JP2008020475A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 結着樹脂、ワックス、着色剤を含む着色樹脂溶液を転相乳化した乳化懸濁液から粒子を合一した着色剤の内包化が良好なトナーを提供する。
【解決手段】 静電荷像現像用トナーの製造方法において、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機溶剤を含む混合物を溶解あるいは分散した着色樹脂溶液を、転相乳化して乳化懸濁液を調製した後に、電解質水溶液を添加するとともに撹拌を行って該乳化懸濁液中の分散質を合一させるものからなり、結着樹脂が重量平均分子量が異なる樹脂を配合したものであり、着色剤が結着樹脂のうちの重量平均分子量が高い樹脂と分子量が低い樹脂との間の重量平均分子量を有する樹脂と着色剤からなるマスターを用いて配合したこと静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、あるいはファックス等の画像出力装置等において、潜像担持体上の静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真式の複写機、プリンター、ファックス等の画像出力装置においては、印刷画像品質の高解像度化、階調性の向上、廃トナー量の削減、定着温度の低温度化による消費エネルギーの低下、フルカラー画像における画像特性の向上等の要求から、画像形成に用いるトナー粒子は、粉砕によって小粒径粒子を製造する粉砕法に代えて重合法や乳化分散等による方法が利用されている。
モノマー成分を懸濁重合等によって製造したトナーでは、使用可能な結着樹脂が限られていると共に、形成されるトナー粒子の粒度分布が広いものとなるという問題点があった。
これに対して、結着樹脂と着色剤等の混合物を乳化させた後に、粒子を生成させる溶解懸濁法が提案されている
この方法では、低温定着特性に優れたポリエステル樹脂を結着樹脂とすることが可能であるが、溶解懸濁法では、得られるトナー粒子の粒径分布が広いという問題点があった。
また、溶解懸濁により微粒子を製造した後に、該微粒子を凝集させる工程と凝集した微粒子同士を加温して融着させる工程を同時に行う方法が提案されているが、合一が不均一となりやすく、生成するトナー粒子の粒度分布を狭くすることに限界があった。
これらの方法に対して、ポリエステル樹脂等の結着樹脂、ワックス、着色剤等を有機溶剤中に溶解または分散させ、得られた着色樹脂溶液を転相乳化によって形成したサブミクロン以下の粒子の乳化懸濁液に電解質水溶液を添加して微粒子を合一させる合一工程を経てトナーを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
この方法では、微細な粒子を常温で合一させることができるので、形状が球形であると共に、粒径分布もシャープなトナーが得られるという特徴を有している。
特開2003−122051号公報 特開2004−198598号公報
本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックスおよび有機溶剤含む組成物の転相乳化によって得られた乳化懸濁液に電解質水溶液を添加するとともに、撹拌速度の調整によって所定の大きさの粒子に成長をさせてトナー粒子を製造すると、着色剤が樹脂粒子中に内包されずに水性媒体を含む分散液中に残留したり、樹脂粒子の表面に付着するために樹脂粒子の洗浄工程において濾液中に流出するために所望の着色濃度を有するトナー粒子が得られないという問題点を解決することを課題とするものであり、品質が優れたトナー粒子を製造することを課題とするものである。
本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法において、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機溶剤を含む混合物を溶解あるいは分散した着色樹脂溶液を、転相乳化して乳化懸濁液を調製した後に、電解質水溶液を添加するとともに撹拌を行って該乳化懸濁液中の分散質を合一させるものからなり、結着樹脂が重量平均分子量が異なる樹脂を配合したものであり、着色剤が結着樹脂のうちの重量平均分子量が高い樹脂と分子量が低い樹脂との間の重量平均分子量を有する樹脂と着色剤からなるマスターを用いて配合した静電荷像現像用トナーの製造方法である。
このように、着色剤として結着樹脂を構成する分子量が異なる2種の合成樹脂の重量平均分子量が高い樹脂と分子量が低い樹脂との間の重量平均分子量を有する樹脂と着色剤とを用いて製造した着色剤含有樹脂組成物を転相乳化によって形成した乳化懸濁液中から分散質を合一して所定の大きさの粒子に成長させたので、結着樹脂粒子との親和性が良好で、合一工程において粒子中への内包化が良好で、着色剤流出がないトナーを製造することができる。
また、着色剤マスターは、着色剤と樹脂とを、加熱および冷却機能を有するオープンロール型連続混練機を用いて溶融混練分散処理を行って調製したものであるので、原料混合物の飛散や粉こぼれ、粉流れを回避することができ、粗大粒子の無い均一な着色剤マスターを形成することができる。
また、結着樹脂がポリエステル樹脂であり、重量平均分子量が小さいポリエステル樹脂の分子量が5500未満であり、重量平均分子量が大きいポリエステル樹脂の分子量が100000以上であり、着色剤マスターを調製するポリエステル樹脂の分子量が5500〜100000未満である。
また、分子量が小さな樹脂が直鎖型ポリエステル樹脂であり、分子量が大きな樹脂が架橋型ポリエステル樹脂である静電荷像現像用トナーの製造方法である。
また、着色剤マスターを構成する着色剤と直鎖型ポリエステル樹脂の配合量の質量比が30/70〜60/40である静電荷像現像用トナーの製造方法である。
これによって粒度分布がシャープで特性に優れ、低温定着性が良好なトナーを製造することができる。
本発明者らは、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機溶剤を含む着色樹脂溶液を転相乳化することによって生成した、樹脂油滴、ワックス分散質、着色剤分散質等の分散質を、電解質水溶液の添加によって乳化状態を変化させるとともに、撹拌速度を変えて微粒子に与える剪断力を変化させることによって、所定の粒子径のトナー粒子に成長させる方法を提案している。この方法での、着色剤が完全には樹脂粒子中に取り込まれずに水性媒体中に着色剤が流出することがあるという問題点を、配合する着色剤を合成樹脂と混練した着色剤マスターとし、更に着色剤マスターを構成する合成樹脂の分子量を結着樹脂を構成する重量平均分子量が異なる2種の合成樹脂のうち、重量平均分子量が大きな合成樹脂と、重量平均分子量が小さな樹脂との間の分子量を有する樹脂を使用することによって、合一工程において着色剤が粒子粒子中に内包化された粒子を製造することができることを見いだしたものである。
本発明の着色剤マスターの調製工程について説明する。
着色剤マスターの調製工程では、結着樹脂を構成する合成樹脂のうち重量平均分子量が小さな合成樹脂と重量平均分子量が大きな合成樹脂との間の重量平均分子量を有する合成樹脂と着色剤と、水または有機溶剤の少なくともいずれか一方を含有した液状媒体とからなる原料混合物を、ニーデックス(三井鉱山製)等のオープンロール型連続混練機を用いて混練する。
混練は、混練する着色剤マスター用の樹脂の軟化点以上であって熱分解温度以下の温度で行う。原料混合物は、着色剤100質量部に対して5質量部ないし65質量部の水または有機溶剤、あるいはこれらの混合物の液状媒体を含有していることが好ましい。
水、有機溶剤、あるいはこれらの混合物の液状媒体を着色剤100質量部に対して5質量部ないし65質量部、好ましくは10質量部%ないし60質量部を配合することで、原料混合物の流動性を良好なものとして、混練工程において原料混合物の飛散や粉こぼれ、粉流れを回避し、効率よくオープンロール型連続混練機による溶融混練を行うことができる。
