JP2019199515A - コート材 - Google Patents

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Rentaro Mori
連太郎 森
和昭 井原
Kazuaki Ihara
和昭 井原
剛三 松田
Kozo Matsuda
剛三 松田
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Abstract

【課題】多孔質体の孔部内部まで保護膜を形成することを確保することができる結果、保護膜の耐酸化性を向上することができるコート材を提供する。【解決手段】コート材は、アルミナゾルとシランカップリング剤を含む。アルミナ水和物粒子1は、ベーマイトまたは擬ベーマイトのうちの少なくとも1種の結晶構造を有する。アルミナ水和物粒子1は、10〜100nmの長径、1〜5のアスペクト比、および1〜10nmの厚みを有する。熱重量測定において、アルミナゾルの質量をW1とし、この状態から、複数のアルミナ水和物粒子全体のOH基の脱水反応が終了した状態の質量をW2としたときに、W1に対するW2の質量減少率が、10〜40%であり、シランカップリング剤の含有量は、前記複数のアルミナ水和物粒子の100質量部に対して10質量部〜200質量部である。【選択図】なし

Description

本発明は、耐酸化性の保護膜を多孔質体に被覆するために用いるコート材に関する。
多孔質体を被覆する耐酸化性の保護膜を形成するために用いるコート材に、ナノ材料を用いることが知られている。このようなコート材の例として、特許文献1には、複数のナノ材料が分散媒に分散したゾルゲル溶液が開示されている。このコート材では、AlまたはSiOの少なくとも1種からなるナノ材料を含み、このコート材を多孔質体の表面に塗布して焼成することにより、耐酸化性の保護膜を形成することができる。
特開2017−201147号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、ナノ材料がファイバー状の形状を有する場合、ファイバー同士の吸着性が強いため、多孔質体への吸着より、ファイバー同士の吸着が優先される。このようなファイバー状のナノ材料では、ファイバーの長軸方向に沿って、焼成時の熱処理による脱水反応に起因した体積収縮が大きくなる。このため、多孔質体の孔部では、ファイバー状のナノ材料が大きく収縮して、ファイバー同士が吸着しようとすることにより、ブリッジングが発生してしまう。結果として、焼成後に形成された保護膜には、部分的に剥離や割れが発生するおそれがある。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、本発明では、多孔質体の孔部内部まで保護膜を形成することを確保することができる結果、保護膜の耐酸化性を向上することができるコート材を提供する。
上記課題を解決するために、本発明には、耐酸化性の保護膜を多孔質体に被覆するために用いるコート材であって、前記コート材は、複数のアルミナ水和物粒子が分散媒に分散したアルミナゾルと、シランカップリング剤と、を含み、前記各アルミナ水和物粒子は、ベーマイトまたは擬ベーマイトのうちの少なくとも1種の結晶構造を有し、前記各アルミナ水和物粒子は、粒状粒子であり、10〜100nmの長径、1〜5のアスペクト比、および1〜10nmの厚みを有し、熱重量測定において、前記アルミナゾルの質量をW1とし、前記アルミナゾルの前記複数のアルミナ水和物粒子全体のOH基の脱水反応が終了した状態の質量をW2としたときに、以下の式に示す質量減少率が、10〜40%であり、
質量減少率(%)={(W1−W2)/W1}×100
前記シランカップリング剤の含有量は、前記複数のアルミナ水和物粒子の100質量部に対して10質量部〜200質量部であることを特徴とする。
