JP2008025658A - 発進装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発進装置におけるクラッチのトルク容量を低減させ、装置を小型化する。
【解決手段】遊星歯車機構18は、エンジン12からのトルクが伝達されるキャリアCと、キャリアCに伝達されたトルクが分配されるリングギアR及びサンギアSと、を含み、サンギアSに分配されたトルクを変速機14へ伝達する。摩擦クラッチ20は、リングギアRに連結された駆動側摩擦板26と、サンギアSに連結された被動側摩擦板28と、を含む。駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28とを締結させることで、エンジン12のトルクを、摩擦クラッチ20を介して伝達されるトルクとサンギアSを介して伝達されるトルクとに分配して、負荷16へ伝達することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、発進装置に関し、特に、原動機から負荷へのトルク伝達を許容することで負荷を駆動する発進装置に関する。
例えば車両を発進させる等、負荷を駆動するための発進装置として、摩擦クラッチが用いられている(例えば下記特許文献1)。摩擦クラッチの係合によりエンジン等の原動機の動力を負荷へ伝達することで停止状態の負荷を駆動する(車両を発進させる)場合は、エンジンがストールしないように摩擦クラッチを一時的に滑らせる必要が生じる。この摩擦クラッチの滑りにより、摩擦クラッチが発熱する。
特許文献1においては、摩擦クラッチ(湿式多板クラッチ)の駆動側(入力側)と従動側(出力側)との間に回転速度差が生じているとき、つまり摩擦クラッチに滑りが生じているときに、この回転速度差を利用してオイルポンプを駆動することで、オイルを湿式多板クラッチに供給している。これによって、発熱する湿式多板クラッチの冷却を行っている。一方、湿式多板クラッチの駆動側と従動側との間に回転速度差が生じていないときは、オイルポンプの駆動が停止される。
その他にも、下記特許文献2による無段変速装置が開示されている。
特公平6−17691号公報 特開平4−88241号公報
特許文献1においては、原動機から負荷への動力伝達がクラッチのみを介して行われるため、クラッチのトルク容量を原動機から負荷への最大伝達トルクに設定する必要がある。その結果、クラッチのトルク容量の増大を招くことになる。
本発明は、クラッチのトルク容量を低減することができる発進装置を提供することを目的とする。
本発明に係る発進装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る発進装置は、原動機から負荷へのトルク伝達を許容することで負荷を駆動する発進装置であって、原動機からのトルクが伝達される第1回転部材と、第1回転部材に伝達されたトルクが分配される第2回転部材及び第3回転部材と、を含み、第3回転部材に分配されたトルクを負荷へ伝達するトルク分配機構と、第2回転部材に連結された第1締結部材と、第3回転部材に連結された第2締結部材と、を含み、第1締結部材と第2締結部材との締結力の調整により原動機から第2回転部材及び第3回転部材に分配されるトルクの調整が可能なクラッチと、を備え、第1締結部材と第2締結部材との締結力が調整されることで、原動機から負荷へ伝達されるトルクが調整されることを要旨とする。
本発明の一態様では、第2回転部材に連結された被動機であって、そのトルクの調整により原動機から第2回転部材及び第3回転部材に分配されるトルクの調整が可能な被動機を備え、被動機のトルクが調整されることで、原動機から負荷へ伝達されるトルクが調整されることが好適である。
また、本発明に係る発進装置は、原動機から負荷へのトルク伝達を許容することで負荷を駆動する発進装置であって、原動機からのトルクが伝達される第1回転部材と、第1回転部材に伝達されたトルクが分配される第2回転部材及び第3回転部材と、を含み、第3回転部材に分配されたトルクを負荷へ伝達するトルク分配機構と、第1回転部材に連結された第1締結部材と、第3回転部材に連結された第2締結部材と、を含み、第1締結部材と第2締結部材との締結力の調整により原動機から負荷へ伝達されるトルクの調整が可能なクラッチと、第2回転部材に連結された被動機であって、そのトルクの調整により原動機から第2回転部材及び第3回転部材に分配されるトルクの調整が可能な被動機と、を備え、第1締結部材と第2締結部材との締結力及び被動機のトルクが調整されることで、原動機から負荷へ伝達されるトルクが調整されることを要旨とする。
本発明の一態様では、トルク分配機構は、第1回転部材の回転速度が第3回転部材の回転速度よりも高いときに、それらの回転速度差に応じた回転速度差分、第2回転部材の回転速度が第1回転部材の回転速度よりも高くなる差動機構であることが好適である。
本発明の一態様では、原動機から負荷へ伝達されるトルクを増大させる場合に、第1締結部材と第2締結部材との締結力を増大させるよりも被動機のトルクを増大させる方を優先して行うことが好適である。この態様では、原動機から負荷へ伝達されるトルクを増大させる場合に負荷の要求トルクが設定値以下のときは、第1締結部材と第2締結部材とを締結することなく被動機のトルクを増大させることが好適である。また、この態様では、原動機から負荷へ伝達されるトルクを増大させる場合に負荷の要求トルクが設定値よりも大きいときは、被動機にトルクを発生させた状態で第1締結部材と第2締結部材との締結力を増大させることが好適である。
本発明の一態様では、被動機は、オイルを吸入して吐出する油圧ポンプであり、油圧ポンプからのオイルの吐出圧力を調整することで油圧ポンプのトルクを調整する調整手段を備えることが好適である。この態様では、油圧ポンプから吐出されたオイルがクラッチに供給されることが好適である。
本発明の一態様では、トルク分配機構は、サンギアとキャリアとリングギアとを含むシングルピニオン型遊星歯車機構であり、第1回転部材はキャリアであり、第2回転部材はサンギア及びリングギアの一方であり、第3回転部材はサンギア及びリングギアの他方であることが好適である。また、本発明の一態様では、トルク分配機構は、サンギアとキャリアとリングギアとを含むダブルピニオン型遊星歯車機構であり、第1回転部材はリングギアであり、第2回転部材はサンギア及びキャリアの一方であり、第3回転部材はサンギア及びキャリアの他方であることが好適である。