オープンロール型連続混練機は、円筒形の一対のロールを備え、それぞれのロールは表面に螺旋形状の複数の溝が形成され、各ロールは任意の回転数によって回転するように構成されている。そして、両ロールが内側へ回転するとロール表面に設けた螺旋形状を有する複数の溝が原料を原料供給部から混練物排出部に向かって押し出す。
その結果、原料供給部から供給された原料は圧縮、剪断されながら溶融、混練されて混練物排出部側の他端に移送される。
また、ロールの内部は中空状であり、中空部に温水や蒸気、冷却水などの熱媒体を供給することによってロールの表面温度を所定の値に調整することができる。
また、ロールの内部の熱媒体の導入個所には仕切りが設けられており、ロール温度を部分的に変えることが可能である。
一例を挙げれば、一方のロールの回転数を他方の回転数よりも多くなるようにし、また、ロールに巻き付いた混練物の表面温度が原料供給部側の一端の温度で110℃、他端に向かうにしたがって漸次低下して混練物排出部側では88℃となるようにロール温度を調整する。これは、供給された原料が圧縮及び剪断されて発熱することによる粘度低下を抑制して効率的な圧縮及び剪断が行われるようにするために設定されている。
また、このように設定することで、回転数の多い側のロールの螺旋溝に混練原料を付着させた状態で混練物排出部側へ移送することができる。
原料供給部には、スクリューフィーダなどによって原料が定量的に供給されるように構成することができ、混練物排出部には、ロールに付着している溶融分散混練物を回収する
このように構成されたオープンロール型連続混練機において、原料供給部に供給された造粒物は、両ロールの表面温度によって加熱される。次いで、両ロール間の間隙部で急激な圧縮力及び剪断力が与えられ、発熱して溶融する。
両ロールの間で繰り返し圧縮剪断を受けて混練されて溶融分散混練物となり、混練物排出部で混練チップとして排出される。
また、前面のロールの回転数(F)と背面のロールの回転数(R)とはF>Rであって、前面の回転数を大きくすることが好ましく、回転数比(R/F)は0.6〜0.9であることが好ましい。このような条件で混練すると、前面ロールに混練物が巻き付き、背面ロールには混練物は巻き付かず、原料の移送及び混練物排出部における回収が容易である。
また、本発明のトナーの製造においては、オープンロール型連続混練機へは、着色剤と共に、結着樹脂を構成する重量平均分子量が異なる2種の合成樹脂のうち、重量平均分子量が大きな合成樹脂と、重量平均分子量が小さな樹脂との間の分子量を有する樹脂を供給して着色マスターを製造する。
結着樹脂を構成する分子量が大きな架橋型ポリエステル樹脂と、分子量が小さな直鎖型ポリエステル樹脂の間の分子量を有する直鎖状ポリエステル樹脂を着色マスターの原料として着色マスターを調製することによって、後のトナー粒子の製造工程において、結着樹脂中への着色剤の分散が良好なものとなり樹脂粒子中への内包化が優れたトナーを得ることができる。
また、重量平均分子量が小さなポリエステル樹脂の分子量が5500未満であり、重量平均分子量が大きなポリエステル樹脂の分子量が100000以上であり、着色剤マスターを調製するポリエステル樹脂の分子量が5500〜100000未満であることが好ましい。
結着剤を構成する樹脂は、低温定着性等の観点から選択されているが、粘度が大きい場合には均一な混練が困難なものとなり、また粘度が低い場合には、剪断力が作用せずに同様に充分な混練ができなくなる。
そこで、結着樹脂を構成する分子量が大きな樹脂と、分子量が小さな樹脂との間の分子量を有する直鎖型のポリエステル樹脂を用いて着色剤を混練した着色剤マスターを予め調製した後に、結着樹脂と混練することによって、結着樹脂中への着色剤の微分散を向上させることが可能となるものと考えられる。
以下、本発明のトナーの製造工程について説明する。
第一工程:着色樹脂溶液調製工程
ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、着色剤およびワックスとを、有機溶剤中に溶解、あるいは分散させ、次いで乳化剤を添加して着色樹脂溶液を製造する工程である。
第二工程:転相乳化工程
塩基性化合物を添加した後、該着色樹脂溶液に水を添加して、転相乳化して乳化懸濁液とする工程である。
第三工程:合一工程
調製した乳化懸濁液に、電解質水溶液を添加し、乳化懸濁液中の樹脂油滴、ワックス分散質、着色剤分散質等の微粒子を合一させることにより合一粒子を生成させて粒子形成を行う工程を少なくとも3回行った後に、合一を停止させる工程である。なお、第1の合一工程は、微粒子の析出と析出した微粒子の合一を行っており、析出合一工程ともいうことができる。
第四工程:分離、乾燥工程
減圧下で有機溶剤を除去した後に、合一粒子を水性媒体中から分離、洗浄し、乾燥させてトナー母粒子とする工程である。
まず、第一工程である着色樹脂溶液調製工程について詳しく説明する。着色樹脂溶液調製工程では、まず有機溶剤中にポリエステル樹脂などの水性媒体中において分散する自己分散型の合成樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤、ワックスとを投入して、溶解または分散させてトナー粒径以下に微分散または溶解する。
着色剤は、先に述べたように、結着樹脂を構成する分子量が大きな合成樹脂よりも、分子量が小さく、結着樹脂を構成する分子量が小さな合成樹脂よりも分子量が大きな合成樹脂をマスター調製用原料として、着色剤と混練して製造した着色剤マスターを用いる。
着色樹脂溶液調製工程においては、デスパー(アサダ鉄工製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス製)などの高速撹拌機が使用できる。この時の翼先端速度は4〜30m/sであることが好ましく、8〜25m/sであることがより好ましい。上記高速撹拌機を用いることで、結着樹脂の有機溶剤への溶解を効率よく行えると共に、着色剤の結着樹脂溶液中での均一微分散を達成できる。すなわち、あらかじめ微分散された着色剤を高速撹拌することで、着色樹脂溶液中においても保持することができる。
翼先端速度が4m/sより低いと、着色樹脂溶液中での着色剤の微分散が不十分となり好ましくない。一方、30m/sより高いと剪断による発熱が大きくなり、溶剤の揮発と相まって均一撹拌が困難となるため好ましくない。また、溶解、または分散する場合の温度は、20〜60℃の範囲が好ましく、30〜50℃の範囲がより好ましい。
有機溶剤としては、25℃における水に対する溶解度が、0.1〜30質量%であるものが好ましく、0.1〜25質量%であるものがより好ましい。また、常圧における沸点は、水の沸点よりも低いものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピルのようなエステル類等が用いられる。これらの有機溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、有機溶剤は、ポリエステル樹脂を溶解または分散するものであり、後の工程で脱溶剤しやすいために低沸点のものが好ましい。ここで、ポリエステル樹脂を溶解する有機溶剤としては、溶解、分散性に優れている、メチルエチルケトン、酢酸エチルを用いることが好ましい。特にメチルエチルケトンを用いることがより好ましい。
また、着色樹脂溶液の調製工程において、乳化剤を加えることが好ましい。
合一工程において乳化剤が機能するためには、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。そのような特性を有する乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、あるいは各種プルロニック系などのノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型、アルキルスルホン酸塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の乳化剤などがある。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩型の乳化剤、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸型の乳化剤を挙げることができる。
