい。
センター員(監視サービスのセンター事務所の係員)は、監視装置が自動で行なっている状況を、モニタなどで正常に行なわれているかを確認してもよい。センター員が携帯電話回線で状況を確認する場合には、回線の伝送容量などが劣る場合もあるので、定期的に静止画で精細な画像を送るとか、もう少し早い周期で圧縮した動画を送るなど、回線の伝送能力に合わせて確認方法を自動あるいは任意に選択できるようにしてよい。監視サービス中に異常を検出した場合には、近くの警察に自動で警報が入るようにしてもよいし、センター員が連絡をするようにしてもよい。また、センター員が、威嚇装置で音声で、不審者に警告したり、依頼者に注意を呼びかけたり、あるいはレーザー砲で不審者への威嚇を自動あるいは遠隔でコマンドを指令することで操作するようにしてもよい。また、近くの自律移動ロボットに、不審者の場所まで移動させるコマンドを自律移動ロボットへ自動であるいはセンター員が送るようにして、緊急の対応処理を行なうようにしてもよい。
また、本発明の監視装置を、道路に沿って配置してITS(Intelligent Transport Systems)のシステムを構築してもよいし、違法駐車を自動で検出してもよい。また、交通事故の状況を記録しておき、あとで、交通事故の詳細を検索確認するのに利用してもよい。交通事故が起こる前に自動車あるいは自動車のドライバー専用の無線回線あるいは本監視装置を自動車に搭載して、危険を事前に知らせるようにして、交通事故を未然に防止するようにしてもよい。また、通常の自動車以外の緊急車両である警察や消防の車にも搭載するような場合には、緊急時には通常の車より、警察や消防の車を優先的に切り替えて追尾して緊急通信や現在位置の確認や進行方向の誘導に活用するようにしてもよい。その場合、警察や消防の車に優先的に切り替える前の車の位置あるいは方向は各監視装置で覚えておき、復帰したときにその覚えていた位置あるいは方向の近傍から探索して緊急時に切り替える前の運用状態に戻るようにしてもよい。
また、本発明の光無線通信部分の光軸調整機構やパワー伝送機構あるいは回路の部分は、監視装置の通信手段として説明しているが、勿論、監視装置の通信手段に限ることなく、AV、マルチメディア、IT、コンピュータネットワークの情報伝達の無線通信手段として、従来の光ファイバーやメタルケーブルによる有線による通信、あるいは、有線によるパワー伝送の代わりに用いてもよい。
また、本発明の監視装置は、施設内や建屋や家の中に配置して不審者の侵入監視や機械の故障の検出や火災の検出、あるいは、それらの兆候の検出に利用できる。異常の検出後は、不審者に対する威嚇、排除、火災に対しては消火対応などを自動あるいは遠隔操作で行なう。不注意による事故などを含めて、すべての事故を未然に防止することに適用してもよい。また、監視装置を移動するものに取り付けて、監視装置の位置が、固定位置ではない監視システム、移動式監視システムを構築してもよい。家の監視システムのネットワークの場合には、その一台あるいは何個かの監視装置を、番犬に取り付けてもよい。光無線センサネットワークは必ずしも、連続して通信が確保されるとは限らないので、一時的に通信が途切れたような場合には、しばらくリトライを繰り返す処理を行なうようにして、再度、通信が復活すれば自動監視点検や遠隔操作もその時点で再度できるようにしてよい。
図57は、監視装置を移動式の監視装置として適用する場合の一例を示す説明図である。図57に示すように、監視装置209zは、レール(200(1))に沿って走行式の移動ロボット200Sに設置され、移動可能な構成になっている。具体的には、移動ロボット200Sは、モータ200Mが駆動輪(200(3))を駆動することで、レール(200(1))に沿って前後に走行可能な機構になっている。モータ200Mは、モータ駆動回路200D(図示せず)により駆動制御される。ここで、本発明の監視装置209zを移動ロボットに搭載して、監視装置209zからモータ駆動回路200Dに制御指令を与えるように構成する。監視装置209zは、移動ロボット200Sに搭載され移動しても、ほかの監視装置209a,209bと通信を行なうことができる。