本発明によれば、原動機のトルクを、クラッチを介して伝達されるトルクとトルク分配機構の第3回転部材を介して伝達されるトルクとに分配して、負荷へ伝達することができるので、クラッチを介して伝達されるトルクを減らすことができる。その結果、クラッチのトルク容量を低減することができ、クラッチを小型化することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る発進装置10を含む動力出力装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る発進装置10は、原動機としてのエンジン(内燃機関)12から負荷16へのトルク伝達を許容することで負荷16を駆動するものである。発進装置10によりエンジン12から負荷16へのトルク伝達が許容されているときは、エンジン12が発生する動力は、変速機14で変速されてから負荷16へ伝達されることにより、例えば車両の駆動等、負荷16の駆動に用いられる。
発進装置10は、エンジン12と変速機14との間に設けられており、回転部材としてサンギアSとキャリアCとリングギアRとを含む遊星歯車機構18と、遊星歯車機構18の回転自由度を2自由度から1自由度に制限するための摩擦クラッチ20と、を備える。図1は、遊星歯車機構18がシングルピニオン型遊星歯車機構である例を示しており、サンギアSが変速機14(負荷16)に連結され、キャリアCがエンジン12に連結されている。摩擦クラッチ20は、例えば湿式多板クラッチにより構成され、リングギアRに連結された複数の駆動側摩擦板26(第1締結部材)と、サンギアSに連結された複数の被動側摩擦板28(第2締結部材)と、を含む。摩擦クラッチ20の駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28とが締結されていない(接触していない)ときは、摩擦クラッチ20が解放されている。一方、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28とが締結されているときは、摩擦クラッチ20が係合されている。なお、摩擦クラッチ20については、例えば油圧アクチュエータの油圧力や電磁アクチュエータの電磁力を利用してその係合/解放を切り替えることが可能であり、さらに、電子制御装置42により油圧アクチュエータの油圧力や電磁アクチュエータの電磁力を制御することで、摩擦クラッチ20(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28)の締結力(押付力)を制御することもできる。また、摩擦クラッチ20には、冷却・潤滑のために、油圧ポンプ(図示せず)から吐出されたオイルが供給される。
次に、本実施形態に係る発進装置10の動作、特に、エンジン12から負荷16への動力の断続を行う動作について説明する。
駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力が0、つまり摩擦クラッチ20が解放状態にある場合は、リングギアRとサンギアSとの摩擦クラッチ20を介した結合が解除されていることで、遊星歯車機構18の回転自由度が2自由度に保たれている。これによって、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達が遮断されている。
また、遊星歯車機構18においてサンギアS、キャリアC、及びリングギアRの3つの回転部材の回転速度は図2の共線図に示す共線関係にあるため、エンジン12(キャリアC)の回転速度をNeng、サンギアS(被動側摩擦板28)の回転速度をNoutとすると、リングギアR(駆動側摩擦板26)の回転速度Nrは以下の(1)式で表される。ただし、(1)式において、ρはサンギアSとリングギアRの歯数比(0<ρ<1を満たす定数)である。
Nr=(1+ρ)×Neng−ρ×Nout (1)
(1)式から、エンジン12が回転駆動しており且つ負荷16(サンギアS)の回転が停止している状態では、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との間(リングギアRとサンギアSとの間)に、(1+ρ)×Nengの回転速度差が生じている。
一方、例えば停止状態の車両を発進させる等、停止状態の負荷16を駆動する場合は、エンジン12が動力を発生している状態で、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力を0から徐々に増大させることで、摩擦クラッチ20を係合させる。摩擦クラッチ20に締結力(押付力)を作用させることで、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20で受けながらサンギアSを介して変速機14へ伝達することができるとともに、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20を介して変速機14へ伝達することができる。これによって、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達が許容され、車両の発進等、負荷16の駆動を行うことができる。
図2の共線図では、エンジン12に連結されたキャリアCが変速機14(負荷16)に連結されたサンギアSと駆動側摩擦板26に連結されたリングギアRとの間に配置されているため、エンジン12からキャリアCに伝達されたトルクがサンギアS及びリングギアRにそれらのトルク比が所定比ρになる状態で分配される。そして、サンギアSに分配されたトルクが変速機14(負荷16)へ伝達されるとともに、リングギアRに分配されたトルクが摩擦クラッチ20を介して変速機14(負荷16)へ伝達される。このように、遊星歯車機構18は、キャリアCに伝達されたエンジン12からのトルクをサンギアS及びリングギアRに分配するトルク分配機構として機能する。
図2の共線図に示すように、摩擦クラッチ20の伝達トルク(リングギアRに作用するトルク)をTfricとすると、サンギアSに作用するトルクはρ×Tfricとなるため、エンジン12から変速機14へ伝達されるトルクは(1+ρ)×Tfricとなる。Tfric(摩擦クラッチ20の伝達トルク)の値は摩擦クラッチ20(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28)の締結力(押付力)に応じて変化するため、摩擦クラッチ20の締結力を調整することで、エンジン12からサンギアS及びリングギアRに分配されるトルクρ×Tfric及びTfricを調整することができ、エンジン12から変速機14(負荷16)へ伝達されるトルク(1+ρ)×Tfricを調整することができる。
