JP2008019726A - 車両制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全システムへの給電不能を確実に抑制しつつ、エコランも精度良く実施できる車両制御装置を提供する。
【解決手段】危険ポイント設定部35は、自車状況取得部31から入力される情報や外部情報取得部32から入力される目的地までの走行ルート上の道路情報、気象情報、路面情報などの外部情報に基づいて走行ルート上の各ポイントの危険度を算出し、算出した危険度が所定の危険度以上の地点を危険ポイントに設定する。そして、アイドリングストップ許可/禁止判定部40は、各危険ポイントまでの所定距離範囲内で、現状のバッテリ充電率、次の危険ポイントまでの電装品予想使用量、オルタネータ4の予想発電量、次の危険ポイントでの安全装備予想放電量等に基づいて次の危険ポイントでのバッテリ残量を予測することによりアイドリングストップ許可/禁止を判定し、判定結果をエンジン制御ECU2に入力する。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両制御装置、特に、エンジンの駆動と停止を行いながら車両を走行させるエコラン(アイドリングストップ)機能を備えた車両制御装置に関する。
近年、燃費改善及びエミッション低減を目的として、所定のエンジン停止条件(走行履歴有り、停車状態、アイドル状態など)成立時にエンジン自動停止を指令し、その後の所定のエンジン始動条件(ブレーキリリース、シフト操作、アクセルONなど)成立時にエンジン自動再始動を指令してエンジン始動モータを駆動させるエンジン自動停止再始動制御(いわゆるエコラン制御)が採用されている。
すなわち、信号待ち等において、実際には車両が走行していないにもかかわらずエンジンをアイドリング状態で駆動していると、排気ガスが出るとともに、燃料の消費が増加するという問題があった。このため、信号などで車両が停止している状態や走行中であってもアクセルオフが一定時間継続した場合等に、エンジンを一時的に停止させ、このエンジンの一時停止状態で、アクセルが踏まれると再びエンジンを始動して発進させるようにしている。
このエコラン制御システムによれば、エンジンを走行に必要なときだけ駆動し、それ以外は停止させることで、燃費を向上させるとともに、エンジン駆動時間の短縮によって排ガス量を減少させることができる。
このようなエコラン機能を備えた車両では、ドライバビリティ向上のため、エコラン(エンジン自動停止)中でもオーディオなどの補機を使用できる構成となっている。しかしながら、エンジン自動停止中に補機を使用してバッテリ電圧が低下すると、スタータモータへ十分な駆動電流を供給できなくなり、エンジンの再始動性が悪化するので、バッテリ電圧が低下した場合にはエコランを禁止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−115578号公報
また、バッテリ電圧が低下した場合や電装品の使用状況が高負荷になった場合、あるいは、オルタネータの発電量が少ない場合、事故防止のための安全システムへの電力供給不足が発生する可能性があるので、空調用や娯楽用の電装品への給電を停止することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−199505号公報
上記のように、従来、電圧が低下した場合にエコランを禁止したり、安全システムへの電力供給不足が発生しないように不必要な電装品への給電を停止することが提案されている。
しかしながら、危険地帯を走行する場合など、安全システムが作動し、給電不足の発生が予想される場所に近づいた場合に、エコランを許可してしまうと、危険地帯を走行するときに、給電不足を招き、安全システムへの給電が不十分となってしまう可能性があった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、安全システムへの給電不能を確実に抑制しつつ、エコランも精度良く実施できる車両制御装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明に係る車両制御装置は、目的地までの走行ルート上の危険度に基づいて危険ポイントを設定し、設定された各危険ポイントで必要となるセーフティ機能に必要なバッテリ量が残っているか否かを判断することにより、アイドリングストップ許可/禁止を判定することを特徴とする。