上述した乳化剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。すなわち、本発明の製造方法では、乳化剤の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となる。これにより、好ましい粒度分布が得られると共に、収率の向上が達成される。
また、使用する乳化剤の量は、固形分含有量に対し、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることが特に好ましい。これは、0.1質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られないためである。また、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子が残存してしまい収率を低下させるためである。
次いで、第二工程の転相乳化工程において、塩基性化合物を添加した後で、該着色樹脂含有組成物に水を添加することで懸濁または乳化させて乳化懸濁液とする。ここで、塩基性化合物によってポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和した着色樹脂溶液に水を徐々に添加することが好ましい。カルボキシル基が中和されることで、該官能基部分の親水性が向上し、水との親和性が向上する。
滴下した水は該官能基部分に水和され、撹拌効果と合わさって溶解あるいは微細に分散される。一方、結着樹脂は水性媒体を介在して酸−塩基相互作用が強まり、水の添加に伴って粘度が上昇する。一定量の水を添加すると粘度が低下していく点があり、いわゆる転相点と称する。この直前まで、粘度が上昇し、粘度が最大値に達する。粘度上昇は、塩基性化合物の添加量と相関があり、添加量が増加するほど、粘度上昇も大きくなる。
一方、塩基性化合物の量は、本発明においては、第二工程の転相乳化工程のみならず、後述する第三工程の合一工程における合一粒子生成時の均一性、速度にも影響を及ぼし、ポリエステル樹脂のカルボキシル基に対して、塩基性化合物は1〜3当量の範囲が好ましい。また、1〜2当量の範囲が更に好ましい。このようにポリエステル樹脂のカルボキシル基の全部を中和するために要する量よりも過剰に添加することにより、合一工程において異形の粒子が生成するのを防止することができ、また、粒度分布を狭い範囲とすることができる。
しかしながら、塩基性化合物の全量を乳化前に添加すると、乳化時に粘度上昇が生じ、撹拌の不均一化により未乳化の異物が発生し、最終的に得られるトナー中に混在し、現像特性に悪影響を及ぼすことになる。したがって、塩基性化合物の量は、0.6〜1.2当量が好ましい。0.6当量よりも少ないと、乳化時に着色剤、あるいはワックス等の添加剤の分散が不均一になったり、未乳化物が発生するため好ましくない。一方、1.2当量よりも多いと粘度上昇による影響が見られるため好ましくない。
転相乳化工程の終了後の有機溶剤/有機溶剤+水の比率は20〜35質量%の範囲が好ましく23〜30質量%の範囲がより好ましい。上述したように、転相点までの水の量は、着色樹脂溶液調製工程における有機溶剤量が少ないほど減少し、塩基性化合物の量が多いほど増加する。
転相点では乳化懸濁液の粘度が高いこともあり、着色樹脂溶液が完全に水性媒体中に微分散していない場合もあるため、更に水を添加することが好ましく、添加した水の量と転相点までに使用した水の合計の50ないし80質量%の範囲が好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂は、酸価が、3〜30KOHmg/gが好ましく、5〜20KOHmg/gであることがより好ましい。
これは、ポリエステル樹脂の酸価が3未満であると、ポリエステル樹脂と有機溶剤とが水中に乳化又は懸濁した乳化懸濁液の製造が円滑に行われず、粗大粒子が発生するので好ましくない。
一方、ポリエステル樹脂の酸価が30より大きいと、トナー使用環境下における帯電量が安定しないため好ましくない。酸価が3〜30KOHmg/gであるポリエステル樹脂は、カルボキシル基が塩基性化合物により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加し、安定に分散または溶解することができる。
中和用の塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が用いられる。特に、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基の水溶液が好ましい。
上記の方法で製造した乳化懸濁液では、着色樹脂溶液は、樹脂油滴、着色剤分散質、ワックス等として水性媒体中に乳化又は懸濁した状態で存在する。その状態は、有機溶剤の種類と使用量、ポリエステル樹脂の酸価、塩基性化合物の使用量、撹拌条件等で異なるが、1μm以下の微小な油滴として乳化又は懸濁していることが好ましい。このような状態であれば、乳化懸濁液の安定性、後の工程における合一の安定性、合一粒子の粒度分布等が良好になり、好ましい。
次に、第三工程である合一工程について説明する。乳化剤の存在下、電解質を添加することにより、微粒子の合一体である合一粒子を製造することができる。
合一工程では、乳化剤の存在下で電解質水溶液を滴下することで着色樹脂溶液の微粒子の析出工程とその後の会合した粒子が成長する合一工程を含む。
まず、樹脂油滴、着色剤分散質、あるいはワックス分散質のそれぞれの単独の分散質から形成された微粒子、及びこれらの微粒子が複合した微粒子が析出し、大きさは、0.01μmから0.4μm程度の大きさのものである。
次いで、該微粒子を合一させることにより合一粒子が得られる。
合一工程においては、乳化懸濁液に電解質水溶液を添加することで、乳化又は懸濁している着色樹脂溶液の微小な油滴が塩析または不安定化され、複数の微粒子が一体化することによって合一が進行し、目的の粒径を得ることができる。
また、電解質水溶液の添加により、着色剤を含有した微粒子同士が合一するばかりでなく、水性媒体中に溶解しているポリエステル樹脂が塩析または不安定化してポリエステル樹脂の微粒子が析出し、着色剤を含有した微粒子の表面、または既に合一した合一粒子に付着することで合一粒子を得ることができる。
ここで用いられる電解質としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの水溶性の塩などを用いることができる。これらの電解質は、単独でも、2種類以上の物質を混合してもよい。なかでも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウムのような1価のカチオンの硫酸塩、炭酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。
また、得られる合一粒子は溶剤によって膨潤しており、電解質を添加することによって粒子の水和状態が不安定な状態となっているため、低剪断力の撹拌により粒子同士を衝突させて合一を進行させることが好ましい。
また、均一な合一を進める上では、合一時の撹拌条件が重要であり、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼(登録商標)、半月翼などが用いられる。なかでも、マックスブレンド翼(登録商標)やフルゾーン翼のような低回転であっても均一混合性に優れた大型翼を用いることが好ましい。均一な合一体を生成させるための撹拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアでの撹拌がより好ましい。特に、0.2〜6m/sとすることが好ましい。撹拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存するため好ましくない。一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、撹拌が不均一となり粗大粒子が発生する傾向となるので好ましくない。上述した条件であれば、微粒子同士の衝突のみにより合一が進行し、合一体が再び解離、分散することがない。特に、合一工程では微小粒子から優先的に合一が進行するため、超微粒子の発生が少なく、かつ狭い粒度分布となるため収率の向上が達成できる。