また、図2の共線図に示すように、エンジン12(キャリアC)の回転速度NengがサンギアSの回転速度Noutよりも高いときは、それらの回転速度差(Neng−Nout)に応じた回転速度差ρ×(Neng−Nout)分、リングギアRの回転速度NrがキャリアCの回転速度Nengよりも高くなる。このときは、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との間に、(1+ρ)×(Neng−Nout)の回転速度差が生じ、摩擦クラッチ20に滑りが生じる。このように、遊星歯車機構18は、キャリアCとサンギアSとの回転速度差(Neng−Nout)に応じた回転速度差ρ×(Neng−Nout)をリングギアRとキャリアCとの間に発生させる差動機構としても機能する。
サンギアSとの回転速度Noutが増大してキャリアCとサンギアSとの回転速度差(Neng−Nout)が減少するのに応じて、リングギアRとキャリアCとの回転速度差ρ×(Neng−Nout)も減少する。サンギアSの回転速度NoutがキャリアCの回転速度Nengに等しくなると、リングギアRの回転速度NrがサンギアSの回転速度Nout及びキャリアCの回転速度Nengに等しくなり、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との回転速度差がなくなる(摩擦クラッチ20に滑りが生じなくなる)。摩擦クラッチ20の係合状態においては、リングギアRとサンギアSとが摩擦クラッチ20を介して結合されて遊星歯車機構18の回転自由度が1自由度に制限されることで、遊星歯車機構18は、サンギアSとキャリアCとリングギアRとが一体となって回転する直結状態となる。
図3に示すように、エンジン12から負荷16への動力伝達時(摩擦クラッチ20の係合時)には、エンジン12から遊星歯車機構18のキャリアCに伝達された動力がサンギアS及びリングギアRに分配される。そして、サンギアSに分配された動力とリングギアRに分配され摩擦クラッチ20を介して伝達された動力とが変速機14の入力側にて合成され、この合成された動力が変速機14で変速されてから負荷16に伝達される。
一般的に、発進装置には、エンジンと負荷との間で動力の伝達/遮断を行う機能とともに、停止状態の負荷の駆動時(車両発進時)にエンジンがストールしないように動力伝達を行う機能が要求される。摩擦クラッチを用いた発進装置では、エンジンがストールしないように動力伝達を行うために、摩擦クラッチを一時的に滑らせる必要が生じる。この摩擦クラッチの滑りにより、摩擦クラッチを介した動力伝達に損失が生じ、摩擦クラッチが発熱する。特許文献1のように摩擦クラッチのみを介してエンジンと負荷との間で動力伝達を行う構成では、摩擦クラッチのトルク容量をエンジンから負荷への最大伝達トルクに設定する必要がある。その結果、摩擦クラッチのトルク伝達容量の増大を招き、装置の大型化を招くことになる。
これに対して本実施形態では、エンジン12のトルクを、摩擦クラッチ20を介して伝達されるトルク(摩擦クラッチ伝達力)と、サンギアSを介して伝達されるトルク(ギア直達力)とに分配して、負荷16へ伝達することができる。これによって、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時に、摩擦クラッチ20が伝達する(分担する)トルクを低減することができる。したがって、摩擦クラッチ20のトルク伝達容量を低減することができ、摩擦板26,28の面積、及び冷却・潤滑のための摩擦板26,28へのオイルの供給量を減らすことができる。その結果、発進装置10の小型化を図ることができる。
以上の実施形態1の説明では、摩擦クラッチ20の駆動側摩擦板26が遊星歯車機構(シングルピニオン型遊星歯車機構)18のリングギアRに連結され、変速機14及び摩擦クラッチ20の被動側摩擦板28が遊星歯車機構18のサンギアSに連結されているものとした。ただし、本実施形態では、駆動側摩擦板26をサンギアSに連結し、変速機14(負荷16)及び被動側摩擦板28をリングギアRに連結することもできる。この場合は、エンジン12からリングギアRに分配されたトルクが変速機14へ伝達されるとともに、エンジン12からサンギアSに分配されたトルクが摩擦クラッチ20を介して変速機14へ伝達される。この場合も、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20を介した摩擦クラッチ伝達力とリングギアRを介したギア直達力とに分配して負荷16へ伝達することができるとともに、摩擦クラッチ20の締結力を調整することでエンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを調整することができる。
また、本実施形態では、遊星歯車機構18をダブルピニオン型遊星歯車機構により構成することもできる。この場合は、エンジン12をリングギアRに連結し、駆動側摩擦板26をキャリアCに連結し、変速機14(負荷16)及び被動側摩擦板28をサンギアSに連結する。これによって、エンジン12からリングギアRに伝達されたトルクがサンギアS及びキャリアCにそれらのトルク比が所定比ρ/(1−ρ)になる状態で分配され、サンギアSに分配されたトルクが変速機14へ伝達されるとともに、キャリアCに分配されたトルクが摩擦クラッチ20を介して変速機14へ伝達される。あるいは、エンジン12をリングギアRに連結し、駆動側摩擦板26をサンギアSに連結し、変速機14(負荷16)及び被動側摩擦板28をキャリアCに連結することもできる。これによって、エンジン12からキャリアCに分配されたトルクが変速機14へ伝達されるとともに、エンジン12からサンギアSに分配されたトルクが摩擦クラッチ20を介して変速機14へ伝達される。これらの場合も、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ伝達力とギア直達力とに分配して負荷16へ伝達することができるとともに、摩擦クラッチ20の締結力を調整することで、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを調整することができる。
「実施形態2」
