JP2008018765A - 駆動車輪用軸受ユニット - Google Patents

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Zenichi Fukumura
善一 福村
Masayuki Kuroda
正幸 黒田
Hisaaki Kura
久昭 藏
Makoto Tomoue
真 友上
Hiroshi Kawamura
浩志 河村
Shigeaki Fukushima
茂明 福島
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Abstract

【課題】 ナットを用いることなく、ハブ輪と外側継手部材を高強度に結合する。
【解決手段】 ハブ輪10および外側継手部材31のうち、外側継手部材31のステム部13bに雄部51を設けると共に、ハブ輪10の内周面に雄部51と異形の雌部52を形成する。雄部51を雌部52に圧入することにより、接合部に塑性流動を生じさせてハブ輪10と外側継手部材31との間の隙間を充足し、両者を塑性結合する。この場合、高硬度側が低硬度側に確実に食い込めるように、雄部と雌部に硬度差を持たせる。外方部材26の外周面に形成したフランジ26cをナックル部材6にボルト止めすることで、外方部材26がナックル部材6に固定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の駆動車輪(FF車の前輪、FR車の後輪、4WD車の全輪)用の軸受ユニットに関する。
エンジンからの動力を駆動車輪に伝達するドライブシャフト1は、図13に示すように、アウトボード側(車幅方向の車体側部の側)の固定型等速自在継手J1と、インボード側(車幅方向の車体中心の側)の摺動型等速自在継手J2とを中間軸2で結合した構成を有する。アウトボード側の等速自在継手J1は、軸受部3で回転自在に支持されたハブ輪4に結合され、インボード側の等速自在継手J2は、ディファレンシャル5に結合される。
軸受部3は、ハブ輪4の外周に固定した軸受内輪3aと、車体側の懸架装置から延びるナックル部材6に固定した軸受外輪3bと、軸受内輪3aと軸受外輪3bの間に複列配置した転動体3cとを有する。通常、ハブ輪4の外周に軸受内輪3aを圧入することによって両者が固定される。軸受部3と、ハブ輪4と、アウトボード側等速自在継手J1とで駆動車輪用の軸受ユニットが構成される。
従来のドライブシャフト1の車両への組付けは、予めハブ輪4および軸受部3をナックル部材6に固定した状態で、ドライブシャフト1のアウトボード側の軸端(外側継手部材7のステム部7a)をハブ輪4の内周に挿入し、ハブ輪4から突出した軸端にナット8を螺合させることによって行われる(例えば、特許文献1参照)。ナット8の締め付けに伴い、ドライブシャフト1の全体がアウトボード側にスライドし、外側継手部材7の肩部7bが軸受内輪3aの端面に当接する。これにより、外側継手部材7とハブ輪4とが軸方向で位置決めされ、かつ軸受部3に所定の予圧が付与される。外側継手部材7のステム部7aの外周面とハブ輪4の内周面は、図示しないスプラインで結合され、外側継手部材7に伝達されたエンジンの駆動力は、当該スプライン、さらにはハブ輪4を介して車輪Wに伝達される。
特開2004−270855号公報
しかしながら、従来の駆動車輪用軸受ユニットでは、車両への組み付けに際してナット8の締め込みが不可欠であり、組み付け作業に手間がかかる。また、ナット分だけ部品点数が増すと共に、軸受ユニットの軸方向寸法および重量が増すため、さらなる小型化、軽量化、および低コスト化には限界がある。
ナットは、車両組み付け前に外側継手部材7とハブ輪4とを予め結合一体化しておくことで省略することができる。しかしながら、両者の結合部には、コーナリング中のモーメント荷重をはじめ、車両走行に伴って大荷重が作用するので、これに耐え得るような高強度を有しかつコスト的にも安価な結合構造が必要とされる。