本発明に係る車両制御装置によれば、カーナビゲーション装置等から目的地までの走行ルート上の道路情報、気象情報、路面情報などを取得し、取得した情報に基づいて算出した危険度が所定の危険度以上の地点を危険ポイントに設定した後、各危険ポイントで必要となるセーフティ機能に必要なバッテリ量が残っているか否かを判断し、バッテリ量が足りない場合、アイドリングストップを禁止することができるので、安全システムへの給電不能を確実に抑制することができる。
以下、本発明の車両制御装置の実施例について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の車両制御装置を含む車両システムの構成を示すブロック図であり、このシステムは、本発明の車両制御装置であるアイドリングストップ制御装置1、エンジン制御ECU2、バッテリ3、オルタネータ4、カーナビゲーション装置5、各種の電装品6、7、・・・、スタータモータ8等により構成され、これらは通信ライン9、電源ライン10を介して相互に接続されている。
アイドリングストップ制御装置1は、所定のエンジン停止条件成立時にエンジン制御ECU2にエンジン自動停止を指令し、その後の所定のエンジン始動条件成立時、スタータに対してアイドリングストップ制御装置1から電流を供給してスタータモータ、すなわち、エンジン始動モータ8を駆動させるものであり、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力回路(図示せず)等から構成されている。CPU11はアイドリングストップ制御装置1のハードウェア各部を制御するとともに、ROM12に記憶されたプログラムに基づいてエコラン等の種々のプログラムを実行する。ROM12は、上記のエコランプログラム等の各種のプログラムや、車両情報、各種の運転環境に基づく事故危険レベルデータ、危険状況に応じた作動システムのテーブル及び各車両電装品の消費電流データを記憶しており、RAM13はSRAM等で構成され、一時的に発生するデータを記憶する。
図2は、ROM12に記憶される車両情報の一例であり、自車両の車種、車両グレード、安全装備、主要装備等の車両装備一覧が記憶されている。この車両装備一覧において、AFS(可動ライトシステム、Adaptive Front-lighting System)は、カーブや交差点での右左折時に、ステアリング操作に連動して操舵方向のヘッドライトのプロジェクターユニットが向きを変えて進行方向を照射するものであり、EBD(電子制御制動力配分システム、Electronic Brake force Distribution)は、ブレーキング時の前輪と後輪の制動力配分(ブレーキ配分)をコンピュータがコントロールし、制動ポテンシャルをフルに引き出すシステムである。
また、ABS(アンチ・ロック・ブレーキシステム、Anti-lock Brake System)は、滑りやすい状況での急制動時に車輪ロックを防止するものであり、VSC(横滑り防止機能、Vehicle Stability Control)は、ハンドルの操舵角に応じて車両の挙動が安定する方向に操舵トルクをアシストするシステムである。さらに、TRC(トラクションコントロール、Traction Control System)は、車輪空転を検知した場合に車両トルクをコントロールして加速時などの車輪空転を防ぐシステムであり、PCS(プリクラッシュセーフティシステム、Pre-Crash Safety System)は、ブレーキの踏み込み速度などから、それが緊急ブレーキと判断した場合、運転席・助手席のシートベルトを巻き取り、乗員の拘束性能を高めるものである。