図4は、本発明の実施形態2に係る発進装置10を含む動力出力装置の概略構成を示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、実施形態1と比較して、変速機14として無段変速機(CVT)が用いられており、エンジン12と発進装置10(遊星歯車機構18のキャリアC)との間に前後進切替機構34が設けられている。ここでの前後進切替機構34は、クラッチ及びブレーキを有しており、クラッチ及びブレーキのいずれか一方が選択的に係合される。前後進切替機構34は、クラッチの係合時にはエンジン12からのトルクをその方向を逆転させることなく発進装置10(キャリアC)へ伝達し、ブレーキの係合時にはエンジン12からのトルクをその方向を逆転させてキャリアCへ伝達する。ただし、本実施形態では、前後進切替機構34を省略して、変速機14として有段変速機(AT)を用いることもできる。
さらに、本実施形態では、被動機としての油圧ポンプ32が遊星歯車機構18のリングギアRに連結されている。油圧ポンプ32は、リザーバ(図示せず)に貯溜されたオイルを吸入してオイルにエネルギーを与えて吐出する。油圧ポンプ32が吐出したオイルは、摩擦クラッチ20の冷却・潤滑のために、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との接触部に供給される。その他にも、油圧ポンプ32が吐出したオイルは、変速機14の潤滑部や、前後進切替機構34のクラッチ及びブレーキ等にも供給される。さらに、油圧ポンプ32の吐出側には、油圧ポンプ32から吐出されるオイルの圧力を調整する調圧弁36が設けられている。調圧弁36の駆動制御は電子制御装置42により行われ、調圧弁36の駆動制御により油圧ポンプ32から吐出されるオイルの圧力を制御することで、油圧ポンプ32のトルクを制御することができる。
本実施形態において、摩擦クラッチ20が解放状態にあり、且つ調圧弁36により油圧ポンプ32のトルクが0に調整されている場合は、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達が遮断されている。エンジン12が回転駆動しており且つ負荷16(サンギアS)の回転が停止している状態では、油圧ポンプ32は、オイルにエネルギーを与える仕事を行わずに空転する。
一方、実施形態1と同様に、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力(押付力)を0から徐々に増大させる(摩擦クラッチ20を係合させる)ことで、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20で受けながらサンギアSを介して変速機14へ伝達することができるとともに、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20を介して変速機14へ伝達することができる。これによって、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達を許容することができ、車両の発進等、負荷16の駆動を行うことができる。
さらに、本実施形態では、調圧弁36の駆動制御により油圧ポンプ32のトルクを0から徐々に増大させることで、エンジン12のトルクを油圧ポンプ32で受けながらサンギアSを介して変速機14へ伝達することができる。これによっても、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達を許容することができる。
エンジン12からキャリアCに伝達されたトルクは、実施形態1と同様に、サンギアS及びリングギアRにそれらのトルク比が所定比ρになる状態で分配される。摩擦クラッチ20の伝達トルクをTfric、油圧ポンプ32のトルクをTpumpとすると、図5の共線図に示すように、リングギアRに作用するトルクは(Tfric+Tpump)となり、サンギアSに作用するトルクはρ×(Tfric+Tpump)となる。そのため、エンジン12から変速機14へ伝達されるトルクは、(1+ρ)×Tfric+ρ×Tpumpとなる。したがって、本実施形態でも、摩擦クラッチ20の締結力(押付力)を調整することで、エンジン12からサンギアS及びリングギアRに分配されるトルクρ×(Tfric+Tpump)及び(Tfric+Tpump)を調整することができ、エンジン12から変速機14(負荷16)へ伝達されるトルク(1+ρ)×Tfric+ρ×Tpumpを調整することができる。さらに、本実施形態では、油圧ポンプ32のトルクTpumpを調整することによっても、エンジン12からサンギアS及びリングギアRに分配されるトルクρ×(Tfric+Tpump)及び(Tfric+Tpump)を調整することができ、エンジン12から変速機14(負荷16)へ伝達されるトルク(1+ρ)×Tfric+ρ×Tpumpを調整することができる。
また、本実施形態でも、摩擦クラッチ20に滑りが生じているとき、つまり図5の共線図に示すようにエンジン12(キャリアC)の回転速度NengがサンギアSの回転速度Noutよりも高いときは、遊星歯車機構18は、それらの回転速度差(Neng−Nout)に応じた回転速度差ρ×(Neng−Nout)分、リングギアRの回転速度NrがキャリアCの回転速度Nengよりも高くなる差動機構として機能する。一方、摩擦クラッチ20に滑りが生じていないときは、遊星歯車機構18は、サンギアSとキャリアCとリングギアRとが一体となって回転する直結状態となる。そのため、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときは、摩擦クラッチ20に滑りが生じていないときと比べて、リングギアRに連結された油圧ポンプ32の回転速度Npumpを増大させることができ、油圧ポンプ32から吐出されるオイル流量を増大させることができる。なお、油圧ポンプ32の回転速度Npumpは、リングギアRの回転速度Nrに等しく、前述の(1)式で表される。そのため、サンギアSの回転速度Noutとエンジン12(キャリアC)の回転速度Nengとの速度比e(=Nout/Neng)に対する油圧ポンプ32の回転速度Npumpの関係は、図6に示す関係になる。
以上説明した本実施形態でも、エンジン12のトルクを、摩擦クラッチ20を介して伝達される摩擦クラッチ伝達力とサンギアSを介して伝達されるギア直達力とに分配して、負荷16へ伝達することができる。さらに、本実施形態では、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時には、エンジン12のトルクを油圧ポンプ32及び摩擦クラッチ20の両方で受けることができるため、摩擦クラッチ20が伝達(分担)するトルクをさらに減らすことができる。したがって、摩擦クラッチ20のトルク伝達容量をさらに低減することができ、摩擦クラッチ20の小型化を図ることができる。