ここで、監視装置209a,209bも、移動するものに搭載されているとしても、本発明の光軸調整機構が、アクティブに作用することで、光無線通信あるいはそのバックアップの電波無線通信などで、監視装置のネットワーク通信系は途絶えることのないように通信を維持させることが可能となる。この場合、監視装置ネットワークの所定位置にホスト通信設備を備えれば、そこから監視装置209zに指令を与えるようにして、監視装置209zから移動ロボット200Sのモータ駆動回路200Dを遠隔で制御操作してもよい。監視装置209zの各種センサなどからの情報に基づき、監視装置209zが自律的に判断して、移動ロボット200Sのモータ駆動回路200Dに制御指令を入力して、ロボット200の走行制御を行なうようにしてもよい。
図58は、監視装置を移動式の監視装置として適用する場合の他の例を示す説明図である。図58に示すように、監視装置209zは、移動するものの制御装置と独立して、単に、監視装置209zが移動するものに搭載されている場合である。監視装置209zは、ワイヤロープ(200(2))の先に取り付けられていて、ワイヤロープ(200(2))は、ドラム(200(4))に巻き取られてドラム(200(4))の回転により、監視装置209zが上下する。ドラム(200(4))は、モータ200Mで駆動され、モータ200Mは、モータ駆動回路200D(図示せず)で駆動制御され、モータ駆動回路200Dには制御装置200Cが制御指令を与える構成である。この場合は、監視装置209zと、移動制御をつかさどる制御装置200Cやモータ駆動回路200Dと、制御信号などの送受信は行なわない構成である。
例えば、制御装置200Cが、定周期でドラム(200(4))をワイヤ(200(2))を緩めたり、巻き取ったりの繰り返し制御を行なう。このようにすれば、監視装置209zは、上下に繰り返し移動することとなる。この場合でも、監視装置209zは、ほかの監視装置209aなどとの監視装置の通信ネットワークは構成される。監視装置209zの位置は、上下に移動しているが、通信は確立している状態を維持できる。このように、監視装置209zや、監視装置ネットワークとは直接接続されていない動作する機器に、監視装置を搭載するだけでも、移動式の監視装置を容易に構築することができる。
図59は、比較例として長距離の移動ロボットの通信系を実現する方法を示す説明図である。図59は、図60と比較するための比較例であり、本発明の監視装置を適用していない場合である。移動ロボット200の制御装置200Cには、無線装置63が接続されている。無線装置は、専用無線機でもよいが、ここでは、無線LANなどを想定して説明する。無線LANの無線装置63は、地上側のアクセスポイント(62(1)),(62(2)),(62(3)),・・・・と通信可能な構成とする。
無線LANのアクセスポイントには、無線で近くの別のアクセスポイントへ、無線装置63からの受信データや無線装置63への送信データをリレー式で伝送させる。そうすると、伝送速度の遅れが、リレーするアクセスポイントが増えると大きくなり、映像などの大量のデータを非常に長期までは伝送しにくくなる。その対応策として、各アクセスポイント(62(1)),(62(2)),(62(3)),・・・・に、ハブ(61(1)),(61(2)),(61(3)),・・・を接続している。各ハブ間は、光ファイバー、あるいはメタルでもよいが、有線LANで、各ハブ(61(1)),(61(2)),(61(3)),・・・を接続する。ホスト通信設備10は、ハブ(61(0))を介して、ハブ(61(1))と接続し、移動ロボット200との通信を可能としている。各アクセスポイント(62(1)),(62(2)),(62(3)),・・・・と各ハブ(61(1)),(61(2)),(61(3)),・・・の電力は、電源35から有線でケーブルを布設して電力を供給するようにした。
