JP2008020864A - 吸音性不織布シート - Google Patents
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Abstract
【課題】低周波音の吸音性の持続性に優れる不織布シートを提供することを課題とする。
【解決手段】アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延して形成されたアルミニウム金属不織布であり、前記アルミニウム金属繊維は少なくとも一層からなる被膜を有しており、該被膜中最外層が撥水性を呈する層とすること。好適には、前記不織布の空隙率が20〜70%で、該アルミニウム金属不織布を形成するアルミニウム金属繊維の平均径が10〜200μmとすること。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延して形成されたアルミニウム金属不織布であり、前記アルミニウム金属繊維は少なくとも一層からなる被膜を有しており、該被膜中最外層が撥水性を呈する層とすること。好適には、前記不織布の空隙率が20〜70%で、該アルミニウム金属不織布を形成するアルミニウム金属繊維の平均径が10〜200μmとすること。
【選択図】なし
Description
本発明は、低周波音の吸音性の持続性に優れる不織布シートに関する。
アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延して形成されたアルミニウム金属不織布シートは、アルミニウム繊維相互間に複雑に折れ曲がり、且つ長い音道を無数に有するので、音の吸音効率が高いことが知られている(特許文献1)。
不織布は、その通気度を細密化することで、低周波音の吸音特性が向上することが知られており、特許文献1では、アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延することで、不織布の空隙率を調整し、不織布の吸音特性を制御する技術を開示している。
特開2006−106405号公報
特許文献1で開示されたアルミニウム金属不織布シートは、400〜1000Hz領域、特に700〜1000Hz領域の低周波音の吸音特性に優れたものである。しかしながら、使用中に特に700〜1000Hz領域で前記領域での吸音特性が、低下するという問題がしばしば発生するものであった。本発明では、該問題を解決し、低周波音の吸音性の持続性に優れる不織布シートを提供することを課題とする。
本発明で、前記アルミニウム金属不織布シートが使用中に700〜1000Hz領域の低周波音の吸音特性が低下する原因を追究したところ、不織布が周囲環境から水を吸水すると前記現象が発生するとの知見を得た。
そこで、本発明では、前記不織布に水による影響を回避できる工夫を施すことで、前記問題を解決し、低周波音の吸音性の持続性に優れる不織布シートを提供することを目指さすことで本発明を完成させた。
本発明の吸音性不織布シートは、アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延して形成されたアルミニウム金属不織布であり、前記アルミニウム金属繊維は少なくとも一層からなる被膜を有しており、該被膜中最外層が撥水性を呈する層であることを特徴とする。
そして、400〜1000Hz、特に700〜1000Hzの低周波音の吸音特性を良好なものとするために、前記不織布シートの空隙率を20〜70%、該アルミニウム不織布を形成するアルミニウム金属繊維の平均径を10〜200μmとすることが好ましい。
前記ように撥水性の被膜を有することで、防水性の不織布シートとすることが可能である。そして、本発明の不織布シートは、「JIS L 1092(2003年);繊維製品の防水性試験方法」に掲載されている「はっ水度試験」の規定に準拠した方法で得られる「はっ水度」が5のもの、すなわち試験後にシート表面に湿潤又は水滴の付着がないレベルのものとすることが好ましい。
本発明の吸音性不織布シートは、防水性に優れることから特に700〜1000Hzの低周波音の吸音特性の持続性に優れたものとすることができる。そして、防水性を付与することで、吸音特性の持続性が付与されているので、住宅、ビル等の建築物、自動車等の輸送機等の用途を問わず、吸音特性の持続性に優れた遮音性の部材として使用することを可能とする。
本発明の吸音性不織布シートは、アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延して形成されたアルミニウム金属不織布であり、前記アルミニウム金属繊維は少なくとも一層からなる被膜を有しており、該被膜中最外層が撥水性を呈する層である。
前記撥水性を呈する層には、含フッ素樹脂、シリコーン、フルオロアルキルシランを加水分解及び重縮合して得られたもの、及びこれらの混合物等が好適に使用される。そして、該層の厚みは、0.01〜300μmとすることが好ましい。
そしてさらに、含フッ素樹脂で撥水性を呈する層を形成する場合、その厚みは、1〜300μmとすることが好ましい。層の厚みが1μm未満であると、撥水性の付与効果が充分ではない傾向がる。他方、厚みが300μmを越えると、表面平滑性の他、クラックや剥離発生の問題が発生しやくなる。前記したような点を考慮すると、該厚みは、5〜200μm、さらには10〜100μmとすることが好ましい。又、シリコーン、及びフルオロアルキルシランで撥水性を呈する層を形成する場合、その厚みは0.01〜0.5μmとすることが好ましい。