すなわち、着色樹脂溶液調製工程、及び転相乳化工程ではデスパー(アサダ鉄工製)等の高速撹拌機により撹拌を行うことが好ましく、合一工程では低速で均一混合可能な大型翼が好適となるため、転相乳化工程で得られた乳化懸濁液を大型翼付属の別の容器に移送して合一工程を実施することが好ましい。
また、使用する電解質の量は、固形分含有量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1〜12質量%であることがより好ましく、1〜6質量%であることが特に好ましい。電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しない。
また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させる。
また、電解質濃度が高いと、特に合一初期の塩析による溶解したポリエステル樹脂の析出時に凝集物が発生しやすいため好ましくない。一方、電解質濃度が低いと、塩析や合一させるために多量の電解質が必要となるとともに、微粒子が残存し易く好ましくない。
すなわち、合一初期における析出時は、寸法が小さくて比表面積が大きいので、添加した電解質水溶液の近傍で濃度むらの影響を受け易く、その濃度むらにより凝集が発生することがある。このため、合一初期の微粒子の段階では、電解質の濃度むらが発生しないように濃度を低めに設定することが好ましい。
また、粒径を3μmを超えて成長させる場合には、電解質濃度を高くし、それに応じて添加する電解質水溶液の添加量を調整することで粒子成長速度を制御することが好ましい。低濃度の電解質水溶液を大量に添加すると、添加液量が増え有機溶剤比率が下がり、合一が進まず微粒子が残存し易くなる。
本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス、有機溶剤を含有する着色樹脂溶液を、転相乳化によって乳化懸濁液を形成し、乳化懸濁液から所定の大きさの粒子を成長したものである。粒子の成長は、乳化懸濁液に電解質を加えると共に撹拌することによって微粒子の析出合一の工程を含む3回以上の工程を設けるとともに、最後の合一工程での粒子成長速度を、それまでのいずれの合一工程での粒子成長速度よりも粒子成長速度を遅くするものである。
合一工程における粒子成長速度の調整は、合一工程で添加する電解質水溶液に含まれている電解質量を減少させる、または、電解質水溶液そのものを少なくする等の方法によって行うことができる。
体積平均粒子径が5〜7μm程度のトナーを製造する場合、合一初期における微粒子の粒径が3μmまで成長する段階では、電解質濃度は、2〜4質量%の範囲が好ましい。また、粒径が3μmを超えてさらに成長させる場合には4質量%を超えて6質量%の範囲の濃度が好ましい。
体積平均粒子径が5〜7μm程度のトナーを製造する場合、合一初期における微粒子の粒径が3μmまで成長する段階では、電解質濃度は、2〜4質量%の範囲で、固形分に対し、電解質量を1〜3質量%を添加することが好ましい。また、粒径を3μmを超えてさらに成長させる場合には4質量%を超えて6質量%の範囲の濃度が好ましい。添加量は粒子成長速度を確認し、合一工程の後段ほど、溶液量を調整しつつ固形分含有量に対する電解質量を減少させていくことが好ましい。
特に、最後の合一工程での電解質水溶液の滴下後の粒子成長速度を体積平均粒径基準で0.1〜0.5μm/10minの範囲に設定することが好ましい。
また、本発明における粒径は、ベックマンコールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で測定した体積平均粒径である。
各合一工程において電解質水溶液を添加する際には、電解質を均一にすばやく系内に混合するため撹拌速度を上げることが好ましい。電解質水溶液の滴下による凝集物の発生を抑えることができるので好ましい。また、合一時の温度は、10〜50℃が好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが特に好ましい。
これは、温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるためである。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるためである。本発明の製造方法では、例えば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による合一粒子の生成が可能である。
合一は有機溶剤により膨潤した着色樹脂微粒子が、着色樹脂微粒子分散液を所定の回転速度で撹拌することで、着色樹脂微粒子同士が衝突し、融着することで粒子が成長する。したがって、前段の合一工程と次段の合一工程との間には、合一が進行する撹拌速度よりも高速で撹拌して高剪断力を与える熟成期間を設けることによって合一した着色樹脂微粒子を熟成して、合一した粒子の円形度を高めることができる。
また、粒子成長は、一定条件下ではほぼ一定の成長速度を保持するため、時間と粒径からプロットされた粒子成長曲線を作成することで表すことができる。その結果、その曲線から目標粒径の到達時間を推定することができる。また、合一は、水を添加することで停止させることが好ましい。
また合一工程で得られた合一粒子は、水性媒体中と共に有機溶剤を内包し膨潤しているため高温条件、または静置してしまうと凝集しやすい。
そのため、脱溶剤を低温条件下で、速やかに行うためには減圧下で行うことが好ましい。脱溶剤に当たっては消泡剤の添加が好ましい。消泡剤としてはシリコーン系のエマルジョン形態のものが好ましい。シリコーン系の消泡剤としては、BY22−517、SH5503、SM5572F、BY28−503(東レ・ダウコ一二ング・シリコーン社製)、KM75、KM89、KM98、KS604、KS538(信越化学工業製)等がある。なかでも、物性への影響が少なく、消泡効果の高いものとしてBY22−517が好ましい。消泡剤量は、固形分に対し30〜100ppmが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるトナー粒子は、着色剤やワックスなどが結着樹脂に内包されていることが特徴であり、透過型電子顕微鏡等で観察することにより、着色剤やワックスなどが粒子内に内包されてほぼ均一に分散していることが確認できる。
また、合一工程で得られる合一粒子の形状は、粒子像分析装置(シスメックス製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000)などによって求められ、円形度は、観察した粒子像の投影面積に相当する円の周囲の長さと観察した粒子の投影像の周囲の長さとの比で表した数値の平均値を平均円形度としている。
本発明の方法により得られるトナー粒子の形状は、平均円形度が0.95以上ないし0.97以上の略球形あるいは球形の形状のものであって、粉体流動性、転写効率が向上する。
合一工程において、目標粒径まで成長した合一粒子は、分離乾燥工程において、合一粒子を含む水性媒体中に、水を添加して合一を停止させた後、該合一粒子を含む水性媒体中から使用した有機溶剤を除去した後に乾燥して取り出すことができる。