また、CVT(Continuously Variable Transmission)は、プーリやディスクの径を変化させることにより連続的に変速可能な無段変速機であり、TBW(スロットルワイヤーリンクレス、Throttle by wire)は、ユーザのアクセル踏力に応じてスロットルを制御する方式であり、コンピュータで算出した車両状況に応じてフレキシブルにスロットルを制御することができる。EPS(電動パワーステアリング、Electronic Power Steering)は、舵角に応じて電動モータを駆動してステアリングをアシストする方式であり、ステアリング操作に要する力を低減することができる。
図3は、ROM12に記憶される各種の運転環境に基づく事故危険レベルデータの一例であり、雨や雪等の外部環境、運転者の健康状態等の運転状態、路面状況や渋滞状況等の外乱、車両部品の劣化状態を示す車両状況等の事故の危険要素となる各種の運転環境の要素毎の事故危険レベルのテーブルが記憶されている。図3(a)に示すように、外部環境としては、雨、雪、風等のレベルに応じて危険度が点数で記憶されており、また、運転状態としては、図3(b)に示すように、運転者の健康度、疲労度、精神状態等のレベルに応じて危険度が点数で記憶されている。
さらに、図3(c)に示すように、外乱として、路面状況、エリア状況、渋滞状況等のレベルに応じて危険度が点数で記憶されており、車両状況としては、図3(d)に示すように、タイヤ、サスペンション、シャフト等の劣化状態のレベルに応じて危険度が点数で記憶されている。
また、図4はROM12に記憶されている、危険状況に応じて作動するシステムの一覧テーブルであり、例えば、昼時の急カーブ時にはEBD、ABS、VSC、TRCが作動するものとして記憶され、渋滞時には、PCS、EBD、ABSが作動するものとして記憶されている。さらに、図5は、ROM12に記憶されている、電装品の消費電流データのテーブルであり、各車両電装品の動作時の消費電流がテーブルとして記憶されている。
一方、このアイドリングストップ制御装置1には、各種のセンサ21の出力が入力される。このセンサ21にはエンジン回転数センサや、ワイパー、ウインカー、フォグランプ等の動作状態を検出するスイッチが含まれている。
エンジン制御ECU2は、車両に装備されているセンサ群で検出された、車速、エンジン回転数、空気流入量等の情報に基づいて所定の演算処理を行い、その演算結果(例えば、燃料噴射量やバイパス空気量などを制御するための信号)を車両に装備された、電動スロットルやスタータ噴射弁等の制御機構へ送出し、燃料の噴射量や流入空気量の制御などを行うものであり、アイドリングストップ制御装置1からの指令によりエンジン自動停止、エンジン自動再始動も実行する。
また、バッテリ3は電源ライン10を介してアイドリングストップ制御装置1、カーナビゲーション装置5等の電装品や各種のECU(図示せず)に給電するもので、バッテリの充放電電流、端子電圧、バッテリ液温度を検出するセンサ(図示せず)を備えており、これらのセンサの出力が通信ライン9を介してアイドリングストップ制御装置1に入力される。オルタネータ4は、エンジン(図示せず)により駆動され、電源ライン10を介してバッテリ3を充電するとともに、車両の他の電気負荷、すなわち、ECUや電装品に電力を供給する。
また、カーナビゲーション装置5は、GPSセンサやジャイロセンサからなる現在位置検出部や道路地図データを含む地図データを格納する地図データ格納部を備えるとともに、車両情報センター22との無線通信や他の車両23との車車間通信により車両の走行エリアの道路情報、気象情報、路面情報などを取得し、通信ライン9を介してアイドリングストップ制御装置1に入力する。
図6は、図1のアイドリングストップ制御装置1の構成を機能で表した機能ブロック図であり、各部はCPU11、ROM12、RAM13により構成され、ソフトウェアによりこれらの機能が実行される。
自車状況取得部31は、不揮発性メモリであるROM12に記憶された自車両の車種、車両グレード、装備内容等の車両情報及び各種センサ21からのエンジン回転数等の信号を取得して危険ポイント設定部35及び安全装備放電量予測部37に入力し、外部情報取得部32は、車両情報センター22や他車両23からの情報に基づいてカーナビゲーション装置5が取得した、目的地までの各エリアの道路情報、気象情報、路面情報などの外部情報を取得して危険ポイント設定部35に入力する。