そこで、本発明は、ナットを用いることなく、ハブ輪と外側継手部材を高強度に結合することを主要な目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、内周に複数のアウタレースを有する外方部材と、前記アウタレースと対向する複数のインナレースを有する内方部材と、対向するアウタレースとインナレースとの間に配置された複数列の転動体と、車輪に取り付けられるハブ輪と、アウトボード側等速自在継手とを備える駆動車輪用軸受ユニットにおいて、ハブ輪およびアウトボード側等速自在継手の外側継手部材のうち、何れか一方に設けられた雄部を、他方に設けられ、雄部と異形の雌部に圧入することにより、ハブ輪と外側継手部材とを塑性結合し、外方部材の外周面にナックル部材に取り付けるためのフランジを形成した。
この場合、圧入に伴って生じる塑性流動により、雄部と雌部の接合部分に存在する空隙の一部または全てが充足されるので、雄部と雌部を強固に結合し、一体化することができる。しかもこの結合は、雄部と雌部の何れか一方を他方に圧入するだけで行われるので作業性も良好であるという特徴を備える。
雄部と雌部に硬度差を持たせることにより、高硬度側を低硬度側に確実に食い込ませることができるので、結合強度を増大させることができる。特に雄部と雌部のうち、高硬度側を断面非真円形状に形成すれば、非真円状の高硬度側が低硬度側により一層食い込みやすくなる。
駆動車輪用軸受ユニットの形態としては、(1)ハブ輪の外周に2列のインナレースを有する内輪を嵌合し、内輪で内方部材を構成したもの、(2)ハブ輪の外周に内輪を嵌合し、ハブ輪と内輪に一列ずつインナレースを形成し、内輪とハブ輪で内方部材を構成したもの、(3)ハブ輪の外周に一対の内輪を嵌合し、各内輪に一列ずつインナレースを形成し、一対の内輪で内方部材を構成したもの、(4)ハブ輪とアウトボード側等速自在継手の外側継手部材に一列ずつインナレースを形成し、ハブ輪と外側継手部材とで内方部材を構成したもの等が考えられる。
本発明によれば、雄部と雌部を強固に結合して一体化することができ、この際、ナットを用いる必要はない。しかもこの結合は、雄部と雌部の何れか一方を他方に圧入するだけで行うことができる。従って、ハブ輪と外側継手部材とを良好な作業性でもって高強度に結合できる。また、ナットを省略できるので、軸受ユニットの小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
本発明に係る駆動車輪用軸受ユニットの実施形態を以下に詳述する。
図1に駆動輪用軸受ユニットの第1の実施形態を示す。この軸受ユニットは、ハブ輪10、軸受部20、およびアウトボード側等速自在継手30で構成される。
ハブ輪10は、その外周面に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付けフランジ11を備えている。この車輪取付けフランジ11の円周方向に複数の雌ねじ12が形成され、この雌ねじ12に車輪およびブレーキロータを固定するためのホイールボルト(図示省略)が螺合される。車輪取付けフランジ11よりもインボード側のハブ輪10の外周面には、内輪28が適当な締め代をもって圧入されている。内輪28の内周面とハブ輪の外周面との間には、止め輪29が介装され、この止め輪29によって内輪28とハブ輪10の軸方向の位置決めがなされる。ハブ輪10は、通常、旋削あるいは鍛造によって製作される。
軸受部10は、背面配列した複列アンギュラ玉軸受構造で、複列のインナレース21およびアウタレース22と、対向するインナレース21とアウタレース22との間に配置した転動体23と、アウトボード側(図面左側)の転動体列およびインボード側(図面右側)の転動体列をそれぞれ円周方向等間隔に保持する保持器24とを有する。図示例では、2列のインナレース21が内輪28の外周面に形成されており、この場合、内輪28が複列のインナレースを有する内方部材25を構成する。アウタレース22は、リング状一体の外方部材26の内周面に形成される。
外方部材26の外周面26aにはフランジ26cが一体形成されている。外方部材26の外周面26aをナックル部材6の内周面6aに隙間嵌めで嵌合し、かつフランジ26cをその円周方向複数箇所でナックル部材6にボルト止めすることで、外方部材26がナックル部材6に固定される。外方部材26の軸方向両端の内周面には、シール27a、27bが圧入固定されている。