本発明によれば、アルミナゾルの分散媒に分散させる複数の粒子として、上述した結晶構造を有する粒状のアルミナ水和物粒子を使用する。また、このアルミナ水和物粒子の長径、アスペクト比、および厚みを上述した範囲とし、アルミナ水和物粒子が集合した集合体のOH基量を上述の範囲とする。さらに、シランカップリング剤の含有量を上述の範囲とする。
このようなコート材により、アルミナ水和物粒子の長軸方向に沿って、焼成時の熱処理による脱水反応が起因した体積収縮を抑制することができる。そのため、多孔質体の孔部に形成された保護膜のブリッジングを防止することができる。また、多孔質体への密着性を向上することができる。このようにして、多孔質体の孔部内部まで保護膜が形成することを確保することができる結果、保護膜の耐酸化性を向上することができる。
本実施形態に係るアルミナゾルに分散した複数のアルミナ水和物粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図1A中に示すアルミナ水和物粒子の長径、短径、および厚みを説明する模式的概念図である。 本実施形態のコート材が塗布される電気加熱触媒の模式図である。 比較例1−1に係るファイバー状粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1−1の試験片断面の反射電子像(BSE像)である。 図4に係る実施例1−1のBSE像の拡大像である。 比較例1−1のBSE像の拡大像である。 酸化劣化試験に用いる試験体の模式図である。 実施例2−1および実施例2−2の試験体に係る酸化劣化試験後の酸化増量を示したグラフである。 実施例2−1、実施例2−2、および比較例2−1の試験体に係る酸化劣化試験後の体積抵抗率を示すグラフである。 実施例3−1〜3−3および比較例3−1の試験体に係る酸化劣化試験後の酸化増量を示すグラフである。
以下に、図1Aおよび図1Bを参照して、本発明の実施形態について説明する。図1Aは、本実施形態に係るアルミナゾルに分散した複数のアルミナ水和物粒子1の透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、図1Bは、図1A中に示すアルミナ水和物粒子1の長径L、短径S、および厚みTを説明する模式的概念図である。
1.コート材
本実施形態のコート材は、耐酸化性の保護膜(Al)を多孔質体に被覆するために用いるものである。本実施形態では、コート材は、複数のアルミナ水和物粒子(AlO(OH))1が分散媒に分散したアルミナゾルと、シランカップリング剤と、を含む。以下に、アルミナゾルおよびシランカップリング剤について説明する。
1−1.アルミナゾル
図1Aに示すように、本実施形態では、アルミナゾルは、アルミナ水和物粒子の複数個が後述する分散媒に分散したコロイド溶液である。
アルミナ水和物粒子は、ベーマイトまたは擬ベーマイトのうちの少なくとも1種の結晶構造を有する。このような結晶構造を有することにより、水酸化アルミニウム(Al(OH):ギブサイト、バイヤライト、およびアモルファス水酸化アルミニウム)と比較して熱処理後の保護膜の体積収縮を小さくすることができる。
本実施形態では、アルミナ水和物粒子は、粒状粒子である。粒状粒子を採用することにより、ファイバー状粒子と異なり、多孔質体の孔部でのブリッジングを防止することができる結果、孔部内部まで保護膜を形成することを確保することができる。粒状粒子の形状としては、円、楕円、または多角形を挙げることができる。
アルミナ水和物粒子1の長径Lは、10〜100nmである。ここで、長径Lは、図1Bに示すように、顕微鏡で観察されたアルミナ水和物粒子1の最も長い長軸の長さである。
長径Lが10nm未満の場合には、アルミナゾルを作製するのが困難となる。また、アルミナゾルを作製できたとしても、ゾル液の安定性が低く、また、粘度が上昇しやすいため、塗工液として取り扱い難くなる。一方、長径Lが100nmを超える場合には、長径Lが長くなるため、熱処理時の長径方向の体積収縮が大きくなる。そのため、多孔質体の孔部にブリッジングが発生する結果、保護膜が剥離しやすくなる。