また、バッテリ状態取得部33は、バッテリ3の各種センサが取得したバッテリ3の電圧、電流、バッテリ液温度を取得してバッテリ状態決定部36に入力し、電装品状態取得部34は、種々の電装品6、7・・・の起動状態・駆動状態を取得して電装品使用量予測部38に入力する。
危険ポイント設定部35は、自車状況取得部31から入力される情報や外部情報取得部32から入力される目的地までの走行ルート上の道路情報、気象情報、路面情報などの外部情報に基づいて走行ルート上の各ポイントの危険度を算出し、算出した危険度が所定の危険度以上の地点を危険ポイントに設定する。そして、危険ポイント設定部35は、設定した危険ポイントの情報とともに、外部情報、各危険ポイントの危険度を、安全装備放電量予測部37、電装品使用量予測部38、発電量予測部39、アイドリングストップ許可/禁止判定部40に危険情報として入力する。
さらに、バッテリ状態決定部36は、バッテリ3の電圧、電流、バッテリ液温度に基づいてバッテリ3の充電率を決定し、アイドリングストップ許可/禁止判定部40に入力する。安全装備放電量予測部37は、各危険ポイントで必要となるセーフティ機能を確認し、各危険ポイントで必要となる安全装備の放電量を予測してアイドリングストップ許可/禁止判定部40に入力する。
また、電装品使用量予測部38は、現状の電装品使用状況及び危険ポイントに到達するまでの経路情報に基づいて電装品使用量を予測してアイドリングストップ許可/禁止判定部40に入力し、発電量予測部39は、危険ポイント設定部35からの危険情報、各種センサ21からのエンジン回転数情報に基づいて、危険ポイントに到達するまでの走行モード及びエンジン回転数の推移を予測し、予測結果より危険ポイントに到達するまでの予想発電量を予測してアイドリングストップ許可/禁止判定部40に入力する。
そして、アイドリングストップ許可/禁止判定部40は、各危険ポイントまでの所定距離範囲内で、現状のバッテリ充電率、次の危険ポイントまでの電装品予想使用量、オルタネータ4の予想発電量、次の危険ポイントでの安全装備予想放電量等に基づいて次の危険ポイントでのバッテリ残量を予測することによりアイドリングストップ許可/禁止を判定し、判定結果をエンジン制御ECU2に入力する。
次に、上記の車両制御装置1の各機能部の作用を図1のブロック図及びフローチャートを用いて説明する。
ドライバがカーナビゲーション装置5において目的地を設定すると、アイドリングストップ制御装置1のCPU11は、図7に示す危険ポイント設定プログラムを開始し、まず、カーナビゲーション装置5からの情報に基づいて、目的地までの走行ルート上の道路情報、気象情報、路面情報などの外部情報を取得してRAM13に記憶した(ステップ101)後、ROM12、センサ21から運転時間やタイヤ状況等の自車状況を取得してRAM13に記憶する(ステップ102)。
次に、CPU11は、ステップ101、102で取得した外部情報、自車状況に基づいて、図3に示す事故危険レベルテーブルを使用して目的地までの走行ルート上の各ポイントの危険度を算出する(ステップ103)。
すなわち、外部環境(a)については、無線通信等で取得した気象情報及びルート情報に基づき走行ルート上での気象情報を抽出した後、走行ルート上で雨が降っている場合は、降水量が1時間あたり100mm以上なら雨のレベル3と判断し、50mm以上ならレベル2、30mm以上ならレベル1とする。また、雪が降っている場合は、積雪量が3cm以上ならレベル3と判断し、2cm以上ならレベル2、1cm以上ならレベル1とする。さらに、風の場合は、風速30m以上で風のレベル3と判断し、風速25m以上でレベル2、風速20m以上でレベル1とする。
また、運転状態(b)は自己申告で車載器に健康状態等を入力する。例えば、37度以上の熱がある場合は健康のレベル3と判断し、風邪気味ならレベル2、気だるいならレベル1とする。また、運転時間が3時間以上なら疲労レベルを3と判断し、2時間以上ならレベル2、1時間以上ならレベル1とする。さらに、急発進や急ブレーキが3回以上であれば精神レベルを3と判断し、2回以上であればレベル2、1回以上ならレベル1とする。