アウトボード側のシール27aおよびインボード側のシール27bは、カセットシールと呼ばれるもので、芯金の内径側に形成した複数(例えば3つ)のシールリップを断面逆L字型のスリンガに接触させた構成を有する。芯金を外方部材26の内周面に圧入し、スリンガを内輪28の外周面に圧入することで、シール27a、27bが開口部に固定される。このシール27a、27bによって軸受部20の両端開口部が密封され、内部に充填されたグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
なお、図示例の軸受部20では、転動体23としてボールを例示しているが、車重が嵩む場合等には、円錐ころを転動体23として使用することもできる。
アウトボード側等速自在継手30は、中間軸2のアウトボード側の一端に設けられ、内周面にトラック溝が形成された外側継手部材31と、外側継手部材31のトラック溝と対向するトラック溝が外周面に形成された内側継手部材32と、外側継手部材31のトラック溝と内側継手部材32のトラック溝との間に組み込まれたトルク伝達ボール33と、外側継手部材31と内側継手部材32との間に介在してトルク伝達ボール33を円周方向等間隔に保持するケージ34とで構成される。内側継手部材32は、その内周に挿入した中間軸2のアウトボード側の軸端とセレーション35を介して結合されている。
外側継手部材31は、例えば鍛造によって製作され、内側継手部材32、ケージ34およびトルク伝達ボール33を収容したマウス部31aと、マウス部31aから軸方向に一体的に延びる中実のステム部31bとを有する。マウス部31aの開口側の外周面と中間軸2の外周面には、それぞれブーツバンド36を介して蛇腹状ブーツ37の大径開口端および小径開口端が固定されている。このように外側継手部材31と中間軸2の間の空間をブーツ37で被覆することにより、グリースが外部へ漏洩したり、あるいは継手内部へ水やダスト等の異物が侵入したりする事態を防止している。
外側継手部材31はハブ輪10に塑性結合される。この塑性結合は、何れか一方の部材に雄部51を形成すると共に、他方の部材に雄部51と異形の雌部52を形成し、雄部51と雌部52を相互に圧入することによって行われる。図1では、雄部51を外側継手部材31のうち、ステム部31bの外周面に形成すると共に、雌部52をハブ輪10のインボード側端部の内周面に形成した場合を例示している。雄部51および雌部52のうち、何れか一方は断面真円形状に形成され、他方は断面非真円形状に形成される。図4(a)は、その一例として、雄部51をセレーションのような歯形面に形成すると共に、雌部51を円筒面状に形成した場合を例示している。断面非真円状の雄部51は鍛造や転造で効率的にかつ精度良く形成することができる。
この他、雄部51の形状としては、図5に示すように角筒面を採用することもできる。何れの形状であっても、断面真円状の雌部52の内径寸法Dfは、雄部51の断面輪郭線に内接する円Aの直径よりも大きく、外接する円Bの直径よりも小さい。
以上の形状を有する雄部51を雌部52の内周に圧入することで、接合部分に塑性流動が生じて両者間の隙間の全部または一部が充足される。これにより、ハブ輪10と外側継手部材31が塑性結合され、一体化される。この塑性結合は、ハブ輪10の内周に外側継手部材31を圧入するだけで行えるので、作業性が良好であり、低コストに高い結合強度が得られる。このようにハブ輪10と外側継手部材31を塑性結合する際、外側継手部材31の肩面38を内輪28のインボード側の端面と当接させ、さらに内輪28のアウトボード側の端面もハブ輪10と軸方向で当接させることで、内輪28が軸方向に位置決めされ、軸受部20に所定の予圧が付与される。
図6に示すように、ハブ輪10と外側継手部材31の塑性結合後、さらにステム部31bの中実軸端の外周部(破線で示す)を加締め具59で加締めてフランジ部58を形成すれば、ハブ輪10の抜け止め効果が更に高まる。雄部51を雌部52に圧入するだけで十分な結合強度が得られるのであれば、この加締め工程を省略することもできる。