尚、前記した含フッ素樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン-パーフロオロアルコキシ-エチレン共重合樹脂(PFA)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等が代表的なものとしてあげられる。
又、前記シリコーンとしては、オルガノポリシロキサンが代表的に使用され、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシキサン、ジメチル−メチルフェニルポリシロキサンポリマー、フッ素化ポリシロキサン等から用いられる。そして、これらオルガノポリシロキサンは両末端にシラノール基もしくはアルコキシシリル基をもつもの、特にこれら両末端をもつジメチルポリシロキサンが好ましく用いられる。
又さらに、フルオロアルキルシランは、CF3(CF2)11CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)11CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)11CH2CH2Si(CH3)2OCH3、CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)9CH2CH2Si(CH3)2OCH3、CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)7CH2CH2Si(CH3)2OCH3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)5CH2CH2Si(CH3)2OCH3、CF3(CF2)11CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)11CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF2)11CH2CH2Si(CH3)2Cl、CF3(CF2)9CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF2)9CH2CH2Si(CH3)2Cl、CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF2)7CH2CH2Si(CH3)2Cl、CF3(CF2)5CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF2)5CH2CH2Si(CH3)2Cl、(CH3O)3SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CH3O(CH3)2SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2Si(CH3)2OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CH3O(CH3)2SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2Si(CH3)2OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CH3O(CH3)2SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2Si(CH3)2OCH3、(CH3O)3SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3O)2CH3SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2、CH3O(CH3)2SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2Si(CH3)2OCH3、Cl3SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH3)2SiCH2CH2(CF2)12CH2CH2Si(CH3)2Cl、Cl3SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH3)2SiCH2CH2(CF2)10CH2CH2Si(CH3)2Cl、Cl3SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH3)2SiCH2CH2(CF2)8CH2CH2Si(CH3)2Cl、Cl3SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2SiCl3、Cl2CH3SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2SiCH3Cl2、Cl(CH3)2SiCH2CH2(CF2)6CH2CH2Si(CH3)2Cl等が使用できる。
前記した撥水性を呈する層を形成するための材料が含フッ素樹脂の場合、シリコーン等は、好適には微粉末の形状とし、界面活性剤を使用して懸濁化された水溶性懸濁液や、フッ素系溶剤や有機系溶媒に分散させて得られる懸濁液を、撥水層を呈する層を形成するための塗布液とすることが好ましい。このような懸濁液は、フッ素塗料として市中より入手可能である。
フルオロアルキルシラン等の場合は、これを溶媒に希釈し、撥水層を呈する層を形成するための塗布液とすることが好ましい。そして、該液には、好ましくは、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、多価カルボン酸等の酸性触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノ基を有するアルコキシシラン等の塩基性触媒を含んでもよく、そして、さらに好ましくは、水(液体)も加えられる。