さらに、外乱(c)としては、路面状況、エリア状況、カーブ状況、渋滞状況、登坂・降坂状況等の危険度を決定する。路面状況は、車両が一度通った走行ルートの路面状態が記録された記録装置から走行ルート設定時に走行ルート上の路面状態を抽出するか、あるいは、図示しない無線通信等で通信が可能なセンターの記録装置から他車がいちど通った走行ルートの路面情報を抽出し、路面がオフロードであれば路面状態レベルを3と判断し、砂利道ならレベル2、工事後ならレベル1とする。
また、エリア状況は、地図情報とともにエリアの密集度が予め記録されているので、走行ルート設定時に走行ルート上のエリアの密集レベルを抽出する。
さらに、カーブ状況は、地図情報とともに地図上のカーブ情報が予め記録されているので、走行ルート設定時に走行ルート上のカーブ情報を抽出するか、あるいは、図示しない無線通信等で通信が可能なセンターの記録装置から他車がいちど通った走行ルートのカーブ情報を抽出してもよい。そして、カーブがR500ならカーブレベル3と判断し、R700ならレベル2、R1000ならレベル1とする。
また、渋滞状況はVICSやラジオ等により得られる渋滞情報、あるいは、図示しない無線通信等で通信が可能なセンターの記録装置から取得した渋滞情報に基づき、渋滞が5km以上であれば渋滞レベル3と判断し、3km以上であればレベル2、1km以上であればレベル1とする。
さらに、登坂・降坂状況としては、地図情報とともに地図上の登坂・降坂情報が予め記録されているので、走行ルート設定時に走行ルート上の登坂・降坂情報を抽出するか、あるいは、図示しない無線通信等で通信が可能なセンターの記録装置から登坂・降坂情報を抽出してもよい。そして、登坂・降坂が5パーセント以上なら登坂・降坂レベル3と判断し、3パーセントならレベル2、2パーセントならレベル1とする。
また、車両状況(d)としては、タイヤ、サスペンション、シャフト等の部品の取替え時期に関する情報が記憶装置に記憶されており、取替え時期が現在よりも5年以上前であれば、車両状態レベルを3とし、4年以上であればレベル2、3年以上であればレベル1とする。
そして、上記の各イベントのレベルに対応した点数を抽出し、各点数の合計値から危険度[%]を求めることにより、目的地までの各ポイントの危険度を算出する。
走行ルート上の各ポイントの危険度を算出した後、CPU11は、算出した危険度が所定の危険度以上の地点があるか否かを判定し(ステップ104)、危険度が所定の危険度以上の地点があると判定した場合、図8に示すように、そのポイントを危険ポイントA、Bとして決定し、RAM13に各危険ポイントの危険度とともに記憶する(ステップ105)。なお、危険ポイントを設定する場合に、各イベントのレベルに対応した点数の合計値から算出した危険度によらず、走行ルート上におけるカーブ、渋滞、路面状況、登坂、降坂、雨、雪、風等の各イベントの危険度がレベル3以上であれば、危険ポイントと設定するようにしてもよい。
一方、アイドリングストップ制御装置1のCPU11は、一定時間毎に、図9に示すバッテリ状態決定プログラムを実行しており、このプログラムを開始すると、まず、バッテリ3のセンサよりバッテリの電圧、電流、バッテリ液温度のバッテリ状態を取得し、RAM13に記憶した(ステップ201)後、取得した電圧に一定値以上の変化があった否かを判定することにより所定放電があったか否かを判定する(ステップ202)。
ステップ202で所定放電があったと判定した場合、CPU11は、バッテリ内部抵抗を算出し、RAM13に記憶する(ステップ203)。すなわち、CPU11は、図10に示すように、バッテリの電圧、電流の一定時間毎のサンプリング値に基づいて個別の内部抵抗R0、R1、・・・Rnを
R0=(V1−V0)/(I1−I0)、・・・
Rn=(Vn-1−Vn)/(In-1−In)
により順次演算して求めた後、最終内部抵抗Rを
R=(R0+R1+・・・+Rn)/n
により求める。
バッテリ内部抵抗を算出すると、CPU11は、バッテリ充電率を算出し、RAM13に記憶する(ステップ204)。すなわち、CPU11は、バッテリ電圧に基づいて図11(a)に示す変換テーブルを使用することによって電圧を充電率に変換した後、ステップ203で算出した内部抵抗に基づいて図11(b)に示す補正値テーブルを使用して補正値を読み出し、上記充電率×補正係数により充電率を決定する。なお、抵抗が基準値Rより小さい場合は、充電率が高くなるので、補正値は1より大きい値となる。