この結合構造においては、予め断面非真円状の雄部51に熱処理を施して、図6に示すようにその表層Hを雌部52よりも高硬度にしておくのが望ましい。これにより、圧入に伴う雄部51の変形が抑えられ、雄部51が雌部52に食い込み易くなるので、結合強度をより一層高めることができる。図6に示す加締め加工を行う場合、加締めにより塑性変形させるステム部31bの軸端部分は未焼入れとし、フランジ部58の形成を容易なものとする。雄部51の熱処理方法としては、焼入れ範囲および焼入れ深さのコントロールが容易な高周波焼入れが望ましい。雌部52は基本的に熱処理を加えない生材とするが、雄部51の表面硬度を越えなければ熱処理を施しても構わない。
以上の説明では、雄部51を断面非真円状に形成し、雌部52を断面真円状に形成する場合を例示したが、コスト面等で特に問題がなければ、これとは逆に雄部51を断面真円状に形成し、雌部52を断面非真円状に形成しても構わない。断面非真円状の雌部52は例えばブローチ加工で形成することができる。この場合、断面非真円状の雌部52を断面真円状の雄部51よりも高硬度に形成する。
ところで、雄部51を雌部52に圧入すると、ハブ輪10が僅かに拡径方向に変形し、その影響がインナレース21におよぶ可能性がある。かかる事態を極力回避するため、両者の圧入部分は、図1に示すように、インボード側およびアウトボード側の転動体23の軸方向中心線O上に配置するのが好ましい。
図2および図3は、駆動車輪用軸受ユニットの他の実施形態を示すものである。このうち、図2に示す第2の実施形態の軸受ユニットは、図1に示す一体構造の内輪28を軸方向で二分割してそれぞれハブ輪10の外周面に圧入し、二つの内輪28a、28bの各外周面にインナレース21を形成した例である。この構成では、二つの内輪28a、28bが複列のインナレース21を有する内方部材25を構成する。図3に示す第3の実施形態の軸受ユニットは、ハブ輪10の外周面に設けた小径段部13に内輪28を圧入し、ハブ輪10の外周面と内輪28の外周面にそれぞれ1列ずつインナレース21を形成した例である。この構成では、ハブ輪10と内輪28が複列のインナレース21を有する内方部材25を構成する。
以上に説明した点を除き、図2および図3に示す軸受ユニットの構成は、図1に示す軸受ユニットの構成と共通するので、共通する部材・要素には共通の参照番号を付して、重複部分の説明を省略する。
図1〜図3では、ハブ輪10と内輪28、28a、28bの位置決めを止め輪29で行っているが、これに代えて揺動加締めで両者の位置決めを行うこともできる。図7はその一例を示すもので、ハブ輪10のインボード側の軸端を内輪28のインボード側端面を超えるまで延ばし、その突出部分の内径側で加締め具を揺動させることにより、突出部分を外径側に塑性変形させてフランジ17を形成したものである。フランジ17は内輪28のインボード側端面と密着している。図2および図3に示す軸受ユニットでも、同様に揺動加締めを施してフランジ17を形成することにより、ハブ輪10と内輪28、28a、28bの軸方向の位置決めを行うことができる。
この他、駆動車輪用軸受ユニットとしては、図8に示す第4の実施形態ように、アウトボード側のインナレース21をハブ輪10の外周面に形成し、インボード側のインナレース21を外側継手部材31の外周面に形成したタイプも使用することができる。この軸受ユニットでも、ハブ輪10と外側継手部材31とが、雄部51の雌部52への圧入、さらには図6に示す加締め加工によって塑性結合される。外側継手部材31の肩面38がハブ輪10の端面と軸方向に当接することで、複列のインナレース21間の寸法が規定され、かつ軸受部20に規定の予圧が付与される。この場合、ハブ輪10と外側継手部材31が複列のインナレース21を有する内方部材25を構成する。