アルミナ水和物粒子1のアスペクト比は、1〜5である。ここで、アスペクト比はアルミナ水和物粒子1の長径Lを短径Sで除すること(長径L/短径S)により求められる値である。なお、図1Bに示すように、短径Sとは、長径Lに直交する軸に沿った最大長さである。
本実施形態では、ファイバー状のアルミナ水和物粒子とは異なり、上述の範囲のアスペクト比を有する粒状の形状を有する。このような粒状の形状を有することにより、多孔質体の孔部でのブリッジングを防止することができる。アスペクト比が5を超える場合には長径Lが長くなるため、熱処理時の長径方向の体積収縮が大きくなる。その結果、多孔質体の孔部にブリッジングが発生するため、保護膜が剥離しやすくなる。
アルミナ水和物粒子1の厚みTは、1〜10nmである。ここで、アルミナ水和物粒子1の厚みTは、図1Bに示すように、長径Lとなる軸と、短径Sとなる軸とにより形成される仮想平面と直交する方向に沿った最大厚みである。
アルミナ水和物粒子1の厚みTが1nm未満になると、このような粒子を製造することが困難である。一方、アルミナ水和物粒子1の厚みTが10nmを超えると多孔質体との密着性が低下する。また粒子間の空隙が大きくなる結果、保護膜のガスバリア性が低下するため、耐酸化性を奏するが困難となる。
上述した長径L、短径S、厚みT、およびアスペクト比は、透過型電子顕微鏡(FEI−TECNAI−G20)および走査型電子顕微鏡(日立S−4800)を用いて測定することができる。
本実施形態では、熱重量測定において、アルミナゾルの質量をW1とし、アルミナゾルの複数のアルミナ水和物粒子全体のOH基の脱水反応が終了した状態の質量をW2としたときに、以下の式(1)に示す質量減少率が、10〜40%である。
質量減少率(%)={(W1−W2)/W1}×100…(1)
質量減少率が10%未満である場合には、OH基量が不足し、多孔質体との密着性が悪くなり、保護膜が剥離しやすくなる。一方、質量減少率が40%を超える場合には、OH基量が過多となり、熱処理時の保護膜の体積収縮が大きくなるため、亀裂や剥離の原因となる。また、OH基量によりアルミナ水和物粒子1の結晶化度が制御されるところ、質量減少率が40%を超えると、アルミナ水和物粒子1は、ベーマイトまたは擬ベーマイトの結晶構造が消失する結果、アモルファス状態になってしまう。
ここで、質量減少率は、熱重量測定(TG測定)することにより算出される。本実施形態では、約10mgのアルミナゾルの試料を熱重量測定装置(Bruker AXS TG-DTA2000SA)に設置し、空気雰囲気下、昇温速度20℃/minで、室温から150℃まで昇温する。次いで、150℃で30分間保持して、試料を乾燥させた後、昇温速度5℃/minで500℃まで昇温する。
質量減少率は、W1を150℃で30分間乾燥した時の試料の質量とし、W2を500℃に到達した時の試料の質量とし、これらを測定して、上述した式(1)にあてはめて算出することができる。すなわち、150℃、30分間乾燥後の試料の質量は、アルミナゾルのアルミナ水和物粒子1全体の質量である。
一方、昇温速度5℃/minで500℃に到達した試料の質量は、OH基の脱水反応が終了(完了)した状態のアルミナ水和物粒子1全体の質量である。より具体的には、W2は、AlO(OH)のうち、OH基が消失(脱離)した状態(Al−O−の結晶)の質量である。よって、質量減少率は、複数のアルミナ水和物粒子1全体に含有するOH基量に応じた割合である。
アルミナゾルに用いる分散媒は、アルミナ水和物粒子1が分散できればよく、特に限定されない。本実施形態では、一例として、水を用いることができる。
また、アルミナゾルは、分散媒の表面張力を低減するために、アルコールまたは界面活性剤をさらに含んでもよい。アルコールの例としては、メタノールまたはエタノールを挙げることができる。界面活性剤の例としては、ノニオン系界面活性剤を挙げることができる。なお、アルミナゾルは、ゾルを安定化させるために、酢酸をさらに含んでもよい。
1−2.シランカップリング剤