分離乾燥工程においては、着色樹脂粒子を分離し、洗浄、脱水して着色樹脂微粒子ケーキを得る。水性媒体からの分離・脱水は、遠心分離機、あるいはフィルタープレス、ベルトフィルターなどの分離手段で行うことができる。洗浄は、得られた着色樹脂微粒子ケーキを再度、水中に攪拌、分散させ、さらに脱水することで行うことができる。次いで、粒子を乾燥させることによりトナー母粒子を得ることができる。また、先の工程において分散安定剤を添加した場合、より十分に洗浄することが好ましい。
得られた含水合一粒子は、引き続き乾燥して粉体とする。乾燥は、リボコーン型乾燥機(大川原製作所)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン)等の混合真空乾燥機、流動層乾燥機(大川原製作所)、振動流動層乾燥機(中央化工機)等の流動層型乾燥機で乾燥される。
また、トナーの粒度分布については、ベックマンコールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下のものを得ることができる。1.25以下であると階調性に優れた良好な画像を得ることができる。
トナーの体積平均粒径として、体積平均粒径が3〜8μmとすることが好ましく、粒径が小さなトナーを用いることによって解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、定着に必要な熱量を減少させることができ、同時にトナー消費量が減少するという効果も得られる。
本発明で使用するポリエステル樹脂について説明する。ポリエステル樹脂は、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物であることが好ましく、以下の原料の中から選択される化合物を反応させることによって得られる。
架橋型ポリエステルは、二塩基酸またはその誘導体と、2価のアルコールと、架橋剤として多価化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。特に、二塩基酸またはその誘導体と、2価の脂肪族多価アルコールと、架橋剤として多価エポキシ化合物とを反応させることによって製造することが好ましい。
また、直鎖型ポリエステル樹脂は、二塩基酸類と、2価のアルコールとを反応させることによって製造する。特に、二塩基酸類と、2価の脂肪族アルコールとを反応させることによって製造することが好ましい。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とを製造する際に使用する酸成分としては、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸またはその誘導体またはそのエステル化物が挙げられる。
また、2価の脂肪族アルコール成分としては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール、ポリカプロカクトンジオールなどのジオールが挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とにおいて、脂肪族アルコールを用いることにより、ワックス類との相溶性が良好となり、耐オフセット性が改良され、好ましい。また、ポリエステル主鎖を軟質化することにより低温での定着性が改善される。
架橋型のポリエステル樹脂を製造する際には、さらに架橋剤として多価エポキシ化合物を使用する。
多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラキス1,1,2,2(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノールーアセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物などが挙げられる。上記の化合物の中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルがより好適に用いられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業製エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、エピクロン3050などが、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業製エピクロン830、エピクロン520などが、オルソクレゾールノボラツク型エポキシ樹脂の例として大日本インキ化学工業製エピクロンN−660,N−665,N−667,N−670,N−673,N−680,N−690,N−695などが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の例としては大日本インキ化学工業製エピクロンN−740,N−770,N−775,N−865などが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体としてはグリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、あるいはアクリル共重合体、スチレンとの共重合体が挙げられる。
また、上述したエポキシ化合物は2種以上併用して用いることもでき、さらに、樹脂の変性剤として、以下に記載するモノエポキシ化合物を併せて用いることもできる。同時に使用することができるモノエポキシ化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、α−オレフィンオキシド、モノエポキシ脂肪酸アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのモノエポキシ化合物を併用することにより定着性、高温での耐オフセット性が向上する。これらの中でも、特にアルキルグリシジルエステルがより好適に用いられる。
具体的な例としてはネオデカン酸グリシジルエステル(シェルジャパン製カージュラE)が挙げられる。
架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂とは、上述した原料成分を用いて、例えば触媒の存在下で脱水縮合反応あるいはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、150〜300℃で2〜24時間とすることができる。
上記反応を行う際の触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、パラトルエンスルホン酸などを使用することができる。
本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との使用比率は、(架橋型ポリエステル樹脂の質量)/(直鎖型ポリエステル樹脂の質量)=5/95〜60/40とすることができる。また、10/90〜40/60あるいは20/80〜40/60としても良い。架橋型ポリエステル樹脂の比率の調整によって、耐高温オフセット性、溶融粘度(T1/2温度)、低温定着性等を調整することができる。
架橋型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜85℃であることが好ましく、40〜75℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が40℃より低いとトナーが保存、運搬、あるいは画像形成装置内部で高温下に曝された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が85℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
直鎖型ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、35〜70℃であることが好ましく、35〜65℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が35℃より低いと、トナーが保存、運搬、あるいは画像形成装置内部で高温下に曝された場合にブロッキング現象すなわち熱凝集を生じやすい。また、ガラス転移温度(Tg)が70℃より高いと、低温定着性が低下するため好ましくない。