図8に示す第4の実施形態では、ハブ輪10を中空状に形成し、その内周に中実状のステム部31bを嵌合して両者を塑性結合する場合を例示しているが、これとは逆に、図9に示す第5の実施形態のように、ステム部31bを中空状に形成し、このステム部31bの内周にハブ輪10のインボード側の中実軸端16を嵌合して両者を塑性結合することもできる。外側継手部材31の端面39がハブ輪10と軸方向に当接することで、複列のインナレース21間の寸法が規定され、かつ軸受部20に規定の予圧が付与される。この場合、例えばハブ輪10の中実軸端16の外周面に雄部51を形成し、これに対向するステム部31bの内周面に雌部52を形成することができる。
以上の各実施形態では、転動体23を保持器24で保持した軸受部20を例示しているが、図10に示すように保持器を用いない総転動体形式を採用することもできる。総転動体形式であれば、保持器を使用する場合に比べて組み込み可能な転動体数が増えるので、個々の転動体の負荷荷重を低減することができる。従って、高荷重条件下でも軸受ユニットの寿命向上を図ることができる。総転動体形式は、インボード側の転動体列とアウトボード側の転動体列との負荷荷重に差がある場合は、高荷重側にのみ採用することができる。もちろん双方の転動体列が同程度の荷重条件である場合は、双方を総転動体形式にすることもできる。通常は、インボード側のモーメント荷重が大きくなるので、インボード側の転動体列を総転動体形式にする。
なお、総転動体形式の場合、転動体間の円周方向の隙間が大きすぎると、転動体同士が激しく衝突して打音や発熱を生じる可能性があるので、転動体間の総隙間Sを転動体23の直径寸法Dbよりも小さくする(特に転動体23としてボールを使用する場合、総隙間Sはボール直径の約40%以下に設定する)のが望ましい。
保持器24を使用した軸受形式においても、図11に示す第6の実施形態のように、アウトボード側の転動体列のPCD(P1)とインボード側の転動体列のPCD(P2)との間に差を設けることにより、高剛性化や長寿命化の効果が期待できる。これは、一方のPCDを大きくすれば、軸受ユニットの軸方向寸法の増大なしに軸受スパン(両レース面に加わる力の作用方向の作用線と軸心との交点の間隔)の増大を図ることができること、組み込み可能な転動体数が増えること、等の理由による。図11では、インボード側の転動体列のPCD(P2)を大きくした場合を例示しているが、反対にアウトボード側の転動体列のPCD(P1)を大きくしてもよい。また、インボード側の保持器24とアウトボード側の保持器24を異なる設計とすることで、何れか一方の側の保持器24に他方の側より多い転動体を組み込んでも同様の効果が得られる。さらには、インボード側の転動体23の径とアウトボード側の転動体23の径を異ならせても同様の効果が得られる。
図12に本発明の第7の実施形態を示す。この駆動車輪用軸受ユニットは、車輪80の内周に嵌合する円筒状のパイロット部72をハブ輪10と別部材、例えばブレーキロータ70に設けた例である。ブレーキロータ70は、ハブ輪10のフランジ11のアウトボード側端面と車輪80の間に配置され、その円周方向複数箇所にはホイールボルトを挿通するための孔71が形成されている。
図1〜図3に示すように、通常、パイロット部72はハブ輪10のアウトボード側の端部に一体形成されており、それ故にハブ輪10の形状が複雑化している。そのため、実際にはハブ輪10を鍛造のみで成形することは難しく、旋削加工を加える場合が多い。また、パイロット部72には、部分的に防錆塗装を施す必要がある。以上から、ハブ輪10の製作コストは高騰する傾向にある。
これに対し、ハブ輪10のパイロット部72を廃し、これを図12に示すように、ブレーキロータ70の例えば内径端部に設ければ、ハブ輪10のアウトボード側の形状が簡略化されるため、これを鍛造成形することが可能となり、かつハブ輪10への防錆塗装処理も不要となる。従って、ハブ輪10の低コスト化を図ることができ、かつ軽量化設計も可能となる。通常、ブレーキロータ70は鋳造で成形されるので、パイロット部72を有するブレーキロータ70は低コストに製作可能である。以上の特徴は、上述の第2〜第6の実施形態で説明した軸受ユニットにも同様に適用することができる。
なお、図12では、揺動加締めによるフランジ17でハブ輪10と内輪28の位置決めを行う場合を例示しているが、図1に示す第1の実施形態と同様に、両者の位置決めを止め輪29で行うこともできる。