図60は、非常に長距離を移動するロボットに監視装置を適用する場合の一例を示す説明図である。図60では、図59と比較して有線LANを用いずに、無線の光通信により各監視装置の通信をしている。アクセスポイント(62(1)),(62(2)),(62(3)),・・・・を、各監視装置209a,209b,209c,・・・に接続する。ホスト通信設備10は、監視装置209aと接続する。各監視装置間は、光無線の伝送路でネットワークが構成される。このため、ハブ61などのI/Fを介する図59と比較して、ホスト通信設備10と移動ロボット200との長距離での無線通信も容易に実現できる。
以上のように、本発明によれば、センサネットワーク構築時にケーブルなどの配線工事をともなわないで容易に構築でき、また、監視装置やセンサネットワークの拡張も容易にできる。また、ネットワークの中に光無線部が、多く存在しても容易に光軸合わせができる。また、光無線の光路途中に光をさえぎるものが入ったり、光無線部自身が振動や風で揺れてもネットワーク通信は途絶えさせることなく、連続して長期間運転が可能で、発生した異常に対しては迅速なる対応の可能な遠隔監視システムを容易に得ることができる。
本発明は、原子力発電所の格納容器内の監視装置として、必要時にケーブル布設工事なしで監視装置を容易に追加設置したり、設置場所を変更したりできる監視装置として有効である。また、格納容器内に限らず、発電所内の設備の監視点検用にケーブル工事なしで容易に監視装置を追加設置したり、設置場所を変更したりしながら遠隔監視システムを構築するのに適用できる。また、カプセルに納めた監視装置は、防爆性もあるので、火力発電所や化学プラントの監視点検装置として容易に設置できる遠隔監視システムとして適用できる。また、水力発電設備やダムの遠隔監視システムとしても有効に適用できる。
また、公共の場のセキュリティシステムとして、通常の街路路とか公園、建屋の敷地内、各家庭の庭とか、ビル内にケーブル工事なしで監視装置を設置して公共の治安を監視点検するシステムにも適用できる。また、プールや貯層タンクの中にカプセル収納の監視装置を投下して、投下後に通信ネットを確立させて遠隔監視システムとして適用し、水中機械の遠隔制御にも適用できる。また、災害発生時の情報収集には飛行機などからカプセルに収納された監視装置をばらまき無線監視装置のネットワークを確立して災害現場の情報収集を行なう遠隔監視システムなどに利用可能である。
本実施形態の遠隔監視システムにおいて、記録する監視情報、各監視装置やホスト通信設備と通信を行なう監視情報、あるいは指令情報は、必要に応じて、暗号化して記録し、又は、暗号化して通信するようにしてよい。情報を暗号化し、暗号化された情報を暗号化される前の情報を戻す(復号化)ルールは各監視装置共通にしてもよい。あるいは、各監視装置に別々のルールにしてもよい。共通化しておくと、1台の監視装置には、少なくとも監視情報を送信あるいは記録する前に暗号化するルールが記録されていると、不審者が1台の監視装置の暗号化ルールを解析すると、他の監視装置の通信情報も解読できてしまう。一方、別々にルールを設ける場合のメリットは、1台の監視装置の暗号化ルールを解読されても他の監視装置と違うルールであれば、ほかの監視装置の暗号化した情報は解読されない。
また、暗号化ルールは、各監視装置に記録するのではなく、ホスト通信設備あるいは各監視装置との通信を行なうなかで、指令情報の中に情報の暗号化ルールの指令も含まれるようにしてもよい。その場合、暗号化ルールの基本ルールの発信元は、ホスト通信設備からオペレータが指令してもよいし、特定の監視装置にデフォルトの発信データを記録しておいてもよい。後者の場合には、特定の監視装置を解析するとその記録されている基本ルール(例えば、複数個ある暗号化ルールの番号とその使用する順番を指定する情報など)が既知となるが、暗号化ルールの番号に対する暗号化ルールは、各監視装置のそれぞれに違うルールで規定された内容が記録される(すなわち、各監視装置に別々のルールが適用される)ようになっている。これによれば、暗号化ルールそのものが解析されることはない。また、暗号化ルールの基本ルールの情報の中に、暗号化ルールの番号とその使用する順番だけでなく、暗号化に必要なデータの一部も含むようにする。これにより、各監視装置の中に記録されている情報だけでは解読できず、各監視装置の中に記録されている各監視装置の情報と、通信で送られてくる暗号化に関わる情報との両方を取得しない限り、解読できないようにしてもよい。