また、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、150℃以上であることが好ましく、なかでも、150℃〜220℃であることが好ましい。ここで、架橋型ポリエステル樹脂の軟化点としては、150℃〜200℃であることがより好ましく、150℃〜190℃であることが特に好ましい。軟化点が150℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなり画像形成に支障をきたす可能性がある。また、220℃を超える場合は、定着性が悪化しやすくなる。また、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点は、85℃以上であることが好ましく、なかでも、85℃〜130℃であることが好ましい。ここで、直鎖型ポリエステル樹脂の軟化点としては、85℃〜120℃であることがより好ましく、85℃〜110℃であることが特に好ましい。架橋型ポリエステル樹脂と同様に、軟化点が85℃未満の場合は、ガラス転移温度が低下してしまい、トナーが凝集現象を生じやすくなり、130℃を超える場合には定着性が悪化しやすくなる。
また、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂との混合物の軟化点は、100℃〜150℃であることが好ましい。120℃〜140℃とすることがより好ましい。軟化点が100℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすくなり、150℃を超える場合には定着性が悪化しやすくなる。
本発明におけるポリエステル樹脂の軟化点は、定荷重押出し形細管式レオメータ(島津製作所製フローテスタCFT−500)を用いて測定されるT1/2温度である。測定条件は、ピストン断面積1cm2、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ穴長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50℃、昇温速度6℃/min、試料質量1.5gの条件で行った。
また、ガラス転移点(Tg)の測定は、示差走査熱量計(島津製作所製 DSC−60A)を用いて、アルミニウム製クリンプ容器に20mgの試料を入れて、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し、180℃から降温速度10℃/minで、25℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温して、第2回目の測定値のベースラインが変位する温度をガラス転移点とした。
本発明の製造方法において、着色樹脂溶液調製工程で導入することができるワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然エステル系ワックス類の中から選択されるワックスを挙げることができる。なかでも、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類、フィーシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス類が好適である。合成エステルワックスとしては、例えば、WEP−5、WEP−7(日本油脂製)が挙げられる。
本発明の方法では、トナーに要求される充分な量のワックスを含有させることができるが、トナー粒子中に1ないし40質量%を含有させることが好ましい。
また、着色樹脂溶液は帯電制御剤を混合して調製することができる。正帯電性帯電制御剤としては、ニグロシン化合物、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物などが使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性帯電制御剤としてニグロシン化合物と併用できる。また、アゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負帯電制御剤を少量併用することも可能である。負帯電性帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックスなどの重金属含有酸性染料、カッリクスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/またはスルホニル基を含有する樹脂などが挙げられる。
帯電制御剤の含有量はトナー粒子中に0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
着色樹脂溶液調製工程において添加することができる着色剤の例を挙げると、黒色系着色剤としては、カーボンブラック、C.I.Pigment Black11などの鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black12などの鉄−チタン複合酸化物系顔料、あるいは、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。
また、青系の着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue1,2,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,15,16,17:1,27,28,29,56,60,63などが挙げられる。これらのなかでも、C.I.Pigment Blue15:3,15,16,60が好ましく、C.I.Pigment Blue15:3,60がより好ましい。
また、黄色系の着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow1,3,4,5,6,12,13,14,15,16,17,18,24,55,65,73,74,81,83,87,93,9.4,95,97,98,100,101,104
,108,109,110,113,116,117,120,123,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,156,168
,169,170,171,172,173,180,185などが挙げられる。これらのなかでも、C.I.Pigment Yellow17,74,93,97,110,15.5及び180が好ましく、C.I.Pigment Yellow74,93,97,180がより好ましく、C.I.PigmentYellow93,97,180が更に好ましい。
また、赤色系着色剤としては、C.I.Pigment Red1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,14,15,17,18,22,23,31,37,38,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,54,57:1,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,65,66,67,68,81,83,88,90,90:1,112311・4,115,122,123,133,144,146,147,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,184,185,187,188,189,190,193,194,202,208,209,214,216,220,221,224,242,243,243:1,245,246,247などが挙げられる。これらのなかでも、C.I.PigmentRed48:1,48:2,48:3,48:4,53:1,57:1,122,184及び209が好ましく、C.I.Pigment Red57:1,122,184及び209がより好ましい。