第1の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 第2の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 第3の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 (a)図はハブ輪と外側継手部材の結合部分における雄部の断面図、(b)図は同じく雌部の断面図である。 雄部の他の構成例を示す断面図である。 ハブ輪と外側継手部材の塑性結合工程を示す断面図である。 ハブ輪と外側継手部材の位置決めに揺動加締めを使用した軸受ユニットの断面図である。 第4の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 第5の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 総転動体式の軸受構造を示す正面図である。 第6の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 第7の実施形態にかかる駆動車輪用軸受ユニットの断面図である。 車両の懸架装置周りの概略構造を示す断面図である。
符号の説明
1 ドライブシャフト
2 中間軸
6 ナックル部材
6a 内周面
10 ハブ輪
11 車輪取付けフランジ
20 軸受部
21 インナレース
22 アウタレース
23 転動体
24 保持器
25 内方部材
26 外方部材
26a 外周面
26c フランジ
27a シール
27b シール
28 内輪
28a 内輪
28b 内輪
29 止め輪
30 アウトボード側の等速自在継手
31 外側継手部材
31a マウス部
31b ステム部
32 内側継手部材
33 トルク伝達ボール
34 ケージ
36 ブーツバンド
37 ブーツ
38 肩面
51 雄部
52 雌部
70 ブレーキロータ
72 パイロット部
80 車輪
O 軸方向中心線

Claims (7)

  1. 内周に複数のアウタレースを有する外方部材と、前記アウタレースと対向する複数のインナレースを有する内方部材と、対向するアウタレースとインナレースとの間に配置された複数列の転動体と、車輪に取り付けられるハブ輪と、アウトボード側等速自在継手とを備える駆動車輪用軸受ユニットにおいて、
    ハブ輪およびアウトボード側等速自在継手の外側継手部材のうち、何れか一方に設けられた雄部を、他方に設けられ、雄部と異形の雌部に圧入することにより、ハブ輪と外側継手部材とを塑性結合し、外方部材の外周面にナックル部材に取り付けるためのフランジを形成した駆動車輪用軸受ユニット。
  2. 雄部と雌部とに硬度差を持たせた請求項1記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  3. 雄部と雌部のうち、高硬度側を断面非真円形状に形成した請求項2記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  4. ハブ輪の外周に2列のインナレースを有する内輪を嵌合し、内輪で内方部材を構成した請求項1〜3何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  5. ハブ輪の外周に内輪を嵌合し、ハブ輪と内輪に一列ずつインナレースを形成し、内輪とハブ輪で内方部材を構成した請求項1〜3何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  6. ハブ輪の外周に一対の内輪を嵌合し、各内輪に一列ずつインナレースを形成し、一対の内輪で内方部材を構成した請求項1〜3何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
  7. ハブ輪とアウトボード側等速自在継手の外側継手部材に一列ずつインナレースを形成し、ハブ輪と外側継手部材とで内方部材を構成した請求項1〜3何れか記載の駆動車輪用軸受ユニット。
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