そして前記した溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素の他、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を使用することが好ましい。
本発明の目的を考慮すると、金属繊維が有する被膜は、撥水性を呈する層一層だけでもよい。しかしながら、金属繊維と撥水性を呈する層との接着性を高める目的のため、又は、撥水性を呈する層に微細な凹凸を設け、該層の撥水性をより向上させる目的、若しくは金属繊維上の被膜の厚みを厚くする目的等のために前記被膜は撥水性を呈する層の他に下地層を有していてもよい。
そして、前記した目的の少なくとも一つを効率良く達成することを可能とするために、該下地層は、0.01〜100μmの粒径サイズの無機物粒子とバインダー成分とを有するものとすることが好ましい。
前記無機物粒子には、粒径サイズが0.01〜0.1μmのものを使用する場合には、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイド状のチタニア等を使用できる。又、粒径サイズが0.1〜100μmのものを使用する場合、ゼオライト、シリカゲル、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、珪藻土、バームキュライト、ヒル石、弁柄、貝殻焼成カルシウム等を使用することができる。これら粒子の中で、珪藻土、ゼオライト、シリカゲル、貝殻焼成カルシウムは、その多孔質性等のために吸水性、抗菌性等を発揮でき、本発明の物品の付加価値を高めることができ、好適であり、特には貝殻焼成カルシウムの使用が好適である。
前記した貝殻焼成カルシウムは、焼成前の主成分が炭酸カルシウムである貝殻を焼成することで、脱炭酸(二酸化炭素を取り除く)が徐々に進むことにより得られる、酸化カルシウム(CaO)又は、酸化カルシウムと炭酸カルシウムの混在したもののことである。焼成により、焼成前の主成分である炭酸カルシウム99%が徐々に酸化カルシウムに変換されるが、併せて、焼成前の貝殻に含有している有機物1%の焼成も同時に進行する。焼成温度については、焼成温度を高くした場合には炭酸カルシウムが全て酸化カルシウムまで変換されるが、焼成温度が低い場合には、一部が酸化カルシウムに変わるが残りは炭酸カルシウムとして残る。
用いる貝殻焼成カルシウムの成分については、特に限定されないが、炭酸カルシウムの一部が酸化カルシウムに変換できれば良く、本発明においては、具体的には、貝殻の主成分である炭酸カルシウムと、それを焼成することにより得られる酸化カルシウム、もしくは、酸化カルシウムと炭酸カルシウムの混在したもの又はそれぞれの混合状態(酸化カルシウムと炭酸カルシウムを混合)で用いることが好ましい。炭酸カルシウムと酸化カルシウム、各成分の割合は焼成温度及び焼成時間により異なり、適宜、調整することができる。
貝殻焼成カルシウムを製造する場合の焼成温度は、通常、500〜1200℃である。焼成時間については、焼成温度等を考慮して適宜、調整される。
本発明で使用される貝殻焼成カルシウムの具体的な例としては、例えば、貝殻としてホタテ貝を用い、それの高温焼成物の粉砕品(商品名CAI、粒径5μmタイプおよび15μmタイプ、日本天然素材株式会社製)やホタテ貝の低温焼成物の粉砕品(商品名CAV、粒径5μmタイプおよび15μmタイプ、日本天然素材株式会社製)がある。他にも、例えばシェルパウダー社、ステップ社、チャフローズ社を始めとする貝殻焼成カルシウムの生産メーカーがあるが、上述した生産メーカーに限定はされない。
前記したような無機物粒子を、水、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のアルコール類、エチレングリコール、酢酸エステル、カルボン酸、低級炭化水素、脂肪族、芳香族等の一般溶剤、又はこれらの混合物よりなる混合物をよりなる溶媒を用いて懸濁化し、好適には界面活性剤等を添加して無機物粒子が懸濁化された懸濁液が調製される。
金属繊維と撥水性を呈する層との接着性を高める目的のため、又は、撥水性を呈する層に微細な凹凸を設け、該層の撥水性をより向上させる目的のためには、前記無機物粒子は、粒径サイズが、1〜70μm、さらには3〜20μmのものが好適に使用される。
又、前記バインダー成分は、ゾルゲル法によるもの、無機質塗料によるもの等を使用することができる。ゾルゲル法によるものは、アルコキシド、オキシハロゲン化物、ハロゲン化物、硝酸塩物等の反応性基を有する金属酸化物の前駆体を原料とし、これを加水分解、及び重縮合することで得られる。前記金属酸化物中の金属には、Li、Na、K、Mg、Ca、St、Ba、In、Ge、Bi、fe、Cu、Y、Zr、Ta等の他に、広く使用されているSi、Ti、Al、Zr等を使用することができる。
そして、金属酸化物がシリカの場合、その前駆体として具体的には、反応性基を4個有するシリカ前駆体(4官能性シリカ前駆体)及び反応性基を3個有するシリカ前駆体(3官能性シリカ前駆体)を単種、又は複種使用することができる。又、必要に応じて、反応性基を2個有するシリカ前駆体(2可能性シリカ前駆体)を使用してもよい。
前記4官能性シリカ前駆体としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラセアセトキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられる。