着色剤の含有量は、トナー粒子中に、1〜20質量%であることが好ましく、2〜18質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることが更に好ましい。これらの着色剤は1種または2種以上を組み合わせで使用することができる。
本発明の方法によって製造したトナー粒子は、シリカ、チタニア等の微粒子、あるいはそれらを疎水化処理等を行ったものを外添剤として添加して、流動性、帯電性などを調整することができる。
また、得られたトナー粒子は、一成分トナーとして用いることができるが、キャリアを混合することによって、二成分トナーとしても利用することができる。
実施例1
樹脂1(架橋型ポリエステル樹脂)の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 3.9 質量部
イソフタル酸 9.06質量部
エチレングリコール 2.54質量部
ネオペンチルグリコール 4.26質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
エピクロン830 0.3 質量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 0.1 質量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0、ガラス転移温度(Tg)60℃、軟化点(T1/2)が178℃であった。
また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃、溶媒:テトラヒドロフラン、溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm、流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算して分子量を求めた。重量平均分子量は250000であった。
樹脂2(直鎖型ポリエステル樹脂)の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が95℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 7.97質量部
イソフタル酸 5.31質量部
エチレングリコール 2.86質量部
ネオペンチルグリコール 4.8 質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価10.0、ガラス転移温度(Tg)55℃、軟化点(T1/2)が107℃であった。
また、樹脂1の分子量の測定と同様にして分子量を測定したところ、重量平均分子量7740であった。
樹脂3(直鎖型ポリエステル樹脂)の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が87℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 5.31質量部
イソフタル酸 7.97質量部
エチレングリコール 2.6 質量部
ネオペンチルグリコール 4.37質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価8.5、ガラス転移温度(Tg)46℃、軟化点(T1/2)が95℃であった。
また、樹脂1の分子量の測定と同様にして分子量を測定したところ、重量平均分子量5200であった。
樹脂4(直鎖型ポリエステル樹脂)の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が82℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 5.31質量部
イソフタル酸 7.97質量部
エチレングリコール 2.6 質量部
ネオペンチルグリコール 4.37質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価7.5、ガラス転移温度(Tg)40℃、軟化点(T1/2)が90℃であった。
また、樹脂1の分子量の測定と同様にして分子量を測定したところ、重量平均分子量4000であった。
樹脂5(直鎖型ポリエステル樹脂)の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が82℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 5.31質量部
イソフタル酸 7.97質量部
エチレングリコール 2.6 質量部
ネオペンチルグリコール 4.37質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価9.0、ガラス転移温度(Tg)48℃、軟化点(T1/2)が97℃であった。
また、樹脂1の分子量の測定と同様にして分子量を測定したところ、重量平均分子量5450あった。
ワックスマスター分散体1の調製
カルナウバワックス(カルナウバワックス1号:加藤洋行製)30質量部と先に作製した直鎖型ポリエステル樹脂である樹脂2の70質量部とメチルエチルケトン150質量部とをデスパーで予備混合した後、スターミルLMZ−10(アシザワファインテック製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%のワックスマスター分散体1を調製した。なお、この組成は、樹脂2/ワックス/メチルエチルケトン=28/12/60である。
着色剤マスターチップ1Cの調製
シアン顔料(大日本インキ化学工業製シアン顔料:Ket Blue111 C.I.Pigment B-15:3)を2000質量部と直鎖型ポリエステル樹脂2を2000質量部を、ST/AO撹拌羽根を取り付けた20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山製)へ投入し、698min-1で2分間撹拌し混合物を得た。該混合物を、混練部93℃、冷却部21℃に設定したオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山製ニーデックスMOS140−800)用いて、前面ロール75回転、背面ロール60回転速度で、入り口側クリアランス0.1mm、出口側クリアランス0.3mm、吐出量5.0−5.5kg/hに設定して、溶融混練して着色剤マスターチップ1Cを調製した。
得られたマスターチップをメチルエチルケトンで希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子がなく、均一に微分散していた。
着色樹脂溶液1の調製
ワックスマスター分散液1を12.5質量部、着色剤マスターチップ1Cを4.2質量部、樹脂1を10.56質量部、樹脂3を10.24質量部、有機溶剤としてメチルエチルケトン8.65質量部を加え、温度を40〜45℃に保持して撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー翼径230mm)によって777min-1の撹拌速度で2時間の間混合し、溶解・分散を行った。
得られた混合物は、更にメチルエチルケトンを加え、固形分含有量を65質量%に調整し、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸系乳化剤(第一工業製薬製 ネオゲンSC−F)0.22質量部を添加、溶解・分散してシアン顔料を含んだ着色樹脂溶液1を調製した。
転送乳化工程
翼径230mmの撹拌翼を有する撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー)を備えた円筒型の容器に着色樹脂溶液1の46.15質量部(固形分30質量部)を仕込み、次いで塩基性化合物として、1規定アンモニア水5質量部を加えて、777min-1にて充分に撹拌した後、温度を35℃に調整した。