次に、CPU11は、バッテリ液温度と基準温度との差が所定値以上か否かを判定し(ステップ205)、バッテリ液温度と基準温度との差が所定値以上であると判定した場合、図12に示す補正値テーブルを使用して液温度に応じた補正値を読みだし、上記充電率×補正係数により充電率を補正し、補正した充電率をRAM13に記憶した(ステップ206)後、プログラムを終了する。
一方、ステップ202で所定放電がなかったと判定した場合、CPU11は、前回所定放電があった後の電流積算値の絶対値が所定値以上か否かを判定し(ステップ207)、電流積算値が所定値以下であると判定した場合、プログラムを終了し、電流積算値が所定値以上であると判定した場合、図13に示す補正テーブルを使用し、その時点までの電流積算値に対応した充電率補正値を現在の充電率に加算し、その充電率をRAM13に記憶した(ステップ208)後、プログラムを終了する。
また、アイドリングストップ制御装置1のCPU11は、一定時間毎に、図14に示す安全装備放電量予測プログラムを実行しており、このプログラムを開始すると、まず、ROM12から図2に示す車種情報を取得した(ステップ301)後、走行ルート上の次の危険ポイントを抽出する(ステップ302)。次に、次の危険ポイントの道路情報、気象情報、路面情報等の外部情報を取得する(ステップ303)とともに、車種情報から安全装備を抽出した(ステップ304)後、図4に示す危険対応マップに基づいて次の危険ポイントでの安全装備の放電電気量を予測し、RAM13に記憶する(ステップ305)。
例えば、昼時の急カーブでは、EBD、ABS、VSC、TRCの作動が予測され、これらの安全装備を車両が装備している場合には、予想放電電気量は、1600[Asec]となる。
さらに、アイドリングストップ制御装置1のCPU11は、一定時間毎に、図15に示す電装品使用量予測プログラムを実行しており、このプログラムを開始すると、まず、その時点の電装品6、7の駆動状況を取得してRAM13に記憶する(ステップ401)。次に、RAM13に記憶されている目的地までの走行ルート上の道路情報、気象情報、路面情報等の外部情報を取得した(ステップ402)後、取得した外部情報に基づいて次の危険ポイントまでの電装品の使用状況を予測し(ステップ403)、図5に示す電装品の消費電流テーブルから使用が予測される当該電装品の消費電流を読み出し、次の危険ポイントまでの到達時間に基づいて電装品の消費電気量[Asec]を予測し、RAM13に記憶する(ステップ404)。
同様に、アイドリングストップ制御装置1のCPU11は、一定時間毎に、図16に示す発電量予測プログラムを実行しており、このプログラムを開始すると、まず、次の危険ポイントまでの道路情報、気象情報、路面情報等の外部情報を取得した(ステップ501)後、取得した外部情報に基づいて次の危険ポイントまでの走行モード、すなわち、図17に示すように加速、定速、減速等の状態を予測する(ステップ502)。次に、各種センサ21から取得したその時点のエンジン回転数と上記の予測した走行モードに基づいてエンジン回転数の推移を予測した(ステップ503)後、そのエンジン回転数推移及び走行モードに基づいて次の危険ポイントまでのオルタネータ4の発電量を予測し、RAM13に記憶する(ステップ504)。すなわち、加速時は発電カットされるため、加速時以外の充電できる時間を算出し、算出した結果と図18に示すエンジン回転数と発電量との対応テーブルに基づいて決定した発電量を乗算することによりトータルの発電量を求める。
一方、アイドリングストップ制御装置1のCPU11は、上記の各種予測プログラムを実行すると同時に、一定時間毎に、図19に示すアイドリングストップ許可/禁止判定プログラムを実行しており、このプログラムを開始すると、まず、次の危険ポイントとその危険ポイントの危険度をRAM13から取得した(ステップ601)後、図20に示す危険度と判定開始距離の対応テーブルを参照することにより、取得した危険度に応じたアイドリングストップ許可/禁止判定を開始する所定距離を決定し、RAM13に記憶する(ステップ602)。