シランカップリング剤は、アルミナ水和物粒子間の空隙を埋めるものである。これにより、保護膜が緻密化になる結果、例えば、酸素のようなガスに対して、ガスバリア性を向上することができる。また、シランカップリング剤により、多孔質体とアルミナ水和物粒子1との密着性を向上することができる。さらに、保護膜がアルミナ−シリカとなることにより、保護膜の強度を向上することができる。
このようなシランカップリング剤の含有量は、アルミナゾルに分散した複数のアルミナ水和物粒子1の100質量部に対して10質量部〜200質量部である。含有量が10質量部未満の場合は、多孔質体との密着性およびガスバリア性が低下する。一方、含有量が200質量部を超えると、アルミナ水和物粒子の含有量が少なくなるため、コート後の被膜の密着強度が低下してしまう。
シランカップリング剤の例としては、アルコキシシラン化合物を挙げることができる。具体的には、アルコキシシラン化合物は、一般式(2)で示されるものであることが好ましい。
mSi(OR4−m…(2)
上式中、Rはエポキシ含有基またはアクリル基またはアミン含有基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、m=0〜3の範囲内である。アルコキシシラン化合物の具体例として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシジクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの所謂シランカップリング剤の他、テトラエトキシシラン(TEOS)が挙げられる。アルコキシシラン化合物は、コーティング対象の多孔質体の種類によって適宜選定される。
1−3.コート材の用途
以上説明したコート材を適用する母材としては、多孔質体を挙げることができる。このような多孔質体は、散在した孔部を有する。多孔質体の例としては、金属およびセラミックの複合部材を挙げることができる。このような複合部材の例としては、NiCrとベントナイト(SiO系セラミック)との複合部材を挙げることができる。たとえば、電気加熱式触媒(以下「EHC」という)に設けられた金属製電極部材と、触媒本体(基材)との固定部分に適用することができる。
本実施形態によれば、アルミナゾルの分散媒に分散させる複数の粒子として、上述した結晶構造を有する、粒状のアルミナ水和物粒子1を使用する。また、アルミナ水和物粒子1の長径、アスペクト比、および厚みTを上述した範囲とし、アルミナ水和物粒子1が集合した集合体のOH基量を上述の範囲とする。さらに、シランカップリング剤の含有量を上述の範囲とする。
このようなコート材により、アルミナ水和物粒子1の長径L方向に沿って、焼成時の熱処理による脱水反応が起因した体積収縮を抑制することができる。そのため、多孔質体の孔部に形成された保護膜のブリッジングを防止することができる。また、多孔質体への密着性を向上することができる。このようにして、多孔質体の孔部内部まで保護膜が形成することを確保することができる結果、保護膜の耐酸化性を向上することができる。
2.コート材の製造方法
次に、本実施形態のコート材の製造方法を説明する。まず、コート材の構成成分であるアルミナゲルを調製する。アルミナゲルは、複数の粒状のアルミナ水和物粒子1を分散させることができる方法で調製されればよく、例えば、水酸化アルミニウム同士を縮重合して調製してもよく、あるいは、金属アルコキシドを加水分解および縮重合して調製してもよい。加水分解および縮重合の処理条件を調節することにより、上述した長径L、アスペクト比、厚みT、およびOH基量を有するアルミナ水和物粒子1を含むアルミナゲルを取得することができる。
次に、調製したアルミナゲルに、上述した割合となるように、所定量のシランカップリング剤を添加して攪拌することにより、コート材を調製することができる。
3.被膜状態の評価
このようにして調製した本実施形態のコート材を、発明者らは、図2に示すEHC10に設けられた部材に塗布して、被膜状態を検証した。図2は、本実施形態のコート材が塗布されるEHC10の模式的斜視図である。