なお、図7に示すように、遊星歯車機構18のキャリアCに連結されたエンジン12のトルクを遊星歯車機構18のリングギアRに連結された油圧ポンプ32で受けることでエンジン12から負荷16へのトルク伝達を許容する構成では、油圧ポンプ32のトルクの増大に対してエンジン12から負荷16へ伝達されるトルクも増大する。そのため、エンジン12の最大トルクが増大するほど、油圧ポンプ32の最大トルクも増大させる必要があり、油圧ポンプ32の大型化を招くことになる。
これに対して本実施形態では、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時には、エンジン12のトルクを油圧ポンプ32及び摩擦クラッチ20の両方で受けることができるため、油圧ポンプ32が受ける(分担する)トルクを減らすことができる。したがって、油圧ポンプ32の最大トルクを小さくすることができ、油圧ポンプ32の小型化を実現することができる。
また、前述のように、摩擦クラッチを用いた発進装置では、エンジンがストールしないように摩擦クラッチを一時的に滑らせる必要が生じる。摩擦クラッチに滑りが生じているときは、発熱する摩擦クラッチの冷却・潤滑を行うために、油圧ポンプにより大流量のオイルを摩擦クラッチに供給することが望ましい。一方、摩擦クラッチに滑りが生じていないときは、摩擦クラッチに摩擦熱が発生しなくなるため、大流量のオイルを摩擦クラッチに供給することが不要となる。特許文献1においては、摩擦クラッチの入力側と出力側との間に回転速度差が生じているとき(摩擦クラッチに滑りが生じているとき)に、この回転速度差を利用して油圧ポンプを駆動することで、冷却・潤滑のためのオイルを摩擦クラッチに供給している。しかし、特許文献1において、摩擦クラッチの入力側と出力側との間に回転速度差が生じていないとき(摩擦クラッチに滑りが生じていないとき)は、油圧ポンプの駆動が停止される。そのため、別の油圧ポンプを設けないと、他の潤滑部等にオイルを供給できなくなる。
これに対して本実施形態では、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときは、エンジン12とサンギアSとの回転速度差(Neng−Nout)に応じた回転速度差ρ×(Neng−Nout)分、油圧ポンプ32の回転速度Npumpがエンジン12の回転速度Nengよりも高くなる。これによって、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときに、回転速度差(Neng−Nout)に応じた分、油圧ポンプ32から吐出されるオイル流量を増大させることができるので、摩擦クラッチ20の冷却・潤滑を行うために十分な流量のオイルを摩擦クラッチ20に供給することができる。さらに、摩擦クラッチ20の滑り速度(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との回転速度差)(1+ρ)×(Neng−Nout)が増大するほど、油圧ポンプ32の回転速度Npump(オイル吐出流量)を増大させることができるため、摩擦クラッチ20へのオイル供給流量も増大させることができる。一方、摩擦クラッチ20に滑りが生じていないときは、油圧ポンプ32の回転速度Npumpがエンジン12の回転速度Neng(及びサンギアSの回転速度Nout)に等しくなる。これによって、エンジン12の回転速度Nengに応じた流量のオイルを油圧ポンプ32から吐出することができるので、別の油圧ポンプを設けなくても、油圧ポンプ32が吐出したオイルを、変速機14の潤滑部や、前後進切替機構34のクラッチ及びブレーキ等に供給することができる。このように、本実施形態によれば、油圧ポンプ32の吐出容量を増大させなくても、摩擦クラッチ20の滑り(発熱)時に、油圧ポンプ32の回転速度Npumpを増大させてオイル吐出流量を増大させることができ、冷却・潤滑のための十分な流量のオイルを摩擦クラッチ20に効率よく供給することができる。
次に、本実施形態において、電子制御装置42により摩擦クラッチ20の締結力及び油圧ポンプ32のトルクを制御することで負荷16を駆動する(車両を発進させる)場合の好適な具体例について説明する。
負荷16の要求トルクTLが小さいときは、摩擦クラッチ20に押付力を作用させずに(Tfric=0)、調圧弁36の駆動制御により油圧ポンプ32にトルクTpumpを発生させることで、負荷16に伝達されるトルクρ×γ×Tpump(γは変速機14の変速比)を要求トルクTLにすることが可能である。そこで、電子制御装置42は、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを増大させる場合に負荷16の要求トルクTLが設定値T0以下のときは、摩擦クラッチ20を係合させることなく(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28とを締結させることなく)、調圧弁36の駆動制御により油圧ポンプ32のトルクTpumpを増大させる。このときは、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20で受けずに油圧ポンプ32で受けることになる。なお、ここでの設定値T0は、油圧ポンプ32が発生可能な最大トルクに基づいて設定される。
一方、負荷16の要求トルクTLが大きいときは、油圧ポンプ32のみでエンジン12のトルクを受けるだけでは、負荷16に伝達されるトルクを要求トルクTLにすることができなくなる。そこで、電子制御装置42は、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを増大させる場合に負荷16の要求トルクTLが設定値T0よりも大きいときは、調圧弁36の駆動制御により油圧ポンプ32にトルクTpumpを発生させた状態で、摩擦クラッチ20の伝達トルクTfric(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力)を増大させる。これによって、エンジン12のトルクを油圧ポンプ32及び摩擦クラッチ20の両方で受けることができ、負荷16に伝達されるトルク((1+ρ)×Tfric+ρ×Tpump)×γを要求トルクTLにすることができる。なお、負荷16の要求トルクTLについては、例えばアクセル開度(図示しないセンサにより検出)に基づいて設定することができる。