次に、CPU11は、その時点の車両位置が次の危険ポイントから上記の所定距離の範囲内にあるか否かを判定し(ステップ603)、次の危険ポイントから所定距離以上離れていると判定した場合、通常のエコラン条件が成立するか否かを判定する(ステップ604)。
すなわち、CPU11は、通常のエコラン条件、例えば、アクセルオフ、かつ、ブレーキオン、かつ、車速=0、かつ、エンジン回転数が600〜1000rpmの範囲にあるアイドル状態の所定時間、例えば、2秒間継続、を判定すると、アイドリングストップをエンジンECU2に指令し(ステップ605)、上記のエコラン条件が成立しないと判定した場合、プログラムを終了する。
一方、ステップ603で、次の危険ポイントから所定距離の範囲内に車両が位置すると判定した場合、CPU11は、ROM12に記憶されている車両情報から当該車両に搭載されているバッテリ3の容量を取得する(ステップ606)とともに、RAM13からその時点のバッテリ3の充電率を取得した(ステップ607)後、バッテリ3の放電可能電気量を算出する(ステップ608)。
例えば、バッテリ容量が198000[Asec]、現状の充電率が90%、放電終止充電率を30%とすると、
放電可能電気量=198000*{(90-30)/100}=118800[Asec]
により放電可能電気量を算出する。
次に、CPU11は、次の危険ポイントまでの電装品予想使用量をRAM13から取得する(ステップ609)とともに、次の危険ポイントまでのオルタネータ4の予想発電量をRAM13から取得した(ステップ610)後、予想充電量を予想充電量=予想発電量−電装品予想使用量によって求める(ステップ611)。
この後、CPU11は、次の危険ポイントでの安全装備予想放電量をRAM13から取得した(ステップ612)後、次の危険ポイントでのバッテリ残量を予測し、アイドリングストップが可能か否かを判定する(ステップ613)。
例えば、放電可能電気量が118800[Asec]、予想充電量が−1000[Asec]、安全装備予想放電量が1600[Asec]とすると、バッテリ残量は
バッテリ残量=118800[Asec]−1000[Asec]−1600[Asec]=115400[Asec]
となり、予想されるバッテリ残量が0[Asec]よりも大きいので、アイドリングストップ可と判定する。
ステップ613でアイドリングストップ不可と判定した場合、CPU11は、所定のエコラン条件が成立するか否かを判定することなく、プログラムを終了し、アイドリングストップ可と判定した場合、所定のエコラン条件が成立するか否かを判定する(ステップ604)。
以上のように、カーナビゲーション装置等から目的地までの走行ルート上の道路情報、気象情報、路面情報などの環境情報が取得され、取得された環境情報等に基づいて算出された危険度が所定の危険度以上の地点が危険ポイントに設定された後、各ポイントで必要となるセーフティ機能に必要なバッテリ量が残っているか否かが判断され、バッテリ量が足りない場合、アイドリングストップが禁止されるので、安全システムへの給電不能を確実に抑制しつつ、エコランを実施することができる。
なお、上記の実施例では、危険ポイントで予測されるバッテリ残量が正か否かを判定することにより、アイドリングストップの可否を判定したが、
判定要素を複数個設定し、各危険ポイントの危険度に応じて可否判定に使用する判定要素を変更することもできる。
図21は判定要素を複数個設定し、各危険ポイントの危険度に応じて可否判定に使用する判定要素を変更する場合の一例のテーブルを示すものであり、この例では、「バッテリ残量正?」は全ての危険度においてアイドリングストップの可否判定に使用し、例えば、「勾配が所定値未満?」は、危険度が20未満の場合アイドリングストップの可否判定に使用せず、危険度が20以上の場合のみアイドリングストップの可否判定に使用する。
このように、判定要素を複数個設定し、各危険ポイントの危険度に応じて可否判定に使用する判定要素を変更することにより、より高精度にアイドリングストップの可否を判定することができる。