前記3官能性シリカ前駆体としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
2官能性シリカ前駆体としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
用いられる混合物の例としては、テトラエトキシシランとメチルトリエトキシシランとの混合物、テトラエトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物、テトラメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物、テトラエトキシシランとメチルトリエトキシシランとジメチルジエトキシシランとの混合物等が挙げられる。
前記無機質塗料としては、ナトリウムケイ酸塩、カリウムケイ酸塩等のアルカリケイ酸塩ケイ酸塩、ケイ酸アンモニウム等を使用できる。そして、これら無機質塗料は、亜鉛などの金属、金属酸化物、金属水酸化物、燐酸塩等の硬化剤を有していてもよい。
前記したバインダー成分源を溶媒に希釈し、好ましくは、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、多価カルボン酸等の酸性触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノ基を有するアルコキシシラン等の塩基性触媒を含んでもよく、そして、さらに好ましくは、水(液体)も加える。
そして前記した溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素の他、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を使用することが好ましい。
前記したような操作で得られたバインダー成分源を有する溶液と、前記無機物粒子とを混合して塗布溶液を作製し、該塗布溶液をアルミニウム金属不織布に塗布する。又は、無機物粒子を含有した溶液を金属不織布に塗布し、その後、バインダー成分源を有する溶液を金属不織布に塗布することでアルミニウム金属不織布に下地層をっ形成する。これら溶液をアルミニウム不織布に塗布する手段としては、ディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段によって行うことができる。そして、不織布が多孔質性のものであることを考慮すると、不織布シートの内部まで効率良く塗布可能はディップコートによる手段を採用することが好ましい。
そしてアルミニウム金属不織布を曲げ成形する等の使用形態を考慮すると、不織布に形成される被膜は、可撓性を有することが好ましい。そして、該被膜に可撓性を付与するためには、前記バインダーが3次元架橋構造体、又は、4次元架橋の一部がアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンで修飾された構造体を有することが好ましい。
可撓性を有する被膜を得るために、バインダー成分には、前記したような3官能性シリカ前駆体より得られるもの、アルミナ、及びアルカリシリケートが使用されることが好ましい。又、撥水性を呈する層には、含フッ素樹脂を使用することが好ましい。
無機物粒子とバインダー成分の比は、所望とする下地層表面の形状に応じて決定される。本発明の被膜は、撥水性が高いことが好ましいので、下地層の表面は微細な凹凸構造を有していることが好ましい。このために、無機物粒子とバインダー成分との重量比は、3/7〜9/1とすることが好ましい。又、下地層の厚みは、特には使用される無機物粒子の粒子サイズに依存するが、1〜100μmの範囲で設定することができる。
アルミニウム金属繊維同士が溶着されて形成されるアルミニウム金属不織布は、市中より入手可能であり、その空隙率は、アルミニウム金属繊維の平均径と不織布形成後の圧延処理の条件等によって調整される。そして、本発明のアルミニウム金属不織布シートの空隙率は、[100%×(1−(アルミニウム不織布の重量/アルミニウム不織布の見かけ体積と同体積のアルミニウム金属の重量)]で求められる。
そして本発明のアルミニウム金属不織布シートは、それ自体を吸音性の部材として使用してもよいし、他の部材と積層して使用してもよい。又、未硬化ガラスウールとアルミニウム金属不織布を重ね合わせ、その後、加圧加熱成形することで形成することで、ガラスウールとアルミニウム不織布との一体成形物として使用することで、低周波領域から高周波領域に渡る広い音域(400〜3000Hz)での吸音特性に優れた部材としてもよい。
実施例
1.アルミニウム金属不織布の用意
アルミニウム金属不織布として、繊維の平均径が100μm、空隙率が44%、厚みが1mmのアルミニウム金属不織布(商品名「メタシリー」、サーマル社製)を用意した。
2.撥水性を呈する被膜形成のための溶液の用意及び被膜の形成
ホタテ貝を約800℃で焼成した焼成カルシウム(日本天然素材株式会社製)を用いた。この貝殻焼成カルシウムの粒子径を約20μmに粉砕した後、貝殻焼成カルシウム10重量%にノニオン系界面活性剤1重量%、ヒドロキシプロピルセルロース2重量%、水を87重量%添加してアルミナボールミルで4時間分散混合させて貝殻焼成カルシウムの懸濁液を調製した。この懸濁溶液を純水で固形分濃度5wt%に調製したものを塗布液とし、これの入った浸漬用バスに前記1で用意したアルミニウム不織布を室温で約5分間浸漬した後、引き上げた。この後、150℃で40分間乾燥させた。