まず、図2を参照して、以下に、コート材が適用されるEHC10の構造を簡単に説明する。図2に示すEHC10は、電気加熱によって昇温することで触媒を可及的速やかに活性化させて排ガスを浄化する。このようなEHC10は、不図示の触媒コート層をセル壁10aの表面に具備するハニカム構造の基材11と、基材11の外周面に配設された一対の下地膜11a、11aと、各下地膜11aの表面に配設された一対の電極部材50、50と、各電極部材50間を繋ぐ不図示のケーブルおよびケーブルの途中に介在する不図示の電源からなる外部回路を備えている。一対の電極部材50、50の一方がプラス極で他方がマイナス極となっており、電極部材50を介して下地膜11a(基材11)に電流が供給され、通電加熱されるようになっている。
電極部材50は、下地膜11aの表面に配設された表面電極層53と、表面電極層53の表面に配設された櫛歯状の配線51と、櫛歯状の配線51を構成して基材11の周方向に延びる複数の配線部51aを固定する固定層52と、から構成されている。
基材11および下地膜11aは、SiCとSiの複合材で形成され、配線51は、SUS(20Cr−5Al系)で形成されている。表面電極層53および固定層52は、耐熱合金(NiCr)とベントナイト(SiO系セラミック)との複合粉末を溶射して形成されている。
このような表面電極層53および固定層52の表面に、以下に示す実施例1−1および比較例1−1のコート材により、保護膜を形成した。
[実施例1−1]
複数のアルミナ水和物粒子が分散したアルミナゾルと、分散した複数のアルミナ水和物粒子の100質量部に対して、100質量部のシランカップリング剤とを混合して、コート材を調製した。なお、調製に用いたアルミナゾルのゾル濃度は2質量%であった。また、アルミナゾルに含まれるアルミナ水和物粒子は、長径20nm、アスペクト比1、厚み5nm、OH基量(質量減少率)15.1%の粒状粒子である。
調製したコート材を表面電極層53および固定層52の表面に塗布した。塗布は、減圧雰囲気下にてディッピングする方法で1回行った。次いで、塗布したゾル溶液を、乾燥させることにより、加水分解や縮重合などの化学反応を得た後、500℃の温度で焼成することにより、内部に残された溶媒を取り除き、緻密化を促進させた。これにより、表面電極層53および固定層52の表面に保護膜としてアルミナ(Al)を生成し、これを実施例1−1の試験体とした。
[比較例1−1]
実施例1−1と同様にして比較例1−1の試験体を作製した。実施例1−1と相違する点は、直径10nm、長さ1000nm、OH基量(質量減少率)23.3%のアルミナ水和物粒子を使用した点、ゾル濃度を4質量%とした点、およびディッピングによる塗布を3回行った点である。なお、図3は、比較例1−1に係るファイバー状粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
<試験片の断面組織観察>
実施例1−1および比較例1−1の試験体の固定層52近傍から、断面組織観察用の実施例1−1および比較例1−1の試験片を、それぞれ採取した。これらを顕微鏡により観察した。結果を図4A〜図4Cに示す。
図4Aは、実施例1−1の試験片断面の反射電子像(BSE像)であり、図4Bは、図4Aに係る実施例1−1のBSE像の拡大像であり、図4Cは、比較例1−1のBSE像の拡大像である。
(結果1)
図4Aの画像中、表面電極層53および固定層52では、白色部分、灰色部分、および黒色部分が、それぞれ、NiCr金属皮膜、ベントナイト粒子、および気孔部を示す。図4Aからわかるように、表面電極層53および固定層52は、複数の孔部が散在した多孔質体を形成していた。なお、孔部の孔径は数十μmであり、気孔率は約10体積%であった。
このような表面電極層53および固定層52の表面に、実施例1−1の如く、粒状のアルミナ水和物粒子を含むコート材により保護膜を形成した場合には、図4Bからわかるように、保護膜がNiCr金属粒子の表面を被覆していた。したがって、実施例1−1で用いた粒状のアルミナ水和物粒子を使用することにより、多孔質な耐熱合金の表面に一様なAl保護膜を形成することができる。このようなアルミナ水和物粒子を用いることにより、多孔質体の孔部内部まで保護膜を形成することを確保することができる。