また、上記の実施例では、ドライバがカーナビゲーション装置において目的地を設定した場合に図7のフローチャートに示す危険ポイント設定プログラムを実行したが、走行ルートの変更があった場合、装備品の稼働状況に変化があった場合、あるいは、所定時間経過時又は所定距離走行時に、再度危険ポイント設定プログラムを実行することが望ましい。
さらに、上記の実施例では、アイドリングストップ制御装置とエンジン制御ECUとを別個に設けたが、アイドリングストップ制御装置の機能をエンジン制御ECUに組み込むことも可能である。
本発明の車両制御装置を含む車両システムの構成を示すブロック図。 ROMに記憶されている、車両情報。 ROMに記憶されている、各種の運転環境に基づく事故危険レベルデータ。 ROMに記憶されている、危険状況に応じて作動する安全システムの一覧テーブル。 ROMに記憶されている、各車両装備品の消費電流データ。 アイドリングストップ制御装置の構成を機能で表した機能ブロック図。 危険ポイント設定プログラムの作用を示すフローチャート。 走行ルート上の危険ポイントの設定例。 バッテリ状態決定プログラムの作用を示すフローチャート。 バッテリの電圧、電流の波形図。 内部抵抗に基づく充電率の補正値テーブル。 バッテリ液温度に基づく充電率の補正値テーブル。 電流積算値に基づく充電率の補正テーブル。 安全装備放電量予測プログラムの作用を示すフローチャート。 電装品使用量予測プログラムの作用を示すフローチャート。 発電量予測プログラムの作用を示すフローチャート。 危険ポイントまでの予測走行モードの一例。 エンジン回転数と発電量との対応テーブル。 アイドリングストップ許可/禁止判定プログラムの作用を示すフローチャート。 危険度と判定開始距離の対応テーブル。 複数の判定要素を危険度に応じて変更する判定要素選択テーブル。
符号の説明
1 アイドリングストップ制御装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
2 エンジン制御ECU
3 バッテリ
4 オルタネータ
5 カーナビゲーション装置
6、7 電装品
8 スタータモータ
9 通信ライン
10 電源ライン
21 各種センサ
22 車両情報センター
23 他車両

Claims (5)

  1. 自車が走行する予定の位置が、所定の危険ポイントであるかを判定する危険ポイント判定手段と、
    上記危険ポイント判定手段で判定された危険ポイントの危険度に基づいて、車両に装備された安全装備への給電不能が発生する可能性があるか否かを判定することにより、アイドリングストップの可否を判定するアイドリングストップ許可/禁止判定手段を備えたことを特徴とする車両制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両制御装置において、
    上記アイドリングストップ許可/禁止判定手段が、危険ポイントまでの電装品予想使用電気量、予想発電量及び危険ポイントでの安全装備放電予想電気量からバッテリ残量を予測することにより安全装備への給電不能が発生するか否かを判定することを特徴とする車両制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された車両制御装置において、
    上記アイドリングストップ許可/禁止判定手段が、各危険ポイントまでの所定距離範囲内でのみアイドリングストップ許可/禁止判定を実行することを特徴とする車両制御装置。
  4. 請求項3に記載された車両制御装置において、
    上記アイドリングストップ許可/禁止判定手段が、上記各危険ポイントまでの所定距離を各危険ポイントの危険度に応じて変更することを特徴とする車両制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載された車両制御装置において、
    上記危険ポイント判定手段が、各危険要素の点数に重み付けして各ポイントでの危険度を算出することを特徴とする車両制御装置。
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