1.アルミニウム金属不織布の用意
アルミニウム金属不織布として、繊維の平均径が100μm、空隙率が44%、厚みが1mmのアルミニウム金属不織布(商品名「メタシリー」、サーマル社製)を用意した。
2.撥水性を呈する被膜形成のための溶液の用意及び被膜の形成
ホタテ貝を約800℃で焼成した焼成カルシウム(日本天然素材株式会社製)を用いた。この貝殻焼成カルシウムの粒子径を約20μmに粉砕した後、貝殻焼成カルシウム10重量%にノニオン系界面活性剤1重量%、ヒドロキシプロピルセルロース2重量%、水を87重量%添加してアルミナボールミルで4時間分散混合させて貝殻焼成カルシウムの懸濁液を調製した。この懸濁溶液を純水で固形分濃度5wt%に調製したものを塗布液とし、これの入った浸漬用バスに前記1で用意したアルミニウム不織布を室温で約5分間浸漬した後、引き上げた。この後、150℃で40分間乾燥させた。
次に、SiO2/K2Oのモル比が3/1のカリムシリケートを固形分濃度8wt%となるように調整された水溶液の入った浸漬用バスの中に、前記処理がなされたアルミニウム金属不織布を約5分間浸漬した後、引き上げた。そして、150℃で1時間乾燥後、さらに350℃で1時間の加熱処理を行った。この結果、被膜の膜厚が約23μmの下地層を得た。
前記下地層上に撥水性を呈する層を形成するために、含フッ素樹脂[セフラルルーブI(セントラル硝子製、軟化温度:融点340℃]を10wt%含有する水溶液を調製し、該水溶液の入った浸漬用バス中に、下地層が形成されたアルミニウム金属不織布を約5分間浸漬した後、引き上げた。そして、150℃で60分乾燥後、380度1時間焼成し、厚さ41μmの被膜を得、本発明のアルミニウム金属不織布シート得た。尚、本実施例で得られたアルミニウム金属不織布シートの空隙率は、43%であった。
[実施例で得られた金属不織布シートの「はっ水度の評価」]
実施例得られたアルミニウム金属不織布シートの「はっ水度」は、「JIS L 1092(2003年);繊維製品の防水性試験方法」に掲載されている「はっ水度試験」の規定に準拠した方法で評価を行った。
実施例得られたアルミニウム金属不織布シートの「はっ水度」は、「JIS L 1092(2003年);繊維製品の防水性試験方法」に掲載されている「はっ水度試験」の規定に準拠した方法で評価を行った。
15cm×15cm角サイズに切断された不織布シート(評価用試料)を45度に傾け、250mlの蒸留水を漏斗で30秒かけて評価用試料に散布した。そして、評価用試料を180度回し、再度、250mlの蒸留水を漏斗で30秒かけて評価用試料に散布した。
前記試験を終了後、試料表面を観察したところ、試料表面には水滴の付着がなく、シート表面は乾燥状態であった。尚、被膜のない試料に対して、同様の評価を行って、評価試験後にシート表面を触ったところ、シートが水に濡れた感触のあるものであった。
[実施例で得られた金属不織布シートの吸音特性の評価]
図1に実施例、及び比較例で得られた試料の垂直入射音の吸音率を、JIS A6301「吸音材料(2000年)」の付属書Bに準拠した方法で測定した結果を示す。驚くべきことに吸音率のピークが被膜を形成することによって1000Hz前後から、630Hz前後へとシフトした。そして、被膜が形成された不織布シートは、400〜1250Hz、特には500〜1000Hzで良好な吸音特性を示すものであった。
図1に実施例、及び比較例で得られた試料の垂直入射音の吸音率を、JIS A6301「吸音材料(2000年)」の付属書Bに準拠した方法で測定した結果を示す。驚くべきことに吸音率のピークが被膜を形成することによって1000Hz前後から、630Hz前後へとシフトした。そして、被膜が形成された不織布シートは、400〜1250Hz、特には500〜1000Hzで良好な吸音特性を示すものであった。
次に実施例で得られたアルミニウム金属不織布シート、被膜が形成されていないアルミニウム金属不織布の両方に43℃の飽和水蒸気を1時間あてた後に、各不織布の垂直入射音の吸音率を測定した。結果を、図2に示す。
被膜が形成された不織布シートの吸音特性の変化は生じなかったが、被膜のない不織布シートは600〜1250Hzの領域での吸音特性が劣化するものであった。
本発明は、金属繊維上に撥水性を呈する被膜を形成することで、周波数が500〜1000Hzの領域の吸音特性とその吸音特性の持続性に優れた不織布シートを提供している。従って、住宅、ビル等の建築物、自動車等の輸送機等の用途を問わず、吸音特性の持続性に優れた遮音性の部材として使用でき、特には、自動車のエンジン周り等の過酷な条件となりうる環境での吸音材として好適に使用できる。
又、前記撥水性を呈する被膜の厚みを10〜100μmとした場合、周波数が500〜1000Hzの領域での吸音率を80%以上とできるので、500〜1000Hzの領域の低周波音を発生する電気モータの周囲に使用される吸音材としての使用に特に好適である。
Claims (2)
- アルミニウム金属繊維を板状に堆積してなるアルミニウム金属綿板を焼結処理して形成されたものを圧延して形成されたアルミニウム金属不織布であり、前記アルミニウム金属繊維は少なくとも一層からなる被膜を有しており、該被膜中最外層が撥水性を呈する層であることを特徴とする吸音性不織布シート。
- 空隙率が20〜70%で、該アルミニウム金属不織布を形成するアルミニウム金属繊維の平均径が10〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の吸音性不織布シート。
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