以上説明した制御によれば、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを増大させる場合に、摩擦クラッチ20の伝達トルクTfric(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力)を増大させるよりも油圧ポンプ32のトルクTpumpを増大させる方が優先されて行われるため、摩擦クラッチ20に滑りが生じる頻度を減らすことができる。したがって、摩擦クラッチ20の発熱をさらに抑えることができ、摩擦クラッチ20の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態では、摩擦クラッチ20が過熱していないときは、油圧ポンプ32にトルクを発生させずに摩擦クラッチ20に押付力を作用させることによっても、エンジン12から負荷16へのトルク伝達を行うことが可能である。そこで、電子制御装置42は、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを増大させる場合に摩擦クラッチ20の温度τ(図示しないセンサにより検出)が所定値τ0以下のときは、油圧ポンプ32にトルクを発生させることなく、摩擦クラッチ20の伝達トルクTfric(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力)を増大させることもできる。このときは、エンジン12のトルクを油圧ポンプ32で受けずに摩擦クラッチ20で受けることになる。一方、電子制御装置42は、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを増大させる場合に摩擦クラッチ20の温度τが所定値τ0よりも高いときは、油圧ポンプ32のトルクTpumpを増大させる。これによって、油圧ポンプ32から摩擦クラッチ20へ十分な流量のオイルを供給することができ、摩擦クラッチ20の冷却を行うことができる。以上の制御によれば、摩擦クラッチ20の過熱を防止しながら、エンジン12から負荷16への動力伝達を効率よく行うことができる。
また、前述のように、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときは、油圧ポンプ32から吐出されるオイル流量を増大させることができるため、摩擦クラッチ20の冷却を行うために必要なオイル流量を十分に確保することができる。そこで、電子制御装置42は、エンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを増大させることで停止状態の負荷16を駆動する(車両を発進させる)場合は、油圧ポンプ32のトルクTpump及び摩擦クラッチ20の伝達トルクTfric(駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力)の両方を増大させることもできる。これによっても、油圧ポンプ32から摩擦クラッチ20へ冷却を行うのに十分な流量のオイルを供給することができるので、摩擦クラッチ20の過熱を防止しながら、エンジン12から負荷16への動力伝達を効率よく行うことができる。
なお、本実施形態では、遊星歯車機構18のリングギアRに被動機として発電機を連結することもできる。この場合は、電子制御装置42は、発電機の電流を制御することで、発電機のトルクを制御することができる。この場合も、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時には、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20及び発電機の両方で受けることができるため、摩擦クラッチ20及び発電機が分担するトルクを減らすことができ、摩擦クラッチ20及び発電機の小型化を図ることができる。そして、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときは、エンジン12とサンギアSとの回転速度差(Neng−Nout)に応じた回転速度差ρ×(Neng−Nout)分、発電機の回転速度Ngen(=Nr)がエンジン12の回転速度Nengよりも高くなり、発電機による発電量(発電電力)を増大させることができる。
また、本実施形態では、油圧ポンプ32(あるいは発電機)及び摩擦クラッチ20の駆動側摩擦板26を遊星歯車機構(シングルピニオン型遊星歯車機構)18のサンギアSに連結し、変速機14及び摩擦クラッチ20の被動側摩擦板28を遊星歯車機構18のリングギアRに連結することもできる。この場合も、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20を介した摩擦クラッチ伝達力とリングギアRを介したギア直達力とに分配して負荷16へ伝達することができるとともに、摩擦クラッチ20の締結力及び油圧ポンプ32(あるいは発電機)のトルクを調整することでエンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを調整することができる。
また、本実施形態でも、遊星歯車機構18をダブルピニオン型遊星歯車機構により構成することもできる。この場合は、エンジン12をリングギアRに連結し、油圧ポンプ32(あるいは発電機)及び駆動側摩擦板26をキャリアCに連結し、変速機14及び被動側摩擦板28をサンギアSに連結する。あるいは、エンジン12をリングギアRに連結し、油圧ポンプ32(あるいは発電機)及び駆動側摩擦板26をサンギアSに連結し、変速機14及び被動側摩擦板28をキャリアCに連結することもできる。これらの場合も、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ伝達力とギア直達力とに分配して負荷16へ伝達することができるとともに、摩擦クラッチ20の締結力及び油圧ポンプ32(あるいは発電機)のトルクを調整することでエンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを調整することができる。
「実施形態3」
図8は、本発明の実施形態3に係る発進装置10を含む動力出力装置の概略構成を示す図である。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態では、実施形態2と比較して、摩擦クラッチ20の駆動側摩擦板26が遊星歯車機構18のキャリアCに連結されている。そのため、摩擦クラッチ20の係合状態においては、キャリアCとサンギアSとが摩擦クラッチ20を介して結合されて遊星歯車機構18の回転自由度が1自由度に制限される。