それに対して、比較例1−1の如く、ファイバー状のアルミナ水和物粒子を含むコート材により保護膜を形成した場合には、図4Cからわかるように、孔部では、保護膜が収縮することに起因してブリッジングが発生する結果、部分的に剥離および割れが発生した。
これは、ファイバー状のアルミナ水和物粒子の場合、アルミナ水和物粒子同士の吸着性が強いため、多孔質体への吸着より、アルミナ水和物粒子同士の吸着が優先される。また、図3Aに示すように、ファイバー状のアルミナ水和物粒子は、その形状に起因して、長さ方向に沿って、焼成時の熱処理による脱水反応に起因した体積収縮が大きくなる。
よって、多孔質体の孔部では、アルミナ水和物粒子が大きく収縮して、アルミナ水和物粒子同士が吸着しようとするため、図4Cに示すようにブリッジングが発生してしまう。結果として、焼成して形成された保護膜には、部分的に剥離や割れが発生する。
なお、発明者らは、アルミナ水和物粒子の長径が100nmを超え、アスペクト比が5を超える場合、体積収縮が大きくなる結果、孔部にブリッジングが発生することを知得している。よって、多孔質体に保護膜を形成する場合には、コート材にファイバー状のアルミナ水和物粒子よりも、実施例1−1のような粒状のアルミナ水和物粒子が好ましいことがいえる。
この結果を踏まえて、発明者らは、以下に説明するように、コート材により形成された保護膜の酸化劣化試験を実施して、耐酸化性の評価およびOH基量(質量減少率)の検討を行った。
4.耐酸化性の評価
図5は、酸化劣化試験に用いる試験体TPの模式図である。図5で示すように、SiC/Si製の多孔体からなる基材Kの表面に、Ni−Crとベントナイトとの複合粉を溶射して、多孔質体として、電極端子Dを形成することにより、試験体TPを製作した。電極端子Dの厚みは100μm以下であった。そして、以下に示すように、コート材の塗布回数を変えて保護膜を形成した。
[実施例2−1]
製作した試験体TPの電極端子Dの表面に、実施例1−1で使用したコート材を塗布した。塗布は、減圧雰囲気下にてディッピングする方法で1回行った。次いで、大気乾燥を行った後、大気雰囲気下で焼成して試験体を得た。試験体は複数準備した。
[実施例2−2]
実施例2−1と同様にして試験体を作製した。実施例2−1と異なる点は、塗布を2回行ったことである。
<酸化劣化試験>
実施例2−1および2−2の試験体を、900℃または1000℃で、大気処置(エージング処理)して酸化劣化させた。酸化劣化の時間は、50時間であった。なお、比較例2−1として、保護膜の無い試験体を用意し、この比較例2−1についても、実施例2−1および2−2と同様に、酸化劣化を行った。
酸化劣化試験後、実施例2−1および実施例2−2の各試験体の酸化増量を測定した。結果を図6に示す。図6は、実施例2−1および実施例2−2の試験体に係る酸化劣化試験後の酸化増量を示したグラフである。
酸化劣化試験前後の実施例2−1、実施例2−2、および比較例2−1の各試験体の体積抵抗率を測定した。結果を図7に示す。図7は、実施例2−1および2−2、並びに、比較例2−1の試験体に係る酸化劣化試験後の体積抵抗率を示すグラフである。
(結果2)
図6からわかるように、粒状のアルミナ水和物粒子の場合は、塗布回数を増やしても、酸化増量に大きな差がなかった。よって、本実施形態のアルミナ水和物粒子の使用により、1回の塗布で十分に耐酸化効果が発揮できるといえる。
また、図7からわかるように、比較例2−1と比べて、実施例2−1および実施例2−2の如く、粒状のアルミナ水和物粒子を使用した場合は、1000℃の酸化劣化試験後の体積効率が大幅に低減された。特に、比較例2−1と比べて、900℃と1000℃との酸化劣化試験後の体積抵抗率が、大きく変化することが無かった。このことから、実施例2−1および実施例2−2のアルミナ水和物粒子を含むコート材で多孔質体に保護膜を被覆することにより、耐酸化温度を50℃以上向上させることができるといえる。