次いで、撹拌速度を1100min-1に変更して37.25質量部の水を1.0質量部/minの速度で滴下した。この時の撹拌翼の周速は13.2m/sであった。水を添加して行くにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、撹拌混合を均一に行うことができた。
また、水26質量部を添加した段階で粘度が急激に低下する転相点が観察された。更に、水を添加した後、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、着色剤とワックスの微粒子が分散している状態が観察されたが、。未乳化物は観察されなかった。着色剤、ワックスの微粒子は水性媒体中に安定に分散していることから、微粒子表面には樹脂が吸着しているものと考えられる。この時、系内の状態は均一であり、添加による粗大粒子の発生は見られなかった。
合一工程
第1段の析出と合一工程
翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、転相乳化工程で得られた乳化懸濁液を移送した後、撹拌速度を85min-1に保持した状態で温度を25℃に調整した。その後撹拌速度を120min-1に上昇し、第1段目の電解質水溶液として3.5質量%の硫酸ナトリウム水溶液の12質量部を、1kg/minの速度で滴下した。滴下終了5分後に撹拌速度を85min-1に低下して5分間の撹拌を行った後に、撹拌速度を65min-1に低下して5分間の撹拌をおこなった。次いで、撹拌速度を47min-1に低下して20分間の撹拌を継続した。このときの粒径は、2.5μmであった。
第2段の合一工程
撹拌速度を120min-1に調整し、濃度5質量%の硫酸ナトリウム水溶液を第2段目の電解質として、1kg/minの速度で2質量部滴下した。滴下終了5分後に撹拌速度を85min-1に調整して5分間の撹拌を継続した後に、撹拌速度を65min-1に低下して5分間の撹拌をした。次いで、撹拌速度47min-1に調整して20分間の撹拌を継続した。
第3段の合一工程
撹拌速度を120min-1に調整し、濃度5質量%の硫酸ナトリウム水溶液を第3段目の電解質として、1kg/minの速度で2質量部滴下した。滴下終了5分後に撹拌速度を85min-1に調整して5分間の撹拌を続けた後に、撹拌速度を65min-1に低下して5分間の撹拌を続けた。次いで47min-1の撹拌速度で20分間の撹拌を継続した後に、停止水として水10質量部を加えて合一を停止した。
着色剤の内包化の評価
合一工程で生成した粒子の乳化懸濁液115.12質量部に、消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン製 BY22−517)を0.006質量部添加後、回収量が乳化懸濁液100質量部に対し20.8質量部となるまで減圧下、メチルエチルケトン及び水を留去した。
脱溶剤後のスラリーをヌッチェ(フィルター:桐山5A)を用い固液分離しその濾液を採取して、吸光度測定装置(島津製作所製UV−3100 石英セル10mm×10mm×45mm 光路長10mm)によって、610nmの吸光度を測定し、その結果を表1に示す。
トナー母粒子の粒径と分布
測定試料を、水20gに対し界面活性剤(中外写真薬品製 エルクリヤー)0.1g、トナー母粒子0.04gを添加し、超音波分散機でトナー母粒子を水中に懸濁させて調製した後に、ベックマンコールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)による測定で、50%体積平均粒径(Dv50)および50%個数平均粒径(Dn50)を求めた、両者の比から粒径分布を求め、その結果を表1に示す。
実施例2
着色樹脂溶液調製工程において、分子量が小さな結着樹脂である樹脂3に代えて樹脂4を同じ量を配合した点を除き、他の条件は実施例1と同様にしてトナー母粒子を製造し、実施例1と同様に評価をし、その結果を表1に示す。
実施例3
着色樹脂溶液調製工程において、分子量が小さな結着樹脂である樹脂3に代えて樹脂5を同じ量を配合した点を除き、他の条件は実施例1と同様にしてトナー母粒子を製造し、実施例1と同様に評価をし、その結果を表1に示す。
実施例4
着色樹脂溶液調製工程において、分子量が小さな結着樹脂である樹脂3に代えて樹脂5を同じ量を配合し、合一工程として第3段と同じ条件の第4段の合一工程を追加して、全部で4段の合一工程によってトナー粒子を成長させた点を除き、実施例3と同様にして合一を行い、同様に評価をし、その結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の着色剤マスターチップ1Cの調製において、樹脂2を樹脂3に変えた点を除き、他の条件は実施例1と同様にしてトナー母粒子を製造し、実施例1と同様に評価をし、その結果を表1に示す。
比較例2
実施例1の結着剤用の樹脂3を樹脂4に変えるとともに、着色剤マスターチップ1Cの調製において、樹脂2を樹脂4に変えた点を除き、他の条件は実施例1と同様にしてトナー母粒子を製造し、実施例1と同様に評価をし、その結果を表1に示す。
比較例3
実施例1の結着剤用の樹脂3を樹脂2に変えるとともに、着色剤マスターチップ1Cの調製において、樹脂2を樹脂3に変えた点を除き、他の条件は実施例1と同様にしてトナー母粒子を製造し、実施例1と同様に評価をし、その結果を表1に示す。
比較例4
実施例1の結着剤用の樹脂3を樹脂2に変えるとともに、着色剤マスターチップ1Cの調製において、樹脂2を樹脂4に変えた点を除き、他の条件は実施例1と同様にしてトナー母粒子を製造し、実施例1と同様に評価をし、その結果を表1に示す。
比較例5
実施例1の結着剤用の樹脂3を樹脂4に変えるとともに、着色剤マスターチップ1Cの調製において、樹脂2を樹脂4に変えるとともに、合一工程として第3段と同じ条件の第4段の合一工程を追加して、全部で4段の合一工程によってトナー粒子を成長させた点を除き、実施例3と同様にして合一を行い、その結果を表1に示す。
Figure 2008020475

Claims (5)

  1. 静電荷像現像用トナーの製造方法において、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機溶剤を含む混合物を溶解あるいは分散した着色樹脂溶液を、転相乳化して乳化懸濁液を調製した後に、電解質水溶液を添加するとともに撹拌を行って該乳化懸濁液中の分散質を合一させるものからなり、結着樹脂が重量平均分子量が異なる樹脂を配合したものであり、着色剤が結着樹脂のうちの重量平均分子量が高い樹脂と分子量が低い樹脂との間の重量平均分子量を有する樹脂と着色剤からなるマスターを用いて配合したことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 着色剤マスターは、着色剤と樹脂とを、加熱および冷却機能を有するオープンロール型連続混練機を用いて溶融混練分散処理を行って調製したものであることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 結着樹脂がポリエステル樹脂であり、重量平均分子量が小さなポリエステル樹脂の分子量が5500未満であり、重量平均分子量が大きなポリエステル樹脂の分子量が100000以上であり、着色剤マスターを調製するポリエステル樹脂の分子量が5500〜100000未満であることを特徴とする請求項1または2記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 分子量が小さな樹脂が直鎖型ポリエステル樹脂であり、分子量が大きな樹脂が架橋型ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 着色剤マスターを構成する着色剤と直鎖型ポリエステル樹脂の配合量の質量比が30/70〜60/40であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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