本実施形態においても、実施形態2と同様に、摩擦クラッチ20が解放状態にあり、且つ調圧弁36により油圧ポンプ32のトルクが0に調整されている場合は、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達が遮断されている。一方、駆動側摩擦板26と被動側摩擦板28との締結力(押付力)を0から徐々に増大させる(摩擦クラッチ20を係合させる)ことで、エンジン12のトルクをキャリアC及び摩擦クラッチ20を介して変速機14へ伝達することができる。これによって、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達を許容することができ、車両の発進等、負荷16の駆動を行うことができる。さらに、実施形態2と同様に、調圧弁36の駆動制御により油圧ポンプ32のトルクを0から徐々に増大させることで、エンジン12のトルクを油圧ポンプ32で受けながらサンギアSを介して変速機14へ伝達することができる。これによっても、エンジン12から変速機14(負荷16)へのトルク伝達を許容することができる。
摩擦クラッチ20を係合させるとともに油圧ポンプ32にトルクを発生させることで、エンジン12から負荷16への動力伝達を行うときには、図9に示すように、エンジン12の動力が摩擦クラッチ20とサンギアSとリングギアR(油圧ポンプ32)とに分配される。そして、サンギアSに分配された動力と摩擦クラッチ20を介して伝達された動力とが変速機14の入力側にて合成され、この合成された動力が変速機14で変速されてから負荷16に伝達される。
油圧ポンプ32のトルク(リングギアRに作用するトルク)をTpumpとすると、図10の共線図に示すように、サンギアSに作用するトルクはρ×Tpumpとなる。そして、摩擦クラッチ20の伝達トルクをTfricとすると、エンジン12から変速機14へ伝達されるトルクは、Tfric+ρ×Tpumpとなる。したがって、本実施形態でも、油圧ポンプ32のトルクTpumpを調整することで、エンジン12からサンギアS及びリングギアRに分配されるトルクρ×Tpump及びTpumpを調整することができ、エンジン12から変速機14(負荷16)へ伝達されるトルクTfric+ρ×Tpumpを調整することができる。そして、摩擦クラッチ20の締結力(押付力)を調整することによっても、エンジン12から変速機14(負荷16)へ伝達されるトルクTfric+ρ×Tpumpを調整することができる。
本実施形態でも、エンジン12のトルクを、摩擦クラッチ20を介して伝達される摩擦クラッチ伝達力とサンギアSを介して伝達されるギア直達力とに分配して、負荷16へ伝達することができる。これによって、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時に、摩擦クラッチ20が伝達(分担)するトルクを減らすことができるので、摩擦クラッチ20の小型化を図ることができる。さらに、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時に、油圧ポンプ32が受ける(分担する)トルクも減らすことができるため、油圧ポンプ32の小型化を図ることができる。
また、本実施形態でも、摩擦クラッチ20に滑りが生じているとき、つまり図10の共線図に示すようにエンジン12(キャリアC)の回転速度NengがサンギアSの回転速度Noutよりも高いときは、それらの回転速度差(Neng−Nout)に応じた回転速度差ρ×(Neng−Nout)分、油圧ポンプ32の回転速度Npumpがエンジン12の回転速度Nengよりも高くなる。これによって、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときに、回転速度差(Neng−Nout)に応じた分、油圧ポンプ32から吐出されるオイル流量を増大させることができる。したがって、油圧ポンプ32の吐出容量を増大させなくても、摩擦クラッチ20の滑り(発熱)時に、冷却・潤滑のための十分な流量のオイルを摩擦クラッチ20に効率よく供給することができる。一方、摩擦クラッチ20に滑りが生じていないときは、遊星歯車機構18が直結状態となり、油圧ポンプ32の回転速度Npumpがエンジン12の回転速度Neng(及びサンギアSの回転速度Nout)に等しくなる。これによって、エンジン12の回転速度Nengに応じた流量のオイルを油圧ポンプ32から吐出することができるので、油圧ポンプ32から吐出されたオイルを、変速機14の潤滑部や、前後進切替機構34のクラッチ及びブレーキ等に供給することができる。
なお、本実施形態において、電子制御装置42により摩擦クラッチ20の締結力及び油圧ポンプ32のトルクを制御することで負荷16を駆動する(車両を発進させる)場合の好適な具体例については、実施形態2で述べた制御を適用することができる。
本実施形態でも、遊星歯車機構18のリングギアRに被動機として発電機を連結することもできる。この場合も、エンジン12から負荷16へのトルク伝達時に、摩擦クラッチ20及び発電機が分担するトルクを減らすことができ、摩擦クラッチ20及び発電機の小型化を図ることができる。そして、摩擦クラッチ20に滑りが生じているときは、エンジン12とサンギアSとの回転速度差(Neng−Nout)に応じた分、発電機による発電量(発電電力)を増大させることができる。
また、本実施形態では、油圧ポンプ32(あるいは発電機)を遊星歯車機構(シングルピニオン型遊星歯車機構)18のサンギアSに連結し、変速機14及び摩擦クラッチ20の被動側摩擦板28を遊星歯車機構18のリングギアRに連結することもできる。この場合も、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ20を介した摩擦クラッチ伝達力とリングギアRを介したギア直達力とに分配して負荷16へ伝達することができるとともに、摩擦クラッチ20の締結力及び油圧ポンプ32(あるいは発電機)のトルクを調整することでエンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを調整することができる。
また、本実施形態でも、遊星歯車機構18をダブルピニオン型遊星歯車機構により構成することもできる。この場合は、エンジン12及び駆動側摩擦板26をリングギアRに連結し、油圧ポンプ32(あるいは発電機)をキャリアCに連結し、変速機14及び被動側摩擦板28をサンギアSに連結する。あるいは、エンジン12及び駆動側摩擦板26をリングギアRに連結し、油圧ポンプ32(あるいは発電機)をサンギアSに連結し、変速機14及び被動側摩擦板28をキャリアCに連結することもできる。これらの場合も、エンジン12のトルクを摩擦クラッチ伝達力とギア直達力とに分配して負荷16へ伝達することができるとともに、摩擦クラッチ20の締結力及び油圧ポンプ32(あるいは発電機)のトルクを調整することでエンジン12から負荷16へ伝達されるトルクを調整することができる。