5.OH基量の検討
以下に示すように、アルミナ水和物粒子のOH基の量が異なるアルミナゾルを用いて、OH基量と酸化劣化との関係について、検証した。
[実施例3−1]
実施例2−1と同様にして、試験体を作製した。実施例2−1と相違する点は、水酸化アルミニウム同士の重縮合反応を制御し、粒状アルミナ水和物粒子のOH基量(質量減少率)を14.6%にした点である。
[実施例3−2]
実施例2−1と同様にして、試験体を作製した。したがって、この試験体の場合では、アルミナ水和物粒子のOH基量(質量減少率)は15.1%である。
[実施例3−3]
実施例2−1と同様にして、試験体を作製した。実施例2−1と相違する点は、水酸化アルミニウム同士の重縮合反応を制御し、粒状アルミナ水和物粒子のOH基量(質量減少率)を16.7%にした点である。
[比較例3−1]
実施例2−1と同様にして、試験体を作製した。実施例2−1と相違する点は、コート材を用いず、保護膜を形成しなかった点である。
実施例3−1〜3−3、比較例3−1の試験体について、上述した酸化劣化試験を行った後、酸化増量を測定した。この結果を図8に示す。図8は、実施例3−1〜3−3および比較例3−1の試験体に係る酸化劣化試験後の酸化増量を示すグラフである。なお、図8には、実施例3−1〜3−3に用いた粒状アルミナ水和物粒子のOH基量も合わせて示した。
(結果3)
図8からわかるように、実施例3−1〜3−3の如く、アルミナ水和物粒子のOH基量が高くなると、酸化増量が抑制された。この結果より、アルミナ水和物粒子のOH基量が多くなることにより、多孔質体との密着性を向上することができるといえる。
なお、発明者らは、アルミナ水和物粒子のOH基量が40%を超えると、アルミナ水和物粒子がアモルファスな状態になり、ベーマイトまたは擬ベーマイトの結晶構造が消失することを知得している。また、OH基量が10%未満の場合は、多孔質体との密着性が悪化し、保護膜が剥離しやすくなることを知得している。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:アルミナ水和物粒子

Claims (1)

  1. 耐酸化性の保護膜を多孔質体に被覆するために用いるコート材であって、
    前記コート材は、複数のアルミナ水和物粒子が分散媒に分散したアルミナゾルと、シランカップリング剤と、を含み、
    前記各アルミナ水和物粒子は、ベーマイトまたは擬ベーマイトのうちの少なくとも1種の結晶構造を有し、
    前記各アルミナ水和物粒子は、粒状粒子であり、10〜100nmの長径、1〜5のアスペクト比、および1〜10nmの厚みを有し、
    熱重量測定において、前記アルミナゾルの質量をW1とし、前記アルミナゾルの前記複数のアルミナ水和物粒子全体のOH基の脱水反応が終了した状態の質量をW2としたときに、以下の式に示す質量減少率が、10〜40%であり、
    質量減少率(%)={(W1−W2)/W1}×100
    前記シランカップリング剤の含有量は、前記複数のアルミナ水和物粒子の100質量部に対して10質量部〜200質量部であることを特徴とするコート材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021176785A1 (ja) * 2020-03-06 2021-09-10 日本碍子株式会社 電気加熱式担体、排気ガス浄化装置及び金属電極
WO2023068202A1 (ja) * 2021-10-19 2023-04-27 パナソニックIpマネジメント株式会社 ベーマイト構造体及びその製造方法
JP7393961B2 (ja) 2020-01-28 2023-12-07 川研ファインケミカル株式会社 耐熱性部材およびその製造方法

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