以上の実施形態1〜3では、原動機としてエンジン12を用いた場合について説明したが、原動機としてモータを用いることも可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態1に係る発進装置を備える動力出力装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1に係る発進装置の動作を説明する共線図である。 本発明の実施形態1に係る発進装置の動作を説明する図である。 本発明の実施形態2に係る発進装置を備える動力出力装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係る発進装置の動作を説明する共線図である。 サンギアの回転速度Noutとエンジンの回転速度Nengとの速度比eに対する油圧ポンプの回転速度Npumpの関係を示す図である。 エンジンのトルクを油圧ポンプで受けることでエンジンから負荷へのトルク伝達を許容する構成例を示す図である。 本発明の実施形態3に係る発進装置を備える動力出力装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る発進装置の動作を説明する図である。 本発明の実施形態3に係る発進装置の動作を説明する共線図である。
符号の説明
10 発進装置、12 エンジン、14 変速機、16 負荷、18 遊星歯車機構、20 摩擦クラッチ、26 駆動側摩擦板、28 被動側摩擦板、32 油圧ポンプ、34 前後進切替機構、36 調圧弁、42 電子制御装置、C キャリア、R リングギア、S サンギア。

Claims (11)

  1. 原動機から負荷へのトルク伝達を許容することで負荷を駆動する発進装置であって、
    原動機からのトルクが伝達される第1回転部材と、第1回転部材に伝達されたトルクが分配される第2回転部材及び第3回転部材と、を含み、第3回転部材に分配されたトルクを負荷へ伝達するトルク分配機構と、
    第2回転部材に連結された第1締結部材と、第3回転部材に連結された第2締結部材と、を含み、第1締結部材と第2締結部材との締結力の調整により原動機から第2回転部材及び第3回転部材に分配されるトルクの調整が可能なクラッチと、
    を備え、
    第1締結部材と第2締結部材との締結力が調整されることで、原動機から負荷へ伝達されるトルクが調整される、発進装置。
  2. 請求項1に記載の発進装置であって、
    第2回転部材に連結された被動機であって、そのトルクの調整により原動機から第2回転部材及び第3回転部材に分配されるトルクの調整が可能な被動機を備え、
    被動機のトルクが調整されることで、原動機から負荷へ伝達されるトルクが調整される、発進装置。
  3. 原動機から負荷へのトルク伝達を許容することで負荷を駆動する発進装置であって、
    原動機からのトルクが伝達される第1回転部材と、第1回転部材に伝達されたトルクが分配される第2回転部材及び第3回転部材と、を含み、第3回転部材に分配されたトルクを負荷へ伝達するトルク分配機構と、
    第1回転部材に連結された第1締結部材と、第3回転部材に連結された第2締結部材と、を含み、第1締結部材と第2締結部材との締結力の調整により原動機から負荷へ伝達されるトルクの調整が可能なクラッチと、
    第2回転部材に連結された被動機であって、そのトルクの調整により原動機から第2回転部材及び第3回転部材に分配されるトルクの調整が可能な被動機と、
    を備え、
    第1締結部材と第2締結部材との締結力及び被動機のトルクが調整されることで、原動機から負荷へ伝達されるトルクが調整される、発進装置。
  4. 請求項2または3に記載の発進装置であって、
    トルク分配機構は、第1回転部材の回転速度が第3回転部材の回転速度よりも高いときに、それらの回転速度差に応じた回転速度差分、第2回転部材の回転速度が第1回転部材の回転速度よりも高くなる差動機構である、発進装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか1に記載の発進装置であって、
    原動機から負荷へ伝達されるトルクを増大させる場合に、第1締結部材と第2締結部材との締結力を増大させるよりも被動機のトルクを増大させる方を優先して行う、発進装置。
  6. 請求項5に記載の発進装置であって、
    原動機から負荷へ伝達されるトルクを増大させる場合に負荷の要求トルクが設定値以下のときは、第1締結部材と第2締結部材とを締結することなく被動機のトルクを増大させる、発進装置。
  7. 請求項5または6に記載の発進装置であって、
    原動機から負荷へ伝達されるトルクを増大させる場合に負荷の要求トルクが設定値よりも大きいときは、被動機にトルクを発生させた状態で第1締結部材と第2締結部材との締結力を増大させる、発進装置。
  8. 請求項2〜7のいずれか1に記載の発進装置であって、
    被動機は、オイルを吸入して吐出する油圧ポンプであり、
    油圧ポンプからのオイルの吐出圧力を調整することで油圧ポンプのトルクを調整する調整手段を備える、発進装置。
  9. 請求項8に記載の発進装置であって、
    油圧ポンプから吐出されたオイルがクラッチに供給される、発進装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1に記載の発進装置であって、
    トルク分配機構は、サンギアとキャリアとリングギアとを含むシングルピニオン型遊星歯車機構であり、
    第1回転部材はキャリアであり、第2回転部材はサンギア及びリングギアの一方であり、第3回転部材はサンギア及びリングギアの他方である、発進装置。
  11. 請求項1〜9のいずれか1に記載の発進装置であって、
    トルク分配機構は、サンギアとキャリアとリングギアとを含むダブルピニオン型遊星歯車機構であり、
    第1回転部材はリングギアであり、第2回転部材はサンギア及びキャリアの一方であり、第3回転部材はサンギア及びキャリアの他方である、発進装置。
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